JP2656453B2 - アースアンカー工法に使用される緊張鋼材ユニット - Google Patents

アースアンカー工法に使用される緊張鋼材ユニット

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JP2656453B2 JP6284849A JP28484994A JP2656453B2 JP 2656453 B2 JP2656453 B2 JP 2656453B2 JP 6284849 A JP6284849 A JP 6284849A JP 28484994 A JP28484994 A JP 28484994A JP 2656453 B2 JP2656453 B2 JP 2656453B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は土木、建築の根切り工事
における土留壁のくずれ防止、擁壁の転倒防止、ドック
床板の浮力防止、橋脚の転倒防止及び斜面の安定等に使
用される引っ張り圧縮型のアースアンカー工法に使用さ
れる緊張鋼材ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のアースアンカー工法としては、
例えば特開昭60−133118号公報に開示されたも
のが従来例として公知である。この従来例において使用
されている緊張材は、短形の単体を繋ぎ合わせて全長を
調整できる弾丸形の耐荷版にUターンさせたものであ
り、2本の緊張材が対をなして使用されている。
【0003】そして、弾丸型の耐荷版は頭体と複数の胴
体とに分割されており、それらの結合が接続棒と孔とに
よって行われるものであり、また胴体はその外周面に長
さ方向に沿う収納溝と周方向に沿う円周溝とが設けられ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来例において
は、対をなす2本の緊張材が並列状態に配設され、緊張
材を緊張する場合に、2本の緊張材を同時に且つ均等に
緊張しなければならないので、端部の挟持などにおいて
作業性が悪いばかりでなく、モルタル等の固形後におい
て通る位置によっては長さが異なることがあり、一方に
緊張力が片寄って均等な緊張ができないという課題を有
している。
【0005】また、耐荷版は一つの頭体と二つの胴部と
いったように、複数個の部品をその都度組み合わせるこ
とになり、部品点数が多くなってその管理が厄介である
ばかりでなく、使用時においての組み合わせ時に、部品
の方向と溝の位置合わせなどが厄介であり、作業性が悪
いという課題を有している。
【0006】更に、耐荷版を複数個使用する場合に、例
えば3個使用するとすれば、緊張する側の端部に12本
の緊張材が突出することになり、緊張の組み合わせを間
違い易く、一本でも間違えると順次その組み合わせを間
違えるようになり、実質的に安定した緊張が得られない
という問題点も有している。
【0007】更にまた、耐荷版自体が複数の部品の組み
合わせであり、全体が嵩張ってしかも簡単に分離するこ
とから運搬及び取り扱いが著しく厄介であり、そのため
に、従来例のものはほとんどの場合に、施工現場で緊張
材と耐荷版とを組み立てなければならなず、組み立ての
時間的な制約と使用できる場所的な制約とを受けるとい
う問題点を有している。
【0008】以上の課題及び問題点を解決するために本
発明の目的は、単体の支圧具を使用すると共に、挿着さ
れるアンカー孔の径及び深さに対応して、支圧具の間隔
と緊張鋼材の長さとを予め設定して、工場で正確に組み
立て、それを使用直前に施工現場に搬入できるようにし
たことである。
【0009】
【問題点を解決するための手段】前記従来例の問題点を
解決する具体的手段として本発明は、所定の径及び長さ
のアンカー孔内に、固結材と共に挿入して緊張を図るも
のであって、周縁部に複数の掛止溝が設けられた上部及
び下部掛止板を両端部寄りに有すると共に一方の端部に
湾曲部を有する複数の支圧具と、長さの異なる複数本の
