JP2624777B2 - 変性導電性高分子化合物の製造方法 - Google Patents

変性導電性高分子化合物の製造方法

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JP2624777B2 JP63144749A JP14474988A JP2624777B2 JP 2624777 B2 JP2624777 B2 JP 2624777B2 JP 63144749 A JP63144749 A JP 63144749A JP 14474988 A JP14474988 A JP 14474988A JP 2624777 B2 JP2624777 B2 JP 2624777B2
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勝美 吉野
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は変性導電性高分子化合物の製造方法に関す
る。
〔従来の技術〕
高分子化合物の主鎖に共役系が高度に発達した導電性
高分子化合物は高い導電率を示すと共に、ドーピングに
より絶縁体−金属転移を生じ、その値が任意に制御で
き、またこれに伴い光学的、磁気的性質が大きく変化す
る事から、これを利用する様々な機能応用が可能な機能
性素材として極めて注目されている。
しかしながら一般に導電性高分子化合物はあらゆる溶
媒に不溶で、かつ加熱によっても溶解しない事から、加
工性に乏しい等の大きな欠点を有していた。これに対
し、最近いくつかの溶媒に溶解する導電性高分子化合物
が開発されている。また、通常の熱可塑性樹脂と同様の
成型加工性を有している導電性高分子化合物も開発され
ている。これらの導電性高分子化合物の開発によって成
形加工性は飛躍的に向上したが、機械的物性の面からは
未だ充分とは言えないのが現状である。
一方、汎用高分子化合物の物性を改良するために、化
学架橋もしくは照射架橋の研究が行われているが、特に
化学架橋は安価に容易に行なえることから実用化されて
いるものが多い。ところが主鎖に共役系を有する導電性
高分子化合物は、一般にその不飽和結合が容易に酸化さ
れ易く、化学架橋に用いられる過酸化物で処理すると共
役系が切れてしまうため、その導電性が大幅に悪化する
という問題があった。一方、先に述べたように最近3位
及び/又は4位に側鎖を有する複素5員環式化合物より
なる導電性高分子化合物が溶解成形できることが報告さ
れているが、同時にこの高分子化合物は溶媒にも溶けや
すいという性質を有している。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は上記の観点に立って、導電性を損うことな
く、且つ耐溶媒性、機械的物性の改良された変性導電性
高分子化合物の製造方法を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、3位及び/又は4位に側鎖を有する複
素5員環式化合物よりなる導電性高分子化合物を架橋さ
せる場合、側鎖間で架橋を起こさせれば、導電性になん
ら影響を及ぼさないですむと考え、上記問題を解決する
ため鋭意検討した結果、特定の構造を有する導電性高分
子化合物をラジカル発生剤を用いて架橋することによっ
て良好な導電性を損なうことなく物性を改良することが
可能であることを見出して本発明を完成させた。即ち、
本発明は主鎖が3位及び/又は4位に側鎖を有する複素
5員環式化合物よりなる導電性高分子化合物をラジカル
発生剤の存在下に熱処理することにより架橋させること
を特徴とする変性導電性高分子化合物の製造方法であ
る。
本発明において用いる複素5員環式化合物の3位及び
/又は4位に置換基を有する複素5員環式化合物重合体
は 一般式〔I〕 (式〔I〕中、R1、R2は水素原子または炭化水素残基、
Z1、Z2は二重結合、三重結合、ヘテロ原子またはヘテロ
原子を含む原子団、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原
子、テルル原子、イミノ基、アルキルイミノ基又はアリ
ールイミノ基を示す。k、1、m、nは0を含む正の整
数である。)で示される複素5員環式化合物を基本単位
とする重合体である。このような複素5員環核上の3位
及び/又は4位にある置換基としてはブチル、ペンチ
ル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、
ドデシル等の直鎖アルキル基のほかに、シクロヘキシ
ル、シクロオクチルなどの環状アルキル基、あるいは分
枝構造を有するアルキル基などが挙げられる。これらの
置換基にはZ1、Z2で示してあるように二重結合または三
重結合またはヘテロ原子またはヘテロ原子を含む原子団
を有していてもよい。なかでも複素5員環式化合物の3
位及び/又は4位に長鎖アルキル基等を有する複素5員
