JP2631014B2 - V形エンジンの冷却装置 - Google Patents

V形エンジンの冷却装置

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JP2631014B2
JP2631014B2 JP11016489A JP11016489A JP2631014B2 JP 2631014 B2 JP2631014 B2 JP 2631014B2 JP 11016489 A JP11016489 A JP 11016489A JP 11016489 A JP11016489 A JP 11016489A JP 2631014 B2 JP2631014 B2 JP 2631014B2
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B75/00Other engines
    • F02B75/16Engines characterised by number of cylinders, e.g. single-cylinder engines
    • F02B75/18Multi-cylinder engines
    • F02B75/22Multi-cylinder engines with cylinders in V, fan, or star arrangement

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Lubrication Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は多気筒V形ディーゼルエンジンに使用される
冷却装置に関し、より具体的には、冷却装置の通路やそ
の他の構成要素の構造を対象としている。
[従来の技術] 本発明に関連する従来技術としては特開昭63-106353
号がある。そして、一般に小型船舶等に使用される過給
機付きの多気筒V形ディーゼルエンジンでは、シリンダ
ブロックやシリンダヘッド以外に排気マニホールドを水
冷するのが通例である。又、冷却装置には冷却水の過冷
を防止するためのサーモスタットが設けられる。そのた
めに、冷却水経路には、シリンダブロック及びシリンダ
ヘッドの内部の冷却水通路の他に、サーモスタットから
冷却水冷却器を介さずに冷却水ポンプへ戻る通路と、サ
ーモスタットから膨張タンク及び冷却水冷却器を介して
冷却水ポンプへ戻る通路と、シリンダブロック外の排気
マニホールドからサーモスタットへ至る通路が必要であ
る。
[発明が解決しようとする課題] ところが、本発明が対象とするようなエンジンでは、
一般に冷却水ポンプとサーモスタットと膨張タンク(及
び冷却水冷却器)とが互いに大きく離れた位置に配置さ
れる。その結果、それらの機器を接続する上記種々の通
路が長くかつ複雑になり、そのためにエンジン全体が大
形化するとともに、部品点数及び組立工数が多くなる。
[問題を解決するための手段] 本発明は、シリンダブロックに、それぞれ複数の燃焼
室を直列に並ぶ状態で形成する2個のシリンダ壁部を互
いに傾斜した状態で一体に形成し、両シリンダ壁部を、
シリンダ中心線方向における中間部において互いに一体
に連結する連結壁部を設け、該連結壁部よりもクランク
室側において両シリンダ壁部の間に冷却水通路空間を形
成し、該冷却水空間をそれぞれ異なるシリンダ壁部に面
する2個の冷却水通路に区切る隔壁を設け、上記2個の
冷却水通路の一方により、冷却水サーモスタットから冷
却水ポンプに至る通路を形成し、他方により冷却水サー
モスタットから冷却水冷却器に至る通路を形成したこと
を特徴としている。
[実施例] 第1図は本発明実施例を採用したエンジンの断面を側
方から示す断面図、第2図は第1図のエンジンの断面を
後方から見た断面図、第3図は実施例のエンジンの正面
図、第4図は実施例のエンジンの平面図である。第1図
及び第2図において、図示のエンジンはV形8気筒ディ
ーゼルエンジンである。線Aはクランク軸中心線であ
り、図示の例では水平になっている。第2図のBはシリ
ンダ中心面であり、各4個の直列に並ぶ気筒の中心線を
結んでいる。Cはクランク軸中心線Aを含むエンジン中
