JP2642803B2 - パルス・ドップラーレーダ装置 - Google Patents

パルス・ドップラーレーダ装置

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JP2642803B2
JP2642803B2 JP3191540A JP19154091A JP2642803B2 JP 2642803 B2 JP2642803 B2 JP 2642803B2 JP 3191540 A JP3191540 A JP 3191540A JP 19154091 A JP19154091 A JP 19154091A JP 2642803 B2 JP2642803 B2 JP 2642803B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高速移動目標を観測
対象とするパルス・ドップラーレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のパルス・ドップラーレー
ダ装置については、例えば、G.V.Morris:
“Airborne Pulsed Doppler
Radar”,Artech House,Inc.
(1988)に、パルス圧縮手段の構成については、D
onald R.Wehner:“High Reso
lution Radar”,Artech Hous
e,Inc.(1987)、及びBernard L.
Lewis他:”Aspect of RadarSi
gnal Processing”,Artech H
ouse,Inc.(1986)に開示されているもの
がある。図8は従来のチャープ方式パルス・ドップラー
レーダ装置、図9は従来の符号変調方式パルス・ドップ
ラーレーダ装置の構成を示すブロック図である。図8及
び図9において、1は送信手段、2は受信手段、3はア
ンテナ、4は送受切換器、5はパルス圧縮手段、6はパ
ルス・ドップラー処理手段、7は振幅検波器、8は表示
器、10はリファレンス信号発生手段である。
【0003】次に動作の概要を説明する。図8におい
て、送信手段1の送信パルス発生器11からパルス幅τ
の送信パルスが発生され、パルス伸長器12により、図
10(a)に示されるように、パルス幅T(T>>
τ)、周波数帯域幅Δf(=1/τ)のチャープ(直線
FM変調)パルスが生成される。一方、図9において
は、送信手段1の送信パルス発生器11からパルス幅τ
の送信パルスが発生され、7ビット・バーカー符号によ
る符号化位相変調の例では、図11(a)に示される遅
延素子15と加算器16を備えた符号化位相変調器14
により、図11(b)に示されるパルス幅Tの符号化位
相変調パルスが生成される。図8及び図9のチャープ方
式、符号変調方式のいずれの場合も、変調された送信パ
ルスは送受切換器4、アンテナ3を経て送信電波として
目標へ放射され、目標で反射された電波はアンテナ3で
受信され、受信信号は送受切換器4を経て、受信手段2
においてディジタル複素ビデオ信号に変換される。
【0004】上記の受信手段2では、図12に示される
ように、受信信号はミキサー21で、局部発信器22の
出力と積がとられ、中間周波信号に変換される。ミキサ
ー21の出力はIF(中間周波)アンプ23で増幅され
た後、2分配され、夫々位相検波器24へ入力される。
位相検波器24においてコヒーレント発振器25の出力
信号との積、及びコヒーレント発振器25の出力信号の
位相を90゜移相器26にて90゜遅らせた信号との積
がとられ、夫々位相検波される。夫々の位相検波器出力
は受信複素ビデオ信号の実部(I)及び虚部(Q)とし
て、サンプルホールダ27によって保持された後、A/
D変換器28によりディジタル複素ビデオ信号に変換さ
れる。
【0005】受信手段2の出力データは、レンジ−パル
スヒットの2次元データとする。ここで、レンジは送受
信機からの相対距離の単位で、1サンプリングタイムの
間に光が進む距離の半分を表し、パルスヒットは送信パ
ルス数の単位である。このレンジ方向データを数パルス
ヒット分考える。ここではレンジ方向のデータ点数(全
レンジビン数)をN、パルスヒット方向のデータ点数
(これはフーリエ変換点数であり、フーリエ変換後の全
ドップラービン数である)をMとする。受信手段2の出
力は、パルス圧縮手段5に入力される。
【0006】パルス圧縮は、送信時に変調を施された広
パルス幅信号を、受信時にレンジ方向の相関処理によっ
て狭パルス幅信号に変換する技術で、パルスが送信され
てから受信されるまでの時間をtjとし、受信パルス信
号を時間tの関数x(t−tj)とすると、これとリフ
ァレンス信号x* (−t)(* :複素共役)とを周波数
領域で複素乗算してスペクトルの位相成分を全周波数に
渡って一定にし、更にこれを時間領域に戻すことにより
信号エネルギーは1カ所に集中して狭パルス幅信号に変
換される。(チャープ方式の圧縮パルス波形を図10
(c)に示す。)
【0007】パルス圧縮手段5の出力は、パルス・ドッ
プラー処理手段6に入力される。パルス・ドップラー処
理は、目標の相対速度を検出するために受信信号を目標
の速度成分であるドップラー周波数成分に分解するもの
で、時間領域の受信信号をパルスヒット方向にフーリエ
変換して、周波数領域の信号に変換する処理である。
【0008】次に、パルス圧縮手段5とパルス・ドップ
ラー処理手段6の動作について、図8,図9,図13を
参照して説明する。はじめに、図8及び図9のリファレ
