JP2655033B2 - 油中水型エマルション粒子製造方法及びそれにより得られる油中水型エマルション並びに水溶性成分濃縮分離方法 - Google Patents

油中水型エマルション粒子製造方法及びそれにより得られる油中水型エマルション並びに水溶性成分濃縮分離方法

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JP2655033B2 JP27223192A JP27223192A JP2655033B2 JP 2655033 B2 JP2655033 B2 JP 2655033B2 JP 27223192 A JP27223192 A JP 27223192A JP 27223192 A JP27223192 A JP 27223192A JP 2655033 B2 JP2655033 B2 JP 2655033B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浸透圧を利用する油中
水型エマルション粒子製造方法及びそれにより得られる
油中水型エマルション並びに水溶性成分濃縮分離方法に
関する。
【0002】
【従来技術とその課題】従来の油中水型エマルション
(以下、「W/Oエマルション」という。)の製造方法
としては、大別すると機械的方法と化学的方法とが挙げ
られる。機械的方法は、連続相となるべき油に、分散相
となるべき水と界面活性剤等の乳化剤とを添加し、これ
を攪拌機、ホモジナイザー、コロイドミル等を用いてか
き混ぜるか或いは擦り混ぜることによって、強制的に水
相を破砕分散し、エマルションを調製する方法である。
化学的方法は、多量の乳化剤を添加し、油相−水相−乳
化剤の相平衡関係を利用してエマルションを調製する方
法である。
【0003】しかし、これら従来の方法により調製され
るエマルションの分散相の水滴粒子は、その粒径が不揃
いであり、用途に応じて所望の粒径に制御することが困
難である。しかも、従来の方法により得られるW/Oエ
マルションは、不均一な粒径を有する多分散状W/Oエ
マルションであるため、極めて不安定であり、エマルシ
ョン粒子が破壊・崩壊し易い。このため、この多分散状
のW/Oエマルションを濃厚化する場合には、エマルシ
ョン粒子の破壊・崩壊により、O/Wエマルションに転
相してしまう恐れがある。
【0004】従って、従来技術により得られるW/Oエ
マルションを原料として、粒径が数十μmと比較的大き
な単分散状W/Oエマルションを調製することは不可能
である。このため、全水分の濃度が74〜95容積%と
いう高い範囲にある濃厚W/Oエマルションを調製する
ことも困難であった。また、乳化型液膜抽出法等の乳化
系の濃縮分離技術においても、従来の方法では上記のよ
うな多分散状の液滴を用いるため、安定性、粒子設計等
の点において実用性に欠けるものであった。
【0005】これら従来技術に対し、粒径が均一な単分
散状エマルションを得る方法として、ミクロ多孔膜を用
いる乳化方法(膜乳化法)が提案されている(特開平2
−95433号公報等)。この膜乳化法によれば、細孔
径が異なるミクロ多孔膜を利用することにより、0.3
〜40μmの範囲において粒子の大きさが均一にコント
ロールされた単分散状W/Oエマルションを製造するこ
とができる。
【0006】しかしながら、膜乳化法では、製造条件及
び使用するミクロ多孔膜等の制限から40μmを超える
大きさのエマルション粒子を調製することは不可能であ
り、粘性の極めて高い、高濃度のW/Oエマルションを
製造することも困難である。また、かかる方法を利用し
て、水溶性物質の濃縮分離を有効に行なうことも困難で
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に平均粒
径40μm以上という比較的大きな粒径をもつ単分散状
W/Oエマルション又は濃厚W/Oエマルションを調製
するために、W/Oエマルションの液滴粒子の粒径制御
を容易に且つ確実に行なえるエマルション粒子製造方法
を提供することを主な目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来技
