JP2627896B2 - ミリスチル化合物,その製法及び用途 - Google Patents
ミリスチル化合物,その製法及び用途Info
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- JP2627896B2 JP2627896B2 JP62126384A JP12638487A JP2627896B2 JP 2627896 B2 JP2627896 B2 JP 2627896B2 JP 62126384 A JP62126384 A JP 62126384A JP 12638487 A JP12638487 A JP 12638487A JP 2627896 B2 JP2627896 B2 JP 2627896B2
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Description
【発明の詳細な説明】 本発明はミリスチルグリシン残基を有するアミノ酸及
びペプチド、これらの製法並びに用途、殊に上記のアミ
ノ酸又はペプチドを有効成分とするウイルス感染細胞の
形質転換またはウイルス増殖抑制剤に関するものであ
る。
びペプチド、これらの製法並びに用途、殊に上記のアミ
ノ酸又はペプチドを有効成分とするウイルス感染細胞の
形質転換またはウイルス増殖抑制剤に関するものであ
る。
発明の背景および従来技術 一般に、タンパク質のアミノ末端はアセチル基、ピロ
グルタミル基およびホルミル基によってブロックされて
いることは知られているが、さらに庄司(本発明者の1
人)等は、cAMP−依存性プロテインキナーゼの触媒サブ
ユニットにおいてそのアミノ末端に共有結合しているミ
リスチン酸(長鎖脂肪酸)を見い出している(Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,Vol.79,6123−6131,1982)。このミリ
スチル末端タンパク質はそのアミノ酸配列が であるとされ、その後、次の如き各種タンパク質におい
ても末端ミリスチル基の存在が相次いで報告されてい
る。
グルタミル基およびホルミル基によってブロックされて
いることは知られているが、さらに庄司(本発明者の1
人)等は、cAMP−依存性プロテインキナーゼの触媒サブ
ユニットにおいてそのアミノ末端に共有結合しているミ
リスチン酸(長鎖脂肪酸)を見い出している(Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,Vol.79,6123−6131,1982)。このミリ
スチル末端タンパク質はそのアミノ酸配列が であるとされ、その後、次の如き各種タンパク質におい
ても末端ミリスチル基の存在が相次いで報告されてい
る。
カルシニューリン B: (A.Aitkan et al,FEBS LETTERS,Vol.150,No.2,314−31
8,1982) NADH−シトクロムb5レダクターゼ: (J.Dzols et al,The Journal of Biological Chemistr
y,Vol.259,No.21,13349−13354,1984) また、一部のウイルスの構成蛋白質のなかでも同様に
アミノ末端がミリスチル化されているものがあることが
最近報告されている。最も新しい報告の中では、アカゲ
ザル腎細胞由来のポリオーマウイルスとしてよく知られ
ているSV40ウイルス(Simian Virus40)の主な構成蛋白
であるVP2においてそのアミノ末端がミリスチル化され
ていることが報告されている(Streuli et al.Nature V
ol.326 619−622,1987)。特に、ウイルスの中でも最近
注目されているレトロウイルスの構成蛋白質に関するミ
リスチル化については、本発明者ら等によりいくつか報
告されている。レトロウイルスとは、今日非常に注目さ
れている成人T細胞白血病(ATL)や、後天性免疫不全
症候群(AIDS;エイズ)を引き起こす原因となるウイル
ス属であり、今日ではこのウイルスに関する研究は、世
界各国で盛んに研究されている。本発明者らもこのレト
ロウイルスに属するラウス肉腫ウイルス(RSV)に関す
るミリスチル化についてこれまで研究を行ってきた。下
記の報告は、このRSVの持つ遺伝子産物であるプロテイ
ンキナーゼ p60srcにおけるミリスチル化に関するもの
である。
8,1982) NADH−シトクロムb5レダクターゼ: (J.Dzols et al,The Journal of Biological Chemistr
y,Vol.259,No.21,13349−13354,1984) また、一部のウイルスの構成蛋白質のなかでも同様に
アミノ末端がミリスチル化されているものがあることが
最近報告されている。最も新しい報告の中では、アカゲ
ザル腎細胞由来のポリオーマウイルスとしてよく知られ
ているSV40ウイルス(Simian Virus40)の主な構成蛋白
であるVP2においてそのアミノ末端がミリスチル化され
ていることが報告されている(Streuli et al.Nature V
ol.326 619−622,1987)。特に、ウイルスの中でも最近
注目されているレトロウイルスの構成蛋白質に関するミ
リスチル化については、本発明者ら等によりいくつか報
告されている。レトロウイルスとは、今日非常に注目さ
れている成人T細胞白血病(ATL)や、後天性免疫不全
症候群(AIDS;エイズ)を引き起こす原因となるウイル
ス属であり、今日ではこのウイルスに関する研究は、世
界各国で盛んに研究されている。本発明者らもこのレト
ロウイルスに属するラウス肉腫ウイルス(RSV)に関す
るミリスチル化についてこれまで研究を行ってきた。下
記の報告は、このRSVの持つ遺伝子産物であるプロテイ
ンキナーゼ p60srcにおけるミリスチル化に関するもの
である。
プロテインキナーゼp60src: (A.M.Schultz et al,Science,Vol.227,427−429,198
5) また最近、後天性免疫不全症候群(エイズ)の原因ウ
イルスとされているHTLV−III/LAVの構成蛋白質のミリ
スチル化についても報告されている。この報告ではエイ
ズウイルスの主な構成蛋白質であるgag蛋白質のアミノ
末端にミリスチル化が起こっていることを示している。
(Sarngadharan et al.Ann.Inst.Pastuer/Virol.138,13
