JP2639208B2 - 楽音合成装置 - Google Patents

楽音合成装置

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JP2639208B2
JP2639208B2 JP2293397A JP29339790A JP2639208B2 JP 2639208 B2 JP2639208 B2 JP 2639208B2 JP 2293397 A JP2293397 A JP 2293397A JP 29339790 A JP29339790 A JP 29339790A JP 2639208 B2 JP2639208 B2 JP 2639208B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、演奏者の唇の状態によって楽音の変化する
自然楽器のシミュレートに用いて好適な楽音合成装置に
関する。
「従来の技術」 自然楽器の発音メカニズムをシミュレートすることに
より得られたモデルを動作させ、これにより、自然楽器
の楽音を合成する方法が知られている。特に、クラリネ
ット等の管楽器の最も基本的なモデルとしては、リード
の弾性特性をシミュレートした非線形増幅素子と、共鳴
管をシミュレートした双方向伝送回路とを接続した閉ル
ープ構造のモデルが知られている。このモデルでは、非
線形増幅素子から信号が出力される。この信号は後退波
信号が加算された後、進行波信号として双方向伝送回路
に入力されると、次に、この進行波信号は双方向伝送回
路の終端部で反射され、双方向伝送回路を逆方向に伝搬
される。しかる後に反射波信号は進行波信号に加算さ
れ、非線形増幅素子(励振回路)に帰還される。このよ
うに、非線形増幅素子と双方向伝送回路とからなる閉ル
ープ回路によって、管楽器における空気圧力波の伝播が
忠実にシミュレートされる。
また、実際の管楽器には、音高操作用の孔、いわゆる
トーンホールが設けられているものもあるが、このトー
ンホールをも含めて管楽器をシミュレートしたモデルも
知られている。このモデルでは、トーンホールに対応
し、各双方向伝送回路間に信号散乱ジャンクション(以
下、ジャンクションと略す)と呼ばれる信号処理回路が
介挿される。そして、各ジャンクションにより、隣接す
る双方向伝送回路からの各入力信号に対し係数乗算等の
演算処理が行われ、演算結果が隣接する双方向伝送回路
に供給される。この演算処理における乗算係数等は当該
トーンホールの開閉状態に対応し切り換えられる。
この場合、非線形増幅素子に帰還される信号は、各ジ
ャンクションにおいて折り返された成分の総和となる。
しかも、上述したように、各ジャンクションにおける演
算用の乗算係数は当該トーンホールの開閉状態に対応し
て切り換えるので、結局、非線形増幅素子から双方向伝
送回路側を見た場合の伝送量周波数特性はトーンホール
の開閉状態に対応して切り換えられる。
この伝送量周波数特性は、非線形増幅素子の出力信号
が開放状態のトーンホールに対応したジャンクションに
おいて折り返されて非線形増幅素子に帰還されるまでの
遅延時間に対応した周波数(1次)、およびそのほぼ整
数倍の各周波数(高次)に共振周波数を有する多峰性の
特性となる。なお、この種の技術は、例えば特開昭63−
40199号公報に開示されている。
「発明が解決しようとする課題」 ところで、上述の技術においては、主に木管楽器をシ
ミュレートすることを主眼としていたため、演奏者の唇
の開き具合、押し付け具合、あるいは緊張のさせ具合
(口の廻りの筋肉の張り具合)等のパラメータに基づい
た楽音を発生させる機能を有しておらず、このような唇
の緊張状態を検出し得る構成も具備していなかった。し
たがって、上述の技術においては、唇の緊張度によって
楽音が決定される金管楽器をシミュレートすることがき
わめて困難であった。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、
唇の緊張度に基づいて金管楽器の楽音を忠実にシミュレ
ートすることができる楽音合成装置を提供することを目
的としている。
「課題を解決するための手段」 上記課題を解決するため本発明成にあっては、演奏者
の唇が接触可能に配置されるとともに前記唇の接触面積
を検出する接触面積センサと、前記唇の前記接触面積セ
ンサに対する押圧力を検出する圧力センサと、検出され
た前記接触面積と前記押圧力とが入力され、前記接触面
積が大となるほど小となるとともに前記押圧力が大とな
るほど大となる所定の関数に基づいて、前記唇の緊張度
を示す緊張度信号を出力する緊張度信号発生手段と、前
記緊張度信号が大となるほど音高の高い楽音信号を発生
する楽音信号発生手段とを具備することを特徴としてい
る。
「作用」 演奏者が接触面積センサに唇を押圧すると、接触面積
センサにおいて唇の接触面積が検出され、圧力センサに
おいて唇の押圧力が検出される。
次に、緊張度発生手段が所定の関数に基づいて緊張度
信号を発生し、楽音信号発生手段は該緊張度信号が大と
なるほど音高の高い楽音信号を発生する。
これにより、演奏者が唇を緊張させるほど、音高の高
い楽音信号が発生する。
「実施例」 次に本発明の一実施例の電子金管楽器を図面を参照し
説明する。
A.実施例の前提理論 金管楽器の物理モデル 本実施例の電子金管楽器は、金管楽器の発音機構をシ
ミュレートするものである。そこで、実際の金管楽器の
物理モデルを第2図(イ)、(ロ)を参照し説明する。
なお、第2図(イ)、(ロ)に示す物理モデルは、マッ
キンタイヤーらによる木管楽器のモデル(M.E.Mcintyr
e,R.T.Suhumacher,J.Woodhouse“On the oscillations
of musical instruments",J.Acoust.Soc.Am.74(5),N
ovember 1983 0001−4966/83/111325−21$00.88 198
3 Acoustic Society of America)に、金管楽器(リッ
プリード楽器)における唇の動作を適用したものであ
る。
第2図(イ)において20は金管楽器の共鳴管、21は共
鳴管21に挿入されたマウスピースである。3は演奏者の
唇であり、マウスピース21に押し当てられている。演奏
