JP2640096B2 - 新規なヒト甲状腺刺激ホルモンのβサブユニットのDNA配列 - Google Patents

新規なヒト甲状腺刺激ホルモンのβサブユニットのDNA配列

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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/575Hormones
    • C07K14/59Follicle-stimulating hormone [FSH]; Chorionic gonadotropins, e.g. HCG; Luteinising hormone [LH]; Thyroid-stimulating hormone [TSH]

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規なヒト甲状腺刺激ホルモンのβ型サブユ
ニット(以下、hTSHβという)をコードする配列を有す
るDNA配列に関する。特に、N(5′)末端に20個のア
ミノ酸からなるシグナルペプチドをコードするDNA配列
C(3′)末端に6個の疎水性アミノ酸をコードするDN
A配列約460の塩基体(以下、bpという)のイントロンお
よび112個hTSHβをコードするDNA配列を少なくとも含有
する新規なDNA配列に関する。
〔従来の技術〕
ヒト甲状腺刺激ホルモン(以下、hTSHという)は、下
垂体の前葉細胞から分泌される糖蛋白ホルモンであり、
甲状腺からの甲状腺ホルモンの生産と分泌を刺激するこ
とによって、視床下部−下垂体−甲状腺軸の調節に重要
な生理学的役割を果たしている。ところで、従来、視床
下部−脳下垂体−甲状腺をつなぐ中枢の異状の診断には
牛TSHを使用されたこともあるが、アナフィラキシーシ
ョックが生起するため、その使用は中断されている。し
かして、ヒト由来のTSHにおいては、アナフィラキシー
ショックがないので、前記診断に有効に使用できる。ま
た、甲状腺機能検査にTSHラジオイムノアッセイが多く
用いられているが、この際もヒト由来TSHが必要とされ
ている。しかし、現時点においては、hTSHは脳下垂体前
葉に存在することが分ってはいるが、それはごく微量に
しか存在せず、診断等の目的に使用するほど多量に入手
することは不可能と言ってもよい。一方、hTSHは、2つ
の非共有的に結合したサブユニット(αとβ)からな
り、横体形成ホルモン(LH)、絨毛膜性腺刺激ホルモン
(CG)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)のような糖蛋白
質ホルモンのグループに属する。これらのホルモンは、
同じα型サブユニットをもち、これは単一の遺伝子によ
ってコードされている。そして、β型サブユニット部分
の相違によって、それぞれのホルモンの機能が分れてく
る。過剰なα型サブユニットは、(β型サブユニットと
関係なく)、正常な下垂体および正常胎盤に遊離型で存
在しており、このことはα型とβ型サブユニットは無関
係に合成されており、特異的なβ型サブユニットの合成
は、これらホルモンの生産における律速過程となりうる
ことを示唆している。α型サブユニットのcDNAと遺伝子
がクローン化され、ヒト・マウス・ウシ・ラット等のcD
NAのヌクレオチド配列が決定された。しかし、β型サブ
ユニットに関しては、ヒトCG、ヒトLH及びラットLHの遺
伝子についての報告はあるが、hTSHβの遺伝子は未だ詳
しく解明されておらず、従って対応するhTSHβの正確な
アミノ酸配列も決定されてはいない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、組換えDNA技術を用いる、hTSHβのポリペ
プチドをコードする遺伝子を提供することを目的とす
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、上記目的を達成するために、当該遺伝
子のクローニングを行い、そのDNA配列およびアミノ酸
配列を決定することにより、従来のhTSHβについて知ら
れていたアミノ酸配列と2個異なった新規なポリペプチ
ドをコードするDNA配列を見出して本発明を完成した。
本発明は、112個のアミノ酸からなる成熟ヒトTSHのβ
型サブユニット(hTSHβ)をコードする新規DNA配列に
関する。更に好ましくは、本発明のDNA配列は、少なく
ともN末端に20個アミノ酸からなるシグナル配列のペプ
チドをコードするDNA配列及び/又はCOOH(3′)末端
に6個の疎水性アミノ酸配列をコードするDNA配列を含
有する新規なDNA配列からなる。
即ち、本発明は、下記で表わされるhTSHβのポリペプ
チドをコードする配列を有することを特徴とするDNA配
に関するものであり、下記の塩基配列を有する。
又、DNA配列は、hTSHβのポリペプチドをコードとす
るDNA配列に加えて、C(3′)末端に疎水性アミノ酸
を6個付加されていてもよく、好ましいポリペプチドと
して Leu Val Gly Phe Ser Val が例示され、好ましい塩基配列として、 CTGGTAGGATTTTCTGTC が例示される。
