JP2622384B2 - 消磁装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、テープレコーダなどに使用するテープカセ
ット内の磁気テープを消磁する消磁装置に関する。

〔従来の技術〕

一般に、テープカセットのテープは再使用や秘密保持
のために必要に応じて随時記録内容を消去する消磁処理
が行なわれる。

従来、例えば多数のデジタルオーディオテープカセッ
トなどに使用される磁気テープを消磁処理する手段とし
て、テープをテープカセットから引出して所定の走行経
路上に位置決めすると共にテープの一部を消磁ヘッドに
近接せしめながら一定速度で巻取走行させるよう構成し
たものが知られている。なお、テープの消磁処理は、通
常第４図に示すように、所要のギャップＧを備えた消磁
ヘッドEHに対し、磁気テープMTの一部を接触させながら
所定の速度で一定方向に走行させることにより達成する
ことができる。この場合、消磁ヘッドEHに対しては、消
磁信号発振器OSCと信号増幅器AMPとを接続配置して、例
えば50KH_Zの消磁周波数からなる消磁信号を供給し、一
方磁気テープMTを収納するテープカセット（図示せず）
に対してリール駆動回路RDCを設けて、例えば30mm/Sの
テープ走行速度を保持するようテープカセットのリール
駆動を行うことにより、テープの消磁処理を行うことが
できる。

また、テープをテープカセットから引出して消磁ヘッ
ドの設けられた所定走行経路上に位置決めする手段とし
て、少なくとも２つのテープローディングポストを使用
している。このテープローディングポストは、テープの
内側からその一部に当接するローラ部を備え、これらロ
ーラ部を各別に支持する移動ブロックの一部がシャーシ
に形成されたガイド長孔に摺動自在に係合されており、
これら移動ブロックがガイド長孔に沿って移動すること
により、テープの一部を外方へ引出すよう構成されてい
る。

従って、このテープローディングポストは、テープ引
出し時において円滑に移動し、また消磁ヘッドへのロー
ディング完了後は所定の位置に確実に保持固定されるこ
とが要求される。

〔発明が解決しようとする問題点〕

前述したように、テープの消磁処理は、テープを消磁
ヘッドを経由するテープをテープ走行経路上に自動的に
ローディングするテープローディングポストを用いるこ
とにより、自動的にしかも連続的に行なうことができ
る。

しかしながら、前述したような従来の消磁装置は、テ
ープローディングポストを移動するために専用のローデ
ィングモータを要すると共に歯車・カム機構やリンク・
歯車機構などのような複雑な駆動機構を不可欠とし、こ
のため装置の構造を複雑化すると共に価格を上昇する難
点を有するものであった。また、テープローディングポ
ストの移動にはその移動機構が複雑なことから比較的長
時間を必要とし、このため消磁処理に比較的長時間を要
するものであった。

そこで、本発明の目的は、消磁すべきテープを消磁ヘ
ッド上にローディングするテープローディングポストの
移動を、専用の駆動源や複雑な駆動機構を要することな
くしかも迅速に達成することができる消磁装置を提供す
ることにある。

〔問題点を解決するための手段〕

先の目的を達成するために、本発明に係る消磁装置
は、 リール台に載置したテープカセット内の磁気テープを
テープカセット内の第一位置からテープカセット外の第
二位置まで移動して前記磁気テープを消磁ヘッドに近接
走行可能なテープ走行経路上に案内するテープ案内手段
を有するシャーシと、 このシャーシに摺動自在に配設され、シャーシに対す
る開放位置から装着位置までの摺動の間にシャーシ上の
テープカセットを被覆押圧する固定手段を有するスライ
ダと、 スライダのシャーシに対する開放位置においてテープ
案内手段を第一位置に位置させ、スライダのシャーシに
対する装着位置においてテープ案内手段を第二位置に位
置させるようテープ案内手段を移動させる移動機構と、 前記磁気テープが消磁ヘッドに近接走行可能なテープ
走行経路上に案内されているときに前記磁気テープを所
定速度で走行させると共に、前記消磁ヘッドに所定周波
数の消磁用信号を供給する消磁手段とを備えたことを特
徴とする。