術の問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、W/Oエマ
ルション分散水相のもつ浸透圧を利用してW/Oエマル
ションを調製する場合には、W/Oエマルションの液滴
粒子の水分量を自由に調整できることにより、その粒径
を所定の範囲内で任意に制御できることを見出した。さ
らに、かかる方法によって水溶性成分の濃縮分離が比較
的容易に行なえることをも見出し、本発明を完成するに
至った。
【0009】即ち、本発明は、下記1〜4項に係る発明
を提供するものである。 1.少なくとも1種類の水溶性物質を含有する水溶液を
分散相とする油中水型エマルションに、純水又は純水を
分散相とする油中水型エマルションを添加混合し、前者
の油中水型エマルションの分散相液滴粒子の水分量を
1.3〜1000倍の範囲で増加させることにより、当
該分散相液滴粒子の大きさを1.1〜10倍の範囲で膨
張させることを特徴とする油中水型エマルション粒子製
造方法。 2.上記項1記載の油中水型エマルション粒子製造方法
により得られる、平均粒径が40〜100μmの範囲内
にあることを特徴とする単分散状油中水型エマルショ
ン。 3.上記項1記載の油中水型エマルション粒子製造方法
により得られる、全水分の濃度が74〜95容積%の範
囲内にあり且つ液滴粒子が多面体構造であることを特徴
とする濃厚油中水型エマルション。 4.少なくとも1種類の水溶性物質を分散水相に含有す
る油中水型エマルションに、他の少なくとも1種類の水
溶性物質を分散水相に含有し且つ該油中水型エマルショ
ンよりも高い浸透圧をもつ油中水型エマルションを添加
混合し、前者の油中水型エマルションの液滴粒子の粒径
を1/10〜1/1.1倍の範囲で収縮させると共に後
者の油中水型エマルションの液滴粒子の粒径を1.1〜
10倍の範囲で膨張させることにより、前者の油中水型
エマルションの液滴粒子又は油中水型エマルション中の
水溶性物質を分離回収することを特徴とする水溶性成分
濃縮分離方法。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】本発明のエマルション粒子製造方法では、
まず少なくとも1種類の水溶性物質を含有した水溶液を
分散相とするW/Oエマルションを調製する。W/Oエ
マルションの調製方法は、常法に従って調製すれば良い
が、粒径が均一な単分散状エマルションが得られるとい
う点で膜乳化法により調製するのが好ましい。
【0012】水溶性物質は、水に溶解するものであれば
その種類は制限されることはなく、エマルションの用途
に応じて適宜選択すれば良い。例えば、エマルションを
食品に利用する場合には、食塩、砂糖、クエン酸等の各
種水溶性物質を用いることができ、また医薬品に利用す
る場合には、解熱剤、鎮痛剤等の内服薬、血圧降下剤、
抗癌剤等の静注剤、その他生理食塩、ブドウ糖等の水溶
性の各種薬剤を用いることができる。
【0013】連続相となる油相としては、食用油等の動
植物油、ヘキサン等の有機溶剤、その他灯油等の公知の
ものを用いることができる。
【0014】また、界面活性剤としては、連続油相に溶
解するものであればその種類は特に制限されず、例えば
グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステ
ル類、モノグリセリド脂肪酸誘導体、レシチン、金属石
鹸、天然サポニン等の各種界面活性剤を用いることがで
きる。なお、これら界面活性剤は2種以上を併用しても
良い。界面活性剤の添加量は、用いる水溶性物質の種
類、所望の粒径等によって異なり一様ではないが、エマ
ルションの安定性の面から、通常は油相に対して0.0
5〜10重量%の範囲内で使用するのが好ましい。
【0015】次に、上記の水溶性物質を含有したW/O
エマルションに対して、純水又は純水を分散相とするW
/Oエマルションを添加混合する。純水を分散相とする
W/Oエマルションにおいて用いられる油相及び界面活
性剤は、前記と同様のものをそれぞれ使用することがで
きる。純水の添加量は、水溶性物質を含有したW/Oエ
マルションに対して最大19倍量まで添加することがで
