JP2643072B2 - 金型構造におけるエジェクタピン取付構造 - Google Patents

金型構造におけるエジェクタピン取付構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金型装置におけるエジェ
クタピン取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の金型装置におけるエジェクタピン
取付構造を第5図と共に説明する。100はモールドベ
ースであり、エジェクタピン102が挿通される。10
4はリテナープレート、106はエジェクタピンプレー
トであり、ピン孔108にエジェクタピン102が挿通
され、エジェクタピン102の後端の大径部がエジェク
タピンプレート106の外側面に掛止している。 エジ
ェクタピン102はその大径部をリテナープレート10
4とエジェクタピンプレート106で挟み、ボルト11
0により締めつけてエジェクタピンプレート106に取
り付けられる。
【0003】モールドベース100にはリテナープレー
ト104の上下動をガイドするガイド112が螺着して
立設され、ガイド112はリテナープレート104を挿
通してリテナープレート104をガイド支持するととも
に、スプリング114により下方に付勢している。エジ
ェクタピン102はモールドベース100の貫通孔内に
挿通されリテナープレート104の押動とともにキャビ
ティ内面から先端が突出入する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】エジェクタピン102
は上記のようにリテナープレート104とエジェクタピ
ンプレート106によって支持するが、エジェクタピン
102先端の位置決めには極めて高精度が要求される。
例えばICパッケージの樹脂モールド用の金型装置にお
いては、エジェクタピン102先端位置はプラス、マイ
ナス 3/100 ミリメートル程度で位置決めされる。第5
図に示すように、エジェクタピン102の位置決め精度
は図のXに示す部分の距離によって決まる。したがっ
て、リテナープレート104の取り付けに際しては高精
度に位置調整するため非常に手間がかかるものとなって
いる。
【0005】また、エジェクタピン102はリテナープ
レート104とエジェクタピンプレート106で挟圧し
て支持するが、エジェクタピン102を押動する際にリ
テナープレート104が若干撓む。このためリテナープ
レート104は強度を得るため厚く形成している。この
ような金型構造ではエジェクタピン102を交換する場
合には、せっかく高精度に取り付けたリテナープレート
104を取り外して行わなければならないため、リテナ
ープレート104を再度位置調整する必要が生じ、これ
によってエジェクタピンの交換作業が非常に煩雑になっ
ている。
【0006】リテナープレート104を取り外す際はガ
イド112に係止しているスプリング114をその係止
用のナットを外して取り外し、リテナープレート104
の外側のプレート116を外してからリテナープレート
104とエジェクタピンプレート106を外す。リテナ
ープレート104およびエジェクタピンプレート106
の高さ位置はストッパ等で位置調整しているから、エジ
ェクタピンを交換してリテナープレート104を再セッ
トすれば本来的にはエジェクタピンの突出量は変動しな
い。しかし、再セットの際にスプリング14を締めつけ
るナット位置が変わることからスプリング14の締付け
力が変わり、これによってリテナープレート104の反
りや歪みが生じてエジェクタピンの突出量がわずかに変
動する。このため、エジェクタピンを交換した際は、そ
のつどリテナープレート104を位置調整しなければな
らない。
【0007】本発明はこのようにエジェクタピンの交換
の際に位置調整といった煩雑な作業が必要であった従来
の金型構造を改善して、エジェクタピンの交換等の作業
を容易に行うことができる金型装置におけるエジェクタ
ピン取付構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次の構成を備える。すなわち、チェイスを
固定するモールドベースに対してエジェクタピンプレー
トとエジェクタピンプレートの外側に配するリテナープ
レートとを型開閉方向に可動に設けると共に、リテナー
プレートとエジェクタピンプレートとの間でエジェクタ
ピンの後端の大径部を挟圧してエジェクタピンを固定支
持し、エジェクタピンプレートとリテナープレートを押
動してチェイスのキャビティ面からエジェクタピンを突
出入すべく設けた金型装置におけるエジェクタピン取付
構造において、前記エジェクタピンプレートを前記モー
ルドベースに立設したガイドにより型開閉方向にガイド
支持するとともに、前記エジェクタピンプレートのみに
作用してエジェクタピンプレートを型開閉方向に押動さ
せる押動機構を設け、前記リテナープレートを前記ガイ
ドおよび押動機構に干渉しないエジェクタピンプレート
上の位置に締付け固定したことを特徴とする。また、前
記リテナープレートは複数本のエジェクタピンを群別に
固定すべく複数に分割してエジェクタピンプレートに取
り付けたことを特徴とする。
【0009】
【作用】エジェクタピンはリテナープレートをエジェク
タピンプレートに締付け固定することによってエジェク
タピンプレートに支持され、エジェクタピンプレートで
の取付位置によってエジェクタピンの先端位置が規制さ
れる。エジェクタピンはエジェクタピンプレートを押動
することによってチェイスのキャビティ面で突出入す
る。エジェクタピンを交換する場合は、リテナープレー
トを取り外すだけで済み、交換時にエジェクタピンを位