〔作用〕

本発明に係る消磁装置によれば、スライダが開放位置
にセットされた状態でテープカセットがシャーシ上に位
置決め載置され、次いでスライダが挿着位置へ向けて摺
動されると、この摺動の間にテープカセットは固定手段
を介して確実に固定されると共に、テープはテープカセ
ット内の第一位置すなわちテープ取出し位置からテープ
カセット以外の第二位置すなわちテープ引出し位置へ移
動されるテープローディングポストによって消磁ヘッド
を経由する所定の走行経路上にローディングされる。し
たがって、スライダを摺動するだけのワンタッチ動作
で、すなわち駆動源や複雑な駆動機構を要することな
く、テープのローディングが迅速、簡単に行なわれる。

しかも、テープカセットは支持ピンならびに位置決め
ピンを介して正確に位置決めされると共に、一方テープ
ローディングポストは引張りスプリングの作用によりそ
れぞれテープ取出し位置あるいはテープ引出し位置に正
確に且つ安定して保持されるので、テープのローディン
グならびに走行が確実且つ正確に行なわれ、テープの消
磁が良好に達成される。

〔実施例〕

次に、本発明に係る消磁装置の一実施例につき添付図
面を参照しながら以下詳細に説明する。

第１図乃至第３図において、本発明の消磁装置10は、
基本的には、消磁ヘッド14に対向してテープカセット32
が位置決め載置されるシャーシ12と、このシャーシ12に
摺動自在に配設されるスライダ42とからなる。

先ず、テープカセット32はその前面側縁部に開閉蓋44
（第１図参照）を有し、そして磁気テープ36は前記開閉
蓋44内のスペースを通って両リール34,34の間に巻回収
納されている。そしてこのテープカセット32は、シャー
シ12上に立設した３本の支持ピン46にその底面を支承さ
れ、２本の位置決めピン48をその底面に設けたピン穴
（図示せず）に挿通され、そして２本の開閉ピン50でそ
の開閉蓋44を開かれた状態（第１図に２点鎖線で示され
ている）で、シャーシ12上のリール台に所定の高さで所
定の関係位置に載置されるように構成されている。

スライダ42は折起し状把持部66とシャーシ12の裏面両
側縁部に沿って延在する左右ガイド板68,70とからな
る。そしてこのスライダ42は左右ガイド板68,70に穿設
された長手方向ガイド溝72,74内に支持ピン76を止めビ
スなどを介して挿通されてシャーシ12に取付けられてお
り、支持ピン76がガイド溝72,74の一方（図において右
側）の端部に係合するスライダ開放位置（第２図に示す
位置）から支持ピン76がガイド溝72の他方（図において
左側）の端部に係合するスライダ装着位置（第３図に示
す位置）の間を摺動されるように構成されている。

シャーシ12にはその表面に穿設された円弧状ガイド溝
60,62内を移動してテープカセット32内のテープ36を引
出し、ローディングする２本のテープローディングポス
ト56,58が前記ガイド溝60,62から突出して設けられてい
る。このテープローディングポスト56,58は、これらポ
スト56,58をそれぞれ支持し且つ互いに噛合回転するよ
うシャーシ12の裏面に配設される２つのポスト移動用歯
車52,54と、これら歯車の一方の歯車52に噛合してこれ
ら歯車52,54を回動するようスライダ42の一方のガイド
板68の前半内周面に形成されるラック84とからなる移動
機構によって移動されるように構成されており、前述し
たスライダ42の開放位置においてテープローディングポ
スト56,58はこれらポストをテープカセット32内のテー
プ取出し位置（第１図および第２図に示される位置）に
規制する前記ガイド溝60,62の一方の端部（図において
下側端部）に係合し、スライダ42の装着位置においてテ
ープカセット32外の所定のテープ引出し位置（第３図に
示される位置）に規制する前記ガイド溝60,62の他方の
端部（図において上側端部）に係合するように構成され
ている。なお、一方のポスト移動用歯車52には引張りス
プリング64が付設されており、テープローディングポス
ト56,58は常時ガイド溝60,62の何れか一方の端部へ向け
て付勢されるように構成されている。

