JP2636185B2 - 粘土・ゼラチン複合多孔体およびその繊維体とそれらの製造方法 - Google Patents

粘土・ゼラチン複合多孔体およびその繊維体とそれらの製造方法

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JP2636185B2 JP6256184A JP25618494A JP2636185B2 JP 2636185 B2 JP2636185 B2 JP 2636185B2 JP 6256184 A JP6256184 A JP 6256184A JP 25618494 A JP25618494 A JP 25618494A JP 2636185 B2 JP2636185 B2 JP 2636185B2
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KAGAKU GIJUTSUCHO MUKIZAISHITSU KENKYUSHOCHO
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】この発明は、地球親和素材である
ゼラチンと粘土、あるいは、ゼラチンと粘土と天然繊維
とからなる多孔体もしくはこれらの複合体とその製造方
法に関し、特に、地球環境保全に配慮した包装材、梱包
材、緩衝材、断熱材、吸音材や農業資材としての広い利
用が可能である多孔体もしくは複合体とその製造方法に
関するものである。
【従来の技術とその課題】従来より、発泡スチロール
(ポリスチレン)あるいはスチレンペーパー等が、緩衝
材、断熱材、吸音材として、また、ポロエチレンフィル
ムまたはシート等が包装材、梱包材あるいは農業用資材
として、廉価であるが故に広く普及している。しかしな
がら、これらのプラスチック材の原料は地殻深部より人
為的に採掘された石油であり、使用後の焼却に際しては
高熱を出して焼却炉を破損し大量の炭酸ガスを発生する
など、地球環境汚染の典型な原因となる材料である。ま
た、焼却されずに放置されて河川や海浜を汚染するな
ど、社会問題として指摘されて久しい。このため、この
ような、従来のポリスチレン製等の緩衝材、断熱材、吸
音材やポリエチレン製等の包装材、梱包材あるいは農業
用資材を代替する地球環境親和素材の出現が待たれてい
るのが実情である。そこで、この発明は、地球環境親和
素材のみを用い、かつ回収再利用が容易で、やむを得ず
廃棄する場合にも天然の土壌に容易に同化され生態系の
なかに組み込まれる材料で、緩衝、断熱、吸音の効果が
あり、また包装、梱包、農業資材等としての利用が可能
であり、従来のプラスチック材を代替することが可能な
新しい素材とその製造方法を提供することを目的として
いる。
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するための手段として、ゼラチン水溶液と粘土ゾ
ルとの混合ゾルの急速凍結乾燥体からなる微細空孔を有
する複合多孔体(請求項1)を提供する。そして、ま
た、この発明は、上記の混合ゾルを1×10−2ml/
秒以上の平均凍結速度で急速に凍結し、この凍結体を融
解することなく乾燥することを特徴とする微細空孔を有
する多孔体の製造方法(請求項2)も提供する。さらに
この発明では、ゼラチン水溶液と粘土ゾルの他、天然繊
維、色素および/または香料の少くとも一種が配合され
ている多孔体(請求項3)をはじめ、ゼラチン水溶液と
粘土ゾルとの複合ゾル、またはさらに天然繊維が配合さ
れた複合ゾルの長繊維状またはフィラメント状の乾燥体
からなるゼラチン・粘土複合体(請求項4、5および
6)、並びにそれらの製造法(請求項7および8)をも
提供する。
【作用】この発明では、ゼラチン水溶液と粘土ゾルを混
合したゼラチン・粘土混合ゾルを凍結後、凍結体を融解
することなく乾燥してゼラチン・粘土複合多孔体を製造
するに際し、1×10−2ml/秒以上の平均凍結速度
で急速に凍結することにより、徐々に凍結したものに比
し、多孔体は弾力に富み強度が向上し、また、ゼラチン
と粘土の比率を変えることで圧縮強度を制御できる。ゼ
ラチン水溶液は、通常その固液比を1:5〜15程度と