者がマウスピース21に息を吹き込むと、唇3の直下部分
の圧力が変化し、唇3の非線形特性により流量fが発生
する。この流量fによる圧力変化は、この瞬間における
圧力後退波R1が加算され圧力進行波F1となって共鳴管20
の終端部20eに向かって伝搬される。次に、圧力進行波F
1は共鳴管20の各部で反射されつつ伝搬され、時間の経
過とともに進行波F2、F3に変化する。次に、圧力進行波
F3は終端部20eで反射され反射波R2として唇3に向って
伝搬する。この反射波R2も共鳴管20の各部で反射されつ
つ伝搬され、時間の経過とともに反射波R3、R4に変化
し、唇3の直下に帰還される。この反射波R4と、この瞬
間における進行波F4との加算結果が、唇3の直下部分に
おける圧力qとなる。また、口腔内部の空気圧(吹奏
圧)pとマウスピース1内部の空気圧(反射波Rに基づ
く圧力)qとの差が大きい程、大きな流入速度が得られ
る。
また、第2図(ロ)に同図(イ)におけるA−A′断
面図を示す。図において網目を付した部分の面積が開口
面積Sである。
ここで、フレッチャーの論文(N.H.Fletcher,“Air f
low and sonud generation in musical wind instrumen
ts",Ann.Rev.Fluid Mech.1979.11:123−46 Copyright
1979 by Annual Reviews Inc.All right reserved)
によれば、木管楽器のリードと金管楽器のリード(リッ
プリード)との最大の相異点は、吹奏圧を増やした際、
前者はリードを閉じるのに対して、後者はリードを開く
ことにある。すなわち、吹奏圧pとマウスピース内部の
空気圧qとの差をΔqとすると(Δq=q−p)、開口
面積SはS(Δq)なる関数として表現することができ
る。以下、関数S(Δq)をスリット関数という。ここ
で、スリット関数S(Δq)は、概ね第3図(イ)ある
いは(ロ)に示すような特性を有する。すなわち、演奏
者がマウスピース21に息を吹き込むと、吹奏圧pが空気
圧qよりも大となることによって圧力差Δqが負値とな
る。この場合、圧力差Δqが小となるにつれて唇3が徐
々に広がってゆき、ある程度広がったところで飽和す
る。逆に、演奏者が息を吸い込んだ場合には、圧力差Δ
qは正値となり、圧力差Δqが大となるにつれて唇3が
閉じてゆき、同様の飽和特性を呈する。
ここで、グレアム(Graham)の法則によれば、p≧q
の場合において、単位面積を単位時間に流れる流量(空
気速度v)は、次式(A1)で表わされる。
v={2(p−q)/ρ)1/2 ≡L(Δq) ……(A1) ただし、ρは空気密度である。また、体積流量fは、
空気速度vに開口面積Sを乗じたものに等しい。
スリット関数とアンブシュアとの関係 スリット関数S(Δq)は圧力差Δqのみによって一
律に決定するものではなく、唇3の構え(アンブシュ
ア)によっても種々異なる。ここで、アンブシュアはア
パチュア(唇の開き具合)と、ストレイン(唇の緊張
度)との二種類に大別することができる。以下、アパチ
ュアおよびストレインの各々の変化に対するスリット関
数S(Δq)の変化を説明する。
(i)アパチュアに対するスリット関数S(Δq)の変
化 アパチュアとは、息を吹き込まないときの開口面積S
であり、Δq=0とした場合のスリット関数S(Δq)
に等しい。第3図(イ)は、ストレインを一定とし、ア
パチュアを変化させた場合のスリット関数S(Δq)の
特性の変化を示している。図において曲線A1,A2およびA
3は、順次アパチュアを大とした場合のスリット関数S
(Δq)の特性である。図から明らかなように、各曲線
A1〜A3の形状は近似しており、同じ曲線を順次右方向に
シフトしたものに略等しい。
ここで、第3図(イ)における各曲線A1〜A3は、第4
図に示す関数δ(ap)を用いて近似することができる。
ここで、変数apはアパチュアである。
第4図の関係を式で表現すると、次式(A2)の通りと
なる。
ただし、x=Δq/st+δ(ap)である。
式(A2)をδについて解くと、 となる。ただし、式(A3)右辺の±の符号は、0<ap<
1のときは“+”、1<ap<2のときは“−”となる。
式(A3)に示すδ(ap)は、第4図から明らかなよう
に、 となる単調減少関数である。すなわち、アパチュアapを
大きくする場合は、δを小さくすればよいことが判る。
なお、関数δ(ap)は式(A3)に基づいて与えられる
が、例えば下式(A5)および(A6)に示すように一次式
あるいは三次式等によって近似してもよい。
δ(ap)≒−m(ap−1) ……(A5) δ(ap)≒−m(ap−1) ……(A6) ただし、mは比例定数である。式(A5)および(A6)
の近似式で得られる関数δ(ap)の近似値を第4図
(ロ)の特性C1およびC2に示す。
(ii)ストレインに対するスリット関数S(Δq)の変
化 次に、第3図(ロ)は、アパチュアを一定としストレ
インをを変化させた場合のスリット関数S(Δq)の特
性の変化を示している。図において曲線B1,B2およびB3
は、順次ストレインを大とした場合のスリット関数S
(Δq)の特性を示す。ストレインの大きな(緊張し
た)唇は息を吹き込んでも開口面積Sはあまり変化しな
い一方、ストレインの小さな(緩んだ)唇は、前者に比
較してスリット面積Sの変化が大きいことが解る。
第3図(ロ)に示す曲線を近似すると、スリット関数
S(Δd)は下式(A7)で表現することができる。
ここで、 γ=Δq/st+δ(ap) ……(A8) であり、変数stはストレインを示す。種々のストレイン
st1,st2およびst3(但しst1<st2<st3)に対するスリ
ット関数S(Δq)のグラフを第5図に示す。
スリット関数の周波数選択性 金管楽器の演奏者は、管の長さによって決まる基音の
さまざまな倍音を唇によって選択して演奏する。これ
は、唇がある種のフィルタとして動作し、唇の締め具合
あるいは張り具合によってフィルタ特性が変化すること
に基づくものである。本発明者の解析によれば、唇の実
効振動質量m、減衰定数μ、バネ定数kおよび実効振動
面積SBによって、唇が成すフィルタの振幅上昇比Q、カ
ットオフ周波数fcおよびコンプライアンス(ゲイン)C
が決定されることが判明した。その詳細を以下説明す
