JP2656450C - - Google Patents

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JP2656450C
JP2656450C JP2656450C JP 2656450 C JP2656450 C JP 2656450C JP 2656450 C JP2656450 C JP 2656450C
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東芝シリコーン株式会社
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、工業用部品の精密洗浄後の清浄な表面を維持
したまま、すなわち、しみを残すことなく乾燥する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 金属部品、メッキ部品、塗装部品、電子部品、半導体部品等の
各種工業部品の製造工程においては、フロン113 に代表されるフロン系溶剤や、
トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素等
の有機溶剤が油汚れ等を除去するための洗浄剤として幅広く使用されている。 【0003】 また、上記したような有機溶剤系洗浄剤は、各種部品の水洗後の
水切り洗浄剤としても用いられている。これは、被洗浄物に付着した水分を直接
乾燥しようとした場合に生じる、高温(373K 以上)にしなければならない(エ
ネ ルギーロス大)、乾燥に時間がかかることによって生産効率が低下する、高温に
することによって被洗浄物が変形するおそれがある(許容値以上の熱膨脹)、冷
却や熱遮蔽のスペースを必要とし洗浄装置の設置面積が増大する等の問題を回避
することができるためである。 【0004】 なお、ここで言う水切り洗浄剤とは、水洗した後の被洗浄物を浸
漬ないしはシャワーリンスすることによって、被洗浄物に付着した水分と置換(
水置換)した後、室温を超えるないしは333K以下の温風で揮散させることで
、被洗浄物を乾燥させ得る洗浄剤のことである。 【0005】 しかし、最近、フロンの放出がオゾン層の破壊に繋がり、人体や
生物系に深刻な影響を与えることが明らかとなってきたことから、オゾン破壊係
数の高いフロン12やフロン113 等は世界的な規模で段階的に使用を削減し、将来
的には全廃の方向に進んでいる。また、トリクロロエチレンやテトラクロロエチ
レン等の塩素系有機溶剤も、土壌や地下水等の汚染を引起こす等の環境問題にか
らんで、使用規制が強化される方向に進んでいる。 【0006】 このような状況下にあって、現状のフロン系溶剤よりオゾン破壊
係数の低いフロン系物質が開発されつつあり、既に工業的生産が一部で進められ
ているが、これらとてもオゾン層の破壊が皆無ではないことから、好ましい代替
洗浄剤とは目されていない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 そこで、上述したような有機溶剤系による洗
浄剤の代替品として、環境破壊や環境汚染を引起こすことがない、界面活性剤を
用いた水系の洗浄剤が見直されはじめている。しかし、単に界面活性剤だけによ
る洗浄剤では浸透力が弱く、例えば部品細部へ侵入した汚れや中粘度から高粘度
のこびりついた油汚れに対しては充分な洗浄力を発揮することができないという
問題がある。 【0008】 また、シリコーン系化合物を編織物の汚れ除去に使用することが
特公昭63- 50463 号公報に記載されている。これによれば、Si数が 4〜 6の環状
シロキサンを洗浄用溶剤中に有効な量含有する液状洗浄組成物を用いて、編織物
のクリーニングを行う方法が開示されている。しかし、上述したシリコーン系化 合物を含む液状洗浄組成物は、編織物を洗浄対象としているため、一般的な工業
製品の洗浄はまるで考慮されていないと共に、環状シロキサン単独あるいは環状
シロキサンと有機溶剤との混合系であるため、水を使用する系に対する洗浄も考
慮されていない。しかも、このような系は当然ながら、水に対する分散性が極め
て悪く、界面活性物質を併用しても均質に混合しにくく、直ちに相分離を起こし
てしまうため、到底水系洗浄剤として使用に耐え得るものではない。 【0009】 また、特開昭53-56203号公報には、エアゾール型水性クリーニン
グ組成物として、水溶性洗浄組成物に分子当り 2〜 3個のケイ素原子を有する鎖
状ポリジメチルシロキサンを配合することが記載されているが、その配合量はあ
くまでも0.02〜 0.1重量% 程度と限定されているため、水系の洗浄組成物の洗浄
