JP2632323B2 - 垂直磁気記録方式 - Google Patents

垂直磁気記録方式

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JP2632323B2 JP62256830A JP25683087A JP2632323B2 JP 2632323 B2 JP2632323 B2 JP 2632323B2 JP 62256830 A JP62256830 A JP 62256830A JP 25683087 A JP25683087 A JP 25683087A JP 2632323 B2 JP2632323 B2 JP 2632323B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は垂直磁気記録方式に係り、特にリングヘッド
を用いて垂直磁気記録を行なう垂直磁気記録方式に関す
る。
従来の技術 近年、高密度記録を実現し得る磁気記録方式として、
磁気記録媒体の磁性層に垂直方向に磁化を行なう垂直磁
気記録方式が提案されている。この垂直磁気記録方式に
は種々の方式が提案されているが、そのひとつとしてリ
ングヘッドを用いて垂直磁化を行なう垂直磁気記録方式
がある。
しかるに、従来のリングヘッドを用いた垂直磁気記録
方式では方形波を記録しこれを再生した場合、再生波形
が原点に対し非対称なダイパルス(dipulse)となるこ
とが知られている(IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS,V
OL.MAG−18,No.2,MARCH 1982,P769〜P771参照)。これ
は、従来の垂直磁気記録方式では、残留磁化が磁化反
転位置に対して非対称であること、リングヘッドの磁
界がかなりの面内成分を有しており、磁化が面内方向へ
傾くこと等が原因していると考えられる。
発明が解決しようとする問題点 このような非対称なダイパルスからデータ弁別を行な
う手段として、ゼロ点検出,ピーク検出,最大傾
斜点検出が考えられ、特に現在行なわれているのは上記
,の手段である。
の手段は非対称なダイパルスをヒルベルト変換等に
より原点に対し対称なダイパルスとしてゼロ点検出を行
なう方法である。また、の手段は非対称なダイパルス
をヒルベルト変換等により対称な単峰パルスとしてピー
ク検出を行なう方法である。更に、の手段は非対称な
波形を2回微分して最大傾斜点を検出する方法である。
しかるに、上記,の手段では、いずれも再生時に
位相と振幅補正を行なうものであり、記録媒体特性(Δ
θ50,MS,HC⊥,HK等)及びリングヘッド特性(ギャップ
長,スペィシング等)の変化によりダイパルスの対称性
は著しく変化する。従って、データ弁別を正確に行なう
には記録媒体やリングヘッドのギャップ長等の僅かな変
化に対応して補正を行なわなければならないという問題
点があった。また、ヒルベルト変換は再生回路内に設け
られた波形等化回路で行なわれるため、再生回路の回路
構成が複雑になるという問題点があった。
本発明は上記の点に鑑みて創作されたものであり、リ
ングヘッドを用い、かつ再生波形が対称性を有するダイ
パルスとなる垂直磁気記録方式を提供することを目的と
する。
問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために本発明では、垂直異方性
媒体または無配向媒体に垂直記録を行なう垂直磁気記録
方式において、記録しようとする2値信号を入力するた
めの端子手段と、前記媒体に磁気変化を生ぜしめるリン
グヘッドと、リングヘッドを駆動する記録電流を発生す
る記録電流発生回路手段を有し、回路手段は、前記2値
信号の波形の極性変化の方向に対応して交互に極性が反
転する微小パルスの列であって、互いに極性が異なる隣
接した微小パルスの間に、零より長い時間維持される電
流値が零の区間が存在し、微小パルスのパルス幅の時間
TWと、記録電流の最少極性反転間隔の時間B minとの関
係がTW<B minとなるように、微小パルス幅の時間/TW
設定されている電流波形を、前記記録電流として発生す
る構成とした。
作用 リングヘッドはギャップ(磁気空隙)を介して対向す