さらに又、DNA配列は、hTSHβのポリペプチドをコー
ドするDNA配列に加えて、N(5′)末端にシグナルペ
プチドを付加されていてもよく、かかるシグナルペプチ
ドとしては具体的には下記のポリペプチドが例示され
る。
Met Thr Ala Leu Phe Leu Met Ser Met Leu Phe Gly Leu Ala Cys Gly Gln Ala Met Ser 好ましい具体例としては、塩基配列が、 ATG ACT GCT CTC TTT CTG ATG TCC ATG CTT TTT GGC CTT GCA TGT GGG CAA GCG ATG TCT である。
従来のhTSHβは、28と29番目のアミノ酸がメチオニン
とスレオニンからなり、それをコードする塩基配列は従
来未知であった。本発明からなるDNA配列は、28と29番
目のアミノ酸はスレオニンとメチオニンであり、それを
コードする塩基配列はACAATGである。
本発明に係るhTSHβのDNA配列は以下のように調整さ
れる。
原料細胞として、たとえばヒト白血球又はヒト肝臓細
胞を用いる。この細胞からDNAを抽出し、電気泳動及び
サザーン ハイブリダイゼーションによって、目的とす
るDNAを検出する。検出されたDNAを、常套手段にて回収
し、適当なベクターに挿入する。この組換えベクターで
適当な宿主を形質転換させる。形質転換体を適当なマー
カーで、スクリーニングし、更にコロニーハイブリダイ
ゼーションや、制限酵素処理により、hTSHβのc遺伝子
を含有するベクターを単離する。これによりhTSHβをコ
ードするDNA配列を調整することができる。このDNA配列
を例えばサンガー(Sanger)等の方法〔プロシーディン
グス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエン
ス,イン ユー.エス.エイ(Proc.Natl.Acad.Sci.US
A),74,5463−5467(1977)〕によって決定し、hTSHβ
の構造遺伝子の存在を確認する。
得られたhTSHβをコードする塩基配列を有するDNA配
列は、以下必要により組換えベクターの調製に供せられ
る。ベクターは適当なプロモーターをSD配列の下流につ
なぐことも可能である。組換えベクターは、適当な宿主
を常法に従い形質転換することにより、形質転換体を得
ることができる。形質転換体は、各々の宿主に適応した
培地中で培養され、菌体又は培養液中から産生されたhT
SHβを回収することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の具体的な処理方法を説明する。
なお、本発明者らはhTSHβ遺伝子のヌクレオチド配列
を決定するにあたって、直接ヒト甲状腺刺激ホルモン
(hTSH)に対応するmRNAを採取し、これを逆転写により
遺伝子DNAのヌクレオチド配列を決定する方法をとるこ
とはあえて避けた。これは、hTSHβのmRNAは脳下垂体前
葉でのみ生産されると考えられており、材料が極めて微
量で実験に用いるほどのmRNAの採取は不可能に近いと考
えられたからである。本発明者らは、比較的入手容易な
ウシTSHβのcDNAをプローブとして用いて、ヒトDNAから
直接hTSHβの遺伝子をクローン化することを試み、これ
に成功した。
実施例1 使用される酵素 制限酵素、DNAポリメラーゼI、クレノー断片は、宝
酒造から購入した。T4リガーゼは、T.Tsurimoto(ツリ
モト)博士から入手した。
遺伝子DNAのサザーンブロッティングハイブリダイゼ
ーション法(以下、サザーン法) ヒトの白血球DNAを、タカハシ(Takahashi)ら〔プロ
シーディングス オブ ナショナル アカデミー オブ
サイエンス,イン ユー.エス.エイ(Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA)、82、1931−1935〕に記載の方法に準じて
分離した。このDNAの約10μgを、EcoRI、PvuII、HindI
II、及び他の適当な制限酵素で12〜16時間処理を行うこ
とによって消化した。制限酵素は表1に示される各々の
酵素に適応した条件で使用される。
目的とするDNA断片の回収は、消化物をロバート(Rob
ert)等の電気泳動法〔メソッズ イン エンザイモロ
ジー(Methods in enzymology)68,176−182(1979)〕
およびサザーン法〔ジャーナル オブ モレキュラー
バイオロジー(J.Mol.Biol.)98,503−517(1975)〕に
よって行った。ウシのTSHのβ型サブユニットのcDNAが
挿入された断片は、アール.モーラー(R.Maurer)博士
〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー
(J.Biol.Chem.)259,5024−5027(1984)〕から入手
し、ニック(nick)トラスレーションによって〔α−32
p〕dCTPでラベルされ、比活性1〜5×108cpm/μgDNAを
得た。サザーン法に使用されるフィルターは、前ハイブ
リダイズされ〔プロシーディングス オブ ナショナル
アカデミー オブ サイエンス,イン ユー.エス.
エイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),82,1931−1935(198
5)〕、次いで、ハイブリダイゼーションは、65℃でハ
イブリダイゼーション液1ml当たり、6×SSC(1×SSC
は0.15M塩化ナトリウム/15mMクエン酸ナトリウム)/0.1
%SDS(ソディウム ドデシル サルフェイト)/1×デ
ンハーツ(Denhardt's)溶液〔プロシーディングス オ
ブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス,イン
ユー.エス.エイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),82,1
931−1935(1985)〕/サケ精子DNA100μg中において
処理された。フィルターは、洗浄され、オートラジオグ
ラフィーによって分析された〔プロシーディングス オ
ブ ナショナル アカデミーオブ サイエンス,イン
ユー.エス.エイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),82,193
1−1935(1985)〕。
ヒト遺伝子DNAライブラリー 2種のヒト由来の遺伝子ライブラリーが使用された。
第1のライブラリーは、EcoRIで完全に分解したヒト肝
臓遺伝子DNAをλシャロン28アーム(シャロンベクタ
ー)〔ティー.ナガヤ(T.Nagaya)氏とティー.ナカム
ラ(T.Nakamura)氏より入手した〕と結合させることに
より調製される。組換えクローンの最初の活性値は、8.
0×105であった。このライブラリーは、ベントンとデー
ビスの方法〔サイエンス(Science)196,180−182(197
7)〕によって増幅なしにスクリーニングされた。
第2のライブラリーは、部分的に濃縮されたhTSHβ遺
伝子を用いて、EcoRIで消化さたヒト白血球DNAから調製
された。DNAの約1200μgの消化物を、約0.7%アガロー
スゲル上で電気泳動にかけた。そして、アガロースの垂
直断片について、プローブとして、ウシTSHβcDNA〔ジ
ャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J.Bi
ol.Chem.)259,5024−5027(1984)〕を使ってサザーン
法によるハイブリダイゼーションにかけた。これによっ
て2.2kbpと3.2kbpの2つのバンドが現われた。相当する
サイズのDNAが、電気泳動法によって残ったアガロース
ゲルから溶出され、CsCl−エチジウムブロマイド密度勾
配によって精製された。DNAは、各々pBR325のEcoRIサイ
トに組み込まれ、E.coliRR Iを形質転換させた。約4×
105コロニーが生産され、Hanahan(ハナハン)と、Mese
lson(メーセルソン)の方法で、プローブとしてウシTS
HβcDNAを使って、スクリーニングした〔ジーン(Gen
e)10,63−67(1980)〕。
DNA配列の分析 配列の決定は、クローニング ベクターとして、M13m
p10とmp11についてサンガー(Sanger)等の方法〔プロ
シーディングス オブ ナショナル アカデミー オブ
サイエンス,イン ユー.エス.エイ(Proc.Natl,Ac
ad.Sci.USA)74,5463−5467(1977)〕によった。
遺伝子DNAのサザーンハイブリダイゼーション法 ウシのTSHβcDNAの320bp断片〔アール.モーラー(R.
