JP2634161B2 - 空中超音波トランスジユーサの製造方法 - Google Patents

空中超音波トランスジユーサの製造方法

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JP2634161B2
JP2634161B2 JP61250399A JP25039986A JP2634161B2 JP 2634161 B2 JP2634161 B2 JP 2634161B2 JP 61250399 A JP61250399 A JP 61250399A JP 25039986 A JP25039986 A JP 25039986A JP 2634161 B2 JP2634161 B2 JP 2634161B2
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士朗 牧野
康雄 山田
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Murata Manufacturing Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は自動車の車高センサ等に使用される空中超音
波トランスジューサの製造方法に関する。
従来の技術 圧電素子の広がり振動モード、或いは厚み縦振動モー
ドによって超音波を発する空中超音波トランスジューサ
としては、第3図に示す如く、圧電素子1の上に中間媒
体として音響整合層2を載置したものが一般的に知られ
ている。図中10はケース、11は端子板、12はリード端
子、13は該端子板11及びリード端子12を破覆する破覆部
である。
上記音響整合層2は、上記圧電素子1と空気との間の
音響インピーダンスを結合させ効率良く超音波を発する
ためのものであって、上記圧電素子1の共振周波数の1/
4波長に相当する厚みtを有してなる。すなわち、圧電
素子1の固有音響インピーダンスρ0C0(ρ0:密度,C0:
縦波伝播速度)は、 ρ0C0=30×106kg/m2・s の値を有する一方、空気の固有音響インピーダンスρaC
a(ρa:密度,Ca:縦波伝播速度)は、 ρaCa=4.2×102kg/m2・s の値を有しており、圧電素子1の固有音響インピーダン
スρ0C0は空気の固有音響インピーダンスρaCaに比べか
なり大きく、上記音響整合層2は、この両者の固有音響
インピーダンスの間を整合すべくその固有音響インピー
ダンスが上記両者の中間値に設定されてなるものであ
る。
そして従来このような音響整合層2は、ガラス等で形
成された比重の軽い中空状の多数のマイクロバルーン
と、エポキシ等の溶融された樹脂とを混合し、硬化させ
ることにより製造されていた。
発明が解決しようとする問題点 ところで、上記空中超音波トランスジューサとして上
記圧電素子1から発生した超音波エネルギを最大に空中
に放射させる条件としての上記音響整合層の固有音響イ
ンピーダンスρLCL(ρL:密度,CL:縦波伝播速度)は、
上記圧電素子1の固有音響インピーダンスρ0C0と空気
の固有音響インピーダンスρaCaの幾何平均値、即ち が好ましいことが知られており、したがって実用上もで
きるだけ上記した数値に近づけることが望ましい。
しかし、上述の如く製造された音響整合層2はマイク
ロバルーンと樹脂との単なる混合物であるため、樹脂の
粘性等の物理的原因によりマイクロバルーンの樹脂への
充填比率が20〜30%のものしか得られず、その固有音響
インピーダンスρLCLも、 ρLCL=2〜5×106kg/m2・s と理論値(1.1×105kg/m2・s)より約20倍も高いとい
う欠点があった。このため従来の音響整合層は実質上音
響インピーダンスを整合する役割を果たし得ず、超音波
の発振効率の低い超音波トランスジューサしか得られな
いという問題点があった。
本発明は従来のこのような問題点に鑑み、音響整合層
の製造方法を改善して理論値に近い音響整合層を製造で
きる新規製造方法を提供することを目的とする。
問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために本発明の空中超音波トラン
スジューサの製造方法は、多数のマイクロバルーンと樹
脂とを遠心分離器に供給して、上記マイクロバルーンが
高充填された第1の樹脂層と該第1の樹脂層より比重の
重い第2の樹脂層とに分離し、上記第1の樹脂層を音響
整合層として圧電素子上に載置することを要旨としてい
る。
作用 上記製造方法によれば、多数のマイクロバルーンと樹
脂とを遠心分離器に入れて該遠心分離器を駆動すると、
比重の軽いマイクロバルーンは内周側に集合すると共に
比重の重い樹脂は遠心力により弾き飛ばされ外周側に集
合する。そして所定時間経過後、上記遠心分離器を停止
すると、マイクロバルーンの外周及び間隙に樹脂が付着
してなる第1の樹脂層と樹脂のみからなる第2の樹脂層
とが形成される。この第1の樹脂層はマイクロバルーン
が高充填されているので樹脂密度の低いものとなり、従
って該第1の樹脂層を降下させて音響整合層とし、圧電
素子に載置すると、該音響整合層は固有音響インピーダ
ンスの小さい理論値に近いものであるから、該空中超音
波トランスジューサの送受感度も良好なものとなる。
実 施 例 以下、図示の実施例に基づき本発明を詳説する。第1
図(イ)〜(ハ)は本発明の一実施例としての音響整合
層の製造方法を示す図である。すなわち、同図(イ)に
示す如く、まずウレタン,エポキシ,シリコン等からな
る溶融樹脂4とガラス,樹脂等で形成された多数のマイ
クロバルーン5……とをアクリル,テフロン,金属等で
形成された容器3に混入する。該樹脂4とマイクロバル