るリーディングとトレーリングを有している。このリー
ディングとトレーリングにおける磁界の垂直方向成分に
注目すると、磁界の極性は逆極性となっており強さは等
しくなっている。従って、媒体に対しリーディングとト
レーリングで夫々同時に垂直磁化を行なった場合、媒体
にはギャップ中央位置を磁化反転位置とし逆極性の磁化
が形成される。また、この極性の異なる磁化の強さは等
しいため、媒体に記録される磁界の強さも等しい。従っ
て上記垂直磁気記録方式による垂直磁気記録を再生した
場合、再生波形は出力ゼロ位置(即ち磁化反転位置)を
中心として対称性を有した波形となる。
実施例 次に本発明の一実施例について説明する。まず、本発
明に係る垂直磁気記録方式の基本原理を第1図及び第2
図を用いて説明する。
第1図及び第2図は夫々リングヘッド1と磁気記録媒
体2,3の相対速度をゼロとした、所謂静止記録を行なっ
た場合の磁化パターン(図中、矢印で示す)及び再生波
形を示している。また、第1図は磁気記録媒体2として
垂直異方性媒体を用い、一方第2図は磁気記録媒体3と
して面内異方性媒体を用いており、夫々リングヘッド1
は直流で励磁した。
第2図に示す、所謂面内記録の場合には、リングヘッ
ド1の左右のポール1a,1b近傍における面内方向磁界は
同極性であるために2ビット分の磁化が形成される(第
2図(B)に再生波形を示す)。
一方、第1図に示す垂直磁気記録の場合には、リング
ヘッド1の各ポール1a,1bの近傍の垂直方向磁界は逆極
性であるために、ギャップ1c(梨地で示す)の中心線上
を磁化反転位置としてその両側に逆極性の1ビット分の
磁化が形成される。この磁化を行なうのは、リングヘッ
ド1が発生するポール1aからポール1bに至る磁界の内で
特に垂直成分であり、その強さはポール1a近傍とポール
1b近傍において略等しい強さとなっている。従って、磁
化反転位置の両側に形成される逆極性の磁化の強さは略
等しい強さとなる。このように垂直磁化された記録の再
生波形は、第1図(B)に示すように出力ゼロレベル
(磁化反転位置に対応)を中心として対称性を有する波
形となる。よって、静止記録のみを考えた場合、再生波
形は対称性を有しており波形等化(ヒルベルト変換等)
を行なうことなく、そのままの再生波形でデータ弁別を
行なうことができる。
上記した基本原理を基に、垂直磁気記録においてリン
グヘッドと垂直磁気記録媒体(以下、単に垂直媒体とい
う)が相対的速度を有している場合の垂直磁気記録につ
いて述べる。
まず本発明に係る垂直磁気記録方式の説明を明確化す
るため、従来における垂直磁気記録方式について簡単に
説明し、再生波形が非対称となる理由を述べておく。
第3図乃至第6図はNRZI方式において垂直磁気記録が
される様子を経時的に示した図である。各図において
(A)に示されるのは記録電流波形であり、(B)で示
されるのは垂直媒体4の磁化パターンである(図中、矢
印の長さは磁化の強さを示す)。また、リングヘッド5
は相対的に図中右方へ変位するものとする。更に図中梨
地で示す範囲はリングヘツド5による垂直媒体4に対す
る磁化範囲である。
第3図に注目し、リーディング5a、トレーリング5bを
有するリングヘッド5のギャップ5cの中心が無限遠から
図中Bで示す位置までやってきたとすると、位置A近傍
の磁化M1は以前に記録された同方向磁化によりHd=4π
Msの減磁界を受ける。
ここで、第4図に示すように記録電流が反転し、A,B
間領域において磁化が反転したとすると、A,B間領域内
の磁化M2は既に位置Aより左方に形成されている磁化
(例えばM1)による減磁界を受ける。しかるにA,B間領
域内の磁化M2は反転しており、よって減磁界の方向(図
中、破線の矢印で示す)は磁化M2を強める方向となるた
め、磁化の大きさはM2>M1となる。よって、位置A(こ
の位置は磁化反転位置となる)を中心として左右に形成
される磁化の強さは同一でなくなる。これが再生が非対
称となる主な理由である。
尚、第5図に示すようにビット中央部(一のビット記
録位置と次のビット記録位置の間部分)においてはリン
グヘッド5により形成される磁化M3は夫々Hd=4πMsの
減磁界を受ける。また第6図に示すように記録電流波形