Maurer)博士、ジャーナル オブ バイオロジカル ケ
ミストリー(J.Biol.Chem.)259,5024−5027(1984)に
よって提供〕は、シグナルペプチドの部分(9個のアミ
ノ酸残基)と成熟TSHβの99個のアミノ酸残基をコード
する。プローブとしてこの断片を用いて、白血球からの
ヒト遺伝子DNAのHindIIIとPvuII断片のサザーンハイブ
リダイゼーションを行ったところ第1図のレーン2と3
の単一バンドを与えた。一方、DNAのEcoRI断片は第1図
のレーン1のように3.2kbpと2.2kbpのバンドを与えた。
相当するサイズの断片はゲルから切り出され、pBR325の
EcoRIサイト中にクローン化され、pBR325ライブラリー
を調製した。
ヒトTSHβ遺伝子を担持するヒトDNA断片のクローニン
EcoRI消化ヒト肝臓DNAを担持するλシャロン28遺伝子
DNAライブラリーとEcoRI消化ヒト白血球DNAを担持するp
BR325 DNAライブラリーがTSHβ遺伝子のクローンをスク
リーニングするために使用された。約8.0×105の組換え
ファージについて、ウシTSHβcDNA〔ジャーナル オブ
バイオロジカル ケミストリー(J.Biol.Chem.)259,
5024−5027(1984)〕をプローブに使って検査した。そ
して一つの陽性クローンを得た。このファージクローン
のサザーンハイブリダイゼーションは、このクローンが
3.2kbpの組成物を担持することを示した。この3.2kbpの
EcoRI断片は、pBR322のEcoRIサイト中にサブクローン化
され、pTβE21と命名された。同じウシのcDNAプローブ
を使って、2.2kbpEcoRI断片を担持するpBR325ライブラ
リーを約4×105コロニースクリーニングすることによ
り5つの陽性クローンが得られた。これら5つのクロー
ンすべて、2.2kbpEcoRI断片を担持することが確認さ
れ、一つのクローン(pTβE31)が次の分析に利用され
た。
ヒトTSHβ遺伝子のヌクレオチド配列 pTβE21とpTβE31の制限酵素地図を作製した。これは
第2図に示した。ヌクレオチドの配列決定は、同図に示
されたストラテジーに従って、全クローン化断片または
その一部分について行われた。ヌクレオチド配列は第3
図に示した。pTβE31が担持する2.2kbp DNA断片におい
て、プレプロ(prepro)TSHβの推定される開始メチオ
ニンが検知され、アミノ酸残基として+1の数値を与え
た。オープンリーディングフレーム(アミノ酸配列とし
て翻訳されうるDNA塩基配列)は、*aから*bの間の領域
である(第3図を参照)。この領域の最初の部分は、シ
グナルペプチドであり、20個のアミノ酸よりなる。そし
てこの部分は、疎水性残基を多く含む。続く+21から+
54のアミノ酸配列は、ヒトTSHβサブユニット蛋白質
〔カナディアン ジャーナル オブ バイオケミストリ
ー(Can.J.Biochem.)55,755−760(1977)〕の分析に
よって決定されたアミノ酸配列と一致した。アミノ酸を
コードする配列は、GT配列で始まるアミノ酸+54番目以
降中断されている。これは共通のイントロンドナー側配
列に相当する。残基+55から+132のヒトTSHβアミノ酸
配列の残りの部分と一致するヌクレオチド配列は、pTβ
E21が担持する3.2kbp DNA断片中に存在する。これは、
共通イントロンアクセプター側配列AGに続いている。ア
ミノ酸+132のコドンは、さらに疎水性アミノ酸の6個
のコドンを結合している。そして、終止コドンTAAで終
わる。これらのデータは、pTβE31とpTβE21が担持する
ヒトDNA断片は、ヒトTSHβ遺伝子をすべて保有してお
り、それらはコドン+54と+55の間に、位置する約0.46
kbpのDNA領域を伴って一列に配列されうることを示して
いる。そして本発明者らは、この領域がイントロンであ
ることを決定した。また、小さなEcoRI断片が、2.2kbp
と3.2kbp DNA断片の間に存在するかもしれない可能性を
除くことはできない。本発明者らの見出したアミノ酸配
