JP2621131B2 - 燃料噴射ポンプの噴射量制御装置 - Google Patents

燃料噴射ポンプの噴射量制御装置

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JP2621131B2
JP2621131B2 JP59211174A JP21117484A JP2621131B2 JP 2621131 B2 JP2621131 B2 JP 2621131B2 JP 59211174 A JP59211174 A JP 59211174A JP 21117484 A JP21117484 A JP 21117484A JP 2621131 B2 JP2621131 B2 JP 2621131B2
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    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明は燃料噴射ポンプの噴射量制御装置に関し、詳
しくは燃料噴射ポンプの噴射量調整部材の位置を制御す
るアクチュエータを、系のダイナミックモデルに基づい
て制御する燃料噴射ポンプの噴射量制御装置に関する。
[従来の技術] 内燃機関、特にディーゼルエンジンの燃料噴射を行な
う燃料噴射ポンプの噴射量制御装置として、従来より分
配(VE)型等の燃料噴射ポンプが知られているが、燃料
噴射量を内燃機関の運転条件に応じて緻密に制御する為
に、その噴射量調整部材(溢流時期調整部材)、例えば
スピルリングを電気的なアクチュエータによって制御す
るものが提案されている(例えば特開昭58−67932号公
報の燃料噴射ポンプの吐出量調整装置)。第7図はこう
した燃料噴射ポンプの制御系を示したものである。これ
は、内燃機関の運転条件を検出する各種センサ群1の信
号出力をアクチュエータ制御手段としての電子制御回路
2に入力すると共に、燃料噴射ポンプの溢流時期調整部
材3、例えば分配型燃料噴射ポンプにおいて回転運動及
び往復運動を同時に行なうポンププランジャに外嵌され
たスピルリング3の実位置を電気的な位置検出手段4に
よって検出し、実位置を示すこの検出信号を電子制御回
路2に入力し、両信号より電子制御回路2において、内
燃機関の運転条件より定まる最適な燃料噴射量となるよ
う溢流時期調整部材3の目標位置、即ち燃料噴射終了タ
イミングを求め、アクチュエータ5を介して溢流時期調
整部材(スピルリンゲ)3を目標位置まで駆動・制御す
るような制御系である。
こうた制御系では、従来アクチュエータ5によって制
御された溢流時期調整部材3の実位置をフィードバック
して、即ち実位置と目標位置との偏差が小さくなる様に
アクチュエータ5を制御していた。フィードバックによ
る帰還の大きさを決めるのが所謂ゲイン(P、増幅度)
であり、この他偏差の積分量(I)や微分量(D)等を
適宜帰還して所謂PID制御を行なうものも知られてい
る。
[発明が解決しようとする問題点] かかる従来技術としてのフィードバック制御において
は次のような問題が存在した。即ち、 (1)従来のフィードバック制御では基本的には、目標
値と実位置との偏差に応じて制御量を求めている。そこ
で、応答性を良好にしようとするには帰還量の大きさで
あるゲイン(P)を上げることになるが、ゲインを大き
くすると過制御となってしまい、大きなオーバーシュー
ト,ダウンシュートを生じ、時には発振現象を引きおこ
すことさえあり、燃料噴射量が最適な燃料噴射量からは
ずれてしまうことがあるという問題があった。
(2)一方、制御の安定性を充分なものとする為にゲイ
ンを下げれば応答性が悪くなってしまい、内燃機関の運
転条件の変化に燃料噴射量が追従せず、空燃比が適正値
から大きくはずれて失火や黒煙発生を招いたり、出力が
要求に追従せずドライバビリティが悪化するなど種々の
問題を生じることがあった。
(3)そこで、応答性を満足する為に微分量を加えたり
安定性を良好とする為に積分量を加えるなどして系の過
渡特性を改善しようとするPID制御も提案されている
が、実際の制御系において過渡特性を充分なものとする
為の一般的な評価の方法がなく、ゲイン(P),積分量
(I),微分量(D)を適当に変化させて実際の制御を
実行するいわば試行錯誤に頼らざるを得ず、しかも必ず
しも要求する燃料噴射量の過渡特性が実現できるとは限
らないので取扱いが困難であるという問題があった。
本発明の目的はこれらの問題を解決して、設計が容易
