JP2625040B2 - 食用廃油を使った石けんの製造方法 - Google Patents

食用廃油を使った石けんの製造方法

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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/74Recovery of fats, fatty oils, fatty acids or other fatty substances, e.g. lanolin or waxes

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  • Detergent Compositions (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食用廃油を使った石け
んの製造方法に関するものであり、特に人体に安全な廃
油分解剤等を用いる手軽にできる食用廃油を使った石け
んの製造方法である。
【0002】
【従来の技術】家庭、豆腐製造業、惣采製造業、外食産
業などで生じた食用廃油は、現在、そのまま廃棄するか
回収再利用するかの何れかを選択しなければならない。
廃棄する場合は、新聞紙、市販されている紙パルプある
いは多孔質のプラスチックポリマー等を素材とした吸着
剤等に吸わせるか、凝固剤で固めるかして、生ゴミとし
て捨てる方法がある。最近では食用廃油を乳化して、そ
のまま下水に流すことのできるタイプの商品も出回って
いる。また、食用廃油を回収して再利用する場合には、
食用廃油の集荷コストがかかりすぎる欠点があり、回収
業者の営業として成り立たなくなっている。
【0003】こうした状況のもとで、食用廃油を捨てる
と環境汚染につながり、資源に乏しい我が国で良識ある
主婦は食用廃油のリサイクルとして食用廃油を使った手
作り石けんの使用推進運動を展開している。
【0004】なお、一般に洗浄剤中の界面活性剤の含有
割合が重量比で3%以下のものを石けん、3〜30%の
ものを洗濯用複合石けん、3〜40%のものを台所用複
合石けん、これ以上のものを合成洗剤と呼んでいるが、
食用廃油を使う手作り石けんの製造時に界面活性剤の使
用量が多すぎると、合成洗剤と変わりがないものとな
る。この合成洗剤は環境破壊の要因の一つであるとして
その使用量をなるべく少なくして、石けんの使用が推奨
されている。そこで、食用廃油から手軽に石けんを製造
する方法が求められている。
【0005】手作り石けんの製造方法としては食用廃油
を苛性ソーダの水溶液と共に加熱して加水分解させ、石
けんにする従来から知られた方法が主流になっている。
しかし、この方法の難点は添加する苛性ソーダが劇物で
あり、しかも量が多すぎると余分な苛性ソーダにより手
あれの原因となったり、衣料の生地、特にアルカリに弱
い化学繊維からなる生地を傷めたりするので、石けん化
の終点を見極め苛性ソーダの添加量が多すぎないように
調整する必要があるが、それには熟練が必要なことであ
る。
【0006】こうした背景のもとに、個々の家庭やコミ
ュニティー等での手軽な食用廃油を使う石けんを製造す
る方法が研究されている。そのなかで優れた製造方法と
して特開昭61−116000号公報に記載されている
方法がある。この方法は劇物の苛性ソーダの代わりに人
体に安全な弱アルカリ性のオルト珪酸ナトリウムを使用
した食用廃油を石けん化する方法である。前記公報記載
の発明は、食用廃油の石けん化の反応系へ界面活性剤で
あるα−オレフィンスルホン酸ナトリウムを少量加え
て、食用廃油をその加水分解反応液中に一様に分散さ
せ、石けん化に要する時間を短縮させる工夫をしてい
る。
【0007】また、特開昭61−21520号公報に
は、食用廃油と多価アルコールまたはその誘導体と苛性
アルカリと炭酸ソーダとを混合し、常温で石けん化する
と炭酸ソーダの働きで容易に粉末化した石けんが得られ
ることが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭61−11
6000号公報記載の石けんの製造方法は廃油分解剤と
して、強アルカリ性のカセイソーダ等を使用しない方法
として評価できるものである。しかし、前記公報の記載
によれば、食用廃油100gの脂肪酸当量は0.348
eqである。オルト珪酸ナトリウムの当量は1g当り0.