列は、アミノ酸+28と+29の位置で既知アミノ酸配列
〔カナディアン ジャーナル オブ バイオケミストリ
ー(Can.J.Biochem.)55,755−760(1977)〕と異なっ
ていた。その位置でメチオニンとスレオニン残基の代わ
りに各々スレオニンとメチオニン残基であった。
+1の開始メチオニンコドンの決定は次の理由によっ
た。
1)メチオニンコドンの5′上流6bpの位置に終止コド
ンTGAがある。
2)残基+21のフェニルアラニンに先行する3つのメチ
オニンコドンの内、+1のメチオニンは、シグナルペプ
チドに相当するサイズの疎水性アミノ酸配列を伴ってい
る。
3)開始メチオニンコドンが確定されている〔プロシー
ディングス オブ ナショナル アカデミー オブ サ
イエンス,イン ユー.エス.エイ(Proc.Natl.Acad.S
ci.USA)80,2122−2126(1983)〕マウスTSHβcDNAの配
列との比較で、最初のメチオニンが開始コドンであるこ
とが強く示唆された。
これまで、TSHβコーディング配列は、マウスとウシ
のcDNAについてのみ分析された。本発明からなるTSHβ
遺伝子は、初めてイントロンの存在を確認した。
ヒトのTSHβのコーディング領域のヌクレオチド配列
は、マウスとウシのコーディング領域と各々84.7%およ
び89.9%同一であった。しかしながら、交差ハイブリダ
イゼーション テストによって判断したところでは、ヒ
トTSHβ遺伝子とウシTSHβcDNA〔ジャーナル オブ バ
イオロジカル ケミストリー(J.Biol.Chem.)259,5024
−5027(1984)〕の5′非翻訳領域においては明白な同
一性はなかった。ヌクレオチド配列における同一性の欠
如とヒトTSHβmRNAはたやすくは入手できないというこ
とで、ヒトTSHβ遺伝子の5′および3′非翻訳領域ま
たはそのプロモーター領域を詳細に決定できなかった。
同様の理由のために、3′非翻訳領域について現在のと
ころ論じられない。これらの問題は、さらに研究を必要
とする。
ヌクレオチド配列から導かれたヒトTSHβ前駆体は、
成熟TSHβポリペプチドのカルボキシル末端に結合され
た6個の疎水性アミノ酸の付加があった。カルボキシル
末端におけるこのような付加アミノ酸の存在は、ウシの
TSHβcDNA〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミ
ストリー(J.Biol.Chem.)259,5024−5027(1984)〕で
も報告されている。しかし、その付加数は、5個のアミ
ノ酸残基であった。この付加は、実験の過程で生じたも
のとは考えられない。なぜなら、ヒトとウシの付加配列
は高い相同関係を示したからである。さらに、マウスcD
NAの研究から、同様の付加ポリペプチドが予知された
〔プロシーディングス オブ ナショナル アカデミー
オブ サイエンス,イン ユー.エス.エイ(Proc.N
atl.Acad.Sci.USA)80,2122−2126(1983)〕。 次い
で、成熟ヒトTSHβサブユニットは翻訳後切断によって
生産される。付加ポリペプチドの欠除は、蛋白質分子の
立体構造的変化を導くかもしれない。このことは、ピア
ス(Pierce)とパーソン(Parson)によって示唆された
〔アニュアル レビュー オブ バイオケミストリー
(Annu.Rev.Biochem.)50,465−495(1981)〕。
ヒトTSHβ遺伝子のコピー数 第1図に示されるように、ヒト遺伝子DNAのPvuIIとHi
ndIII断片のサザーンブロットパターンで、各々約2.0kb
pと14kbpの単一バンドが検出された。DNAのEcoRI断片に
ついては、2つのバンドが検出された。これは、短いイ
ントロンは、EcoRIサイトを有しているという知見と一
致した。これらの結果は、ヒトTSHβ遺伝子が単一コピ
ーであることを強く示唆した。
他の糖蛋白質ホルモンのβ遺伝子とヒトTSHβ遺伝子
の比較 hTSHβ遺伝子の一般的特徴は、hCGまたはhLH〔ネーチ
ャー(Nature)286,684−687(1980)〕、〔ネーチャー