スライダ42の中央部には折曲げ状押え部材80が付設さ
れており、この押え部材80はスライダ42がその挿着位置
へ向けて摺動される間にシャーシ12上に載置さされるテ
ープカセット32上に被覆され、窓穴80aから押え部82aを
突出している押えばね82に依って前記テープカセット32
を押圧固定する。

なお、公知のリール駆動装置88を支持する支持パネル
90が取付けねじ92,スペーサ94および取付け穴96を介し
てシャーシ12の裏面所定位置に取付けられており、スイ
ッチ36aを介して駆動されるリールモータ36によって回
動されるリール駆動軸98,98がシャーシ12の表面から突
出されている。

このような構成において、先ず搬入装置（図示せず）
によって搬入されるテープカセット32は、ライダ42が開
放位置にセットされた状態（第２図の状態）で着脱駆動
機構（図示せず）によってシャーシ12上に載置される。
この場合、スライダ42は、引張りスプリング64によりポ
スト移動用歯車52およびラック84を介して図において左
方向へ付勢されており、支持ピン76,76がガイド溝72,74
の右側端部に係合する位置すなわち開放位置に安定且つ
正確に保持されている。したがって、テープカセット32
が支持ピン46,位置決めピン48および開閉ピン50を介し
て開閉蓋44を開かれた状態でシャーシ12上に正確に位置
決め載置されると、テープローディングポスト56,58は
テープ36の内側の位置すなわちテープ取出し位置に正確
に位置される。なお、リール駆動軸98,98がリール34,34
の軸穴内に挿通されることは勿論である。

次いで、消磁装置10は、着脱駆動機構によってスライ
ダ42の把持部66を挿着位置へ向けてすなわち第２図にお
いて右側へ押圧される。すると、スライダ42は支持ピン
70を介して容易に摺動される。そしてこの摺動の間に、
スライダ42はそのラック84を介してポスト移動用歯車5
2,54を回動し、テープローディングポスト56,58をガイ
ド溝60,62を通してテープ引出し位置方向へと移動し、
テープを引出し位置方向へ引出し、そしてこれと同時
に、その押え部材80をテープカセット12上へと被覆して
テープカセット12を押圧保持する。そして、最後にこの
スライダ42は第３図に示される挿着位置へ挿通される
が、この状態においては、スライダ42本体は引張りスプ
リング64の作用により図において右方向へ付勢され、し
たがって、支持ピン76,76がガイド溝72の左端部分に係
合する位置すなわち前述の装着位置に安定且つ正確に保
持されると共に、一方押え部材80はその押えばね82の押
え部82aを窓穴80aから持上げられた状態でテープカセッ
ト32を確実に押圧固定する。したがって、テープカセッ
ト32内のテープ36はテープ引出し位置へ正確に移動され
るテープローディングポスト56,58に導かれて、テープ3
6が消磁ヘッド14に所定の巻付角度で巻付けられる所定
のテープ走行経路38上に正確に且つ安定してローディン
グされる。次いで、消磁装置10は着脱駆動機構によって
スイッチ16aを介してリールモータを回動し、これによ
ってリール駆動軸98,98によってリール34,34が回動され
てテープ36が所定の速度で走行され、消磁ヘッド14によ
って消磁が行なわれる。

このようにして消磁処理が完了すると、消磁装置10の
スライダ42が着脱駆動機構によって再び開放位置へと摺
動され、これによって固定を解放されたテープカセット
32が同じく着脱駆動装置によって搬出装置へ搬出され
る。そして、消磁装置10には次のテープカセット32が順
次搬入され、前述の工程に従って消磁処理が自動的に且
つ連続的に行なわれる。