ーン5……は予め所定の割合で調合されたものを使用
し、本実施例ではその混合比は従来と同様マイクロバル
ーン5……の充填率が20%のものを使用した。
該樹脂4はその密度ρが約1×103kg/m3の値を有す
る一方、該マイクロバルーン5……は、第2図に示す如
く、粒径Dが10〜200μm,肉厚Tが1〜3μmの中空状
とされ、その密度ρが0.1〜0.4×103kg/m3に保持され
てなる。尚、該マイクロバルーン5……の内部は真空状
としてもよく、低密度のガスを充満させてもよい。
次いで、上記容器3を施蓋して後、適宜な手段でもっ
て該容器3を遠心分離器6に固定する。そして、同図
(ロ)に示す如く、該遠心分離器6を駆動させて容器3
を矢印A方向に回転させると、上記マイクロバルーン5
……と上記樹脂4の比重差によって、マイクロバルーン
5……を主成分とする第1の樹脂層8と樹脂のみからな
る第2の樹脂層9とに分離される。すなわち、比重の軽
いマイクロバルーン5……は内周側に集合すると共に比
重の重い樹脂4は遠心力により弾き飛ばされて外周側に
集合し、上記マイクロバルーン5……を主成分とする第
1の樹脂層8と上記樹脂4のみからなる第2の樹脂層9
とに分離されるのである。次いで所定時間経過して完全
に分離された状態になって後、該遠心分離器6を停止
し、上記容器3を遠心分離器6から取り出すと、同図
(ハ)に示す如く、比重の重い樹脂4のみからなる第2
の樹脂層9が容器3の下部に形成されると共に、該第2
の樹脂層9上にはマイクロバルーン5……の周囲及び間
隙に樹脂4が付着してなる第1の樹脂層8が形成され
る。このようにして形成された上記第1の樹脂層8は比
重の軽いマイクロバルーン5……が高充填され(充填率
70〜80%)、低密度のものとなる。すなわち、上記遠心
分離器6にかけることにより、比重差によって第1の樹
脂層9と第2の樹脂層9に分離され、マイクロバルーン
5……の充填率20%(第1図(イ)の状態)であったも
のからマイクロバルーン5……の充填率が70〜80%と低
密度化された第1の樹脂層8を得ることができる。そし
て該第1の樹脂層8を取り出し、加熱したのち冷却して
硬化させ、該第1の樹脂層8を音響整合層2として圧電
素子1に載置することにより、固有音響インピーダンス
ρLCLの小さい音響整合層2を備えた空中超音波トラン
スジューサが製造される(第3図参照)。
第1表はマイクロバルーンの密度ρを0.2×103kg/m
3,樹脂の密度ρを1×103kg/m3,縦波伝播速度CLを2.5
×103m/sとした場合の音響整合層2の固有音響インピー
ダンスρLCLを従来例と共に示したものである。尚、音
響整合層2の密度ρは次のように表される。
ρ=ρρ1/{(1−X)ρ+Xρ} ここで、 X:マイクロバルーンの重量充填比率(wt%) このように本発明の方法で製造された音響整合層2は
固有音響インピーダンスρLCLがその理論値1.1×105kg/
m2・sに近づく。従って該音響整合層2を備えた空中超
音波トランスジューサは、超音波の発射効率が良くなっ
て送受感度が良好となり、S/N比も改善され、誤動作を
生じる虞が少なくなり、車高センサ等のセンサに好適し
たものとなる。
発明の効果 以上詳述したように本発明の製造方法によれば、多数
のマイクロバルーンと樹脂とを遠心分離器に混入して該
遠心分離器を駆動し、上記マイクロバルーンが高充填さ
れた第1の樹脂層と比重の重い第2の樹脂層とに分離し
たので、該第1の樹脂層は、マイクロバルーンの充填率
が70〜80%と充填率された低密度のものとなる。さらに
このようにして製造された第1の樹脂層を音響整合層と
して圧電素子に載置したので、該音響整合層は固有音響
インピーダンスが小さく理論値(1.1×105kg/m2.s)に
近いものとなる。したがって該音響整合層を具備した該
空中超音波トランスジューサは、超音波を空中に向けて
効率良く発射でき、送受感度が従来に比し良好となり、
S/N比も改善され、誤動作をすることも少なくなる。さ
らに該空中超音波トランスジューサの発する振動モード
も所謂「ピストン振動」に近づき、指向性がシャープに
なるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例としての音響整合層の製造方
法を説明する説明図、第2図はマイクロバルーンの断面
図、第3図は空中超音波トランスジューサの断面図であ
る。 1……圧電素子、2……音響整合層、4……樹脂、5…
…マイクロバルーン、6……遠心分離器、8……第1の
樹脂層、9……第2の樹脂層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−208200(JP,A) 特開 昭54−12822(JP,A) 特開 昭47−39170(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数のマイクロバルーンと樹脂とを遠心分
    離器に供給して、上記マイクロバルーンが高充填された
    第1の樹脂層と、この第1の樹脂層より比重の重い第2
    の樹脂層とに分離する工程と、 上記第1の樹脂層を取り出す工程と、 上記第1の樹脂層を加熱したのち冷却して硬化させる工
    程と、 この第1の樹脂層を音響整合層として圧電素子上に載置
    する工程と を有することを特徴とする空中超音波トランジューサの
    製造方法。
JP61250399A 1986-10-20 1986-10-20 空中超音波トランスジユーサの製造方法 Expired - Lifetime JP2634161B2 (ja)

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