ンス信号発生手段10で発生し、パルス圧縮手段5の参
照メモリ50に予め記憶しておくリファレンス信号につ
いて説明する。このリファレンス信号発生手段10は、
リファレンス信号発生器101とN点FFT演算器10
4により構成され、N点FFT演算器104を通過した
リファレンス信号は、参照メモリ50に入力される。そ
して、信号処理のモードが変わり、リファレンス信号作
成パラメータ(レンジビン数N、送信パルス幅T、搬送
波周波数f0 、サンプリングタイムts )が変化しない
かぎり同一のリファレンス信号が用いられるため、リフ
ァレンス信号発生手段10は1度参照メモリ50にリフ
ァレンス信号を入力すると切り離される。ただし、信号
処理モードが変ったときは、再びリファレンス信号発生
手段10は接続され、参照メモリ50にリファレンス信
号を再入力する。リファレンス信号発生器101は、送
信手段1で生成された送信パルス(チャープ方式と符号
変調方式の場合、それぞれ図10(a)、図11(b)
に示す)をサンプリング・タイムTS でサンプリング
し、その信号をTR(r)で表わすと次式で示すリファ
レンス信号R(r)を発生する。(チャープ方式と符号
変調方式の場合、それぞれ図10(b)、図11(c)
に示す)。ここでrはレンジビンを表し、時間をサンプ
リング・タイムts で区切ったものである(r=t/t
s )。
【0009】
【数1】
【0010】次にこのR(r)を周波数領域のデータに
変換するために、N点FFT演算器104によりレンジ
方向にフーリエ変換して、次式で表せるリファレンス信
号のスペクトルRR (fr)が得られる。 RR (fr)=FR [R(r)], (2) (FR ;レンジ方向のフーリエ変換,fr:周波数) 上記のリファレンス信号のスペクトルRR (fr)が、
リファレンス信号発生手段10により生成され参照メモ
リ50に記憶される。1度記憶されると、リファレンス
信号発生手段10は参照メモリ50と切り離される。上
記のリファレンス信号のスペクトルRR (fr)の生成
方法は、チャープ方式と符号変調方式いずれの場合も同
様である。
【0011】次に、パルス圧縮手段とパルス・ドップラ
ー処理手段の信号処理の流れを図13を参照して説明す
る。ステップ1ではバッファメモリ54に一時記憶され
た受信手段2の出力データS(r)は、周波数分析を行
うために、N点FFT演算器52でレンジ方向にフーリ
エ変換される。N点FFT演算器の出力は、周波数領域
のデータに変換され、周波数軸上でサンプリング周波数
(1/ts )をN分割した周波数毎の応答となって現わ
れ、次式で表せる。 SR (fr)=FR [S(r)], (3) (FR ;レンジ方向のフーリエ変換,fr:周波数)
【0012】ステップ2ではN点FFT演算器52の出
力データSR (fr)は、その位相成分を全周波数にわ
たって一定にするために、参照メモリ50に記憶されて
いるリファレンス信号のスペクトルRR (fr)と複素
乗算器51で乗算され、その出力がバッファメモリー5
5に一時記憶される。上記の複素乗算器51の出力は次
式で表せる。 UR (fr)=SR (fr)×RR (fr) (4)
【0013】ステップ3ではバッファメモリー55に一
時記憶された複素乗算器51の出力データUR (fr)
がN点IFFT演算器53で逆フーリエ変換され、時間
領域に戻された信号エネルギーは1ケ所に集中し狭パル
ス信号が得られる。N点IFFT演算器53の出力は次
式で表せる。 U(r)=Ffr-1[UR (fr)], (5) (Ffr-1;周波数方向の逆フーリエ変換)
【0014】ステップ4では、上記ステップ1からステ
ップ3の処理がパルスヒットpについて繰り返され、N
点IFFT演算器53の出力データU(r)が2次元デ
ータU(r,p)として2次元メモリ61に記憶され
る。そして2次元メモリ61からデータU(r,p)が
パルスヒット方向に読み出され、M点FFT演算器62
でパルスヒット方向にM点フーリエ変換され、パルス・
ドップラー処理が行われる。この処理により、それぞれ
のレンジビン毎にドップラー周波数成分に分解され、目
標の相対速度に対応するドップラービンに信号電力が積
分されることにより、目標の相対速度が検出できる。上
記のM点FFT演算器62の出力は次式で表せる。 UP (r,fd)=Fp [U(r,p)], (6) (Fp ;パルスヒット方向のフーリエ変換、fd;ドッ
プラー周波数) このパルスヒット方向のフーリエ変換をレンジビンrに
ついて繰り返す。
【0015】上記M点FFT演算器62の出力は振幅検
波器7により包絡線検波処理が行われ、表示器8でレン
ジビン対ドップラー周波数表示により目標が表示され
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来のこの種のパルス
・ドップラーレーダ装置は、以上のように構成されてい
て、今、あるレンジビン内の移動目標が、ドップラー周
波数fdを生ずる相対速度Vをもつとき、パルス圧縮の
処理において以下のような課題があった。チャープ方式
の場合、上記の相対速度Vをもつ移動目標で反射された
受信パルスの時間対周波数特性(図14の点線で示す)
は、相対速度が零の目標で反射された受信パルスの時間
対周波数の特性(図14の実線で示す)に対して周波数
fdだけシフトしたものとなる。従来のパルス・ドップ
ラーレーダ装置のパルス圧縮手段の遅延時間対周波数特
性は目標の相対速度が零の場合に対応しているため、上
