JP2626713B2 - 地下室の構築方法 - Google Patents

地下室の構築方法

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JP2626713B2 JP63156544A JP15654488A JP2626713B2 JP 2626713 B2 JP2626713 B2 JP 2626713B2 JP 63156544 A JP63156544 A JP 63156544A JP 15654488 A JP15654488 A JP 15654488A JP 2626713 B2 JP2626713 B2 JP 2626713B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、一般建築物の地下部分を構築する場合等に
利用される地下室の構築方法に関する。
「従来の技術」 地下室の構築方法の一つにケーソン工法がある。この
工法は、地上で筒状あるいは箱状のソーケンを構築し、
これを下側の地下部分を掘り下げながら沈設するもので
ある。ケーソン工法は、沈設方法の違いによって、さら
にニューマチックケーソン工法と、オープンケーソン工
法に分かれる。
ニューマチックケーソン工法は、地下水の流入を防止
するために、ケーソンの底部に圧力室を形成し、ここに
圧縮空気を送りながら沈設するものであり、またオープ
ンケーソン工法は、地下水を排除するための圧縮空気を
用いずに、大気圧下で沈設するものである。
「発明が解決しようとする課題」 上記したケーソン工法にあっては、ニューマチックケ
ーソン工法あるいはオーブンケーソン工法いずれにあっ
ても、ケーソンを沈下させる際に周囲の土砂を引きず
り込む。ケーソンが設置される箇所以外に、掘り起し
た土砂を積み込むための場所が必要となり、敷地に余裕
がないと施工できない問題がある。
また、特にオープンケーソン工法にあっては、湧水
を止めることができない問題もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、地下室構
築の際周囲に存する土砂の引きずり込みを防止でき、ま
た地下室構築部分以外に特別な土砂積み込み用のスペー
スを必要とせず、さらに湧水も止められる地下室の構築
方法を提供することを目的とするものである。
「課題を解決するための手段」 本発明では係る目的を達成するために、地下室を構築
する箇所の周囲に地下に延びる連続壁を構築し、次い
で、構築すべき地下室の最底部の躯体となるとともに前
記連続壁に沿って沈下し得る底盤を該連続壁に囲まれた
部分の地盤上に構築し、該底盤の構築と前後して該底盤
の下方の地盤を堀削してそこに凹所を形成するとともに
該凹所に掘削手段を配置し、構築すべき地下室のスラブ
となる躯体を前記底盤の上方に構築して該底版に一体化
した後、前記底盤の下方の地盤を前記掘削手段により掘
削しては前記底盤と前記躯体とを前記連続壁により沿わ
せて所定高さずつ段階的に沈下させて所定深さまで沈設
することとし、それら底盤と躯体とを段階的に沈下させ
るに当たっては、前記スラブとなる躯体のいずれかを前
記連続壁の周囲の地面と面一となる位置に停止させた状
態で底盤の下方の地盤を掘削する工程と、該スラブの上
方の他のスラブを地面と面一となる位置まで沈下させる
工程とを繰り返すことを特徴とする。
「作用」 上記方法によれば、最初に連続壁を構築するので、該
連続壁を構築する際にもまた底盤を沈設する際にも土砂
の引きずり込みは殆どない。また、上記連続壁の作用に
よって湧水も防げる。
さらに、底盤を沈設する際上部の躯体スラブが周囲の
地面と面一になるよう、底盤を所定高さずつ沈下,停止
させながら所定深さに至らすため、底盤および躯体スラ
ブの上面を土砂積み込み用とし利用できる。
「実施例」 以下、本発明の実施例を図面を参照にしながら説明す
る。
−第1実施例− 第1図ないし第4図は本発明の第1実施例を示す。こ
の例は従来のニューマチックケーソン工法を改良したも
のである。
この例では、まず最初に第1図に示すように地下室を