することが好ましく、粘土ゾルについては固液比1:5
〜1:20程度とする。そして両者の混合比は、20〜
80:80〜20程度とする。用途に応じてゼラチン水
溶液と粘土ゾルの他に、水に分散した天然繊維、色素ま
たは香料を加えることも可能である。さらに、この発明
の他の発明では、ゼラチン水溶液と粘土ゾルを混合した
ゼラチン・粘土混合ゾル、およびゼラチン水溶液と粘土
ゾルと天然繊維の水分散体の三者を混合したゼラチン・
粘土・天然繊維複合ゾルを一次元に伸延して乾燥するこ
とにより紡織可能な程度の強度のある長繊維状またはフ
ィラメント状の複合体が得られ、またゼラチン、粘土、
天然繊維の比率を変えることで強度を制御できる。天然
繊維を加えると得られた長繊維状またはフィラメント状
複合体は柔軟性をます。ゼラチン水溶液は、通常その固
液比を1:5〜15程度とすることが好ましく、粘土ゾ
ルについては固液比1:5〜1:20程度とする。そし
て両者の混合比は、20〜80:80〜20程度とす
る。この発明の方法に用いる粘土としては天然の、例え
ばモンモリロナイト、サポナイト、パイデライト、カオ
リナイト、アロフェン、ベントナイト等、または合成粘
土であってもよい。用途に応じてゼラチン水溶液と粘土
ゾルと水に分散した天然繊維の他に、色素または香料を
加えることも可能である。
【実施例】実施例1 山形県左沢産の天然ベントナイトを水簸し、2μm以下
の鉱物粒のみを集めて、モンモリロナイト成分を濃集
し、NaCl水溶液を用いてモンモリロナイトの層間イ
オンをNaに置換し、水洗、風乾して原料とした。同
原料と水を計量、混合して固/液比1:9の粘土ゾルを
つくり、一昼夜放置して熟成した。また、ゼラチンは市
販の粉末を用い、固液比1:9として加熱により溶解
し、水溶液とした。この両者の比率を50/50に調整
して、加熱しながら混合した。この混合ゾルをステンレ
ス製の容器に取り、同容器に液体窒素に浸潤して、平均
凍結速度2×10−2ml/秒以上で急速凍結し、凍結
体を真空乾燥して、多孔体を作成した。容器より取り出
して、それぞれの圧縮強度を測定したところ、市販の発
泡ポリスチレンの圧縮強度を凌駕した。また、これまで
考案されてきた多糖類などの副成分のものに較べて弾力
性に向上がみられた。容器の形状により、塊状、棒状な
ど形状を制御することもできた。参考例 実施例1と同じゼラチン水溶液を用い、平均凍結速度4
×10−2ml/秒以上で急速凍結し、凍結体を真空乾
燥して多孔体を作成した。容器より取り出して、それぞ
れの圧縮強度を測定したところ、市販の発泡ポリスチレ
ンの圧縮強度を凌駕した。また、これまで考察されてき
た多糖類などの副成分のものに較べて弾力性に向上がみ
られた。実施例2 実施例1と同じゼラチン水溶液と粘土ゾルを用い、50
/50の混合ゾルを赤色の絵の具で着色し、ステンレス
製の容器に取り、同容器を液体窒素に浸潤して、平均凍
結速度を8×10−2ml/秒以上で急速凍結し、凍結
体を真空乾燥して、多孔体を作成した。容器より取り出
して、それぞれの圧縮強度を測定したところ、絵の具を
加えない50/50の混合ゾルとほぼ同等の強度を得
た。また、これまで考察されてきた多糖類などの副成分
のものに較べて弾力性に向上がみられた。比較例1 実施例1と同じゼラチン水溶液と粘土ゾルを用い、50
/50の混合ゾルをステンレス製の容器に取り、同容器
を家庭用冷蔵庫に入れ、徐々に凍結し、凍結体を真空乾
燥して、多孔体を作成した。容器より取り出したとこ
ろ、得られたゼラチン・粘土複合体は幅0.1mm長さ
数mmのレンズ状の空孔が整列してみられ、非常に強度
の低い物であった。実施例3 山形県左沢産の天然ベントナイトを水簸し、2μm以下
の鉱物粒のみを集めて、モンモリロナイト成分を濃集
し、NaCl水溶液を用いてモンモリロナイトの層間イ
オンをNaに置換し、水洗、風乾して原料とした。同
原料と水を計量、混合して固/液比1:9の粘土ゾルを
つくり、一昼夜放置して熟成した。ゼラチンは市販の粉
末を用い、固/液比1:9に計量して混合加熱して溶解
せしめた。上記により製造したゼラチン水溶液/粘土ゾ
ルの比率を70/30、50/50、30/70に調整
