JP2645157B2 - サイクロコンバータの制御方法 - Google Patents

サイクロコンバータの制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、サイクロコンバータ等の電力変換装置に
係り、特に、その制御回路の改良に関するものである。
(従来の技術) 三相の電動機に電力を供給するサイクロコンバータの
電流制御方式には、三相の電流検出信号を三相二相変換
し、直交する2軸のトルク電流と磁束電流に変換してこ
れをフィードバック信号とする方式がある。
第5図により、上記電流制御方式を適用したサイクロ
コンバータについて説明する。このサイリスタコンバー
タは主回路と制御回路とに分けられる。
主回路は、三相交流電源1に接続された電源変圧器2
と、この電源変圧器2の二次巻線2a,2b,2cに接続された
三相グレーツ接続コンバータ3a,3b,3cとから構成され、
その出力側に接続される誘導電動機4に電力を供給して
いる。この三相グレーツ接続コンバータ3a,3b,3cはサイ
リスタが逆並列接続され、正逆両方向の電流を流すこと
ができる。
また、三相グレーツ接続コンバータ3a,3b,3cの出力側
には、負荷電流を検出する電流検出器5a,5b,5cが設けら
れ、誘導電動機5には、その速度を検出する速度検出器
6が取り付けられている。
制御回路としては、誘導電動機4の速度を設定する速
度設定器10が設けられており、この速度設定器10で設定
された速度基準信号と速度検出器6で検出された速度帰
還信号と加算器11で加算することにより速度偏差信号を
得、これを速度制御回路12に加えている。速度制御回路
12はこの速度偏差信号を増幅して出力する。この速度制
御回路12の出力信号は、トルク電流リミット回路13に入
力され、予めトルク電流リミット回路14で設定された値
に制限され、これにより、トルク電流基準信号が得られ
る。一方、速度検出器6で検出された速度帰還信号ω
が磁束弱め制御回路15に入力され、二次磁束信号として
磁束電流基準信号が得られる。この二次磁束信号は、磁
束電流演算回路16に入力され、その出力として磁束電流
基準信号が得られる。ベクトル演算回路17は、トルク電
流リミット回路13からのトルク電流基準信号と、磁束電
流演算回路16からの磁束電流基準信号と、定数設定器18
で設定された誘導電動機4の定数を基準にしてすべり周
波数信号ωを演算して出力すると共に、トルク電流基
準信号および磁束電流基準信号をそのまま出力する。ま
た、電流検出器5a,5b,5cで検出された各相の負荷電流
は、三相二相変換器19を介して、二相変換され、トルク
電流帰還信号と磁束電流帰還信号とに分離され、加算器
20,21で、各信号はベクトル演算回路17からの出力であ
るトルク電流基準信号および磁束電流信号と加算され
る。そして、加算器20からはトルク電流偏差信号Iqが、
加算器21からは磁束電流偏差信号Idがそれぞれ出力され
る。電圧指令回路22では、加算器20,21からの出力信号
とベクトル演算回路17から出力されるすべり周波数信号
ωと、速度検出器6からの速度帰還信号とを入力し、
各相の電圧指令値Vu,Vv,Vwを演算し、その演算した出力
電圧となるように三相グレーツ接続コンバータ3a,3b,3c
を制御する。
次に、電圧指令回路22の詳細について、第6図を用い
て説明する。
この電圧指令回数22では入力したトルク電流偏差信号
Iqと磁束電流偏差信号Idを比例積分回路30,31により各
々トルク軸電圧信号Vqと磁束軸電圧信号Vdに変換し、電
圧ベクトル演算回路32に加える、電圧ベクトル演算回路
32は、この入力したトルク軸電圧信号Vqと磁束軸電圧信
号Vdとに基づいて電圧振幅指令値を演算し、電圧振幅指
令信号Vとして出力する。また、磁束位置からの電圧位
相を演算し、電圧位相信号θを出力する。一方、すべり