きる。混合は、水溶性物質を含有したW/Oエマルショ
ンが壊れないように静かに攪拌する。
【0016】分散水相に溶解した水溶性物質は、浸透圧
を上昇させる役割を担っており、浸透圧は水溶性物質の
濃度とほぼ比例する関係にある。一方、純水又は純水を
分散相とするW/Oエマルション(以下、これらをまと
めて「純水」という。)における純水は浸透圧が零であ
る。そして、両者が混合された状態では、水溶性物質を
含有する水滴粒子と純水粒子とを隔てている連続油相
を、水溶性物質の透過を阻止して純水のみを透過させる
一種の半透膜とみなすことができる。従って、浸透圧が
零である純水は、当該連続油相を透過し、一定の浸透圧
をもつ上記水滴粒子中に移動拡散することとなる。この
ようにして、純水粒子が次第に縮小・消滅する一方で、
水溶性物質を含有する水滴粒子(W/Oエマルション粒
子)は膨張する。
【0017】ここで、上記W/Oエマルション粒子の膨
張量は、下記の各式に従って理論値を求めることにより
予測することができる。
【0018】純水を添加する前においては、 V=4/3Nπ(D/2) (1) (但し、VはW/Oエマルションの水滴粒子全体積、N
は水滴粒子数、Dはエマルションの水滴粒子の平均粒径
を示し、添字iは純水等の添加前の状態であることを示
す。)の関係が成立する。
【0019】そして、純水を添加混合した後には、 V=4/3Nπ(D/2) (2) (但し、V、N及びDは上式と同様、添字fは純水の添
加後の状態を示す。)の関係が成立する。
【0020】この場合、純水は連続油相を透過して水滴
粒子に移動拡散し、最終的には消滅するが、この間に水
滴粒子の新たな生成又は水滴粒子同士の合体が起こらな
い限り、等式N;Nが成立する。よって、(1)式
と(2)式より、下記(3)式が成立する。
【0021】 D/D=(V/V1/3 (3) このように添加混合に際しては、上記(3)式によっ
て、得られるエマルションの粒径を予測し、任意の粒径
にコントロールすることが可能である。従って、水分量
を1.3〜1000倍の範囲内で増加させることによ
り、エマルションの粒径を1.1〜10倍の範囲で自由
に膨張させることが可能となる。殊に、膜乳化法では困
難な粒径40〜100μmの範囲にまで水滴粒子を膨張
させることも容易に行なうことができ、この場合には平
均粒径の50%以下の大きさの水滴粒子が実質上全く存
在しない単分散状エマルションとすることが可能であ
る。
【0022】さらに、本発明のエマルション粒子製造方
法によって、水分濃度が74〜95容積%の範囲にある
濃厚W/Oエマルションも比較的容易に製造することが
できる。一般に単分散球状粒子の充填モデルによれば、
粒子の最密充填率は約74容積%であるので、水分濃度
を上昇させることにより74〜95容積%という高い範
囲に調製された単分散状のW/Oエマルションの水滴粒
子は、もはや球状を保つことが困難となり、変形を起こ
して多面体構造をとることになる。この場合、本発明に
よる濃厚W/Oエマルションは、従来技術のものと異な
り、その粒径が均一であり、粒子の変形が規則的である
ので、エマルション粒子の破壊・崩壊を起こすことな
く、多面体構造として非常に安定な状態を保持すること
ができる。なお、本発明における多面体構造をもつ粒子
の粒径とは、濃厚エマルションを油相で希釈し、球形に
戻したときの粒子の大きさをいう。
【0023】次にW/Oエマルション粒子の膨張・収縮
を利用した濃縮分離方法について説明する。まず、濃縮
分離の対象となる水溶性物質を分散水相に含有するW/
Oエマルション(以下、「b−エマルション」とい
う。)に、他の水溶性物質を分散水相に含有し且つ上記
W/Oエマルションの浸透圧よりも高い浸透圧を有する
W/Oエマルション(以下、「a−エマルション」とい
う。)を添加する。b−エマルションにおける水溶性物
質は水に溶解する物質であればその種類は制限されず、
例えば生理活性物質、白金、パラジウム等の貴金属、そ
の他薬剤、稀土類元素等実質的にあらゆる水溶性物質の
濃縮分離が可能である。一方、a−エマルションにおけ
る水溶性物質においても水に溶解する物質であれば良い
が、この水溶性物質は浸透圧を上昇させるためだけに用
