JP2628979B2 - 動力伝達板状体の製造方法および動力伝達板状体 - Google Patents

動力伝達板状体の製造方法および動力伝達板状体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平歯車(以下、これを
「動力伝達板状体」と言)の製造方法および動力伝達
板状体に関し、さらに詳細には外周面を所要の形状(
)に形成する切削加工工程を省くと共に、外周面の強
度を保った状態で軽量化が可能な動力伝達板状体の製造
方法および動力伝達板状体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、動力伝達板状体は、一般に金属材
を冷間または熱間鍛造して円板状に形成し、外周面を所
定の形状に切削加工し、表面硬度を上げるために浸炭焼
入れまたはメッキ処理することで製造されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の動力伝達板状体の製造方法は、熱間鍛造後に切削
装置で外周面を切削加工する工程が不可欠であり、この
加工工程により生産コストが上昇すると共に製造時間が
長くなるという課題がある。また、動力伝達板状体は単
一金属材料により形成されるため、価格が安く、軽量か
つ耐磨耗性が高い製品とするためには、これら相反する
条件を有する金属材料を使用する必要があるが、例えば
軽量化のためにアルミニウムを使用する場合には耐磨耗
性が確保できず、また軽量化および耐磨耗性を満たすチ
タンは高価である等、条件を満たす金属材料はないの
で、実現が困難であるという課題もある。従って、本発
明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするとこ
ろは、外周面の切削加工工程が省け、安価でかつ外周面
の強度を保った状態で軽量化が可能な動力伝達板状体の
製造方法および動力伝達板状体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため次の構成を備える。すなわち、周方向へ凹凸が
所定間隔で連続する波形の内周面に形成された雌型内に
金属材料を用いて前記波形に沿って湾曲して変形可能な
厚さに形成された管材を装着し、前記管材の内側に、
材よりも硬度の低い異種の金属材料で形成された棒材を
装着し、該棒材を前記雌型と雄型との間で圧縮して、棒
材および前記管材を型鍛造し、前記管材を前記雌型の内
周面形状に沿って波形に変形させると同時に前記棒材を
前記波形に形成された管材の凸部分に充填して管材と
体化させることにより、外周面が前記波形の形状に形成
された動力伝達板状体を製造することを特徴とする。こ
の製造方法によれば、外周面を構成する管材に棒材より
も硬度の高い金属材料を使用することにより、全体を硬
度の高い材料によって形成することなく、耐摩耗性の高
い動力伝達板状体を得ることができる。また、波形に形
成された管材の凸部分に棒材を充填して一体化すること
により、回動時に2つの部材が滑ったりすることがな
い。
【0005】前記管材の金属材料が炭素鋼、ステンレス
またはチタンであり、前記棒材の金属材料がアルミニウ
ムまたはマグネシウムであることを特徴とする。この場
合は動力伝達板状体の軽量化を図り、かつ耐摩耗性の高
い好適な製品として提供することができる。
【0006】動力伝達板状体として、金属材料を用いて
周方向へ凹凸が所定間隔で連続する波形に形成された
材と、該管材とは異なる管材よりも硬度の低い金属材料
で形成された棒材が、形鍛造により、前記波形に形成さ
れた管材の凸部分に充填されて前記管材と一体化されて
成ることを特徴とする。
【0007】また、前記管材の金属材料が炭素鋼、ステ
ンレスまたはチタンであり、前記棒材の金属材料がアル
ミニウムまたはマグネシウムであることを特徴とする。
【0008】
【作用】内周面が所要の形状に形成された雌型内に金属
材料を用いて形成された管材を装着し、管材の内側に、
当該管材とは異なる金属材料で管材よりも硬度の低い金
属材料を用いて形成された棒材を装着し、棒材を雌型と
雄型との間で圧縮して、棒材および管材を型鍛造すれ
ば、棒材が雌型の内周面方向へ押し延ばされて管材の内
面と全周に亘り当接し、管材はさらに押し延ばされる棒
材により雌型の内周面に押しつけられて周方向へ凹凸が
所定間隔で連続する波形に成形されると共に棒材と一体
化する。これにより管材により形成された外周面が波形
となり、その内側が棒材で充填された動力伝達板状体が
製造される。
【0009】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基
づいて詳細に説明する。 (第1実施例) まず、図1〜図5と共に、本発明に係る動力伝達板状体