心面で、上記1対のシリンダ中心面Bはエンジン中心面
Cを挟んで互いに対象の位置関係で傾斜している。
第2図の如く、エンジンブロックはシリンダブロック
20とシリンンダヘッド21と主軸受フレーム22との組立体
で構成されている。シリンダブロック20はクランク室23
の上半部を囲むクランク室壁部24と、各シリンダ中心面
Bに沿って延びる1対のシリンダ壁部25とを一体に備え
ている。無論、各シリンダ壁部25の内部には4個の燃焼
室26が一列に並ぶ状態で形成されている。各シリンダ壁
部25の上端にはシリンダヘッド21が固定されており、各
シリンダ壁部25とシリンダヘッド21とによりバンク28
(傾斜ブロック部分)が形成されている。
V形に並ぶ2個のバンク28の間のバンク空間には空気
冷却器30が配置してある。空気冷却器30はエンジンの後
部、即ちクランク軸31の一端部に取り付けたフライホイ
ール32に近い位置に設けてある。空気冷却器30は過給機
33からの給気を冷却するための水冷式熱交換器であり、
全体形状は概ね箱形(立方体状)である。過給機33は各
シリンンダヘッド21の後方に配置されており、そのター
ビンに排気マニホールド34の後方湾曲延長部(排気連絡
管)が接続するとともに、第4図の如く、そのコンプレ
ッサーが給気連絡管35を介して空気冷却器30の後端の入
口に接続している。空気冷却器30の前端面には、前方へ
突出して下方へ湾曲した出口ダクト36が設けてある。
第5図は第4図の5−5断面部分略図、第6図は第5
図の拡大部分図、第7図はシリンダブロック20単体の平
面略図、第8図は第7図の8−8矢視略図である。第5
図から明らかなように、上記出口ダクト36は下向きに開
口した給気出口通路を形成しており、その先端部が分配
室壁部40に連結されている。第5図及び第7図から明ら
かなように、分配室壁部40は、シリンダブロック20の上
記出口ダクト36(第5図)の近傍の部分を上方へ隆起さ
せて形成されており、上方に開いた3個の開口41、42を
エンジン幅方向に間隔を隔てて備えている。
中央の開口41には前記出口ダクト36が後述する如く連
結され、開口41を介して出口ダクト36の内部の給気出口
通路が分配室壁部40の内部の分配室43に連通している。
左右の2個の開口42は分配室壁部40の傾斜上端面に開口
している。この傾斜上端面はシリンダブロック20本体の
傾斜上端面と概ね同一平面上にあり、シリンダヘッド21
の内側(Vバンク空間側)の側面に設けた給気マニホー
ルド45の入口壁部46が分配室壁部40の上記傾斜上端面に
着座しており、上記分配室43は開口42を介して給気マニ
ホールド45の内部通路(給気通路)に連通している。こ
の構造によると、空気冷却器30から開口41を通って分配
室43に流入した低温給気は、分配室43において左右に分
配され、開口42を通って両シリンダヘッド21の給気マニ
ホールド45内へ流入する。
なお、図示の構造では、給気マニホールド45がシリン
ンダヘッド21と一体に形成されているが、別体に形成す
ることもできる。
第6図の如く、開口41及び開口42での連結構造には短
いパイプ50、51が使用されている。分配室壁部40はそれ
ぞれ開口41、42を囲む筒状部を備え、それらの筒状部の
内周面の途中に環状段部52が形成されている。パイプ5
0、51は、それぞれ下半部が上記筒状部の内周にOリン
グ53を介して嵌合しており、下端面が、環状段部52に当
接又は近接している。パイプ50、51の上半部は、それぞ
れOリング53、54を介して出口ダクト36及び給気マニホ
ールド45の入口壁部46の筒状内周面に嵌合しており、そ
れらの上端面が上記内周面に設けた環状段部55に当接又
は近接している。
上述の構造では、分配室壁部40をシリンダブロック20
と一体に形成したが、この構造に代えて、第9図の如
く、分配室壁部40をシリンダブロック20と別体に形成す
ることもできる。
第5図及び第7図において、分配室43の底面を形成す
る壁部56は水平に延びており、両端がシリンダ壁部25の
上下方向中間部に連続している。この壁部56はシリンダ
ブロック20の全長にわたって設けてある。第5図の如
く、両シリンダ壁部25の間において、壁部56の下側には