記移動目標で反射された受信パルスの圧縮部分が短縮さ
れ、図14の例では、点線で示された特性の周波数f1
とf2 間にはいる領域だけでしかパルス圧縮されず、パ
ルス圧縮手段出力×(Δtd/T)の損失が生ずる。更
に、パルス圧縮手段において、Δtd=(T/Δf)f
dの遅延が生じ、これは(Δtd/τ)レンジビンだ
け、表示レンジの減少に相当する。
【0017】符号変調方式の場合、ドップラー周波数f
dの周波数シフトにより、受信パルスの位相回転が生
じ、パルス圧縮前のパルスとリファレンス信号との位相
特性が合わなくなり、レンジサイドローブの増大、圧縮
率の低下、圧縮パルスの位置ずれや分離などのパルス圧
縮性能の劣化により、高速移動目標の距離測定誤差、又
は距離測定不能を伴うものであった。例えば、符号系列
にバーカー符号を用いた場合、ドップラーシフトによ
り、圧縮前のパルス幅Tのパルスに2πの位相回転が生
ずるとリファレンス信号と位相が全く合わなくなる。1
3ビットバーカー符号を用いた場合のパルス圧縮波形の
一例を図15に示す。図において、サンプル点とはレン
ジビンを表わし、サンプル点13が目標のいるレンジビ
ンを示す。出力はパルス圧縮後の値である。圧縮前のパ
ルス幅Tのパルスに2πの位相回転が生ずると、 2πfd・T=2π[rad] (7) となる。従って、fd=2V/λ,(λ;レーダの送信
波長)を上式に代入して求まる移動目標の相対速度Vが
V=λ/2Tになると、目標のいるサンプル点13の出
力は零となり、圧縮不可能になる。
【0018】この発明は上記のような課題を解消するた
めになされたもので、高速移動目標が相対速度Vをもっ
ていても、ドップラーシフトによる影響を受けずにパル
ス圧縮を達成しうるパルス圧縮手段により、高速移動目
標の距離測定性能を向上させたパルス・ドップラーレー
ダ装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明におけるパルス・ドップラーレーダ装置
は、送信パルスを発生し、変調して周波数帯域を広げる
送信手段と、送信手段出力を目標に向け放射し、目標か
らの反射信号を受信するアンテナと、送受信回路を切換
える送受切換器と、受信信号を処理して複素信号を得る
受信手段と、パルス圧縮処理の過程において、レンジ方
向にフ−リエ変換された受信信号を目標の相対速度に応
じて分離するパルス・ドップラ−処理手段と、相対速度
毎にその影響を補償するリファレンス信号を用いて、変
調された広パルス幅信号を相関処理し、狭パルス幅信号
に変換するパルス圧縮手段と、パルス・ドップラ−処理
とパルス圧縮処理された信号を検波する振幅検波器と、
検出した目標を表示する表示器とを備えたものである。
【0020】また、送信パルスを発生し、変調して周波
数帯域を広げる送信手段と、送信手段出力を目標に向け
放射し、目標からの反射信号を受信するアンテナと、送
受信回路を切換える送受切換器と、受信信号を処理して
複素信号を得る受信手段と、各パルスヒット毎に、目標
との相対距離を目標の相対速度に応じて算出し、レンジ
ビンの変化と位相の変化の両方を同時に補償可能なリフ
ァレンス信号を発生するリファレンス信号発生手段と、
発生したリファレンス信号を用いて、変調された広パル
ス幅信号を相関処理し、狭パルス幅信号に変換するパル
ス圧縮手段と、パルス圧縮手段の出力信号を同一のレン
ジビンかつ同一の相対速度について積分する積分手段
と、積分手段の出力信号を検波する振幅検波器と、検出
した目標を表示する表示器とを備えたものである。
【0021】
【作用】ドップラー効果の補正をしたリファレンス信号
を用いたパルス・ドップラーレーダ装置では、パルス圧
縮手段は目標の相対速度を検出するパルス・ドップラー
処理を行い、ドップラー効果による周波数シフト(又は
位相シフト)の補正をしたリファレンス信号を用いて、
変調された広パルス幅信号を相関処理し、狭パルス幅信
号に変換する。チャープ方式の場合、移動目標がドップ
ラー周波数fdを生ずる相対速度Vをもっていても、パ
ルス圧縮手段は、移動目標の相対速度を零とした従来の
リファレンス信号から移動目標の相対速度に応じてドッ
プラー周波数fdだけシフトした時間対周波数特性をも
つリファレンス信号を用いて、受信信号の周波数帯域全
体にわたるパルス圧縮を行う。符号変調方式の場合、移
動目標がドップラー周波数fdを生ずる相対速度Vをも
っていても、パルス圧縮手段は、移動目標の相対速度に
応じて、パルス幅Tにわたって2πfd・Tの位相シフ
トを加えた位相符号化変調パルスをリファレンス信号に
用いて、ドップラー周波数による位相誤差の影響を受け
ずにパルス圧縮を行う。
【0022】またドップラー効果による位相変動と観測
開始時からの目標のレンジビン移動を補正したリファレ
ンス信号を用いたパルス・ドップラーレーダ装置では、
パルス圧縮手段は上記リファレンス信号を用いて、観測
開始時に目標がいるレンジビンに信号を圧縮して変調さ
れた広パルス幅信号を相関処理し、狭パルス幅信号に変
換する。また積分手段はパルス圧縮手段により圧縮され
た信号を、レンジビン毎、ドップラービン毎に積分処理
を行う。
【0023】
【実施例】
実施例1.本発明の実施例について図を参照して説明す
る。図1は本発明のチャープ方式の場合の一実施例を示
す構成ブロック図である。図2は本発明の符号変調方式
の場合の一実施例を示す構成ブロック図である。図中、
1は送信パルスを発生し変調して周波数帯域を広げる送
信手段、2は受信手段、3はアンテナ、4は送受切換