置決めするエジェクタピンプレートを調整する必要がな
い。また、リテナープレートを複数に分割して取り付け
た場合は、交換する必要のあるエジェクタピンに対応す
るリテナープレートのみを取り外して交換できる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について添付図
面と共に詳述する。第1図には本発明に係るエジェクタ
ピン取付構造を採用した樹脂モールド用の金型装置のチ
ェイスが閉じた状態を示す。10、12はモールドベー
スであり、連結部14、16を介して金型装置本体の一
部である中間プレート18又はベース20へ連結固定さ
れている。 22、24はチェイスであり、モールドベ
ース10、12の内側へ設けられており、不図示の昇降
動機構によってベース26等が上昇した際に図示の如く
チェイス22、24が閉じて当接したチェイス22、2
4間に樹脂成形用のキャビティ28が形成されている。
【0011】30、32はエジェクタピンプレートであ
り、モールドベース10、12に螺着して立設された上
下動機構を構成するガイド34、36に沿って上下動可
能に配されている。エジェクタピンプレート30はガイ
ド34と上下動機構を構成するスプリング38によって
下方へ付勢されている。その下動量はストッパ40によ
って規制されている。一方、エジェクタピンプレート3
2はやはり、ガイド36と上下動機構を構成するスプリ
ング42によって下方へ付勢され、下動量は適宜なスト
ッパ(不図示)によって規制されている。
【0012】44・・・はエジェクタピンであり、エジ
ェクタピンプレート30、32に貫設されたピン孔46
・・・・内に挿通されると共に、モールドベース10、
12とチェイス22、24に貫設された貫通孔内に遊挿
されている。エジェクタピン44・・・はそれぞれ所定
の長さを有している。エジェクタピン44・・・の後端
はそれぞれ大径部に形成され、後端がピン孔46・・・
口縁に掛止可能になっている。その際、上記大径部の厚
さは一定の厚さとなっている。なお、エジェクタピン4
4・・・の先端の高さ位置は所定の高さ位置となってお
り、チェイス22、24が閉じた場合に当該位置になる
ようエジェクタピンプレート30、32の移動位置がス
ペーサ等により調整する。
【0013】48・・・、50・・・はリテナープレー
トであり、エジェクタピンプレート30、32のそれぞ
れ外側に重合している。リテナープレート48・・・、
50・・・はそれぞれ複数個に分割可能となっている。
その分割例を第4図に示す。第4図ではエジェクタピン
プレート30の外側(上)面へ複数の分割されたリテナ
ープレート48・・・が重合されている。なお、リテナ
ープレート48は1枚でもよいのは言うまでもない。リ
テナープレート48・・・、50・・・はエジェクタピ
ン44・・・の後端(大径部の外側端面)を内側へ押圧
するようにしてボルトを介してエジェクタピンプレート
30、32に固定されている。このリテナープレート4
8・・・、50・・・の固定によってエジェクタピン4
4・・・がエジェクタピンプレート30、32に固定さ
れ、エジェクタピン44・・・の先端の高さ位置が固定
されるのである。
【0014】なお、エジェクタピンプレート30、32
とリテナープレート48、50の金型装置内での取り付
け方法を従来例と比較すると、エジェクタピンを押動す
る場合に従来例ではリテナープレートを押動していたの
に対し、実施例ではエジェクタピンプレート30、32
を押動するよう構成したことを特徴とする。このため、
実施例ではエジェクタピンプレート30、32にガイド
34、36を挿通してスプリング38、42によってエ
ジェクタピンプレート30、32を付勢して設けてい
る。また、エジェクタピンプレート30、32に強度を
もたせるためプレート厚を厚くし、逆にリテナープレー
ト48、50はエジェクタピン44を掛止するのみとし
ている。また、エジェクタピンプレート30、32を押
動するスプリング38、42をガイド34、36に取り
付けたままリテナープレート48、50が取り外しでき
るように、上型では金型装置を構成するプレート116
に透孔118を設け、下型ではリテナープレート50に
ボルト挿通孔を設けている。
【0015】このエジェクタピンプレート30、エジェ
クタピン44及びリテナープレート48の関係を第3図
の部分図に示す。第3図において、エジェクタピン44
の先端の高さ位置はエジェクタピン44が所定長を有す
ればエジェクタピンプレート30上面からのAに示す距
離で決まる。本実施例の装置の場合は、エジェクタピン
44が摩耗等して交換する必要が生じた場合は第3図で
リテナープレート48を取り付けているボルト52・・
・を外してリテナープレート48をエジェクタピンプレ
ート30から外すことによって交換することができる。
この場合、リテナープレート48はエジェクタピンプレ
ート30の外面に取り付けられており、エジェクタピン
プレート30とは独立に取り外すことができるから、高
精度に位置調整したエジェクタピンプレート30の位置
調整に影響を与えずに交換できる点で従来例にくらべて
きわめて取扱いが容易になる。新しくエジェクタピンを
挿入しリテナープレート48をエジェクタピンプレート
30に締付け固定することによってエジェクタピン44
を正確に取り付けることができる。
【0016】リテナープレート48を図のように複数個
に分割して設けた場合には、エジェクタピンを交換する
箇所のリテナープレート48のみを取り外せばよく、他
のリテナープレート48aを取り外す必要はないという
利点がある。また、リテナープレート48を複数個に分
