JP2628223B2 - 冷却水供給装置の膨張タンク - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この発明は、例えば電子計算機の発熱部に冷却水を供
給する冷却水供給装置に用いられる膨張タンクに関す
る。

【従来の技術】

膨張タンクは水温変動やホースの変形などによる配管
系内の水の膨張・収縮を吸収するためのもので、第３図
に従来構成を示す。ここで、第３図（Ａ）は縦断面図、
第３図（Ｂ）はその底面図である。 図において、１は円筒形のタンク本体、２は蓋板で、
タンク本体１は底板３と円筒壁４とからなっている。底
板３の周辺には円筒壁４に沿って複数の水入口パイプ５
が環状に配置され、ストレーナ６が装着された中心部の
開口７の外側には、水出口穴８を有する出口フランジ９
が円筒体10を介して取り付けられている。タンク本体１
の内部は基板２に設けられた通気栓11を介して大気に通
じている。タンク本体１内の水量は図示しない水位セン
サで監視され、水面が基準水位を挟む上、下限を越える
とアラームが発信されるようになっている。 このような構成において、水入口パイプ５はそれぞれ
別系統のループに接続され、出口フランジ９はポンプを
介して共通の冷却器に接続される。そして、各ループの
発熱部を冷却して昇温した冷却水は、第３図（Ａ）に矢
印で示したように、水入口パイプ５から膨張タンク内に
流入し、タンク上部でＵターンして互いに混合しながら
水出口穴８から流出する。冷却水の流入、流出は冷却す
る相手装置が運転中のループに限られ、運転休止中のル
ープについては水の流れも停止する。

【発明が解決しようとする課題】

従来の上記膨張タンクは、水入口パイプ５から取り入
れられた各ループの水が、矢印で示したルートから分か
るようにそれぞれ一まとまりになって垂直に上昇し、そ
のままＵターンして互いに平行に下降した後、水出口穴
８から出て行く構造になっている。そのため、次のよう
な問題点があった。 （１） 各ループの水が互いに干渉し合うことが少なく
混合が不十分で、特に少数ループ運転時に水温の分布が
均一にならない。 （２） 水面に向かう水流が強いため水面が波立ち、特
に最大ループ運転時には激流により波立ち音が大きくな
るとともに、フロート式水位センサを使用した場合にチ
ャタリングが発生する。 この発明は、このような問題に対処するもので、タン
ク内での混合を良好にして水温分布の均一化を図るとと
もに、水面の波立ちを抑えるようにした冷却水供給装置
の膨張タンクを提供することを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】

この発明は、タンク本体の底板と円筒壁との間に跨が
らせて、多数の通水穴をあけた環状の整流板を水入口パ
イプに被さるように斜めに取り付け、前記通水穴を通過
させて前記タンク本体の中心に向かって斜めに上昇させ
た細流を互いに衝突させるものである。 整流板は平板状でもよいが、円周方向に扇子状に屈曲
させて多数の山形を形成させたり、整流板にあける通水
穴の方向を互いに交差させるようにすれば効果が一層大
きくなる。

【作 用】

整流板は水入口パイプから流入した水を多数の細流に
分割し、かつ異なるループ同志の水を互いに衝突させて
運動エネルギを減殺させる。したがって、混合が良好と
なって水温分布が均一化するとともに、整流板からの水
は直接水面に向かわないため、水面の泡立ちが少なくな
る。

【実施例】

以下、図に基づいてこの考案の実施例を説明する。な
お、従来例と同一部分には同一の符号を付け説明を省略
する。 第１図はこの発明の実施例の縦断面図で、図示膨張タ
ンクには、底板３と円筒壁４との間に跨がって、多数の
通水穴12があいた環状の整流板13が溶接により取り付け
られている。この整流板13は水入口パイプ５に被さって
おり、水入口パイプ５から流入した水は、底板３、円筒
壁４及び整流板13で囲われた断面三角形の環状空間14に
いったん入り、次いで通水穴12を通過して細流に分割さ
れる。 通水穴12を通過した細流は図に矢印で示すような仰角
でタンク本体の中心に向かって斜めに上昇し、ここで互
いに衝突した後、一部は水面付近でＵターンし、他はそ
のまま下降して水出口穴８から流出する。 このような構成によれば、水入口パイプ５から流入し
た各ループの水にあたかも如雨露のような作用をする整
流板13で細かい水流に分割され、かつ異なるループ同志
で互いに衝突させられるので、一部分の水入口パイプ５
から水が流入する少数ループ運転の際にも混合が促進さ
れて水温の分布が均一になる。また、整流板13を経た水
は直接水面に向かわず、互いに衝突して運動エネルギが
減殺された後に一部が水面付近を巡るだけなので、すべ
て水入口パイプ５から水が流入する最大ループ運転の際
にも水面の波立ちは小さく、波立ち音やフロートスイッ
チのチャタリングの発生がなくなる。 第１図の実施例では整流板13は平板状で、通水穴12は
互いに平行にあけられているが、第２図に示すように整
流板13を円周方向に扇子状に屈曲させたり、通水穴12の
方向を互いに交差させるように変化させれば、細流同志
の衝突をより盛んにして混合を一層促進することができ
る。

【発明の効果】

この発明によれば、タンク内に流入した各ループの水
が細かく分割され、かつ異なるループ同志の水が互いに
衝突させられるので、少数ループ運転の際にも水温が均
一化するとともに、最大ループ運転の際にも波立ち音な
どの異常音やフロートスイッチのチャタリングが生じな
くなる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例の縦断面図、第２図は第１図
における整流板の異なる実施例を示す斜視図、第３図
（Ａ）は従来例の縦断面図、第３図（Ｂ）はその底面図
である。 １……タンク本体、３……底板、４……円筒壁、５……
水入口パイプ、８……水出口穴、12……通水穴、13……
整流板。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 久 神奈川県川崎市川崎区田辺新田１番１号 富士電機株式会社内 (56)参考文献 実開 昭53−30002（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒形のタンク本体の底板の周辺に複数の
   水入口パイプが環状に配置され、これらの水入口パイプ
   から流入させた冷却水を前記タンク本体内で混合して前
   記底板の中心部から流出させる冷却水供給装置の膨張タ
   ンクにおいて、前記タンク本体の底板と円筒壁との間に
   跨がらせて、多数の通水穴をあけた環状の整流板を水入
   口パイプに被さるように斜めに取り付け、前記通水穴を
   通過させて前記タンク本体の中心に向かって斜めに上昇
   させた細流を互いに衝突させたことを特徴とする冷却水
   供給装置の膨張タンク。