で過渡特性の優れた燃料噴射ポンプの噴射量制御装置を
提供することにある。
発明の構成 [問題点を解決するための手段] 上記の問題を解決して発明の目的を達成する為に、第
1図に示すように、 燃料噴射ポンプ1より圧送される燃料の噴射量を調整
する噴射量調整部材(例えばスピルリング)IIと、 該噴射量調整部材IIを駆動して燃料噴射量の調整を行
なうアクチュエータ(例えばリニアソレノイド)III
と、 該噴射量調整部材IIIの実位置を検出する位置検出手
段(例えば作動トランス)IVと、 内燃機関の運転条件(例えば空燃比や負荷の大きさ)
に基づいて定まる燃料噴射量に対応した前記噴射量調整
部材IIの目標位置と前記検出された噴射量調整部材IIの
実位置とに基づき、前記目標位置に前記噴射量調整部材
IIを制御する為の前記アクチュエータIIIの制御量を求
め、これをアクチュエータIIIに出力するアクチュエー
タ制御手段Vと、 を備えた燃料噴射ポンプの噴射量制御装置において、 前記アクチュエータ制御手段Vが、 予め記憶された前記燃料噴射ポンプIの噴射量調整部
材IIの位置を制御する系のダイナミックモデルに基づ
き、前記噴射量調整部材IIの実位置とアクチュエータII
Iに出力される前記制御量とから、該系の動的な内部状
態として前記アクチュエータIIIに流れる電流とアクチ
ュエータIIIの駆動速度とを表す適当な次数の状態変数
量を推定する状態観測部VIと、 前記噴射量調整部材IIの目標位置と実位置との偏差の
積分値または累積値を求める累積部VIIと、 前記推定された状態変数量と前記求められた累積値と
から、前記噴射量調整部材IIを目標位置に制御する為の
アクチュエータIIIの制御量を決定するフィードバック
ゲイン設定部VIIIと、 を備えることを特徴とする燃料噴射ポンプの噴射量制御
装置を要旨とする。
ここで燃料噴射ポンプとしては分配型(VE型)の燃料
噴射ポンプの他、列型燃料噴射ポンプであっても差支え
ない。分配型の燃料噴射ポンプでは噴射量調整部材がス
ピルリングであり、一方列型燃料噴射ポンプではコント
ロールトラックが噴射量調整部材にあたる。緻密な制御
を実現するためには質量が小さく慣性の小さなスピルリ
ングを制御する方が良いが、アクチュエータの駆動力を
大きくするなどすれば列型燃料噴射ポンプのコントロー
ルラックの制御を正確に行なえることは言うまでもな
い。
アクチュエータとしては、リニアソレノイド(プラン
ジャ)型の他、ロータリソレノイド型のもの、あるいは
各種のサーボモータや、負圧を制御してダイアフラムの
変位により噴射量調整部材を駆動するようなアクチュエ
ータ等も使用することができる。あるいは特開昭58−21
7755号の如く、スピルリングを直接ロータリソレノイド
の可動部とするようなアクチュエータ−噴射量調整部材
の構成をとることも何ら差支えない。この場合、スピル
リングとアクチュエータが一体化されているので燃料噴
射ポンプが小型化できるという利点が存在する。
又、このアクチュエータによって駆動される噴射量調
整部材の実位置を検出する位置検出手段としては、差動
トランスの他、ポテンショメータやその他各種の位置測
定センサを使用することができる。更に燃料噴射量を流
量センサやノズルの閉弁時間を知ることによって検出
し、これを噴射量調整部材の位置として扱うことも、制
御の精度を向上させる上で有効である。
噴射量調整部材の目標位置、即ち燃料噴射量を定める
内燃機関の運転条件としては、内燃機関の空燃比や負
荷,吸入空気量,暖機状態,吸気温度あるいは加減速状
態等のうちすくなくともひとつあるいはその内の幾つか
の組合わせを考えることができ、本発明の燃料噴射ポン
プの噴射量制御装置が用いられる内燃機関の態様に合わ
せて選択し、例えば空燃比制御装置等として構成し、機
関の各種センサの出力信号に基づいて噴射量調整の目標
位置を本発明におけるアクチュエータ制御手段に入力す
る構成とすればよい。
次にアクチュエータ制御手段であるが、後で作用・実
施例の各項で詳述するように、噴射量調整部材の位置を
検出しつつアクチュエータによってこれを目標位置へ制
御する系のダイナミックモデルを構築し、これに従って
導かれる状態変数量を用いて制御を行なうものであっ
て、通常マイクロコンピュータを用いROM,RAM等の周辺
素子と共に構成される。状態変数量としてはアクチュエ
ータの挙動を最も適確に制御するものとして、その実位
置の他にアクチュエータに流れる電流や駆動速度を用い