環式化合物重合体が都合良く用いられる。
また、R1に含まれる炭素数とkとmの和、及びR2に含
まれる炭素数と1とnの和は50以下が望ましい。これら
の値が50を越える値を有する場合は重合体を合成するこ
とは困難となる。
本発明において使用されるラジカル発生剤としては、
有機パーオキサイド、有機パーエステル、たとえばベン
ゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキ
サイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパー
オキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルハイドロパ
ーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロ
イルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテー
ト、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート、t−ブチル
パーオキシマレイン酸、ジイソプロピルパーオキシカー
ボネート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリ
ル等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化
物等が挙げられこれは1種または2種以上を組み合わせ
て使用することもできる。
ラジカル発生剤による具体的な変性方法としては、該
ラジカル発生剤を含む該導電性高分子化合物の溶液から
溶剤を除いて得られる成形体を熱処理する方法や該導電
性高分子化合物に該ラジカル発生剤を添加してリボンブ
レンダー、V−ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の撹
拌器で充分混合して得られる混合物を押出機や混練機な
どで充分溶融混練する方法が挙げられる。熱処理あるい
は溶解混練時の温度は用いる導電性高分子化合物やラジ
カル発生剤の種類によって異なり、たとえば溶融混練す
るためには該導電性高分子化合物の軟化点以上熱分解点
未満の温度で好ましくは50℃から350℃の範囲で1分間
から30分間行えばよい。
該ラジカル発生剤の使用量は用いる導電性高分子化合
物の特性やラジカル発生剤の種類によって異なり、ま
た、どの程度架橋させるかによっても異なるため、一概
には言えないが、導電性高分子化合物に対して通常1重
量ppmから10重量%位の使用量が適当である。
〔実施例〕
以下に本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
実施例1 3−オクチルチオフェンを塩化第2鉄を酸化剤に用い
て重合して得られたポリ−(3−オクチルチオフェン)
にジ−t−ブチルパーオキサイドをポリ−(3−オクチ
ルチオフェン)に対して1000重量ppm添加してヘンシェ
ルミキサー中で混合した後、押出機(BT−25、プラスチ
ック工学研究所(株)製)を用いて200℃で平均滞留時
間5分間となる条件で造粒した。このものの熱トルエン
による抽出残分を求めたところ82%(以下、抽出残分は
重量%を示す。)であった。
また、この変性した高分子化合物を0.1mmの間隙を有
する二枚の鉄板の間に挟んで220℃で5分間ホットプレ
スしたところ、厚さ0.1mmのフィルム状成形物が得られ
た。このフィルムの引張強度を島津オートグラフIS500
(巾10mm、標線間30mm)で測定したところ1.50kg/mm2
あった。このフィルムに室温で飽和蒸気圧のヨウ素ガス
を24時間接触させたところ8S/cmの電導度を示した。
また、比較のためジ−t−ブチルパーオキサイドを用
いないで同様にして造粒したポリ−(3−オクチルチオ
フェン)の熱トルエンによる抽出残分は0%であり、同
様にして成形したフィルムの引張強度は0.88kg/mm2であ
った。このフィルムに室温で飽和蒸気圧のヨウ素ガスを
24時間接触させたところ10S/cmの電導度を示した。
実施例2 実施例1においてラジカル発生剤の量を0.5重量%と
した以外は実施例1と同様に変性を行った。このものの
熱トルエンによる抽出残分を求めたところ90%であっ
た。
また、この変性した高分子化合物を同様にして0.1mm
の間隙を有する一枚の鉄板の間に挟んで220℃で5分間
ホットプレスしたところ、厚さ0.1mmのフィルム状成形
物が得られ、このフィルムの引張強度を測定したところ
1.58kg/mm2であった。このフィルムに室温で飽和蒸気圧
のヨウ素ガスを24時間接触させたところ6S/cmの電導度
を示した。
実施例3 実施例1において3−オクチルチオフェンの代わりに
3−ドデシルチオフェンを用いた以外は実施例1と同様
