JP2640330B2 - ソフトカプセル製品製造の際のゼラチンの回収方法 - Google Patents

ソフトカプセル製品製造の際のゼラチンの回収方法

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  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品、食品、化粧品
等の分野において打ち抜き法によるソフトカプセル製品
の製造にあたり、その打ち抜きの際に生成する打ち抜き
穴を有するゼラチンシートからゼラチンを回収する方法
に関する。
【0002】
【背景技術】ソフトカプセル製品の製造にあたり打ち抜
きによる方法においては、表裏に離型剤(油剤とも呼称
される)が塗布された厚さが0.8mm程度のゼラチン
フィルム2枚がそれぞれ向かい合った別方向から、回転
打ち抜き装置(スタンピング・ローラ)のローラ間に連
続的に導かれる。一方、加温装置と定量供給装置とを備
えた内容物提供装置から1カプセルあたりの定量の内容
物が加温された2枚のゼラチンフィルムの間に間欠的に
注入され、2個のローラに設けられている金型によって
打ち抜かれることにより内容物を含有するカプセル製品
が成型されゼラチンシートから分離されて製造される。
打ち抜かれたゼラチンフィルムは、打ち抜き穴を有する
2枚のゼラチンフィルムが圧着されたゼラチンシート
(以下穴あきゼラチンシートという)として形成され
る。この穴あきゼラチンシートの生成量は、生産される
ソフトカプセル製品の種類により多少の差はあるが、ゼ
ラチンの仕込み量に対してほぼ50重量%の量にも達す
る。
【0003】近時、ソフトカプセル製品の製造技術の進
歩により、その製造技術は、医薬品、食品、化粧品など
に広く利用され、各分野におけるソフトカプセル製品の
生産量は増加する傾向を示している。したがって、その
際生成する穴あきゼラチンシートの量も次第に増加し、
また、ゼラチン原料の高騰、穴あきゼラチンシートの廃
棄場の不足、投棄による公害問題の発生などの面から、
原料ゼラチンの使用量のほぼ5割にも及ぶ量で生成する
穴あきゼラチンシートからゼラチンを回収し、その再利
用をすることは極めて緊急な解決を要する重要課題とな
っている。
【0004】ところで、上記の穴あきゼラチンシートか
らゼラチンを回収する上で問題となるのは、ゼラチンフ
ィルムの表面に塗布されている離型剤(油剤)を除去し
なければならないことであり、特に2枚のゼラチンフィ
ルムが圧着された状態にあるゼラチンシートにおいてそ
の中間層に封じ込まれた離型剤の除去が困難なことにあ
る。穴あきゼラチンシートの表面に存在する離型剤は、
穴あきゼラチンシートを適度の大きさに裁断して、この
裁断したゼラチンシートを約60℃程度に加温処理する
ことにより、分離することは可能であるか、穴あきゼラ
チンシートの中間層に封じ込まれた離型剤を除去するこ
とは極めて困難である。中間層に封じ込められて存在す
る離型剤を除去するためには、長時間にわたり加温処理
してゼラチン素材を充分膨潤させる必要があり、この長
時間にわたる加温処理は、ゼラチン自体を変質させ、た
とえゼラチンを回収してもソフトカプセル製品用のゼラ
チン原料として再利用することのできないレベルのもの
であることとなる。
【0005】加温処理によるゼラチンの回収方法を改良
したものとして、副生ゼラチンシートを水中または塩類
水溶液中で撹拌処理したのち、処理液をそのままの状態
でゼラチンシートの細断を繰り返し行い副生ゼラチンシ
ートから油剤を分離することにより、副生ゼラチンシー
トを再生する方法が提案されている(特公昭60−45
537号公報参照)。この方法は、穴あきゼラチンシー
トの細断を繰り返し行うこと、塩類水溶液を用いること
などにより、このゼラチンシートの処理を常温で行うこ
とができることから、ゼラチンをゾル状態にすることな
く回収し得る方法である。しかし、この方法について
も、(1)多量の水を使用する(2)ゼラチンの回収率
