JP2653498B2 - マルチビームアンテナ装置 - Google Patents

マルチビームアンテナ装置

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JP2653498B2
JP2653498B2 JP27203088A JP27203088A JP2653498B2 JP 2653498 B2 JP2653498 B2 JP 2653498B2 JP 27203088 A JP27203088 A JP 27203088A JP 27203088 A JP27203088 A JP 27203088A JP 2653498 B2 JP2653498 B2 JP 2653498B2
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【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) この発明は、主にレーダ装置に用いられて、アレーア
ンテナを構成する各アンテナ素子の素子信号に対する所
要の処理に基づきマルチビームを形成するマルチビーム
アンテナ装置に関する。
(従来の技術) 一般にレーダ装置にあって、単独のアンテナによって
方位面及び仰角面に利得低下の少ないマルチビームを形
成する場合、第9図に示すようなアンテナ装置が用いら
れる。
すなわちこのアンテナ装置は、方位面内に直交マルチ
ビームを形成する複数段の方位面回路基板11 l〜11N
と、仰角面内に直交マルチビームを形成する複数段の仰
角面回路基板12 l〜12Mと、の大きくは2つの部分で構
成される。
このうち、方位面回路基板11 l〜11Nは、それぞれ同
一方向に等間隔に配列されるM個のアレーアンテナ素子
al〜aMを有して構成されるもので、これら各素子al〜aM
から取出される高周波信号をそれぞれ移相器b1〜bMを介
してバトラーマトリクス回路cに入力し、このバトラー
マトリクス回路cを通じて方位面内にM本の直交マルチ
ビームを形成する。
他方、仰角面回路基板12 l〜12Mは、それぞれ方位面
回路基板11 l〜11Nの同一列のマルチビーム信号を入力
するよう構成されるもので、それぞれこの入力されるマ
ルチビーム信号を移相器dl〜dMを介してバトラーマトリ
クス回路eに入力し、このバトラーマトリクス回路eを
通じて仰角面内にN本の直交マルチビームを形成する。
このように、このアンテナ装置によれば、方位面及び
仰角面にM×N本の直交マルチビームが形成されるよう
になる。
(発明が解決しようとする課題) ところで、こうした従来のアンテナ装置では、バトラ
ーマトリクスを用いて各アンテナ素子のビームを互いに
直交させるようにしていることから、利得低下について
はこれを比較的少なく押え得るものの、指向方向の制御
に制約を受け、上記形成されるビームを任意方向に高精
度に指向させることはできない。また、それぞれのビー
ムのサイドローブを独立して制御することも極めて困難
である。こうした問題は、上記マルチビーム形成手段と
して、バトラーマトリクス回路と同等の機能を有するフ
ーリエ変換回路(例えばFFT)を用いた場合でも同様で
ある。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたもので、
任意の方向に利得の高いマルチビームを高精度に形成す
ることができ、かつそれぞれのビームのパターンを独立
して制御することができるとともに、これらビームの相
互干渉をも確実に回避することのできるマルチビームア
ンテナ装置を提供することを目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) この発明では、所望のビームパターンに応じたビーム
走査のための複素ウェイトデータを前記アンテナ素子の
素子信号の各々に対応して生成する第1の演算手段と、
これら生成された複素ウェイトデータに基づき、それぞ
れ他のビームのピーク方向に対してはヌル(null)を形
成するよう前記各所望のビームパターンに応じたビーム
走査のための複素ウェイトデータを補正する第2の演算
手段と、この補正された複素ウェイトデータをもって前
記素子信号の各々に対する重み付け、並びにこれら重み
付けした信号の合成加算を行なってビーム信号を形成す
るビーム信号形成手段と、を少なくとも具えるようにす