が反転することにより、位置Cを磁化反転位置として1
ビットが記録される。
上記のように従来の垂直磁気記録方式では、記録電流
波形が反転する際、リングヘッドの5の磁界を反転する
ことに起因して、磁化反転位置A,Cの両側における磁化
の強さが異なり、これが主な原因となり再生出力波形が
非対称となっていた(第7図にNRZI方式による垂直磁気
記録における独立再生波形を磁化パターンと関連させて
示す)。また、従来の方式ではリーディング5aによる磁
化は、リングヘッド5の相対的な右方向の変位に伴い後
から追いかけてくるトレーリング5bの磁界により消され
てしまい、実際に垂直磁化に寄与するのはトレーリング
5bによる磁化のみである。
以上を前提として本発明を適用してなる垂直磁気記録
を第8図乃至第12図を用いて説明する。
本発明では記録電流波形として、第8図(A)に示さ
れる従来用いられていたNRZI記録波形に代えて、第8図
(B)に示される記録電流波形(以下、便宜上この記録
電流波形をFP記録波形といい、またFP記録波形を用いた
垂直磁気記録方式をFP記録方式という)を用いたことを
特徴とする。第8図はNRZI記録波形とFP記録波形を対応
させて示している。同図に示されるようにFP記録波形
は、NRZI記録波形が立ち上がるとき正で、また立ち下が
りで負の微小幅のパルス電流が流される構成の波形とな
っている。
上記のFP記録波形により垂直媒体6(未記録の媒体と
する)に対し垂直磁化がされる様子を、第9図乃至第12
図に経時的に示す。尚、各図において(A)で示される
のは記録電流波形であり、また(B)で示されるのは垂
直媒体6の磁化パターンである。
第9図に示されるようにリングヘッド7(リーディン
グ7a、トレーリング7b、ギャップ7cを有する)のギャッ
プ7cの中心が図中Dで示す位置にきた時、FP記録波形が
立ち上がり、正の電流がリングヘッド7に流されたとす
る。これによりリングヘッド7は励磁され、位置Dを中
心として両側に逆極性の磁化が形成される。尚、ギャッ
プ7cの中心が位置Dに至るまでリングヘッド7には電流
が流れていないため、リングヘッド7の磁化範囲より左
方(位置Eより左方)の垂直媒体6には磁化されていな
い(垂直媒体6上で磁化されていない部分には“0"を示
す)。
FP記録波形は微小幅のパルス電流が流される波形であ
るため、微小時間(この時間をTWとする)に亘り電流が
流された後、第10図に示すようにリングヘッド7への通
電は停止される。FP記録波形では電流が反転しないた
め、よって磁化の反転も起こらず、従って垂直媒体6に
はリングヘッド7のギャップ7の中心線上を磁化反転位
置(図中、Fで示す)として、その両側に略対称な磁化
が形成される。これは前記した基本原理の説明からも明
らかである。
尚、上記微小時間TWの間にリングヘッド7が相対的に
変位することに伴いギャップ中心位置は位置Dから位置
Fへ移動し、トレーリング7bによる磁化は一部リーディ
ング7aにより形成された磁化と重畳し消され、また位置
Fより左方における磁化範囲は右方における磁化範囲を
より大きくなるが、TWは微小であるため問題となるよう
なことはない。
一方、FP記録方式の場合、ビット中央部においては電
流がゼロとなっているため、第11図及び第12図に示され
るように垂直媒体6に磁化は形成されない。磁化が形成
されるのはFP記録波形において微小幅のパルス電流が流
れた時であり、この時磁化反転位置F,Hを中心にその両
側の狭い領域に逆極性の磁化が形成される。
このFP記録方式によれば、逆極性の磁化がリーディン
グ7a及びトレーリング7bにより同時に形成され、かつそ
の強さは同一のリングヘッド7から発生した磁界による
磁化であるため互いに略等しい強さを有している。即
ち、この各磁化は相互に対称性を有した磁化となる。ま
た、磁化が形成れるのはFP記録波形の微小幅のパルス電
流が流れた時のみであるため、リングヘッド7が垂直媒
体6に対し相対的に変位してもトレーリング5bがリーデ
ィング5aが形成した磁化を消すようなことはなく、上記
の逆極性の磁化は保持される。更に1ビットを構成する
磁化領域(第12図に梨地で示す)を考えた場合、隣り合
う磁化領域の間のビット中央領域(第12図にGで示す領