力を充分に高めるような効果は示していない。 【0010】 このようなことから、環境問題を引起こすことがなく、かつ十分
な洗浄能力を有すると共に、洗浄剤として十分に機能しうる程度の安定性を有し
た水系洗浄剤が強く望まれている。 【0011】 一方、前述したような有機溶剤の水切り洗浄剤としての代替品と
しては、イソプロピルアルコールのような低級アルコールの使用が検討されてい
る。しかし、上記イソプロピルアルコールは、引火点が284.7Kと室温より低く、
通常の使用条件下では常に火災の危険が伴うという欠点がある。さらに、イソプ
ロピルアルコールは水との相溶性が高く、初期の水切り性能は保持されても、連
続して使用する場合には溶解した水の再付着が起こるため、経時的な水切り性能
の低下は免れない。このような水を含んだイソプロピルアルコールから水を除去
して再使用するための精製には、多大な設備の投資を必要とする。さらに、イソ
プロピルアルコールは人体に対する毒性も高く、この面での使用規制が進行して
いるのが現状である。 【0012】 また、室温を超えるような引火点を持つ炭化水素、高級アルコー
ルを使用する場合は、水の除去は幾分容易ではあるが、これら自身の揮発性が低
く、例えば333K以下といった低温での乾燥が困難であるため、水切り洗浄剤とし
て使用し得るものではない。このような問題は水分との置換、乾燥に限らず、乾
燥が困難な各種液体との置換、乾燥時においても同様に生じる問題である。 【0013】 本発明は、上述したような課題に対処するためになされたもので
フロン系等の有機溶剤系洗浄剤に匹敵する洗浄能力を有し、かつ水系としての安
定性等に優れた環境破壊や環境汚染を引き起こすことがない水系洗浄剤、および
有機溶剤系液切り洗浄剤に匹敵する液置換性と乾燥性とを有すると共に、発火性
のような危険性がほとんどなく、かつ環境破壊を引き起こすことがない液切り洗
浄剤を用いることによって、工業用部品の精密洗浄後の清浄な表面を維持したま
ま、すなわち、しみを残すことなく乾燥する方法を提供することを目的としてい
る。 【0014】 【課題を解決するための手段と作用】 本発明における第1の乾燥方法は、予備
洗浄後、未乾燥状態にある硬質表面を有する工業用部品を、 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
はフェニル基を、lは0〜5の整数を示す)で表される直鎖状ポリジオルガノシ
ロキサンおよび 一般式:(式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
はフェニル基を、mは3〜7の整数を示す)で表される環状ポリジオルガノシロ
キサンから選ばれた少なくとも1種から実質的になる低分子量ポリオルガノシロ
キサンと接触させ、加温して、表面に付着した前記低分子量ポリオルガノシロキ
サンを揮散させ、しみを残すことなく乾燥させることを特徴としている。 【0015】 また、本発明における第2の乾燥方法は、予備洗浄後、未乾燥状
態にある硬質表面を有する工業用部品を、 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
はフェニル基を、lは0〜5の整数を示す)で表される直鎖状ポリジオルガノシ
ロキサンおよび 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
はフェニル基を、mは3〜7の整数を示す)で表される環状ポリジオルガノシロ
キサンから選ばれた少なくとも1種の低分子量ポリオルガノシロキサン100重
量部と前記低分子量ポリオルガノシロキサンに対して100重量部以下添加した
親水性とから実質的になる混合溶液と接触させ、加温して、表面に付着した前記
混合溶液を揮散させ、しみを残すことなく乾燥させることを特徴としている。 【0016】 さらに、本発明における第3の乾燥方法は、予備洗浄後、未乾燥
状態にある硬質表面を有する工業用部品を、 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
はフェニル基を、lは0〜5の整数を示す)で表される直鎖状ポリジオルガノシ
ロキサンおよび 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
はフェニル基を、mは3〜7の整数を示す)で表される環状ポリジオルガノシロ
キサンから選ばれた少なくとも1種から実質的になる加温した低分子量ポリオル ガノシロキサンと接触させ、表面に付着した前記低分子量ポリオルガノシロキサ
ンを揮散させ、しみを残すことなく乾燥させることを特徴としている。 【0017】 さらに、本発明における第4の乾燥方法は、予備洗浄後、未乾燥
