JP2624081B2 - ヘルメット用帽体 - Google Patents
ヘルメット用帽体Info
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- JP2624081B2 JP2624081B2 JP4126305A JP12630592A JP2624081B2 JP 2624081 B2 JP2624081 B2 JP 2624081B2 JP 4126305 A JP4126305 A JP 4126305A JP 12630592 A JP12630592 A JP 12630592A JP 2624081 B2 JP2624081 B2 JP 2624081B2
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- helmet
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- kgf
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、繊維強化プラスチッ
ク(FRP)からなるヘルメット用帽体に関する。
ク(FRP)からなるヘルメット用帽体に関する。
【0002】
【従来の技術】人の頭部を衝撃から防護するヘルメット
は、工場や作業現場、自動二輪車への乗車時等において
欠かせない保護具である。
は、工場や作業現場、自動二輪車への乗車時等において
欠かせない保護具である。
【0003】ところで、自動二輪車による事故の分析に
よれば、ヘルメット自体には大きな損傷が見られないの
にライダーが死亡しているケースが少なくない。ヘルメ
ットには、JISや米国のスネル(SNELL)財団に
よって衝撃エネルギー吸収試験や耐貫通性試験が定めら
れており、これらの規格を満たすもののみが市販されて
いるのであるから、頭部が受ける衝撃はかなり緩和され
ているはずである。それにもかかわらず死亡に至るケー
スが少なくないのは、衝撃を受けたときに頸椎を損傷す
ることが多いからである。
よれば、ヘルメット自体には大きな損傷が見られないの
にライダーが死亡しているケースが少なくない。ヘルメ
ットには、JISや米国のスネル(SNELL)財団に
よって衝撃エネルギー吸収試験や耐貫通性試験が定めら
れており、これらの規格を満たすもののみが市販されて
いるのであるから、頭部が受ける衝撃はかなり緩和され
ているはずである。それにもかかわらず死亡に至るケー
スが少なくないのは、衝撃を受けたときに頸椎を損傷す
ることが多いからである。
【0004】頸椎の損傷による死亡事故を減少させるた
めには、ヘルメットを軽くし、衝撃を受けたときに首に
かかる負担を小さくすることが必要になるが、軽くする
には、ヘルメットの重量の半分強を占める帽体(シェル
とか殻体とも呼ばれる)を軽くするのが最も効果的であ
る。そのため、たとえば特開昭53−104346号公
報は、帽体をFRPで構成することを提案している。
めには、ヘルメットを軽くし、衝撃を受けたときに首に
かかる負担を小さくすることが必要になるが、軽くする
には、ヘルメットの重量の半分強を占める帽体(シェル
とか殻体とも呼ばれる)を軽くするのが最も効果的であ
る。そのため、たとえば特開昭53−104346号公
報は、帽体をFRPで構成することを提案している。
【0005】FRP製帽体の採用によって、ヘルメット
はかなり軽くなる。しかしながら、より軽くしようとし
て薄くすると、1回目の衝撃に対して問題はなくても、
同一箇所に2回目の衝撃が加わったとき、その箇所は1
回目の衝撃によって損傷しており、帽体の内側の衝撃エ
ネルギー吸収ライナーも変形していることが多いから、
もはや1回目ほどの効果は期待できず、加速度が大きく
なって首にかかる負担が大きくなる。また、薄くする
と、耐貫通性も低下してくる。
はかなり軽くなる。しかしながら、より軽くしようとし
て薄くすると、1回目の衝撃に対して問題はなくても、
同一箇所に2回目の衝撃が加わったとき、その箇所は1
回目の衝撃によって損傷しており、帽体の内側の衝撃エ
ネルギー吸収ライナーも変形していることが多いから、
もはや1回目ほどの効果は期待できず、加速度が大きく
なって首にかかる負担が大きくなる。また、薄くする
と、耐貫通性も低下してくる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、従