以上説明したように、本発明の消磁装置は、消磁装置
を構成するスライダを摺動するだけで消磁すべきテープ
を消磁ヘッド上にローディングすることができる。した
がって、このようにテープのローディングがワンタッチ
で行なわれるので、テープの消磁処理が迅速に行なわれ
る。また、このようにテープのローディングがスライダ
の簡単な摺動機構のみによって行なわれるので、すなわ
ち従来必要とされた専用の駆動源や複雑な駆動機構を必
要としないので、消磁装置の構造が簡単化され価格が低
減される。しかも、テープカセットのローディングが正
確に行なわれるので、消磁処理が良好に達成される。

以上、本発明を好適な実施例について説明したが、本
発明はその精神を逸脱することなく多くの設計変更をな
し得ることは勿論である。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明に係る消磁装置は、これ
を消磁ヘッドに対向してテープカセットが位置決め載置
されるシャーシとこのシャーシに摺動自在に配設される
スライダとから構成し、テープローディングポストの移
動をスライダの摺動によって行えるように構成したの
で、消磁すべきテープの消磁ヘッドへのローディングを
従来必要とされたテープローディングのための専用の駆
動源や複雑な駆動機構を要することなく、しかもワンタ
ッチ動作で達成することができる。したがって、消磁装
置の構造を簡単化できると共に価格を低減することがで
きる。また、これと同時に、テープローディングが迅速
に行なわれ、消磁処理時間を短縮することができる。

さらに、本発明の消磁装置によれば、テープカセット
が正確確実に位置決めされると共にテープローディング
ポストの移動が正確安定して行なわれるので、テープロ
ーディングが正確，確実に行なわれ、したがって消磁処
理が良好に達成される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る消磁装置の一実施例を示す分解組
立図、第２図は第１図に示す消磁装置のスライダを開放
位置にセットした状態における一部切欠平面図、第３図
は第１図に示す消磁装置のスライダを装着装置にセット
した状態における一部切欠平面図、第４図は消磁装置の
消磁処理とその制御部の概略図である。 10…消磁装置、12…シャーシ 14…消磁ヘッド、16…リールモータ 32…テープカセット、34…リール 36…テープ、38…テープ走行経路 42…スライダ、44…開閉蓋 46…支持ピン、48…位置決めピン 50…開閉ピン 52,54…ポスト移動用歯車 56,58…テープローディングポスト 60,62…ガイド溝 64…引張りスプリング 66…把持部 68,70…ガイド板、72,74…ガイド溝 76…支持ピン、80…押え部材 82…押えばね、84…ラック 88…リール駆動機構、90…支持パネル 92…取付ねじ、94…スペーサ 96…取付穴、98…リール駆動軸

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】リール台に載置したテープカセット内の磁
   気テープをテープカセット内の第一位置からテープカセ
   ット外の第二位置まで移動して前記磁気テープを消磁ヘ
   ッドに近接走行可能なテープ走行経路上に案内するテー
   プ案内手段を有するシャーシと、 このシャーシに摺動自在に配設され、シャーシに対する
   開放位置から装着位置までの摺動の間にシャーシ上のテ
   ープカセットを被覆押圧する固定手段を有するスライダ
   と、 スライダのシャーシに対する開放位置においてテープ案
   内手段を第一位置に位置させ、スライダのシャーシに対
   する装着位置においてテープ案内手段を第二位置に位置
   させるようテープ案内手段を移動させる移動機構と、 前記磁気テープが消磁ヘッドに近接走行可能なテープ走
   行経路上に案内されているときに前記磁気テープを所定
   速度で走行させると共に、前記消磁ヘッドに所定周波数
   の消磁用信号を供給する消磁手段とを備えたことを特徴
   とする消磁装置。