が低い(3)処理工程数が長い(4)塩類水溶液を使用
した場合にはその回収工程が必要となる等々の解決しな
ければならない課題を多く包含しており、そのため実用
化されるまでには至っていない。
【0006】このように現在では、穴あきゼラチンシー
トからソフトカプセル製品の製造に利用し得るゼラチン
として回収するための満足し得る方法は未だ開発されて
いない現状にあり、そのため、ソフトカプセル製品の製
造の際に生成する穴あきゼラチンシートは、そのまま廃
棄されているのが現状である。
【0007】
【発明の開示】このような状況に鑑み、本発明者らは、
穴あきゼラチンシートからゼラチンを回収する方法につ
き種々検討を重ねた結果、処理工程が短かく、しかも塩
類水溶液を使用することなく、ゼラチンを簡便に回収す
る方法を見いだした。本発明は、打ち抜き法によりソフ
トカプセル製品製造の際に生成する打ち抜き穴を有する
ゼラチンシートを水とともに粉砕機に投入して該ゼラチ
ンシートを粉砕し、同時に水によりゼラチンシート素材
を膨潤せしめることによって、ゼラチンシートの表面に
存在する離型剤を剥離せしめた後、生成した懸濁液から
ゼラチンを濾別することにより打ち抜き穴を有するゼラ
チンシートからゼラチンを回収する方法を提供するもの
である。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。穴あきゼ
ラチンシートを粉砕機に投入するに当たっては、連続的
に生成してくる帯状の長い穴あきゼラチンシートを、予
め裁断して投入するが、その大きさは、5〜15cm四
方程度に裁断されたものが作業上取り扱い易く好まし
い。この予め裁断された穴あきゼラチンシートを適量の
水とともに粉砕機に投入する。この粉砕機により、穴あ
きゼラチンシートは、水の存在により適度に膨潤され、
同時に2枚のフィルム相互が剥離されながら約1mm四
方程度の大きさに粉砕される。この粉砕に際し、粉砕機
の剪断作用あるいは摩擦作用により粉砕されたゼラチン
シートの表面あるいは中間層に付着している離型剤が分
離される。粉砕処理を終了した処理後の液状物からゼラ
チンを濾過、単離し、濾液は、容器(タンク)に導き一
定時間静置されて、下層の水と上層の離型剤(油剤)と
に分液される。
【0009】上記の粉砕において穴あきゼラチンシート
は、微粉砕状態にまでする必要はなく約1mm四方程度
の大きさまでに粉砕すればよい。したがって、本発明の
方法において使用される粉砕機としては、粗砕あるいは
中砕に用いられる通常の粉砕機が適しており、特に、剪
断作用あるいは摩擦作用を利用したロール回転型あるい
は引き臼型の粉砕機などが離型剤の分離効率および作業
性にも優れており好適である。その理由は、扮砕機の剪
断作用あるいは摩擦作用により、穴あきゼラチンシート
自体の一部が離型剤とともに削られることにより離型剤
が短時間に効率よく取り除かれることによるものであ
り、また、微粉砕の状態にまで至らないために、次のゼ
ラチンの単離作業が簡単に行うことができるからであ
る。微粉砕状態に至るまで粉砕を行うと、ゼラチンを必
要以上に膨潤(ゾル状態)させ、次のゼラチンの濾過回
収作業を極めて困難なものとするだけでなく、ゼラチン
の回収率をも下げる結果となり好ましくない。
【0010】ソフトカプセル製品の製造の際にゼラチン
フィルムの表裏に塗布される離型剤(油剤)としては、
流動パラフィンが、最も普通に用いられるが、その他、
食用油、中鎖脂肪酸トリグリセリドあるいはプロピレン
グリコール脂肪酸エステル類も時に用いられており、本
発明に係るゼラチンの回収方法は、それらのいずれの離
型剤を用いた場合にも適用することができる。また、ソ
フトカプセル用のゼラチンフィルムは、ゼラチンと可塑
剤としてのグリセリンおよび水を基本組成とするもので
あるが、そのほか、グリセリン以外の可塑剤、着色剤、
保存剤等が添加されているものについても本発明の方法
を適用することができる。
【0011】以上述べたように、本発明に係るゼラチン