来の帽体の上述した問題点を解決し、衝撃エネルギー吸
収能や耐貫通性に優れるのはもちろんのこと、より薄
く、軽量で衝撃を受けたときに首にかかる負担を小さく
でき、頸椎の損傷を防止することができるヘルメット用
帽体を提供するにある。
来の帽体の上述した問題点を解決し、衝撃エネルギー吸
収能や耐貫通性に優れるのはもちろんのこと、より薄
く、軽量で衝撃を受けたときに首にかかる負担を小さく
でき、頸椎の損傷を防止することができるヘルメット用
帽体を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、樹脂を補強材で強化してなるFRP製
帽体であって、上記補強材は、引張弾性率が20×10
3kgf/mm2以上で、かつ、破壊歪エネルギーが
4.0mm・kgf/mm3以上の高靱性炭素繊維から
なる織物を含んでいることを特徴とするヘルメット用帽
体を提供する。上記の補強材としては、ガラス繊維から
なるマットを更に含み、該マットが最外層になるように
交互積層して使用することもできる。そして、この発明
の帽体は、その内部に硬質発砲プラスチック等からなる
衝撃エネルギー吸収ライナーを配置してヘルメットとす
ることができる。
に、この発明は、樹脂を補強材で強化してなるFRP製
帽体であって、上記補強材は、引張弾性率が20×10
3kgf/mm2以上で、かつ、破壊歪エネルギーが
4.0mm・kgf/mm3以上の高靱性炭素繊維から
なる織物を含んでいることを特徴とするヘルメット用帽
体を提供する。上記の補強材としては、ガラス繊維から
なるマットを更に含み、該マットが最外層になるように
交互積層して使用することもできる。そして、この発明
の帽体は、その内部に硬質発砲プラスチック等からなる
衝撃エネルギー吸収ライナーを配置してヘルメットとす
ることができる。
【0008】この発明においては、帽体をFRPで構成
するが、そのFRPにおける補強材は、高靭性炭素繊
維、すなわち、引張弾性率が20×103 kgf /mm2 以
上で、かつ、破壊歪エネルギーが4.0mm・kgf /mm3
以上の炭素繊維からなっている。この炭素繊維は、単糸
径が4〜10μm、単糸数が1,000〜12,000
本、横断面積が0.10〜0.50mm2 ほどのマルチフ
ィラメントである。
するが、そのFRPにおける補強材は、高靭性炭素繊
維、すなわち、引張弾性率が20×103 kgf /mm2 以
上で、かつ、破壊歪エネルギーが4.0mm・kgf /mm3
以上の炭素繊維からなっている。この炭素繊維は、単糸
径が4〜10μm、単糸数が1,000〜12,000
本、横断面積が0.10〜0.50mm2 ほどのマルチフ
ィラメントである。
【0009】引張弾性率は、JIS R7601に準拠
して測定されるもので、それが20×103 kgf /mm2
未満では、帽体の曲げ剛性が小さくなって変形による衝
撃エネルギー吸収能が小さくなるばかりか、衝撃を受け
たときの変形量が大きくなって変形が内側の衝撃エネル
ギー吸収ライナーをも通り越して衝撃が直接に頭部に伝
わるようになり、加速度が大きくなる。また、曲げ剛性
を確保するために帽体を厚くする必要がでてきて、軽量
化効果が低減される。
して測定されるもので、それが20×103 kgf /mm2
未満では、帽体の曲げ剛性が小さくなって変形による衝
撃エネルギー吸収能が小さくなるばかりか、衝撃を受け
たときの変形量が大きくなって変形が内側の衝撃エネル
ギー吸収ライナーをも通り越して衝撃が直接に頭部に伝
わるようになり、加速度が大きくなる。また、曲げ剛性
を確保するために帽体を厚くする必要がでてきて、軽量
化効果が低減される。
【0010】破壊歪エネルギー(w)は、JIS R7
601に準拠して測定した引張強度をσ(kgf /m
m2 )、上述した引張弾性率をE(kgf /mm2 )とした
とき、式、 w=σ2 /2E で定義される。そして、破壊歪エネルギーが4.0mm・
kgf /mm3 未満では、炭素繊維自身の衝撃エネルギー吸
収能が小さいために、1回目の衝撃で炭素繊維の多くが
切断され、頭部が受ける加速度が大きくなる。すなわ
ち、炭素繊維の多くが切断されることでかなりの衝撃エ
ネルギーが吸収されるものの、同一箇所に2回目の衝撃
が加わったときには、そこでは炭素繊維が既に切断され
ているから、もはや大きな衝撃エネルギー吸収能は期待
できない。この点、破壊歪エネルギーが4.0mm・kgf
