JP2623920B2 - 2次電子増倍装置用半導体磁器組成物 - Google Patents

2次電子増倍装置用半導体磁器組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、2次電子増倍装置に用いられる半導体磁
器組成物に関する。
(従来の技術) 半導体磁器からなる2次電子増倍装置としては、たと
えば、特公昭48−18026号公報、特公昭48−18029号公
報、特公昭48−18030号公報に記載されているように、
チタン酸亜鉛系半導体磁器からなるものが知られてい
る。
このうち、特公昭48−18026号公報のものは、必要個
所に電極を設けた筒よりなるものである。また、特公昭
48−18029号公報のものは、両端に電極を設けた板状体
に、両電極に垂直に複数個の孔を設けたものである。さ
らに、特公昭48−18030号公報のものは、同一長の筒を
複数個束ねたものである。
これらの2次電子増倍装置を構成するチタン酸亜鉛系
半導体磁器の具体的な組成としては、ZnO72.5モル、TiO
227.5モルのもの、およびZnO72.5モル、TiO227.5モル、
Al2O31.25モルからなるものが示されている。そして、
これら2種類の半導体磁器では、8×106Ω・cm、2.8×
106Ω・cmの抵抗率のものが得られるとしている。
(解決しようとする問題点) 2次電子増倍装置は、真空装置系に設置され、各種の
荷電粒子を検出する前に、この増倍装置に付着している
不要な物質を除去するために、真空中でベーキング処理
が行われる。この処理は通常、100〜350℃、数時間から
24時間程度かけて行われる。このとき、特に、300℃以
上で処理すると、上記した従来のチタン酸亜鉛系半導体
磁器では、抵抗値が初期の値に対して1/100〜1/1000低
下するという現象がみられた。
このため、このような増倍装置には高い電圧を印加す
ることができず、利用範囲が狭められていたという問題
があった。
(問題点を解決する手段) したがって、この発明は、真空中でのベーキング処理
を行っても、抵抗値の変化、増倍利得の変化の少ない2
次電子増倍装置を提供することを目的とする。
すなわち、この発明は、酸化亜鉛を主成分とし、この
主成分に対して酸化銅が0.2〜50モル%添加された酸化
亜鉛−酸化銅系半導体磁器からなることを特徴とする2
次電子増倍装置用半導体磁器組成物である。
また、この発明は、65〜80モル%の酸化亜鉛と、20〜
35モル%の酸化チタンからなるものを主成分とし、この
主成分に対して酸化銅が0.2〜50モル%添加された酸化
亜鉛−酸化チタン−酸化銅系半導体磁器からなることを
特徴とする2次電子増倍装置用半導体磁器組成物であ
る。
上記した組成範囲に限定した理由は、酸化亜鉛−酸化
銅系半導体磁器の2成分系において、また、酸化亜鉛−
酸化チタン−酸化銅系半導体磁器の3成分系において
も、いずれもベーキング処理した後、抵抗率の変化が小
さく、超高真空での動作が安定するからである。
(発明の効果) この発明にかかる2次電子増倍装置用半導体磁器組成
物によれば、ベーキング処理後の抵抗率の変化が小さ
く、ベーキング処理後においても実用レベルの利得が十
分に得られ、超高真空での動作も安定するという効果が
得られる。
(実施例) 使用原料として、酸化亜鉛、酸化銅、および酸化チタ
ンを準備し、これらを第1表に示す組成比率の半導体磁
器が得られるように配合した。配合原料をポリエチレン
内貼りポットミルにめのう玉石、純水とともに入れて、
20時間湿式粉砕、混合した。こののち、脱水、乾燥して
50〜200メッシュに粉砕、整粒した。
得られた粉末に小麦粉糊とパラフィンからなるバイン
ダーを加えて可塑物とした後、これを押出成形法によっ
て、管状に成形した。この成形物をアルミナ匣に共生地
原料を敷いた上に並べて、電気炉により第1表に示した
温度にて自然雰囲気中で約1時間焼成し、外径2.0mm、
内径1.0mm、長さ50.0mmの筒状の半導体導体磁器試料を
得た。
得られた試料について、室温で30V/mmの電圧を印加し
て常温での比抵抗を測定し、その結果を第1表に示し
た。なお、第1表において*印を付したものはこの発明
の範囲外のものであり、その他はすべてこの発明の範囲
内のものである。
また、増倍利得については、第1図に示す実験回路に
て測定した。
第1図において、1は筒状の半導体磁器、2、3は筒
の両端に形成された電極、4は電極2、3に接続された
直流電源、5はフィラメント、6はフィラメント電源、
7は電子加速用電源、8はコレクタ、9はコレクタ電
源、10は電子計数器である。以上の回路において、点線
で囲んだように、電源4、6、7、9、電子計数器10を
除き、すべて真空中に設置し、真空度を1.0×10-6Torr
とした。次いで、直流電源を4kV、電子加速用電源7を2
00Vとし、フィラメント5より放出させた電子を筒状半
導体磁器1の入射口から導入して、筒内の壁面に衝突さ
せて増倍し、増倍電子をコレクタ8で受けて、パルス数