状態にある硬質表面を有する工業用部品を、 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
はフェニル基を、lは0〜5の整数を示す)で表される直鎖状ポリジオルガノシ
ロキサンおよび 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
はフェニル基を、mは3〜7の整数を示す)で表される環状ポリジオルガノシロ
キサンから選ばれた少なくとも1種の低分子量ポリオルガノシロキサン100重
量部と前記低分子量ポリオルガノシロキサンに対して100重量部以下添加した
親水性溶剤とから実質的になる加温した混合溶液と接触させ、表面に付着した前
記混合溶液を揮散させ、しみを残すことなく乾燥させることを特徴としている。 【0018】 【0019】 【0020】 【0021】 本発明において、上述した (1)式および (2)式で表される低分子
量ポリオルガノシロキサンは、汚れに対して強力な浸透力を発揮すると共に、こ
れら単独で水を含む各種液体と良好な置換性を示し、さらには低蒸気圧、低蒸発
熱、低表面張力等を有するものであり、本発明における特徴的な成分である。 【0022】 (1)式および (2)式中の R1は、置換または非置換の 1価の有機基
であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基やフ
ェニル基のような 1価の非置換炭化水素基、トリフロロメチル基のような 1価 の置換炭化水素基等が例示され、また上記 (1)式における末端の R1としては、
さらにアミノ基、アミド基、アクリル酸エステル基、メルカプタン基等が例示さ
れるが、系の安定性、揮発性の維持等からメチル基が最も好ましい。 【0042】 次に、液切り洗浄剤について説明する。ここで、液切り洗浄剤と
は、上述した低分子量ポリオルガノシロキサンによる水等の各種液体との置換性
を利用したものであり、低分子量ポリオルガノシロキサンによって置換が可能な
代表的な液体である水を例とすれば、水切り洗浄剤と呼べるものである。液切り
洗浄剤は、各種液体との置換・洗浄に用いることができるものであり、対象とな
る液体としては、低分子量ポリオルガノシロキサンに対して不溶性もしくは難溶
性で、かつ表面張力が低分子量ポリオルガノシロキサンより大きいものであれば
よい。具体的には、水、汚れ成分を含む水、水を分散媒として使用している各種
の液体、例えばアルコールとの混合液や各種物質が溶解しているような液体、水
系洗浄剤等が挙げられる。 【0043】 液切り洗浄剤として使用する際の低分子量ポリオルガノシロキサ
ンとしては、水置換性、浸透性等の点から、環状構造を有するものが好ましく、
さらにオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサ
ンおよびこれらの混合物が好適である。なお、酸やアルカリ等が混入する可能性
がある過酷な条件下では、安定性の点から直鎖状の低分子量ポリオルガノシロキ
サンを用いることが好ましい。 【0044】 上記 (1)式および (2)式で表される低分子量ポリオルガノシロキ
サンは、前述したように、これら単独で水を含む各種液体と良好な置換性を示す
ものであり、333K以下の温風で揮散、乾燥を容易に行うことを可能にするもので
ある。このような液切り洗浄剤としては、上記低分子量ポリオルガノシロキサン
から実質的になるものであっても、その効果を十分に得ることが可能であるが、
上記低分子量ポリオルガノシロキサンに界面活性剤および親水性溶剤から選ばれ
た少なくとも 1種を配合した組成物とすることにより、さらに優れた洗浄性、液
切り性等を付与することができる。 【0045】 上記した界面活性剤は、特に液切り性の向上および洗浄性の向上
に寄与するものである。本発明において好ましく用いられる界面活性剤としては
、 ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸塩、リン酸エステル等のアニ
オン系界面活性剤、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪
酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のノニオン系界面活性剤
、イミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤、アルキルアミン塩、アルキル第4級
アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤等が例示され、その他には単一物質で
存在することは少ないが、天然物から抽出されるテルペン系化合物や高級脂肪酸
