JP2622193B2 - アクティブマトリクス基板検査装置及びアクティブマトリクス基板の検査方法 - Google Patents

アクティブマトリクス基板検査装置及びアクティブマトリクス基板の検査方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示装置を構成す
るアクティブマトリクス基板上に生じる欠陥を検出する
ための、アクティブマトリクス基板検査装置及びそれを
用いたアクティブマトリクス基板の検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクティブマトリクス方式の液晶表示装
置は、アクティブマトリクス基板を有している。アクテ
ィブマトリクス基板は、絶縁性基板上にマトリクス状に
配列した絵素電極と、各絵素電極に接続された薄膜トラ
ンジスタ(以下では「TFT」と称する)等の能動素子
とを有する。能動素子としては、2端子素子、3端子素
子等が用いられる。
【0003】2端子素子として、ダイオードリング、バ
ックトゥダイオード、金属−絶縁層−金属(MIM)等
を用いたアクティブマトリクス表示装置の等価回路図を
図4に示す。このアクティブマトリクス表示装置は、複
数の信号線31と、この信号線31と交差する複数の走
査線35とを有している。走査線35と信号線31とに
よって囲まれる各領域には、2端子素子32と絵素容量
37が配されている。このアクティブマトリクス表示装
置は、図5(a)に示すアクティブマトリクス基板と、
図5(b)に示す対向基板との間に、液晶層34(図
4)を挟むことにより構成されている。図5(a)に示
すアクティブマトリクス基板には、信号線31と2端子
素子32が設けられ、2端子素子32の一方の端子は信
号線31に接続され、他方の端子は絵素容量37に接続
されている。絵素容量37はアクティブマトリクス基板
(図5(a))上の絵素電極33と、対向基板(図5
(b))上の対向電極36と、これらの基板間に挟まれ
ている液晶層34とによって構成されている。この表示
装置では、走査線35と信号線31とによって選択され
た絵素容量37に電荷が蓄積され、液晶層34の光学的
特性が変調される。
【0004】3端子素子として、TFTを用いたアクテ
ィブマトリクス表示装置の等価回路図を図6に示す。図
6の表示装置は、前述の図4の表示装置に於ける2端子
素子に代えて、TFT40が配された構成を有してい
る。この表示装置は、第7図に示すアクティブマトリク
ス基板42と、絶縁性基板上の表示領域全面に透明導電
層によって形成された対向電極を有する対向基板(図示
せず)と、アクティブマトリクス基板42と対向基板と
の間に挟まれた液晶層34とによって構成されている。
アクティブマトリクス基板42上には、複数の走査線3
5と、該走査線35に交差する複数の信号線31とが絶
縁状態で交差している。走査線35にはTFT40のゲ
ート電極41が接続され、信号線31にはTFT40の
ソース電極42が接続されている。TFT40のドレイ
ン電極43には絵素電極33が接続されている。
【0005】この表示装置は、以下のように動作する。
まず、1本の走査線35が選択され、これに接続された
TFT40のゲート電極41にオン電圧が印加される。
このとき、複数の信号線31に、同時に或いは順に映像
信号が出力される。出力された映像信号は、TFT40
のソース電極42及びドレイン電極43を介して絵素容
量37に蓄積される。絵素容量37に蓄積された映像信
号は、走査線35の電圧がオフとなった後、次にオン電
圧が印加されるまでの1フレームの間保持される。この
映像信号の電圧により、絵素容量37の液晶層34の液
晶分子の配向変換が行われ、表示が行われる。この映像
信号の保持特性を向上させるため、絵素容量37と並列
に付加容量が設けられることもある。また、カラー表示
を行う場合には、各絵素に対応してカラーフィルタが設
けられる。
【0006】このようなアクティブマトリクス表示装置
に於いては、アクティブマトリクス基板上に少なくとも
数万個の能動素子及び絵素電極が形成されるため、製造
工程で欠陥が発生することがある。アクティブマトリク
ス基板上に発生する欠陥は、ライン欠陥と点欠陥とに分
けられる。ライン欠陥には、走査線35又は信号線31
の断線、走査線35間のリーク、信号線31間のリー
ク、及び走査線35と信号線31との間のリークによる
ものがある。点欠陥には、能動素子のオン特性不良及び
オフ特性不良、並びに絵素電極33と走査線35及び信
号線31との間のリークに起因するものがある。
【0007】このような欠陥は、製造工程での検査によ
って検出されなければならない。ライン欠陥の場合に