2個の冷却水通路60、61が垂直な隔壁62により互いに区
画された状態で設けてある。隔壁62は上端が壁部56の幅
方向中間部に連続し、下端部がクランク室壁部24の上端
部に連続している。これらの冷却水通路60、61は後端部
が入口となっており、第1図に示す如く、それらの入口
にサーモスタット64を介して冷却水が択一的に流入す
る。
サーモスタット64は壁部56(Vバンク空間の底壁)の
後部を利用して取り付けてある。サーモスタット64が設
置される室65は、冷却水通路60、61の後部の上側におい
て、シリンダブロック20に形成されており、シリンダブ
ロック20、シインダヘッド21、排気マニホールド34を冷
却した冷却水が室65に流入するようになっている。サー
モスタット64は、冷却水温度が低い場合、室65を冷却水
通路60に連通させ、冷却水温度が高い場合、室65を冷却
水通路61に連通させる。サーモスタット64とそれを上方
から覆うケースは、前記空気冷却器30の下側において、
シリンダブロック20に上方から固定されている。
第7図及び第8図の如く、上記両冷却水通路60、61の
出口側端部はシリンダブロック20の前端部近傍に位置し
ている。冷却水通路60の出口端部は、シリンダブロック
20の前端面に設けた入口孔70を介してポンプ室71に連通
している。ポンプ室71の周囲においてシリンダブロック
20の前端面には冷却水ポンプ72(第7図)のケースが固
定されている。このポンプケースとシリンダブロック20
の前端面に設けた凹部とにより前記ポンプ室71が形成さ
れている。
ポンプ室71には、前記冷却水通路60の他に、入口孔70
を介して入口孔73も接続している。入口孔73は入口孔70
からシリンダ傾斜方向に上方へ延びて隣接するシリンダ
ブロック端面に開口している。ポンプ室71の出口通路74
(第8図)はシリンダブロック20の内部に形成されてお
り、出口通路74から排出された冷却水がシリンダブロッ
ク20及びシリンンダヘッド21、排気マニホールド34の内
部の冷却水ジャケット75(第1図)を流れた後に、サー
モスタット室65へ戻るようになっている。
上記冷却水通路61の出口側端部は、出口孔80を介して
ホース81に接続している。出口孔80は、通路61から斜め
上方に延びて前記入口孔73と反対側のシリンダブロック
上端面に開口している。ホース81の出口は膨張タンク82
及び冷却水冷却器83に接続している。冷却水冷却器83は
海水により冷却水を冷却するためのもので、その出口は
ホース84を介して前記入口孔73に接続している。
上記構成によると、エンジン各部を冷却した後の冷却
水の温度が比較的低い場合、サーモスタット64は冷却水
を冷却水通路60に流入させる。従って、冷却水は冷却水
冷却器83へは送られず、冷却水通路60からポンプ室71へ
流入し、そこで加圧されてジャケット75へ送られる。冷
却水温度が高い場合、サーモスタット64は冷却水を冷却
水通路61へ送るので、冷却水はそこからホース81を介し
て膨張タンク82及び冷却水冷却器83へ送られ、冷却水冷
却器83で冷却された後にホース84から入口孔73、70を経
てポンプ室71へ送られる。
上述の如く冷却水通路60、61がシリンダブロック20の
中央上部に形成されているが、その鋳造作業を容易化す
るためには、次のような構造を採用することもできる。
すなわち、第7図の如く、壁部56の前部には比較的大き
いスリット状の砂出し用開口85が設けてあり、鋳造作業
後はその開口85が蓋86で閉鎖されている。
冷却水冷却器83の下側において、クランク軸31の前端
部には、種々の補機やカム軸101を駆動するためのタイ
ミングベルト機構が設けてある。上記タイミングベルト
機構は、2個のタイミングベルト102、103と、それらを
駆動する2個の駆動プーリー104、105(第1図)、なら
びに、それらにより駆動される複数の後述するプーリを
備えている。
駆動プーリー104はエンジンブロックの前端面に隣接
した位置においてクランク軸31に固定されており、駆動
プーリー105は駆動プーリー104の前側においてクランク
軸31に固定されている。従って、タイミングベルト102
はタイミングベルト103よりもエンジンブロックに近い