エステル等が挙げられる。また、上述したような各種化合物の化学構造の一部を
フッ素原子やケイ素原子で置き換えた合成化合物を用いることも可能である。ま
た特に、低分子量ポリオルガノシロキサンとの組合せによる液切り洗浄剤として
の効果を考えた場合、ノニオン系の界面活性剤の使用が好ましい。界面活性剤の
組成比は、特に限定されるものではないが、低分子量ポリオルガノシロキサン 1
00重量部に対して20重量部以下、さらに 3重量部以下であることが好ましい。 【0046】 また、上述した親水性溶剤としては、低分子量ポリオルガノシロ
キサンに対して相溶性を有するものが用いられ、特に引火点が313K以上のものが
実用上好適である。この親水性溶剤も液置換性や洗浄性の向上に寄与するもので
ある。このような親水性溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル
、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエ
ーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチ
ルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アル
コールとその誘導体等が例示され、低分子量ポリオルガノシロキサンとの相溶性
、人体への安全性等の点からジエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好
ましい。これら化合物は、低分子量ポリオルガノシロキサンとの共存下で揮発性
が向上するために、この配合品のみでの液置換、乾燥も可能である。親水性溶剤
の組成比は、特に限定されるものではないが、低分子量ポリオルガノシロキサン
100重量部に対して 100重量部以下、さらに50重量部以下であることが好ましい
。 【0047】 なお、上述したように界面活性剤や親水性溶剤を配合した液切り
洗浄剤は、各種汚れ成分に対しても洗浄効果を発揮するものである。 【0048】 上述した液切り洗浄剤の使用対象物としては、金属、セラミック
ス、プラスチック等からなる硬質表面を有する工業部品が挙げられ、さらに具体 的には金属部品、表面処理部品、電子部品、半導体部品、電気部品、精密機械部
品、光学部品、ガラス部品、セラミックス部品等である。 【0049】 また、液切り洗浄剤を用いた汎用的な洗浄プロセスの具体例とし
ては、上述したような洗浄対象物を本発明による液切り洗浄剤中に浸漬するか、
あるいは対象物に液切り洗浄剤を吹付けて液置換および必要に応じて脱脂洗浄等
を行った後、温風等による乾燥を行うのが一般的である。また、上記浸漬や吹付
け時に超音波、機械的撹拌等を併用することも可能である。 【0050】 上述した液切り洗浄剤は、強力な液切り性を有することから、従
来から使用されているフロン系等に匹敵する洗浄・液置換効果が得られる。また
、各種基材に対して浸蝕性が極めて低いため、より安定な洗浄を行うことができ
る。さらに、その構成成分中に塩素や臭素のようなハロゲン元素を基本的に含ま
ないため、フロン系等の有機溶剤系液切り洗浄剤のように環境破壊や環境汚染を
及ぼすおそれがほとんどない。このようなことから、液切り洗浄剤は、環境問題
を抱えるフロン系等の有機溶剤系洗浄剤の有効な代替液切り洗浄剤と言える。 【0051】 【実施例】 以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。 【0080】 本発明の乾燥方法に用いる液切り洗浄剤による実施例について説
明する。 【0081】実施例1〜9 低分子量ポリオルガノシロキサンとして、オクタメチルトリシロキサン(E1
)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(E2)およびデカメチルシクロペン
タシロキサン(E3)を用意し、また界面活性剤としてポリオキシエチレンオレ
イルエーテル(F1)(P.O.E=6mol)およびポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテル(F2)(P.O.E=10mol)を、親水性溶剤とし
てジエチレングリコールモノブチルエーテル(G1)を用意した。 【0082】 そして、これら各成分を選択的に用いて、表1に示す組成比に従
ってそれぞれ水切り洗浄剤を調整した。 【0083】比較例1〜5 従来の水切り洗浄剤として、フロン113、塩化メチレン、イソプロピルアル
コールおよびエタノールを用意し、表1にその組成比を示す 5種類の水切り洗浄
剤を調整した。 【0084】 これら実施例1〜9および比較例1〜5の各水切り洗浄剤の諸特
