JP2648094B2 - 超重質油エマルション燃料 - Google Patents

超重質油エマルション燃料

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JP2648094B2
JP2648094B2 JP6158703A JP15870394A JP2648094B2 JP 2648094 B2 JP2648094 B2 JP 2648094B2 JP 6158703 A JP6158703 A JP 6158703A JP 15870394 A JP15870394 A JP 15870394A JP 2648094 B2 JP2648094 B2 JP 2648094B2
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登 森山
次利 小倉
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超重質油エマルション燃
料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】石油、
石炭及びLNGに含まれない化石燃料資源として、オイル
サンド、ビチューメン類(オリノコタール、アサバスカ
ビチューメン)などが埋蔵量が多いことから非常に注目
されている。また、石油系でもナフサなどの蒸留留出油
分を除いたアスファルト又はその熱処理残渣類は多量に
あまっている。これらの超重質油は通常減圧蒸留残分で
ある420〜450℃以上の重質留分を約60〜70%以上含有す
る油状物質で、そのままでは流動しないか又は数万セン
チポイズ以上の高粘性を有している。そのため、燃料と
して使用するには、280〜300℃などの高温にしないとハ
ンドリングや霧化などで問題があり、また、配管などの
閉塞のトラブルを起こしやすく、大変、使いにくい燃料
である。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは適当な界面
活性剤及び天然物に由来する親水性高分子物質を用いる
と超重質油(O)を水(W)の中に乳化させた超重質油
の水中油滴型(O/W型)エマルション燃料を製造でき
ることを見出した。このエマルション燃料は水に比較的
近い粘度を示し、高温、例えば80〜90℃の温度で十分な
霧化が可能であり、大変、取り扱い易い燃料である。O
/W型エマルション燃料において、W(水)の含量が低
いほど、即ち、O(油)含量が多いほど、燃料として好
ましく、燃料損失が少ない。エマルション燃料が通常の
液体の燃料油と同じように扱えるためには、輸送や貯蔵
に耐える長期安定性が必要である。従来、灯油、A重
油、B重油、C重油などの流動性良好な油を乳化して使用
することは数多く報告されているが、重質留分が大変高
く、流動しないか又は数万センチポイズ以上の高粘性を
持つ超重質油を乳化し、燃料として使用することは殆ど
報告されていない。
【0004】本発明者らは超重質油100部(重量基準、
以下同じ)、水30〜80部好ましくは33〜50部、下記の
(i)〜(vii)で示される群から選ばれるHLB(親水性
親油性バランス)値14〜19のノニオン界面活性剤0.05〜
4部、及び下記の(A)で示される天然高分子誘導体か
ら選ばれる天然物に由来する親水性高分子物質0.003〜
1部からなる組成物又は、上記のノニオン界面活性剤、
天然物に由来する親水性高分子物質の他に更に下記の
(I)〜(VII)で示される群から選ばれるアニオン界
面活性剤を超重質油100部に対して、0.005〜4部を添加
してなり、アニオン界面活性剤/ノニオン界面活性剤の
重量比が20/80〜34/66である組成物が低粘度で長期間
安定なO/W型の超重質油エマルションになることを見
出した。この組成物の製造には効率の良い機械的手段と
して高剪断型の撹拌装置が使用される。
【0005】<HLB 14〜19のノニオン界面活性剤> (i)フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、ノ
ニルフェノール、ジノニルフェノール、ドデシルフェノ
ール、パラクミルフェノール、ビスフェノールAなどの
フェノール性水酸基を有する化合物のアルキレンオキシ
ド付加物。ただし、アルキレンオキシドはエチレンオキ
シド又は/及びプロピレンオキシド、ブチレンオキシ
ド、スチレンオキシドである。 (ii)アルキルフェノール、フェノール、メタクレゾー
ル、スチレン化フェノール、ベンジル化フェノールなど
のフェノール性水酸基を有する化合物のホルマリン縮合
物のアルキレンオキシド付加物。縮合度の平均は1.2〜1
00、アルキレンオキシドはエチレンオキシド又は/及び
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキ
シドである。 (iii)炭素数2〜50の一価の脂肪族アルコール及び/
又は脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物。アルキ