位置にある。
第1図から明らかなように、図示のエンジンはオーバ
ーヘッドバルブ型であり、従って、吸排気弁駆動用カム
軸101はシリンダヘッド21の上端部近傍をほぼエンジン
の全長にわたってクランク軸中心線Aと平行に延びてい
る。
第3図において、エンジンブロックに近いタイミング
ベルト102は両カム軸101の前端部に設けたカムプーリー
110に掛け渡されており、更に、前記冷却水ポンプ72の
入力プーリー111及びエンジンブロックの前端面中央部
に設けたアイドルプーリー112に掛け渡されている。
他方のタイミングベルト103は、クランク軸31の真上
に位置する燃料噴射ポンプ115(第1図)の入力部プー
リー116と、主軸受フレーム22(クランク室下半壁部)
の前端面左部に位置する潤滑油ポンプ117の入力プーリ
ー118等に掛け渡されている。
更にクランク軸31の左側方には発電機120と海水ポン
プ121とが配置されており、それらの入力プーリーは、
第1図の如く、Vベルト122によりクランク軸31上のプ
ーリー123に連結されている。このプーリー123は、駆動
プーリー105よりも前方において、クランク軸31の前端
部に固定されている。
Vベルト122及びプーリー123とエンジンブロックとの
間には、上述のタイミングベルト機構を覆うベルトカバ
ー130が設けてある。ベルトカバー130はタイミングベル
ト機構の前面及び周囲を覆っており、その縁部がエンジ
ンブロックに固定されている。第3図において、130aは
ベルトカバー130上縁中央部を示し、130bは上縁側部を
示し、130cは側縁を示し、130dは下縁を示している。こ
の図から明らかなように、ベルトカバー130の外周は上
記タイミングベルト及びそれらにより駆動されるプーリ
の設置範囲に比較的正確に沿う形状である。
第1図において、前述の燃料噴射ポンプ用プーリー11
6は、燃料噴射ポンプ115の入力軸に対してギヤ機構131
を介して連結されている。図示の構造では、第2図及び
第4図から明らかなように、燃料噴射ポンプ115は2台
使用されており、Vバンク空間の前部に設置されてい
る。両燃料噴射ポンプ115はエンジン幅方向に並置され
ており、第1図の如く、それらの入力軸の前端に取り付
けた入力ギヤ132が両者に共通の中間ギヤ133に連結して
いる。ギヤ133はクランク軸中心線Aと平行な軸134の後
端部に固定されている。軸134は中間部がエンジンブロ
ック上のギヤケース又はブラケット部により軸受を介し
て支持されており、その前端部に前記プーリー116が固
定されている。
上記構造ではクランク軸31の一端部(前端部)でカム
軸101や種々の補機を駆動するので、クランク軸31の複
数箇所に設けられる軸受ブッシュ135、136の内、最も前
端の軸受ブッシュ135に比較的大きい荷重が及ぼされ
る。この点を考慮して、図示の実施例では、前端部の軸
受ブッシュ135の長さがその他の軸受ブッシュ136の長さ
よりも大きく設定してあり、これにより、各軸受ブッシ
ュ135、136の面圧の均等化が図られている。
次に主軸受フレーム22及びその下側に設けられるオイ
ルパン150について説明する。第10図は第1図の主軸受
フレーム22の底面略図である。又、第11図は第10図の11
-11矢視図、第12図は第1図の12-12断面部分略図であ
る。第10図から明らかなように、主軸受フレーム22は、
エンジン中心面Cと概ね平行に延びる1対の側壁151
と、クランク軸中心線Aと概ね直角に延びる1対の(前
後の)端壁152、153と、それらの端壁と平行に延びる3
個の隔壁154とを一体に備えており、側壁151と端壁15
2、153とが主軸受フレーム22の周壁を形成している。3
個の隔壁154はそれぞれ、両端が側壁151に連続してお
り、互いにクランク軸長手方向に間隔を隔てている。
これらの隔壁154は、クランク室23(正確にはクラン
ク室下半部)を4個のクランク室部分155に区切ってい
る。第12図の如く、各隔壁154はクランク軸用の軸受ブ
ッシュ136(第1図)を支持する半円形の凹部を除い
て、上面全体が側壁151や端壁152、153の上端面と同一
平面上にあり、又、下端面も側壁151や端壁152、153の