3−166 1987;International Con−ference on AIDS,Par
is,June 23−25,1986) 上記各アミノ酸配列に示されるように、これらの報告
においては、ミリスチル基、即ち、CH3−(CH2)12−CO
−基は、アミノ末端グリシン残基に結合していることが
明らかにされている。しかしながら、これらの報告は、
いずれもウイルス構成タンパク質の構造的解析の観点か
らミリスチル化を説明しているにすぎず、そのような構
造とウイルス感染細胞の形質転換あるいはウイルス増殖
との関係については何ら言及していない。
5) また最近、後天性免疫不全症候群(エイズ)の原因ウ
イルスとされているHTLV−III/LAVの構成蛋白質のミリ
スチル化についても報告されている。この報告ではエイ
ズウイルスの主な構成蛋白質であるgag蛋白質のアミノ
末端にミリスチル化が起こっていることを示している。
(Sarngadharan et al.Ann.Inst.Pastuer/Virol.138,13
3−166 1987;International Con−ference on AIDS,Par
is,June 23−25,1986) 上記各アミノ酸配列に示されるように、これらの報告
においては、ミリスチル基、即ち、CH3−(CH2)12−CO
−基は、アミノ末端グリシン残基に結合していることが
明らかにされている。しかしながら、これらの報告は、
いずれもウイルス構成タンパク質の構造的解析の観点か
らミリスチル化を説明しているにすぎず、そのような構
造とウイルス感染細胞の形質転換あるいはウイルス増殖
との関係については何ら言及していない。
本発明者らはレトロウイルスの一種であるラウス肉腫
ウイルス(RSV)を用い、レトロウイルスにおけるミリ
スチル化について様々な研究を行ってきた。その過程に
おいて、ミリスチルグリシンおよびそのオリゴペプチド
誘導体を合成し、そのウイルス増殖抑制効果等について
検討し、これらの物質にウイルス感染した細胞の形質転
換抑制効果があることを確認し先に特許出願している特
願昭61−257823明細書(特開昭63−146851公報)。すな
わち、この先の出願において本発明者等は、RSV遺伝子
産物のアミノ末端ミリスチル基の生物学的解析に有用と
思われるミリスチルグリシンおよびそのペプチド誘導体
(即ち、ミリスチルグリシルオリゴペプチド)の新規か
つ有効な合成方法を開発すると共に、さらにこれら合成
したミリスチルグリシンまたはそのオリゴペプチド誘導
体がウイルスの感染細胞においてその形質転換に対し抑
制効果があることを見い出している。
ウイルス(RSV)を用い、レトロウイルスにおけるミリ
スチル化について様々な研究を行ってきた。その過程に
おいて、ミリスチルグリシンおよびそのオリゴペプチド
誘導体を合成し、そのウイルス増殖抑制効果等について
検討し、これらの物質にウイルス感染した細胞の形質転
換抑制効果があることを確認し先に特許出願している特
願昭61−257823明細書(特開昭63−146851公報)。すな
わち、この先の出願において本発明者等は、RSV遺伝子
産物のアミノ末端ミリスチル基の生物学的解析に有用と
思われるミリスチルグリシンおよびそのペプチド誘導体
(即ち、ミリスチルグリシルオリゴペプチド)の新規か
つ有効な合成方法を開発すると共に、さらにこれら合成
したミリスチルグリシンまたはそのオリゴペプチド誘導
体がウイルスの感染細胞においてその形質転換に対し抑
制効果があることを見い出している。
発明の目的 本発明者等は、以上のような事実に基づき、ウイルス
感染細胞の形質転換またはウイルス増殖を抑制すること
ができる物質を得る目的で、レトロウイルス遺伝子産物
におけるミリスチル化について更に研究を重ねた。その
結果、既述の特願昭61−257823明細書(特開昭63−1468
51公報)に開示されているミリスチルグリシン及びミリ
スチルグリシン残基を有するオリゴペプチドがレトロウ
イルスの増殖抑制に有効であることを再確認すると共
に、ミリスチルグリシン残基を有する他のアミノ酸及び
ペプチドもレトロウイルスの増殖抑制作用を発揮するこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
感染細胞の形質転換またはウイルス増殖を抑制すること
ができる物質を得る目的で、レトロウイルス遺伝子産物
におけるミリスチル化について更に研究を重ねた。その
結果、既述の特願昭61−257823明細書(特開昭63−1468
51公報)に開示されているミリスチルグリシン及びミリ
スチルグリシン残基を有するオリゴペプチドがレトロウ
イルスの増殖抑制に有効であることを再確認すると共
に、ミリスチルグリシン残基を有する他のアミノ酸及び
ペプチドもレトロウイルスの増殖抑制作用を発揮するこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
発明の構成および効果 本発明によるミリスチル化合物はアミノ末端にミリス
チルグリシン残基を有し且つカルボキシ末端にアルデヒ
ド基を有していることを特徴としている。
チルグリシン残基を有し且つカルボキシ末端にアルデヒ
ド基を有していることを特徴としている。
本発明によるミリスチル化合物(アミノ酸及びペプチ
ド)がウイルス、殊にレトロウイルスに感染した細胞の
形質転換や該ウイルスの増殖を抑制する作用機序につい
ては明確にはなっていないが、ウイルス構成蛋白のアミ
ノ末端グリシン残基のミリスチル化はウイルス増殖にお
けるウイルス形成、もしくはウイルス感染細胞における
ウイルス遺伝子産物の合成に重要な役割を担っており、
本発明によるミリスチル化合物は、該化合物に特徴的な
ミリスチル基によってウイルス構成蛋白のミリスチル化
を阻害するものと考えられ、更にミリスチルグリシン残
基を含むアミノ酸又はペプチドによってウイルス遺伝子
産物のミリスチル化を特異的に抑制することができるも
のと考えられる。
ド)がウイルス、殊にレトロウイルスに感染した細胞の
形質転換や該ウイルスの増殖を抑制する作用機序につい
ては明確にはなっていないが、ウイルス構成蛋白のアミ
ノ末端グリシン残基のミリスチル化はウイルス増殖にお
けるウイルス形成、もしくはウイルス感染細胞における
ウイルス遺伝子産物の合成に重要な役割を担っており、
本発明によるミリスチル化合物は、該化合物に特徴的な