器、5はパルス・ドップラー処理手段6を中に含むパル
ス圧縮手段、6は目標の相対速度を検出するパルス・ド
ップラー処理手段、7は振幅検波器、8は表示器、10
はリファレンス信号発生手段である。従来例と同一構成
の上記の送信手段1、受信手段2、アンテナ3、送受切
換器4、振幅検波器7、表示器8については既に説明し
てあるので、ここでは説明を省略する。上記のパルス・
ドップラー処理手段6を中に含むパルス圧縮手段5は、
図1、図2に示すように以下の構成を有している。受信
手段出力を記憶するバッファメモリ54のデータをレン
ジ方向にN点フーリエ変換して2次元メモリ61に記憶
するN点FFT演算器52と、上記2次元メモリデータ
をパルスヒット方向にM点フーリエ変換して2次元メモ
リ63に記憶するパルス・ドップラー処理手段6と、目
標の相対速度に対応したリファレンス信号を発生するリ
ファレンス信号発生手段10の出力を記憶する参照メモ
リ50と、上記のパルス・ドップラー処理手段出力の2
次元メモリデータと目標の相対速度に対応するリファレ
ンス信号の参照メモリデータを複素乗算する複素乗算器
51と、上記の複素乗算結果をバッファメモリ55に記
憶し、そのデータをレンジ方向に逆フーリエ変換するN
点IFFT演算器53とを備えている。
【0024】図8、図9に示す従来例では、目標が相対
速度を持った時の種々のドップラー成分を含んだ受信信
号に対し、単一のドップラー周波数(ドップラー周波数
OHZ )に対応したリファレンス信号を用いて複素乗算
しパルス圧縮を行っていたために圧縮損失が生じてい
た。そこで本実施例では、種々のドップラーシフトした
信号成分に対応できるように、それぞれのドップラー周
波数に対応した複数のリファレンス信号を用意してい
る。そのためリファレンス信号発生手段10において、
リファレンス信号発生器101の後にドップラー補正器
102を追加している。また従来例では、パルス圧縮後
にパルスドップラー処理手段6で、信号成分をドップラ
ー周波数の成分に分解していたが、本実施例では、パル
ス・ドップラー処理手段6を複素乗算器51の前に置く
ことにより、ドップラー周波数シフトしたそれぞれの信
号成分をその特性に合ったリファレンス信号と複素乗算
することにより、パルス圧縮時に損失が生じないように
している。さらに本実施例では、M点FFT演算器62
の後に2次元メモリ63を備えているが、これはM点F
FT演算器62によりパルスヒット方向にフーリエ変換
後、レンジ方向のパルス圧縮を行えるようにパルスヒッ
ト方向とレンジ方向のデータを入れ換えるために必要と
なるものである。また参照メモリ50は、ドップラ補正
器102の出力をN点FFT演算器104でフーリエ変
換した2次元データを記憶するために2次元メモリを使
用している。
【0025】次に動作概要を説明する。はじめに、図1
及び図2のリファレンス信号発生手段10で発生し、パ
ルス圧縮手段5の参照メモリ50に予め記憶しておくリ
ファレンス信号について説明する。リファレンス信号発
生器101は、従来と同様に(1)式で示すリファレン
ス信号R(r)を発生する。次に、リファレンス信号R
(r)はドップラー補正器102に入力され、ドップラ
ー周波数fdだけシフトした時間対周波数特性をもつリ
ファレンス信号RP(r,fd)に補正される。ここでド
ップラー周波数fdは目標の相対速度が未知なため、目
標の相対速度を複数想定する。例えば、パルス・ドップ
ラー処理でドップラー分解するときの全種類のドップラ
ー周波数を用いる。これは送信パルスの繰り返し周波数
PRFをパルスヒット数Mで分割したM種類の周波数と
なり、次式で表せる。
【0026】
【数2】
【0027】これより求めた値を用いて、ドップラー補
正器102の出力RP (r,fd)は次式で表せる。 RP (r,fd)=R(r)×exp[2πfd・r・ts ] (9) 次にドップラー補正器102の出力を周波数領域のデー
タに変換するために、レンジ方向にフーリエ変換して、
次式で表せるリファレンス信号のスペクトルRRP(f
r,fd)が得られる。 RRP(fr,fd)=FR [RP (r,fd)], (10) (FR ;レンジ方向のフーリエ変換)上記のリファレン
ス信号のスペクトルRRP(fr,fd)を予め参照メモ
リ50に記憶する。1度記憶されると、リファレンス信
号発生手段10は、従来と同様に参照メモリ50と切り
離される。上記のリファレンス信号のスペクトルR
RP(fr,fd)の生成方法は、チャープ方式と符号変
調方式いずれの場合も同様である。
【0028】次いで、パルス・ドップラー処理手段6を
中に含むパルス圧縮手段5の動作について、図3のパル
ス・ドップラー処理とパルス圧縮手段の信号処理の流れ
を示す図を参照して説明する。ステップ1ではバッファ
メモリ54に一時記憶した受信手段2の出力のデータS
(r)を周波数分析を行うために、N点FFT演算器5
2でレンジ方向にフーリエ変換し、周波数領域のデータ
に変換する。このN点FFT演算器出力は次式で表せ
る。 SR (fr)=FR [S(r)], (11) (FR ;レンジ方向のフーリエ変換、fr;周波数)そ
してこの処理がパルスヒットpについて繰り返され、N
点FFT演算器52の出力データSR (fr)を周波数
fr及びパルスヒットpに基づいて2次元メモリ61に
記憶する。2次元メモリ61に記憶されたデータをSR
(fr,p)とする。
【0029】ステップ2では、M点FFT演算器62が
上記の2次元メモリ61からデータSR (fr,p)を