にしてポリ−(3−ドデシルチオフェン)の変性を行っ
た。このものの熱トルエンによる抽出残分を求めたとこ
ろ78%であった。
また、この変性した高分子化合物を実施例1と同様に
0.1mmの間隙を有する二枚の鉄板の間に挟んで220℃で5
分間ホットプレスしたところ、厚さ0.1mmのフィルム状
成形物が得られ、同様にして測定したこのフィルムの引
張強度は1.14kg/mm2であった。このフィルムに室温で飽
和蒸気圧のヨウ素ガスを24時間接触させたところ8S/cm
の電導度を示した。また、比較のためジ−t−ブチルパ
ーオキサイドを用いないで同様にして造粒したポリ−
(3−ドデシルチオフェン)の熱トルエンによる抽出残
分は0%であり、同様にして成形したフィルム引張強度
は0.76kg/mm2であった。このフィルムに室温で飽和蒸気
圧のヨウ素ガスを24時間接触させたところ8S/cmの電導
度を示した。
実施例4 実施例1において3−オクチルチオフェンの代わりに
3,4−ジヘキシルチオフェンを用いた以外は実施例1と
同様にしてポリ−(3,4−ジヘキシルチオフェン)の変
性を行った。このものの熱トルエンによる抽出残分を求
めたところ93%であった。また、この変性した高分子化
合物を実施例1と同様に0.1mmの間隙を有する二枚の鉄
板の間に挟んで300℃で5分間ホットプレスしたとこ
ろ、厚さ0.1mmのフィルム状成形物が得られ、このフィ
ルムに室温で飽和蒸気圧のヨウ素ガスを24時間接触させ
たところ10-4S/cmの電導度を示した。また、比較のため
ジ−t−ブチルパーオキサイドを用いないで同様にして
造粒したポリ−(3,4−ジヘキシルチオフェン)の熱ト
ルエンによる抽出残分は0%であり、このフィルムに室
温で飽和蒸気圧のヨウ素ガスを24時間接触させたところ
10-4S/cmの電導度を示した。
実施例5 実施例1において3−オクチルチオフェンの代わりに
3−オクチルセレノフェンを用いた以外は実施例1と同
様にしてポリ−(3−オクチルセレノフェン)の変性を
行った。このものの熱トルエンによる抽出残分を求めた
ところ86%であった。
また、この変性した高分子化合物を実施例1と同様に
0.1mmの間隙を有する二枚の鉄板の間に挟んで200℃で5
分間ホットプレスしたところ、厚さ0.1mmのフィルム状
成形物が得られた。このフィルムに室温で飽和蒸気圧の
ヨウ素ガスを24時間接触させたところ、1.2×10-3S/cm
の電導度を示した。また、比較のためジ−t−ブチルパ
ーオキサイドを用いないで同様にして造粒したポリ−
(3−オクチルセレノフェン)の熱トルエンによる抽出
残分は0%であり、同様にして成形したフィルムに室温
で飽和蒸気圧のヨウ素ガスを24時間接触させたところ1.
1×10-3S/cmの電導度を示した。
実施例6 実施例1においてポリ−(3−オクチルチオフェン)
の代わりにポリ−(3−ペントキシメチルチオフェン)
のテトラヒドロフラン可溶部を用いた以外は実施例1と
同様にしてポリ−(3−ペントキシメチルチオフェン)
の変性を行った。このもののテトラヒドロフランによる
抽出残分を求めたところ68%であった。また、この変性
した高分子化合物を実施例1と同様に0.1mmの間隙を有
する二枚の鉄板の間に挟んで220℃で5分間ホットプレ
スしたところ、厚さ0.1mmのフィルム状成形物が得ら
れ、このフィルムに室温で飽和蒸気圧のヨウ素ガスを24
時間接触させたところ10-2S/cmの電導度を示した。ま
た、比較のためジ−t−ブチルパーオキサイドで処理を
しなかったポリ−(3−ペントキシメチルチオフェン)
のテトラヒドロフラン可溶部を同様にして成形したフィ
ルムに室温で飽和蒸気圧のヨウ素ガスを24時間接触させ
たところ10-2S/cmの電導度を示した。
〔発明の効果〕
本発明の導電性高分子化合物の変性方法は、導電性高
分子化合物の電気的性能を悪化させることなく、加工性
や機械的性能を著しく上昇せしめる事が可能であり、工
業上極めて価値がある。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主鎖が3位及び/又は4位に側鎖を有する
    一般式〔I〕 (式〔I〕中、R1、R2は水素原子または炭化水素残基、
    Z1、Z2は二重結合、三重結合、ヘテロ原子またはヘテロ
    原子を含む原子団、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原
    子、テルル原子、イミノ基、アルキルイミノ基又はアリ
    ールイミノ基を示す。k、1、m、nは0を含む正の整
    数である。)で示される複素5員環式化合物よりなる導
    電性高分子化合物をラジカル発生剤の存在下に熱処理す
    ることにより架橋させることを特徴とする変性導電性高
    分子化合物の製造方法。
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