JP2646351B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

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JP2646351B2 JP61308678A JP30867886A JP2646351B2 JP 2646351 B2 JP2646351 B2 JP 2646351B2 JP 61308678 A JP61308678 A JP 61308678A JP 30867886 A JP30867886 A JP 30867886A JP 2646351 B2 JP2646351 B2 JP 2646351B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、ベルト層に熱可塑性樹脂をマトリックスと
する繊維強化材を用いることにより、操縦安定性を損な
うことなくタイヤ転動抵抗を減少せしめた空気入ラジア
ルタイヤに関する。
〔従来技術〕
従来、自動車の普及、高速道路の充実と共に乗用車用
タイヤのラジアル化が進み、新型車に装着されているタ
イヤのラジアル化率は、約80%にも達している。このよ
うにラジアルタイヤが普及してきたのは、その独特なラ
ジアル構造により耐摩耗性、耐高速性、操縦安定性が従
来のバイアスタイヤに比べて優れていることに起因して
いる。良く知られている乗用車用ラジアル・プライ・タ
イヤの構造は、トレッド部とそのトレッド部の両肩でこ
れに連なる一対のサイド部とサイド部の内周にそれぞれ
形成した一対のビード部をそなえ、タイヤの半径方向に
コードを配列してなるカーカス及びそのカーカスを取り
巻くベルト層より構成されている。このカーカス部、ベ
ルト部は、ビード部と共にタイヤの強度を保持する重要
な役割をもっている。そして、一般的にベルト層はタイ
ヤ周方向に対しコードを10度〜30度に配列した2層以上
のプライから成り、またカーカスは周方向に対しほぼ90
度に配列された1層または2層のプライから形成されて
いる。ラジアルタイヤの特徴は、このベルト層、カーカ
スにある。カーカスはタイヤに柔軟性を与え、ベルト層
はカーカスを拘束し、それはあたかも、桶の“タガ”の
ような役割をもっている。このベルト層により、トレッ
ド踏面部がかためられるためトレッド踏面部の動きが押
さえられ、前記良好なタイヤ特性が得られる。昭和48年
のオイルショック以来、省エネルギーが叫ばれ、自動車
においても、その低燃費性は大きな車両特性となり、従
来タイヤに比べ良好なタイヤ特性をもつ乗用車は、ラジ
アル・プライ・タイヤにおいても様々な角度から改善が
要求されている。自動車における低燃費性は、エンジン
の熱効率を向上することと、いかに走行抵抗を低減化す
ることができるかによる。自動車にとって重要部品の1
つであるタイヤは、走行抵抗に大きく影響するもので、
低燃費化の一翼をになうものである。
この車両の走行抵抗は一般に、(1)各軸受摩擦など
の機械的損失に起因する転動抵抗、(2)空気抵抗、
(3)勾配抵抗、(4)加速抵抗、(5)タイヤ転動抵
抗、と大別することができる。このうち(5)のタイヤ
転動抵抗の占める割合は、車両の速度によって変化する
が、空気抵抗の小さい100km/h以下の速度域では50%以
上に達するといわれている。タイヤの転動抵抗は更にそ
のメカニズムから分析すると、(a)ヒステリシス・ロ
ス、(b)摩擦抵抗、(c)空気抵抗に分けられ、この
うちヒステリシス・ロスは、タイヤ転動抵抗の90%以上
を占めるといわれている。このヒステリシス・ロスを低
減することが、前記タイヤ転動抵抗を低減化するのに極
めて有効であることは言うまでもない。そして、このヒ
ステリシス・ロスによって生ずる転動抵抗は次式によっ
て表されることは、一般的に知られている。
転動抵抗=H/2πr ここで、 H=ΣUi・sinδ・Vi r=タイヤ半径 Ui:タイヤ各部の歪エネルギー sinδ:タイヤ各部のエネルギー損失量 Vi:タイヤ各部の体積 これから、ヒステリシス・ロスを小さくする要因をタ
イヤ半径を一定として考えると、ヒステリシス・ロスは