ミリスチル基によってウイルス構成蛋白のミリスチル化
を阻害するものと考えられ、更にミリスチルグリシン残
基を含むアミノ酸又はペプチドによってウイルス遺伝子
産物のミリスチル化を特異的に抑制することができるも
のと考えられる。
本発明の好ましい態様であるミリスチルグリシナール
またはそのオリゴペプチド誘導体のなかで、ウイルス増
殖抑制効果の高い好ましい構造としては、比較的分子量
の小さいものが好ましい。その一例としては本発明の最
も基本的な構造からなるミリスチルグリシナールを初
め、またそのオリゴペプチド誘導体としてはペプチド中
にアミノ酸を2残基から4残基程度含んだ比較的短いオ
リゴペプチド誘導体があげられる。本発明のオリゴペプ
チド誘導体の中でミリスチル基に結合するアミノ酸配列
は、ウイルス感染細胞の形質転換またはウイルス増殖抑
制剤として用いる場合の対象となるウイルスに応じて、
好ましい配列を選択することが可能である。すなわち、
対象となるウイルスに応じた本発明のオリゴペプチド誘
導体のアミノ酸配列は、ウイルス遺伝子産物のうちミリ
スチル化を受けると考えられる蛋白のアミノ酸配列等か
ら特異的なアミノ酸配列を類推することも可能である。
例えば、本発明者らが実験の対象としたRSVにおけるp60
srcのミリスチル化を受ける蛋白質のアミノ酸配列は (Myr−)Gly−Ser−Ser−Lys−Ser− であることからRSVを対象としたウイルス感染細胞の形
質転換またはウイルス増殖抑制剤では、このアミノ酸配
列に応じたアミノ酸を必要に応じミリスチルグリシンに
結合させ、本発明のミリスチルグリシルペプチドまたは
その誘導体を得る。
またはそのオリゴペプチド誘導体のなかで、ウイルス増
殖抑制効果の高い好ましい構造としては、比較的分子量
の小さいものが好ましい。その一例としては本発明の最
も基本的な構造からなるミリスチルグリシナールを初
め、またそのオリゴペプチド誘導体としてはペプチド中
にアミノ酸を2残基から4残基程度含んだ比較的短いオ
リゴペプチド誘導体があげられる。本発明のオリゴペプ
チド誘導体の中でミリスチル基に結合するアミノ酸配列
は、ウイルス感染細胞の形質転換またはウイルス増殖抑
制剤として用いる場合の対象となるウイルスに応じて、
好ましい配列を選択することが可能である。すなわち、
対象となるウイルスに応じた本発明のオリゴペプチド誘
導体のアミノ酸配列は、ウイルス遺伝子産物のうちミリ
スチル化を受けると考えられる蛋白のアミノ酸配列等か
ら特異的なアミノ酸配列を類推することも可能である。
例えば、本発明者らが実験の対象としたRSVにおけるp60
srcのミリスチル化を受ける蛋白質のアミノ酸配列は (Myr−)Gly−Ser−Ser−Lys−Ser− であることからRSVを対象としたウイルス感染細胞の形
質転換またはウイルス増殖抑制剤では、このアミノ酸配
列に応じたアミノ酸を必要に応じミリスチルグリシンに
結合させ、本発明のミリスチルグリシルペプチドまたは
その誘導体を得る。
本発明者らによるこれまでの研究から、レトロウイル
スを対象とした場合の、本発明の物質の好ましい形態の
一例として次の様な配列が挙げられる。
スを対象とした場合の、本発明の物質の好ましい形態の
一例として次の様な配列が挙げられる。
1)Myr−Glycinal 2)Myr−Gly−Glycinal 3)Myr−Gly−Gly−Glycinal 4)Myr−Gly−Ser−Glycinal 5)Myr−Gly−Ala−Glycinal (Myr−はアミノ酸にペプチド結合したミリスチル基を
示す。) 1)、2)および3)のミリスチル化合物は特定のウ
イルスに限らず広く一般に有効であり、4)のペプチド
は本発明者らが実験対象としたRSVに対して特に有効で
ある。また、5)のミリスチル化合物はヒトレトロウイ
ルスのうちHTLV III/LAVのgag蛋白質に応じた配列てあ
る。
示す。) 1)、2)および3)のミリスチル化合物は特定のウ
イルスに限らず広く一般に有効であり、4)のペプチド
は本発明者らが実験対象としたRSVに対して特に有効で
ある。また、5)のミリスチル化合物はヒトレトロウイ
ルスのうちHTLV III/LAVのgag蛋白質に応じた配列てあ
る。
本発明は、さらにウイルス感染細胞の形質転換または
ウイルス増殖抑制剤となるミリスチル化合物の製造方法
を提供する。
ウイルス増殖抑制剤となるミリスチル化合物の製造方法
を提供する。
以下、ミリスチルグリシナールおよびそのオリゴペプ
チド誘導体の製造方法について詳細に説明する。
チド誘導体の製造方法について詳細に説明する。
本発明のミリスチルグリシナールおよびそのオリゴペ
プチド誘導体の合成に使用するミリスチン酸クロリドは
市販のミリスチン酸から通常の方法で調製したものを用
いることができる。またミリスチルアミノ酸の酸塩化
物、特にミリスチルグリシルクロリド、またはミリスチ
ルペプチジルクロリドを調製する場合もこのミリスチン
酸に通常の方法、例えば酸−クロリド法等で必要なアミ
ノ酸を結合させることによって容易に目的とするミリス
チルアミノ酸またはミリスチルペプチドを調製すること
ができる。もちろん市販のもので目的のミリスチルアミ
ノ酸、またはミリスチルペプチドが入手できれば、これ
らを使用することもできる。
プチド誘導体の合成に使用するミリスチン酸クロリドは
市販のミリスチン酸から通常の方法で調製したものを用
いることができる。またミリスチルアミノ酸の酸塩化
物、特にミリスチルグリシルクロリド、またはミリスチ
ルペプチジルクロリドを調製する場合もこのミリスチン
酸に通常の方法、例えば酸−クロリド法等で必要なアミ
ノ酸を結合させることによって容易に目的とするミリス
チルアミノ酸またはミリスチルペプチドを調製すること
ができる。もちろん市販のもので目的のミリスチルアミ
ノ酸、またはミリスチルペプチドが入手できれば、これ
らを使用することもできる。
ここで使用するミリスチルペプチドとして好ましいも
のとしては、ミリスチル基にアミノ酸が1残基もしくは
2残基がペプチド結合したものがあげられる。
のとしては、ミリスチル基にアミノ酸が1残基もしくは
2残基がペプチド結合したものがあげられる。
一方、アミノアセトアルデヒドジエチルアセタール
は、市販のものを適当な濃度に調製して使用することが
できる。
は、市販のものを適当な濃度に調製して使用することが
できる。