周波数信号ωと速度帰還信号ωは加算器33にて加算
され、その後積分器34を介して磁束位置信号θに変換
される。この変換された磁束位置信号θは、加算器35
にて、電圧ベクトル演算回路32からの電圧位相信号θと
加算され電圧位相指令値が算出され、電圧位相指令信号
θとして、電圧ベクトル演算回路32からの電圧振幅指
令信号Vとともに、電圧指令器36,37,38に入力される。
電圧指令器36,37,38では、各相の出力電圧指令値Vu,Vv,
Vwを次式より算出する。
Vu=Vsinθ ……(1) Vv=Vsin(θ−120) ……(2) Vw=Vsin(θ−240) ……(3) ただし V:電圧振幅指令値 θv:電圧位相指令値 である。
次に、各相のコンバータ3a,3b,3cは第7図に示すよう
に、正群変換器51aと負群変換器51bとで構成されてい
る。このように、構成されたサイクロコンバータは出力
電流の極性に応じて三相ブリッジ接続素子の正群か負群
かが選択される。すなわち、出力電流を正方向に流す時
は正群変換器51aが負方向に流す時は負群変換器51bが選
ばれ、これにより連続した相電圧が出力される。
この正群から負群への変換器の切換動作において必要
なことは、今まで流れていた変換器の電流を零にしてゲ
ートブロックを行った後、反対側の変換器に電流を流す
べく動作させる。
第6図に示した電流位相演算回路39および正、負群変
換器切換回路40はこのためのもので、先ず、電流位相演
算回路39において、ベクトル演算回路17(第5図)で演
算されるトルク電偏差信号Iqおよび磁束電流偏差信号Id
から電流位相θ01(θ01=tan-1Iq/Id)を求め、さらに
磁束位置信号θとすべり周波数ωによる位置θ
加算して得られた電流基準位相θ(θ=θ01+θ
+θ)の正弦値sinθの極性に応じて正、負群変換
器切換回路40が、U.V.W相が相互に120゜づつ異なるよう
に電圧指令器36,37,38に電圧指令を与える。
この場合、U相への電圧指令の処理手順を示すと第8
図のようになる。すなわち、ステップ101でsinθ1uが正
か否かを判定し、正であればステップ102で正群変換器5
1aを選択する指令θu+を電圧指令器36に与え、正でなけ
ればステップ103で負群変換器51bを選択する指令θu-
電圧指令器36に与える。
また、電圧指令器37に対しては、このθに対して12
0゜遅れの指令θ(θ=θ−120゜)を、電圧指令
値38に対しては、このθに対して240゜遅れの指令θ
(θ=θ−240゜)をそれぞれ与える。
第9図には、正、負切換回路40での切換動作のシーケ
ンスを示している。
すなわち電流基準位相θ(=θ01+θ+θ)の
正弦値・sinθの極性が切換る時、すなわちsinθ
0となった時に、電圧位相を絞り電流を零にする。実電
流が零となったことを検知して今まで出していた変換器
のパルスモータをゲートブロックして反対側の変換器の
パルスを出力するものである。
(発明が解決しようとする課題) 上述した従来のサイクロコンバータにおいては、三相
の出力電流が小さい時、特に零速度制御を実施している
時、正群と負群の変換器との切換の前後で電流が流れた
りしゃ断したりするいわゆる断続状態に入る。
第10図に上記の状態における3相の電流の様子を示
す。これは、特に零速度制御中3相のうちU相とW相で
定格の励磁電流を保ち、V相がちょうど零電流にはいっ
ている時の様子を示している。
零速度中であるため、わずかなすべり周波数が発生し
ており、特に無負荷の場合はこのすべり周波数が、非常
に小さく、正、負の極性をくり返しながらほぼ平均的に
零近くの値となる。また電流位相 もIq≒0であるため、ほとんど零となっている。
この時の正、負の電流切換信号は、前述の如く磁束位
置信号θとすべり周波数による位置θおよび電流位
相θ01を加算して得られる電流基準位相θ(=θ01