の回収方法は、工程数が少なく極めて簡便な方法であ
り、後記の各実施例の結果からも明らかなように、離型
剤が効率よく除去され、かつゼラチンの回収率において
も高い結果が得られる。その優れた効果は、比較例と対
比すると明らかに認められる。本発明の方法によりもた
らされるゼラチンの回収効果とその再利用による経済効
果からみて、本発明は、穴あきゼラチンシート廃棄物の
減量化に大きく寄与するほか、多くの利点をもたらすも
のである。
【0012】次に、実施例および比較例を示す。各例に
おける、回収されたゼラチン中の水分含量、残留離型剤
含量およびゼラチンの回収率の結果は後記表中に示され
ている。
【0013】比較例1 離型剤として流動パラフィンを表裏に塗布したゼラチン
フィルムからソフトカプセル製品の製造の際に生成する
約3%の流動パラフィンが付着した穴あきゼラチンシー
トを約60℃に加温した後、静置して流動パラフィンを
上層に移行させ除去する。
【0014】比較例2 特公昭60−45537号公報の実施例1に記載の方法
に準じて、穴あきゼラチンシートからゼラチンの回収を
行った。離型剤としては流動パラフィンを使用したもの
である。
【0015】
【実施例】
実施例1 離型剤として流動パラフィンが用いられている医薬用ソ
フトカプセル由来の穴あきゼラチンシート10kgを、
まず10cm四方程度の大きさに裁断する。この裁断さ
れた穴あきゼラチンシートを粉砕機(MKZA10−2
0、増幸産業株式会社製)に10リットル/分の水を流
しながら投入し粉砕する。この粉砕により、ゼラチンシ
ートは1mm四方程度の大きさに粉砕されると同時に表
面の離型剤が分離される。ゼラチン、離型剤及び水等か
らなる処理液は、濾過によりゼラチンを分離回収し、濾
液は容器(タンク)内に一定時間静置した後、流動パラ
フィン層と水層とに分液され、上層の流動パラフィンを
除去する。回収されたゼラチン中の離型剤の含有量は後
掲の表に示すとおりである。ゼラチンの粘度はJIS規
格(K6503−1977)に準じて測定したところ規
格内のものとなっており、ソフトカプセル製品製造用の
ゼラチン原料として再利用し得るものであった。また、
本実施例を連続して行った場合の処理能力は、穴あきゼ
ラチンシートに対して、275kg/Hであった。
【0016】実施例2 離型剤として中鎖脂肪酸トリグリセリドが用いられてい
る食品用ソフトカプセル由来の穴あきゼラチンシート1
0kgから、実施例1に記載の方法に準じてゼラチンの
回収を行った。また、離型剤として、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル及びゴマ油が用いられている食品用
ソフトカプセル由来の穴あきゼラチンシートから、それ
ぞれゼラチンの回収を同様にして行ったところ、回収さ
れたゼラチン中の水分含有量は、プロピレングリコール
脂肪酸エステルの場合62%、ゴマ油の場合63%を示
し、またそのものの離型剤の含有量は、それぞれ、0.
08%および0.1%であった。
【0017】
【表1】

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 打ち抜き法によりソフトカプセル製品製
    造の際に生成する打ち抜き穴を有するゼラチンシートを
    水とともに粉砕機に投入して該ゼラチンシートを粉砕
    し、同時に水によりゼラチンシート素材を膨潤せしめる
    ことによって、ゼラチンシートの表面に存在する離型剤
    を剥離せしめた後、生成した懸濁液からゼラチンを濾別
    することを特徴とするソフトカプセル製品製造の際の打
    ち抜き穴を有するゼラチンシートからのゼラチンの回収
    方法。
  2. 【請求項2】 前記の粉砕機が、剪断作用および(また
    は)摩擦作用を利用した粉砕機である請求項1記載のゼ
    ラチンの回収方法。
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