の製造方法および動力伝達板状体の第1実施例について
説明する。
【0010】最初に、動力伝達板状体の製造に使用する
金型10を図1と図2を用いて説明する。12は雌型で
あり、内周面14が所要の形状に形成されている。本実
施例では、動力伝達板状体として平歯車を製造する雌型
12であるため、内周面14の形状は図2に示すよう
に、周方向(矢印方向)へ凹凸が所定間隔で連続する波
形に形成されている。16は雄型であり、雌型12と共
に型鍛造を行う金型10を構成し、不図示のプレス装置
に取り付けられて、雌型12内に装着された金属材料を
圧縮し、すえ込み加工させて所定の形状に成形すること
が可能である。なお、「すえ込み加工」とは雌型12内
に装着された金属材料を雄型16で圧縮し、その直径ま
たは幅を太くする加工法を言う。
【0011】次に、上述した金型10を使用して平歯車
18を製造する方法について説明する。製造方法は下記
の工程を含む。まず、図2に示すように雌型12内に金
属材料を用いて形成された円筒形の管材20を装着する
(工程A)。次に、図3に示すように管材20の内側
に、管材20とは異なる金属材料で形成された棒材22
を装着することで、棒材22も雌型12内に装着させる
(工程B)。
【0012】雌型12内への管材20および棒材22の
装着が完了後、雄型16を雌型12方向(矢印A方向)
へ移動させて、棒材22を金型10の雌型12と雄型1
6との間で軸方向に圧縮し、棒材22および管材20を
型鍛造する(工程C)。この型鍛造により、棒材22の
幅が広がり管材20の内面と全周に亘り当接し、その後
さらに押し延ばされて幅が広がる棒材22により管材2
0が雌型12の内周面に押しつけられて図4に示すよう
に所要の形状に成形される。本実施例では雌型12の内
周面が波形であるため、管材20も凹凸が所定間隔で連
続する波形に形成される。なお、管材20の凸部分内部
には棒材22が充填される。上述した型鍛造工程により
管材20と棒材22とは一体に成形され、図5に示すよ
うな外周面が管材20、内部が棒材22で構成された平
歯車18が成形される。
【0013】以上、本実施例の製造方法を使用すること
により、従来例と比べて、外周面を波形に切削加工して
歯部を形成する工程が省けると共に、製造時間を短縮で
きて単位時間当たりの生産量を増やすことができるので
製造コストが安くできる。また、鍛造効果により、鍛流
線が形成されて機械的な強度が向上する。また、外周面
を形成する管材20は他の平歯車やチェーン、ベルト等
と直接当接するので、棒材22と比べて硬度が高く耐磨
耗性が有る金属材料、例えば炭素鋼、ステンレスまたは
チタンを使用する方が良い。また、平歯車18を軽量化
する場合には特に棒材22はアルミニウムやマグネシウ
ム、またはそれらの合金を使用すれば良い。
【0014】(第2実施例) まず、図1および図6と共に、動力伝達板状体の製造方
法の第2実施例について説明する。なお、本実施例の製
造方法により製造される動力伝達板状体はU溝プーリで
ある。本実施例で使用される金型は第1実施例の金型1
0と略同一の構成を有し、雌型12の構造のみが異なる
ので、その雌型12の特徴点について図1と図6を用い
て下記に説明する。
【0015】第1に、本実施例ではU溝プーリを製造す
るため、雌型12の内周面形状は、中間部分が全周に亘
り内方へ突出し、その突出形状は図6に示すように断面
が円弧状となるように形成されている。なお、この断面
形状をV字形状とすれば、V溝プーリを製造することも
できる。第2に、雌型12が上記形状のため、型鍛造に
より形成されたプーリの外周面両端縁にはリブが周設さ
れることになる。従って、プーリを雌型12から取り出
すために雌型12は図1に示す2点鎖線の部分で分離可
能となっている。
【0016】次に、上述した金型10を使用してプーリ
を製造する方法について説明する。本実施例の製造工程
は、第1実施例と工程Cまで同一であり、型鍛造終了後
に、プーリを取り出すための雌型12の型開き工程(工
程D)が追加となる点のみが異なる。本実施例の製造方
法を使用することにより、外周面両端縁にはリブが周設
されたプーリが製造される。従って、第1実施例と同様
に外周面を切削加工する工程が省けるので製造コストが
安くできる。また、外周面を形成する管材20を、例え
ば炭素鋼、ステンレスまたはチタンとすることにより、
耐磨耗性を高めることができると共に、棒材22にアル
ミニウムやマグネシウム、またはそれらの合金を使用す
ることにより、軽量化が行える等、効果は第1実施例と
同様である。
【0017】また、上述した第1実施例および第2実施
例の他、雌型12の内周面形状を変えることにより、種
々の形状の動力伝達板状体を製造することができる。例
えば、雌型12の内周面14の形状を真円筒状とするこ