θ+θ)でsinθとして正負群の極性を求める。
例えば第10図でV相の位相θ1vはほとんど零となって
いるためsinθ1v=0である。すなわちθ01+θ+θ
=nπ(nは正数)。ここでθおよびθが零近く
でわずかな値をとりながら、正、負に変化をくり返しな
がら零速度制御をしている。
第11図はこのような零電流近辺で正、負の変換器の切
換が起こなわれた場合の不具合の様子を示す。
実線は電流基準を示し、点線は実電流を示している。
またAは正群変換器Bは負群変換器を示す。零電流で制
御されつつ、電流基準が早い周波数で負群から正群、正
群から負群にくり返された状態を拡大して示しており、
各タイミングの電流基準及び実電流の極性をA,Bで示し
ている。GBとあるのは、切換のシーケンスにより実流零
を検出したあとに点弧パルスをしゃ断するゲートブロッ
クを示す。
なお従来の切換シーケンスは切換時間を短くするため
に電流基準の極性が切換ったあと電圧位相を絞って電流
を零にし、零電流を検出したあとすぐにゲートブロック
をし、反対の変換器のパルスを出力するものである。
この図の如く早い周波数で零電流の状態(継続状態)
を電流基準の極性で切換えられる場合、まずB(負群)
からA(正群)に正常に切換ったあと、再びすぐにA
(正群)からB(負群)に切換わる時、ほとんど零電流
状態でありサイリスタはオフしているため電流零を検出
してゲートブロックにはいる。ところがこの時断続状態
であるためサイリスタが再び点弧してしまった場合すで
にゲートブロックにはいっているため電圧位相を絞って
再び電流を零にすることができなくなる。第11図の点数
がA側からB側へ切換れないのはこの状況に基づくもの
であり、基準と実電流が一致しないため電流制御の出力
すなわち電圧位相が進み、他の健全な相(ここでは、零
電流となっていないU,W相)の電圧位相も進み、3相ア
ンバランスとなりV相の電流が過電流に至る。
(課題を解決するための手段) 本発明のサイクロコンバータの制御方法は、ゲート信
号に応じて正方向電流を出力する正群変換器と負方向電
流を出力する負群変換器でなり、電流基準の極性(位
相)に応じて前記正群変換器又は負群変換器を動作さ
せ、誘導電動機に所望の周波数の交流電流を供給するサ
イクロコンバータを備え、前記正群変換器又は負群変換
器の切り換えを行なう場合、前記電流基準の極性が反転
したとき、前記正群変換器又は負群変換器から供給する
交流電流を零とするようにゲート信号の位相絞りを行な
い、前記周波数に応じたタイマー時間後に前記ゲート信
号の供給を停止し、前記負群変換器又は正群変換器にゲ
ート信号を供給して極性の反転した電流を供給する。
(作用) 上記制御方法において、所望の周波数の交流信号でな
る電流基準の極性は半周期毎に反転し、電流基準の極性
(位相)に応じて前記正群変換器又は負群変換器が動作
して電流基準に対応した正方向電流又は負方向電流が誘
導電動機に供給される。電流基準の極性が切り換わる
と、その直前まで動作していた変換器に対するゲート信
号の位相を絞り(遅らせ)電流を零に減少させ、零電流
が検出されると極性の反転した電流を供給するための逆
側の変換器に切り換えられる。この場合、零電流が検出
された時点からタイマー時間後にそれまで動作していた
変換器のゲートブロックが行なわれ、逆側の変換器のゲ
ートブロックが解除されて切り換えが行なわれ、上記タ
イマー時間は上記周波数に依存して決定される。すなわ
ち、周波数が低いときはタイマー時間を長くし、周波数
が高いときはタイマー時間を短くし、タイマー時間によ
る制御のデッドバンドの影響を少なくする。
(実施例) 第1図はこの発明の実施例を示しており、第3図は
正、負群変換器切換回路40で適用される切換シーケンス
を示す。
第1図は従来例の第6図に対して、絶対値回路50とタ