レンオキシドはエチレンオキシド又は/及びプロピレン
オキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドであ
る。 (iv)エチレンオキシドとプロピレンオキシド又は/及
びブチレンオキシド、スチレンオキシドのブロック又は
ランダム付加重合物。 (v)グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエ
リスリトール、ソルビトール、蔗糖、ポリグリセリン、
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価
アルコール、又はそれら多価アルコールと炭素数8〜18
の脂肪酸とのエステルのアルキレンオキシド付加物。ア
ルキレンオキシドはエチレンオキシド又は/及びプロピ
レンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドで
ある。 (vi)エチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、ポ
リエチレンイミン(分子量600〜1万)などの複数個の
活性水素を有する多価アミンのアルキレンオキシド付加
物。アルキレンオキシドはエチレンオキシド又は/及び
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキ
シドである。 (vii)トリグリセライド型油脂1モルと、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
ソルビトール、蔗糖、エチレングリコール、分子量1000
以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、分子量1000以下のポリプロピレングリコールからな
る群から選ばれた1種又は2種以上の多価アルコール及
び/又は水0.1〜5モルとの混合物に、アルキレンオキ
シドを付加反応させた生成物。アルキレンオキシドはエ
チレンオキシド又は/及びプロピレンオキシド、ブチレ
ンオキシド、スチレンオキシドである。
【0006】上記のノニオン界面活性剤の作用は超重質
油の粒子の界面に吸着し、粒子が小さくなるのを助ける
と同時に、保護作用によって、粒子の再凝集を妨げるこ
とである。
【0007】超重質油の粘性は非常に高いため、一般に
50〜60℃以上の高温で乳化してエマルション燃料を製造
している。粘性が高いほど高い温度が必要である。ノニ
オン界面活性剤のHLB値は乳化温度によって異なるが、1
4〜19、好ましくは15〜17である。上記のノニオン界面
活性剤の中では(vii)に記した界面活性剤が総合的に
優れた性能を示した。次に(i)と(iii)の界面活性
剤が優れた性能を示した。これらの界面活性剤はそれぞ
れ2種以上を混合したものを使用してもよい。
【0008】天然物に由来する親水性高分子物質は下記
(A)で示される天然高分子誘導体から選ばれる。こ
の親水性高分子物質は水に溶解又は分散して粘稠性又は
ゲル化性を示す。(A) 天然高分子誘導体 (イ)セルローズ誘導体(カルボキシメチルセルローズ
など) (ロ)加工澱粉。
【0009】親水性高分子物質は超重質油100部に対し
て、0.003〜1部、好ましくは0.01〜0.1部含まれるよう
に使用した方が良い。添加量が多くなると、系の粘度が
高くなり、また、経済的にも不利になるので、できるだ
け少量で効果を発揮する方が好ましい。
【0010】超重質油エマルション燃料を製造した後、
パイプ輸送したり、更に船で遠距離を輸送する場合、少
なくとも1ケ月、できれば3ケ月以上にわたって、エマ
ルション燃料が安定で、増粘したり、分離が起こらない
ことが必要である。上記の界面活性剤だけを含み、親水
性高分子物質を含まない超重質油エマルション燃料では
2〜3週間以内に非常に粘度が高くなったり、固い沈降
物を生成したり、粒子が凝集して大きくなったり、油が
分離したりする。このような系に親水性高分子物質を添
加すると1ケ月以上から3ケ月以上にわたって、安定な
エマルション燃料になる。
【0011】ノニオン界面活性剤の性能は温度の影響を
強くうけるため、高温で乳化した系は、温度が低くなる
と乳化の安定性が悪くなる。超重質油のように粘性が非
常に高い油を乳化する場合、60℃以上で乳化するのが一
般的であり、これを保存したり、船輸送したり、パイプ
輸送する場合はその土地や季節の温度になるので、零度
近い温度又はそれ以下になることもある。親水性高分子
物質を添加するとその親水性付与効果が大きいため、ノ
ニオン界面活性剤の温度低下による性能の低下を補うこ
とができる。
【0012】上記のノニオン界面活性剤−親水性高分子
物質の系に、更にアニオン界面活性剤を添加すると一層
長期間安定な超重質油エマルション燃料になる。
【0013】アニオン界面活性剤としては次の(I)〜
(VII)に挙げたものが本発明の代表的なものである。
【0014】(I)ナフタリン、アルキルナフタリン、
