JP2640853B2 - 多層パリソン成形方法 - Google Patents

多層パリソン成形方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、主材樹脂層と副材樹脂層とが積層されてな
る多層パリソンを押出成形する多層パリソン成形方法に
関するものである。
(従来の技術) 樹脂製の中空容器の成形方法として、ブロー成形、す
なわち、押出成形により形成されたパリソンを成形型の
キャビティに配置した後、このパリソン内に加圧気体を
吹き込んで成形を行う成形方法が知られている。近年、
車両用燃料タンク等においてもブロー成形により形成さ
れた樹脂製のものが提案され実用化されつつあり、その
材質としては、成形性,強度,コスト等の観点より高密
度ポリエチレン樹脂が一般に採用されている。しかしな
がら、ポリエチレンはガソリン等に対して親和性を有す
るため、高密度ポリエチレン樹脂製の燃料タンク等の容
器にガソリン等を収容した状態で長期間放置しておく
と、ガソリン等が徐々にではあるが容器の周壁に浸透し
て透過してしまうという問題がある。このため、例えば
特公昭58−23212号公報に開示されているように、高密
度ポリエチレン樹脂からなる主材樹脂により形成される
主材樹脂層と、ガソリン等の透過を阻止することのでき
るナイロン樹脂等からなる副材樹脂により形成される副
材樹脂層とを積層してなる多層パリソンを用いてブロー
成形することにより多層中空成形容器を形成する工夫が
なされている。
(発明が解決しようとする課題) このように副材樹脂としてナイロン樹脂等を使用する
ことにより、ガソリン等の透過防止を図ることが可能と
なるが、ナイロン樹脂等は耐衝撃性に劣るため、これを
副材樹脂として使用した場合には、その分だけブロー成
形された容器も耐衝撃性が低下してしまうこととなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであ
って、多層パリソンを用いてブロー成形した成形品の耐
衝撃性を向上させることのできる多層パリソン成形方法
を提供することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明による多層パリソン成形方法は、主材樹脂と副
材樹脂のうち少なくともいずれか一方に吸水処理を施し
た後該樹脂を加熱した状態で多層パリソンの押出成形を
行うようにすることにより、上記目的達成を図るように
したものである。すなわち、主材樹脂層と副材樹脂層と
が積層されてなる多層パリソンを押出成形する多層パリ
ソン成形方法において、前記主材樹脂層を形成するため
の主材樹脂と前記副材樹脂層を形成するための副材樹脂
のうち少なくともいずれか一方に吸水処理を施した後こ
の吸水処理が施された樹脂を加熱した状態で前記押出成
形を行うことを特徴とするものである。
上記「主材樹脂層」とは、多層パリソンを形成する際
に上記「副材樹脂層」との関係において相対的に基本に
なるべき樹脂層を意味するものである。
上記「吸水処理」は、当該主材樹脂あるいは副材樹脂
自体に吸水を行わせるものであってもよいし、当該主材
樹脂あるいは副材樹脂に吸水性を有する材料を添加して
これに吸水を行わせるものであってもよい。
(発明の作用および効果) 上記構成に示すように、主材樹脂層を形成するための
主材樹脂と副材樹脂層を形成するための副材樹脂のうち
少なくともいずれか一方に吸水処理を施した後、該樹脂
を加熱した状態で前記押出成形を行うようになっている
ので、吸水した樹脂に含まれている水分は押出し直後に
気化して、該樹脂により形成される樹脂層内に気泡を形
成することとなる。そして、このようにして押出成形さ
れた多層パリソンを用いてブロー成形した成形品にも当
然ながら発泡層が形成されることとなる。したがって、
この成形品に衝撃荷重が作用した場合上記発泡層による