(Nature)300,419−422(1982)〕、〔ネーチャー(Na
ture)307,37−40(1984)〕、〔ジャーナル オブ バ
イオロジカル ケミストリー(J.Biol.Chem.)258,1149
2−11499(1983)〕のような他の糖蛋白質のβサブユニ
ットの遺伝子の一般的特徴と類似している。hTSHβ遺伝
子のアミノ酸コーディング領域内にイントロンの存在
は、hCGβとhLHβ遺伝子において知られているものと同
一である。他のイントロンとしては、hCGβとhLHβ遺伝
子の両方において、翻訳開始メチオニンコドンの下流部
15bpに位置する〔ネーチャー(Nature)307,37−40(19
84)〕。このイントロンはhTSHβ遺伝子には存在しな
い。このことは、hTSHβ遺伝子は、進化の過程において
他の3つの糖蛋白質βサブユニット遺伝子より以前に、
共通の先祖の遺伝子から分化したことを示唆している。
アミノ酸配列は、ある程度保持されており、同一領域は
hLHβとhTSHβ〔第4図(a)のエクソン2と3の両方
にみられる。一方、ヌクレオチド配列は、hLHβ遺伝子
のエクソン2でのみ同一領域をわずかに保持している
〔第4図(b)〕。この狭いが高度に保持された領域
は、アミノ酸配列とヌクレオチド配列の両方の意味でカ
ーギー(CAGY)領域として知られる他の糖蛋白質〔プロ
シーディングス オブ ナショナル アカデミー オブ
サイエンス,イン ユー.エス.エイ(Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA)73,842−846(1976)〕のβサブユニット
に相当する領域と同一であった。分子分化の観点から、
ヌクレオチド配列における完全一致の領域はアミノ酸配
列において同一性の観察される他の領域のうちCAGY領域
にまさに限られるということは興味深い。
このようにしてhTSHβの構造遺伝子が決定されたの
で、これに基づき、公知の手段を用いて+1のトリプレ
ットコドンから+138までのトリプレットコドンまでの
イントロン部分を含まないDNAを合成的に、又はもしヒ
ト脳下垂体前葉からある程度の量のmRNAを入手できれば
逆転写の手段で製造し、これを公知の手段で適宜のベク
ター、例えば大腸菌プラスミド、ファージ・ベクター等
に挿入して発言ベクターをつくり、大腸菌、酵母等の適
宜の宿主に移入して形質転換体をつくり、その培養によ
り大量のhTSHβを取得することができる。上記したよう
に+1のメチオニンをコードするトリプレットコドンか
ら+20までの20個のトリプレットコドンは、シグナルペ
プチドをコードする部分であるから、この部分は分泌に
際して切断されるかも知れない。また、hTSHβの分泌に
際して切断されうるペプチドをコードするトリプレット
コドンであれば、他のDNA配列を有する場合であっても
本発明の目的を達成しうる。従って、このシグナルペプ
チドを有しない+21から下流に相当するペプチドはhTSH
βの活性を有する。一方、+133から下流の6個の疎水
性アミノ酸をコードするトリプレットコドンは翻訳後に
除去されうる部分であって、この部分がコードする6個
のアミノ酸部分は直接にはhTSHβの活性に関与しないと
考えられている。従ってこの部分は他の疎水性アミノ酸
からなるペプチドをコードするコドンで置きかえられて
もよく、+132のTATの直後、又は数個の疎水性アミノ酸
をコードするトリプレットコドンを介して終止コドンを
有していてもhTSHβ活性を発現する蛋白質を発現しう
る。
+132から+138までの6個のトリプレットコドンによ
りコードされるペプタイドはhTSHβの活性には直接関与
しないものと考えられるが、この部分はhTSHβに特異的
に存在するペプタイドであって、例えばhTSHβの検出等
に利用されうるという意味から重要な画分である。
上記のようにhTSHβの成熟蛋白質は+21から+132ま
でのトリプレットコドンがコードする蛋白質であって、
上流にシグナルペプチド部分を、下流に疎水性アミノ酸
からなるペプチド部分を有している。もちろん、本発明