本発明で触媒として使用するアルカリには、任意の適
当なアルカリ、例えばNaHCO3、Na2CO3、NaOH、Na3PO4等
があり、これらは反応溶媒中において約0.1〜1.0モル濃
度好ましくは0.3〜0.6モル濃度で使用する。
当なアルカリ、例えばNaHCO3、Na2CO3、NaOH、Na3PO4等
があり、これらは反応溶媒中において約0.1〜1.0モル濃
度好ましくは0.3〜0.6モル濃度で使用する。
本発明において目的のミリスチルグリシナールまたは
そのオリゴペプチド誘導体を得るための重要なファクタ
ーである極性溶媒としては、アセトニトリル、プロピオ
ニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が使用
できる。ただし、アルコール類は同じ極性溶媒である
が、ミリスチン類クロリドに対し活性であるので本発明
においては使用しない。即ち、本発明で使用する極性溶
媒は各出発反応物質に対して不活性であることが条件で
ある。好ましい極性溶媒にはニトリル系溶媒特にアセト
ニトリルである。使用する極性溶媒は100%の形でも反
応溶媒として使用できるが、好ましいのは、水と混合し
た水性溶媒の形であり、水に対し極性溶媒を約10〜70重
量%好ましくは20〜50重量%存在させた形で使用する。
そのオリゴペプチド誘導体を得るための重要なファクタ
ーである極性溶媒としては、アセトニトリル、プロピオ
ニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が使用
できる。ただし、アルコール類は同じ極性溶媒である
が、ミリスチン類クロリドに対し活性であるので本発明
においては使用しない。即ち、本発明で使用する極性溶
媒は各出発反応物質に対して不活性であることが条件で
ある。好ましい極性溶媒にはニトリル系溶媒特にアセト
ニトリルである。使用する極性溶媒は100%の形でも反
応溶媒として使用できるが、好ましいのは、水と混合し
た水性溶媒の形であり、水に対し極性溶媒を約10〜70重
量%好ましくは20〜50重量%存在させた形で使用する。
これらの反応としては、通常の方法たとえば酸−クロ
リド法等により行うことができる。すなわち、一般に攪
拌条件下室温またはそれ以下の温度で反応を行うことが
でき、反応時間は約6〜20時間である。反応終了後得ら
れた生成物はエーテル等による抽出、アルコール等によ
る再結晶等通常の精製処理を施すことによって高純度品
として得ることができる。好ましい反応の一例として挙
げれば、アミノアセトアルデヒドジエチルアセタールを
適当な緩衝液に溶解した溶液をミリスチン酸クロリド、
ミリスチルグリシルクロリドまたはミリスチルペプチジ
ルクロリドのアセトニトリル溶液に添加し反応させ、反
応終了後エーテル等により抽出したのち熱エタノール等
により再結晶化したミリスチルグリシナールジエチルア
セタール、ミリスチルグリシルグリシナールジエチルア
セタールまたはミリスチルペプチジルグリシナールジエ
チルアセタールを得る。
リド法等により行うことができる。すなわち、一般に攪
拌条件下室温またはそれ以下の温度で反応を行うことが
でき、反応時間は約6〜20時間である。反応終了後得ら
れた生成物はエーテル等による抽出、アルコール等によ
る再結晶等通常の精製処理を施すことによって高純度品
として得ることができる。好ましい反応の一例として挙
げれば、アミノアセトアルデヒドジエチルアセタールを
適当な緩衝液に溶解した溶液をミリスチン酸クロリド、
ミリスチルグリシルクロリドまたはミリスチルペプチジ
ルクロリドのアセトニトリル溶液に添加し反応させ、反
応終了後エーテル等により抽出したのち熱エタノール等
により再結晶化したミリスチルグリシナールジエチルア
セタール、ミリスチルグリシルグリシナールジエチルア
セタールまたはミリスチルペプチジルグリシナールジエ
チルアセタールを得る。
このようにして得られたミリスチルグリシナールジエ
チルアセタール、またはアルデヒド化されたミリスチル
ペプチドのジエチルアセタール化物をトリフルオロ酢酸
により処理し、本発明のミリスチルグリシナールまたは
アルデヒド化されたミリスチルペプチドを得る。しかし
ながらアルデヒド化されたこれらのミリスチル化合物は
不安定であるために、アルデヒド基を通常はアセタール
基で保護し、使用する直前にこのアセタール基を上記の
反応により取り除くことが必要である。
チルアセタール、またはアルデヒド化されたミリスチル
ペプチドのジエチルアセタール化物をトリフルオロ酢酸
により処理し、本発明のミリスチルグリシナールまたは
アルデヒド化されたミリスチルペプチドを得る。しかし
ながらアルデヒド化されたこれらのミリスチル化合物は
不安定であるために、アルデヒド基を通常はアセタール
基で保護し、使用する直前にこのアセタール基を上記の
反応により取り除くことが必要である。
かくして得られたミリスチルグリシナールまたはその
オリゴペプチド誘導体はウイルスの増殖抑制効果、特に
レトロウイルスの増殖抑制効果にすぐれている。本発明
者等は、レトロウイルスの一種である、温度によって著
しく形態の変わるラウス肉腫ウイルス(RSVの温度変異
株tsNY68)感染線維芽細胞(tsNY68感染ニワトリ線維芽
細胞は41℃で正常細胞、37℃でがん細胞に形質転換し、
41℃で再び正常細胞に戻る機能を備えている。)を用い
て、その細胞の形質転換に対して本発明のミリスチルグ
リシナールおよびそのオリゴペプチド誘導体が与える影
響を調べた。またこれと同時に比較実験としてミリスチ
ル基(炭素数14)以外のラウリル基(炭素数12)、パル
ミチル基(炭素数16)およびステアリル基(炭素数18)
を持つグリシナール誘導体についてもウイルス増殖抑制
効果を調べた。この結果、ミリスチル基以外のラウリル
基、パルミチル基およびステアリル基を持つグリシナー
ル誘導体にはほとんどウイルス感染細胞の形質転換抑制
効果がなかったのに対し、ミリスチル基を持つ本発明の
グリシナール誘導体はレトロウイルスの増殖過程を著し
く抑制することが判った。この場合のミリスチルグリシ
ナール及びそのペプチド誘導体のレトロウイルス感染細
胞の形質転換又はウイルス増殖抑制剤としての添加量
は、感染細胞(107cell)に対し、5〜50μmol程度であ
れば十分である。
オリゴペプチド誘導体はウイルスの増殖抑制効果、特に
レトロウイルスの増殖抑制効果にすぐれている。本発明