/mm3 以上であると、たとえ帽体の厚みが薄くても、1
回目の衝撃では、帽体の変形や、炭素繊維や、マトリク
ス樹脂の伸びによって衝撃エネルギーが吸収される。そ
のため、同一箇所に2回目の衝撃が加わっても、炭素繊
維はまだ切断されていないから、帽体はまだ十分な衝撃
エネルギー吸収能を呈することになる。
601に準拠して測定した引張強度をσ(kgf /m
m2 )、上述した引張弾性率をE(kgf /mm2 )とした
とき、式、 w=σ2 /2E で定義される。そして、破壊歪エネルギーが4.0mm・
kgf /mm3 未満では、炭素繊維自身の衝撃エネルギー吸
収能が小さいために、1回目の衝撃で炭素繊維の多くが
切断され、頭部が受ける加速度が大きくなる。すなわ
ち、炭素繊維の多くが切断されることでかなりの衝撃エ
ネルギーが吸収されるものの、同一箇所に2回目の衝撃
が加わったときには、そこでは炭素繊維が既に切断され
ているから、もはや大きな衝撃エネルギー吸収能は期待
できない。この点、破壊歪エネルギーが4.0mm・kgf
/mm3 以上であると、たとえ帽体の厚みが薄くても、1
回目の衝撃では、帽体の変形や、炭素繊維や、マトリク
ス樹脂の伸びによって衝撃エネルギーが吸収される。そ
のため、同一箇所に2回目の衝撃が加わっても、炭素繊
維はまだ切断されていないから、帽体はまだ十分な衝撃
エネルギー吸収能を呈することになる。
【0011】さて、本発明においては、このような高靱
性炭素繊維を織物に織製して補強材として用いる。織物
としては、一方向にのみ高靱性炭素繊維の糸を配列し、
それと直行する方向には補助糸を配列してなる一方向性
織物や、高靱性炭素繊維の糸を経糸および緯糸とする通
常の二方向性織物や、特公昭49−8423号公報に記
載されるような、互いに60°の角度で3方向に糸賀配
列されている3軸織物を使用できる。なかでも、二方向
性織物は、FRPへの成形時におけるマトリクス樹脂の
含浸性がよく、ボイドの発生が少ないばかりか糸の配列
の乱れも少ないので好ましい。また、二方向性織物のな
かでも、平組織を有するもの、すなわち、平織物は、経
糸と緯糸との拘束力が大きいので、帽体の耐貫通性を向
上させるうえで好ましい。加えて、平織物は経糸と緯糸
とが交互に交錯していて交錯部の数が多いので、加わっ
た衝撃エネルギーの多くをその交錯部に集中させてマト
リクス樹脂の破壊に費やすことができ、炭素繊維の切断
が起こりにくいので好ましい。
性炭素繊維を織物に織製して補強材として用いる。織物
としては、一方向にのみ高靱性炭素繊維の糸を配列し、
それと直行する方向には補助糸を配列してなる一方向性
織物や、高靱性炭素繊維の糸を経糸および緯糸とする通
常の二方向性織物や、特公昭49−8423号公報に記
載されるような、互いに60°の角度で3方向に糸賀配
列されている3軸織物を使用できる。なかでも、二方向
性織物は、FRPへの成形時におけるマトリクス樹脂の
含浸性がよく、ボイドの発生が少ないばかりか糸の配列
の乱れも少ないので好ましい。また、二方向性織物のな
かでも、平組織を有するもの、すなわち、平織物は、経
糸と緯糸との拘束力が大きいので、帽体の耐貫通性を向
上させるうえで好ましい。加えて、平織物は経糸と緯糸
とが交互に交錯していて交錯部の数が多いので、加わっ
た衝撃エネルギーの多くをその交錯部に集中させてマト
リクス樹脂の破壊に費やすことができ、炭素繊維の切断
が起こりにくいので好ましい。
【0012】炭素繊維織物の目付は、FRPへの成形時
における樹脂含浸性を向上させ、また、交差積層による
疑似等方性を向上させるため、低いほうがよく、140
〜240g/m2の範囲にあるのが好ましい。すなわ
ち、目付が高いと、織物の厚みが増大するので樹脂含浸
性が悪くなるし、たとえば、0゜方向と45゜方向の交
差積層を行ったとき、帽体の厚みが増大して軽量化効果
が低減される。
における樹脂含浸性を向上させ、また、交差積層による
疑似等方性を向上させるため、低いほうがよく、140
〜240g/m2の範囲にあるのが好ましい。すなわ
ち、目付が高いと、織物の厚みが増大するので樹脂含浸
性が悪くなるし、たとえば、0゜方向と45゜方向の交
差積層を行ったとき、帽体の厚みが増大して軽量化効果
が低減される。
【0013】さて、この発明においては、補強材は、そ
のすべてが上記高靭性炭素繊維からなるものであってよ
いが、他の繊維を併用することもできる。たとえば、引
張弾性率が20×103 kgf /mm2 未満であったり、破