性を下記に示す方法に従ってそれぞれ評価した。その結果を併せて表1に示す。 【0085】 水切り性 各種基材(ステンレス板、セラミックス、ポリカーボネート、Niメッキ鋼板
)を水洗した後、各水切り洗浄剤中に浸漬した。実施例5〜7の水切り洗浄剤に
ついては、さらにそれぞれ使用した低分子量ポリオルガノシロキサンですすぎを
行った。その後、323Kでオーブン乾燥を行った。そして、乾燥後のウォータ
ーマーク(水垢によるしみ)を目視および走査型電子顕微鏡により観察し、以下
の基準に従って評価した。 【0086】××:水切り工程で基材が浸蝕され、評価に至らなかった場合。 【0087】× :目視でウォーターマークが観察された場合。 【0088】○ :目視でウォーターマークが観察されなかった場合。 【0089】◎ :走査型電子顕微鏡により50μm 以上のウォーターマークが観
察されなかった場合。 【0090】 連続水切り性 ステンレス板を基材として、50回の水切り性テストを行った後の外観を上記と
同様に評価した。 【0091】 乾燥性 ステンレス板を各洗浄剤に浸漬後、323Kでオーブン乾燥し、5分毎に指触にて乾
燥しているかどうかを試み、その時間を 5分単位で記録した。 【0092】 【表1】 【0093】 また、比較例1、2、5の塩化メチレン、イソプロピルアルコー
ルを用いた水切り洗浄剤は、金属膜やプラスチックに対する発錆性や浸蝕性を有
していた。これに対して、本発明による水切り洗浄剤はいずれも金属膜やプラス
チックに対して安定で、しかも表面粗度の大きいセラミックスに対しても十分な
水切り性を有し、金属部品、メッキ部品、電子部品、半導体部品、プラスチック
部品、セラミックス部品等に対して十分な信頼性をもって使用し得ることが分る
。なお、イソプロピルアルコールは水が相溶してしまい、これにより基材への水
の再付着が発生した。さらに、界面活性剤や親水性溶剤を配合することによって
、さらに水切り性が向上し、工業用用途に有効であることが分る。 【0094】 次に、本発明の乾燥方法に用いる液切り洗浄剤を使用した洗浄装
置の実施例について、図1を参照して説明する。 【0095】 図1に示す洗浄装置は、大別して洗浄および/または水置換工程
(第1の工程)Aと清浄化工程(第2の工程)Bとから構成されている。 【0096】 第1の工程となる洗浄および/または水置換工程Aには、沈降分
離機能とオーバーフロー分離機能とを併せ持つ第1の洗浄槽1および第2の洗浄
槽2と液切り槽3とが設けられている。上記第1の洗浄槽1および第2の洗浄槽
2間は、ドレン配管2aとオーバーフロー管2bとにより連結されている。これ
ら第1の洗浄槽1および第2の洗浄槽には、必要に応じて超音波、揺動、機械的
撹拌、洗浄剤加温、ブラッシグ等が併用される。 【0097】 上記第1および第2の洗浄槽1、2には、本発明による水切り洗
浄剤のうち、低分子量ポリオルガノシロキサンに界面活性剤等を添加した洗浄剤
D1がそれぞれ収容されている。この界面活性剤等を含む洗浄剤D1は、その比
重を水より小さく、かつ油脂系の汚れより大きく設定することができる。従って
、被洗浄物Xにより持ち込まれた水Yは、第1および第2の洗浄槽1、2に収容
された界面活性剤を含む洗浄剤D1の下方にそれぞれ沈降分離される。また、被
洗浄物Xに油脂系の汚れZが付着している場合には、油脂系の汚れZは第1およ
び第2の洗浄槽1、2に収容された界面活性剤を含む洗浄剤D1の上方にそれぞ
れ浮上分離される。 【0098】 第2の洗浄槽2で沈降分離された水Yは、ドレン配管2aによっ て間欠的に第1の洗浄槽1側に排出される。また、第1の洗浄槽1で沈降分離さ
れた水Yは、ドレン配管4により間欠的に後述する洗浄剤再生機構Cへと排出さ
れる。また、液切り槽3に設けられたドレン配管3aも洗浄剤再生機構Cと接続
されている。また、第1の洗浄槽1および第2の洗浄槽2で浮上分離された油脂
系の汚れZは、順次オーバーフローし、第1の洗浄槽1に設けられたオーバーフ
ロー管5から系外に排出される。第1の洗浄槽1および第2の洗浄槽2内に収容
された界面活性剤を含む洗浄剤D1は、常時フィルタ6を介して循環されており
、このフィルタ6によって洗浄剤D1中の固体物、水粒子、未溶解物質等が除去
される。 【0099】 第2の工程となる清浄化工程Bには、第3の洗浄槽7とシャワー
リンス槽8とが設けられている。シャワーリンス槽8の下方には、バッファタン
ク9が設けられており、このバッファタンク9および第3の洗浄槽7間は、ドレ
ン配管9aとオーバーフロー管9bとにより連結されている。この第3の洗浄槽
7にも必要に応じて超音波、揺動、機械的撹拌、洗浄剤加温、ブラッシング等が