者等は、レトロウイルスの一種である、温度によって著
しく形態の変わるラウス肉腫ウイルス(RSVの温度変異
株tsNY68)感染線維芽細胞(tsNY68感染ニワトリ線維芽
細胞は41℃で正常細胞、37℃でがん細胞に形質転換し、
41℃で再び正常細胞に戻る機能を備えている。)を用い
て、その細胞の形質転換に対して本発明のミリスチルグ
リシナールおよびそのオリゴペプチド誘導体が与える影
響を調べた。またこれと同時に比較実験としてミリスチ
ル基(炭素数14)以外のラウリル基(炭素数12)、パル
ミチル基(炭素数16)およびステアリル基(炭素数18)
を持つグリシナール誘導体についてもウイルス増殖抑制
効果を調べた。この結果、ミリスチル基以外のラウリル
基、パルミチル基およびステアリル基を持つグリシナー
ル誘導体にはほとんどウイルス感染細胞の形質転換抑制
効果がなかったのに対し、ミリスチル基を持つ本発明の
グリシナール誘導体はレトロウイルスの増殖過程を著し
く抑制することが判った。この場合のミリスチルグリシ
ナール及びそのペプチド誘導体のレトロウイルス感染細
胞の形質転換又はウイルス増殖抑制剤としての添加量
は、感染細胞(107cell)に対し、5〜50μmol程度であ
れば十分である。
以下、実施例に従って本発明をさらに詳細に説明す
る。
る。
実施例1:ミリスチルグリシナールの調製 ミリスチン酸(CH3(CH2)12−COOH)1gを試験管に入
れ、オキサリルクロリド3mlを加えて酸−クロリド化を
行う。室温で一夜放置し、十分に反応を行った。反応終
了後、過剰のオキサリルクロリドを減圧下で除去し、ミ
リスチン酸クロリドを得た。0.5M NaHCO3溶液20mlにア
ミノアセトアルデヒドジエチルアセタール3〜5ml、23
〜35m molを加えた溶液にミリスチン酸クロリドのアセ
トニトリル溶液5ml(2.3〜3.5m mol)を激しく攪拌しな
がら滴下して加え、攪拌を続けながら室温(約20℃前
後)で一夜放置した。この反応液をエーテル(20ml)で
3回抽出し、エーテル層を1N HCl10mlで3〜5回洗浄し
た。エーテル層を蒸発乾固したあと、得られた粉末状固
体を熱エタノールで3回再結晶し、針状結晶のミリスチ
ルグリシナールジエチルアセタール600mgを得た。この
結晶の融点は、マイクロメルティングポイントメーター
(柳本製作所製)で測定した場合、約65〜67℃であっ
た。このミリスチルグリシナールジエチルアセタール1m
gをトリフルオロ酢酸(TFA)100μに溶解し、37℃で
一夜放置し、アルデヒド基の保護基であるジエチルアセ
タール基を除き、過剰のTFAおよび反応により生じたエ
タノールを減圧下にて除去することによりミリスチルグ
リシナール(Myr−Glycinal)を得た。
れ、オキサリルクロリド3mlを加えて酸−クロリド化を
行う。室温で一夜放置し、十分に反応を行った。反応終
了後、過剰のオキサリルクロリドを減圧下で除去し、ミ
リスチン酸クロリドを得た。0.5M NaHCO3溶液20mlにア
ミノアセトアルデヒドジエチルアセタール3〜5ml、23
〜35m molを加えた溶液にミリスチン酸クロリドのアセ
トニトリル溶液5ml(2.3〜3.5m mol)を激しく攪拌しな
がら滴下して加え、攪拌を続けながら室温(約20℃前
後)で一夜放置した。この反応液をエーテル(20ml)で
3回抽出し、エーテル層を1N HCl10mlで3〜5回洗浄し
た。エーテル層を蒸発乾固したあと、得られた粉末状固
体を熱エタノールで3回再結晶し、針状結晶のミリスチ
ルグリシナールジエチルアセタール600mgを得た。この
結晶の融点は、マイクロメルティングポイントメーター
(柳本製作所製)で測定した場合、約65〜67℃であっ
た。このミリスチルグリシナールジエチルアセタール1m
gをトリフルオロ酢酸(TFA)100μに溶解し、37℃で
一夜放置し、アルデヒド基の保護基であるジエチルアセ
タール基を除き、過剰のTFAおよび反応により生じたエ
タノールを減圧下にて除去することによりミリスチルグ
リシナール(Myr−Glycinal)を得た。
実施例2: 実施例1においてミリスチン酸の代わりにミリスチル
グリシン(Myr−Gly)、ミリスチルジグリシン(Myr−G
ly−Gly)、ミリスチルグリシルセリン(Myr−Gly−Se
r)を用い、実施例1と同様にしてそれぞれ次の3種の
結晶生成物を得た。また、実施例1の場合と同様に最終
産物のジエチルアセタール化物の融点を測定し、下記に
示した。尚、使用したオリゴペプチドはいずれも(財)
ペプチド研究所(大阪)より市販品として入手した。生成物 融 点 Myr−Gly−Glycinal 110〜116℃ Myr−Gly−Gly−Glycinal 103〜105℃ Myr−Gly−Ser−glycinal 106〜108℃ (融点は、左記の化合物のジエチルアセタール化物の融
点を示す。) 実施例3: 比較参考実験として、アミノ末端のミリスチル基の代
わりに炭素鎖の長さの異なる他の脂肪酸を持つオリゴペ
プチドを調製した。すなわち実施例2のミリスチルグリ
シルセリンの代わりにa)ラウリルグリシルセリン、
b)パルミチルグリシルセリンおよびc)ステアリルグ
リシルセリンを用い、実施例2と同様にして下記に示す
それぞれ3種の生成物を得た。使用したオリゴペプチド
はいずれも(財)ペプチド研究所より市販品として入手
した。
グリシン(Myr−Gly)、ミリスチルジグリシン(Myr−G
ly−Gly)、ミリスチルグリシルセリン(Myr−Gly−Se
r)を用い、実施例1と同様にしてそれぞれ次の3種の
結晶生成物を得た。また、実施例1の場合と同様に最終
産物のジエチルアセタール化物の融点を測定し、下記に
示した。尚、使用したオリゴペプチドはいずれも(財)
ペプチド研究所(大阪)より市販品として入手した。生成物 融 点 Myr−Gly−Glycinal 110〜116℃ Myr−Gly−Gly−Glycinal 103〜105℃ Myr−Gly−Ser−glycinal 106〜108℃ (融点は、左記の化合物のジエチルアセタール化物の融
点を示す。) 実施例3: 比較参考実験として、アミノ末端のミリスチル基の代
わりに炭素鎖の長さの異なる他の脂肪酸を持つオリゴペ
プチドを調製した。すなわち実施例2のミリスチルグリ
シルセリンの代わりにa)ラウリルグリシルセリン、
b)パルミチルグリシルセリンおよびc)ステアリルグ