る。
(作用) 上記第1の演算手段にて生成される複素ウェイトデー
タをもって上記のビーム信号形成を行なうようにすれ
ば、マルチビームを各々独立して、任意の方向に、しか
も高精度に形成することは少なくとも達せられる。した
がって、上記第2の演算手段を通じて上記第1の演算手
段にて生成される複素ウェイトデータを上述の如く補正
し、この補正した複素ウェイトデータをもって上記同様
のビーム信号形成を行なうようにすれば、その各々独立
して、任意の方向に、精度良く形成される各ビームは、
それぞれ他のビームのピーク方向に対してはヌルを形成
するようになり、これら各ビームが互いに干渉するよう
なこともなくなる。
(実施例) 第1図〜第4図に、この発明にかかるマルチビームア
ンテナ装置についてその一実施例を示す。
この実施例アンテナ装置は、第1図に示されるよう
に、大きくは、所定間隔で平面状に配列されたアンテナ
素子10 11〜10 1M,10 21〜10 2M,,…,10 N1〜10 NMと、
高周波(RF)信号を送信受信し、受信信号についてはこ
れを周波数変換して取り出す送信受信(T/R)モジュー
ル20 11〜20 1M,20 21〜20 2M,…,20 N1〜20 NMと、方
位面内にマルチビームを形成する方位面回路基板30 1〜
30Nと、仰角面内にマルチビームを形成する仰角面回路
基板50 1〜50Mと、送信信号を生成する送信信号励振器6
0と、仰角方向に送信信号を分配する仰角面送信信号分
配器70と、方位方向に送信信号を分配する方位面送信信
号分配器40 1〜40Nと、それぞれ有して構成される。
またこのうち、上記T/Rモジュール20 11〜20 1M,20 2
1〜20 2M,…,20 N1〜20 NMは、第2図に示されるよう
に、上記送信信号を受入してその信号位相を上記方位面
回路基板30 1〜30Nの各対応するものから与えられる位
相データに応じて所要に移相せしめる移相器21、この位
相制御された送信信号を高電力信号に増幅するハイパワ
ー増幅器22、この増幅された送信信号を各対応するアン
テナ素子へ供給するサーキュレータ23、同アンテナ素子
に受信されこのサーキュレータ23を介して取り出される
高周波(RF)信号を増幅するRF増幅器24、この増幅され
たRF信号に局部発振信号OSC1を混合して中間周波(IF)
信号に変換する混合器25、この変換されたIF信号から不
要な周波数成分を除去するIF受信処理器26、そしてこの
IF受信処理された信号にハイブリッド27を介して与えら
れる互いに90゜位相の異なる局部発振信号OSC2をそれぞ
れ混合して同IF信号の位相検波を行なう、すなわち同IF
信号から直交成分I,Q(I,Qはそれぞれ実数部、虚数部を
表わす)を取り出す混合器28および29、をそれぞれ具え
て構成され、上記方位面回路基板30 1〜30Nは、これら
各T/Rモジュールの出力(受信信号)をそれぞれデジタ
ルデータに変換する複数のアナログ・デジタル変換器31
1〜31M、各アナログ・デジタル変換器31 1〜31Mの出力
データを段階的に設定された各異なる遅延時間をもって
各別に遅延する複数の遅延器32 1〜32M、送信時には任
意のビーム指向方向に応じた初期位相データを生成し、
受信時には任意のビーム指向方向に応じた初期ウェイト
データを算出するビーム走査演算器33、送信時にはこの
ビーム走査演算器33による上記初期位相データを用いて
他のビームのピーク方向に対してはヌル(null)を形成
するようなビームパターンに応じた位相データを算出
し、受信時には同ビーム走査演算器33による初期ウェイ
トデータを用いて他のビームのピーク方向に対してはヌ
ルを形成するようなビームパターンに応じたウェイトデ
ータを算出するヌルウェイト演算器34、そしていわゆる
シストリックアレイ回路を通じて、上記遅延器32 1〜32
Mの出力データ列にヌルウェイト演算器34の算出する上
記ウェイトデータによって各々重み付けを行ないつつ、
この重み付けしたデータを順次累積加算することによ
り、方位面に関してのマルチビームを形成するビーム形
成器35、をそれぞれ具えて構成され、上記仰角面回路基
板50 1〜50Mは、この方位面回路基板30 1〜30Nにおける
各ビーム形成器35の演算結果を入力して上記遅延器32 1
〜32Mと同様これを段階的に設定された各異なる遅延時
