JP2651091B2 - 回転機の振動診断時における周波数解析範囲の上限値決定方法 - Google Patents

回転機の振動診断時における周波数解析範囲の上限値決定方法

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JP2651091B2
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達也 西川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は回転機の振動診断時にお
ける周波数解析範囲の上限値決定方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、回転機の振動を診断する周波数
解析装置においては、データを採取す前に、周波数解
析の範囲の上限値を入力する、或は周波数解析の範囲の
上限値を決定することで自動的に周波数解析の分解能
(またはデータのサンプリングピッチ)が決まる。
【0003】周波数解析の範囲の上限値は、一般的目安
として加速度モードでは5kHz、速度モードでは1k
Hzとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】周波数解析の範囲の上
限値の決定においては、特徴的な周波数が出現する範囲
を網羅し、かつ、できるだけ良い分解能で測定を行う必
要がある。例えば、5Hz以下で回転するような回転機
の振動を診断するような場合、速度モードで特徴的な周
波数はすべて500Hz以下に存在するので、周波数解
析の範囲の上限値は500Hz程度で測定することが望
ましいが、未熟な測定者が回転機の振動診断を行う場
合、熟練者の半分程度の分解能しか得られないという問
題があった。本発明は、未熟練者であっても熟練者と同
程度の分解能を得ることを可能とする回転機の振動診断
時における周波数解析範囲の上限値決定方法を提供する
ことを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題点を
解決するもので、回転機の振動測定モードを診断の目的
に応じて速度モード或は加速度モードに設定しておき、
各モードにおける特徴的周波数のスペクトラムから周波
数解析範囲を決定して回転機の振動診断を実施するに当
たり、次の各式からそれぞれ上限値を決定することを特
徴とする回転機の振動診断時における周波数解析範囲の
上限値決定方法である。
【0006】 速度モードにおける周波数解析範囲の上限値Fv (Hz)は、 Fv =100×R/60 但しR:回転数(r.p.m.) 加速度モードにおける周波数解析範囲の上限値Fa (Hz)は、 Fa =500000/ 但しd:軸受内径(mm)
【0007】
【作用】回転機の振動診断において、速度モードに出現
する特徴的な周波数とは、回転軸の異常(回転周波数f
0 の10倍以下)、架台の異常(f0 の5倍以下)、カ
ップリングの異常(f0 の20倍以下)、ギヤの異常
(f0 の100倍以下)などであるから、回転周波数f
0 が決まれば、その100倍を速度モードの周波数解析
範囲の上限値とする。すなわち、回転機の回転数をR
(r.p.m.)とすればf 0 =R/60であるから、
速度モードにおける周波数解析範囲の上限値Fv (H
z)を、Fv =100×R/60と自動設定する。
【0008】また、加速度モードに出現する特徴的な周
波数とは、軸受の異常によるもの(軸受の固有振動数)
であり、軸受の大きさによって決定される。軸受の固有
振動数には内輪(inner race)の固有振動数と外輪(ou
ter race)の固有振動数があるが、内輪の固有振動数の
方が周波数が高いので、周波数解析範囲の上限値の決定
においては、内輪の固有振動数を基準とすればよい。
【0009】一般的な軸受について、n次の内輪の固有
振動数fn (Hz)と軸受内径d(mm)の関係を図1
に示す。特定軸受内径における周波数解析範囲は何れ
も、fn < 500000/d の領域内にあるので、
加速度モードにおける周波数解析範囲の上限値Fa は、
Fa =500000/d(Hz)に自動設定する。この
ように、Fv およびFa を自動設定することにより未熟
練者であっても各周波数解析範囲の上限値は正確に設定
され熟練者と同様な測定分解能を得ることができる。
【0010】
【実施例】本発明の周波数解析範囲の上限値の決定方法
の実施例を説明する。図2は速度モード、図3は加速度
モードの場合を示す。図2において、 (a) はじめ (b) 測定範囲設定値F i =1、2…20)を
設定しておく。
【0011】(c) 自動・手動モードの判定、自動モ
ードならばdへ、手動モードならば測定設定値Fn を入
力して(h)へ。 (d) 自動モードでは回転数Rを入力する。 (e) Fv =100×R/60(Hz)を演算する。 (f) i=1、2…20の中から1つのnを選びn
>Fv かつFn-1 <Fv であるnを決定する。
【0012】(g) Fn を入力する。 (h) おわり。 図3は、図2と(d)、(e)、(f)の工程が異なる
のみで、他は同じである。すなわち、図3では、 (d) 自動モードでは軸受内径dを入力する。
【0013】(e) Fa =500000/d(Hz)
を演算する。 (f) i=1、2…20の中から1つのnを選びn
>Fa かつFn-1 <Fa であるnを決定する。
【0014】
【発明の効果】本発明は、回転機の異常を診断する際の
周波数解析の分解能を未熟練者であっても熟練者同様に
向上させることが可能となり、業務の合理化を図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】n次の内輪の固有振動数fn と軸受内径dとの
関係グラフである。
【図2】速度モードにおける望ましい周波数解析範囲の
上限値を求めるフローチャートである。
【図3】加速度モードにおける望ましい周波数解析範囲
の上限値を求めるフローチャートである。
【符号の説明】
n n次の内輪の固有振動数 Fn 測定範囲設定値 Fv 周波数解析範囲の上限値(速度モード) Fa 周波数解析範囲の上限値(加速度モード) d 軸受内径 R 回転数(r.p.m.)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転機の振動測定モードを診断の目的に
    応じて速度モード或は加速度モードに設定しておき、各
    モードにおける特徴的周波数のスペクトラムから周波数
    解析範囲を決定して回転機の振動診断を実施するに当た
    り、次の各式からそれぞれ上限値を決定することを特徴
    とする回転機の振動診断時における周波数解析範囲の上
    限値決定方法。 速度モードにおける周波数解析範囲の上限値Fv (Hz)は、 Fv =100×R/60 但しR:回転数(r.p.m.) 加速度モードにおける周波数解析範囲の上限値Fa (Hz)は、 Fa =500000/ 但しd:軸受内径(mm)
JP27040192A 1992-10-08 1992-10-08 回転機の振動診断時における周波数解析範囲の上限値決定方法 Expired - Lifetime JP2651091B2 (ja)

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