構築しようにとする箇所の外周に連続壁1を閉じた状態
に(壁部を両端をつなげた状態に)構築する。連続壁1
は、例えば周知の地中連続壁工法により構築されるコン
クリート製のものが用いられる。
次に、連続壁1で囲まれたほぼ中央の地表部分を掘削
し、そこに凹所5を形成する。その後、連続壁1で囲ま
れた部分に底盤2を構築する。底盤2は構築しようとす
る地下室の最底部の躯体となるものであり、かつ連続壁
1に沿って沈下することが可能なものであり、その外周
には第2図に示すように、シール部材3がバネ4によっ
て外方に付勢されて連続壁1内周面に当接しており、こ
れにより底盤2の下方空間Sが気密に保持される。な
お、シール部材3を外方に押圧するものはバネに限られ
ることなく、例えば油圧あるいは空気の圧力により伸縮
動作するシリンダを利用してもよい。
次に、底盤2の下方の前記先行掘りした凹所5に、掘
削用の機械6およびソイルプレーサ7をセットする。上
記各装置6,7のセットは、底盤2を構築する前に予めセ
ットしてもよく、底盤2に蓋によって開閉される開口を
設け、そこからセットしてもよい。なお、そのような開
口を底盤2に設ける場合にあっては、上記の凹所5を底
盤2に先行して掘削することに代えて、底盤2を構築し
た後にその開口を通して底盤2の下方の地盤を掘削して
凹所5を後施工することも当然に可能である。掘削用の
機械6は遠隔操作ができるように所定の操作手段及びテ
レビカメラ等を備えている。また、イソルプレーサ7は
掘削した土砂を底盤2の上部に排出されるためのもの
で、土砂輸送用のパイプ7Aは底盤2を気密状態で貫通し
て上方に延びている。
また、符号8は底盤2の上部に装備されたコンプレッ
サ装置を示す。このコンプレッサ装置8は底盤2下側の
気密空間Sに圧縮空気を送るためのもので、該コンプレ
ッサ装置8から延びる空気輸送用のパイプ8Aは、前記土
砂運搬用のパイプ7Aと同様、底盤2を気密状態で貫通し
て下方に延びている。
上記装置6,7をセットした後、掘削用の機械6を遠隔
操作することによって実際に掘削を行なう(第3図参
照)。掘削の際掘り起こした土砂はソイルプレーサ7に
よりパイプ7Aを介して底盤2の上部まで運ぶ。そして、
底盤2上に停止させた土砂運搬用の車両9に移し替え
て、外部所定箇所へ運ぶ。
このように、底盤2を気密に貫通するパイプ7Aによっ
て土砂を運搬する方法であると、従来のチューマチック
ケーソン工法を用いた場合のような一々気密扉の開閉を
行なう必要がなく、気密保持が容易に行なえかつ運搬も
容易に行なえる。
底盤2の下側の気密空間Sには、土砂を取り除いた分
より多少おおめの空気がコンプレッサ装置8から供給さ
れ、該空間S内は所定圧力に保たれる。これによって、
底盤2に加わる荷重を支えかつ底面からの湧水の侵入を
防ぐ。
上記掘削作業と平行して底盤2の上側に上部躯体10を
構築する。躯体10は一度に地下部分全部を構築してもよ
く、また1階分ずつあるいは2、3階分ずつ構築しても
よい。
掘削が適宜深さまで行なわれかつ少なくとも躯体10の
1階分が構築された後、ジャッキダウンによって底盤2
およびそれに一体となっている躯体10は全体を連続壁1
に沿わせて降下させる。その降下させる距離は、躯体10
のスラブ10Aが周囲の地面と面一になるよう、1階高分
あるいは2,3階高分等、階高の整数倍とする。ジャッキ
ダウン後の土砂排出の際、躯体10のスラブ面10Aを土砂
運搬用車両の搬入路として利用するためである。
ジャッキダウンは、例えば底盤2下側の気密空間Sの
圧力を調整することにより行なう。また、他の方法とし
て、底盤2外周に配したシール部材3をシリンダにより
連続壁1の内周へ押圧する構成とし、該シール部材3の
押圧力を調整することによっても実施でき、さらにこの
方法と前記気密空間Sの空気圧調整を併用させてもよ
い。
以下、地下掘削およびジャッキダウン、並びに必要に
より底盤2上側の躯体10の構築を繰り返すことによっ
て、底盤2を所定深さに沈設する。上記底盤2を下げる
とき、その都度ソイルプレーサのパイプ7Aは上側の躯体
スラブ10Aを貫通させる。
また、上記根切り作業が完了した時点で、第4図に示
すように底盤2の一部を開口させて下側の装置6,7を撤
去する。
以上の作業の後、内装工事等必要な作業を行なうこと
により地下室を得る。
−第2実施例− 第5図ないし第7図は本発明の第2実施例を示す。こ
の例はオープンケーソン工法を改良したものである。
すなわち、この例における地下室の構築方法の特徴
は、底盤12あるいはその上側に躯体20を支持するのに空
気の圧力を用いることなく、先行して設けた杭11によっ
て支持する点にある。
この方法では、まず第5図に示すように、地下室を構
築しようとする箇所の外周に連続壁1を構築する。この
点では前記第1実施例と同様である。
次に、連続壁1に囲まれた部分に互いに所定間隔をあ
けて支持杭11を直立する。この支持杭11および連続壁1
は下端が地下の支持層Zまで達するように設けるのがよ
い。そして、連続壁1の内側を掘削して凹所5を施工
し、そこに掘削用の機械6をセットする。なお、この凹
所5の施工と機械6のセットは、第1実施例の場合と同
様に、底盤12を構築してから底盤12に設けておいた開口
を通して行ってもよい。
次に、連続壁1で囲まれた部分に、地下室の最底部の
躯体となる底盤12を構築し、その底盤12を支持杭11で支
持する。また、掘削用の機械6は第1実施例と同様に遠
隔操作が可能なものを用いても、あるいは手動操作によ
り駆動できるものを用いてもよい。
次に、上記掘削用の機械6を駆動させることによって
実際の掘削を行なう(第6図参照)。掘削の際の掘り起
こした土砂は底盤12に付属して設けたコンベア等の搬送
手段14により底盤12の開口12Aを通して底盤12の上方ま
で運び、底盤12上に停止させた輸送用の車両9に移す。
上記掘削作業と並行して底盤12の上側に上部躯体20を
例えば一階分構築する。なお、この場合も第1実施例と
同様に、躯体20は一度に地下部分全部を構築してもよ
く、また1階分ずつ構築してもよい。該躯体20のスラビ
20Aな支持杭11によって支持してもまた底盤12から柱を
延ばし該柱で支持してもよい。
上記掘削が適宜深さまで行なわれた後、ジャッキダウ
ンにより底盤12および躯体20の全体を連続壁1に沿わせ
て一階高分あるいは2〜3階高分下げる(第7図参
照)。このように底盤12等を整数階分下げることによっ
てジャッキダウン後の土砂排出の際、躯体のスラブ20の
上面を、土砂運搬用車両の搬入路として利用できる。な
お、ジャッキダウンは、底盤12の下側に設けた専用の油
圧ジャッキ16で行なう。ジャッキダウンの一例として
は、第8図に示すような方法がある。すなわち、最初、
各支持杭11あるいは任意の支持杭11にクサビを介して台
21を固定しておき、これ台21の上側にロッド付きジャッ
キ16を固定する。上記のように固定したジャッキ16の上
に底盤12を作る。実際に底盤12を下げる場合には、上記
ジャッキ16を作動させてロッド22ごと下げる。ジャッキ
1回分の下降で間に合わない場合には、上記クサビを取
り外し、支持杭11に沿わせて台21を下降させ、所定高さ
まで下げたところ再び台21を支持杭11に固定する。この
状態でジャッキ16を作動させて底盤12を下降させる。以
下、上記作業を繰り返すことにより、底盤12を任意高さ
下降させることができる。
上記ジャッキダウンのとき、底盤12の周囲に設けたロ
ーラ17に例えば油圧シリンダ18で外方へ押圧力を与える
ことで、連続壁1に切梁深度にあって押圧力を与えるこ
とができる。
以下、上記底盤12上部の躯体20の構築、地下掘削、お
よびジャッキダウンを繰り返すことにより、底盤12を所
定深さに沈設する。なお、上記油圧ジャッキ16はジャッ
キダウンを行なう都度盛替えする。
上記根切り作業が完了した時点で、定番12と支持杭1
1、及び躯体20をそれぞれ結合させる。なお、掘削用機
械6は前記第1実施例と同様、底盤12に設けた開口から
撤去する。
以上の作業によっても地下室を作ることができる。
なお、第1実施例および第2実施例共に、必要に応じ
地下室部分の上側に地上部分を構築することができる。
「発明の効果」 以上説明したように本発明によれば、以下の優れた効
果を奏する。
最初に連続壁を設けるため、連続壁施工の際に周囲の
土砂を引きずり込むことがほとんどなく、勿論底盤を沈
設する際にも引きずり込みがない。
底盤を沈設する際、上部の躯体スラブが周囲の地面と
面一になるように、該底盤を所定高さずつ沈下,停止さ
せながら所定深さに至らすため、底盤あるいは躯体スラ
ブを車両の搬入路として利用することができ、土砂の積
み込みが敷地内で行なえる。
上記のように最初に連続壁を設けるので、湧水をある
程度防ぐことができ、湧水に対する対策が容易になる。
底盤とその上部に構築される地下室の躯体の全体を一
体に沈設するので、底盤や地下各階の躯体を個別に沈下
させる場合に比して格段に作業性に優れ、施工の簡略化
が実現される。しかも、底盤および躯体は連続壁に沿っ
て沈下するからその沈下が連続壁により案内され、他に
格別のガイド手段が一切不要であり、この点においても
作業性の改善、施工の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第4図は本発明の第1実施例を示し、第1図、
第3図、第4図はそれぞれ工程手順を表す断面図、第2
図は第1図のII円部の拡大図、第5図〜第8図は本発明
の第2実施例の施工手順を示す断面図である。 1……連続壁、2,12……底盤、 5……凹所、6……掘削用機械(掘削手段)、7……ソ
イルプレーサ、 8……コンプレッサ装置、10,20……躯体、 10A……スラブ、11……支持杭、 14……搬送手段、16……油圧ジャッキ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥山 信博 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 橋元 正美 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 内山 敏昭 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 那須 守 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 中島 肇 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 島田 道晴 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 丹内 正明 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−73916(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地下室を構築する箇所の周囲に地下に延び
    る連続壁を構築し、次いで、構築すべき地下室の最底部
    の躯体となるとともに前記連続壁に沿って沈下し得る底
    盤を該連続壁に囲まれた部分の地盤上に構築し、該底盤
    の構築と前後して該底盤の下方の地盤を掘削してそこに
    凹所を形成するとともに該凹所に掘削手段を配置し、構
    築すべき地下室のスラブとなる躯体を前記底盤の上方に
    構築して該底版に一体化した後、前記底盤の下方の地盤
    を前記掘削手段により掘削しては前記底盤と前記躯体と
    を前記連続壁により沿わせて所定高さずつ段階的に沈下
    させて所定深さまで沈設することとし、それら底盤と躯
    体とを段階的に沈下させるに当たっては、前記スラブと
    なる躯体のいずれかを前記連続壁の周囲の地面と面一と
    なる位置に停止させた状態で底盤の下方の地盤を掘削す
    る工程と、該スラブの上方の他のスラブを地面と面一と
    なる位置まで沈下させる工程とを繰り返すことを特徴と
    する地下室の構築方法。
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