して、加熱しながら混合した。この混合ゾルの各々を剥
離剤を塗った底部の平坦なアルミニウム板上に注射器で
押し出し、径1mm長さ50cmの糸状に成型し、その
まま乾燥器内で乾燥した。ゾルの射出成型径、濃度によ
り、その太さを制御することもできた。乾燥後、それぞ
れの比率のゼラチン・粘土長繊維状またはフィラメント
状複合体が得られた。それぞれは紡織可能な程度の強度
と感触を有していた。実施例4 実施例3と同じゼラチン水溶液と粘土ゾルに、紙パルプ
を水熱処理して短繊維化した市販品の天然繊維を1:9
の固/液比に調整した水分散体を加えたゼラチン・粘土
・天然繊維複合ゾルを用いた。ゼラチン水溶液/粘土ゾ
ル/天然繊維の水分散体の比率を45/45/10およ
び30/60/10に調整して、加熱しながら混合し
た。この混合ゾルを剥離剤を塗った底部の平坦なアルミ
ニウム板上に注射器で押し出し、径1mm長さ50cm
に成型し、そのまま乾燥器内で乾燥した。ゾルの成型
径、濃度により、太さを制御することもできた。乾燥
後、それぞれの比率のゼラチン・粘土・天然繊維長繊維
状またはフィラメント状複合体が得られた。それぞれは
紡織可能な程度の強度と感触を有していた。実施例3の
ゼラチン・粘土長繊維状またはフィラメント状複合体に
較べて、柔軟性を有していた。
【発明の効果】以上説明したように、この発明の多孔体
もしくは長繊維膜状またはフィラメント状複合体は、従
来の石化製品であるポリスチレン製の緩衝剤、断熱剤、
吸音剤若しくはポリエチレン製の包装剤、梱包剤、農業
資材に十分匹敵できる圧縮強度や引張強度を有しなが
ら、上記の石化製品と異なり、地球と親和素材であるゼ
ラチン、粘土、天然繊維を原材料としているので、焼却
しても炉を破壊するほどの高熱を発することや大量の炭
酸ガス等の有害ガスを発生することなく、また、この発
明を材料とする製品はゴミとして廃棄しても天然の土壌
に容易に変換され、地球環境を損なうことはない。さら
に、この発明の多孔体若しくは長繊維状またはフィラメ
ント状複合体の原料のゼラチン水溶液、粘土ゾル、天然
繊維の水分散体の比率を変更することで、上記の圧縮強
度や引張強度を容易に制御できる。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゼラチン水溶液と粘土ゾルとの混合ゾル
    の急速凍結乾燥体からなる微細空孔を有する複合多孔
    体。
  2. 【請求項2】 ゼラチン水溶液と粘土ゾルを混合したゼ
    ラチン・粘土混合ゾルを1×10−2ml/秒以上の平
    均凍結速度で急速に凍結し、この凍結体を融解すること
    なく乾燥することからなる微細空孔を有するゼラチン・
    粘土複合多孔体の製造方法。
  3. 【請求項3】 ゼラチン水溶液と粘土ゾルの他、天然繊
    維、色素および/または香料の少なくとも一種が配合さ
    れている請求項1の多孔体。
  4. 【請求項4】 ゼラチン水溶液と粘土ゾルとの複合ゾル
    の長繊維状またはフィラメント状乾燥体からなるゼラチ
    ン・粘土複合体。
  5. 【請求項5】 ゼラチン水溶液と粘土ゾルと天然繊維の
    水分散体との複合ゾルの長繊維状またはフィラメント状
    乾燥体からなるゼラチン・粘土・天然繊維複合体。
  6. 【請求項6】 ゼラチン水溶液と粘土ゾル、またはさら
    に水に分散した天然繊維の他、色素および/または香料
    の少なくとも一種が配合されている請求項4または5の
    複合体。
  7. 【請求項7】 ゼラチン水溶液と粘土ゾルを混合したゼ
    ラチン・粘土複合ゾルを繊維状に伸延して乾燥する請求
    項4または6の複合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 ゼラチン水溶液と粘土ゾルと天然繊維の
    水分散体の三者を混合したゼラチン・粘土・天然繊維の
    複合ゾルを繊維状に伸延して乾燥する請求項5または6
    の複合体の製造方法。
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