アルキルフェノール、アルキルベンゼンなどの芳香族環
化合物のスルホン酸又はスルホン酸塩のホルマリン縮合
物。但し、ホルマリンの平均縮合度は1.2〜100、好まし
くは2〜20、塩はアンモニウム、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ
エチルアミンなどの低級アミン、ナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ金属又は
アルカリ土類金属類である。 (II)リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩、そ
の誘導体、リグニンスルホン酸とナフタリン、アルキル
ナフタリンなどの芳香族化合物のスルホン酸とのホルマ
リン縮合物及びその塩。塩としては上記のいずれの場合
も、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンな
どの低級アミン、ナトリウム、カリウム、カルシウム、
マグネシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属
である。ホルマリンの平均縮合度は1.2〜50、好ましく
は2〜20である。リグニンの中では、変性リグニン、例
えばカルボキシル基を少し導入した方が、特に高温で優
れた性能を示す。 (III)ポリスチレンスルホン酸又はその塩及びスチレ
ンスルホン酸と他の共重合性モノマーとの共重合体とそ
の塩。但し、分子量は500〜50万、好ましくは2000〜10
万、塩はアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミ
ンなどの低級アミン、ナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、マグネシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類
金属である。共重合性モノマーとしては、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリル酸エステ
ル、オレフィン、アリルアルコール及びその酸化エチレ
ン付加物、AMPSなどがその代表例である。 (IV)ジシクロペンタジエンスルホン酸重合物又はその
塩。重合物の分子量は500から50万、好ましくは2000〜1
0万。塩はアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエ
タノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルア
ミンなどの低級アミン、ナトリウム、カリウム、カルシ
ウム、マグネシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土
類金属類である。 (V)無水マレイン酸又は/及び無水イタコン酸と他の
共重合性モノマーとの共重合体とその酸及び塩。但し、
分子量は500から50万、好ましくは1500〜10万である。
塩はアンモニウム又はナトリウム、カリウムなどのアル
カリ金属類である。共重合性モノマーとしてはオレフィ
ン(エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキ
セン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセ
ン、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセ
ン、ヘキサデセン)、スチレン、酢酸ビニル、アクリル
酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸などである。 (VI)液状ポリブタジエンのマレイン化物及びその塩。
但し、液状ポリブタジエンの分子量は500〜20万、好ま
しくは1,000〜5万、マレイン化度は水に溶解するのに
必要なだけでよいが、好ましくは40〜70%である。塩と
しては、アンモニウム又はナトリウム、カリウムなどの
アルカリ金属類である。
【0015】(VII)親水基を分子中に1個又は2個持
つ、次のアニオン界面活性剤。 (a)炭素数4〜18のアルコールの硫酸エステル塩。但
し、塩としては、アンモニウム、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ
エチルアミンなどの低級アミン、ナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ金属又は
アルカリ土類金属類である。ドデシル硫酸ナトリウム、
オクチル硫酸ナトリウムなどがその代表例である。 (b)炭素数4〜18のアルカン、アルケン又は/及びア
ルキルアリールスルホン酸又はその塩。但し、塩として
は、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンな
どの低級アミン、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金