Ui、sinδ、Viに影響を受けることがわかる。Uiは、タ
イヤ形状、その他、外的要因によって影響を受け易く、
またそれを定量的に把握することはむずかしい。このた
め、ヒステリシス・ロスを小さくする手段として現在、
一般的に用いられているのはsinδ、Viを小さくする方
法が取られている。これまでに、sinδ、Viを小さくす
る方法として取られてきたのは、sinδについては低発
熱トレッド・コンパウンドの採用、またViについては各
部材の軽量化である。トレッド・コンパウンドを低発熱
化すると、湿潤路特性が低下し、ウェット路面に於ける
安全性が低下し、安易にこの方法を取ることができな
い。また、各部材の軽量化は効果があるが、しかし単純
に各部材の重量を軽減するだけでは耐久性が低下するだ
けでなく、タイヤの基本性能が低下してしまうので、現
行基本性能を維持し、各部材を軽量化することはむずか
しいことは周知の事実である。これらのむずかしい条件
の中でタイヤの軽量化を計るには、従来の材料に匹敵す
る特性をもつ新材料で、しかも軽量な新材料が要求され
ていた。
現在、一般に用いられている乗用車用ラジアル・プラ
イ・タイヤは、周方向に対しコードをほぼ90度に配列し
たカーカスプライと周方向に対しコードを15度〜30度に
配列したベルト層より構成されている。そして、カーカ
ス部材としては、ナイロン、ポリエステル等の有機繊維
が用いられている。ベルト層には、スチールが主として
用いられている。スチールは初期モジュラスが上記有機
繊維より大きく、このためベルト部の剛性が高められ、
乗用車用ラジアル・プライ・タイヤの優れた特性を保持
する上で重要な材料となっている。このような優れた特
性があるため、スチール・ベルトはタイヤが走行中障害
物に当たり、トレッド部に傷がつきその傷がベルトまで
達すると雨水等が入り、その水分によりベルト層がサビ
るという欠点があるが、現在、ベルト材として広く使わ
れている。しかし、一方スチールは重量当たりの引張強
さが極めて低いので、タイヤ重量、特にベルト部の重量
が大きくなり、スチール・ベルトの重量はタイヤ全体の
重量の15〜17%を占めている。即ち、ベルト部の重量を
如何に低減するかということが、タイヤ転動抵抗を減ら
す上に重要となっている。軽量化という面で考えれば、
ベルト材として前記有機繊維があるが、これらは初期モ
ジュラスがスチールより大幅に低いためベルト部の剛性
が不足し、操縦安定性の悪化を招く。
最近の繊維材料の研究開発はめざましいものがあり、
特に液晶紡糸、超延伸、ゲル紡糸、等の新しい紡糸技術
によりスチールコードに代わり得る軽量でかつ高強度、
高弾性な繊維材料が出現してきた。例えば炭素繊維、ア
ラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリオキシメ
チレン繊維、全芳香族ポリエステル繊維等である。本発
明者らの検討によると、これら繊維は、スチールの約1/
5の軽さで、強度はスチール並、又弾性率もスチールに
匹敵する特性のものが得られている。
しかしながら、これら繊維は基本的に単糸デニールの
極めて細いフィラメント多数本から構成されているた
め、従来の有機繊維タイヤコードと同様に接着処理済撚
りコードとして用いた場合、繊維軸方向での引張歪に対
しては良好な強度と弾性率を示すものの曲げ歪に対して
は従来の有機繊維コードと何ら変わることがなく、特に
タイヤのベルト層に用いたときにベルト部剛性が低下
し、タイヤの操縦安定性の悪化を招くという欠点があ
る。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、これら軽量かつ高強度高弾性な繊維
材料を有効に利用することにより、該繊維材料をベルト
に用いた場合の剛性不足に起因する操縦安定性低下を解
決し、軽量かつ転がり抵抗の改良されたタイヤを提供す
ることにある。かかる目的に対し、上記の高強度高弾性
繊維の利用方法を鋭意検討する中で次の知見を得た。即
ち、該繊維を従来の有機繊維と同様に撚りコードとした
後、レゾルシンホルマリン縮合物とゴムラテックスの混