下端面と同一平面上にある。すなわち、主軸受フレーム
22はその上端面全体が、上記軸受用凹部を除いて、単一
の平坦な平面を形成しており、下端面も全体が単一の平
面を形成している。
このように隔壁154は各クランク室部分155を前方又は
後方から完全に閉鎖するだけの広さを有しているので、
その強度は高く、従って、クランク軸31に対する隔壁15
4(従って主軸受フレーム22)の支持強度及び剛性は高
い。
このように各クランク室部分155を隔壁154で閉鎖する
ような構造を採用すると、エンジンの揺れ等によりオイ
ルパン150内のオイルレベルが隔壁154の下端よりも上昇
した場合、仮に後述する圧力逃し構造を設けない場合、
各クランク室部分155は密閉空間となる。そして、クラ
ンク室部分155の圧力は対応するピストンの往復運動等
により周期的に増加するので、そのような密閉空間とな
った場合、著しい圧力増加が生じ、クランク室部分155
内の潤滑油飛沫などが外部へ漏れる恐れがある。
そのような事態を防止するために、上記圧力逃し構造
が設けてあり、該構造は、脚状壁部160や連通孔161、ガ
ス空間162等で構成されている。脚状壁部160は側壁151
及び端壁152、153の外面に一体に設けられており、第12
図の如く、それらの上部から斜め下方へ延びて対応する
壁(側壁151、端壁152、153)との間に下方に開口した
ガス空間162を形成している。この脚状壁部160は主軸受
フレーム22の全周にわたって設けてあり、従って、ガス
空間162は主軸受フレーム22の全周にわたって延びる概
ね矩形の溝状空間を形成している。上記連通孔161はこ
のガス空間162と各クランク室部分155とを連通させるた
めに設けてあり、各クランク室部分155ごとに、いずれ
か一方の側壁151の1箇所に設けてある。この構造によ
り、特定のクランク室部分155の圧力だけが異常に増加
することを防止できる。
各クランク室部分155にはブローバイガスが流入す
る。このガスがオイルパン150内の潤滑油に混入する
と、潤滑油が劣化する。そのような事態を防止するため
に以下のような構造が採用されている。すなわち、前記
脚状壁部160の1箇所には、第12図の如く、上方へ張り
出した張出部163が設けてあり、張出部163の内部に、ガ
ス空間162に連通する空間164が形成されている。この空
間164は張出部163にボルト止めした多孔板165(第10
図)により下方から閉鎖されており、その内部に金網状
部材166を収容することによりブリーザー167が形成され
ている。空間164は、張出部163の側面の孔に取り付けた
接続パイプ168を介して外部のブローバイガス排出パイ
プ169に接続している。排出パイプ169はその出口が例え
ば大気に開放している。
前記オイルパン150はその上端周縁部が脚状壁部160の
下端にボルト止めされている。オイルパン150内の潤滑
油は吸入パイプ170(第1図)から以下のような経路を
経て潤滑油ポンプ117(第10図)へ供給される。
第10図において、吸入パイプ170(第1図)の出口が
接続する入口孔171が主軸受フレーム22の側部の前部の
下面に開口している。この入口孔171は主軸受フレーム2
2の内部をその一方の側部の前端面まで延びている。第1
0図及び第11図の如く、入口孔171は主軸受フレーム22の
前端面(取付座172)に開口して潤滑油ポンプ117の吸入
口を形成している。取付座172には潤滑油ポンプ117のポ
ンプケーシングが固定されている。入口孔171よりも内
側(クランク軸中心面C側)において、取付座172には
連通孔173の一端部が開口してポンプ吐出口を形成して
いる。
連通孔173は主軸受フレーム22の前端壁部(端壁152と
脚状壁部160との集合体)の内部を潤滑油ポンプ117側の
側部から他方の側部まで延びてその側部前端面(取付座
174)に開口している。
取付座174には潤滑油フィルター175が取り付けてあ
る。上記連通孔173の出口は潤滑油フィルター175の内部
のフィルター設置空間(ろ過処理空間)の入口に接続し
ている。連通孔173の出口、すなわち、潤滑油フィルタ
ー175の入口は、第11図の如く、環状であり、それより