衝撃吸収がなされることとなり、これにより該成形品の
耐衝撃性を向上させることができる。また、発泡層を形
成することにより、成形品の重量軽減を図ることができ
る。
(実 施 例) 以下添付図面を参照しながら本発明の実施例について
詳述する。
第3図は、本発明による多層パリソン成形方法の一実
施例を実施するために使用される多層パリソン押出成形
装置の全体構成を示す側断面図である。
第3図に示すように、アキュムレータヘッド1の下半
部には、シリンダ2と該シリンダ2の内周面に沿って上
下に摺動するリングピストン3とが設けられ、アキュム
レータヘッド1の中心部には、上記リングピストン3を
貫通しかつシリンダ2に固着された中子4が設けられて
いる。上記シリンダ2の内部には、リングピストン3に
よって区画され、シリンダ2および中子4によって囲ま
れた樹脂貯溜室(樹脂溜)5が形成されており、該樹脂
貯溜室5には、第1押出機6から溶融状態で連続して押
し出される主材樹脂たる高密度ポリエチレン樹脂が、第
1押出機6に接続された環状の連通路7を経て供給され
るようになっている。この樹脂貯溜室5内に貯蔵される
高密度ポリエチレン樹脂は、シリンダ2に設けられたヒ
ータ等からなる温度調整装置(図示せず)により温度が
調整されるようになっている。
また、上記シリンダ2の下端部には、環状のダイ8が
同心状に固着されている一方、上記中子4の下端部には
環状のコアサポート9が固着され、該コアサポート9の
中心部には、上記ダイ8と同心のコア10が上下方向に摺
動可能に嵌合されている。上記ダイ8の下端部内周面お
よびコア10の下端部外周面はそれぞれ円錐面状に形成さ
れており、その間に環状のダイスリット11が形成される
ようになっている。このダイスリット11は、シリンダ2
およびダイ8と中子4およびコアサポート9との間に形
成された環状の主材樹脂通路12を経て、上記樹脂貯溜室
5に連通している。
上記コア10は、ロッド13を介して油圧シリンダ(図示
せず)により上下動され、それによって、ダイ8との間
に形成されるダイスリット11の幅、すなわち半径方向の
厚さが調整されるようになっている。また、上記リング
ピストン3は、ロッド14を介して単動式油圧シリンダ15
の作動により下降するようになっており、この第1押出
シリンダ15およびリングピストン3により樹脂貯溜室5
内の高密度ポリエチレン樹脂を主材樹脂通路12ないしダ
イスリット11側に圧送するアキュムレータ16が構成され
ている。
さらに、上記主材樹脂通路12内には、第4図および第
5図に示すように、縦断面略縦長六角形状のリング部材
17がその樹脂通路12と同心状に配設されている。該リン
グ部材17は、4個の支柱18,18,…によってシリンダ2の
内周面から所定の間隔を置いて支持され、また、上記支
柱18,18,…と円周方向の異なる位置に設けられた4個の
支柱19,19,…によって中子4の外周面から所定の間隔を
置いて支持されており、主材樹脂通路12は、このリング
部材17によって内側の環状通路12aと外側の環状通路12b
とに分割されている。上記リング部材17の内部には、そ
のほぼ中心に位置する環状の副材樹脂通路20と、副材樹
脂通路20の両側に位置する2本の環状の接着性樹脂通路
21,21とが形成されており、これらの樹脂通路20,21,21
は、それぞれ環状のスリット22,23,23を経て、リング部
材17の下面に形成された3本の同心状の環状ノズル24,2
5,25に連通している。
そして、上記副材樹脂通路20は、リング部材17とシリ
ンダ2との間の1つの支柱18に形成された通路26を経
て、アキュムレータヘッド1の外部に設けられた第2押
出機27に連通されている。この第2押出機27の先端に
は、該第2押出機27から溶融状態で連続して押し出され
る副材樹脂たるナイロン樹脂を一端貯蔵し、ピストン28
aを作動させることにより、このナイロン樹脂を押し出