いられるものであるため、食塩、芒硝、カルシウム塩、
或いは硫酸、塩酸等の酸類などの安価な物質を使用する
のが経済上好ましい。なお、a−エマルション及びb−
エマルションにおける水溶性物質は2種類以上を用いて
も良い。
【0024】b−エマルションにa−エマルションを添
加混合することにより、浸透圧の低いb−エマルション
の水滴粒子の水は、連続油相を透過して浸透圧の高いa
−エマルションの水滴粒子に向かって移動拡散する。そ
の結果、a−エマルションが膨張すると同時に、b−エ
マルションが収縮して濃縮されることとなる。そして、
両者の浸透圧が等しくなった状態(平衡状態)で水の移
動が停止する。例えば、図1(ア)に示すように、粒径
が等しく(Dai=Dbi)、互いに浸透圧が異なる
(Пai>Пbi)単分散油中水型のa−エマルション
(1)とb−エマルション(2)を、膜乳化法で予め調
製し、両者を混合した場合、両エマルションの浸透圧が
等しくなるようにb−エマルション粒子(3)の水はa
−エマルション粒子(4)に向かって拡散移動する。従
って、平衡状態では、図1(イ)に示すように、浸透圧
が等しく(Пaf=Пbf)、粒径が変化した(Daf
>Dbf)単分散油中水型のa−エマルション(5)と
b−エマルション(6)とが共存することとなる。ただ
し、初期の浸透圧の設定によっては、Dai<Dbi
エマルションをDaf>Dbfに、或いはDai>D
biエマルションをDaf>Dbfのエマルションに変
化させることも可能である。また、膜乳化法により、a
−エマルションとb−エマルションとを予め単分散状に
調製しておけば、平衡状態において膨張するa−エマル
ション粒子と収縮するb−エマルション粒子の粒度分布
が重ならないように設定することもできる。
【0025】なお、a−エマルションとb−エマルショ
ンの粒径変化は、粒子間の物質移動収支から得られる下
記の近似式を使って理論値を算出することにより予測す
ることができる。
【0026】 Daf=Dai(ρai/ρaf・Пai/Π1/3 (4) Dbf=Dbi(ρbi/ρbf・Пbi/П1/3 (5) (但し、ρは水相の密度、Пは水相の浸透圧を示し、添
字iはエマルション混合前の状態、添字fは混合後の平
衡状態であることをそれぞれ示す。添字aとbはそれぞ
れa−エマルションとb−エマルションを示す。また、
Пは平衡状態における水相の浸透圧であり、П=П
af=Пbfの関係にある。)このように濃縮分離に際
しては、上記(4)式及び(5)式により、初期条件を
適切に設定されたエマルションを用いることにより、a
−エマルションとb−エマルションの粒径変化を予測す
ることが可能である。従って、a−エマルションの水滴
粒子を1.1〜10倍の範囲で膨張させると同時に、b
−エマルションの水滴粒子を1/10〜1/1.1倍の
範囲で収縮させることにより、b−エマルションの分散
水相に溶解している物質を1.3〜1000倍に濃縮す
ることができる。しかも、溶解度の低い物質であれば、
当該物質を析出させることも可能となり、この場合には
より一層容易に分離回収を行なうことができる。
【0027】濃縮した後、膜濾過、遠心分離、沈降分離
等の公知の分離方法により、b−エマルションから対象
とする物質を回収することができる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、下記のような顕著な効
果が達成される。 (イ)W/Oエマルション粒子の粒径を均一とし、且つ
所望の大きさに制御することができる。 (ロ)本発明により得られる、均一粒径の粒子からなる
W/Oエマルション又は濃厚エマルションを各種材料に
用いることにより、従来のW/Oエマルションを用いる
場合に比して、その物性を改善することができる。 (ハ)特定の物質を濃縮しようとする場合、加熱の必要
がなく、また乳化系であるため油水界面積が極めて大き
いので、短時間で且つ確実に濃縮を完了することができ
る。 (ニ)比較的簡易な装置を用いて簡便な操作でW/Oエ
マルションを調製でき、しかもエネルギーコストも低く
済むため、経済性に優れている。 (ホ)以上のような効果をもたらす本発明は、W/Oエ