間をもって各別に遅延する複数の遅延器51 1〜51N、仰
角面での任意のビーム指向方向に応じた初期ウェイトデ
ータを算出するビーム走査演算器52、このビーム走査演
算器52による上記初期ウェイトデータを用いて他のビー
ムのピーク方向に対してはヌルを形成するようなビーム
パターンに応じたウェイトデータを算出するヌルウェイ
ト演算器53、そして上記ビーム形成器35と同様、いわゆ
るシストリックアレイ回路を通じて、上記遅延器51 1〜
51Nの出力データ列にヌルウェイト演算器53の算出する
上記ウェイトデータによって各々重み付けを行ないつ
つ、この重み付けしたデータを順次累積加算することに
より、仰角面に関してのマルチビームを形成するビーム
形成器54、をそれぞれ具えて構成される。なお、方位面
回路基板30 1〜30Nおよび仰角面回路基板50 1〜50Mにお
ける上記ビーム形成器35若しくは54の構成については、
上記ビーム走査演算器33若しくは52およびヌルウェイト
演算器34若しくは53との関連も含めて第3図に詳細に図
示した。ただし、この第3図では便宜上、方位面回路基
板30 1〜30Nにおけるビーム形成器35の構成を代表して
示している。第4図は、このビーム形成器35(若しくは
54)を構成する各演算セル(S 11〜S MN)の詳細構成を
参考までに図示したものである。同第4図において、Sa
は乗算(重み付け)器を示し、Sbは加算器を示す。ま
た、この入、出力信号の各添字I,Qは、T/Rモジュール
(第2図)について前述した受信信号直交成分の実数
部、虚数部をそれぞれ示している。
以下、こうして構成される該実施例アンテナ装置の動
作について詳述する。
はじめに、送信時の動作について説明する。
送信時、送信信号励振器60は例えばパルス状の送信信
号を生成する。この生成された送信信号は、仰角面送信
信号分配器70に入力され、ここで仰角方向にN分配され
て方位面送信信号分配器40 1〜40Nの各々に入力され
る。方位面送信信号分配器40 1〜40Nでは、これら分配
入力された送信信号をさらにM分配して、T/Rモジュー
ル20 11〜20 1M,20 21〜20 2M,…,20 N1〜20 NMの各々
対応するモジュールへ(正確にはその移相器21へ)この
分配送信信号を供給する。
他方、方位面回路基板30 1〜30Nの各ビーム走査演算
器33では、必要なビーム数に対してそのそれぞれのビー
ムの指向方向に応じた独立な複数の初期位相データを生
成し、これをヌルウェイト演算器34に対して出力する。
ヌルウェイト演算器34では、このビーム走査演算器33か
ら入力された初期位相データをもとに、それぞれのビー
ムが他のビームのピーク方向付近でヌルを形成するよう
な複数の位相データを生成する。これには、例えば次の
ようなアルゴリズムを用いる(鈴木、千葉共著:“位相
量のみによるパターン形成法",社団法人電子通信学会技
報,AP85−64(1985年10月17日)参照)。
すなわち、ν回繰返し計算したn番目の素子の位相を とすると によって、都度所望される位相データ が求められる。なおここで、 ただし、 μ:収束係数、N:素子数、M:ヌル点の数 yn,zn:n番目の素子のy,z座標 θm,ψm:m番目のヌル点の方向 An:n番目の素子の振幅ウェイト とする。
このように、これらビーム走査演算器33およびヌルウ
ェイト演算器34における位相データ生成動作は、所望と
される全ビームの方向内容に基づきそのビーム1つ1つ
に対して繰り返し実行されるものであり、例えば上記所
望とされるビームの数がP個である場合、これらビーム
走査演算器33およびヌルウェイト演算器34では、それぞ
れ第5図(a)および(b)に示される手順をもって、
各ビームに対応する都度の位相データを生成する。
因みに、ビーム走査演算器33では、第5図(a)に示
されるように、外部からの適宜な入力手段を通じてのP
個のビーム各々に関する方向データの入力に応じて、q
番目(q:任意値,1≦q≦P)のビーム方向よりq番目の
ビームの初期位相データを算出し、この算出したq番目
のビームの初期位相データと他のビームの方向データを
ヌルウェイト演算器34に出力する、といった動作を各々
のビームに対応してP回繰り返し、他方のヌルウェイト
演算器34では、第5図(b)に示されるように、このビ
ーム走査演算器33から上記算出されたq番目のビームの