を電子計数器10で計数して、2次電子増倍利得を測定し
た。その結果を第1表に示した。
次いで、1.6×10-6Torrの真空度で、400℃、4時間の
条件でベーキング処理を行い、各試料について、比抵
抗、および2次電子増倍利得を上記と同じ条件で測定し
た。その結果も第1表に併せて示した。
第1表の結果から明らかなように、この発明にかかる
2次電子増倍装置用半導体磁器組成物によれば、ベーキ
ング処理の前後で比抵抗、増倍利得に大きな変化が見ら
れず、実用上問題のない特性が得られるものである。
なお、原料として、上記実施例では酸化物を用いた
が、焼成により酸化物となるものであれば、炭酸塩、塩
化物、硝酸塩などを用いてもよい。また、焼成後の半導
体磁器に熱処理により酸化銅となる溶液を含浸させ、そ
の後熱処理してもよい。
また、構造としては、第1図に示したように、筒状で
直線状としたものの他に、第2図〜第8図に示したよう
な構造としてもよい。
つまり、第2図において、20は酸化亜鉛−酸化銅系半
導体磁器または酸化亜鉛−酸化チタン−酸化銅系半導体
磁器よりなる平板で、2枚の平板20を平行状に配置して
連続通路を23を形成したものである。平板20の外面は絶
縁されていてもよいが、内面は全部又は部分的に平板20
の一端から他端にかけて露出している。また、平板20の
両端には電極21、22が形成されている。なお、この他、
電極は平板の両端のみならず、必要により平板20の途中
の所要個所に複数形成すれば、さらに増倍能率を向上さ
せることができる。
第3図は、単位筒30を複数本束ねたもので、両端には
電極31、32が形成されている。筒30は全体が2次電子増
倍能を有する半導体磁器で構成されているため、筒30の
内面および外面とも2次電子増倍能を有しており、筒30
の連続通路33の内面のみならず、相隣接する筒30の間に
生ずる間隙34も2次電子増倍面として利用することがで
きる。
第4図は、断面三角形の筒40をピラミッド形に複数個
束ねたもので、両端に電極41、42を形成したものであ
る。この構造によれば、第3図のものと同様に、筒40の
連続通路43の内面のみならず、相隣接する複数個の筒40
の間に生じる間隙44もまた2次電子増倍面として利用で
きる。
第5図は、複数の筒50を捩り合せたもので、両端には
電極51、52が形成されている。この筒50は第1図に示し
た直線状の筒1にくらべてコレクタ側からの反極性粒子
(たとえば入来電子に対して陽イオン)の正帰還が抑制
でき、さらに見掛長に対して連続通路53の有効長を長く
することができ、動作をさらに安定させ、かつ2次電子
増倍利得を高めることができる。
第6図は、外径がほぼ断面八角形の筒60を多数束ねた
もので、両端には電極61、62が形成されている。この筒
60の外面には軸方向に八角形の辺が一すみおきに断面1/
4円と成る溝が形成されている。したがって、筒60の連
続通路63のみならず、相隣接する筒60の間に生ずる間隙
64も2次電子増倍面として利用でき、しかも横断面が均
一に揃っているため、たとえば、絵素の均一性と規則性
を必要とする影像増倍管などの用途に特に適合する。
第7図は、連続通路73を有し、外径が横断面六角形の
筒70を多数束ねたもので、両端には電極71、72が形成さ
れており、相隣接する筒70間に隙間をなくしたものであ
る。
なお、第6図、第7図の各種の例についても、必要に
応じて第5図のように、捩って使用してもよい。
第8図は、両端に電極81、82を形成した半導体磁器よ
りなる板状体80に、電極81、82に垂直に複数個の連続通
路83を形成したものである。
【図面の簡単な説明】 第1図は2次電子増倍利得を測定するための実験回路図
である。 第2図〜第8図はこの発明にかかる2次電子増倍装置用
半導体磁器を用いた2次電子増倍装置の構造例を示す斜
視図である。 1、30、40、50、60、70は酸化亜鉛−酸化銅系半導体磁
器または酸化亜鉛−酸化チタン−酸化銅系半導体磁器よ
りなる筒、20は酸化亜鉛−酸化銅系半導体磁器または酸
化亜鉛−酸化チタン−酸化銅系半導体磁器よりなる平
板、 80は酸化亜鉛−酸化銅系半導体磁器または酸化亜鉛−酸
化チタン−酸化銅系半導体磁器よりなる板状体。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化亜鉛を主成分とし、この主成分に対し
    て酸化銅が0.2〜50モル%添加された酸化亜鉛−酸化銅
    系半導体磁器からなることを特徴とする、2次電子増倍
    装置用半導体磁器組成物。
  2. 【請求項2】65〜80モル%の酸化亜鉛と、20〜35モル%
    の酸化チタンからなるものを主成分とし、この主成分に
    対して酸化銅が0.2〜50モル%添加された酸化亜鉛−酸
    化チタン−酸化銅系半導体磁器からなることを特徴とす
    る、2次電子増倍装置用半導体磁器組成物。
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