も中心側にフィルター175の出口(通路孔176の入口)が
設けてある。
この構造によると、ポンプ117で加圧された潤滑油が
連通孔173を通って潤滑油フィルター175へ供給される
が、過大な油圧が潤滑油フィルター175へ供給されるこ
とを防止するために、連通孔173の途中(実施例では潤
滑油ポンプ117の近傍)に安全弁180が設けてある。第10
図の13-13断面略図である第13図の如く、安全弁180は次
のように構成されている。すなわち、連通孔173に連通
する垂直孔が主軸受フレーム22の下面に設けてあり、そ
の孔に下方から筒状ケース181が固定されている。筒状
ケース181の内周には、弁体であるボール182と、ボール
182を下方から付勢する圧縮コイルばね183と、ケース18
1の下端部に固定されてばね183を下方から支持するばね
受184とが取り付けてある。
この構造では、連通孔173内の油圧が所定値を越える
と、その油圧によりボール182が下方へ押し下げられケ
ース181とボール182の間に隙間が形成される。その隙間
を通って連通孔173内の潤滑油がオイルパン150の内部へ
逃される。
第10図の如く、通路孔176は主軸受フレーム22のフィ
ルター175側の側壁部(側壁151とそれに連続する脚状壁
部160との集合体)の内部を後端部の近傍まで延びてい
る。
通路孔176には差圧弁190と調圧装置191と潤滑油冷却
器192が併設されている。又、上記側壁部には、通路176
からその外側側面まで延びる通路孔193、194が設けてあ
る。上記差圧弁190は通路孔176の長手方向中間部に位置
しており、通路孔193と通路孔194は差圧弁190の上流側
及び下流側にそれぞれ位置している。上記側壁部の外側
側面には通路孔193、194の周囲及び両者の間において、
潤滑油冷却器192を取り付けるための取付座195(平坦
面)が設けてあり、取付座195に取り付けた潤滑油冷却
器192の内部には、通路孔193、194が直接接続してい
る。
上記差圧弁190は、潤滑油冷却器192の入口通路孔193
と出口通路孔194との間の油圧差が所定値よりも大きく
なった時に、両者間の圧力差を解消するためのもので、
それにより、潤滑油冷却器192に過大な油圧が加わるこ
とが防止される。
第10図の14-14断面略図である第14図において、上記
差圧弁190は、上端が閉鎖した筒状のピストン200と、そ
の下方に配置されるボルト状のケース201と、両者間に
配置される圧縮コイルばね202とを備えており、それら
は上記側壁部に設けた筒状のボス203の内周に取り付け
られている。図示の弁閉鎖状態において、ピストン200
の上端外周はボス203の内周に設けた環状の弁座204(段
部)に着座している。通路孔176の上流部は通路孔193か
ら差圧弁190まで概ね水平に延びており、下流側端部が
下方へ湾曲してピストン200の上端面に対向している。
通路孔176の下流側部分は、閉鎖位置にあるピストン200
の上部外周面に対向する位置に開口しており、その位置
から斜め上方へ延びて通路孔194に達している。又、ボ
ス203には、ばね202の設置空間と通路孔176の下流側部
分とをつなぐ背圧逃し通路205が設けてある。
この構造によると通路孔193の油圧が異常に高い場
合、その油圧に押されてピストン200が下方へ移動して
差圧弁190が開き、潤滑油冷却器192(第10図)へ過大な
油圧が加わることを防止できる。又以上から明らかなよ
うに、通路孔176の入口通路孔193と出口通路孔194との
間の部分は、差圧弁190により開閉されるバイパス通路
を形成している。
第10図の15-15断面部分略図である第15図の如く、前
記調圧装置191は第14図の差圧弁190と基本的に同様の弁
で構成されており、筒状ピストン210とボルト状ケース2
11と両者間に配置した圧縮コイルばね212とを鉄製の筒
状インサート213の内部に組み込んで構成されている。
インサート213は、主軸受フレーム22に設けられた筒状
のボス214内に固定されている。このボス214は通路孔17
6の近傍からエンジン幅方向外側へ延びており、ケース2
11の頭部は主軸受フレーム22の外側側面上に露出してい
る。