初期位相データと他のビームの方向データとが与えられ
る毎に、q番目のビームに対応して、他のビームのピー
ク方向(好ましくはそのメインローブを覆うような幅を
もって)に対してヌルを形成し得る位相データを例えば
上記(1)の演算を繰り返すことにより算出し、この算
出した位相データを各対応するT/Rモジュールに対し出
力する、といった動作をこれも各々のビームに対応して
P回繰り返す。
さて、上述の如く分配された送信信号が供給され、か
つこうして生成された位相データが順次加えられるよう
になる各T/Rモジュール21 11〜20 1M,20 21〜20 2M,…,
20 N1〜20 NM(第2図参照)では、その移相器21を通じ
て、上記送信信号をビーム数だけ時分割するとともに、
その各々に対して、上記位相データに応じた位相勾配を
つけ、さらにハイパワー増幅器22を通じてこの位相勾配
をつけた送信信号を所要に増幅した後、サーキュレータ
23を介してこれをM×N個の平面状に配列されたアレー
アンテナ素子10 11〜10 1M,10 21〜10 2M,…,10 N1〜10
NMのうちの各対応する素子へ供給するよう動作する。
これにより、これら各送信信号は電波として放射され、
この実施例アンテナ装置の前面には、この時分割された
送信信号の長さの時間だけ続くビームが時間的に切替わ
りながら、その指向方向が各々独立に制御されるマルチ
ビームとしてビーム形成されるようになる。しかも、こ
れらのビームは全て、互いに他のビームのピーク方向付
近ではヌルを形成しており、これら相互の間で干渉する
ことはない。
次に、同実施例アンテナ装置の受信時の動作について
説明する。
上記M×N個のアレーアンテナ素子10 11〜10 1M,10
21〜10 2M,…,10 N11〜10 NMは平面状に等間隔で配列さ
れており、受信時、これら各アンテナ素子を通じて得ら
れる高周波(RF)信号はそれぞれT/Rモジュール20 11〜
20 1M,20 21〜20 2M,…,20 N1〜20 NMの各対応するモジ
ュールに入力される。これらT/Rモジュールは、第2図
に示したように、上記得られたRF信号をサーキュレータ
23を介して取り込むとともに、これをRF増幅器24で増幅
し、混合器25でこの増幅RF信号に局部発振信号OSC1を混
合して同RF信号を中間周波(IF)信号に変換し、さらに
IF受信処理器26を通じてこの変換したIF信号から不要な
周波数成分を除去した後、この受信処理したIF信号を混
合器28,29に入力して、前述した同IF信号についての位
相検波を行なうものであり、これら各T/Rモジュールか
らは、これらIF信号の直交成分I,Qを示す信号がそれぞ
れ取出されるようになる。こうして各T/Rモジュール20
11〜20 1M,20 21〜20 2M,…,20 N1〜20 NMから取出され
たI,Q成分の各信号は、次に方位面回路基板30 1〜30Nの
各対応するものに入力される。これら各方位面回路基板
では、この入力される各信号をそれぞれアナログ・デジ
タル変換器31 1〜31Mでデジタル信号(時系列データX1
(n1)〜X M(n)(それぞれ(X I,X Q)からなる。添
字のI,Qはそれぞれ実数部、虚数部をしめす。)に変換
した後、それらを遅延器32 1〜32Mで前述した如く互い
に一定間隔で遅延してビーム形成器35に取り込むように
なる。
このビーム形成器35は、第3図に示したように、演算
セルS 11〜S MNをM行N列に配列して構成されるもの
で、初段行の演算セルS 11〜S M1はそれぞれ遅延器32 1
〜32Mからの時系列データX1(n)〜X M(n)を順次入
力し、以下次段からは前行の時系列データを順次入力す
る。また各演算セルS 11〜S MNは、ヌルウェイト演算器
34からの複素ウェイトデータW 11〜W MNをも併せ入力す
る。
ここで、上記演算セルS 11〜S NMは、それぞれメモリ
機能(図示せず)を有しており、ヌルウェイト演算器35
からの上記複素ウェイトデータw 11〜w NMについてはこ
れを一時記憶するようになっている。また、その演算構
造は、第4図に示したように、前行からの時系列データ
x inを(X Iin,X Qin)、前列からの演算結果y inを(Y
Iin、Y Qin)、複素ウェイトデータwを(W I,W Q)と
するとき、出力データy out=(Y Iout,Y Qout)を次式
により演算して求める構造となっている。
Y Iout=X Iin・W I−X Qin・W Q+Y Iin ……(2) Y Qout=X Iin・W Q+X Qin・W I+Y Qin ……(3) なお、上記左添字のI,Qはそれぞれ実数部、虚数部を
表し、右添字のin,outはそれぞれ入力信号、出力信号を
表している。
また、上記アナログ・デジタル変換器31 1〜31Mのサ
ンプリング周波数及び遅延器32 1〜32Mの遅延量は、そ
れぞれこうした演算セルS 11〜S NMの演算速度に応じて
設定されている。
他方、同方位面回路基板30 1〜31Nにある各ビーム走
査演算器33は、該受信時には、必要なビーム数に対して
そのそれぞれのビームの指向方向に応じた独立な複数の
初期ウェイトデータ(複素ウェイトデータ)を生成し
て、これをヌルウェイト演算器34に対し出力する。これ
によりヌルウェイト演算器34では、このビーム走査演算
器33から入力された初期ウェイトデータをもとに、それ
ぞれ他のビームのピーク方向付近に対してはヌルを形成
するようなビームパターンに応じた複素ウェイトデータ
W 11〜W NMを生成する。これには、例えば次のようなア
ルゴリズムを用いる(オーム社「アンテナ工学ハンドブ
ック」電子通信学会編228ページ参照)。
すなわち、ν回繰返し計算したn番目の素子の複素ウ
ェイトを とすると によって、それぞれ所望される複素ウェイトデータ が求められる。なおここで、 ただし、 μa:収束係数、N:素子数、M:ヌル点の数 S:ステアリングベクトル dn:n番目の素子の原点からの距離 θm:m番目のヌル点の方向 とする。
このように、これらビーム走査演算器33およびヌルウ
ェイト演算器34における受信時の複素ウェイトデータ生
成動作も、所望とされる全ビームの方向内容に基づきそ
のビーム1つ1つに対して繰り返し実行されるものであ
り、例えば上記所望とされるビームの数がP個である場
合、これらビーム走査演算器33およびヌルウェイト演算
器34では、それぞれ第6図(a)および(b)に示され
る手順をもって、各ビームに対応する都度の位相データ
を生成する。
因みに、ビーム走査演算器33では、第6図(a)に示
されるように、外部からの適宜な入力手段を通じてのP
個のビーム各々に関する方向データの入力に応じて、q
番目(q:任意値、1≦q≦P)のビーム方向よりq番目
のビームの初期ウェイトデータを算出し、この算出した
q番目のビームの初期ウエイトデータと他のビームの方
向データとをヌルウェイト演算器34に出力する、といっ
た動作を各々のビームに対応してP回繰り返し、他方の
ヌルウェイト演算器34では、第6図(b)に示されるよ
うに、このビーム走査演算器33から上記算出されたq番
目のビームの初期ウェイトデータと他のビームの方向デ
ータとが与えられる毎に、q番目のビームに対応して、
他のビームのピーク方向(好ましくはそのメインローブ
を覆うような幅をもって)に対してヌルを形成し得る複
素ウェイトデータを例えば上記(4)の演算を繰り返す
ことにより算出し、この算出した複素ウェイトデータを
上記ビームの形成器35の各対応する演算セルに対し出力
する、といった動作をこれも各々のビームに対応してP
回繰り返す。
さて、上述の如く遅延器32 1〜32Mによって段階遅延
された時系列な受信デジタルデータX1(n)〜X M
(n)が入力され、かつヌルウェイト演算器34からこう
して生成された複素ウェイトデータW 11〜W MNが与えら
れるビーム形成器35では、先の(2)式および(3)式
に基づき、上記受信デジタルデータの各々に対する各対
応する複素ウェイトデータによる重み付け、並びに該重
み付けされたデータの順次の累積加算を実行する。これ
により、方位面について、その指向方向が各々独立に制
御される複数のビーム、すなわち受信マルチビームが形
成されることとなる。勿論、これらのビームも全て、互
いに他のビームのピーク方向付近ではヌルを形成してお
り、これら相互の間で干渉することはない。
一方、仰角面回路基板50 1〜50Mは、それぞれ方位面
回路基板30 1〜30Nのビーム形成器35の各同一列の出力
データ(ビーム信号b1(1)〜bN(n)を入力し、これ
をそれぞれ遅延器51 1〜51Nによって遅延した後、ビー
ム形成器54に入力する。ただし、このビーム形成器54
は、方位面回路基板30 1〜30Nのビーム形成器35と行