る。なお、実効振動質量mおよび実効振動面積SBとは、
唇3(第2図(イ)、(ロ)参照)のうち振動に供され
る部分の質量および面積である。
まず、唇3の変位をxとすると、唇3の運動方程式は
下式(A9)によって与えられる。なお、変位xの時間t
による微分をx′、時間tに対する2階微分をx″と表
記する。
mx″+μx′+kx=Δq・SB ……(A9) 式(A9)をラプラス変換し、伝達関数H(s)を求め
ると、 が得られる。さらに式(A10)を変形すると が得られる。また、一般にピークゲインが「1」(DCゲ
インがq)、カットオフ周波数がfc、振幅上昇比がQで
あるアナログフィルタの伝達関数は、a=2πfC、b=
1/Qとしたとき、 であることが知られている。
これを式(A10)の伝達関数H(s)と比較すると、 および が成立するから、振幅上昇比Qおよびカットオフ周波数
fCおよび となる。ここで、伝達関数H(s)の分子がSR/m=a2b
・Cとなったとすると、伝達関数H(s)のピークゲイ
ンはコンプライアンスCに等しくなることが判る(な
お、DCゲインはC・b=SR/kである)。
ここで、このコンプライアンスCを求めると、 となる。
第2図(イ)において、唇3を緊張させると、マウス
ピースに接する唇3の筋肉が薄くなり、減衰定数μ、実
効振動質量mおよび実効振動面積SBが小となる。したが
って、式(A16)および式(A17)によれば、振幅上昇比
Qは小となり、カットオフ周波数fcは大となるように見
える。しかし、唇を緊張させることによって同時にバネ
定数kが大となり、結局は振幅比Qとカットオフ周波数
fcとが共に大となる。この場合、バネ定数kは、木管楽
器のシングルリード等に比較してきわめて大きくなるか
ら、振幅比Qも木管楽器に比較してきわめて大きくな
る。これにより、金管楽器においては、唇の緊張度のみ
によって特定の発音モードを設定することができる。ま
た、式(A18)によれば、唇3を緊張させる際に、なる
べく実効振動面積SBや実効振動質量mが小さくなり過ぎ
ないようにアパチュアを小さくし、バネ定数kのみが大
となるようにすれば、ピークゲインが大となり、所望の
音が発音されやすくなることも判る。
また、唇3をマウスピース21に押し付けた場合には、
外力によって唇3を緊張させたこととほぼ等価であるか
ら、唇3を緊張させた場合と類似の現象を呈する。
一方、唇3を弛緩させた場合あるいは唇3のマウスピ
ース21への押圧力を緩めた場合には、上述の現象と逆の
現象を呈する。
ストレインstの算出方法 上述のように、ストレインstは楽音の特性を決定する
ための重要なパラメータであるが、これは口の廻りの筋
肉(口輪筋)の緊張の度合いであるから、直接検出する
ことは困難である。
しかし、唇を弛緩させて平板に軽く押圧した状態を考
えると、その押圧力が比較的小さい場合においても平板
における唇の接触面積が比較的大きいのに対し、唇を緊
張させた場合には接触面積が小さくなることが経験上明
らかである。また、唇の緊張度を一定に保ったまま唇の
押圧力を大とすると、平板における唇の接触面積も大と
なることも明らかである。
そこで、本実施例には、上述の原理に基づいてマウス
ピースに接触面積センサと圧力センサとを設け、これら
の検出値に基づいてストレインstを算出することとす
る。これらセンサの詳細については後述するが、接触面
積センサは平板状に形成され、その一面に唇3が接触す
ると、その接触面積SLを検出して出力する。また、圧力
センサは、上記接触面積センサの他面に設けられ、唇3
によって接触面積センサを介して押圧されると、その押
圧力PLを検出して出力する。
ここで、押圧力PLを一定値(PL1)としストレインst
を変化させた場合の接触面積SLは、第6図(イ)に示す
ような、飽和特性を有する単調減少関数となる。また、
押圧力PLを大きくして一定値(PL2)として同様に接触
面積SLを求めると、同図(ロ)に示すような特性が得ら
れる。そして、同図(ロ)の特性は、同図(イ)の特性
を上方向に所定のシフト量だけシフトしたものに略等し
くなることが判る。
さらに圧力PLを増加させると、このシフト量がある値
に飽和する。したがって、このシフト量を関数F(PL
と表記すると、関数F(PL)は、同図(ハ)に示すよう
に飽和特性を有する関数となることが判る。
而して、同図(イ)、(ロ)に示された接触面積SL
特性は、下式(A19)で近似される。
また、同図(ハ)に示された関数F(PL)は下式(A2
0)で近似される。
なお、式(A19)および(A20)において、θ12,K1
およびK2は、各々正の定数である。
次に、式(A19)および(A20)をストレインstについ
て解けば、下式(A21)が得られる。
従って、ストレインstは、接触面積SLおよび押圧力PL
が判明すれば、式(A21)によって求められる。
B.実施例の全体構成 次に、上記前提理論に基づく本実施例の全体構成を第
1図を参照し説明する。
図において1は電子金管楽器の本体部、2はこれに差
し込まれたマウスピースである。マウスピース2の内部
において4は接触面積センサであり、演奏者の唇3が押
し当てられると、唇3の接触面積を検出して出力する。
次に、5は圧力センサであり、唇3が接触面積センサ4
に押し当てられる際の押圧力を検出するものである。次
に、6はアパチュアセンサであり、唇3の開口面積を検
出するものである。また、7は本体部1の内部に設けら
れた空気圧センサであり、演奏者によって吹き込まれた
息圧を測定する。これらセンサ4〜7の出力信号は、そ
れぞれA/D変換器8〜11を介してデジタル信号に変換さ
れる。すなわち、A/D変換器8からは唇3の接触面積を
示す信号SLが出力され、A/D変換器9からは唇の押圧力
を示す信号PLが出力され、A/D変換器10からは唇の開口
面積を示す信号AP1が出力され、A/D変換器11からは息圧
を示す息圧信号PBが出力される。
次に、12は演算回路であり、上記信号SLおよびPLと、
式(A21)とに基づいて、唇の緊張度を示す信号stを出
力する。
また、13は演算回路であり、上記信号AP1に所定の補
正を施し、信号AP2として出力する。これは、後述する
アパチュアセンサ6の特性により信号AP1が唇3の開口
面積に正確に比例しないため、開口面積に正確に比例す