合液(RFL)等の通常の接着剤で処理した場合、接着剤
の含浸が不充分でかつ接着剤の凝集力も小さく、多数本
のフィラメントからなるコードを充分収束させる効果が
なく、その結果、曲げ歪が加えられた場合、コードを構
成する個々のフィラメント間のズレにより歪を吸収して
しまうと同時に撚り構造の変化で同様に歪を吸収するた
めに繊維束全体に引張強力が加わらない結果、高い弾性
率を有する繊維であるにもかかわらずコードとして充分
な曲げ剛性が発現しないことが確認された。本発明は、
かかる知見に基づきなされたものである。
〔発明の構成〕
したがって、本発明は、比重3.0未満、引張強度10g/d
以上、引張弾性率200g/d以上のフィラメント多数本から
なる太さが10,000D以下の無撚りの繊維束をタテ糸及び
ヨコ糸に用いて平織物、朱子織物、綾織物等の織物と
し、この織物に引張弾性率が10kgf/mm2以上の熱可塑性
樹脂を15重量%以上含浸付着せしめてなるシート状繊維
強化材とゴムシートとの貼り合わせシートをタイヤ周方
向に平行に複数回巻きつけてベルト層を形成したことを
特徴とする空気入りラジアルタイヤを要旨とするもので
ある。
上記ベルト層は、好ましくは、0.1mm〜1.0mmの厚さを
有するシート状繊維強化材をゴムと貼り合わせ、これを
複数層積層させてなるものである。
以下、本発明の構成につき詳しく説明する。
本発明で用いる高強度・高弾性率を有する繊維からな
る織物とは、比重が、3.0未満で引張強度が10g/d以上、
引張弾性率が200g/d以上の繊維フィラメント多数本から
なる太さが10,000D以下の繊維束をタテ糸及びヨコ糸に
用い、平織物、朱子織物、綾織物等の織物に織ったもの
であり、たて糸、ヨコ糸に異種の繊維を打ち込んだ所謂
ハイブリッド状の織物も含まれる。織物を構成するフィ
ラメント(繊維)は、前記から明らかなように、例え
ば、炭素繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊
維、ポリオキシメチレン繊維、全芳香族ポリエステル繊
維などである。
ここで、比重が3.0以上では軽量化材料としてのメリ
ットを享受できない。また、引張強度が10g/d未満では
強度が不足する結果、ベルト層に用いた場合、使用量を
多くする必要から充分な軽量化が達成できない。その観
点で、好ましくは15g/d以上のものを用いるのがよい。
引張弾性率が200g/d未満であるとタイヤのベルト剛性が
不足し操縦安定性に問題を生ずる。好ましくは、300g/d
以上のものを用いるのがよい。繊維束は、樹脂の含浸性
の観点から10,000D以下が良い。繊維束が太すぎると樹
脂の内部への含浸が困難となり、フィラメントを収束さ
せる効果が低下し、曲げ歪が加わった場合に充分に繊維
の引張弾性率を生かすことができなくなる。繊維束は通
常無撚りで用いられるが、含浸性を阻害しない程度に収
束性を与える意味から若干の撚りを加えることも可能で
ある。
これらの繊維束を用いて構成される織物は、その厚さ
が1mm以下であればその織構造は特に限定されるもので
はないが、タテ糸とヨコ糸が交叉することで生ずる空隙
はできる限り小さくすることが好ましい。空隙が多いと
空隙を埋めた樹脂に応力集中し、樹脂層の破壊を生じ易
い。また、特にヨコ糸の打ち込み数は、タイヤベルト部
へ用いる場合には、加工性を阻害しない程度に減らすこ
とも可能である。タテ糸、ヨコ糸に用いる繊維束は、前
記引張強度、弾性率を有するものであれば、同一の繊維
でも又異種の繊維を組み合わせても特に問題はない。
この織物に含浸付着せしめる熱可塑性樹脂は、例え
ば、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ
アセタール、ポリエーテル、エーテルケトン、ポリフェ
ニレンオキサイド、ポリエーテルスルフォン、ポリフェ
ニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリアクリレー
ト、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイ
ミド、ポリオキシベンゾイル、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニル、アクリル樹脂、ポリプロピレン、フッ素樹脂、
塩素化ポリエーテル等である。タイヤは短時間ではある
が、比較的高温で加硫されるので、加硫中に樹脂が溶解
したり、軟化流動するとベルト層とゴム層間での接着不
良が発生するので耐熱性の高い樹脂を用いる方がよい。
即ち、結晶性の熱可塑性樹脂では融点が200℃以上、ま
た非晶性の熱可塑性樹脂ではガラス転移温度が20℃以上
の物を選択することがより好ましい。さらに、これらの
樹脂のうち、引張弾性率が10kgf/mm2以上のものを用い
ることが必要である。また、樹脂の引張弾性率が10kgf/
mm2未満であると曲げ歪が加わった場合、樹脂層で歪を
吸収する割合が大きくなり繊維フィラメントに充分歪が
加わらなくなり、従って発生応力が低下し強化材として
曲げ剛性が不足する。その結果、タイヤのベルト層に用
いた場合、ベルト剛性低下により操縦安定性が低下す
る。従って、熱可塑性樹脂の中でも引張弾性率の低いい
わゆる熱可塑性エラストマーは、本発明の目的に合致し
ない場合が多い。熱可塑性樹脂の織物への含浸付着量
は、織物重量に対し15重量%以上、好ましくは30重量%
以上である。15重量%未満であると含浸が不充分とな
り、多数本のフィラメントを収束させる効果が低減し、
曲げ歪が加わった場合に充分に繊維の引張弾性率を生か
せなくなる。
このようにして作成した熱可塑性樹脂をマトリックス
としたシート状の繊維強化材は、厚みが1.0mm以下、0.1
mm以上であることが好ましい。厚みが薄すぎると曲げ剛
性が不充分となり、タイヤのベルト補強層として用いた
場合、充分な操縦安定性を享受できない。一方、厚みが
1.0mm超であると、大きな変形が加えられた場合、樹脂
と織物の接着界面破壊や樹脂内部での破壊が生じやす
く、耐久性の観点から不味である。また、厚すぎると剛
性が高くなりすぎ、タイヤの乗心地の低下を招く。該繊
維強化材は、ゴムとの接着性を付与するために接着剤を
塗布して用いられる。接着剤としてはいわゆるRFLでも
よいが、接着をさらに上げるためには塩化ゴム系の接着
剤を用いるのがよい。あるいは、プラズマ処理や酸によ
るエッチング等で表面活性化を行った後RFLで処理して
もよい。このようにして得られた材料は、シート状であ
るため、薄いゴムシートを片面に貼り合わせた後、それ
をタイヤ周方向に平行に数回巻きつけることでタイヤベ
ルト層として用いられる。ここで用いるゴムシートは、
厚さが0.1mm以上、3mm以下のものである。0.1mm未満の
場合、大きな変形が加えられるとゴムシートと繊維強化
材との接着界面に大きな剪断応力が発生し、接着破壊を
生じ易くなる。一方、3.0mm超の場合、曲げ剛性が高く
なりすぎ、タイヤの乗心地の低下を招く。
以下に実施例および比較例を示す。
実施例、比較例 シート状繊維強化材: (1)実施例1 引張強度22g/d、引張弾性率560g/d、比重1.44のアラ
ミド繊維(ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、
1500D)の無撚りの繊維束を用い、タテ、ヨコの打ち込
み本数が各々25本/5cmである平織物を用いた。この繊維
織物に、ナイロン6樹脂(東レ(株)製)を45重量%溶
融含浸付着せしめ、繊維強化シートを作成した。該シー
トの厚さは0.2mmであった。用いたナイロン6樹脂は、
融点が215℃で引張弾性率が280kgf/mm2である。尚、繊
維の引張特性はJIS L 1017に従い、ナイロン樹脂の引張
特性はASTM D 638に従って測定した。
(2)実施例2 引張強度21g/d、引張弾性率1500g/d、比重1.75の炭素
繊維1800Dの無撚り繊維束を用い、実施例1と全く同じ
織構造の平織物を作成した。この繊維織物に実施例1と
同様のナインロン6樹脂を45重量%溶融含浸付着させ、
繊維強化シートを作成した。該シートの厚さは0.2mmで
あった。
(3)比較例1 実施例1と同様のアラミド繊維織物を用い、熱可塑性