リシルセリンを用い、実施例2と同様にして下記に示す
それぞれ3種の生成物を得た。使用したオリゴペプチド
はいずれも(財)ペプチド研究所より市販品として入手
した。
a)ラウリルグリシルセリルグリシナール b)パルミチルグリシルセリルグリシナール C)ステアリルグリシルセリルグリシナール 実施例4:ウイルス増殖抑制試験 10日令発育鶏卵線維芽細胞を常法により調製した。調
製した細胞を先ず41℃で48時間培養し、次いで37℃で96
時間培養した。37℃に培養温度を下げた時点(0時間)
および37℃にて96時間培養した時点(96時間)のそれぞ
れの培養段階での細胞の形態学的変化を倒立顕微鏡を用
いて観察すると、第1a図および第1b図のとおりである
(対照1)。即ち、正常細胞においては、2つの培養段
階ともに細胞の分裂、増殖が観察されると共に方向性
(オリエンテーション)および足場依存性(アンカーレ
イジデペンデンス)が十分に観察されている。また、RS
V(AsNY60株;東大医科学研究所により入手)で細胞(5
x106個)当り1mlの量で感染させた細胞を上記と全く同
様にして2段階の培養を行い倒立顕微鏡による観察にお
いて、第2a図および第2b図の結果を得た(対照2)。こ
れらの結果から明らかな如く、37℃、0時間の培養段階
では第2a図に示すように正常細胞における第1a図と同様
の方向性が見られるものに対し、37℃、96時間の培養後
(第2b図)では細胞の分裂が激しく、方向性が失われは
っきりと形質転換が起こっていることが判る。
製した細胞を先ず41℃で48時間培養し、次いで37℃で96
時間培養した。37℃に培養温度を下げた時点(0時間)
および37℃にて96時間培養した時点(96時間)のそれぞ
れの培養段階での細胞の形態学的変化を倒立顕微鏡を用
いて観察すると、第1a図および第1b図のとおりである
(対照1)。即ち、正常細胞においては、2つの培養段
階ともに細胞の分裂、増殖が観察されると共に方向性
(オリエンテーション)および足場依存性(アンカーレ
イジデペンデンス)が十分に観察されている。また、RS
V(AsNY60株;東大医科学研究所により入手)で細胞(5
x106個)当り1mlの量で感染させた細胞を上記と全く同
様にして2段階の培養を行い倒立顕微鏡による観察にお
いて、第2a図および第2b図の結果を得た(対照2)。こ
れらの結果から明らかな如く、37℃、0時間の培養段階
では第2a図に示すように正常細胞における第1a図と同様
の方向性が見られるものに対し、37℃、96時間の培養後
(第2b図)では細胞の分裂が激しく、方向性が失われは
っきりと形質転換が起こっていることが判る。
さらに、対照2のAsNY68株で感染させた細胞に実施例
1で調製したミリスチルグリシナールを感染細胞(5x10
6個)当り50μMの量でそれぞれ添加したものを41℃か
ら37℃に温度を下げた時点(0時間)および37℃で96時
間培養させたものの形質学的変化を観察したところそれ
ぞれ第3a図および第3b図の結果を得た。96時間培養後
(第3b図)においても、37℃の培養開始時点(第3a図)
と実質的に同様な形質状態が観察され、方向性および足
場依存性が十分に見られ細胞の分裂が抑制されているこ
とが判る。また、実施例2で調製したミリスチルグリシ
ルグリシナール、ミリスチルグリシルグリシルグリシナ
ールおよびミリスチルグリシルセリルグリシナールをそ
れぞれ感染細胞(5x106個)当り50μMの量で添加した
ものを同様にして培養し、同様に形質学的変化を観察し
た。その結果、それぞれ第4a図〜第4b図(ミリスチルグ
シリルグリシナール)、第5a図〜第5b図(ミリスチルグ
リシルグリシルグリシナール)および第6a図〜第6b図
(ミリスチルグリシルセリルグリシナール)の結果を得
た。ミリスチルグリシナールと同様にいずれのオリゴペ
プチド誘導体も細胞の形質転換を抑制しているのが確認
できる。
1で調製したミリスチルグリシナールを感染細胞(5x10
6個)当り50μMの量でそれぞれ添加したものを41℃か
ら37℃に温度を下げた時点(0時間)および37℃で96時
間培養させたものの形質学的変化を観察したところそれ
ぞれ第3a図および第3b図の結果を得た。96時間培養後
(第3b図)においても、37℃の培養開始時点(第3a図)
と実質的に同様な形質状態が観察され、方向性および足
場依存性が十分に見られ細胞の分裂が抑制されているこ
とが判る。また、実施例2で調製したミリスチルグリシ
ルグリシナール、ミリスチルグリシルグリシルグリシナ
ールおよびミリスチルグリシルセリルグリシナールをそ
れぞれ感染細胞(5x106個)当り50μMの量で添加した
ものを同様にして培養し、同様に形質学的変化を観察し
た。その結果、それぞれ第4a図〜第4b図(ミリスチルグ
シリルグリシナール)、第5a図〜第5b図(ミリスチルグ
リシルグリシルグリシナール)および第6a図〜第6b図
(ミリスチルグリシルセリルグリシナール)の結果を得
た。ミリスチルグリシナールと同様にいずれのオリゴペ
プチド誘導体も細胞の形質転換を抑制しているのが確認
できる。
実施例5:比較実験 実施例3で調製したラウリルグリシルセリルグリシナ
ール、パルミチルグリシルセリルグリシナールおよびス
テアリルグリシルセリルグリシナールを用いて、実施例
4のミリスチルグリシルセリルグリシナールの場合と同
様にウイルス感染細胞の形質転換に及ぼす影響を調べ
た。その結果それぞれ第7a図〜第7b図、第8a図〜第8b図
および第9a図〜第9b図の結果を得た。しかしながら、本
発明のミリスチチルグリシナールおよびそのオリゴペプ
チド誘導体の場合とは異なり、いずれの場合もウイルス
感染細胞の形質転換を抑制する効果は認められなかっ
た。
ール、パルミチルグリシルセリルグリシナールおよびス
テアリルグリシルセリルグリシナールを用いて、実施例
4のミリスチルグリシルセリルグリシナールの場合と同
様にウイルス感染細胞の形質転換に及ぼす影響を調べ
た。その結果それぞれ第7a図〜第7b図、第8a図〜第8b図
および第9a図〜第9b図の結果を得た。しかしながら、本
発明のミリスチチルグリシナールおよびそのオリゴペプ
チド誘導体の場合とは異なり、いずれの場合もウイルス
感染細胞の形質転換を抑制する効果は認められなかっ
た。
第1図a図および第1b図は、正常発育鶏卵線維芽細胞の
37℃培養前、および37℃96時間の培養後での細胞の形態
