JP2653320B2 - 二重撚糸機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、合糸と加撚を同時に
行うスピンドル装置と巻取装置とが連設された二重撚糸
機に関し、特に単糸で無撚りのパッケージの巻揚を防止
できる二重撚糸機に関する。

【０００２】

【従来の技術】まず、この種の二重撚糸機の一錘の機器
配置を図３により説明する。二重撚糸機はスピンドル装
置５１の上方に巻取装置５２が連設されてなり、この２
錘が背中合わせに配置され、全体では８０〜３０４錘が
並列配置されている。スピンドル装置５１は、駆動ベル
ト５５によって高速回転する図示されない回転ディスク
と、給糸パッケージＰ１，Ｐ２を二段に載置する図示さ
れない静止盤及びバルーンガイド５８等から成ってい
る。上下二段の給糸パッケージＰ１，Ｐ２から解舒され
る糸Ｙ１，Ｙ２は中心に位置するテンション装置５７に
入って合糸され、高速回転する回転ディスクによって２
回加撚され上方のバルーンガイド５８に至る。つぎに、
巻取装置５２は、ガイドローラ５９，６０と、フィード
ローラ６１と、綾振り用のトラバースガイド６２と、駆
動回転される巻取ドラム６３と、巻取パッケージ６４を
支持するクレードル６５とから成っている。合糸され加
撚された糸Ｙ３はガイドローラ５９，６０及びフィード
ローラ６１を経てトラバースガイド６２で綾振りされ、
巻取ドラム６３に転接しながら巻取パッケージ６４とな
る。クレードル６５は略Ｌ字型のクレードルアーム６６
を有し、クレードルアーム６６の一端にコの字型のボビ
ンホルダ６７が取付けられ、他端は図示されないフレー
ムに揺動自在に軸支されている。また、スピンドル装置
５１と巻取装置５２との間にドロップワイヤ５３が配設
されている。糸Ｙ３が切れると、このドロップワイヤ５
３がａ方向に旋回し、先端のバー５３ａに糸Ｙ１，Ｙ２
が絡み、給糸パッケージＰ１，Ｐ２からの解舒を停止さ
せる。すなわち、糸Ｙ３が切れても、図示されない回転
ディスクは高速回転したままであり、遠心力で糸Ｙ１，
Ｙ２が解除され続くのを防止している。

【０００３】さらに、スピンドル装置５１の詳細を図４
により説明する。図４において、支持管１がフレーム２
に固定され、該支持管１にベアリング３を介してスピン
ドル４が回転自在に支持されている。さらに、スピンド
ル４にはワーブ５、糸貯溜盤６、および回転ディスク７
が一体的に固定されている。このワーブ５にベルト１６
が接触しており、回転ディスク７などが高速回転する。
さらに、上記スピンドル４にはベアリング８を介して静
止盤９が支持され、該静止盤９に固定したマグネット１
０とマグネットケース１１に固定したマグネット１２の
吸引作用により静止盤９は静止状態を維持する。つぎ
に、静止盤９には給糸カバー１３が固定されており、上
記フレーム２には外側バルーン制限筒１４が固定されて
いる。上記静止盤９上にはテンション装置１５が立設さ
れている。すなわち、静止盤９の中心筒部９ａに下部筒
体２１が嵌入され、下部筒体２１にテンション装置１５
が挿入されている。このテンション装置１５に被さり、
静止盤９に載置される給糸支持台５７が位置している。
給糸支持台５７は、給糸パッケージＰ１を保持する第１
筒体５７ａと、第１筒体５７ａに嵌入されて下端にフラ
イヤー５７ｂを有し給糸パッケージＰ２を保持する第２
筒体５７ｃと、糸ガイド５７ｄとからなっている。な
お、５８はバルーンガイドである。

【０００４】ところで、運転当初の糸通しに際しては、
テンション装置１５に糸を通す必要があるが、テンショ
ン装置１５への糸通しは自動化が可能な構造となって
る。圧縮空気噴出ノズル２０から空気流を噴出すると、
空気流は空気通路１９を通り、糸導出孔１８より糸貯溜
盤６外に流出する。該空気流により糸通路１７が負圧と
なり、糸通路１７にも空気流が発生する。該空気流が部
屋３８内に作用し、該部屋３８内を減圧状態にする。該
減圧状態により下受材２６が圧縮スプリング３６力に抗
して下方に摺動する。該摺動によりカプセルテンサ３２
はフリーな状態となってマグネット３３に吸引され、横
方向に移動して糸通しのための糸通路が形成される。そ
して、ガイド５７ｄに口出しされた糸端が空気流に乗っ
て糸導出孔１８まで運ばれ、給糸カバー１３とマグネッ
トケース１１及び外側バルーン制限筒１４の間を通って
糸通しされる。