とにより円柱状ローラを製造することができる。また、
雌型12の内周面の少なくとも一部を凹部または凸部に
形成することにより、外周面形状が自由曲線で形成され
たカムを製造することも可能である。また特に、上述し
た平歯車18やカム等のように管材20の少なくとも一
部が凹部または凸部に形成されたものは、凹部に形成さ
れた管材20が棒材22内に食い込み、また凸部に形成
された管材20内に棒材22が進入する構造となるの
で、動力伝達時(回動時)に管材20と棒材22が滑ら
ない。
【0018】以上、本発明の好適な実施例について種々
述べてきたが、本発明は上述する実施例に限定されるも
のではなく、発明の精神を逸脱しない範囲で多くの改変
を施し得るのはもちろんである。
【0019】
【発明の効果】本発明に係る動力伝達板状体の製造方法
を用いると、外周面の切削加工工程が省けるため、動力
伝達板状体の製造コストの低減が可能となる。また、製
造にかかる時間も短縮できる。また、動力伝達板状体は
外周面を形成する管材と、その内側に充填された管材と
は異なる材料による棒材とで形成され、棒材にくらべて
硬度の高い管材を使用することにより、好適な耐摩耗性
を有する製品として得ることができる。また、外周面が
波形に形成された管材の凸部分に棒材を充填して形成す
ることにより、確実に一体化され回動時に滑りのない動
力伝達板状体を得ることができる。例えば管材に炭素
鋼、ステンレスまたはチタンを使用し、棒材にアルミニ
ウムやマグネシウム、またはそれらの合金を使用するこ
により、耐磨耗性が高く、軽量とすることが可能とな
るという著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る動力伝達板状体の製造方法に使用
する金型、管材、棒材を示す斜視図である。
【図2】第1実施例の製造方法の工程Aを示す要部拡大
図である。
【図3】第1実施例の製造方法の工程Bを示す要部拡大
図である。
【図4】第1実施例の製造方法の工程Cを示す要部拡大
図である。
【図5】第1実施例の製造方法により製造された平歯車
の構造を示す要部拡大図である。
【図6】第2実施例の製造方法に使用する雌型の構造を
示す正面断面図である。
【符号の説明】
10 金型 12 雌型 14 内周面 16 雄型 20 管材 22 棒材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−183742(JP,A) 特開 昭59−141341(JP,A) 特開 昭58−74235(JP,A) 特公 昭53−15020(JP,B2)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周方向へ凹凸が所定間隔で連続する波形
    の内周面に形成された雌型内に金属材料を用いて前記波
    形に沿って湾曲して変形可能な厚さに形成された管材を
    装着し、 前記管材の内側に、管材よりも硬度の低い異種の金属材
    料で形成された棒材を装着し、 該棒材を前記雌型と雄型との間で圧縮して、棒材および
    前記管材を型鍛造し、 前記管材を前記雌型の内周面形状に沿って波形に変形さ
    せると同時に前記棒材を前記波形に形成された管材の凸
    部分に充填して管材と一体化させることにより、外周面
    が前記波形の形状に形成された動力伝達板状体を製造す
    ることを特徴とする動力伝達板状体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記管材の金属材料が炭素鋼、ステンレ
    スまたはチタンであり、前記棒材の金属材料がアルミニ
    ウムまたはマグネシウムであることを特徴とする請求項
    1記載の動力伝達板状体の製造方法。
  3. 【請求項3】 金属材料を用いて周方向へ凹凸が所定間
    隔で連続する波形に形成された管材と、 該管材とは異なる管材よりも硬度の低い金属材料で形成
    された棒材が、形鍛造により、前記波形に形成された管
    材の凸部分に充填されて前記管材と一体化されて成るこ
    とを特徴とする動力伝達板状体。
  4. 【請求項4】 前記管材の金属材料が炭素鋼、ステンレ
    スまたはチタンであり、前記棒材の金属材料がアルミニ
    ウムまたはマグネシウムであることを特徴とする請求項
    3記載の動力伝達板状体。
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JPS59141341A (ja) * 1983-02-02 1984-08-14 Hitachi Ltd 2個の金属部材の結合方法
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