学的変化を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:150倍)。 第2a図および第2b図は、RSV感染発育鶏卵芽細胞を41℃
培養から37℃下げた時点(0時間)、および37℃、96時
間培養後の細胞の形態学的変化を示す倒立顕微鏡写真で
ある(倍率:150倍)。 第3a図および第3b図は、ミリスチルグリシナールを添加
したRSV感染発育鶏卵芽細胞の37℃培養における培養開
始時点(0時間)、および96時間培養後での細胞の形態
学的変化を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:150倍) 第4a図および第4b図は、ミリスチルグリシルグリシナー
ルを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞の37℃培養におけ
る培養開始時点(0時間)、および96時間培養後での細
胞の形態学的変化を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:1
50倍) 第5a図および第5b図は、ミリスチルグリシルグリシルグ
リシナールを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞の37℃培
養における培養開始時点(0時間)、および96時間培養
後での細胞の形態学的変化を示す倒立顕微鏡写真である
(倍率:150倍) 第6a図および第6b図は、ミリスチルグリシルセリルグリ
シナールを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞の37℃培養
における培養開始時点(0時間)、および96時間培養後
での細胞の形態学的変化を示す倒立顕微鏡写真である
(倍率:150倍)。 第7a図および第7b図は、ラウリルグリシルセリルグリシ
ナールを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞を37℃で培養
した時の、0時間および96時間後の細胞の形態学的変化
を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:150倍)。 第8a図および第8b図は、パルミチルグリシルセリルグリ
シナールを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞を37℃で培
養した時の、0時間および96時間後の細胞の形態学的変
化を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:150倍)。 第9a図および第9b図は、ステアリルグリシルセリルグリ
シナールを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞を37℃で培
養した時の、0時間および96時間後の細胞の形態学的変
化を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:150倍)。
37℃培養前、および37℃96時間の培養後での細胞の形態
学的変化を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:150倍)。 第2a図および第2b図は、RSV感染発育鶏卵芽細胞を41℃
培養から37℃下げた時点(0時間)、および37℃、96時
間培養後の細胞の形態学的変化を示す倒立顕微鏡写真で
ある(倍率:150倍)。 第3a図および第3b図は、ミリスチルグリシナールを添加
したRSV感染発育鶏卵芽細胞の37℃培養における培養開
始時点(0時間)、および96時間培養後での細胞の形態
学的変化を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:150倍) 第4a図および第4b図は、ミリスチルグリシルグリシナー
ルを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞の37℃培養におけ
る培養開始時点(0時間)、および96時間培養後での細
胞の形態学的変化を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:1
50倍) 第5a図および第5b図は、ミリスチルグリシルグリシルグ
リシナールを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞の37℃培
養における培養開始時点(0時間)、および96時間培養
後での細胞の形態学的変化を示す倒立顕微鏡写真である
(倍率:150倍) 第6a図および第6b図は、ミリスチルグリシルセリルグリ
シナールを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞の37℃培養
における培養開始時点(0時間)、および96時間培養後
での細胞の形態学的変化を示す倒立顕微鏡写真である
(倍率:150倍)。 第7a図および第7b図は、ラウリルグリシルセリルグリシ
ナールを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞を37℃で培養
した時の、0時間および96時間後の細胞の形態学的変化
を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:150倍)。 第8a図および第8b図は、パルミチルグリシルセリルグリ
シナールを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞を37℃で培
養した時の、0時間および96時間後の細胞の形態学的変
化を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:150倍)。 第9a図および第9b図は、ステアリルグリシルセリルグリ
シナールを添加したRSV感染発育鶏卵芽細胞を37℃で培
養した時の、0時間および96時間後の細胞の形態学的変
化を示す倒立顕微鏡写真である(倍率:150倍)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 1/02 C07K 5/062 5/062 A61K 37/02
Claims (4)
- 【請求項1】ミリスチルグリシナール、ミリスチルグリ