緊張鋼材とからなり、前記複数の支圧具を同一方向に向
け且つ所定の間隔をもって同軸上に配列させ、これら支
圧具の湾曲部に巻き掛けUターンさせて緊張鋼材を配設
し、これら緊張鋼材は長さの最も長いものが先端に位置
する支圧具に巻き掛けられ順次長さが短くなるに従って
次段の支圧具に巻き掛けるようにし且つ各掛止溝に嵌め
て配設し、これら配設された緊張鋼材は、支圧具の周面
上及び支圧具間の複数箇所において定着具で結束し全体
を柱状に構成したことを特徴とするアースアンカー工法
に使用される緊張鋼材ユニットを提供するものである。
【0010】
【作用】複数個の単体の支圧具と長さの異なる複数本の
緊張鋼材を使用し、支圧具を所定間隔に且つ同一軸線上
に配設すると共に、各支圧具に緊張鋼材をUターンさせ
て掛け回して配設し、その緊張鋼材を複数箇所で束ねる
ようにして結束させることで全体を柱状にしたことによ
り、その運搬及び取り扱いを容易にすると共に、全体の
組み立てを工場で行うことができるようにしたものであ
る。
【0011】
【実施例】次に、本発明を図示の実施例により更に詳し
く説明する。図1において、本発明のアースアンカー工
法に用いられる緊張鋼材ユニット1は、図7に示したよ
うに、所定の径及び長さのアンカー孔A内に、適宜の固
結材Bが注入されると共に、その固形材B中に挿入して
アンカー体Dを形成するものであり、前記固結材Bが養
生して固結した後に、ユニットを構成する複数本の緊張
鋼材の内、長い順から所定の緊張力により緊張して伸び
の差分をなくし、しかる後に全部の緊張鋼材を同時に緊
張するようにした、所謂引っ張圧縮型としたものであ
る。
【0012】これら緊張鋼材は、従来から周知のポリエ
チレンシース3で被覆し内部にグリースが充填されたP
C鋼線が使用され、その緊張鋼材の長さの長い順番から
第1緊張鋼材20、第2緊張鋼材30及び第3緊張鋼材
40として説明する。そして、各緊張鋼材は、鉄筋ベン
ダー又は油圧ベンダーにより中央部でU字状に折り曲げ
られ、その折り曲げ部1aに支圧具2が取り付けられ
る。
【0013】この支圧具2は、図2〜図6に示したよう
に、支持体4の上下両端部に設けられた上部掛止板5及
び下部掛止板5′と、該下部掛止板5′の下面に取り付
けられた湾曲体6とより形成され、その湾曲体6に緊張
鋼材がUターン状に掛け回される。
【0014】上部及び下部掛止板5,5′の周縁には複
数の掛止溝8が対向状に設けられ、該掛止溝8に前記U
字状に折り曲げられた緊張鋼材が挿着または掛け止めさ
れ、緊張鋼材を纏めるようにテープやワイヤー等の定着
具7で前記支圧具2に固着され、全体形状を柱状にした
ものである。
【0015】掛止溝8は、実質的に複数個が放射状に設
けられ、各掛止溝8は緊張鋼材の断面形状よりも大き目
に形成されており、緊張鋼材が嵌って収容される大きさ
に形成されると共に、上下の掛止板5,5′とも支圧具
2における周面上で且つ長さ方向において同じ位置に形
成されている。
【0016】湾曲体6は緊張鋼材の先端の折り曲げ部1
aが嵌め合わされるものであり、下部掛止板5′の中央
部に突設状態に形成されている。上記のように緊張鋼材
をUターン状に巻き掛けた第1緊張鋼材20と、第2緊
張鋼材30及び第3緊張鋼材40を取りまとめ、第1支
圧具20a、第2支圧具30a及び第3支圧具40aが
同一軸線上に位置するように所定の間隔をもって整列さ
せると、最も長い第1緊張鋼材20に取り付けた第1支
圧具20aが先端に位置するようになり、順次第2及び
第3の支圧具30a,40aが2番目及び3番目に所定
の間隔をもって位置するようになる。
【0017】そして、第1支圧具20aにUターン状に
掛け回された第1緊張鋼材20は第2支圧具30a及び
第3支圧具40aの掛止溝8に収められ、第2支圧具3
0aにUターン状に掛け回された第2緊張材30は第3
支圧具40aの掛止溝8に嵌合または収納される。
【0018】この場合に、各支圧具における周方向の角