る信号AP2に補正するものである。この補正は、第17図
に示すような単調増加関数に基づいて行われる。なお、
演算回路13は、第17図に示すような入出力特性を有する
テーブルでもよいことは勿論である。
次に、14はパラメータ変換回路であり、唇3の状態に
対応する上記各信号stおよびAP2を楽音の特性に対応す
る各パラメータδ,C,fCおよびQに変換して出力する。
なお、パラメータδは式(A3)において説明した通り、
アパチュアapに対して一義的に決定されるパラメータで
ある。また、各パラメータC,fCおよびQは、式(A16)
〜(A18)において説明した通り、それぞれ楽音のピー
クゲイン、カットオフ周波数および振幅上昇比を示すパ
ラメータである。
次に、15は流量演算部であり、上記各パラメータδ,
C,fCおよびQと、減算器16から出力される圧力差信号Δ
q(詳細は後述する)とに基づいて、励振信号SFを出力
する。ここで、励振信号SFは、第2図(イ)のモデルに
おいて、マウスピース21の入口において発生する空気の
圧力変化(粗密波)に相当する信号である。
励振信号SFは、ジャンクション17により後退波圧力R
と加算され進行波Fとなって管体実現回路18に供給入力
される。管体実現回路18は、管体における振動の伝搬遅
延をシミュレートする遅延回路、管体の損失をシミュレ
ートするローパスフィルタ、および終端部20eにおける
振動の反射をシミュレートする反転回路等を閉ループ接
続して成るものであり、全体として第2図(イ)のモデ
ルにおける本体部20をシミュレートするものである。す
なわち、管体実現回路18内の閉ループにあっては、第2
図における進行波Fに対応する進行波信号SFが伝搬され
る。この進行波信号Fは、サウンドシステム19を介して
取り出され、楽音信号として出力される。また、終端部
をシミュレートする反転回路においては進行波信号Fが
反射されることによって反射波信号Rが発生する。この
反射波信号Rは、進行波信号Fの伝搬方向の逆方向に伝
搬され、ジャンクション17で進行波信号Fに加算され、
圧力SRとなって減算器16に供給される。なお、このよう
なジャンクション17および管体実現回路18については、
木管楽器をシミュレートするために使用される周知のジ
ャンクションおよび管体実現回路と同様のものを使用す
ればよく、例えば、特願平1−101308、特願平1−2597
35あるいは特願平1−258229等において、本出願人によ
って開示された種々の回路を使用すると好適である。
減算器16においては、反射波信号SBから息圧信号PB
減算され、減算結果が圧力差信号Δqとして、上述した
ように励振回路15に供給される。
以下、上述の全体構成における各部の詳細を説明す
る。
C.センサ部の構成 まず、マウスピース2に設けられた各センサ4,5,6の
詳細を第7図を参照し説明する。
マウスピース2における各センサの配置 図において、マウスピース2は絶縁材料を略漏斗状に
形成して成るものであり、その広口部2aは、内周壁が軸
方向に沿って順次大径となる同心円の階段状に切り欠か
れ、そのうち最も大径である第1段目には雌ねじ部2bが
形成されている。また、30はリムカンターであり、金属
または樹脂が略円筒状に形成されて成るものであり、そ
の一端30aから他端30bに向かって内径が小となってい
る。また、他端30b付近は外周壁の全周が軸方向に沿っ
て切り欠かれ、雌ねじ部2bに螺合する雄ねじ部30cが形
成されている。
次に、階段状の切欠部の第2段目には、接触面積セン
サ4と、圧力センサ5とが嵌めこまれている。接触面積
センサ4は、同心状の貫通孔4aが設けられるとともに、
その外径が階段状の切欠部の第2段目に等しい円盤状に
形成されている。圧力センサ5は、その外径が接触面積
センサ4に等しく、かつ、貫通孔4aと同径の同心状の貫
通孔5aが設けられた円盤状に形成されている。
次に、階段状の切欠部の第3段目には、独立気泡型の
弾性体31が設けられている。弾性体31は、その外径が切
欠部の第3段目に等しく、かつ、孔4aと同径の同心状の
貫通孔31aが設けられた円盤状に形成されている。
次に、アパチュアセンサ6は、その半径が孔4aの半径
よりもやや小さな円柱状に形成され、貫通孔4a、5a、31
aの中央部を挿通し、略漏斗状の支持部材32によって固
定されている。また、支持部材32の側壁には空気抜き用
の貫通孔32aが設けられている。
次に、33〜37は電極であり、リード線38を介して接触
面積センサ4、圧力センサ5およびアパチュアセンサ6
に接続されている。また、本体部1には、それぞれが上
記電極33〜37に接触する電極(図示せず)が設けられて
いる。また、マウスピース2には軸方向にガイド用突条
2cが設けられており、本体部1にはこれに嵌合する凹部
1aが形成されている。
接触面積センサ4の構成 次に、接触面積センサ4の構成を第8図(イ)、
(ロ)を参照し説明する。
同図(イ)において40は導体板であり、接触面積セン
サ4の上面を覆うような円環状に形成されている。ま
た、41は抵抗皮膜であり、導体板40の下面に接合されて
いる。また、44は導体板40と同様に形成された導体板で
あり、所定の微少距離を隔てて抵抗皮膜41に対向してい
る。また、42および43はリング状のスペーサであり、抵
抗皮膜41と導体板44との間の周縁部に挟まれている。
次に、同図(ロ)に、導体板40の上面に唇3が押圧さ
れた場合の断面図を示す。図において、導体板40におけ
る唇3が押圧されると、導体板40と抵抗皮膜41とが撓
み、抵抗皮膜41が導体板44に接触する。そして、この接
触面積は導体板40における唇3の接触面積SLに略等し
い。従って、導体板40と導体板44との間の抵抗値の逆数
は接触面積SLに比例することになり、この抵抗値の逆数
を測定すれば接触面積SLを検出することが可能である。
圧力センサ5の構成 次に、圧力センサ5の構成を第9図(イ)、(ロ)を
参照し説明する。
同図(イ)において圧力センサ5は、円環状の絶縁板
46と、絶縁板46の下面に形成された抵抗皮膜47〜50とか
ら構成されている。なお、絶縁板46は、例えばポリエス
テルフィルムベースあるいはポリプロピレンフィルムベ
ースを使用すると好適である。ここで、抵抗皮膜47〜50
の抵抗値は、絶縁板46が撓んでいない状態において同一