属類である。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
ブチルナフタリンスルホン酸ナトリウム、ドデカンスル
ホン酸ナトリウムが代表例である。 (c)活性水素を分子中に1個以上持つ化合物のアルキ
レンオキシド付加物の硫酸化物又はリン酸エステル化物
及びそれらの塩。塩としては、アンモニウム、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カルシウムである。ポリ
オキシエチレン(3モル)ノニルフェニルエーテルの硫
酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(3モ
ル)ドデシルエーテルのリン酸エステルナトリウム塩が
その代表例である。 (d)炭素数4〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のエステル
であるスルホコハク酸塩。但し、塩としては、アンモニ
ウム、ナトリウム、カリウムである。ジオクチルスルホ
コハク酸ナトリウム塩又はアンモニウム塩、ジブチルス
ルホコハク酸ナトリウム塩などがその代表例である。 (e)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸又はそ
の塩。アルキル基は炭素数8〜18のアルキル基であり、
塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、マグネシ
ウム、カルシウムである。 (f)ロジン酸又はその塩。塩としてはアンモニウム、
ナトリウム、カリウムである。ロジン酸と高級脂肪酸の
混合酸であるトール油混酸とその塩もこの中に含まれ
る。 (g)炭素数4〜18のアルカン又はアルケン脂肪酸とそ
の塩。塩はアンモニウム、カリウム、ナトリウムであ
る。
【0016】上記のアニオン界面活性剤の中、特に、リ
グニンスルホン酸塩やリグニンスルホン酸とナフタリン
スルホン酸のホルマリン縮合物やそれらの塩、ナフタリ
ンスルホン酸塩ホルマリン縮合物が総合的にこれらの中
では優れた性能を示した。アニオン界面活性剤の作用は
超重質油の粒子の界面に吸着し、粒子が更に小さくなる
のを助けると同時に、粒子に荷電を与え、粒子の再凝集
を妨げることである。ノニオン界面活性剤は温度の影響
を強くうけるが、アニオン界面活性剤を添加すると温度
の影響が弱くなり、エマルションの保存安定性が改良さ
れる。また親水性高分子物質の作用が加わり、保存安定
性は一層向上する。
【0017】アニオン界面活性剤単独では系の粘度は下
がるが、保存安定性が劣り、ノニオン界面活性剤単独で
は温度の影響を強く受けるために、時間と共に増粘し、
やはり、長時間安定なエマルション燃料はできない。ノ
ニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を併用すると安
定なエマルション燃料ができる。優れた性能を示すアニ
オン界面活性剤とノニオン界面活性剤の重量比(アニオ
ン界面活性剤/ノニオン界面活性剤)は20/80〜34/66
である。エマルション燃料100部に対するアニオン界面
活性剤の添加量は0.005〜2.2部が好ましく、更に好まし
くは0.06〜0.61部である。アニオン界面活性剤とノニオ
ン界面活性剤の作用に、親水性高分子物質の強い保護作
用が加わると超重質油エマルション燃料は長期間にわた
って低粘度で安定な系になる。
【0018】アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性
剤、親水性高分子物質の三者使用系及びノニオン界面活
性剤、親水性高分子物質の二者使用系は予め配合したも
のを使用しても良いし、別々に使用しても良い。また、
水、油のいずれに添加しても良いが、水に添加した方が
取り扱いが容易である。
【0019】エマルション燃料を製造するための機械的
な手段としては、高剪断型の撹拌装置が使用される。例
えば、ラインミキサー、矢羽根タービン翼、プロペラ
翼、ブルマージン型翼、バドル翼などである。2つ以上
の方法の組み合わせでも良い。
【0020】本発明で超重質油と呼んでいる油は高温に
加温しないと流動しない下記の油が含まれる。 (1)石油系アスファルト類及びその油の混合物。 (2)石油系アスファルト各種処理物、その中間製品、
残渣、及びそれらの油混合物。 (3)高温で流動しない高流動点油あるいは原油。 (4)石油系タールピッチ及びその油混合物。 (5)ビチューメン類(オリノコタール、アサバスカビ
チューメン)。
【0021】一般にナフテン系アスファルトは乳化が容
易で、パラフィン基油や混合基油に由来するアスファル
トは乳化が難しいと言われている。また、ナフテン系も
揮発成分を十分留出させて、重質留分が高いアスファル
トでは乳化しにくくなる。最近のアスファルトは揮発成
分を十分に留出させたものが多くなっているが、本発明
のアスファルトは従来の方法では長期間安定なエマルシ