度を少しづつずらすことにより、第2支圧具30a及び
第3支圧具40aの掛止溝8が少しづつずれるようにな
り、第1緊張鋼材20と第2緊張鋼材30が嵌合または
収納される掛止溝8がずれた位置にあって、重なった状
態での嵌合または収納が回避できその後の操作において
緊張作業性が容易になる。
【0019】このように長さの異なる緊張鋼材、即ち第
1〜3の緊張鋼材を夫々Uターンさせ各緊張鋼材に第1
〜3の支圧具を取り付け、こられ支圧具は所定の間隔を
もって同一軸線上に位置させ、各支圧具の掛止溝内に緊
張鋼材が嵌合または収納された状態で、各支圧具の外周
面及び纏められた緊張鋼材の外周面からテープやワイヤ
ー等の定着具7で、複数箇所に渡って結束または巻き付
け固定することで、全体が柱状の緊張鋼材ユニット1が
形成されるのである。
【0020】そして、図7に示したように、所定のアン
カー孔A内に固形材Bが注入されたのちに、第1支圧具
20aを先端にして柱状の緊張鋼材ユニット1を挿入す
ると、各緊張鋼材の支圧具20a,30a,40aが互
いに異なる位置、即ち深さが異なる位置にセットされる
のである。なお、緊張鋼材ユニット1を先にアンカー孔
A内に挿入した後に、固結材Bを注入するようにしても
良い。
【0021】使用される固結材Bとしては、例えばセメ
ントペースト、モルタル又はコンクリート等である。
【0022】なお、第1、第2及び第3緊張鋼材20,
30,40を夫々見分けるため手間側に色の異なるビニ
ールテープを巻き付けておき、緊張する順番を間違えな
いようにする。そして、緊張鋼材ユニット1は、予め工
場で組み立て施工現場に搬入して使用するものである。
【0023】更に、前記したように各支圧具に対して各
緊張鋼材20,30,40を夫々Uターン状に掛け回す
ことにより、各緊張鋼材の一方の端部をフリーにしてお
き、他方の端部を引っ張ることで容易に引き抜くことが
できるので、除去アンカーとしても使用できる。
【0024】注入された固結材Bが硬化後に、各緊張鋼
材を緊張する。この緊張において、予め第1、第2及び
第3緊張鋼材20,30,40の伸びをそれぞれの長さ
に基づいて算定しておき、各緊張鋼材20,30,40
の伸びの差分を緊張してから、これら緊張鋼材20,3
0,40を順次緊張する。
【0025】即ち、最初に一番伸びの大きい第1緊張鋼
材20を、例えば、ジャッキの引張用ヘッドで挟着して
第2緊張鋼材30との伸びの差分だけ緊張する。この
際、第2及び第3緊張鋼材30,40は引張用ヘッドで
挟着されていない状態である。
【0026】そして、この第1緊張鋼材20が第2緊張
鋼材30との伸びの差分だけ緊張されて、第2緊張鋼材
30との伸びの差がなくなった時点で、第2緊張鋼材3
0を前記引張用ヘッドで挟着して緊張を開始し、前記第
1緊張鋼材20と共に緊張する。
【0027】また、上記第1緊張鋼材20塗第2緊張鋼
材30の伸びの差がなくなった時点はジャッキの緊張ロ
ッドのストロークにより確認するものとする。
【0028】即ち、第1緊張鋼材20を緊張して、予め
設定した第2緊張鋼材30との伸びの差分、緊張ロッド
のストロークが伸びた時点で第2緊張鋼材30との伸び
の差がなくなったことを確認するものである。
【0029】また、これは予め設定された所定の緊張荷
重によっても確認することができる。
【0030】次に、この第2緊張鋼材30が第3緊張鋼
材40との伸びの差分だけ緊張されて、第3緊張鋼材4
0との伸びの差がなくなった時点で、第3緊張鋼材40
を前記引張用ヘッドで挟着して緊張を開始すると共に、
これらの緊張鋼材20,30,40を所定の緊張力に達
するまで緊張した後に、アンカーヘッドHで定着するも
のである。
【0031】なお、第2緊張鋼材30と第3緊張鋼材4
0との伸びの差がなくたった時点は、前記と同様の方法
により確認するものとする。
【0032】そして、これら第1、第2、第3緊張鋼材
20,30,40が夫々緊張定着された後に、これらを
同時に所定の緊張力により更に緊張することにより、こ