域)は磁化がされていないため、各磁化領域が減磁界を
受けるようなことはない。よって磁化反転位置F,Hを中
心としてその両側には略対称な磁化が形成され、この垂
直媒体を再生した場合には、対称性を有する再生波形を
得ることができる。これにより、再生波形を再生回路側
で波形等化(ヒルベルト変換等)する必要がなくなり、
再生回路の構成を簡単にすることができる。
また、ビット中央部の磁化“0"の領域(第12図にGで
示す領域)は、隣接する磁化反転位置の離間距離が小と
なる短波長領域においては狭くなり、次第にNRZI記録方
式に近づく。この短波長領域におけるFP記録方式につい
て第26図を用いて以下説明する。
同図において(A)はNRZI記録波形を、(B)は
(A)のNRZI記録波形と対応するFP記録波形を、(C)
は短波長領域において磁化が形成される様子を、また
(D)は垂直媒体(6)に形成された酸化パターンを夫
々示している。いま、同図(A),(B)に示すように
最短記録ビット長をB min(sec)とし、また微小パルス
幅をTW(sec)として夫々時間で採る。更にリングヘッ
ド7と垂直媒体6の相対速度をv(m/s)とすると、通
常最短記録ビット長v×B minはギャップ損失の影響を
避けるため、ギャップ長の2倍以上の長さに設定され
る。
前記のように、短波長領域(高密度記録時)において
はビット中央部の磁化“0"の領域が狭くなり、最短記録
ビット長B minと微小パルス幅TWは近い値となる。そし
て、B min=TW(反転電流aの位置とbの位置が等し
い)なる場合は、K領域の磁化は反転電流bによって反
転されて反射位置がLに移動してしまうため(NRZI方式
と同じ)適さない。
本発明方式では、FP記録波形の微小パルス幅TWが最短
記録ビット長B minより小さく設定してなることを特徴
とする。このようにTW<B minと設定することにより、
第26図(B)に示される反転電流aにより形成された磁
化(図中、領域K内において下に向いた矢印Mで示され
る)は、反転電流bにより垂直媒体6に印加される磁界
(領域K内において、上に向いた破線の矢印Hで示す)
によっては磁化反転することはなくFP記録方式による垂
直磁化が行なわれる。
この理由を第26図(B),(C)を用いて次に述べ
る。TW<B minとすることにより、反転電流aによる磁
化反転位置(図中Nで示す)と反転電流bによる磁化反
転位置(図中、Pで示す)の間には、時間で示すとB mi
n−TW(sec)、距離で示すとv・(B min−Tw)(m)
の微小のずれが必ず生じる。この場合領域K内におい
て、反転電流aにより形成された磁化Mは、反転電流b
による逆磁性のヘッド磁界Hを受けるが、この磁界Hは
ギャップ中心位置Pから離れた(即ち、位置Nより時間
にしてB min−TWだけずれた)弱い磁界であるため、領
域Kに形成されている磁化Mは反転されず、そのまま残
ることになる。よって、TW<B minと設定することによ
り短波長領域においてもFP記録方式にて垂直磁気記録を
行なうことができる。
次に、上記のFP記録方式を用いて垂直磁気記録/再生
を行なった際の各種実験結果を述べる。
まず、実験に用いたFP記録波形をNRZI記録波形と比較
して第13図に示す。第13図(A)はNRZI記録電流波形で
あり、第13図(B)はFP記録波形である。このFP記録波
形は、例えば第14図に示される回路より容易に作ること
ができる。
次にNRZI記録方式とFP記録方式の孤立再生波形,記録
電流波形及び磁化パターンを夫々関連させて第15図及び
第16図に示す。実験条件は各記録方式において等しく設
定し、相対速度を2.07m/sでギャップ長0.20μmのフェ
ライト・リングコアヘッドを用いた。また垂直媒体とし
てはCo−Cr/Co−Cr−Nb二層媒体を用い、その磁気特性
は厚さ0.25μm、Ms=370emu/cc,Hc=670Oe,Hc=60
Oeであった。尚、第15図はFP方式を示しており、第16図
はNRZI記録方式を示している。また各図において(A)
は孤立再生波形を、(B)は記録電流波形を、(C)は
磁化パターンを示している。
第15図(A)より、FP記録方式における再生波形のダ