ョンを製造することが困難なアスファルトを主な対象と
している。
【0022】オリノコタールなどのビチューメン類は蒸
気注入法などで油を抽出している。この工程で前記のア
ニオン界面活性剤−ノニオン界面活性剤−親水性高分子
物質、又はノニオン界面活性剤−親水性高分子物質を用
いることができるし、抽出後、砂その他の固体粒子を除
いたり、脱塩した後、使用してエマルション燃料を製造
しても良い。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0024】実施例 中東石油系アスファルト(針入度60〜80)又はアサバス
カビチューメン(軟化温度12.5℃、カナダ産)、水、界
面活性剤、親水性高分子物質を合計300gになるように所
定量を秤量し、800ml遠沈管に入れ、75℃に加温する。
一定温度に達した後、特殊機化工製、TKホモミキサー
(低粘度攪拌翼付)により攪拌し、エマルション燃料を
調製し、60℃で保温する。一定温度に達した後、粘度を
測定した。エマルション燃料の一部は50℃に保温し、状
態を1日後、7日後、21日後、1ケ月後、3ケ月後と観
察し、一部は取り出して、100メッシュの篩の通過量を
測定した。粘度は芝浦システム(株)製ビスメトロンVS
−AI型,No.2,ローター60rpmで測定し、篩通過量は50
℃の雰囲気でφ70mmの100メッシュステンレス製篩に約1
0gの試料をのせ、10分後の篩残量を算出した。結果を表
1〜に示した。
【0025】尚、総合評価はエマルションの粘度、篩通
過量、エマルション放置後の分散状態の肉眼観察を総合
して行った。◎>○>△>×の順に良好であり、△以上
が一応、効果が認められる系である。
【0026】但し、静置後の分散状態は、図1に示すよ
うな表面層1、中間層2及び沈降層3の三層の状況を観
察して、それぞれ表面層、中間層、沈降層に分けて評価
した。
【0027】表面層1においては、表面の油滴の大小、
それが大きくなった油膜の大小を観察した。分散状態は
油滴なし>油滴少量>油膜少量>油膜多量の順に良好で
ある。
【0028】中間層2においては、乳化状態の良し悪し
を観察した。乳化状態は乳化良好>若干クリーム状>ク
リーム状>分離状態>分離度大きい>完全分離の順に良
好である。
【0029】沈降層3においては、沈降物なし>ソフト
沈降物>ハード沈降物の順に良好である。ソフト沈降物
はやわらかく再分散が容易な沈降物であり、ハード沈降
物は固く、再分散が困難な沈降物である。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 静置後の分散状態の評価に用いた遠沈管の略
示図である。
【符号の説明】 1:表面層 2:中間層 3:沈降層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 開 昭夫 長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重 工業株式会社長崎研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−54498(JP,A) 特公 昭61−501754(JP,B1) 米国特許4666457(US,A) 国際公開85/3046(WO,A) 界面活性剤ハンドブック、高橋越民外 3名著、工学図書株式会社、昭和53年5 月1日、16〜23、179ページ

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超重質油100重量部、水30〜80重量部、
    下記の(i)〜(vii)で示される群から選ばれる親水
    性親油性バランス(HLB)値14〜19のノニオン界面活性
    剤0.05〜4重量部、及び下記の(A)で示される天然高
    分子誘導体から選ばれる天然物に由来する親水性高分子
    物質0.003〜1重量部を高剪断型の撹拌装置により撹拌
    し乳化してなる超重質油エマルション燃料。 <HLB 14〜19のノニオン界面活性剤> (i)フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、ノ
    ニルフェノール、ジノニルフェノール、ドデシルフェノ
    ール、パラクミルフェノール、ビスフェノールAなどの
    フェノール性水酸基を有する化合物のアルキレンオキシ
    ド付加物。ただし、アルキレンオキシドはエチレンオキ
    シド又は/及びプロピレンオキシド、ブチレンオキシ
    ド、スチレンオキシドである。 (ii)アルキルフェノール、フェノール、メタクレゾー
    ル、スチレン化フェノール、ベンジル化フェノールなど
    のフェノール性水酸基を有する化合物のホルマリン縮合
    物のアルキレンオキシド付加物。縮合度の平均は1.2〜1
    00、アルキレンオキシドはエチレンオキシド又は/及び
    プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキ
    シドである。 (iii)炭素数2〜50の一価の脂肪族アルコール及び/
    又は脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物。アルキ
    レンオキシドはエチレンオキシド又は/及びプロピレン
    オキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドであ
    る。 (iv)エチレンオキシドとプロピレンオキシド又は/及
    びブチレンオキシド、スチレンオキシドのブロック又は
    ランダム付加重合物。 (v)グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエ
    リスリトール、ソルビトール、蔗糖、ポリグリセリン、
    エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピ
    レングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価
    アルコール、又はそれら多価アルコールと炭素数8〜18
    の脂肪酸とのエステルのアルキレンオキシド付加物。ア
    ルキレンオキシドはエチレンオキシド又は/及びプロピ
    レンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドで
    ある。 (vi)エチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、ポ
    リエチレンイミン(分子量600〜1万)などの複数個の
    活性水素を有する多価アミンのアルキレンオキシド付加
    物。アルキレンオキシドはエチレンオキシド又は/及び
    プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキ
    シドである。 (vii)トリグリセライド型油脂1モルと、グリセリ
    ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
    ソルビトール、蔗糖、エチレングリコール、分子量1000
    以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコー
    ル、分子量1000以下のポリプロピレングリコールからな
    る群から選ばれた1種又は2種以上の多価アルコール及
    び/又は水0.1〜5モルとの混合物に、アルキレンオキ
    シドを付加反応させた生成物。アルキレンオキシドはエ
    チレンオキシド又は/及びプロピレンオキシド、ブチレ
    ンオキシド、スチレンオキシドである。 <天然物に由来する親水性高分子物質>(A) 天然高分子誘導体 (イ)セルローズ誘導体(カルボキシメチルセルローズ
    など) (ロ)加工澱粉
  2. 【請求項2】 請求項1記載のノニオン界面活性剤及び
    天然物に由来する親水性高分子物質の他に、更に下記の
    (I)〜(VII)で示される群から選ばれるアニオン界
    面活性剤を超重質油100重量部に対して0.005〜4部添加
    してなり、アニオン界面活性剤/ノニオン界面活性剤の
    重量比が20/80〜34/66である超重質油エマルション燃
    料。 (I)ナフタリン、アルキルナフタリン、アルキルフェ
    ノール、アルキルベンゼンなどの芳香族環化合物のスル
    ホン酸又はスルホン酸塩のホルマリン縮合物。但し、ホ
    ルマリンの平均縮合度は1.2〜100、塩はアンモニウム、
    モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
    ノールアミン、トリエチルアミンなどの低級アミン、ナ
    トリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの
    アルカリ金属又はアルカリ土類金属類である。 (II)リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩、そ
    の誘導体、リグニンスルホン酸とナフタリン、アルキル
    ナフタリンなどの芳香族化合物のスルホン酸とのホルマ
    リン縮合物及びその塩。塩としては上記のいずれの場合
    も、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノー
    ルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンな
    どの低級アミン、ナトリウム、カリウム、カルシウム、
    マグネシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属
    である。ホルマリンの平均縮合度は1.2〜50である。 (III)ポリスチレンスルホン酸又はその塩及びスチレ