併用される。上記第3の洗浄槽7には、上記第1の工程Aで使用した低分子量ポ
リオルガノシロキサンと同一のシリコーン組成物のみの洗浄剤D2が収容されて
いる。この洗浄剤D2は、その比重を水より小さく、かつ油脂系の汚れより大き
く設定することができる。従って、第1の工程Aにおける洗浄槽と同様に、水Y
は洗浄剤D2の下方に沈降分離され、また油脂系の汚れZは洗浄剤D2の上方に
浮上分離される。 【0100】 第3の洗浄槽7で沈降分離された水Yは、ドレン配管10によっ
て間欠的に洗浄剤再生機構Cへと排出される。また、第3の洗浄槽7で浮上分離
された油脂系の汚れZは、オーバーフロー管11から系外に排出される。また、
第3の洗浄槽7内に収容された洗浄剤D2は、常時フィルタ12を介して循環さ
れており、このフィルタ12によって洗浄剤D2中の固体物、水粒子、未溶解物
質等が除去される。 【0101】 そして、被洗浄物Xは第1の工程Aから第2の工程Bへと順次送
られて、洗浄および水切りが施された後、図示を省略した温風乾燥器等により乾
燥処理が施されて洗浄工程が終了する。 【0102】 上記洗浄装置における洗浄剤の回収・再使用については、以下の
通りである。上述したように、第1、第2、第3の洗浄槽1、2、7および液切
り槽3に設けられた各ドレン配管4、3a、10は、洗浄剤再生機構Cに接続さ
れている。各洗浄槽に収容された洗浄剤D1またはD2は、フィルタ6、12に
よって常時浄化されているが、洗浄剤の汚れがひどくなった際には、各ドレン配
管4、10により洗浄剤再生機構Cに送水ポンプ13によって送られて分溜精製
される。また、液切り槽3に溜まった洗浄剤D1も間欠的に洗浄剤再生機構Cに
送られる。洗浄剤再生機構Cでは、まず濾過器14により液体と固体との分離が
行われ、固体分は廃棄され、液体のみ蒸留器15へ送られる。この蒸留器15で
は洗浄剤中の各成分、水、油脂系汚れ等の沸点の差を利用して分離が行われる。
なお、蒸留器15にて残留した水分等は、デカンタ16によってさらに分離され
る。 【0103】 ここで、上記洗浄装置において使用している洗浄剤において、洗
浄剤D1は低分子量ポリオルガノシロキサンのみの洗浄剤D2に界面活性剤等を
添加したものであるため、洗浄剤D1および洗浄剤D2それぞれから低分子量ポ
リオルガノシロキサン、すなわち洗浄剤D2を分離抽出することができ、洗浄剤
D2が再生される。また、この再生された洗浄剤D2以外の成分、すなわち界面
活性剤や水分等は廃棄される。 【0104】 この再生された洗浄剤D2は、配管17によりシャワーリンス槽
8、第3の洗浄槽7、もしくは第2の洗浄槽2に洗浄剤D1を供給する配合器1
8へと送られる。シャワーリンス槽8では、上記再生洗浄剤D2もしくは洗浄剤
供給配管19から送られてきた新規な洗浄剤D2によって、不純物を含まない洗
浄剤D2のみでシャワー洗浄が行われる。 【0105】 また、配合器18では、再生もしくは新規の洗浄剤D2と、界面
活性剤供給配管20から送られてきた新規な界面活性剤とが混合され、新たに洗
浄剤D1が調合される。この洗浄剤D1は、必要に応じて第2の洗浄槽2に供給
される。 【0106】 上述したような構成を有する洗浄装置を用いることにより、本発
明の乾燥方法に用いる液切り洗浄剤を効率よく、かつ有効に使用することができ ると共に、本発明の乾燥方法に用いる液切り洗浄剤の特性を十分に発揮すること
が可能となる。 【0107】 以上説明したように、本発明によれば、従来から使用されている
フロン系に匹敵する洗浄効果と、環境破壊や環境汚染を引き起こすことがない良
好な安定性が得られることから、環境問題を抱えるフロン系等の有機溶剤系洗浄
剤の代替洗浄剤として有用である。また、有機溶剤系液切り洗浄剤に匹敵する液
置換性と乾燥性とを有すると共に、発火性のような危険性がほとんどなく、かつ
環境破壊を引き起こすことがない液切り洗浄剤を用いることによって、工業用部
品の精密洗浄後の清浄な表面を維持したまま、すなわち、しみを残すことなく乾
燥することが可能となる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の乾燥方法に用いる液切り洗浄剤を使用した洗浄装置の一
構成例を示す図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 予備洗浄後、未乾燥状態にある硬質表面を有する工業用部品を
    、 一般式:(式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
    はフェニル基を、lは0〜5の整数を示す) で表される直鎖状ポリジオルガノシロキサン および 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