数、列数が逆である以外全く同じ構成であるので、この
ビーム形成器54の説明は省略する。勿論、この回路基板
50 1〜50Mにおけるビーム走査演算器52およびヌルウェ
イト演算器53の機能、動作も、上記ビーム走査演算器33
およびヌルウェイト演算器34のそれぞれ受信時における
機能、動作に共通する。
以上により、結果として方位面、仰角面の双方の任意
の方向にマルチビームが形成されることとなる。しかも
この場合、マルチビームの指向方向および相互の干渉の
除去態様、また各ビームのサイドローブなどのビームパ
ターンは、ビーム走査演算器33,52およびヌルウェイト
演算器34,53を通じて初期設定され演算される複素ウェ
イトデータによって任意に制御される。
第7図および第8図は、それぞれ従来のマルチビーム
アンテナ装置によって形成されるマルチビームと、上記
実施例アンテナ装置を通じて形成されるマルチビームと
を対比して示すものである。
例えばいま、送信、受信共に2つのビームを形成する
ものとすると、従来のアンテナ装置を通じて形成される
ビーム(2マルチビーム)は、第7図(a)および
(b)に示されるように、送信ビーム1、受信ビーム1
の各ビーム方向に対して送信ビーム2、受信ビーム2の
サイドローブが存在し、また逆に、送信ビーム2、受信
ビーム2の各ビーム方向に対しても、送信ビーム1、受
信ビーム1のサイドローブが存在している。したがっ
て、2ウェイビーム、つまり送信ビームおよび受信ビー
ムの双方をかけ合わせたビームは、第7図(c)に示さ
れる態様となる。ここで、同第7図(c)に示される2
ウェイビーム1に注目すると、他方の2ウェイビーム2
のビームの方向に大きなサイドローブができていること
がわかる。すなわちこれにより、ビーム1がビーム2に
対して干渉していることがわかる。逆も同様である。
これに対し、上記実施例アンテナ装置を通じて形成さ
れるビーム(2マルチビーム)は、第8図(a)および
(b)に示されるように、送信ビーム、受信ビーム共
に、互いに他方のビームの指向方向に対してはヌルが生
じている。したがってこの場合、2ウェイビームも、第
8図(c)に示されるように、互いに他方のビームの指
向方向に対してはヌルが生じるようになる。これによ
り、これらビーム相互の干渉は回避されていることがわ
かる。
該実施例アンテナ装置によるこうした効果が、更にビ
ーム数が多くなる場合でも同様に得られることは勿論で
ある。
このように、上記構成によるマルチビームアンテナ装
置によれば、位相データを適当なアルゴリズムにより調
整することで、任意の方向に送信マルチビームを形成す
ることができるとともに、複素ウェイトデータを適当な
アルゴリズムにより調整することで、方位面、仰角面の
任意の方向に受信マルチビームを形成することができ、
データのビット数の増加によってはその高精度化も容易
である。しかも、送信、受信共に各ビームの方向によら
ずビーム相互間の干渉が起こらないため、極めて安定な
動作が保証される。
なお、上記実施例では、それぞれ他のビームのピーク
方向に対してヌルを形成する機能を、送信ビーム形成系
および受信ビーム形成系の双方に持たせる構成とした
が、他に、受信ビーム形成系についてのみこうした機能
を持たせるようにしても、上記に準ずる十分な効果を得
ることはできる。
また、上記実施例では、この発明にかかるアンテナ装
置を平面アレイに適用した場合について説明したが、こ
の発明にかかるアンテナ装置は、アンテナ素子の配列が
直線状である直線アレイであっても、その直線に垂直な
方向へのビーム形成に適用でき、更にアンテナ素子の配
列が横方向と縦方向に配列されている場合には、任意の
面上のアレイにも適用可能である。また、仰角面のビー
ム形成を方位面のビーム形成より先に行なっても良いこ
とは勿論である。
さらに、上記実施例では、ビーム制御にかかる各回路
を方位面回路基板及び仰角面回路基板上にそれぞれ各別
に設けているが、1つの回路で集中して演算処理を行な
うようにすれば、小型化に供することもできる。また特
に、前記位相データの生成や複素ウェイトデータの生成
にかかる演算処理に際しては、その各データを予めテー
ブル化したROM(リードオンリーメモリ)等を用いるこ
とも可能である。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明によれば、相互の干渉