値Rになるように形成されている。また、接触面積セン
サ4と圧力センサ5とを重ね合わせ、接触面積センサ4
に唇3を押圧した状態の断面図を同図(ロ)に示す。図
示のように絶縁板46が撓むことにより、抵抗皮膜48、49
は半径方向に広がるように変形するから、これら抵抗皮
膜の抵抗値が大となる。一方、抵抗皮膜47、50は半径方
向に縮むように変形するから、これら抵抗皮膜の抵抗値
が小となる。そして、唇3の押圧力が大となるほど抵抗
皮膜47〜50の抵抗値の変化分が大となるから、これら抵
抗皮膜47〜50の抵抗値に基づいて唇3の押圧力を測定す
ることが可能である。その具体的回路構成を第10図に示
す。
図において各抵抗皮膜49,47,48,50は順次環状に接続
され、ブリッジを成している。そして、抵抗皮膜49,50
の接続点と抵抗皮膜47,48の接続点との間には、定電圧
源51を介して所定電圧VBが印加される。ここで、圧力セ
ンサ5が撓んでいない状態においては、各抵抗皮膜47〜
50の抵抗値は一定値Rになるから、抵抗皮膜47,49の接
続点と抵抗皮膜48,50の接続点との間の電圧VCは「0」
ボルトになる。
次に、第9図(ロ)に示すように圧力センサ5が撓む
と、抵抗皮膜47〜50の抵抗値が変化するが、ここで抵抗
皮膜47,50の抵抗値がR−ΔR、抵抗皮膜48,49の抵抗値
がR+ΔRになったとすると、電圧VCは次式(C1)に示
す通りとなる。
次に、52は差動増幅器であり、上記電圧VCを増幅し電
圧VOUTとして出力する。差動増幅器52の増幅率は、その
内部に設けられた抵抗器53〜56の抵抗値によって決定さ
れる。すなわち、抵抗器55、56の抵抗値をr1とし、抵抗
器53、54の抵抗値をr2とすると、差動増幅器52の増幅率
はr1/r2となる。また、差動増幅器52には、オペアンプ5
8、抵抗器59,61および可変抵抗器60から成るゼロ電位調
節回路が設けられている。
従って、差動増幅器52の出力電圧VOUTは、次式(C2)
に示す通りとなる。ここで、抵抗の変位量ΔRが唇3の
押圧力に比例するものとすると、唇3の押圧力に比例し
た電圧VOUTが出力されることが判る。
アパチュアセンサ6の構成 次に、アパチュアセンサ6の構成を第11図を参照し説
明する。
図においてアパチュアセンサ6の上面には、光65を放
射する発光素子63と、光65が入射するとその抵抗値が小
となるcds等の受光素子64とが設けられている。また、6
6は定電流源であり、受光素子64と並列に接続されてい
る。また、67は加算回路であり、受光素子64の光量に応
じて決定される抵抗を抵抗Rとすると、定電流源66から
出力された電流をIとしたとき、受光素子64の両端にE
=IRなる電圧Eが発生し、これが加算回路67に印加され
る。従って、光65が受光素子65に入射した場合には加算
回路67に印加される電圧が小となることが判る。
また、アパチュアセンサ6の上面には、発光素子63と
同様に構成された多数の発光素子と、受光素子64と同様
に構成された発光素子と同数の受光素子とが設けられて
いる。そして、各受光素子は、受光素子64と同様に、対
応する定電流源を介して加算回路67に接続されている。
そして、加算回路67は、各受光素子の両端に現れた電圧
を加算し、加算結果を出力する。
上記構成によれば、唇3が受光素子に近接して存在す
ると、発光素子から放射された光が唇3に反射され、当
該発光素子に入射し、加算回路67に印加される電圧が小
となる。逆に、唇3が受光素子から近接して存在してい
ない場合には、加算回路67に印加される電圧が大とな
る。従って、開口面積S(第2図(ロ)参照)が大とな
るほど加算回路67の出力レベルが大となることが判る。
センサ部の変形例 上述した各センサ4,5,6は、例えば以下のように種々
の変形が可能である。
(i)変形例1 第9図における圧力センサ5には、4素子の抵抗皮膜
47〜50が設けられているが、第12図(イ)、(ロ)に示
すように、抵抗皮膜の数は2素子であってもよく、1素
子であってもよい。
また、第9図(ロ)においては、抵抗皮膜47〜50の設
けられる面を下面としているが、これら抵抗皮膜を上面
(接触面積センサ4に対向する面)に設けても良い。
(ii)変形例2 各センサ4,5の配置は、第13図(イ)に示すように変
形してもよい。図において弾性体31は、接触面積センサ
4と圧力センサ5との間に介挿されている。
(iii)変形例3 各センサ4,5の配置は、第13図(ロ)に示すように変
形してもよい。図において弾性体31は内側に向かってテ
ーパー状に形成されており、接触面積センサ4および圧
力センサ5もこれに反ってテーパー状になっている。ま
た、マウスピース2の内壁面には、抵抗皮膜50に当接す
る弾性強化リング68が固着されている。
上記構成によれば、唇3(図示せず)が接触面積セン
サ4に押圧された際、抵抗皮膜50が大きく曲がることに
より、その感度が高くなることが判る。
また、弾性強化リング68を設ける代わりに、同図
(ハ)に示すように、マウスピース2を内側に向かって
厚く形成し、その内壁を抵抗皮膜50に当接させることに
よっても同様の効果が得られる。
(vi)変形例4 各センサ4,5,6の配置は、第14図に示すように変形し
てもよい。図において接触面積センサ4と圧力センサ5
とは所定距離隔てて設けられており、両者の間にはばね
保持部材70、コイルばね71およびばね保持部材72が順次
隔てて設けられている。ばね保持部材70は接触面積セン
サ4に固着されるとともに、コイルばね71の一端を保持
している。同様に、ばね保持部材72は圧力センサ5に固
着されるとともに、コイルばね71の他端を保持してい
る。また、図において圧力センサ5の下方には、弾性体
73が充填されている。次に、74はアパチュアセンサ6を
支持する支持部材であり、円筒状に形成されるとともに
するとともに、その外壁から内壁に貫通する貫通孔74a
が設けられ、マウスピース2の内壁面に固着されてい
る。
上記構成によれば、唇3(図示せず)が接触面積セン
サ4に押圧されると、コイルばね71を介して圧力センサ
5が押圧され、その押圧力が検出される。ここで、唇3
の押圧力に微小なゆらぎがあった場合、このゆらぎがコ
イルばね71で吸収され、圧力センサ5には伝達されな
い。したがって、コイルばね71はノイズ吸収手段として