【０００５】上述した従来の二重撚糸機では、給糸パッ
ケージＰ１，Ｐ２が空になるか、又は糸Ｙ３が切れる
と、ドロップワイヤのバー５３ａが図示の二点鎖線位置
に旋回し、糸無しを検知するようになっている。この
時、巻取装置は駆動されたままであり、巻取パッケージ
と巻取ドラムの転接が続くことによりパッケージ表層が
損傷する恐れがある。そこで、クレードルを上げて巻取
パッケージの回転を停止させるようになっている。この
巻取停止手段の一例を図５により説明する。巻取停止手
段４０は、ブレーキペダル４１と、エアシリンダ４２
と、切換弁４３とからなっている。ブレーキペダル４１
は軸４１ａを中心にして揺動するアーム４１ｂの一端に
インサートプレート４１ｃを取り付けたものである。ア
ーム４１ｂの他端はエアシリンダ４２に連結されてお
り、切換弁４３でエアシリンダ４２を伸縮させることに
より、インサートプレート４１ｃは実線の退避位置又は
二点鎖線のブレーキ位置となる。図示のように、ドロッ
プワイヤ５３のａ方向落下を検出片５３ｂとマイクロス
イッチ４４で検知し、錘毎のコントローラ４５により切
換弁４３を作動させ、インサートプレート４１ｃが二点
鎖線位置に進出して巻取パッケージ６４を巻取ドラム６
３から分離して巻揚を停止させる。なお、ブレーキペダ
ル４１を用いる巻取停止手段４０に代わり、クレードル
６５全体を大きく上方にはね上げる巻取停止手段もあ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】図４において、ある種
の糸では、糸Ｙ３と糸Ｙ１，Ｙ２とが絡み、糸Ｙ３と糸
Ｙ２がつながり、糸Ｙ１が切れるという現象が起きるこ
とがある。この場合、スピンドル装置を通らないので、
加撚された双糸から無撚りの単糸になるが、図５のドロ
ップワイヤ５３は落下せず、そのまま無撚りで単糸の巻
揚が給糸パッケージＰ１，Ｐ２が空になるまで続行する
という問題点がある。給糸交換を自動化すると、無撚り
で単糸という異常パッケージがそのまま下流工程に運搬
されてしまい重大なトラブル発生の原因となる。

【０００７】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、糸が絡みスピンドル装置を通らない無撚りで単
糸の巻揚続行を停止させることができる二重撚糸機を提
供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の二重撚糸機は、２個の給糸パッケージから解舒され
る糸の合糸と加撚を同時に行うスピンドル装置と、巻取
パッケージが転接する巻取ドラムを有する巻取装置と、
糸切れ時に落下して上記給糸パッケージからの糸の解舒
を停止させるドロップワイヤと、巻取装置に至る糸に対
する糸径検知手段と、該検知手段の単糸検知に基づいて
作動し、前記巻取ドラムから前記巻取パッケージを分離
し、分離された巻取パッケージの回転を停止させる巻取
停止手段とを設けてなるものである。

【０００９】

【作用】合糸と加撚を同時に行うタイプのものでスピン
ドル装置を通らずに給糸パッケージから直接巻き揚げら
れる糸は単糸になるという現象に着目し、糸径検知手段
で単糸を検出し、巻取停止手段を作動させる。この巻取
停止手段は、巻取ドラムから前記巻取パッケージを分離
し、分離された巻取パッケージの回転を停止させるもの
であるため、パッケージ表層が保護される。また単糸に
なってもドロップワイヤは落下方向に作用しているた
め、巻取パッケージの回転が停止するまで張力が付与さ
れる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。図１は本発明の二重撚糸機の要部を示す図であ
る。従来の技術で説明した図５のものと異なる点は、糸
径検出手段としてのスラブキャッチャ４６がガイドロー
ラ６０とフィードローラ６１との間に追加された点であ
る。なお、その他の部分で同様の作動をする部分には同
じ符号を付してその説明を省略する。