は、アクティブマトリクス基板を作成した段階で検出す
ることができる。即ち、各走査線35及び各信号線31
のオープンチェック、並びに走査線35間、信号線31
間、及び走査線35と信号線31と間のショートチェッ
クを行うことにより、ライン欠陥は検出される。一方、
アクティブマトリクス基板上のTFT等の素子の特性
は、絵素電極33にプローブ用の針を接触させておき、
走査線35及び信号線31に適当な電圧を印加する方法
が用いられている。この方法は、処理速度が遅いため実
用的ではなく、また、アクティブマトリクス基板に損傷
を与える可能性もあるため、全ての絵素について検査を
行うには不向きである。このため実際には、欠陥の検出
は、表示装置として組み立てた状態で、実際に模擬駆動
信号を入力することにより行われる。これは、表示装置
として組み立てた状態で行う方が、アクティブマトリク
ス基板の状態で行うより検査が容易で正確だからであ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】実際のアクティブマト
リクス基板上の欠陥の検出は、上述のように表示装置を
組み立てた状態で行われるが、アクティブマトリクス基
板の状態で欠陥を簡便に検査できれば、それ以降の、例
えば配向膜、液晶、対向基板、対向基板上のカラーフィ
ルタの材料費等の製造コストを低減することができると
いう利点がある。しかし、上述のように、アクティブマ
トリクス基板の状態では実用的な欠陥の検出を行うこと
ができない。
【0009】本発明はこのような従来の問題点を解決す
るものであり、本発明の目的は、アクティブマトリクス
基板上の全ての絵素について、表示装置として組み立て
た状態ではなく基板の状態で、簡便に検査することがで
きるアクティブマトリクス基板検査装置を提供すること
である。本発明の他の目的は、その検査装置を用いたア
クティブマトリクス基板の検査方法を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のアクティブマト
リクス基板検査装置は、透明絶縁性基板と、該基板上に
形成された透明導電膜と、該透明導電膜上に形成された
配向膜と、該配向膜に液晶層を挟んで対向するポリマー
シートと、該配向膜と該ポリマーシートとの間の液晶層
の層厚を一定にするスペーサと、を備えており、そのこ
とによって上記目的が達成される。
【0011】本発明のアクティブマトリクス基板の検査
方法は、上記のアクティブマトリクス基板検査装置を用
いたアクティブマトリクス基板の検査方法であって、該
検査装置の前記ポリマーシート側に、検査すべきアクテ
ィブマトリクス基板を対置させ、該アクティブマトリク
ス基板上の絵素電極と、該検査装置の前記透明導電膜と
の間に電圧を印加し、該液晶層の光学的変調を検出し、
該アクティブマトリクス基板上の欠陥を検出しており、
そのことによって上記目的が達成される。
【0012】
【作用】欠陥の検出は、アクティブマトリクス基板検査
装置のポリマーシート側に、検査すべきアクティブマト
リクス基板を、所定の距離を隔てて対置させて行われ
る。この状態で、検査装置の基板上の透明導電膜と、ア
クティブマトリクス基板上の絵素電極との間に電圧が印
加されると、正常に機能している絵素電極上では液晶層
の光学的変調が正常に行われる。しかし、何らかの欠陥
により正常に機能していない絵素電極上では、液晶層の
光学的変調が行われないので、視覚によって絵素欠陥が
確認できる。
【0013】
【実施例】本発明の実施例について以下に説明する。図
2(c)に本発明のアクティブマトリクス基板検査装置
の一実施例の断面図を示す。図2(a)及び(b)はそ
の製造工程を示す図である。本実施例のアクティブマト
リクス基板検査装置20は、透明絶縁性基板1と、該基
板1上に形成された透明導電膜2と、該透明導電膜2上
に形成された配向膜3と、該配向膜3に液晶層4を挟ん
で対向するポリマーシート5と、該配向膜3と該ポリマ
ーシート5との間の液晶層4の層厚を一定にするスペー
サ6とを備えている。
【0014】本実施例のアクティブマトリクス基板検査
装置を製造工程に従って説明する。まず、ガラス等の透
明絶縁性基板1上に、透明導電膜2を形成する。透明導
電膜2は、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウム
・スズ等からなる。2端子素子を有するアクティブマト
リクス基板用の検査装置を作成する場合には、透明導電
膜2は、検査すべきアクティブマトリクス基板上の絵素
電極と同じ幅で、走査線と同じ方向にパターン形成され
る。3端子素子を有するアクティブマトリクス基板用の