マルションを利用する各種の技術分野、例えば乳化系食
品の製造、乳化系医薬品の製造、化粧品又は顔料の製
造、機能性無機微粒子又はセラミックス原料の製造、液
液抽出プロセスなど、さまざまな分野において有用であ
る。
【0029】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴とするところをより一層明確にする。
【0030】実施例1 膜乳化法を用いて平均粒径(D)が1.24μmの単分
散状W/Oエマルションを調製した。分散水相は20重
量%の食塩水溶液であり、W/Oエマルションの全水分
濃度(C)は0.71容積%とした。連続油相には灯
油、界面活性剤にはテトラグリセリン縮合リシノレート
をそれぞれ用いた。この界面活性剤を灯油に対し、2重
量%の濃度となるように添加した。
【0031】次に得られたエマルションを50mlごと
に5つにわけて、それぞれに4ml、13ml、31m
l、61ml及び108mlの純水を加えた後に攪拌し
ながら12時間放置して、エマルション粒子を膨張させ
た。図2に各エマルションの光学顕微鏡写真を示す。図
2中、(7)は予め膜乳化法により調製されたエマルシ
ョン、(8)(9)(10)は純水をそれぞれ4ml、
13ml、61ml加えて得られエマルション粒子を示
す。さらに、レーザー回折式粒度分布測定装置(「SA
LD−2000」(株)島津製作所製)を用いて粒度分
布を計測し、積算粒径分布を求めた。その結果を図3に
示す。図3中、○印は予め調製したD1.24μm、C
0.71容積%のエマルション(7)であるが、この
エマルションに純水を4ml、13ml、61ml添加
し、Cが8.20、21.8及び56.0容積%にな
ったときのエマルションのDは、それぞれ2.30μm
(●印(8))、3.94μm(△印(9))及び7.
47μm(▲印(10))であった。上記写真及び粒径
分布から、最初の単分散性を保持したまま、粒径の大き
い方へシフトしており、平均粒径の50%以下の大きさ
の粒子が存在しない単分散状W/Oエマルションが得ら
れることがわかる。
【0032】次に、得られた5つのエマルションのD
/Dと(V/V1/3との関係について算定し
た。その結果を図4に示す。図4中、直線(11)は第
3式を表わしており、測定結果〇印(12)と良く一致
した。このように第3式を利用すれば自由にエマルショ
ンの粒子製造が行なえることがわかる。7.47μmの
エマルションの場合、粒径にして6.02倍、体積にし
て218倍膨張しており、予め調製したエマルションの
を0.1容積%以下に設定しておけば、これを粒径
で10倍、体積で1000倍に膨張させることも可能で
ある。
【0033】以上のことより、純水をW/Oエマルショ
ンに添加混合してエマルション粒子を膨張させることに
よって、所望の粒径に制御できる本発明方法の有効性が
確かめられた。
【0034】実施例2 実施例1と同じ条件で調製したD1.24μm、C
0.71容積%の単分散状W/Oエマルションを膨張
させるために、純水を分散相とする多分散状のW/Oエ
マルションを添加混合した。連続油相には灯油、界面活
性剤はテトラグリセリン縮合リシノレートを使用した。
純水の多分散W/Oエマルションの調製には、ホモジナ
イザー(「IKA T25−S1」JANKEL&KU
NKEL社製)を用いた。
【0035】次に、実施例1と同じCになるように所
定量の純水のエマルションを加えると、予め調製した2
0重量%の食塩水溶液を分散相とする単分散状W/Oエ
マルションは膨張し、その粒径は実施例1と同じ結果と
なった。また、純水が消失するまでの時間は実施例1の
場合よりも短く、3〜5時間程度であった。これは、純
水をエマルションとして加えるため、実施例1の場合の
ように単に純水を導入するよりも油水界面の面積が著し
く大きくなり、連続油相を透過する水の移動量が増加し
たためと考えられる。一方、この方法では水をW/Oエ
マルションとして供給するため、油相も同時に添加され
てしまうので高い水分濃度のエマルションは得られにく
くなる。
【0036】実施例3 膜乳化法を用い、D値が7.0μm、水相の食塩濃度が
20重量%、C値が30容積%の単分散状W/Oエマ
ルションを調製した。連続油相は市販の大豆サラダ油、
界面活性剤は5重量%濃度のテトラグリセリン縮合リシ
ノレートである。上記エマルションに純水を加えてC
を95容積%とした。これにより得られたD=25μm
の濃厚W/Oエマルションの光学顕微鏡写真を図5(ス
ケールは20μmを表す)に示す。Cが最密充填構造
をとる74容積%を超えているため、エマルションの水
滴粒子は変形して多面体構造をとっていることがわか
る。この場合、粒子が変形しているにも拘らず、エマル
ションが非常に安定な状態を保つことができるのは、粒
径が均一であるためであると考えられる。また、油相を
灯油、界面活性剤をソルビタン系或いはポリグリセリン
系に代えた場合も同様のエマルションが得られた。
【0037】次に、Cを2容積%に薄めた単分散状エ
マルションに対して純水を加え、Cを95容積%にし
た。エマルション粒子のD値は7.0μmからほぼ70
μmまでに膨張し、前記図5の光学顕微鏡写真と同様に
変形した。
【0038】以上の結果より、本発明により、膜乳化法
では困難であった40〜100μmの範囲の単分散状W
/Oエマルションを製造することができ、さらに水分濃
度が74〜95容積%の範囲にあり且つ水滴粒子が変形
して多面体構造をとっているにも拘らず非常に安定した
濃厚W/Oエマルションも製造できることが確かめられ
た。
【0039】実施例4 予め膜乳化法によりDai=8.20μm、水分濃度C
が16.4容積%のa−エマルションと、Dbi
6.85μm、水分濃度Cが47.1容積%のb−エ
マルションとを調製した。水相はどちらも食塩水溶液で
あり、その濃度はa−エマルションがCai=20重量
%、b−エマルションがCbi=0.12重量%に設定
した。連続油相は灯油、界面活性剤は2重量%濃度のテ
トラグリセリン縮合リシノレートである。a−エマルシ
ョン(13)とb−エマルション(14)の双方の粒径
分布を図6(ア)に示す。
【0040】次にa−エマルション6.41mlを50
mlのb−エマルションに加え、静かに攪拌した。12
時間後、この混合エマルションの粒径分布を測定した。
この結果を図6(イ)に示す。図6(イ)中、a−エマ
ルション(15)は単分散性を保持したまま、Daf
23.5μmにまで膨張し、b−エマルション(16)
はDbf=3.10μmにまで収縮した。
【0041】さらに、a−エマルションとb−エマルシ
ョンとの混合割合を変えた場合に起こるDaf(○印
(17))とDbf(△印(18))の変化を前記式
(4)及び式(5)から計算されるa−エマルションの
予測値(19)及びb−エマルションの予測値(20)
と比較して実線で図7に示す。但し、ここでは浸透圧の
調整には共通して食塩を用いているので、Пの代わり
に食塩の平衡濃度C(C=Caf=Cbf)を横軸
にして表示した。その結果、測定値と計算値は実質上一
致した。このことから、本発明ではエマルションの水滴
粒子を比較的自由に膨張及び収縮させることができ、且
つそれらの変化量を正確にコントロールできることがわ
かる。
【0042】実施例5 原液NiCl2重量%濃度の水溶液を分散水相とする
3.4容積%の単分散状W/Oエマルションを、膜
乳化法を用いて1リットル調製した。得られたエマルシ
ョンのDbiは1.27μm、連続油相はn−ヘキサ
ン、界面活性剤は2重量%濃度のテトラグリセリン縮合
リシノレートを用いた。他方、膜乳化法によりNaCl
20重量%水溶液を分散水相とするDai3.18μm
の単分散状W/Oエマルションを0.1リットルを別途
に調製し、その全量を上記NiCl含有エマルション
に投入し、混合エマルションとした。12時間後、D
afは3.81μmに膨張し、Dbfは0.61μmに
収縮した。
【0043】その後、Dbf0.61μmの水滴粒子の
分離回収は、膜分離法によって行なった。即ち、まず
2.8μmの細孔径をもつ疎水化多孔質ガラス膜を用
い、Daf3.81μmの水滴粒子が破壊しないように
静かに循環しながらクロスフロー濾過を行なうことによ
り、Dbf0.61μmの水滴粒子を上記混合エマルシ
ョンから分離した。分離を完全なものとするため、D
bf0.61μmの水滴粒子が含まれる分離液は、再度
0.4μmの細孔径の疎水化多孔質ガラス膜で濾過し、
油と界面活性剤だけの濾液を混合エマルションに戻すダ
イアフィルトレーション方式を用いた。これにより、混
合エマルションからNiClが10.3重量%にまで
濃縮されたDbf0.61μmの水滴粒子を93.3%
回収した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の濃縮法の原理を示す概念図であり、図
1(ア)は混合前の状態、図1(イ)は混合後の平衡状
態を示す。
【図2】膨張させたエマルション粒子の粒子構造を示す
光学顕微鏡写真(400倍)である。
【図3】積算粒径分布を示すグラフである。
【図4】D/Dと(V/V1/3との関係を
示すグラフである。
【図5】濃厚W/Oエマルションの粒子構造を示す光学
顕微鏡写真(400倍)である。
【図6】混合したエマルションの粒径変化を表わすグラ
フであり、図6(ア)は混合前の状態、図6(イ)は混
合後の平衡状態を示す。
【図7】混合による粒径変化と計算値を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1…浸透圧の高いa−エマルション 2…浸透圧の低いb−エマルション 3…b−エマルション粒子 4…a−エマルション粒子 5…粒子が膨張したa−エマルション 6…粒子が収縮したb−エマルション 7…平均粒径1.24μm、水分濃度0.71容積%の
エマルション 8…平均粒径2.30μm、水分濃度8.20容積%の
エマルション 9…平均粒径3.94μm、水分濃度21.8容積%の
エマルション 10…平均粒径7.47μm、水分濃度56.0容積%
のエマルション 11…第3式による計算値 12…測定値 13…平均粒径8.20μm、水分濃度16.4容積%
のa−エマルション 14…平均粒径1.24μm、水分濃度0.71容積%
のb−エマルション 15…混合後の平衡状態のa−エマルション 16…混合後の平衡状態のb−エマルション 17…a−エマルションの変化 18…b−エマルションの変化 19…計算値から予測されるa−エマルションの変化 20…計算値から予測されるb−エマルションの変化

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1種類の水溶性物質を含有する
    水溶液を分散相とする油中水型エマルションに、純水又
    は純水を分散相とする油中水型エマルションを添加混合
    し、前者の油中水型エマルションの分散相液滴粒子の水
    分量を1.3〜1000倍の範囲で増加させることによ
    り、当該分散相液滴粒子の大きさを1.1〜10倍の範
    囲で膨張させることを特徴とする油中水型エマルション
    粒子製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の油中水型エマルション粒子
    製造方法により得られる、平均粒径が40〜100μm
    の範囲内にあることを特徴とする単分散状油中水型エマ
    ルション。
  3. 【請求項3】請求項1記載の油中水型エマルション粒子
    製造方法により得られる、全水分の濃度が74〜95容
    積%の範囲内にあり且つ液滴粒子が多面体構造であるこ
    とを特徴とする濃厚油中水型エマルション。
  4. 【請求項4】少なくとも1種類の水溶性物質を分散水相
    に含有する油中水型エマルションに、他の少なくとも1
    種類の水溶性物質を分散水相に含有し且つ該油中水型エ
    マルションよりも高い浸透圧をもつ油中水型エマルショ
    ンを添加混合し、前者の油中水型エマルションの液滴粒
    子の粒径を1/10〜1/1.1倍の範囲で収縮させる
    と共に後者の油中水型エマルションの液滴粒子の粒径を
    1.1〜10倍の範囲で膨張させることにより、前者の
    油中水型エマルションの液滴粒子又は油中水型エマルシ
    ョン中の水溶性物質を分離回収することを特徴とする水
    溶性成分濃縮分離方法。
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