イパルス比は略1であり、対称性の良好な波形となって
いる。一方、第16図(A)に示されるNRZI記録方式によ
る再生波形のダイパルス比は略0.5であり対称性は良く
ない。よってNRZI記録方式では波形等化処理を行なう必
要が生じる。
第17図はNRZI記録方式及びFP記録方式の入出力特性で
ある。尚、以降の実験にはギャップ長0.2μmのセンダ
スト(登録商標)よりなるリングヘッドを用いている。
同図より飽和電流はFP記録方式の方がやや大きいが、
1.5倍程度であり問題ない。NRZI記録方式の飽和電流が
小さいのは、磁化反転前の逆方向磁化による減磁界がヘ
ッド磁界を強めるように働くからであると考えられる
(第4図(B)に示す破線の矢印参照)。
第18図は、NRZI記録方式と、FP記録方式(記録電流ir
=15mAp−p,ir=20mAp−p)の波長特性である。短波長
領域においては、出力はいずれもほぼ等しいが、FP記録
方式の記録電流ir=20mAp−pにおいては長波長領域の
出力がやや大きい。しかし次に述べるビットシフトを考
えるとFP記録方式における記録電流ir=15mAp−pが最
も小さく良好である。
次にビットシフト特性について説明する。一般にディ
ジタル情報を記録する場合、そこに出現する2進値の
“1"および“0"の組合せ、すなわちビット・パターンは
種々雑多である。その結果NRZI記録方式の場合、同一の
情報書込密度であっても、そのビットパターンの状態に
よっては、局部的にパルスのまばらな個所や密集した箇
所ができることになる。それによって読出電圧の波高値
が低下したり、情報の現れる位相が変わったりする。こ
れがビット・シフトである。
NRZI記録方式の場合、位相方向の最悪パターンは2ビ
ットパターン“00011000"、振幅方向の最悪パターンは
3ビットパターンである。垂直記録の場合は、波形がダ
イパルスであるために3ビットパターンはあまり問題と
ならない。
ビットシフトの具体的な求め方について説明する。第
19図(A)に示す記録電流波形に対し、第19図(B)に
示す再生波形が得られたとし、tb,to,tpを図に示すよう
にとった場合、ビットシフト量(ゼロ点)及びビットシ
フト量(ピーク)は次式で求められる。
尚、twは弁別密幅でありMFM記録方式の場合、最短記
録波長の1/2である。
第20図はNPZI記録方式とFP記録方式の各場合の2ビッ
トパターン(00011000)のビットシフト特性を示す図で
ある。NRZI記録方式のビット量(ピーク)が最もビット
シフトが小さいが、再生時の波形等化によって2ビット
目のピークの高さを大きくする必要がある。一方、NRZI
記録方式のビット量(ゼロ点)の場合は、ビットシフト
が大きいため再生時の波形等化によってビットシフトを
低減する必要がある。等化方法はいずれもヒルベルト変
換を用いる。これに対しFP記録方式のビット量(ゼロ
点)はビットシフトが低い値をとっており、かつ波形等
化を行なう必要がない。
続いて第21図にNRZI記録方式の、また第22図にFP記録
方式の120KBPI5ビットパターンの再生波形を示す。NRZI
記録方式の場合、ダイパルスの対称性が悪いため5ビッ
ト部の波形の基線が横軸(x軸)より浮き上がった形と
なっており基線の偏移が見られる(図中、破線で示
す)。これに対してFP記録方式の場合はダイパルスの対
称性が良いため基線の偏移は見られず直ちにゼロ点検出
を行なうことができる。
また第23図にNRZI記録方式の、また第24図にFP記録方
式の100KBPI2ビットパターンの再生波形を示す。各図よ
りゼロ点のビットシフト量がFP記録方式の方法がNRZI記
録方式に比べて小さいことが判る。また第24図に示すFP
記録方式ではL2/L1が大であり、またサドル部(図中矢
印Jで示す)の落ち込みが大きいためデータ弁別の際有
利である。
上記実験結果から明らかなように、本発明を用いたFP
記録方式はNRZI記録方式に比べて再生波形の対称性(ダ
イパルス比特性)、ビットシフト特性等において高特性
を有した垂直磁気記録方式であると言える。
尚、上記実施例では記録媒体として垂直異方性を有し
た垂直媒体を用いたが、これに限るものではなく、無配