読み出し、各周波数frごとに、ドップラー周波数成分
に分解し目標の相対速度を検出するために、パルスヒッ
ト方向にM点フーリエ変換してパルス・ドップラー処理
を行い、観測した全パルスの成分をそれぞれのドップラ
ービンに積分する。その結果を2次元メモリ63に記憶
する。このドップラー処理手段6の出力は次式で表せ
る。 SRP (fr,fd)=FP [SR (fr,p)], (12) (FP ;パルスヒット方向のフーリエ変換、fd;ドッ
プラー周波数)
【0030】ステップ3では2次元の参照メモリ50に
予め記憶してある、移動目標の相対速度に応じて、ドッ
プラーシフトによる周波数シフト(又は位相シフト)を
補正したリファレンス信号をフーリエ変換したスペクト
ルRRP(fr,fd)と、上記ドップラー処理手段6の
出力である2次元メモリ63のデータSRP(fr,f
d)を、その位相成分を全周波数にわたって一定にする
ために、それぞれ対応した周波数fr及びドップラー周
波数fdごとに、複素乗算器51で複素乗算する。この
複素乗算器出力は次式で表せる。 URP(fr,fd)=SRP(fr,fd)×RRP(fr,fd) (13) これを周波数frについて繰り返し、バッファメモリ5
5に記憶する。従来例では、N点FFT演算器52から
出力された1つの受信パルスのスペクトルと1つのリフ
ァレンス信号を複素乗算していたが、本発明では、Mパ
ルスの信号をパルス・ドップラー処理手段6でパルス・
ドップラー処理し、2次元メモリ63にパルスヒット方
向に記憶した信号をレンジ方向に読みだし、それぞれの
ドップラー周波数に対応した信号ごとにリファレンス信
号と複素乗算している。
【0031】ステップ4ではバッファメモリ55に一時
記憶した複素乗算器51の出力データURP(fr,f
d)を、N点IFFT演算器53で周波数方向に逆フー
リエ変換し、時間領域に戻すことにより信号エネルギー
を1ケ所に集中し狭パルス信号を得る。このN点IFF
T演算器出力は次式で表せる。 UP (r,fd)=Ffr-1[URP(fr,fd)], (14) (Ffr-1;周波数fr方向の逆フーリエ変換)
【0032】上記ステップ3とステップ4の処理を前記
式(8)で求めたM個の各ドップラ−周波数fdについ
て繰返す。次いで、上記のN点IFFT演算器出力デ−
タを振幅検波器7で包絡線検波を行い、表示器8で各レ
ンジビン対ドップラ−周波数の2次元平面上に信号出力
として表示する。以上のように処理を行うことにより、
式(8)で与えられる想定した全ての目標速度に対応し
たM個のドップラ−周波数fdについての積分が実施さ
れ、上記各ドップラ−周波数fdの中で実際に観測され
た目標のドップラ−周波数ftに最も近いfdで積分処
理したときの信号出力が最大値として表示器8に表示さ
れる。これは、上記ftとfdの差が大きいほど信号は
積分されないため出力は小さくなり、ftに最も近いf
dで積分処理したときの出力は積み上げられて大きな信
号出力となるためである。 上記のような目標についての
ドップラ−周波数fdの検出には表示器が一般に広く用
いられている。信号強度を画面上の輝度で表示するもの
であれば、画面上にレンジビン対ドップラ−周波数の2
次元表示された積分後の信号の強度を表す輝度から容易
に目標の存在を検出し、そのレンジとドップラ−周波数
(速度)を知ることができる。 従って、上記表示器8に
より処理結果を見ることにより、複数想定した上記M個
のドップラ−周波数fdの中から目標についてのドップ
ラ−周波数fdが一義的に決定できる。
【0033】以上のように、パルス圧縮手段の中にパル
ス・ドップラー処理を含み、移動目標の相対速度に応じ
て、目標の相対速度を零とした従来のリファレンス信号
からドップラーシフト周波数(又は位相)の補正をした
リファレンス信号を用いて、ドップラー周波数の影響を
受けずにパルス圧縮することにより、高速移動目標の距
離測定性能を向上させることができる。
【0034】なお、上記実施例における、バッファメモ
リ54、55は1次元メモリでも2次元メモリでもよ
く、又バッファメモリ54、55及び2次元メモリ6
1、63は、それぞれ1つのもので共用することも可能
である。
【0035】実施例2.図4及び図5は本発明の他の実
施例の構成を表すブロック図で、図4はチャープ方式の
場合、図5は符号変調方式の場合を示す。この発明は後
述するように、観測中にレンジビンの移動を伴う高速移
動目標に対しても、目標のレンジビン移動による影響を
受けずにパルス圧縮とパルス・ドップラー処理と同様の
目標のドップラー分解及び信号の積分を達成でき、高速
移動目標の距離測定性能及び速度測定性能を向上させた
パルス・ドップラーレーダ装置である。図4及び図5に
おいて、1は送信パルスを発生し変調して周波数帯域を
広げる送信手段、2は受信手段、3はアンテナ、4は送
受切換器、5はパルス圧縮手段、9はパルス積分処理手
段、7は振幅検波器、8は表示器、10はリファレンス
信号発生手段である。従来例と同一構成の上記の送信手
段1、受信手段2、アンテナ3、送受切換器4、振幅検
波器7、表示器8については既に説明してあるので、こ
こでは説明を省略する。
【0036】上記のパルス圧縮手段5は、図4及び図5
に示すように以下の構成を有している。受信手段2の出
力を記憶しているバッファメモリ54のデータをレンジ
方向にN点フーリエ変換するN点FFT演算器52と、
N点FFT演算器52の出力を記憶する2次元メモリ5
6と、検出対象とする目標の相対速度毎にドップラー効