シルグリシナール、ミリスチルジグリシルグリシナー
ル、ミリスチルグリシルセリルグリシナール及びミリス
チルグリシルアラアニルグリシナールから選択されたも
のであることを特徴とする、ミリスチル化合物。 - 【請求項2】ミリスチン酸クロリド、ミリスチルグリシ
ルクロリド、ミリスチルジグリシルクロリド、ミリスチ
ルグリシルセリルクロリド又はミリスチルグリシルアラ
ニルクロリドとアミノアセトアルデヒドジエチルアセタ
ールとをアルカリの存在下に不活性極性溶媒中又は不活
性極性溶媒を含有する水性溶媒中で反応させ、得られる
化合物のジエチルアセタール化物を酸処理することを特
徴とする、ミリスチルグリシナール、ミリスチルグリシ
ルグリシナール、ミリスチルジグリシルグリシナール、
ミリスチルグリシルセリルグリシナール及びミリスチル
グリシルアラニルグリシナールの製法。 - 【請求項3】ミリスチルグリシナール、ミリスチルグリ
シルグリシナール、ミリスチルジグリシルグリシナー
ル、ミリスチルグリシルセリルグリシナール及びミリス
チルグリシルアラニルグリシナールから選択されたミリ
スチル化合物を有効成分としていることを特徴とする、
ウイルス感染細胞の形質転換又はウイルス増殖抑制剤。 - 【請求項4】ウイルスがレトロウイルスであることを特
徴とする、特許請求の範囲第3項に記載のウイルス感染
細胞の形質転換又はウイルス増殖抑制剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62126384A JP2627896B2 (ja) | 1987-05-21 | 1987-05-21 | ミリスチル化合物,その製法及び用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62126384A JP2627896B2 (ja) | 1987-05-21 | 1987-05-21 | ミリスチル化合物,その製法及び用途 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6479113A JPS6479113A (en) | 1989-03-24 |
JP2627896B2 true JP2627896B2 (ja) | 1997-07-09 |
Family
ID=14933814
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62126384A Expired - Lifetime JP2627896B2 (ja) | 1987-05-21 | 1987-05-21 | ミリスチル化合物,その製法及び用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2627896B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2725772B2 (ja) | 1987-10-10 | 1998-03-11 | 日水製薬株式会社 | ミリストイル化合物である.ウィルス構成蛋白のミリストイル化抑制剤 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5599947A (en) * | 1993-01-14 | 1997-02-04 | G. D. Searle & Co. | Fatty acid analogs and prodrugs |
DE10353806A1 (de) * | 2003-11-14 | 2005-07-07 | Bundesrepublik Deutschland, vertreten durch das Bundesministerium für Gesundheit, dieses vertreten durch das Robert-Koch-Institut, vertreten durch seinen Präsidenten | Verwendung von Aminosäure- und Zucker-Amphiphilen zur Inaktivierung von lipidumhüllten Viren |
WO2019176732A1 (ja) * | 2018-03-16 | 2019-09-19 | 国立大学法人東京農工大学 | テトラヒドロイソキノリン環含有化合物の製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4666893A (en) | 1983-02-15 | 1987-05-19 | St. Thomas Institute | Methods of inducing resistance to bacterial and viral infections |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5313626B2 (ja) * | 1971-08-19 | 1978-05-11 | ||
JPS63146851A (ja) * | 1986-10-27 | 1988-06-18 | Shozo Shoji | ミリスチルグリシンおよびそのオリゴペプチド誘導体の製造方法 |
-
1987
- 1987-05-21 JP JP62126384A patent/JP2627896B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4666893A (en) | 1983-02-15 | 1987-05-19 | St. Thomas Institute | Methods of inducing resistance to bacterial and viral infections |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2725772B2 (ja) | 1987-10-10 | 1998-03-11 | 日水製薬株式会社 | ミリストイル化合物である.ウィルス構成蛋白のミリストイル化抑制剤 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6479113A (en) | 1989-03-24 |
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