イマー関数51の回路が追加されている。1次周波数ω
(=ω+ω)を絶対値回路50に入力して絶対値変換
し、タイマー関数51に入力する。このタイマー関数は第
2図の如く、1次周波数ωの絶対値が小さいほど長い
タイマー時間Tを求める関数となっている。このタイマ
ー関数で得られたタイマー時間Tを正、負変換器切換回
路40に入力している。
この回路40のシーケンスを第3図に示す。
電流基準位相θ(=θ01+θ+θ)の正弦値・
sinθの極性が切換る時、すなわちsinθ=0となっ
た時電圧位相を絞り実電流を零にする。実電流が零にな
ったことを検出して、タイマー関数51より入力したタイ
マー時間Tの間だけさらに電流を絞りこみ、タイマー時
間T後にゲートブロックを行ない次に反対側の変換器に
パルスを与えるものである。
第4図には、従来例の第11図と同じく零電流近辺で正
負の変換器が早い周波数で切換っている様子を示してい
る。
実線は電流基準を示し、点線は実電流を示している。
電流基準がB(負群)からA(正群)に切換ったところ
で再びAからBにすぐ切換っている。これに対して実電
流は、基準が切換って零電流となってもタイマー時間T
のみ電圧位相が絞り続けるため電流零の区間が続いたあ
とで切換る。
従って従来例の第11図の様に断続のため零電流検出の
あと再び同じ変換器側のサイリスタが点弧しても切換を
失敗することなく確実な切換動作が可能である。
もちろんタイマー時間Tは1次周波数に応じて可変で
きるため低速では長く、高速では短かくでき、電流波形
のひずみに影響しない程度に効果的に設定できる。
(発明の効果) 以上説明から明らかなように、変換器の正負切換動作
の際に、1次周波数に応じたタイマー時間だけ電圧位相
を絞って切換えるため、断続状態等の零電流状態におけ
る変換器の正負切換を正しく確実にしかも電流波形を歪
ませることなく実現出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示すブロック図、第2図は
第1図のタイマー関数の特性図、第3図は第1図の動作
を説明するためのフローチャート、第4図は第1図の動
作を説明するための電流波形図、第5図は従来装置のブ
ロック図、第6図及び第7図は第5図の一部詳細図、第
8図は及び第9図は第5図の動作を説明するためのフロ
ーチャート、第10図は第5図の誘導電動機の低速時にお
けめ3相電流、第11図は第5図の動作を説明するための
電流波形図である。 1……交流電源、2……電源変圧器、 3a,3b,3c……コンバータ、4……誘導電動機、 5a,5b,5c……電流検出器、6……速度検出器、 10……速度設定器、 17……ベクトル演算回路、19……3相2相変換器、 22……電圧指令回路、 40……正負群変換器切換回路、 50……絶対値回路、51……タイマー関数。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゲート信号に応じて正方向電流を出力する
    正群変換器と負方向電流を出力する負群変換器でなり、
    電流基準の極性(位相)に応じて前記正群変換器又は負
    群変換器を動作させ、誘導電動機に所望の周波数の交流
    電流を供給するサイクロコンバータを備え、前記正群変
    換器又は負群変換器の切り換えを行なう場合、前記電流
    基準の極性が反転したとき、前記正群変換器又は負群変
    換器から供給する交流電流を零とするようにゲート信号
    の位相絞りを行ない、前記周波数に応じたタイマー時間
    後に前記ゲート信号の供給を停止し、前記負群変換器又
    は正群変換器にゲート信号を供給して極性の反転した電
    流を供給することを特徴としたサイクロコンバータの制
    御方法。
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