樹脂として熱可塑性ポリエステルエラストマー(東洋プ
ロダクツ(株)製ハイトレル)を用い45重量%溶融含浸
付着せしめた。この樹脂は、融点が213℃で、引張弾性
率は9kgf/mm2である。
(4)比較例2 実施例1と全く同様であるが、樹脂の溶融含浸付着量
が10重量%のものを作成した。
(5)比較例3 実施例1と同様のアラミド繊維1500Dを用い、通常タ
イヤコードとして用いられる方法で撚りを付与し、1500
D/2、撚り数状撚り30×下撚り30(回/10cm)のコードを
作成し、下記表1に示す水溶液エポキシ樹脂を1%付着
させ、熱処理後さらに下記表2に示すRFLを6%付着さ
せて熱処理し、接着処理コードを得た。これは通常、タ
イヤでアラミド繊維を用いる場合に使用される方法であ
る。
表 1 重量部 水 85.0 10%NaOH水溶液 1.0 2−ピロリドン 10.0 5%ジオクチルスルホコハク酸 ソーダ水溶液 2.0Epone812(注) 2.0 計 100.0 (注)シェル社製エポキシ グリセロースジグリシジル
エーテル。
表 2 重量部 水 50.9 レゾルシン 2.2 37%ホルマリン 3.2 10%NaOH水溶液 0.6 40%ビニルピリジン・スチレン・ ブタジエン共重合体ラテックス 41.728%アンモニア水 1.4 計 100.0 タイヤ: 実施例1〜2、比較例1〜3の材料及びスチールコー
ドをベルトに用い、タイヤ評価を行った。
タイヤサイズは195/70HR14である。また、評価項目
は、操縦安定性の指標であるコーナリングパワーとタイ
ヤ転がり抵抗及びタイヤ重量である。コーナリングパワ
ーは、周速10km/hrでタイヤをドラム上で回転させ、タ
イヤにスリップ角を与えた時に生ずる遠心力に対抗する
タイヤの回転軸に直角方向の力、即ちコーナリングフォ
ースを測定する。コーナリングパワーは、コーナリング
フォースのスリップ角に対する変化量であるが、便宜的
にスリップ角2度の時のコーナリングフォースをスリッ
プ角2度で除した値で表わす。転がり抵抗は、周速150k
m/hrでタイヤをドラム上で回転させ、その後、ドラムを
随行運動させ、ドラムの減衰速度と時間の関係からタイ
ヤとドラムの転がり抵抗を算出し、無負荷時のドラムの
回転抵抗を差し引いてタイヤの転がり抵抗を求めた。
(6)実施例3 実施例1の繊維強化シートにゴムとの接着剤を塗布
後、0.5mm厚のゴムシートを片面に貼り合わせた後、タ
イヤ周方向に該シートのタテ糸方向が平行となるように
して3回巻きつけ3層からなるベルト構造とした。尚、
カーカスには1000d/2のポリエステルコードを2層用い
た。
第1図にこのベルト構造を示す。第1図において、タ
イヤ1では、左右一対のビードワイヤ2,2間にカーカス
層3が装架され、トレッド4においてカーカス層3の上
に3層のベルト層5がタイヤ周方向に環状に配置されて
いる。第2図にベルト層5を拡大して示す。第2図に示
すように、ベルト層5は、繊維強化シートaの片面にゴ
ムシートbを貼り合わせたものである。
(7)実施例4 実施例2の繊維強化シートを用いた以外は、実施例3
と全く同様にタイヤを作った。
(8)比較例4 比較例1の繊維強化シートを用いた以外は、実施例3
と全く同様にタイヤを作った。
(9)比較例5 比較例2の繊維強化シートを用いた以外は、実施例3
と全く同様にタイヤを作った。
(10)比較例6 比較例3の1500d/2のコードを5cm当たり50本の打ち込
み数にて、タイヤ周方向に20度で互いに交差してなるよ
うに配置した2層ベルト構造とし、カーカスには実施例
3と同様に1000d/2ポリエステルコードを2層用いた。
(11)比較例7 ベルトコードとして1×5(0.25)のスチールコード
を用い、5cm当たり40本の打ち込み数にてタイヤ周方向
に20度で互いに交差してなるように配置した2層ベルト
構造とした。それ以外は比較例6と全く同様にした。
評価結果を下記表3に示す。
表3に示すように、比較例7に示すスチールベルトを
用いたタイヤに対し、軽量な繊維を用いた他の例は明ら
かに軽量となり、転がり抵抗も良くなっている。しか
し、比較例6に示したように樹脂含浸量が低いと比較例
に示す通常の方法でアラミド繊維を用いた場合よりは改
善されるもののスチールベルト品に比較し、操縦安定性
が低下する。また、比較例4に示すように、樹脂の引張
弾性率が低いと、比較例7のスチールベルトタイヤに比
較し操縦安定性が低下している。ところが、実施例3及
び4に示すように本発明の方法を用いれば操縦安定性を
損なうことなく、軽量でかつ転がり抵抗の低減が可能で
ある。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、軽量で高強度か
つ高弾性率のフィラメント多数本からなる無撚りの繊維
束をタテ糸及びヨコ糸に用いて織物とし、熱可塑性樹脂
をマトリックスとするシート状繊維強化材を、ゴムシー
トを貼り合わせ、この貼り合わせシートをタイヤ周方向
に平行に複数回巻きつけることによりベルト層を形成し
たので、上記フィラメントの優れた引張弾性率を最大限
に生かすことが可能になり、操縦安定性を損なうことな
しにタイヤ転動抵抗を減少せしめることが可能となる。
また、本発明によれば、熱可塑性樹脂をマトリックスと
して用いるために熱硬化性樹脂をマトリックスとして用
いる場合に比して下記のような利点がある。
熱可塑性樹脂では、樹脂の融解温度以上で加工すれ
ばよいので、加工に時間がかからず、生産性がよい。特
に、本発明では織物に樹脂を含浸させてシート状繊維強
化材とする加工を行うため、含浸から樹脂硬化に至る作
業が楽である(樹脂の融解温度未満に温度を下げるだけ
でよい)。これに対し、熱硬化性樹脂を用いる場合に
は、熱硬化性樹脂は硬化(三次元化)に時間がかかり、
熱可塑性樹脂に較べれば格段に生産性が低くなる。
タイヤが使用寿命を終え、廃棄されるとき、織物を
回収し、リサイクル使用することが可能である。すなわ
ち、ベルト層(シート状繊維強化材がゴムシートに貼合
されてなる)を切り出して熱可塑性樹脂の融解温度以上
に加熱し、樹脂を液化するだけでシート状繊維強化材に
おける樹脂と織物とを容易に分離できる。したがって、
織物を回収できると共に熱可塑性樹脂をも回収して再使
用することができる。これに対し、熱硬化性樹脂を用い
る場合には、熱硬化性樹脂は硬化後には未硬化状態には
戻らないので、このように再使用することはできない。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の空気入りラジアルタイヤの一例のベル
ト構造を示す断面説明図、第2図は第1図におけるベル
ト層の拡大説明図である。 1……タイヤ、2……ビードワイヤ、3……カーカス
層、4……トレッド、5……ベルト層、a……繊維強化
シート、b……ゴムシート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−91406(JP,A) 特開 昭58−209603(JP,A) 特開 昭61−249805(JP,A) 特開 昭47−14804(JP,A) 特開 昭57−210072(JP,A) 特開 昭61−119404(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】比重3.0未満、引張強度10g/d以上、引張弾
    性率200g/d以上のフィラメント多数本からなる太さが1
    0,000D以下の無撚りの繊維束をタテ糸及びヨコ糸に用い
    て平織物、朱子織物、綾織物等の織物とし、この織物に
    引張弾性率が10kgf/mm2以上の熱可塑性樹脂を15重量%
    以上含浸付着せしめてなるシート状繊維強化材とゴムシ
    ートとの貼り合わせシートをタイヤ周方向に平行に複数
    回巻きつけてベルト層を形成したことを特徴とする空気
    入りラジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】前記シート状繊維強化材の厚さを0.1mm〜
    1.0mmとした特許請求の範囲第1項記載の空気入りラジ
    アルタイヤ。
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