すアキュムレータ28が設けられており、このアキュムレ
ータ28は、貯蔵したナイロン樹脂の温度を調整する図示
しない温度調整装置を備えている。また、上記接着性樹
脂通路21,21は、リング部材17とシリンダ2との間の他
の支柱18に形成された通路29,29を経て、アキュムレー
タヘッド1の外部に設けられた第3押出機30に連通され
ている。該第3押出機30の先端にも温度調整装置を備え
たアキュムレータ31が設けられており、このアキュムレ
ータ31により第3押出機30から溶融状態で連続して押し
出される例えば変性ポリエチレン等からなる接着性樹脂
が一旦貯蔵され、かつピストン31aを作動させることに
より、この接着性樹脂が押し出されるようになってい
る。
第1図に示すように、第2押出機27によるナイロン樹
脂の押出しは、以下の工程を経て行われるようになって
いる。
すなわち、ナイロン樹脂ペレットNを恒温恒湿槽40に
入れ、この恒温恒湿槽40内において吸水させて吸水ナイ
ロン樹脂ペレットN′とし、その後、この吸水ナイロン
樹脂ペレットN′を第2押出機27に投入し、この第2押
出機27においてナイロン樹脂ペレットN′を溶融させて
押し出すようになっている。
上記恒温恒湿槽40内の雰囲気は、落度40〜60℃(あま
り温度が高いとナイロンが劣化してしまう)に設定さ
れ、また、湿度発生槽40aにより湿度90%以上に設定さ
れ、これによりナイロン樹脂ペレットNに十分に吸水さ
せることができるようになっている。そして、吸水ナイ
ロン樹脂ペレットN′は、ホッパ27aから第2押出機27
内に投入されてスクリュ27bにより前方に送り込まれる
が、その際、スクリュ27bの回転による摩擦熱およびス
クリュ27bの周囲に配されたヒータ27cの発生熱とにより
加熱され溶融せしめられるようになっている。
次に本実施例の作用について説明する。
第3,4および5図に示すように、通常時には、アキュ
ムレータヘッド1のリングピストン3およびその外部の
アキュムレータ28,31の各ピストン28a,31aは、いずれも
フリーの状態とされている。これにより、アキュムレー
タヘッド1においては、第1押出機6から押出されて樹
脂貯溜室5に導かれた高密度ポリエチレン樹脂は、リン
グピストン3を押し上げながら、その樹脂貯溜室5内に
貯蔵される。また、第2,第3押出機27,30から各々押し
出されたナイロン樹脂および接着性樹脂は、それぞれア
キュムレータ28,31のピストン28a,31aを押上げながら該
アキュムレータ28,31内に貯蔵される。
そして、各樹脂の貯蔵量が所定量に達すると、アキュ
ムレータヘッド1のリングピストン3およびアキュムレ
ータ28,31の各ピストン28a,31aが同時に押し下げられ
る。これによって、樹脂貯溜室5内の高密度ポリエチレ
ン樹脂は環状の主材樹脂通路12に向けて圧送され、アキ
ュムレータ28,31内のナイロン樹脂および接着性樹脂
は、それぞれ樹脂通路26,29,29および20,21,21を通し
て、さらにスリト22,23,23を通して各環状ノズル24,25,
25へと圧送される。
この場合、上記主材樹脂通路12は、リング部材17によ
って内側の環状通路12aと外側の環状通路12bとに分割さ
れているので、第5図に示すように、この主材樹脂通路
12を通る高密度ポリエチレン樹脂は、リング部材17によ
り内層と外層とに分割されることになる。そして、この
高密度ポリエチレン樹脂の内層と外層との間に、リング
部材17の下面に設けられた環状ノズル24,25,25からナイ
ロン樹脂および接着性樹脂が押し出される。これら環状
ノズル24,25,25から押し出される樹脂は、中心がナイロ
ン樹脂層で、その内外両側が接着性樹脂層の筒状体とな
り、リング部材17を通過して合流しようとする高密度ポ
リエチレン樹脂の内層および外層は、この筒状体のナイ
ロン樹脂層に対しその内外両面から接着性樹脂層を介し
て接着されるようになる。
しかして、樹脂通路12において積層状とされた溶融樹
脂は、幅の狭いダイスリット11を通して下方へ押し出さ
れ、各樹脂層間が緊密に接着されるとともに、所定の肉
厚の筒状体に成形され、これにより、中心のナイロン樹
脂層を高密度ポリエチレン樹脂の内外層により接着性樹
脂層を介して挾んで積層された3種5層構造の多層パリ
ソンが得られる。
上記多層パリソンにおけるナイロン樹脂層を形成する
ためのナイロン樹脂は、第1図に示すように、吸水ナイ
ロンペレットN′を溶融してなるものであるため、この
ナイロン樹脂が多層パリソンのナイロン樹脂層としてダ
イスリット11から下方へ押し出されると、その押出し直
後にナイロン樹脂層内の水分が気化して気泡を形成し、
これによりナイロン樹脂層は発泡層となる。
第2図は、このようにして形成された多層パリソンP
を示す断面図であり、図中、気泡Bを有する層LNが副材
樹脂層たるナイロン樹脂層であり、その両側にそれぞれ
接着性樹脂層LA,LAを介して主材樹脂層たる高密度ポリ
エチレン樹脂層LP,LPが形成されている。この多層パリ
ソンPは、その後、図示しない成形型のキャビティに配
置された後、加圧気体がその内部に吹き込まれてブロー
成形が施されることとなるが、このようにして形成され
た成形品(燃料タンク)は、発泡層を有するため、これ
に衝撃荷重が作用したとき該発泡層による衝撃吸収がな
され、これにより十分な耐衝撃性を確保することができ
る。また、発泡層を形成することにより成形品の重量軽
減を図ることができる。
なお、本実施例においては、耐衝撃性(特に耐寒衝撃
性)に劣るナイロン樹脂層を発泡層とすることにより、
成形品の耐衝撃性向上を効果的に図るようにしている
が、ナイロン樹脂層に代えて高密度ポリエチレン樹脂層
を発泡層としてもよいし、ナイロン樹脂層および高密度
ポリエチレン樹脂層双方を発泡層としてもよく、これに
より成形品の耐衝撃性向上および軽量化を図ることがで
きる。この場合において、高密度ポレチレン樹脂層を発
泡層とするためには、第1図に示すような方法でカーボ
ンブラックに吸水させて、この吸水したカーボンブラッ
クと高密度ポチエチレン樹脂とを第2押出機27のホッパ
27aに投入し、以後上記実施例に示す工程により多層パ
リソンを押出成形するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による多層パリソン成形方法の一実施例
の要部を示す工程図、 第2図は上記実施例により成形された多層パリソンの一
部を示す断面図、 第3図は上記実施例に使用される多層パリソン押出成形
装置の全体構成を示す側断面図、 第4図は第3図のIV−IV線断面図、 第5図は第4図のV−V線断面図である。 N……ナイロン樹脂ペレット N′……吸水ナイロン樹脂ペレット P……多層パリソン LN……ナイロン樹脂層(副材樹脂層) LA……接着性樹脂層 LP……高密度ポリエチレン樹脂層(主材樹脂層) B……気泡、27……第2押出機 27c……ヒータ、40……恒温恒湿槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 105:04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主材樹脂層と副材樹脂層とが積層されてな
    る多層パリソンの押出成形する多層パリソン成形方法に
    おいて、 前記主材樹脂層を形成するための主材樹脂と前記副材樹
    脂層を形成するための副材樹脂のうち少なくともいずれ
    か一方に吸水処理を施した後この吸水処理が施された樹
    脂を加熱した状態で前記押出成形を行うことを特徴とす
    る多層パリソン成形方法。
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