者らが決定した+21から+132のアミノ酸をコードするD
NA配列を含むDNAならば、本発明者らが決定したDNA配列
以外のDNA配列であっても、適当な条件さえ選べばいず
れもhTSHβ活性を有する蛋白質を発現しうる。
〔効果〕
本発明の完成により、これまで大量に入手することが
困難であったhTSHβが遺伝子組み換えの手法に容易に大
量に入手しうるようになり、視床下部−脳下垂体−甲状
腺を結ぶ中枢に関係する病変についての治療・診断ある
いは該中枢の生理学的研究のための試薬等としての使用
への道がひらかれるようになった。
【図面の簡単な説明】
第1図 ヒトTSHβサブユニット遺伝子の染色体サザー
ンブロットハイブリダイゼーション分析: ヒト白血球DNAがEcoRI(レーン1)、HindIII(レーン
2)及びPvuII(レーン3)で消化処理された。0.7%ア
ガロースゲルで電気泳動後、DNAはニトロセルロースフ
ィルターに移された。次いで、そのフィルターをウシTS
Hβサブユニットをコードする320bp cDNA断片の〔α−
32p〕ラベル化物をプローブとしてハイブリダイズし
た。HindIII消化λファージDNA中のマーカーDNAの位置
は、図の左に示された。 第2図 hTSHβ遺伝子の2.2kbpと3.2kbpDNA断片を各々
担持するpTβE21とpTβE31の制限酵素地図と配列ストラ
テジー: 使用された制限酵素サイトのみが図示されている。密な
棒状部は、第3図のヌクレオチド配列から導かれるアミ
ノ酸コーディング領域を示す。MetとTerは各々開始メチ
オニンコドンと終止コドンを示す。 第3図 hTSHβサブユニット遺伝子のヌクレオチド配
列: 相当するアミノ酸配列も図示し、プレプロTSHβの推定
される開始メチオニンは、+1と番号をつけた。*aから
*bと*cから*dのヌクレオチド配列は、138個のアミノ酸
をコードする完全な配列を示す。アミノ酸の+54と+55
の間にはイントロンが介在する。最初の20個のアミノ酸
は、シグナルペプチドであるだろう。+21残基のPheか
ら+132残基のTyrのアミノ酸配列は、成熟hTSHβポリペ
プチドのアミノ酸配列決定〔カナディアン ジャーナル
オブ バイオケミストリー(Can.J.Biochem.)55,755
−760(1977)〕により得られた結果と一致した。 第4図(a)および第4図(b) hTSHβとhLHβのアミノ酸とヌクレオチドの配列の比較
のためのハールプロット(Harr plot)分析: hTSHβとhLHβ及びこれらの相当する遺伝子の間のアミ
ノ酸〔第4図(a)〕とヌクレオチド〔第4図(b)〕
の配列の相同関係を証明するために、ハール プロット
を行った。hLHβとその遺伝子のアミノ酸とヌクレオチ
ドの配列は、マーギュイン−ロジスター(Marghuin−Ro
gister)など〔ヨーロピアン ジャーナル オブ バイ
オケミストリー(Eur.J.Biochem.)39,255−263(197
3)〕とタルマッジ(Talmadge)ら〔ネーチャー(Natur
e)307,37−40(1984)〕の実験結果を引用した。各々
のドットは、一つのアミノ酸または4つのヌクレオチド
が2つの配列において一致するところの位置を表わして
いる。矢の先は、イントロンの位置を表わす。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮井 潔 箕面市箕面8−7―36 (72)発明者 松原 謙一 大阪市福島区福島3−1―57―909 (72)発明者 林崎 良英 大阪市旭区新森2−12―16 (72)発明者 加藤 菊也 大阪市平野区流町4−1―8 (56)参考文献 Can.J.Biochem.[55 ](1977)P.755−760

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(i)〜(iv)から選ばれる配列を有
    するヒトの甲状腺刺激ホルモンのβ型サブユニットをコ
    ードするDNA配列。
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