検査装置を形成する場合には、透明導電膜2は基板1上
の全面に形成される。
【0015】透明導電膜2上には液晶分子を配向させる
ための配向膜3が形成される。配向膜3は、ポリイミド
系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、SiO2等から
なる膜をラビング処理することにより、又はSiO等の
酸化物、フッ化物、Au、Al等の金属及びその酸化物
を斜方蒸着することにより、形成される。配向膜3上に
は、液晶層4の層厚を一定にするためのスペーサ6が散
布される。次に、液晶が封入される部分の周囲にシール
材7が形成される。
【0016】次に、シール材7が形成された基板上に、
延伸したポリマーシート5が貼付される。ポリマーシー
ト5は、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル等
の高分子膜を延伸することにより得られる。また、ポリ
マーシート5の厚さは1μmから100μmの範囲内で
あることが好ましい。ポリマーシート5の厚さが1μm
より薄いと該シート5の強度が劣り、100μm以上で
は検査時に液晶層4に十分な電界を加えることができな
いので好ましくない。配向膜3とポリマーシート5との
間には、液晶層4が封入される。液晶層4は、十分に液
晶に浸しておいたポリマーシート5をスペーサ6上に貼
付するか、又はシール材7の一部に液晶の注入口を設け
ておき、ポリマーシート5を貼付した後に、真空にして
注入口を閉じることにより封入される。以上により本実
施例のアクティブマトリクス基板検査装置20が得られ
る。
【0017】本実施例では、一般的な液晶表示装置に用
いられるネマティック液晶を用い、配向膜3のラビング
処理方向とポリマーシート5の延伸方向との捻れ角が9
0°のツイステッドネマティック(TN)モードを用い
た。本実施例では、検査すべきアクティブマトリクス基
板が用いられる液晶表示装置の表示モードは通常TNモ
ードなので、検査装置20もTNモードとした。しか
し、コントラストを大きくして検査を容易にするため
に、捩れ角が更に大きいスーパーツイステッドネマティ
ック(STN)モードを用いてもよい。また、アクティ
ブマトリクス基板検査装置に用いるモードは、検査しよ
うとする表示装置に用いられる表示モードと同じとする
ことが好ましい。
【0018】本実施例のアクティブマトリクス基板検査
装置20を用いたアクティブマトリクス基板の検査方法
を図1を用いて説明する。まず、図1に示すように、ア
クティブマトリクス基板検査装置20のポリマーシート
5側に、検査すべきアクティブマトリクス基板42を対
置させる。アクティブマトリクス基板42は、前述の第
7図に示すものを用いた。検査装置20のポリマーシー
ト5とアクティブマトリクス基板42とは接していても
よく、また、所定の距離を置いてもよい。このの距離は
100μm以下である。この距離が100μmより大き
くなると、液晶層4に十分な電界を印加することができ
なくなるので好ましくない。検査装置20及びアクティ
ブマトリクス基板42の外側には、偏光素子21及び2
2をそれぞれ設ける。偏光素子21及び22に代えて、
偏光板を用いてもよい。偏光素子21及び22は、その
偏光軸が互いに90°又は0゜の角度を成すように配さ
れる。
【0019】このような検査装置20、アクティブマト
リクス基板42、並びに偏光素子21及び22の配置
は、実際の液晶表示装置の配置と類似している。即ち、
検査装置20の絶縁性基板1、透明導電膜2、及び配向
膜3は、それぞれ対向基板上の絶縁性基板、対向電極、
及び配向膜に相当している。また、液晶層4は液晶表示
装置の液晶層として機能し得る。このような配置に於い
て、アクティブマトリクス基板42上の走査線35及び
信号線31と、検査装置20の透明導電膜2とに、実際
の駆動信号を模した信号電圧を印加すれば、実際の表示
状態と同じようにしてアクティブマトリクス基板42の
検査を行うことができる。検査に用いる模擬信号の一例
を図3に示す。図3(a)は基板42の走査線35に印
加される走査電圧、図3(b)は信号線31に印加され
る信号電圧、図3(c)は検査装置20の透明導電膜2
に印加される電圧をそれぞれ示している。
【0020】図3に示す模擬信号を走査線35、信号線
31及び透明導電膜2に入力すると、正常に機能する絵
素電極33には、オン状態となったTFT40を介して
絵素電極33に電荷が充電され、TFT40がオフ状態
となっている間も充電された電荷が保持される。液晶層
4の配向膜3側の面に於ける電位とポリマーシート5側
の面に於ける電位との差VLCは、絵素電極33と透明導