機能することが判る。
なお、ばね保持部材70および72は、それぞれ接触面積
センサ4および圧力センサ5と一体成型してもよいこと
は言うまでもない。
(v)変形例5 圧力センサ5に使用される絶縁板46は平板でなくても
よく、例えば第15図(イ)に示すように、抵抗皮膜47〜
50が接合される箇所の裏側に円環状の溝46a〜46dを形成
してもよい。上記構成によれば、唇3(図示せず)が接
触面積センサ4に押圧されると、絶縁板46において溝46
a〜46dの形成された箇所における曲率が大となるから、
圧力検出の感度が向上する。また、図示のように、マウ
スピース2の内壁が抵抗皮膜50の中央付近に位置するよ
うに形成すると、この効果が一層顕著になる。
また、第15図(イ)における絶縁板46は、同図(ロ)
に示すように構成してもよい。図において、絶縁板46に
は環状の絶縁板75〜77が所定間隔隔てて固着されてい
る。そして、これら絶縁板75〜77間における絶縁板46の
露出箇所が、抵抗皮膜47〜50の接合された箇所の裏面に
なっている。
(vi)変形例6 アパチュアセンサ6は、第16図に示すように構成して
もよい。図においてアパチュアセンサ6は、支持金具78
aに取り付けられたLED78と、このLED78から放射された
光を検出するcds等の受光素子79とから構成されてい
る。そして、演奏者の口腔内にLED78を挿入すると、唇
3(図示せず)の開口面積に応じて受光素子79へ入射す
る光量が決定されるから、この光量を検出することによ
ってアパチュアを検出することができる。
D.パラメータ変換回路の構成 次に、第1図におけるパラメータ変換回路14の構成に
ついて説明する。パラメータ変換回路14は、第18図に示
すように、演算回路80〜85から構成されている。
演算回路80は、アパチュアを示す信号AP2が供給され
ると、これを式(A3)(あるいは式(A5)または(A
6))に基づいてパラメータδに変換する。
また、演算回路(またはテーブル)81は、ストレイン
を示す信号stとアパチュアを示す信号AP2とが供給され
ると、2変数関数(またはテーブル)に基づいて唇の実
効振動面積を示すパラメータSBを出力する。ここで、実
際の金管楽器のマウスピースに唇を当接させて演奏する
場合を想定すると、アパチュアAP2が一定のとき、唇を
弛緩させた場合においては唇が厚く丸みを帯びており、
唇を緊張させるほど唇が薄く平になりマウスピースの内
にあって振動する唇の表面積SRが小となることが明らか
である。従って、アパチュアAP2を一定に保つとき、パ
ラメータSBは信号stに対する単調減少関数になる。
一方、ストレインstを一定に保つとき、アパチュアを
小さくすると、マウスピースの中にあって振動し得る唇
の表面積SRは大きくなる。よってパラメータSRはストレ
インstが一定のとき、アパチュアAP2の単調減少関数で
ある。
また、演算回路(またはテーブル)82は、信号stを、
唇の減衰定数を示すパラメータμに変換する。ここで、
実際の演奏者の唇に振動を与えた場合を想定すると、唇
を緊張させるほど唇が固くなり、唇の振動が減衰しにく
くなるから、減衰定数が小となる。従って、パラメータ
μは、信号stに対する単調減少関数になる。
また、演算回路(またはテーブル)83は、信号stを、
唇のバネ定数を示すパラメータkに変換する。ここで、
実際の演奏者の唇は、緊張させるほど固くなり、バネ定
数が大となるから、パラメータkは信号stに対する単調
増加関数になる。
また、演算回路(またはテーブル)84は、信号stと信
号AP2とが供給されると、2変数関数(またはテーブ
ル)に基づいて唇の実効振動質量を示すパラメータmを
出力する。上述したように、アパチュアAP2が一定であ
る場合における実際の演奏者の唇は、唇を緊張させるほ
ど唇が薄く平になり、マウスピースの内において振動し
得る唇の質量mが小となる。従って、パラメータmは信
号stに対する単調減少関数になる。一方、ストレインst
を一定に保つとき、アパチュアを小さくするとマウスピ
ースの内において振動し得る唇の質量mは大きくなる。
従って、パラメータmは、ストレインstが一定のとき
は、アパチュアAP2の単調減少関数である。
これら演算回路81〜84によって得られた各パラメータ
SB,μ,Kおよびδは、演算回路85に供給される。演算回
路85は、式(A16)〜(A18)に基づいて、それぞれ楽音
の振幅上昇比、カットオフ周波数およびピークゲインを
示すパラメータQ,fcおよびCを算出し、出力する。
E.励振回路15の構成 励振回路15の全体構成 次に、励振回路15の構成を第19図を参照し説明する。
まず、減算器16(第1図参照)から出力される圧力差
信号Δqは、フィルタ87を介してダイナミックスフィル
タ88およびグレアム関数テーブル92に供給される。ここ
で、フィルタ87は、圧力差信号Δqから高調波成分を除
去することによって寄生発振を防止するものである。ま
た、92はグレアム関数テーブルであり、フィルタ87を介
して圧力差信号Δqが供給されると、これに式(A1)の
演算(グレアム関数)を施し、その結果を速度信号vと
して乗算器91に供給する。
一方、ダイナミックスフィルタ88は、圧力差信号Δ
q、パラメータQ,fcおよびCに基づいて、唇3の変位を
示す変位信号xを出力する。なお、ダイナミックスフィ
ルタ88の詳細は後述する。
次に、変位信号xは、加算器89においてパラメータδ
と加算され、パラメータδとしてスリット関数テーブ
ル90に供給される。スリット関数テーブル90は、パラメ
ータδなる変換を施し、変換結果たるパラメータSを乗算器91
に供給する。ここで、式(E1)は式(A2)と同形である
から、式(A3)の逆関数である。したがって、δ=δ
とした場合、すなわちx=0である場合にはパラメータ
Sはアパチュアを示すパラメータAP2に等しくなる。し
かし、パラメータδは、パラメータδに変位信号xが
加算されたものであるから、変位x信号の増減に応じて
パラメータSが増減される。これにより、パラメータS
は、第2図(ロ)に示す実際の金管楽器の演奏における
唇の開口面積Sをシミュレートするものであることが判
る。
次に、乗算器91は、速度信号vとパラメータSとを乗
算し、乗算結果を流量信号fとして出力する。流量信号
fは乗算器93において定数zと乗算される。ここで、定
数zは、第2図(イ)の物理モデルにおいてマウスピー
ス21および共鳴管20の空気流に対する抵抗、すなわち空
気流量と空気圧との比例定数である。したがって、乗算
器3からは、空気圧変化を示す信号SFが出力される。そ
して、信号SFは、ジャンクション17で後退波Rと加算さ
れ、進行波信号Fとして管体実現回路18を介して伝搬さ
れる。
ダイナミックスフィルタ88の構成 次に、ダイナミックスフィルタ88の構成についてさら
に詳細に説明するが、説明の都合上、まず、参考となる
アナログフィルタの構成を第20図を参照し説明する。
(i)参考用アナログフィルタの構成 第20図に示すアナログフィルタ(ダイナミックスフィ
ルタ)は、式(A11)をアナログ回路で表現したもので
あり、図において110は減算器、111,112は積分器、113
〜115は、それぞれ入力された信号にパラメータμ/m,k/
mおよびSB/mを乗算して出力する乗算器である。
(ii)ダイナミックスフィルタ88の前提理論 ところで、第20図のダイナミックスフィルタはパラメ
ータSB,μ,kおよびmを直接入力することによって唇3
の変位を示す変位信号xを出力するように構成したもの
であるが、楽音そのものの特性たるパラメータQ,fcおよ
びCに基づいて変位信号xを出力するようにダイナミッ
クスフィルタを構成すると、楽音の制御を一層容易に行
うことができる。そこで、パラメータQ,fcおよびCに基
づく伝達関数を求める。まず、第20図に示すダイナミッ
クスフィルタの伝達関数H(s)を、 とする。但し、式(E3)において、b=1/Q、a=2πf
cである。ここで、式(E3)の振幅特性たる|H(s)|
をプロットすると、第22図のようになり、このダイナミ
ックスフィルタが2次のローパスフィルタの特性を示す
ことが判る。
次に、アナログフィルタの伝達関数をデジタルフィル
タで近似するための変換手法として整合z変換が知られ
ているが、一般的に なる形の伝達関数を整合z変換すると、 なる形になることが知られている。従って、式(E5)に
おいてL=1として式(E3)を整合z変換すると、 が得られる。さらに、式(E6)において, と近似すると、式(E6)の分母は以下の通りとなる。
分母≒1−2(1−aTb/2) (1−a2T2(1−b2/4)/
2)z-1 +(1−aTb/2) =1−2(1−aTb/2+a2T2(1−b2/4)/2 +a3T3b(1−b2/4)/4)z-1+(−aTb+a2T2b2/4)z-2 ……(E8) ここで、aT<<1として“aT"の3次以降を無視する
と、 分母≒1−2z-1 +(aTb+a2T2(1−b2/4))z-1+z
-2 +(−aTB+a2T2b2/4)z-2 ……(E9) となる。従って、伝達関数H(z)は以下の通り近似さ
れる。
第19図におけるダイナミックスフィルタ88は、式(E1
0)に基づいて構成されたものである。
図において95、98は乗算器であり、それぞれ通過する
信号に2πfc/FS(ただしFSは標本化周波数)を乗算し
て出力する。また、96、101、102、104、106および107
は乗算器であり、それぞれ通過する信号に“2"、“1/
2"、“1/2"、1/2Qおよび1/2Qを乗算して出力する。次
に、94、99、105および128は減算器、97、100および127
は加算器、108および109は標本化周期と同一の遅延時間
を有する遅延回路である。ダイナミックススフィルタ88
のうち、減算器94から加算器127に至る部分が式(E10)
に対応する部分である(式(E3)〜(E10)においては
ピークゲインは「1」である。)。そして、加算器127
の出力信号は乗算器103に供給され、ピークゲインCと
乗算され、変位信号xとして出力される。
変形例 上述の励振回路15は、例えば以下のように変形が可能
である。
(i)変形例1 ダイナミックスフィルタ88は、第20図において説明し
たダイナミックスフィルタと同様の動作を行うデジタル
フィルタに置き換えてもよい。なお、この変形例が採用
される場合においては、第18図における演算回路85を省
略することができることは勿論である。以下、第21図を
参照しこのデジタルフィルタの詳細を説明する。
図において116は減算器であり、信号Δqから乗算器1
21の出力信号を減算して出力する。
次に、117は加算器であり、124はデジタル信号の供給
されるサイクルタイムと同一の遅延時間を有する遅延回
路である。加算器117から出力された信号は、遅延回路1
24に入力され、1サイクルタイムだけ遅延され、加算器
117に供給される。そして、加算器117においては減算器
116の出力信号と遅延回路124の出力信号とが加算され、
加算結果が再び遅延回路124に供給される。すなわち、
加算器117と遅延加算器124とは積分回路を構成し、加算
器116の出力の積分値が出力されることが判る。
また、これと同様に、加算器118と遅延回路125とによ
って積分回路が構成され、加算器117の出力の積分値が
出力される。加算器118の出力信号は、乗算器119を介し
て1/m倍され、さらに乗算器120を介してSB倍され、信号
xとして出力される。
一方、加算器117の出力信号は、遅延回路124を介して
乗算器122に供給され、ここでμ倍された後、加算器126
に供給される。同様に、加算器118の出力信号は、遅延
回路125を介して乗算器123に供給され、ここでk倍され
た後、加算器126に供給される。次に、乗算器122,123の
出力信号が加算器126を介して加算され、加算結果が乗
算器121を介して1/m倍され、減算器116に供給される。
減算器116においては、圧力差信号Δqから乗算器121の
出力信号が減算され、減算結果が加算器117に供給され
る。すなわち、減算器116においてフィードバック操作
が行われ、その伝達関数H(z)=X(z)/ΔQ
(z)は式(A11)に示されるアナログの伝達関数を近
似的にデジタルに置き換えたものに等しいとみなされ
る。
F.実施例の動作 次に、第1図を参照し上記実施例の動作を説明する。
まず、接触面積センサ4に演奏者の唇3が押し当てら
れると、唇3の接触面積に対応する信号が接触面積セン
サ4から出力される。この信号は、A/D変換器8を介し
て、デジタル信号SL′に変換され、演算回路22に供給さ
れる。この演算回路22は、A/D変換器8の出力レベルが
接触面積に正確に比例しないことに鑑みて設けられた演
算回路であり、例えば、 (ただしαは比例定数) なる計算式に基づいて信号SLを算出し演算回路12に供給
する。また、これと同時に、唇3が接触面積センサ4に
押し当てられる際の押圧力を示す信号が圧力センサ5か
ら出力される。この信号は、A/D変換器9を介してデジ
タル信号PLに変換され、演算回路12に供給される。ま
た、唇3の開口面積(アパチュア)を示す信号がアパチ
ュアセンサ6から出力され、A/D変換器10を介してデジ
タル信号AP1に変換され、演算回路13に供給される。さ
らに、演奏者によって吹き込まれた息の息圧を示す信号
が空気圧センサ7を介して出力され、A/D変換器11を介
してデジタル信号PBに変換される。
次に、演算回路12において、上記信号SLおよびPLと、
式(A21)とに基づいて、唇の緊張度を示す信号stが出
力される。また、演算回路13においては、上記信号AP1
が唇3の開口面積に正確に比例するように補正され、信
号AP2として出力される。
次に、上記信号stおよびAP2がパラメータ変換回路に
供給されると、ここで各パラメータδ,C,fCおよびQが
算出され、励振回路15に供給される。また、息圧信号PB
は減算器16に供給され、減算器16において反射波信号SR
から息圧信号PBが減算され、減算結果が圧力差信号Δq
として励振回路15に供給される。なお、初期状態におい
ては、反射波信号SRのレベルは「0」であるから、息圧
信号PBの符号を反転したものが圧力差信号Δqとして励
振回路15に供給される。
次に、励振回路15においては、フィルタ87(第19図参
照)を介して圧力差信号Δqがダイナミスクフィルタ88
およびグレアム関数テーブル92に供給される。ダイナミ
クスフィルタ88においては、上記各パラメータδ,C,fC
およびQと、圧力差信号Δqとに基づいて、唇3の変位
をシミュレートする変位信号xが出力され、加算器89を
介してパラメータδと加算される。この加算結果はパラ
メータδとしてスリット関数テーブル90に供給され、
唇3の開口面積を示す信号Sが出力される。
一方、グレアム関数テーブル92においては、圧力差信
号Δqに基づいて速度信号vが算出され、この速度信号
vが乗算器91に供給される。乗算器91においては、速度
信号vとパラメータSとが乗算され、乗算結果が流量信
号fとして出力される。そして、この流量信号fは乗算
器93において定数zと乗算され、進行波信号SFとしてジ
ャンクション17を介して管体実現回路18に供給入力され
る。
管体実現回路18においては、その内部に設けられた遅
延回路およびローパスフィルタ等(図示せず)を介して
進行波信号SFが伝搬され、反転回路(図示せず)におい
て反射波信号SRが発生する。そして、反射波信号SRは、
上記遅延回路およびローパスフィルタ等を介して逆方向
に伝搬され、ジャンクション17を介して減算器16に供給
される。
次に、減算器16において反射波信号SRから息圧信号PB
が減算され、減算結果が圧力差信号Δqとして励振回路
15に供給される。そして、この圧力差信号Δqに基づい
て新たな進行波信号SFが出力され、上述の動作と同様の
動作が繰り返される。
そして、進行波信号SFは、サウンドシステム19を介し
て出力され、金管楽器の楽音がシミュレートされる。
「発明の効果」 以上説明した通り本発明の楽音合成装置によれば、唇
の緊張度に基づいて楽音信号の音高が決定されるから、
金管楽器の楽音を忠実にシミュレートすることが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の電子金管楽器の全体構成の
ブロック図、第2図(イ)、(ロ)は自然金管楽器の発
音機構の物理モデルの説明図、第3図(イ)、(ロ)は
唇3のスリット関数の特性図、第4図は関数δおよび近
似式の特性図、第5図はストレインに対するスリット関
数の特性図、第6図(イ)、(ロ)は唇3のストレイン
stに対する接触面積SLの特性図、同図(ハ)は関数F
(PL)の特性図、第7図はマウスピース2の一部切欠斜
視図、第8図(イ)、(ロ)は接触面積センサ4の断面
図、第9図(イ)は圧力センサ5の平面図、同図(ロ)
はその動作説明図、第10図は圧力センサ5の付帯回路の
回路図、第11図はアパチュアセンサ6の動作説明図、第
12図(イ)、(ロ)は圧力センサ5の変形例の平面図、
第13図(イ)〜(ハ)は、マウスピース2の変形例の要
部の断面図、第14図はマウスピース2の変形例の一部切
欠斜視図、第15図(イ)、(ロ)は圧力センサ5の変形
例の断面図、第16図はアパチュアセンサ6の変形例の正
面図、第17図は演算回路13の特性図、第18図はパラメー
タ変換回路17のブロック図、第19図は励振回路15のブロ
ック図、第20図および第21図は励振回路15の変形例のブ
ロック図、第22図はその周波数特性図である。 2……マウスピース、4……接触面積センサ、5……圧
力センサ、6……アパチュアセンサ、12……演算回路
(緊張度信号発生手段)、14……パラメータ変換回路
(楽音信号発生手段)、15……励振回路(楽音信号発生
手段)、16……減算器(楽音信号発生手段)、17……ジ
ャンクション(楽音信号発生手段)、18……管体実現回
路(楽音信号発生手段)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】演奏者の唇が接触可能に配置されるととも
    に前記唇の接触面積を検出する接触面積センサと、 前記唇の前記接触面積センサに対する押圧力を検出する
    圧力センサと、 検出された前記接触面積と前記押圧力とが入力され、前
    記接触面積が大となるほど小となるとともに前記押圧力
    が大となるほど大となる所定の関数に基づいて、前記唇
    の緊張度を示す緊張度信号を出力する緊張度信号発生手
    段と、 前記緊張度信号が大となるほど音高の高い楽音信号を発
    生する楽音信号発生手段と を具備することを特徴とする楽音合成装置。
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