【００１１】図１において、給糸パッケージＰ１の糸Ｙ
１が切れ、給糸パッケージＰ２の糸Ｙ２が巻き揚げられ
ると、無撚りで単糸になる。すなわち、双糸が単糸にな
るため、糸径が小さくなる。この糸径の変化をスラブキ
ャッチャ４６が検知する。スラブキャッチャ４６は静電
容量式又は光電管式のものがある。静電容量式のもの
は、糸径に略比例する静電容量を測定し、静電容量が大
きいと径が大きく、静電容量が小さいと径が小さいとす
るものである。このスラブキャッチャ４６からの信号は
信号処理部４７で平均化処理などが行われ、比較器４８
で糸番手などから決まる基準値４９と比較し、正常な双
糸又は異常な単糸であるかどうかを判別する。

【００１２】比較器４８が単糸を検出すると、各錘毎の
コントローラ４５を介して切換弁４３が切り換わり、ブ
レーキペダル４１が二点鎖線位置となるように巻取停止
手段４０が作動する。その結果、給糸パッケージＰ２か
らの巻揚が停止する。また、全錘に共通のメインコント
ローラ５０が無撚りによる巻取停止を判別し、回転灯な
どのアラーム３９が点灯すると共に、錘番号がパネル５
０ａに表示される。そして、オペレータが手動で正規の
状態に復帰させ、巻揚を再開させる。

【００１３】つぎに、糸径検出手段のスラブキャッチャ
として、光電管を用いるものを図２により説明する。こ
のスラブキャッチャ４６は、投光器７０と受光器７１と
からなるものである。投光器７０からの発光は糸Ｙで遮
られるため、影ができる。糸Ｙの径が大きいと影も大き
くなり、糸Ｙの径が小さいと影も小さくなる。そこで、
受光器７１の出力端ａ，ｂの電位差を測定することによ
り糸径が測定できるもである。上述した静電容量式に代
わり、この光電管式のものを用いることができる。

【００１４】

【発明の効果】本発明の二重撚糸機は、巻取装置に至る
糸に対する糸径検知手段を設け、該検知手段の単糸検知
に基づいて作動する巻取停止手段を設けたものであり、
合糸と加撚を同時に行うタイプのものでスピンドル装置
を通らずに給糸パッケージから直接巻き揚げられる糸は
単糸になるという現象に着目し、糸径検知手段で単糸を
検出し、巻取停止手段を作動させるので、糸が絡みスピ
ンドル装置を通らない無撚りで単糸の巻揚続行を直ちに
停止させ、オペレータに知らせて正常な状態に復帰させ
ることができる。その結果、二重撚糸機の給糸交換を自
動化したタイプのもので、異常パッケージが下流工程に
流されるという重大トラブルを未然に防止できる。また
巻取停止手段は、巻取ドラムから前記巻取パッケージを
分離し、分離された巻取パッケージの回転を停止させる
ものであり、糸層が保護されるだけではなく、ドロップ
ワイヤによる張力付与の巻取停止によって糸が巻取装置
などに絡みつくこともないので、オペレータによる復帰
作業が素早く出来るという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の二重撚糸機の要部を示す図である。

【図２】光電管式のスラブキャッチャを示す図である。

【図３】二重撚糸機の全体を示す斜視図である。

【図４】スピンドル装置の断面図である。

【図５】従来の二重撚糸機の要部を示す図である。

【符号の説明】

５１ スピンドル装置 ５２ 巻取装置 ７ 回転ディスク ９ 静止盤 １５ テンション装置 ４０ 巻取停止手段 ４６ スラブキャッチャ（糸径検知手段）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２個の給糸パッケージから解舒される糸
   の合糸と加撚を同時に行うスピンドル装置と、巻取パッ
   ケージが転接する巻取ドラムを有する巻取装置と、糸切
   れ時に落下して上記給糸パッケージからの糸の解舒を停
   止させるドロップワイヤと、巻取装置に至る糸に対する
   糸径検知手段と、該検知手段の単糸検知に基づいて作動
   し、前記巻取ドラムから前記巻取パッケージを分離し、
   分離された巻取パッケージの回転を停止させる巻取停止
   手段とを設けてなる二重撚糸機。