果による位相変動と観測開始時からの目標のレンジビン
移動を補正したリファレンス信号を記憶する3次元の参
照メモリ50と、上記参照メモリ50の出力及び、上記
2次元メモリ56の出力を複素乗算する複素乗算器51
と、上記複素乗算結果をバッファメモリ55を経由しレ
ンジ方向に逆フーリエ変換するN点IFFT演算器53
とを備えている。
【0037】図4、5に示す実施例2では、実施例1と
同様に従来例におけるドップラーシフトによる影響を取
り除くためにリファレンス信号発生手段10において、
リファレンス信号発生器101の後にドップラー補正器
102を追加している。さらに従来例及び実施例1で
は、目標の相対速度が観測時間中にレンジビン移動を生
ずる大きさのとき、それぞれの時点で目標がいるレンジ
にパルスが圧縮されていた。そのため、観測時間内に1
時点に目標がいるレンジビンに着目すると、目標のレン
ジビン移動が生じない場合に比べ、観測時間が短縮され
たのと同様になり、パルス・ドップラー処理において積
分効率の低下と、ドップラー分解能の低下が生じ、目標
の速度測定性能が劣化する。そこで本実施例では、ドッ
プラー補正器102で補正したドップラー周波数を生ず
るそれぞれの目標の相対速度について、各パルスの送信
時における観測開始時から目標が移動する距離を、電波
が伝搬するのにかかる時間だけ補正したリファレンス信
号を用意している。そのため、ドップラー補正器102
の後にレンジビン補正器103を追加している。また、
実施例1では、M点FFT演算器を中に含むパルス・ド
ップラー処理手段6を複素乗算器51の前に置くことに
より、観測した各パルスをドップラー周波数成分に分解
すると同時に、観測した全パルスの成分をそれぞれのド
ップラービンに積分していたが、本実施例では各パルス
に対応してレンジビン移動を補正したリファレンス信号
を用いるため、リファレンス信号を複素乗算する前に全
パルスの成分を積分することはできない。そのため、各
ドップラー周波数で補正したリファレンス信号と全ドッ
プラー周波数成分が含まれた受信信号を複素乗算した後
に、レンジビン方向に逆フーリエ変換することによりパ
ルス圧縮とドップラー周波数分解を行い、そのパルス圧
縮手段の後に積分手段を置くことにより全パルスの成分
をそれぞれのドップラービンに積分している。
【0038】さらに本実施例では、N点FFT演算器5
2の後に、2次元メモリ56を備えているが、これは観
測時間中の各パルスをN点FFT演算器52でレンジビ
ン方向にフーリエ変換した出力を、リファレンス信号と
複素乗算を行う時に、ドップラー周波数の種類分、繰り
返して2次元メモリ56から信号を読み出すために必要
なものである。また、参照メモリ50は、リファレンス
信号発生器101の出力(1次元データ)をドップラー
補正器102でドップラー補正し(2次元データ)、レ
ンジビン補正器103でレンジビン補正した出力(3次
元データ)を記憶するために、3次元メモリを使用して
いる。
【0039】次に動作概要を説明する。まずはじめに、
図4及び図5のリファレンス信号発生手段10で発生
し、パルス圧縮手段5の参照メモリ50に予め記憶して
おくリファレンス信号について説明する。リファレンス
信号発生手段10では、リファレンス信号発生器101
で、従来例及び実施例1と同様に(1)式で示されるリ
ファレンス信号R(r)を発生する。次に、ドップラー
補正器102で実施例1と同様に(9)式で示されるド
ップラー補正されたリファレンス信号RP (r,fd)
に補正される。次にドップラー補正器102の出力RP
(r,fd)はレンジビン補正器103に入力される。
【0040】レンジビン補正器103では、ドップラー
補正器102で想定された目標の速度毎に、観測開始時
から目標が移動した距離をパルスが伝搬するのにかかる
時間を求めて、リファレンス信号をその時間だけ移動さ
せている。ドップラー補正器102で用いたドップラー
周波数fdに対する目標の相対速度vdは vd=fd×C/2f0 (15) (f0 :搬送波周波数、C:光速)と表わされる。そし
て観測開始からpパルスヒットした時に、目標が移動し
た距離をパルスが伝搬するのにかかる時間t(p)は次
式のようになる。ここでこの時間t(p)はサンプリン
グタイムtsでサンプリングされ、観測するパルス数を
Mとする。
【0041】
【数3】
【0042】この時間t(p)を打ち消すために、リフ
ァレンス信号も時間軸上でt(p)時間移動したものを
用いる。このリファレンス信号RPP(r,fd,p)は
次式で示される。 RPP(r,fd,p)=RP (r,fd)×u(r−t(p)) (17) ただし u(r)=1 0≦r<T/ts u(r)=0 T/ts≦r<N 次にレンジ補正器103の出力RRP(r,fd,p)
を、従来例及び実施例1と同様に周波数領域のデータに
変換するために、N点FFT演算器104によりレンジ
方向にフーリエ変換して、次式で示されるリファレンス
信号のスペクトルRRPP (fr,fd,p)を得る。 RRPP (fr,fd,p)=FR [RPP(r,fd,P)] (18) (FR ;レンジ方向のフーリエ変換)上記のリファレン
ス信号のスペクトルRRPP (fr,fd,p)を予め参
照メモリ50に記憶する。記憶されると、リファレンス
信号発生手段10は、従来例及び実施例1と同様に参照
メモリ50と切り離される。上記のリファレンス信号の
スペクトルRRPP (fr,fd,p)の生成方法は、チ