    ンスルホン酸と他の共重合性モノマーとの共重合体とそ
    の塩。但し、分子量は500〜50万、塩はアンモニウム、
    モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
    ノールアミン、トリエチルアミンなどの低級アミン、ナ
    トリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの
    アルカリ金属又はアルカリ土類金属である。 (IV)ジシクロペンタジエンスルホン酸重合物又はその
    塩。重合物の分子量は500から50万、塩はアンモニウ
    ム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
    エタノールアミン、トリエチルアミンなどの低級アミ
    ン、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム
    などのアルカリ金属又はアルカリ土類金属類である。 (V)無水マレイン酸又は/及び無水イタコン酸と他の
    共重合性モノマーとの共重合体とその酸及び塩。但し、
    分子量は500から50万、塩はアンモニウム又はナトリウ
    ム、カリウムなどのアルカリ金属類である。 (VI)液状ポリブタジエンのマレイン化物及びその塩。
    但し、液状ポリブタジエンの分子量は500〜20万、塩と
    しては、アンモニウム又はナトリウム、カリウムなどの
    アルカリ金属類である。 (VII)親水基を分子中に1個又は2個持つ、次のアニ
    オン界面活性剤。 (a)炭素数4〜18のアルコールの硫酸エステル塩。但
    し、塩としては、アンモニウム、モノエタノールアミ
    ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ
    エチルアミンなどの低級アミン、ナトリウム、カリウ
    ム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ金属又は
    アルカリ土類金属類である。 (b)炭素数4〜18のアルカン、アルケン又は/及びア
    ルキルアリールスルホン酸又はその塩。但し、塩として
    は、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノー
    ルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンな
    どの低級アミン、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
    ム、カルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金
    属類である。 (c)活性水素を分子中に1個以上持つ化合物のアルキ
    レンオキシド付加物の硫酸化物又はリン酸エステル化物
    及びそれらの塩。塩としては、アンモニウム、ナトリウ
    ム、カリウム、マグネシウム又はカルシウムである。 (d)炭素数4〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のエステル
    であるスルホコハク酸塩。但し、塩としては、アンモニ
    ウム、ナトリウム又はカリウムである。 (e)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸又はそ
    の塩。アルキル基は炭素数8〜18のアルキル基であり、
    塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、マグネシ
    ウム又はカルシウムである。 (f)ロジン酸又はその塩。塩としてはアンモニウム、
    ナトリウム又はカリウムである。ロジン酸と高級脂肪酸
    の混合酸であるトール油混酸とその塩もこの中に含まれ
    る。 (g)炭素数4〜18のアルカン又はアルケン脂肪酸とそ
    の塩。塩はアンモニウム、カリウム又はナトリウムであ
    る。
  3. 【請求項3】 ノニオン界面活性剤のHLBが15〜17であ
    る請求項1又は2記載の超重質油エマルション燃料。
  4. 【請求項4】 アニオン界面活性剤が請求項2記載の
    (I)又は/及び(II)である請求項2記載の超重質油
    エマルション燃料。
  5. 【請求項5】 アニオン界面活性剤が請求項2記載の
    (I)又は/及び(II)であり、ノニオン界面活性剤が
    請求項1記載の(i)である請求項2記載の超重質油エ
    マルション燃料。
  6. 【請求項6】 水の添加量が超重質油100重量部に対し
    て33〜50重量部である請求項1又は2記載の超重質油エ
    マルション燃料。
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