0136eqであり、石けん化反応を完結させるために
は、食用廃油の1.2倍当量比以上のオルト珪酸ナトリ
ウムが必要で、1.56〜1.95倍が最適であるとし
ている。このオルト珪酸ナトリウムの使用量はかなり多
く、過剰のオルト珪酸ナトリウムが仕上がった石けんの
中に残り、これが石けん表面に白斑を生じる原因とな
る。また、過剰のオルト珪酸ナトリウムのため石けんは
強アルカリ性を示し、手あれの原因になる。さらに仕上
がった石けんは水に溶けにくいため、使い難く、また着
色しているため衣料用には適さない問題点があった。
【0009】また、前記特開昭61−21520号公報
記載の方法では、使用する苛性ソーダまたは苛性カリは
劇物であり、人体に安全なアルカリ剤であるとは言えな
い。また、多価アルコールまたはその誘導体は食用廃油
を反応液中に分散させ石けん化を促進する作用がある
が、界面活性剤の働きはなく、水質汚濁負荷量の増大に
なるおそれがある。
【0010】そこで、本発明の目的は家庭でも手軽に製
造でき、しかも弱アルカリ性で水に溶けやすく、水質悪
化をもたらさない、汎用性のある無色の石けんまたは複
合石けんの製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は次の
構成により達成される。すなわち、着色成分と異臭成分
を除去した食用廃油と炭酸ソーダ含有粉石けんとオルト
珪酸ナトリウムとの混合物を加熱する工程を含むことを
特徴とする食用廃油を使った石けんの製造方法である。
【0012】炭酸ソーダ含有粉石けんにはその中に含ま
れる石けん分による食用廃油を加水分解反応液中に一様
に分散させる働きと、その中に20〜30%の範囲内で
含まれる炭酸ソーダのアルカリ剤としての働きで食用廃
油の分解促進作用がある。また、前記粉石けんに含まれ
る炭酸ソーダには粉末化作用がある。この炭酸ソーダ含
有粉石けんとしては市販の粉石けんを用いることができ
るので入手し易い利点がある。
【0013】オルト珪酸ナトリウムは人体に無害の弱ア
ルカリ性の分解剤として用いられる。本発明の方法では
食用廃油の脂肪酸成分と当量のオルト珪酸ナトリウムを
使用するため、石けんは弱アルカリ性に仕上がる。オル
ト珪酸ナトリウムはメタ珪酸ナトリウムや珪酸カリウム
より加水分解力が強いので、本発明では弱アルカリ性の
加水分解剤としてオルト珪酸ナトリウムを使用した。な
お、硫酸ナトリウムは粉石けんとする場合の洗浄力助
剤、粉末化剤として用いることができる。
【0014】食用廃油と炭酸ソーダを含有した粉石けん
とオルト珪酸ナトリウムとを重量比は、それぞれ10
0:3以上:20〜25の範囲で混合するのが好まし
い。
【0015】炭酸ソーダ含有粉石けんの使用量が前記下
限値未満では、食用廃油の分解速度が緩慢で未反応の油
滴が残る。また、この炭酸ソーダ含有粉石けんの使用量
が多過ぎると炭酸ソーダ含有粉石けん中の炭酸ソーダの
影響で、得られる粉石けんのpHが高くなり、手荒れの
原因となる。食用廃油100gに対して約10gの使用
量が妥当値である。
【0016】オルト珪酸ナトリウムの使用量は前記下限
値未満では加水分解が完全には完了しない。また、前記
上限値を超えると加水分解時間は短縮されるが、過剰の
アルカリ分によって、得られる石けんのpHが高くなる
だけで、手荒れの原因となる。 なお、前記特開昭61
−116000号公報記載の方法では食用廃油1000
gに対してオルト珪酸ナトリウムを485gも使用して
いる。そのため、前記特許公開公報記載の方法では過剰
のオルト珪酸ナトリウムにより石けんに白斑点を生じ、
固化し、溶け難くなり、手荒れの原因ともなる。ところ
が本発明ではオルト珪酸ナトリウムの使用量が食用廃油
1000gに対して200〜250g程度であるので、
白斑点もなく、弱アルカリ性に仕上がる。
【0017】食用廃油と炭酸ソーダを含有した粉石けん
とオルト珪酸ナトリウムとの混合物を加熱処理の後に
は、乾燥させて粉石けん、固形石けんとする。
【0018】上記本発明において、炭酸ソーダを用いる
ので得られる石けんは粉石けんあるいは固形石けんであ
る。
【0019】また、上記本発明において食用廃油は予め
着色成分と異臭成分を除去しておくことで、石けんは未
処理食用廃油に比べ良好な仕上状態の石けんが得られ
る。この前処理剤としては酸性白土、活性炭等を使用す
ることができるが、家庭等の小規模の石けんの製造には
酸性白土が好ましい。
【0020】これらの混合物は鍋状物中で通常直火で約
100℃に加熱する。加熱時間は15〜25分である。
【0021】上記本発明の各構成において食用廃油のけ
ん化後には衣料用では水に溶け易いビルダーとして珪酸
カリウムを加え、粉末石けんには粉末化剤およびビルダ
ーとして硫酸ナトリウムを加える。
【0022】また、酸素系漂白剤を食用廃油のけん化後
に添加すると、得られる石けんが瞬時に漂白される。過
酸化水素を衣類の漂白に用いることは知られているが、
これらの酸素系漂白剤を石けんの漂白に用いた例は知ら
れていない。この漂白反応のメカニズムは不明である
が、オルト珪酸ナトリウムと漂白剤との特異反応による
ものと考えられる。このように酸素系漂白剤による石け
んの漂白は得られる石けんの製品価値を増すために、特
に衣料用に使用する場合に行う。酸素系漂白剤の添加は
食用廃油のけん化後の石けんを30〜50℃に冷却した
後に行う。
【0023】なお、還元法による漂白剤(ハイドロサル
ファイト、シュウ酸、二酸化チオ尿素等)では効果がな