壊歪エネルギーが4.0mm・kgf /mm3 未満であるよう
な普通の炭素繊維や、ガラス繊維、ポリアラミド繊維、
高強度、高弾性率ポリエチレン繊維を併用することがで
きる。
のすべてが上記高靭性炭素繊維からなるものであってよ
いが、他の繊維を併用することもできる。たとえば、引
張弾性率が20×103 kgf /mm2 未満であったり、破
壊歪エネルギーが4.0mm・kgf /mm3 未満であるよう
な普通の炭素繊維や、ガラス繊維、ポリアラミド繊維、
高強度、高弾性率ポリエチレン繊維を併用することがで
きる。
【0014】特に、高靱性炭素繊維からなる織物に加え
て、ガラス繊維のマット、たとえば、チョップドストラ
ンドマットを補強材として併用するのが好ましい。たと
えば、上記織物とチョップドストランドマットとを、チ
ョップドストランドマット、織物、チョップドストラン
ドマット、織物、チョップドストランドマットのよう
に、チョップドストランドマットが最外層になるように
交互積層して使用すると、織物のみを積層して使用した
ときよりも表面の平滑性が向上し、帽体に作用する衝撃
エネルギーを分散させやすくなる。また、織物を剪断変
形させやすくなって、成形に際して帽体の型に沿わせる
のが容易になる。なお、マットは、通常、あらかじめ帽
体の形にしておく。
て、ガラス繊維のマット、たとえば、チョップドストラ
ンドマットを補強材として併用するのが好ましい。たと
えば、上記織物とチョップドストランドマットとを、チ
ョップドストランドマット、織物、チョップドストラン
ドマット、織物、チョップドストランドマットのよう
に、チョップドストランドマットが最外層になるように
交互積層して使用すると、織物のみを積層して使用した
ときよりも表面の平滑性が向上し、帽体に作用する衝撃
エネルギーを分散させやすくなる。また、織物を剪断変
形させやすくなって、成形に際して帽体の型に沿わせる
のが容易になる。なお、マットは、通常、あらかじめ帽
体の形にしておく。
【0015】FRP製の帽体のマトリクスを構成する樹
脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂
や、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、ABS樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポ
リフェニレンサルファイド樹脂、ポリ−4−メチルペン
テン−1樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂を
使用することができるが、衝撃吸収エネルギーを大きく
して樹脂の破壊を極力少なくするために、破断伸度が4
%以上であるものを選択するのが好ましい。
脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂
や、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、ABS樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポ
リフェニレンサルファイド樹脂、ポリ−4−メチルペン
テン−1樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂を
使用することができるが、衝撃吸収エネルギーを大きく
して樹脂の破壊を極力少なくするために、破断伸度が4
%以上であるものを選択するのが好ましい。
【0016】帽体の成形は、補強材を帽体の形状をした
型に沿わせ、マトリクスとなる樹脂を含浸し、加熱、加
圧することによって行うことができる。補強材をプリプ
レグにして使用することも可能である。
型に沿わせ、マトリクスとなる樹脂を含浸し、加熱、加
圧することによって行うことができる。補強材をプリプ
レグにして使用することも可能である。
【0017】この発明の帽体は、ヘルメットにおいて周
知のように、その内側に発泡ポリエチレンや発泡ポリウ
レタン、発泡塩化ビニル等の硬質発泡プラスチックから
なる衝撃エネルギー吸収ライナーを配置してヘルメット
とすることができる。硬質発泡プラスチックは、発泡倍
率が低いと、衝撃を受けたときの変形量が小さくなって
帽体への衝撃が直接に頭部に伝わりやすくなり、頭部が
受ける加速度が大きくなる。また、発泡倍率が高いと、