が起こらない利得の高いマルチビームを任意の方向に、
かつ高精度に形成することができる。しかも、各ビーム
のパターンは、独立に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明にかかるマルチビームアンテナ装置
の一実施例についてその全体の概略構成を示す斜視略
図、第2図は、この第1図に示した実施例装置のT/Rモ
ジュールについてその具体構成を示すブロック図、第3
図は、同実施例装置の特にビーム形成器についてその具
体構成を示すブロック図、第4図は、第3図に示したビ
ーム形成器における各演算セルのセル構成を示すブロッ
ク図、第5図は、第1図に示した実施例装置のビーム走
査演算器およびヌルウェイト演算器における送信時の動
作例を示すフローチャート、第6図は、同ビーム走査演
算器およびヌルウェイト演算器における受信時の動作例
を示すフローチャート、第7図は、従来のマルチビーム
アンテナ装置によって形成されるマルチビーム態様を示
す線図、第8図は、第1図に示した実施例装置によって
形成されるマルチビーム態様を示す線図、第9図は、従
来のマルチビームアンテナ装置の構成例を示す斜視略図
である。 10 11〜10 1M、10 21〜10 2M,…,10 N1〜10 NM……アレ
イアンテナ素子、 20 11〜20 1M,21 21〜20 2M,…,20 N1〜20 NM……T/Rモ
ジュール、 21……移相器、22……ハイパワー増幅器、23……サーキ
ュレータ、24……RF増幅器、25,28,29……混合器、26…
…IF受信処理器、27……90゜ハイブリッド、30 1〜30N
……方位面回路基板、31 1〜31M……アナログ・デジタ
ル変換器、32 1〜32M,51 1〜51N……遅延器、33,52……
ビーム走査演算器、34,53……ヌルウェイト演算器、35,
54……ビーム形成器、40 1〜40N……方位方向送信信号
分配器、50 1〜50M……仰角面回路基板、60……送信信
号励振器、70……仰角方向送信信号分配器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 喜隆 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式 会社東芝小向工場内 (56)参考文献 特開 昭63−186176(JP,A) 特開 昭51−72259(JP,A) MICROWAVE JOURNA L,JAN.1987 P.107〜120

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アレーアンテナを構成する各アンテナ素子
    の素子信号を所要に処理してマルチビームを形成するマ
    ルチビームアンテナ装置において、 所望のビームパターンに応じたビーム走査のための複素
    ウェイトデータを前記素子信号の各々に対応して生成す
    る第1の演算手段と、 これら生成された複素ウェイトデータに基づき、それぞ
    れ他のビームのピーク方向に対してはヌルを形成するよ
    う前記各所望のビームパターンに応じたビーム走査のた
    めの複素ウェイトデータを補正する第2の演算手段と、 この補正された複素ウェイトデータをもって前記素子信
    号の各々に対する重み付け、並びにこれら重み付けした
    信号の合成加算を行なってビーム信号を形成するビーム
    信号形成手段と、 を具えたことを特徴とするマルチビームアンテナ装置。
  2. 【請求項2】前記マルチビームアンテナ装置は、 前記マルチビームの各々任意の指向方向に応じた位相デ
    ータを、前記各アンテナ素子へ供給する送信信号の各々
    に対応して生成する第3の演算手段と、 この生成された位相データに基づき、それぞれ他のビー
    ムのピーク方向に対してはヌルを形成するよう前記各任
    意の指向方向に応じた位相データを補正する第4の演算
    手段と、 この補正された位相データをもって前記各送信信号を移
    相制御し、この移相制御した送信信号を前記各対応する
    アンテナ素子へ供給する送信制御手段と、 を更に具える 請求項(1)記載のマルチビームアンテナ装置。
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