い。また、酸化法による漂白剤の中でも塩素系の漂白剤
(次亜塩素酸ナトリウム、サラシ粉)では塩素ガス中毒
の事故例もあり、危険が伴うので、酸素系漂白剤が好ま
しく、例えば過酸化水素、過炭酸ナトリウムまたは過ホ
ウ酸ナトリウム等が用いられる。漂白力は過酸化水素の
方が過炭酸ナトリウムより強い。また、その添加量は食
用廃油の劣化度合に応じて決められるが、最低有効量は
全量に対して約0.05〜0.1重量%である。
【0024】衣料用の粉石けんまたは固形石けんとする
場合に使用水中の金属成分の封鎖剤としてエチレンジア
ミン四酢酸塩を用いる。
【0025】なお、本発明において石けんの製法時に常
用される前記したもの以外の添加剤もしくは処理剤を使
用してもよい。
【0026】
【作用】本発明によれば、酸性白土等で着色・異臭成分
で除去した食用廃油と炭酸ソーダ含有粉石けんとオルト
珪酸ナトリウムを混合し、直火等で高温に加熱して苛性
アルカリ石けんとし、これに硫酸ナトリウム等ビルダー
を混合、乾燥した後、外圧を加えて粉末石けん、または
苛性アルカリ石けんとし、これに金属封鎖剤を加えて乾
燥した後、型枠に入れて冷却すると、固形石けんに仕上
げることができる。
【0027】
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。まず、
本発明で使用する炭酸ソーダ含有粉石けんおよびオルト
珪酸ナトリウムの適切な使用量を求めるため次の実験を
行った。
【0028】実施例1〜4 オルト珪酸ナトリウムの使用量は一定とし、炭酸ソーダ
含有粉石けんの適切な使用量を求める実験を行った。食
用廃油100gとオルト珪酸ナトリウム25gは固定し
ておき、炭酸ソーダ含有粉石けんの使用量を種々代えて
水50mlを混合して、ステンレス製鍋にて直火で所要
時間の間撹拌しながら加熱した後、冷却し、石けん化反
応の生成物の状態とpH(界面活性剤成分28g/洗浄
液30リットル)を測定した。結果は表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】また、炭酸ソーダ含有粉石けんの使用量が
少ないと所要加水分解時間がやや長くなる。食用廃油1
00gに対して3g以上使用すると加水分解は完了す
る。上限は特にないが多く使用し過ぎると炭酸ソーダ含
有粉石けん中の炭酸ソーダの影響で、得られる粉石けん
のpHが高くなり、手荒れの原因となる。食用廃油10
0gに対して約10gの使用量が妥当値である。
【0031】つぎに以上のように炭酸ソーダ含有粉石け
ん、オルト珪酸ナトリウムの適切な使用量の範囲内での
石けん製造方法の具体例について説明する。
【0032】以下の実施例5、6に共通する食用廃油
は、食用廃油1kgに酸性白土80gを添加し、常温で
2日間放置後、上澄み液を使用した。結果は表2に示
す。
【0033】実施例5 食用廃油1000g、市販粉石けん100g、オルト珪
酸ナトリウム250gおよび水500mlを混合してス
テンレス製鍋にて直火で25分間撹拌しながら加熱した
後、30〜50℃に冷却し、35%過酸化水素水8gを
添加し撹拌混合して、常温で30分間放置する。これに
硫酸ナトリウム340gとエチレンジアミン四酢酸塩5
0gを加えてよく混合し、130〜150℃の乾燥器で
一昼夜乾燥する。そして、これに外圧を加えて粉末石け
んに仕上げて、スプレーで着香する。
【0034】実施例6 食用廃油1000g、市販粉石けん100g、、オルト
珪酸ナトリウム250gおよび水500mlを混合し
て、ステンレス製鍋にて直火で25分間撹拌しながら加
熱した後、130〜150℃の乾燥器で一昼夜乾燥し、
香料を添加し、撹拌混合した後、型枠に入れて冷却する
と固形石けんに仕上がる。
【0035】表2に前記実施例5、6の結果を示す。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】本発明の石けんの製造方法は人体に安全
なごく普通の薬品を使用し、しかも廉価に短時間に石け
んが製造できる。そのため、家庭でも手軽に実施でき、
食用廃油のリサイクルに役立つと共に、窒素、リンも含
まれておらず、生分解も市販の粉石けんと同程度であ
り、水質汚濁の防止に役立つ効果を有する。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色成分と異臭成分を除去した食用廃油
    と炭酸ソーダ含有粉石けんとオルト珪酸ナトリウムとの
    混合物を加熱する工程を含むことを特徴とする食用廃油
    を使った石けんの製造方法。
  2. 【請求項2】 着色成分と異臭成分を除去した食用廃油
    と炭酸ソーダ含有粉石けんとオルト珪酸ナトリウムとを
    重量比で、それぞれ100:3以上:20〜25の範囲
    で混合することを特徴とする請求項記載の食用廃油を
    使った石けんの製造方法。
  3. 【請求項3】 食用廃油のけん化後に微量の酸素系漂白
    剤を添加することを特徴とする請求項1または記載の
    食用廃油を使った石けんの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないしのいずれかの製造方法
    で得られる石けん。
  5. 【請求項5】 炭酸ソーダ含有粉石けんとオルト珪酸ナ
    トリウムからなる食用廃油を原料とする石けん製造用材
    料。
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