帽体が陥没したときの塑性変形が大きくなり、特に2回
目の衝撃に対する衝撃エネルギー吸収能が低くなり、や
はり頭部が受ける加速度が大きくなる。それゆえ、発泡
倍率は、ポリマーの種類等によって異なるものの、たと
えば、発泡ポリスチレンの場合で20〜30倍の範囲で
あるのが好ましい。
知のように、その内側に発泡ポリエチレンや発泡ポリウ
レタン、発泡塩化ビニル等の硬質発泡プラスチックから
なる衝撃エネルギー吸収ライナーを配置してヘルメット
とすることができる。硬質発泡プラスチックは、発泡倍
率が低いと、衝撃を受けたときの変形量が小さくなって
帽体への衝撃が直接に頭部に伝わりやすくなり、頭部が
受ける加速度が大きくなる。また、発泡倍率が高いと、
帽体が陥没したときの塑性変形が大きくなり、特に2回
目の衝撃に対する衝撃エネルギー吸収能が低くなり、や
はり頭部が受ける加速度が大きくなる。それゆえ、発泡
倍率は、ポリマーの種類等によって異なるものの、たと
えば、発泡ポリスチレンの場合で20〜30倍の範囲で
あるのが好ましい。
【0018】
【実施例および比較例】東レ株式会社製高靭性炭素繊維
“トレカ”T700S−6K(単糸径:7μm、単糸数
6,000本、横断面積:0.222mm2 、引張弾性
率:23.5×103 kgf /mm2 、破壊歪エネルギー:
5.2mm・kgf /mm3 )を使用し、経糸密度および緯糸
密度がそれぞれ2.5本/cmで、目付が200g/m2
の平織物を得た。
“トレカ”T700S−6K(単糸径:7μm、単糸数
6,000本、横断面積:0.222mm2 、引張弾性
率:23.5×103 kgf /mm2 、破壊歪エネルギー:
5.2mm・kgf /mm3 )を使用し、経糸密度および緯糸
密度がそれぞれ2.5本/cmで、目付が200g/m2
の平織物を得た。
【0019】一方、帽体の形にしたガラス繊維のチョッ
プドストランドマット(目付:200g/m2 )を用意
した。
プドストランドマット(目付:200g/m2 )を用意
した。
【0020】次に、帽体の雌型に、上記平織物とチョッ
プドストランドマットとを、まずチョップドストランド
マットを置き、その上に平織物をその経糸が帽体の前後
方向になるように置き、その上にチョップドストランド
マットを置き、さらにその上に平織物をこんどは経糸が
帽体の前後方向に対して45゜の方向になるように置
き、ビニルエステル樹脂(破断伸度:6%)を含浸した
後、130℃、5kgf /cm2 で加熱、加圧成形して、合
計4個のフルフェース型ヘルメットの帽体を得た。以
下、これを帽体Aという。
プドストランドマットとを、まずチョップドストランド
マットを置き、その上に平織物をその経糸が帽体の前後
方向になるように置き、その上にチョップドストランド
マットを置き、さらにその上に平織物をこんどは経糸が
帽体の前後方向に対して45゜の方向になるように置
き、ビニルエステル樹脂(破断伸度:6%)を含浸した
後、130℃、5kgf /cm2 で加熱、加圧成形して、合
計4個のフルフェース型ヘルメットの帽体を得た。以
下、これを帽体Aという。
【0021】一方、比較のため、平織物として、東レ株
式会社製炭素繊維“トレカ”T300−6K(単糸径:
7μm、単糸数6,000本、横断面積:0.225mm
2 、引張弾性率:23.5×103 kgf /mm2 、破壊歪
エネルギー:2.6mm・kgf/mm3 )を使用し、経糸密
度および緯糸密度がそれぞれ2.5本/cmで、目付が2
00g/m2 の平織物を使用したほかは上記と同様にし
て、やはり4個のフルフェース型ヘルメットの帽体を得
た。以下、これを帽体Bという。
式会社製炭素繊維“トレカ”T300−6K(単糸径:
7μm、単糸数6,000本、横断面積:0.225mm
2 、引張弾性率:23.5×103 kgf /mm2 、破壊歪
エネルギー:2.6mm・kgf/mm3 )を使用し、経糸密
度および緯糸密度がそれぞれ2.5本/cmで、目付が2
00g/m2 の平織物を使用したほかは上記と同様にし
て、やはり4個のフルフェース型ヘルメットの帽体を得
た。以下、これを帽体Bという。
【0022】さらに、比較のため、帽体Bの成形に使用
した平織物と、帽体Aの成形に使用したチョップドスト
ランドマットとを使用し、これら平織物とチョップドス
トランドマットとを、まずチョップドストランドマット
を2枚置き、その上に平織物をその経糸が帽体の前後方