ピストン210は、その先端部外周がインサート213の端
部内周の環状弁座215に着座するようになっており、通
路孔176は、インサート213の先端部開口を介してピスト
ン210の先端面に対向している。ピストン210の下側にお
いて、インサート213とボス214には、排出孔216と背圧
逃し通路217が設けてある。排出孔216は、図示の閉鎖状
態にあるピストン210の外周面の下側から下方へ延びて
オイルパン150の内部空間に連通している。背圧逃し通
路217は、ばね212の設置空間から斜め下方に延びてオイ
ルパン150の内部空間に連通している。
更に、第15図から明らかなように、主軸受フレーム22
には、調圧装置191の近傍において、通路孔176から上端
面まで延びる短い油路219が設けてあり、この油路219を
介して通路孔176はシリンダブロック20内のオイルギャ
ラリーに接続している。
上記構造によると、通路孔176内の油圧が所定値より
も高くなると、その油圧によりピストン210が押されて
排出孔216が開口し、余剰潤滑油は排出孔216からオイル
パン150内へ排出される。従って、通路孔176内の油圧、
すなわち、オイルギャラリーへ供給される油圧は常に適
当な値に保たれる。
第16図は第10図の16-16矢視図、第17図、第18図はそ
れぞれ第16図の17-17及び18-18断面略図である。これら
の図において、潤滑油冷却器192は、前述の取付座195と
平行な多数の冷却板230と、それらを挟んで取付座195に
対向するプレート231とを備えている。冷却板230は、互
いに間隔を隔てて積層状態で配置されており、隣接する
2個の冷却板230の間及び取付座195とそれに隣接する冷
却板230との間にシール232、233、234が介装されてい
る。これらのシールはそれら本来の密封機能の他に、隣
接する冷却板230の間に適当な間隔を保つためのスペー
サーとしても機能している。
プレート231と接する冷却板230を除いて、各冷却板23
0の両側には潤滑油通路235と冷却水通路236が上記隙間
により形成されている。すなわち、潤滑油通路235と冷
却水通路236は交互に形成されている。シール232は、各
冷却板230の外周に沿って矩形に延びている。このシー
ル232の内側において、各冷却板230の4隅には2個の通
路孔237と2個の通路孔238とがそれぞれ対角線上に並ぶ
ように設けてある。
第17図の如く、各冷却板230において、2個の通路孔2
37の一方は前記入口通路孔193と同一直線上に並んでお
り、他方の通路孔237は出口通路孔194と同一直線上に並
んでいる。前記シール233は冷却水通路236を形成する隙
間だけに配置されており、隣接する2個の通路孔237の
間の空間を冷却水通路236に対して遮蔽している。
第18図の如く、他方のシール234は潤滑油通路235を形
成する隙間に配置されており、隣接する各2個の通路孔
238の周囲に配置されて通路孔238を潤滑油通路235に対
して遮蔽している。従って、シール234で囲まれる空間
及び通路孔238により各冷却水通路236に連通する冷却水
入口通路及び出口通路が形成されている。それらの冷却
水通路は、それぞれ、プレート231に取り付けた入口側
ホース84及び出口側ホース87に接続している。
プレート231は冷却板230の上記集合体に対して取付座
195と反対側から圧接しており、4隅が長いボルト242に
より取付座195に固定されている。個々の冷却板230には
ボルトなどの固定手段が取り付けられておらず、このボ
ルト242とプレート231とにより、冷却板230及びシール2
32、233、234は図示の組立状態に維持されている。
なお、第19図の如く、取付座195と冷却板230との間に
プレート243を設け、プレート243にボルト242を固定
し、プレート243を別のボルト244で取付座195に取り付
けることもできる。
又、第20図の如く、出口側の潤滑油通路孔194を潤滑
油冷却器192の設置範囲外に設け、潤滑油冷却器192の内
部の潤滑油出口通路を、プレート231の外面から通路孔1
94まで延びる外部接続パイプ245により接続することも
できる。
[発明の効果] 以上説明した本発明の構造によると、サーモスタット
64から冷却水ポンプ72へ至る冷却水通路60及びサーモス
タット64から冷却水冷却器83へ至る冷却水通路61の両方
をシリンダブロック20の内部に形成したので、それらの
通路を長い外部配管で形成する場合に比べ、構造の簡単
化や部品点数の低減を図り、製造コストを低減すること
ができる。
又、冷却水通路60、61は従来Vバンク空間の一部(下
部)であった部分を利用してシリンダブロック20に形成
したので、エンジン全体を小形化することができる。
更に実施例の如く、サーモスタット64の取付座やポン
プ室71に対する入口孔70、及び、該入口孔70を介してポ
ンプ室71に接続する入口孔73、ならびに、ポンプ室71の
一部分をシリンダブロック20に形成することにより、全
体構造の単純小形化をより効果的に実現できる。
更に図示の構造では、空気冷却器30をシリンダブロッ
ク20に対して第6図に関連して説明したように取り付
け、その空気冷却器30の下側にサーモスタット64を取り
付けている。この構造では、空気冷却器30をシリンダブ
ロック20から簡単に上方へ外すことができるので、サー
モスタット64の保守点検を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明実施例を採用したエンジンの断面を側方
から示す断面図、第2図は第1図のエンジンの断面を後
方から見た断面図、第3図は実施例のエンジンの正面
図、第4図は実施例のエンジンの平面図、第5図は第4
図の5−5断面部分略図、第6図は第5図の拡大部分
図、第7図はシリンダブロック単体の平面略図、第8図
は第7図の8−8矢視略図、第9図は別の実施例の断面
略図、第10図は主軸受フレームの底面略図で、第11図は
第10図の11-11矢視略図、第12図、第13図、第14図、第1
5図は、それぞれ、第1図の12-12、13-13、14-14、15-1
5断面略図、第16図は第10図の16-16矢視略図、第17図及
び第18図はそれぞれ第16図の17-17、18-18断面略図、第
19図は別の実施例の断面部分略図、第20図は更に別の実
施例の略図である。 20……シリンダブロック、25……シリンダ壁部、26……
燃焼室、32……フライホイール、56……連結壁部、60、
61……冷却水通路、62……隔壁、64……冷却水サーモス
タット、70、73……冷却水ポンプ入口孔、71……冷却水
ポンプ室、72……冷却水ポンプ、83……冷却水冷却器

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダブロックに、それぞれ複数の燃焼
    室を直列に並ぶ状態で形成する2個のシリンダ壁部を互
    いに傾斜した状態で一体に形成し、両シリンダ壁部を、
    シリンダ中心線方向における中間部において互いに一体
    に連結する連結壁部を設け、該連結壁部よりもクランク
    室側において両シリンダ壁部の間に冷却水通路空間を形
    成し、該冷却水空間をそれぞれ異なるシリンダ壁部に面
    する2個の冷却水通路に区切る隔壁を設け、上記2個の
    冷却水通路の一方により、冷却水サーモスタットから冷
    却水ポンプに至る通路を形成し、他方により冷却水サー
    モスタットから冷却水冷却器に至る通路を形成したこと
    を特徴とするV形エンジンの冷却装置。
  2. 【請求項2】上記冷却水サーモスタットを取り付けるた
    めの取付座をエンジンのフライホイール寄りの部分にお
    いてシリンダブロックに形成し、シリンダブロックの反
    フライホイール側の端面に上記冷却水ポンプを取り付
    け、冷却水ポンプのポンプ室を形成する凹部をシリンダ
    ブロックの端面に形成し、上記一方の冷却水通路と上記
    ポンプ室とをつなぐ入口孔をシリンダブロックに設け、
    上記冷却水冷却器から上記冷却水ポンプへ至る戻り通路
    の出口を上記入口孔を介して上記ポンプ室につなぐ別の
    入口孔をシリンダブロックに設けた請求項1記載のV形
    エンジンの冷却装置。
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