ャープ方式と符号変調方式いずれの場合も同様である。
【0043】次に、パルス圧縮手段5とパルス積分処理
手段9の動作概要を、図6を参照して説明する。ステッ
プ1では、受信手段2の出力のデータS(r)を周波数
領域のデータに変換するためにN点FFT演算器52で
レンジ方向にフーリエ変換する。このN点FFT演算器
出力は次式で表せる。 SR (fr)=FR [S(r)] (19) (fr;周波数、FR ;レンジ方向のフーリエ変換)こ
れをパルスヒットについて繰り返してSR (fr,p)
とし、2次元メモリ56に入力する。
【0044】ステップ2では、ステップ1の出力SR
(fr,p)と、リファレンス信号RRPP (fr,f
d,p)を複素乗算し、全周波数に渡って位相を一定に
そろえたスペクトル成分を得る。この結果をURPP (f
r,fd,p)とする。 URPP (fr,fd,p) =SR (fr,p)×RRPP (fr,fd,p) (20) これを周波数frについて繰り返し、バッファメモリ5
5に記憶する。
【0045】ステップ3では、複素乗算結果URPP (f
r,fd,p)を、時間領域のデータに変換するために
周波数方向に逆フーリエ変換し次式に示すUPP(r,f
d,p)とする。 UPP(r,fd,p)=Ffr -1[URPP (fr,fd,p)]) (21) (Ffr -1:周波数方向の逆フーリエ変換)
【0046】ステップ4では上記ステップ2とステップ
3の処理をパルスヒットpについて繰り返し、2次元メ
モリ91に記憶する。この逆フーリエ変換結果U
PP(r,fd,p)を2次元メモリ91から読み出し、
それぞれのr、fdごとにパルス方向に積分しW(r,
fd)とする。これは、従来例及び実施例1のパルス・
ドップラー処理において、信号をドップラー周波数成分
を分解することにより目標の相対速度に応じたドップラ
ー周波数のところに信号成分を積分するのと同様の効果
がある。これを次式に示す。
【0047】
【数4】
【0048】この積分処理をレンジビンrについて繰り
返す。ステップ4の処理を、想定した目標の相対速度に
対応するドップラー周波数fdについて繰り返し、積分
結果W(r,fd)を振幅検波器7で包絡線検波を行
い、表示器8に表示する。
【0049】本実施例は実施例1に対し、以下の点で動
作及び効果が異なる。これを図7を用いて説明する。実
施例1において、観測時間中に目標のいるレンジビンが
移動しないとき、つまり、パルスヒット方向のデータ点
数をM、パルス繰り返し周期をΔt、レンジビン幅をΔ
R、光速をCとすると、次式が成り立つときである。 MΔt×V<ΔR=Cts/2 (23) このとき、チャープ方式と符号変調方式のいずれの場合
も図7(a)に示すように、パルスヒット方向にフーリ
エ変換するパルス・ドップラー処理を行ったとき、観測
した目標の相対速度に対するドップラービンにおいて、
目標のいるレンジビンに信号が積分される。ここで、Δ
Rは距離分解能を表すため、サンプリングタイムtsを
大きくしてΔRを大きくすると、距離分解能が劣化す
る。
【0050】しかし、観測時間中に目標のいるレンジビ
ンが移動してしまうときは、図7(b)に示すように、
パルス圧縮結果が複数のレンジビンに広がるため、パル
ス・ドップラー処理を行ったとき、上記の目標が移動し
たレンジビンに出力信号が分散し、パルス・ドップラー
処理による積分の効果が十分に得られないため、高速移
動目標の距離測定性能が劣化する。また、パルス・ドッ
プラー処理においてフーリエ変換したとき、レンジビン
移動の影響でドップラー周波数帯域が広がり、複数ドッ
プラービンに出力信号が分散し、パルス・ドップラー処
理による積分の効果が十分に得られないため、高速移動
目標の速度測定性能が劣化する。さらに、観測時間内の
一時点に目標がいるレンジビンに着目すると、目標のレ
ンジビン移動が生じることにより観測時間が短縮された
のと同様に情報量が減少するため、ドップラー分解能が
低下し目標の速度測定性能が劣化する。
【0051】一方実施例2においては、レンジビン移動
を補正したリファレンス信号を用いてパルス圧縮を行う
ことにより、図7(c)に示すように、観測開始時のパ
ルスが圧縮されるレンジビンに観測時間中の全パルスが
圧縮される。(観測開始時のパルスのレンジ移動量は零
とする。)そのため積分処理を行った時、1つのレンジ
ビンに信号電力が積分されるので積分効率が向上し、高
速移動目標の距離測定性能が向上する。またドップラー
分解能についても、レンジビン移動が除去されたことに
より、情報量の減少を防ぐのでレンジビンの移動が起き
ない時のドップラー分解能と同じ性能が得られ、高速移
動目標の速度測定性能も向上する。
【0052】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、以下に記載されるような効果を奏する。請求
項1の発明によれば、パルス圧縮処理の過程において、
レンジ方向にフ−リエ変換された受信信号を目標の相対
速度に応じて分離するパルス・ドップラ−処理手段と、
相対速度毎にその影響を補償するリファレンス信号を用
いて、変調された広パルス幅信号を相関処理し、狭パル
ス幅信号に変換するパルス圧縮手段とを備え、パルス圧
縮手段の中で目標の相対速度を検出するパルス・ドップ
ラー処理を行い、ドップラー効果の補正をしたそれぞれ
の速度に応じたリファレンス信号を用いて、変調された
広パルス幅信号を相関処理し、狭パルス幅信号に変換す
るパルス圧縮を行うことにより、高速移動目標が相対速