向になるように置き、その上にチョップドストランドマ
ットを置き、その上に平織物をこんどは経糸が帽体の前
後方向に対して45゜の方向になるように置き、さらに
その上にチョップドストランドマットを置き、以下同様
に成形して4個のフルフェース型ヘルメットの帽体を得
た。以下、これを帽体Cという。
した平織物と、帽体Aの成形に使用したチョップドスト
ランドマットとを使用し、これら平織物とチョップドス
トランドマットとを、まずチョップドストランドマット
を2枚置き、その上に平織物をその経糸が帽体の前後方
向になるように置き、その上にチョップドストランドマ
ットを置き、その上に平織物をこんどは経糸が帽体の前
後方向に対して45゜の方向になるように置き、さらに
その上にチョップドストランドマットを置き、以下同様
に成形して4個のフルフェース型ヘルメットの帽体を得
た。以下、これを帽体Cという。
【0023】次に、帽体A、B、Cのそれぞれについ
て、内側に発泡倍率が23倍の硬質発泡ポリスチレンか
らなる衝撃エネルギー吸収ライナーを装着してヘルメッ
トを作り、SNELL M90の方法に準拠して衝撃エ
ネルギー吸収試験および耐貫通性試験をした。衝撃エネ
ルギー吸収試験において、人頭模型の落下高さは、1回
目においては306cm、同一箇所への2回目の試験に
おいては224cmとし、人頭模型に取り付けた加速度
計でそれに加わる加速度(G)を測定した。衝撃付与箇
所は、前頭部、後頭部、左右の側頭部の4か所とし、平
面および半球形状の鋼製のアンビルで、すべての箇所に
ついて1回目と2回目の試験をした。耐貫通性試験は、
300cm上方から重量3kgの鋼製ストライカーを落
下させ、帽体へのストライカーの貫通の有無を判定し
た。表1に本発明の帽体Aに関する試験結果、表2に比
較例の帽体Bに関する試験結果、表3に比較例の帽体C
に関する試験結果を示す。
て、内側に発泡倍率が23倍の硬質発泡ポリスチレンか
らなる衝撃エネルギー吸収ライナーを装着してヘルメッ
トを作り、SNELL M90の方法に準拠して衝撃エ
ネルギー吸収試験および耐貫通性試験をした。衝撃エネ
ルギー吸収試験において、人頭模型の落下高さは、1回
目においては306cm、同一箇所への2回目の試験に
おいては224cmとし、人頭模型に取り付けた加速度
計でそれに加わる加速度(G)を測定した。衝撃付与箇
所は、前頭部、後頭部、左右の側頭部の4か所とし、平
面および半球形状の鋼製のアンビルで、すべての箇所に
ついて1回目と2回目の試験をした。耐貫通性試験は、
300cm上方から重量3kgの鋼製ストライカーを落
下させ、帽体へのストライカーの貫通の有無を判定し
た。表1に本発明の帽体Aに関する試験結果、表2に比
較例の帽体Bに関する試験結果、表3に比較例の帽体C
に関する試験結果を示す。
【0024】
【表1】
【表2】
【表3】 表から明らかなように、この発明に係る帽体Aを使用し
たものは、すべての衝撃エネルギー吸収試験において加
速度が252G以下であり、危険とされている300G
を下回っている。また、耐貫通性試験においても、スト
ライカーは貫通していない。
たものは、すべての衝撃エネルギー吸収試験において加
速度が252G以下であり、危険とされている300G
を下回っている。また、耐貫通性試験においても、スト
ライカーは貫通していない。
【0025】これに対して、帽体Bを使用したものは、
加速度は、1回目の衝撃エネルギー吸収試験では300
G以下で問題はないが、2回目には300Gを超える箇
所がでてきている。また、耐貫通性試験でストライカー
が貫通している。すなわち、帽体Aを使用したものと重
量をほぼ同じにしようとすると、衝撃エネルギー吸収能
や耐貫通性が低下する。
加速度は、1回目の衝撃エネルギー吸収試験では300
G以下で問題はないが、2回目には300Gを超える箇
所がでてきている。また、耐貫通性試験でストライカー
が貫通している。すなわち、帽体Aを使用したものと重
量をほぼ同じにしようとすると、衝撃エネルギー吸収能
や耐貫通性が低下する。
【0026】また、帽体Cを使用したものは、加速度が
300G以下で、しかも、ストライカーも貫通していな
い。この限りにおいては問題ないが、帽体Aよりもかな
り重い。すなわち、帽体Aを使用したものと同等の性能
を得ようとすると、かなり重くなる。これは、衝撃を受
けたときの首への負担がそれだけ大きくなるということ
を意味している。
300G以下で、しかも、ストライカーも貫通していな