れらの緊張鋼材20,30,40の合計緊張力を確認す
ることができる。
【0033】このように各緊張鋼材の伸びの差分だけ順
次緊張させた後に、これら緊張鋼材を、同時に所定の緊
張力で緊張して固着するものである。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る緊張鋼
材ユニットは、所定の径及び長さのアンカー孔内に、固
結材と共に挿入して緊張を図るものであって、周縁部に
複数の掛止溝が設けられた上部及び下部掛止板を両端部
寄りに有すると共に一方の端部に湾曲部を有する複数の
支圧具と、長さの異なる複数本の緊張鋼材とからなり、
前記複数の支圧具を同一方向に向け且つ所定の間隔をも
って同軸上に配列させ、これら支圧具の湾曲部に巻き掛
けUターンさせて緊張鋼材を配設し、これら緊張鋼材は
長さの最も長いものが先端に位置する支圧具に巻き掛け
られ順次長さが短くなるに従って次段の支圧具に巻き掛
けるようにし且つ各掛止溝に嵌めて配設し、これら配設
された緊張鋼材は、支圧具の周面上及び支圧具間の複数
箇所において定着具で結束し全体を柱状に構成したこと
により、全体が柱状であると及び支圧具が単体であるこ
とからして、取り扱い及び運搬が容易であり、使用され
るアンカー孔に対応して、支圧具の間隔と緊張鋼材の長
さとを決定し、工場において全体をキチンと設計して組
み立てることができ、施工の作業性が良好になるという
優れた効果を奏する。
【0035】また、施工現場での使用において、支圧具
に対する緊張鋼材は夫々1本づつであり、緊張鋼材を緊
張する側に突出する本数も少なく、しかも1本づつ緊張
するだけであるので、緊張の順番を間違えることがな
く、全ての緊張鋼材に対して適正な緊張力をもって適正
に緊張することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアースアンカー工法に使用される
緊張鋼材ユニットの斜視図である。
【図2】同緊張鋼材ユニットを構成する支圧具の一例を
示す拡大側面図である。
【図3】同支圧具に係る第1支圧具の底面図である。
【図4】同支圧具に係る第2支圧具の底面図である。
【図5】同支圧具に係る第3支圧具の底面図である。
【図6】同支圧具に係る他の実施例を示す底面図であ
る。
【図7】本発明に係る緊張鋼材ユニットを使用したアー
スアンカー工法を示す略示的説明図である。
【符号の説明】
A アンカー孔 B 固結材 D アンカー体 H アンカーヘッド 1 緊張鋼材ユニット 1a 折り曲げ部 2 支圧具 3 ポリエチレンシース 4 支持体 5 上部掛止板 5′下部掛止板 6 湾曲体 7 定着具 8 掛止溝 20 第1緊張鋼材 20a 第1支圧具 30 第2緊張鋼材 30a 第2支圧具 40 第3緊張鋼材 40a 第3支圧具

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の径及び長さのアンカー孔内に、固
    結材と共に挿入して緊張を図るものであって、周縁部に
    複数の掛止溝が設けられた上部及び下部掛止板を両端部
    寄りに有すると共に一方の端部に湾曲部を有する複数の
    支圧具と、長さの異なる複数本の緊張鋼材とからなり、
    前記複数の支圧具を同一方向に向け且つ所定の間隔をも
    って同軸上に配列させ、これら支圧具の湾曲部に巻き掛
    けUターンさせて緊張鋼材を配設し、これら緊張鋼材は
    長さの最も長いものが先端に位置する支圧具に巻き掛け
    られ順次長さが短くなるに従って次段の支圧具に巻き掛
    けるようにし且つ各掛止溝に嵌めて配設し、これら配設
    された緊張鋼材は、支圧具の周面上及び支圧具間の複数
    箇所において定着具で結束し全体を柱状に構成したこと
    を特徴とするアースアンカー工法に使用される緊張鋼材
    ユニット。
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