度をもっていても、ドップラーシフトによる影響を受け
ずにパルス圧縮することが可能となり、高速移動目標の
距離測定性能を向上させたパルス・ドップラーレーダ装
置を得ることができる。
【0053】また、請求項2の発明によれば、各パルス
ヒット毎に、目標との相対距離を目標の相対速度に応じ
て算出し、レンジビンの変化と位相の変化の両方を同時
に補償可能なリファレンス信号を発生するリファレンス
信号発生手段と、発生したリファレンス信号を用いて、
変調された広パルス幅信号を相関処理し、狭パルス幅信
号に変換するパルス圧縮手段と、パルス圧縮手段の出力
信号を同一のレンジビンかつ同一の相対速度について積
分する積分手段とを備え、目標の相対速度を想定し、ド
ップラー効果による位相変動とレンジビン移動を補正し
たパルスヒット毎、目標の相対速度毎に応じたリファレ
ンス信号を用い、変調された広パルス幅の受信信号との
相関演算により狭パルス幅信号に変換するパルス圧縮を
行い、観測時間中のパルス圧縮後の受信信号をレンジビ
ン毎ドップラービン毎に積分することにより、観測中に
レンジビン移動を伴う高速移動目標に対しても、ドップ
ラー効果による位相変動と目標のレンジ移動の影響を受
けずにパルス圧縮と信号の積分が可能となり、高速移動
目標の距離測定性能及び速度測定性能を向上させたパル
ス・ドップラーレーダ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によるチャープ方式の場合の
一実施例を示す構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施例1による符号変調方式の場合の
一実施例を示す構成ブロック図である。
【図3】本発明の実施例1によるパルス・ドップラー処
理手段とパルス圧縮手段の信号処理の流れを示す図であ
る。
【図4】本発明の実施例2によるチャープ方式の場合の
一実施例を示す構成ブロック図である。
【図5】本発明の実施例2による符号変調方式の場合の
一実施例を示す構成ブロック図である。
【図6】本発明の実施例2によるパルス圧縮手段と積分
手段の信号処理の流れを示す図である。
【図7】本発明の実施例2によるレンジビン移動を補正
した効果を示す図である。
【図8】従来のチャープ方式の構成ブロック図である。
【図9】従来の符号変調方式の構成ブロック図である。
【図10】チャープ方式の各信号波形を示す図である。
【図11】符号変調方式の各信号波形を示す図である。
【図12】受信手段の構成ブロック図である。
【図13】従来のパルス圧縮手段とパルス・ドップラー
処理手段の信号処理の流れを示す図である。
【図14】従来のチャープ方式のドップラーシフトによ
るパルス圧縮の影響を示す図である。
【図15】従来の符号変調方式のパルス圧縮波形の一例
を示す図である。
【符号の説明】
1 送信手段 2 受信手段 3 アンテナ 4 送受切換器 5 パルス圧縮手段 6 パルス・ドップラー処理手段 7 振幅検波器 8 表示器 9 パルス積分処理手段 10 リファレンス信号発生手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 由昌 鎌倉市五5丁目1番1号 三菱電機株式 会社 電子システム研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−201180(JP,A) 特開 平4−188089(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信パルスを発生し、変調して周波数帯
    域を広げる送信手段と、送信手段出力を目標に向け放射
    し、目標からの反射信号を受信するアンテナと、送受信
    回路を切換える送受切換器と、受信信号を処理して複素
    信号を得る受信手段と、パルス圧縮処理の過程におい
    て、レンジ方向にフ−リエ変換された受信信号を目標の
    相対速度に応じて分離するパルス・ドップラ−処理手段
    と、相対速度毎にその影響を補償するリファレンス信号
    を用いて、変調された広パルス幅信号を相関処理し、狭
    パルス幅信号に変換するパルス圧縮手段と、パルス・ド
    ップラ−処理とパルス圧縮処理された信号を検波する振
    幅検波器と、検出した目標を表示する表示器とを備えた
    パルス・ドップラーレーダ装置。
  2. 【請求項2】 送信パルスを発生し、変調して周波数帯
    域を広げる送信手段と、送信手段出力を目標に向け放射
    し、目標からの反射信号を受信するアンテナと、送受信
    回路を切換える送受切換器と、受信信号を処理して複素
    信号を得る受信手段と、各パルスヒット毎に、目標との
    相対距離を目標の相対速度に応じて算出し、レンジビン
    の変化と位相の変化の両方を同時に補償可能なリファレ
    ンス信号を発生するリファレンス信号発生手段と、発生
    したリファレンス信号を用いて、変調された広パルス幅
    信号を相関処理し、狭パルス幅信号に変換するパルス圧
    縮手段と、パルス圧縮手段の出力信号を同一のレンジビ
    ンかつ同一の相対速度について積分する積分手段と、積
    分手段の出力信号を検波する振幅検波器と、検出した目
    標を表示する表示器とを備えたパルス・ドップラーレー
    ダ装置。
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