ればよい。
[作用] 上記構成を有する本発明の燃料噴射ポンプの噴射量制
御装置は、燃料噴射量を定める燃料噴射ポンプの噴射量
調整部材を駆動・制御するに際して、その実位置を検出
すると共に、予め記憶された噴射量調整部材を制御する
系のダイナミックモデルに基づき噴射量調整部材の実位
置とアクチュエータの制御量とから状態観測部によって
推定された適当な次数の状態変数量と、累積部によって
求められた噴射量調整部材の目標位置と実位置との偏差
の累積値とから、フィードバックゲイン設定部によって
アクチュエータの制御量を決定して、噴射量調整部材を
制御している。
この制御系を第2図に示す。図において10はアクチュ
エータ−噴射量調整部材−位置検出手段を有する制御対
象としての燃料噴射ポンプ、12はアクチュエータ制御手
段として以下の構成を有するレギュレータ、14は状態観
測部、16は累積部、18はフィードバックゲイン設定部で
ある。ここでは各部をブロックで示したが、これは制御
系のモデルであってハード的な構成を示すものではな
い。
以下に、本発明において取扱う燃料噴射ポンプのアク
チュエータ−噴射量調整部材−位置検出手段からなる制
御対象のダイナミックモデルと上記制御系とについて詳
述するが、以下の説明において 如き添字は行列の転置を、 の如き添字-1は逆行列を、更に はそれが推定値であることを、 は制御対象とは別の系、ここでは状態観測部14(以下、
オブザーバと呼ぶ)で扱われている量であることを、y
の如き記号は目標値であることを、各々示してい
る。
第2図において、ykは内燃機関の運転条件より定
められる燃料噴射量に対応する噴射量調整部材の目標位
置を、ykは噴射量調整部材の実位置を、ekは目標位置
ykと実位置ykの差分(yk−yk)を、Zは累積部
16で求められた上記の差分ekの累積値(Zk=Zk−1+
T・e k−1)を、Tはサンプリング周期を、ukは噴射
量調整部材を駆動・制御するアクチュエータへ出力され
る制御量(ここでは印加電圧)を、 は実位置ykと制御量ukとからオブザーバ14によって推
定された状態変数量を、 はフィードバックゲイン設定部18で設定された最適フィ
ードバックゲインを、各々表わしている。尚、添字kは
初期状態からのサンプリング回数を示しており、kは現
在制御が行なわれている時点を、k−1は前回サンプリ
ングが行なわれた時点を、意味している。
次に上記構成を有するレギュレータ12の設計と制御に
ついて説明する。制御対象の動的な挙動を表わす状態変
数モデルは、状態方程式と出力方程式とを用いて と導かれる。ここで、(1)の状態方程式は、制御対象
の現在の状態Xu−1、現在の入力u k−1とから、制御
対象の将来の状態Xkを記述するものであり、(2)の出
力方程式は、制御対象の現在の状態Xk−1から、制御対
象の現在の出力y k−1を記述するものである。
は制御対象、ここではアクチュエータ−噴射量調整部材
−位置検出手段の被制御系にとっての制御入力ベクトル
であって、ある時点から線形近似が成立する範囲内で制
御対象に加える制御量を、この系では印加電圧を示して
いる。又、 は制御対象の出力を意味する制御出力ベクトルであっ
て、通常の多変数制御系ではひとつ以上の出力値を示
す。ここでは噴射量調整部材の実位置を示す量(例えば
電圧値)である。第2図に示した系では制御対象にとっ
ての制御入力ベクトル は各々ひとつの変数しかもたないので、スカラ量uk
(印加電圧),yk(実位置信号)とすることができる。
更に、式(1),(2)において は状態変数ベクトルであって、一般には制御対象の内部
状態を示す要素から成るベクトルである。本発明では状
態変数ベクトル の要素として、制御対象(アクチュエータ)に流れる電
流値IDkと制御対象(噴射量調整部材)の動く速度VSkと
を各状態変数としてとらえている。又、実位置信号yk
は推定する必要はなく、位置検出手段の出力ykをその
まま用いて状態変数VPkとすることができる。
上述の式(1),(2)における行列 は制御系の物理モデルに従ってその諸元の形が定まり、
更に実験によって具体的な値を求めることができ、結果
的に定数行列として算出される。
第2図に示すようにレギュレータ12はオブザーバ14に
よって制御対象の状態変数 を推定する。これがオブザーバ14の出力 であって、推定された状態変数量 は離散的にサンプリングが行なわれるような場合には とも表わせる。
ここで、オブザーバ14が推定する状態変数ベクトル を制御において実際の状態変数ベクトルとして扱うこと