い。この限りにおいては問題ないが、帽体Aよりもかな
り重い。すなわち、帽体Aを使用したものと同等の性能
を得ようとすると、かなり重くなる。これは、衝撃を受
けたときの首への負担がそれだけ大きくなるということ
を意味している。
【0027】
【発明の効果】この発明のヘルメット用帽体は、FRP
からなり、そのFRPにおける補強材が、引張弾性率が
20×103 kgf /mm2 以上で、かつ、破壊歪エネルギ
ーが4.0mm・kgf /mm3 以上の高靭性炭素繊維からな
る補強材を含んでいるから、実施例と比較例との対比か
らも明らかなように、薄く、軽量であるにもかかわらず
衝撃エネルギー吸収能や耐貫通性に優れている。しか
も、軽量であるから、衝撃を受けたときの首への負担を
小さくでき、頸椎の損傷を防止することができてそれに
よる死亡事故等の低減が期待できる。
からなり、そのFRPにおける補強材が、引張弾性率が
20×103 kgf /mm2 以上で、かつ、破壊歪エネルギ
ーが4.0mm・kgf /mm3 以上の高靭性炭素繊維からな
る補強材を含んでいるから、実施例と比較例との対比か
らも明らかなように、薄く、軽量であるにもかかわらず
衝撃エネルギー吸収能や耐貫通性に優れている。しか
も、軽量であるから、衝撃を受けたときの首への負担を
小さくでき、頸椎の損傷を防止することができてそれに
よる死亡事故等の低減が期待できる。
Claims (3)
- 【請求項1】樹脂を補強材で強化してなる繊維強化プラ
スチック製帽体であって、上記補強材は、引張弾性率が
20×103kgf/mm2以上で、かつ、破壊歪エネ
ルギーが4.0mm・kgf/mm3以上の高靱性炭素
繊維からなる織物を含んでいることを特徴とするヘルメ
ット用帽体。 - 【請求項2】前記補強材が、ガラス繊維からなるマット
を更に含み、かつ、該マットが最外層になるように交互
積層されている、請求項1に記載のヘルメット用帽体。 - 【請求項3】請求項1または2に記載の帽体を有するヘ
ルメット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4126305A JP2624081B2 (ja) | 1992-05-19 | 1992-05-19 | ヘルメット用帽体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4126305A JP2624081B2 (ja) | 1992-05-19 | 1992-05-19 | ヘルメット用帽体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05321010A JPH05321010A (ja) | 1993-12-07 |
JP2624081B2 true JP2624081B2 (ja) | 1997-06-25 |
Family
ID=14931910
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4126305A Expired - Fee Related JP2624081B2 (ja) | 1992-05-19 | 1992-05-19 | ヘルメット用帽体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2624081B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5643409A (en) * | 1979-09-14 | 1981-04-22 | Daiwa Orineemu Kk | Safety hat |
JPS5696905A (en) * | 1979-12-28 | 1981-08-05 | Daicel Ltd | Helmet and production thereof |
JP2831711B2 (ja) * | 1989-08-05 | 1998-12-02 | 東洋紡績株式会社 | ヘルメット |
-
1992
- 1992-05-19 JP JP4126305A patent/JP2624081B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05321010A (ja) | 1993-12-07 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |