JP2639022B2 - フォークリフトのプッシュプル装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、フォークリフトにおけるアタッチメントの
１つとして知られるプッシュプル装置に関する。

（従来の技術） プッシュプル装置は、木製や金属製のパレットの変り
に紙製や樹脂製のシートパレットを利用するアタッチメ
ントであって、第９図に示すようにリフトブラケット31
と共に昇降するホルダー32の前面下部に固定された幅の
広いフォーク33（プラテン）の上方をフェースプレート
34が立形のパンタグラフ35を介して前後に移動するよう
に構成されている。そして、フェースプレート34の下端
部に設けたグリップ装置36によってシートパレットを把
持した状態でフェースプレート34をプッシュプルシリン
ダ37によって前後に移動させることによりシートプレー
トと共に荷物の積み下しを行なうようになっている。な
お、このようなプッシュプル装置は、たとえば実開昭56
−68799号公報に記載されている。

（発明が解決しようとする課題） ところで、、プッシュプル装置は様々な形態で荷役作
業を行なうことが可能であるが、その最も基本的で頻度
の高い作業形態は、荷物の位置を変えずに荷物の積み下
しを行なう形態、つまりフォークに対する荷物の積み下
しを荷物を移動させずに行なう形態である。このような
作業形態はシートパレットが荷物からずれないようにす
る上で、また荷崩れを起こさないようにする上で最も合
理的な荷役方法であり、従って従来は荷物を積むときは
シートパレットのタブをグリップ装置によって把持した
ままで車両を前進しながらフェースプレートを後方へ移
動させ、また荷物を下すときは車両を後進しながらフェ
ースプレートを前方へ移動させるというフェースプレー
トの前後動と車両の前後進との同期的操作が必要であっ
た。しかし、このような操作には相当の熟練を要求する
ものであり、両動作がうまく一致しないとシートパレッ
トが荷物からずれたり、荷崩れを起したり荷物が所望の
下し位置からずれてしまう等の不具合を生ずるものであ
った。

そこで本発明は、以上の問題に鑑み、車両を停車した
状態において荷物の位置を変えずにその積み下しを行な
い得るプッシュプル装置を提供することを、その目的と
する。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決するために第１の発明は、リフトブラ
ケットと共に昇降するホルダーの前面下部にフォークを
パンタグラフを介して前後移動可能に取付け、前記ホル
ダーの前面上部には前記パンタグラフの上方を通って前
方へ延在するプレート支持部材を設け、このプレート支
持部材には下端部にシートパレット把持用のグリップ装
置を備えたフェースプレートを設けたものである。

また、第２の発明は、リフトブラケットと共に昇降す
るホルダーの前面にフォークをパンタグラフを介して前
後移動可能に取付け、下端部にシートパレット把持用の
グリップ装置を備えたフェースプレートを前記パンタグ
ラフの前面に配置するとともに、同フェースプレートを
前記フォーク上端よりも上方に配置した別のパンタグラ
フを介して前後移動可能に取付けたものである。

（作用） 第１の発明にあっては、フェースプレートに設けられ
たグリップ装置によりシートパレットのタブを把持した
もとで、フォークをパンタグラフを介して前進あるいは
後進することによって車両を移動させずに荷物を定位置
に保持したままシートパレットと共に荷物の積み下しを
行なうことができる。

また第２の発明にあっては、フェースプレートとフォ
ークとをそれぞれパンタグラフを介して個々にあるいは
同時に適宜前後動することによって上述の第１の発明と
同様に車両を移動させずに荷物を定位置に保持した状態
でシートパレットと共に荷物の積み下しを行なうことが
でき、また荷物の積込み後は機台側へ引寄せて運搬する
ことができる。

（実施例） 実施例１ 以下、本発明の実施例１を第１図に基づいて具体的に
説明する。プッシュプル装置のベース部材としてのホル
ダー２は図示省略のフォークリフトのマストに沿って昇
降するリフトブラケット１の前面にフック３を介して係
留され、このホルダー２の前面上部には前方に水平状に
延在されるプレート支持部材４が一体状に突設されてい
る。このプレート支持部材４は、たとえば左右一対のア
ームからなり、その前端部にフェースプレート５が垂設
されている。すなわち、フェースプレート５はプレート
支持部材４を介してホルダー２の前方に所定の間隔を置
いて固定されている。

またフェースプレート５は従来と同様な矩形の格子状
に形成されており、その下部側にはシートパレットＳの
タブS1を把持するためのグリップ装置６を備えている。
このグリップ装置６はフェースプレート５の下端部に前
面を開口するように一体的に形成された幅方向に水平に
延在するグリッパジョー７と、このグリッパジョー７の
上方に上下動可能に配設されたグリッパ８と、このグリ
ッパ８を移動させるための左右一対のグリッパシリンダ
９とからなり、グリッパシリンダ９は一端がフェースプ
レート５に支持され、ピストンロッドがグリッパ８に連
結されている。

一方、ホルダー２の前面下部に配設される左右一対の
幅広のフォーク10（（プラテンとも言う）は前記ホルダ
ー２とフェースプレート５との間の空間部を利用して配
置された立形の左右一対のパンタグラフ11を介して前後
方向に移動可能に取付けられている。すなわち、フォー
ク10の立上り部の背面には縦向きのレール12とブラケッ
ト13が、ホルダー２の前面には縦向きのレール14とブラ
ケット15がそれぞれ固着されており、そしてパンタグラ
フ11の構成要素であるリンクの一端がブラケット13,15
に枢着され、他端がローラ16を介してレール12,14に上
下動可能とされている。なお、フォーク10を前後動させ
るプッシュプルシリンダ17は一端がホルダー２に枢着さ
れ、ピストンロッドがパンタグラフ11に枢着されてい
る。

本実施例のプッシュプル装置は上述のように構成した
ものであり、従ってシートパレットＳ上の荷物Ｗをフォ
ーク10上に乗せる場合は、第１図に実線で示すように、
まずシートパレットＳのタブS1をグリッパジョー７とグ
リッパ８との間に位置させてからグリッパシリンダ９の
伸長作動によりグリッパ８を下降させてタブS1を把持す
る。つづいてプッシュプルシリンダ17を伸長作動させる
ことにより図示仮想線の如くパンタグラフ11を介してフ
ォーク10を前方へ移動させてシートパレットＳの下面に
差込めば、荷物Ｗがその位置を変えることなくシートパ
レットＳと共にフォーク10上に乗せられる。その後は所
定の操作を行ない車両を走行させて荷物Ｗを運搬する。

一方、荷物Ｗを下す場合は、荷物Ｗを所望場所に置い
てからプッシュプルシリンダ17を縮小作動させてフォー
ク10をシートパレットＳの下面から引抜くとともに、グ
リッパシリンダ９を縮小作動させてグリッパ８によるタ
ブS1の端を解放すれば、荷物Ｗをその位置を変えること
なく下すことができる。すなわち、本実施例によれば車
両を停車してままの状態において、グリッパシリンダ９
とプッシュプルシリンダ17とを操作することによって荷
物Ｗの位置を変えずにその積み下しを行ない得るもので
ある。

実施例２ つぎに、本発明の実施例２を第２図〜第８図に基づい
て説明する。この実施例２はフォーク10に加え、フェー
スプレート５を前後運動できるようにしたものである。
すなわち、ホルダー２の前面下部側には第１のプッシュ
プルシリンダ17によって作動させるフォーク10用のパン
タグラフ11を配置する一方、ホルダー２の前面上部側に
は第２のプッシュプルシリンダ18なよって作動されるフ
ェースプレート５用のパンタグラフ19を配置したもので
あり、該パンタグラフ19の構成自体はフォーク10用のパ
ンタグラフ11と同様であるから説明を省略する。

しかして、グリッパシリンダ９と第１及び第２のプッ
シュプルシリンダ17,18の作動回路は第８図に示す如く
構成されている。図示のように油圧ポンプ20によってタ
ンク21から汲上げられた作動油は３位置形の手動式切換
弁22を経てグリッパシリンダ９へ送られる一方、シーケ
ンス弁23から並列配置の第１及び第２の電磁開閉弁24,2
5のいずれかを経てフォーク用である第１プッシュプル
シリンダ17に送られ、また第３の電磁開閉弁26を経てフ
ェースプレート用である第２プッシュプルシリンダ18に
送られるようになっている。なお、上記の各電磁開閉弁
24,25,26は２位置形であって、図示位置を初期位置とし
て設定されるとともに、図示省略のスイッチにより操作
される。またフォーク用の第１プッシュプルシリンダ17
のロッド側管路と、フェースプレート用の第２プッシュ
プルシリンダ18のヘッド側管路には逆止弁付き絞り弁27
がそれぞれ組込まれている。

上述のように構成された実施例２のプッシュプル装置
は以下の如く作動して荷物Ｗの積み下しを行なう。

第２図に示す状態では、第１〜第３の各電磁開閉弁2
4,25,26がそれぞれ初期状態にある。かかる状態で手動
切換弁22をＡ側に切換えると、油圧ポンプ20からの作動
油はグリッパシリンダ９側に送られ、そしてグリッパ８
が引上げられると、シーケンス弁23から第３電磁開閉弁
26及び絞り弁27を経て第２プッシュプルシリンダ18のヘ
ッド側へ送られ、該シリンダ18を伸長作動させる。従っ
て、フェースプレート５が前進されるので、この前進に
よってあるいは前進後の車両の移動によって第３図に示
す如ようにシートパレットＳのタブS1をグリッパジョー
９とグリッパ８との間に挿入する。

かかる状態で、スイッチ操作により第１電磁開閉弁24
を開き側に、第３電磁開閉弁26を閉じ側に切換えるとと
もに、手動切換弁22をＢ側に切換えれば、油圧ポンプ20
からの作動油はグリッパシリンダ９のヘッド側へ送ら
れ、そしてグリッパ８がシートパレットＳのタブS1をグ
リッパジョー７上に押付け把持すると、シーケンス弁23
から第１電磁開閉弁24を経て第１プッシュプルシリンダ
17のヘッド側に送られ、該第１プッシュプルシリンダ17
を伸長作動させる。従って、フォーク10がシートパレッ
トＳの下面に挿入され、第４図の状態となる。

つづいて、スイッチ操作により第２電磁開閉弁25と第
３電磁開閉弁26とをそれぞれ開き側に、また、第１電磁
開閉弁24を閉じ側に切換える。この状態で手動式切換弁
22をＢ側に切換えると、作動油はシーケンス弁23から第
２電磁開閉弁25及び絞り弁27を経て第１プッシュプルシ
リンダ17のロッド側へ送られる一方、第３電磁開閉弁26
を経て第２プッシュプルシリンダ18のロッド側へ送られ
る。そのため、第５図に示すようにフォーク10とフェー
スプレート５が初期位置まで後退し荷物Ｗが機台側に引
寄せられる。なおこのとき、絞り弁27を経由しないフェ
ースプレート側の第２プッシュプルシリンダ18が第１プ
ッシュプルシリンダ17より速く移動しようとするため、
フェースプレート５はフォーク10を押すような状態で相
対移動を起こすことなく安定姿勢で後退する。

その後は車両を運転して荷物Ｗを運搬し、運搬後はフ
ォーク10及びフェースプレート５を上述と逆順で作動さ
せることで荷物Ｗを希望する位置に下すことができる。
まず、第２電磁開閉弁25と第３電磁開閉弁26とをそれぞ
れ開き側に、また、第１電磁開閉弁24を閉じ側に切換え
る一方、手動式切換弁22をＡ側に切換える。この切換え
により第６図に示すようにグリッパ８によるタブS1の把
持が解除されるとともに、フォーク10とフェースプレー
ト５が前進して荷物Ｗを押出すので、この状態で荷物Ｗ
の下す位置を定める。なおこのとき、フェースプレート
５の第２プッシュプルシリンダ18のヘッド側に対する作
動油の供給が絞り弁27を経由する関係でフォーク10側が
速く移動しようとし、フォーク10とフェースプレート５
とは相対移動を起こすことなく前進する。

ついで、第１電磁開閉弁24を開き側に、第２及び第３
電磁開閉弁24,26をそれぞれ閉じ側に切換える一方、手
動式切換弁22をＡ側に切換える。この切換えにより第７
図に示す如くフォーク10が後退するため、荷物Ｗがシー
トパレットＳに乗ったままその場に下される。その後
は、第３電磁開閉弁26を開き側に、第１及び第２電磁開
閉弁24,25をそれぞれ閉じ側に切換える一方、手動式切
換弁22をＢ側に切換えれば、フェースプレート５が後退
して初期状態となる。

なお、グリッパシリンダ９、第１及び第２プッシュプ
ルシリンダ17,18の作動回路は図示例に限るものではな
く、必要に応じて種々に変更可能であり、要するにフォ
ーク10とフェースプレート５とを個別的にあるいは同時
に前後進操作し得る回路構成であれば差支えない。

また、実施例２の場合はフォーク10とフェースプレー
ト５との両方が移動し得る構成であるから、上述した荷
物Ｗの位置を換えずに積み下しを行なう形態以外の作
業、たとえばフォーク10を固定した状態でフェースプレ
ート５のみを前後に移動させることによって荷物Ｗをフ
ォーク10上に乗せたり押出したりする形態での作業が可
能である。

（発明の効果） 以上詳述したように、本発明のプッシュプル装置によ
れば、荷物の位置を変えずに積み下しを行なう場合、従
来のように車両を前後進しながらフェースプレートを前
後に移動させるという熟練を要する難しい操作を必要と
しないため、荷役作業を効率的に行なうことができると
ともに、荷崩れのおそれがなく安全であり、しかも荷物
を所望位置に正確に下すことが容易となる。とくに、フ
ォークとフェースプレートとの両方が移動し得る構成の
プッシュプル装置にあっては、荷物を機台側に引寄せる
ことにより安全姿勢で運搬できるとともに、従来装置と
同様の用途に適用できる。しかも、フェースプレートの
パンダグラフをフォーク上端よりも上方に配置したの
で、フォーク用のパンダグラフとフェースプレート用の
パンダグラフを前後に配置した場合に比べると、許容荷
重の低減を防止でき、また車幅方向に配置した場合に比
べると、フォーク間隔を自由に設定できる、つまりフェ
ースプレートの横幅を越えた間隔に設定することも可能
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例１のプッシュプル装置を示す説
明図、第２図は本発明の実施例２のプッシュプル装置を
示す説明図、第３図〜第７図はそれぞれ作動態様を示す
説明図、第８図は実施例２のプッシュプル装置の油圧回
路図、第９図は従来のプッシュプル装置を示す斜視図で
ある。 １……リフトブラケット ２……ホルダー ４……プレート支持部材 ５……フェースプレート ６……グリップ装置 10……フォーク 11,19……パンダグラフ 17,18……プッシュプルシリンダ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】リフトブラケットと共に昇降するホルダー
   の前面下部にフォークをパンタグラフを介して前後移動
   可能に取付け、前記ホルダーの前面下部には前記パンタ
   グラフの上方を通って前方へ延在するプレート支持部材
   を設け、このプレート支持部材には下端部にシートパレ
   ット把持用のグリップ装置を備えたフェースプレートを
   設けたフォークリフトのプッシュプル装置。
2. 【請求項２】リフトブラケットと共に昇降するホルダー
   の前面下部にフォークをパンタグラフを介して前後移動
   可能に取付け、下端部にシートパレット把持用のグリッ
   プ装置を備えたフェースプレートを前記パンタグラフの
   前面に配置するとともに、同フェースプレートを前記フ
   ォーク上端よりも上方に配置した別のパンタグラフを介
   して前後移動可能に取付けたフォークリフトのプッシュ
   プル装置。