    はフェニル基を、mは3〜7の整数を示す) で表される環状ポリジオルガノシロキサンから選ばれた少なくとも1種から実
    質的になる低分子量ポリオルガノシロキサンと接触させ、 加温して、表面に付着した前記低分子量ポリオルガノシロキサンを揮散させ、
    しみを残すことなく乾燥させることを特徴とする乾燥方法。 【請求項2】 予備洗浄後、未乾燥状態にある硬質表面を有する工業用部品を
    、 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
    はフェニル基を、lは0〜5の整数を示す) で表される直鎖状ポリジオルガノシロキサン および 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
    はフェニル基を、mは3〜7の整数を示す) で表される環状ポリジオルガノシロキサンから選ばれた少なくとも1種の低分
    子量ポリオルガノシロキサン100重量部と前記低分子量ポリオルガノシロキサ
    ンに対して100重量部以下添加した親水性溶剤とから実質的になる混合溶液と
    接触させ、 加温して、表面に付着した前記混合溶液を揮散させ、しみを残すことなく乾燥
    させることを特徴とする乾燥方法。 【請求項3】 予備洗浄後、未乾燥状態にある硬質表面を有する工業用部品を
    、 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
    はフェニル基を、lは0〜5の整数を示す) で表される直鎖状ポリジオルガノシロキサン および 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
    はフェニル基を、mは3〜7の整数を示す) で表される環状ポリジオルガノシロキサンから選ばれた少なくとも1種から実
    質的になる加温した低分子量ポリオルガノシロキサンと接触させ、 表面に付着した前記低分子量ポリオルガノシロキサンを揮散させ、しみを残す
    ことなく乾燥させることを特徴とする乾燥方法。 【請求項4】 予備洗浄後、未乾燥状態にある硬質表面を有する工業用部品を
    、 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
    はフェニル基を、lは0〜5の整数を示す) で表される直鎖状ポリジオルガノシロキサン および 一般式:(式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
    はフェニル基を、mは3〜7の整数を示す) で表される環状ポリジオルガノシロキサンから選ばれた少なくとも1種の低分
    子量ポリオルガノシロキサン100重量部と前記低分子量ポリオルガノシロキサ
    ンに対して100重量部以下添加した親水性溶剤とから実質的になる加温した混
    合溶液と接触させ、 表面に付着した前記混合溶液を揮散させ、しみを残すことなく乾燥させること
    を特徴とする乾燥方法。 【請求項5】 一般式: (式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
    はフェニル基を、lは0〜5の整数を示す) で表される直鎖状ポリジオルガノシロキサン および 一般式:(式中、R1は同一または相異なる置換または非置換のアルキル基および/また
    はフェニル基を、mは3〜7の整数を示す) で表される環状ポリジオルガノシロキサンから選ばれた少なくとも1種から実
    質的になる低分子量ポリオルガノシロキサンは、工業用部品を洗浄した汚れ成分
    を含む前記低分子量ポリオルガノシロキサンを蒸留し、発生した蒸気を凝縮させ
    てなるものであることを特徴とする請求項1ないし4記載の乾燥方法。 【請求項6】 工業用部品への前記低分子量ポリオルガノシロキサンの接触は
    、吹き付けにより行われる請求項1ないし5のいずれか1記載の乾燥方法。 【請求項7】 工業用部品は、金属部品、ガラス部品、セラミックス部品、表
    面処理部品、電子部品、半導体部品、電気部品、精密機械部品および光学部品か
    ら選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか
    1記載の乾燥方法。 【請求項8】 予備洗浄は、水を用いて行われることを特徴とする請求項1な
    いし4いずれか1記載の乾燥方法。

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