割した場合には、エジェクタピン44を締付け固定する
際に、エジェクタピン44の大径部の厚さがわずかに異
なっていてもリテナープレートを一枚もので形成した場
合にくらべてエジェクタピン44の締付け固定が確実に
できるという利点もある。なお、第3図は上型のエジェ
クタピンプレート30とリテナープレート48について
説明するが、下型の構成についても同様である。
【0017】次にエジェクタピン44・・・の動作につ
いて第1図及び第2図と共に説明する。第1図に示す状
態はベース26等が不図示の昇降動機構によって上昇し
た状態でチェイス22、24は閉じておりキャビティ2
8内へ溶融樹脂が注入されて成形が行われる。この時エ
ジェクタピンプレート30はストッパ40の下端がモー
ルドベース12上の当接体54へ当接して下動が制限さ
れ、エジェクタピン44・・・の先端(下端)はキャビ
ティ28の内面からわずかに突出した状態にある。この
エジェクタピン44の突出量を調整する場合は樹脂を試
し加工し、樹脂部のへこみ量を調べてストッパ40を調
整加工して行う。一方、エジェクタピンプレート32は
スプリング42の付勢力により下方へ付勢されており、
エジェクタピン44・・・の先端(上端)はキャビティ
28の内面からわずかに突出している。このエジェクタ
ピン44の突出量の調整はスリーブの長さ調整による。
【0018】樹脂成形終了後、成形品を取り出すため昇
降動機構が作動してベース26等が下降すると、第2図
に示すようにチェイス22、24が開き、この動作に伴
ってストッパ40の当接が解除され、エジェクタピンプ
レート30はスプリング38の付勢力によって下動しエ
ジェクタピン44・・・の先端(下端)はモールド樹脂
の上面を押圧して成形品を下型側へ押し下げる。一方、
ベース26等がさらに下降すると、ベース26の下方に
固定されたエジェクタロッド56にエジェクタピンプレ
ート32が当接し、ベース26の下動とともにスプリン
グ42の付勢力に抗してエジェクタピンプレート32が
上動してエジェクタピン44・・・の先端(上端)がパ
ッケージの下面を突き上げ、これによって下型から成形
品を離型させる。以上、本発明の好適な実施例について
種々述べて来たが、本発明は上述の実施例に限定される
のではなく、発明の精神を逸脱しない範囲で多くの改変
を施し得るのはもちろんである。
【0019】
【発明の効果】本発明に係る金型装置のエジェクタピン
取付構造によれば、上述したように、エジェクタピンの
交換に際してはリテナープレートのみを取り外して交換
できるから、エジェクタピンを位置決めするエジェクタ
ピンプレートの位置調整が不要になり、従来のようなリ
テナープレートを再調整するといった煩雑な作業を不要
にして容易にエジェクタピンを交換することが可能にな
る。また、リテナープレートを複数に分割して取り付け
た場合は、交換する必要のあるエジェクタピンに対応す
るリテナープレートのみを取り外せばよく、プレートが
大型になるような装置の場合での取扱いを容易にするこ
とができる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金型装置のエジェクタピン取付構
造を採用した金型装置の部分断面図である。
【図2】チェイスが開いた状態を示す部分断面図であ
る。
【図3】エジェクタピン取付構造の要部断面図である。
【図4】エジェクタピン取付部の部分平面図である。
【図5】従来のエジェクタピン取付構造の主要部分を示
す断面図である。
【符号の説明】
22、24 チェイス 28 キャビティ 30、32 エジェクタピンプレート 34、36 ガイド 38、42 スプリング 44 エジェクタピン 46 ピン孔 48,48a,50 リテナープレート

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チェイスを固定するモールドベースに対
    してエジェクタピンプレートとエジェクタピンプレート
    の外側に配するリテナープレートとを型開閉方向に可動
    に設けると共に、リテナープレートとエジェクタピンプ
    レートとの間でエジェクタピンの後端の大径部を挟圧し
    てエジェクタピンを固定支持し、エジェクタピンプレー
    トとリテナープレートを押動してチェイスのキャビティ
    面からエジェクタピンを突出入すべく設けた金型装置に
    おけるエジェクタピン取付構造において、 前記エジェクタピンプレートを前記モールドベースに立
    設したガイドにより型開閉方向にガイド支持するととも
    に、前記エジェクタピンプレートのみに作用してエジェ
    クタピンプレートを型開閉方向に押動させる押動機構を
    設け、 前記リテナープレートを前記ガイドおよび押動機構に干
    渉しないエジェクタピンプレート上の位置に締付け固定
    したことを特徴とする金型装置におけるエジェクタピン
    取付構造。
  2. 【請求項2】 前記リテナープレートは複数本のエジェ
    クタピンを群別に固定すべく複数に分割してエジェクタ
    ピンプレートに取り付けたことを特徴とする請求項1記
    載の金型装置におけるエジェクタピン取付構造。
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US8393883B2 (en) 2010-06-22 2013-03-12 Pascal Engineering Ejector device of injection molding machine
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