電膜2との間の電位差をVとし、配向膜3、液晶層4、
ポリマーシート5、及びポリマーシートとアクティブマ
トリクス基板42との間の空気層の容量値を、それぞれ
MA、CLC、CPS、及びCAIRとすれば、次の数1で表
される。
【0021】
【数1】
【0022】この電位差VLCに応じて液晶分子の配向が
変化する。正常に機能している絵素電極33上では液晶
層4の液晶分子の配向状態が変化し、表示が正常に行わ
れる。しかし、走査線35又は信号線31の断線、走査
線35や信号線31のリーク、TFT40の特性不良、
絵素電極33のリーク等の欠陥により、絵素電極33が
正常に機能していない場合には、液晶層4の液晶分子の
配向状態が正常に変化せず、正常な表示が行われない。
このような欠陥は、目視又はCCDカメラ等を用いて容
易に検出することができる。
【0023】尚、検査すべきアクティブマトリクス基板
の表示部分の面積が、アクティブマトリクス基板検査装
置20によって検査できる面積より大きい場合には、検
査装置20を移動させて、上述の検査を数回行うことに
より、全表示部分を検査することができる。
【0024】また、能動素子として2端子素子を用いた
アクティブマトリクス基板を検査する場合には、透明導
電膜2が検査すべきアクティブマトリクス基板上の絵素
電極と同じ幅を有し、走査線と同じ方向にパターン形成
された検査装置を用いればよい。この場合にも、実際の
表示を行う駆動信号を模した信号を用いて、アクティブ
マトリクス基板の検査を行うことができる。
【0025】
【発明の効果】本発明のアクティブマトリクス基板検査
装置を用い、本発明のアクティブマトリクス基板の検査
方法によって検査を行えば、アクティブマトリクス基板
上の欠陥を、表示装置として組み立てた状態ではなく基
板の状態で、簡便に検出することができる。アクティブ
マトリクス基板の欠陥が検出されれば、それ以降の工程
を中止することにより、材料の無駄をなくし、製造コス
トを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクティブマトリクス基板検査装置を
用いた、アクティブマトリクス基板の検査方法を示す図
である。
【図2】本発明のアクティブマトリクス基板検査装置の
製造工程を示す図である。
【図3】図1のアクティブマトリクス基板の検査方法に
用いられる、模擬信号を示す図である。
【図4】2端子素子を用いたアクティブマトリクス表示
装置の等価回路図である。
【図5】(a)は図5の表示装置を構成するアクティブ
マトリクス基板の等価回路図、 (b)は図5の表示装置を構成する対向基板の等価回路
図である。
【図6】3端子素子を用いたアクティブマトリクス表示
装置の等価回路図である。
【図7】図6の表示装置を構成するアクティブマトリク
ス基板の等価回路図である。
【符号の説明】
1 透明絶縁性基板 2 透明導電膜 3 配向膜 4 液晶層 5 ポリマーシート 6 スペーサ 7 シール材 20 アクティブマトリクス基板検査装置 21,22 偏光素子 33 薄膜トランジスタ 40 TFT 42 アクティブマトリクス基板
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G09G 3/36 G09G 3/36 (56)参考文献 特開 平4−81889(JP,A) 特開 平3−142498(JP,A) 特開 昭62−170935(JP,A) 特開 昭47−13968(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明絶縁性基板と、該基板上に形成された
    透明導電膜と、該透明導電膜上に形成された配向膜と、
    該配向膜に液晶層を挟んで対向するポリマーシートと、
    該配向膜と該ポリマーシートとの間の液晶層の層厚を一
    定にするスペーサと、を備えたアクティブマトリクス基
    板検査装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のアクティブマトリクス基
    板検査装置を用いたアクティブマトリクス基板の検査方
    法であって、該検査装置の前記ポリマーシート側に、検
    査すべきアクティブマトリクス基板を対置させ、該アク
    ティブマトリクス基板上の絵素電極と、該検査装置の前
    記透明導電膜との間に電圧を印加し、該液晶層の光学的
    変調を検出し、該アクティブマトリクス基板上の欠陥を
    検出するアクティブマトリクス基板の検査方法。
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