向媒体を用いても同様の効果を得ることができる。ま
た、パーマロイ等を裏打ち層とした所謂二層媒体を用い
ても同様の効果を奏することができる。
また、上記実施例では第2図(A)に示されるような
微小幅の矩形パルスを有した波形をFP記録波形として用
いたが、これに限るものではなく、例えば第25図
(B),(C)に示されるような鋸歯状のパルス波形と
しても良い。このようにパルス波形を矩形から変化させ
ることにより、所定のパルス幅TW内においてリングヘッ
ドへの印加電流の制御を行なうことができる。よって、
このパルス波形を適宜制御することにより、さらに磁化
反転位置の両側に形成される磁化の対称性を向上させる
ことが可能となる。
発明の効果 上述の如く、本発明によれば、媒体に対しリングヘッ
ドのリーディングとトレーリングで逆極性の磁化が同時
に記録紙磁化反転とすることにより、磁化反転位置の両
側における磁化の強さは略等しくなり、従って再生波形
を対称性を有した波形とすることができ、これにより再
生回路内に波形等化処理を行なう回路は不要となり回路
構成の単純化を図ることができ、また媒体やリングヘッ
ドの条件に拘らずダイパルス比が略1となるため、回路
の調整が不要となる等の特長を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明になる垂直磁気記録方式の基本原理を説
明するための図、第2図は従来の長手方向記録を説明す
るための図、第3図乃至第6図は従来の垂直磁気記録方
式の一例を説明するための図、第7図は従来の垂直磁気
記録方式による記録信号の磁化パターン及び再生波形を
示す図、第8図はNRZI記録信号とFP記録信号を対比して
示す図、第9図乃至第12図はFP記録方式により磁化が形
成される様子を経時的に示す図、第13図は実際の入力波
形を示す図、第14図はFP記録波形を生成する回路の一例
を示す図、第15図はFP記録方式による再生波形,記録電
流波形,磁化のパターンを関連させて示す図、第16図は
NRZI記録方式による再生波形,記録電流波形,磁化のパ
ターンを関連させて示す図、第17図はNRZI記録方式とFP
記録方式の入出力特性を示す図、第18図はNRZI記録方式
とFP記録方式の波長特性を示す図、第19図はビットシフ
ト量の求め方を説明するための図、第20図はNRZI記録方
式とFP記録方式のビットシフト特性を示す図、第21図は
NRZI記録方式における120KBPI5ビットパターンの再生波
形を示す図、第22図はFP記録方式における120KPI5ビッ
トパターンの再生波形を示す図、第23図はNRZI記録方式
における100KBPI2ビットパターンの再生波形を示す図、
第24図はFP記録方式における100KBPI2ビットパターンの
再生波形を示す図、第25図はFP記録波形の変形例を説明
するための図、第26図は短波長領域におけるFP記録方式
を説明するための図である。 1……リングヘッド、2……垂直異方性媒体、6……垂
直媒体、7……リングヘッド、7a……リーディング、7b
……トレーリング、7c……ギャップ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】垂直異方性媒体または無配向媒体に垂直記
    録を行なう垂直磁気記録方式において、 記録しようとする2値信号を入力するための端子手段
    と、前記媒体に磁気変化を生ぜしめるリングヘッドと、
    該リングヘッドを駆動する記録電流を発生する記録電流
    発生回路手段を有し、 該回路手段は、前記2値信号の波形の極性変化の方向に
    対応して交互に極性が反転する微小パルスの列であっ
    て、互いに極性が異なる隣接した該微小パルスの間に、
    零より長い時間維持される電流値が零の区間が存在し、
    該微小パルスのパルス幅の時間TWと、該記録電流の最少
    極性反転間隔の時間B minとの関係が、TW<B minとなる
    ように、該微小パルス幅の時間TWが設定されている電流
    波形を、前記記録電流として発生することを特徴とする
    垂直磁気記録方式。
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