ができるという根拠は次の点にある。今、オブザーバの
出力 を次式(3)のように構成したとする。
ここで、(3)式は、k時点での、制御対象の状態変
一つ前の時点k−1での める式である。式(3)において は任意に与えられる行列である。式(1),(2),
(3)より変形すると、 を得る。ここで、(4)式は、制 差の差分方程式となる。従って なる行列の固有値が単位円内にある様に行列 を選択すればk→∞で となり、制御対象の内部の状態変数量 を入力制御ベクトル と出力制御ベクト 用いて正しく推定することができる。こうしたオブザー
バの設計にはゴピナスの設計法などが、知られている。
そこで を以後、状態推定量と呼ぶことにし、 とする。
状態変数量 が推定できれば基本的には制御可能となるが、ここで取
上げている制御対象は噴射量調整部材の目標位置が内燃
機関の運転条件によって変更される為、サーボ系の制御
となる。
一般にサーボ系の制御においては目標値と実際の制御
値との定常偏差を消去するような制御が必要となり、こ
れは伝達関数において1/Sl(l次の積分)を含む必要が
あるとされる。本発明においてはl=1、即ち一次型の
積分を考慮すればよく、これが累積部16による累積値Zk
に反映されている。つまり目標値に対してそれまでの実
位置との偏差を加えて制御することにより、サーボ系の
定常偏差の問題は解決される。そこでZkを加味して系を
拡大し、式(1)を次のように記述する。即ち、目標値
y・k−1と制御対象の出力y k−1との誤差の累積値Z
kは、 Zk=Zk−1+T(y k−1・k−1) であるので、これに、(2)式を代入すると、 となる。これと(1)式をまとめると、(5)式のよう
に書ける。(5)式は、状態変数を制御対象の状態変数 と上記累積値Zkとし、入力を制御対象の入力ukとする
制御対象の拡大系の状態方程式である。尚、式(1)に
おける は前述したようにスカラ量なので とする。
ここで、 を拡大された新たな系の状態変数ベクトルと考え、式
(5)と次式(6)で表わされる評価関数を基にして、
評価関数J(uk)を最小にする出力値(印加電圧) を求めることが、本発明の制御系に関する付加積分型最
適レギュレータとしての制御問題を解くことになる。
ここで、(6)式は、状態変数 と入力変数ukとの2次形式であり、状態変数と、入力
変数の2乗和を表す。尚、式(6)において は重みパラメータ行列、 Rはスカラ量の重みパラメータ、kは制御開始時点を
零とするサンプル回数を意味している。
この問題の解は伊藤正美,木村英紀,細江繁幸「線形
制御系の設計理論」(昭和53年)財団法人計測自動制御
学会等に詳しいのでここでは詳述しないが、これを解い
て最適フィードバックゲイン として得る。但し、ここで はリカッチ方程式、 の解を、R-1は重みパラメータRの逆数を意味してい
る。
従って最終的な出力値(印加電圧)ukは uk=[F1 F2 F3 F4][IDk VSk VPk Zk] …(9) より求められる。
この積分型最適レギュレータを求めるのに用いた評価
関数J(uk)は、制御対象にとっての制御入力値(ア
クチュエータへの印加電圧)ukの動きを制約しつつ、
その制御出力(噴射量調整部材)y(*)を目標位置y
に如何に近づけるかを評価する意図を持つものであっ
て、その制約の重みづけは重みパラメータ行列 重みパラメータQ2,Rの値によって変更することができ
る。従ってシミュレーション等によって適当な Q2,Rを選択し、制御対象、ここではアクチュエータ−噴
射量調整部材−位置検出手段からなる燃料噴射ポンプの
ダイナミックモデルを物理モデルに従って構築し、予め
リカッチ方程式(8)を解いて得られた を用いて、最適フィードバックゲイン を式(7)によって計算し、これをアクチュエータ制御
手段内に記憶しておき、噴射量調整部材の目標位置y
と実位置ykとの偏差の累積値Zk及びオブザーバ14によ
って推定された状態変数量、即ち状態推定量 から式(9)によって最適制御入力値としてのアクチュ
エータへの印加電圧ukを容易に求めることができるこ
とになる。
尚、オブザーバ14を最小次元オブザーバで構成したと
き、状態推定量 (10)式と(11)式をサンプリング周期Tごとに計算す
ることによって求めることができる。
ここで、(10)式は、制御対象の入力u k−1と出力y
k−1とから、オブザーバの 象の出力y k−1とから、制御対象の状態変数の推定値 を計算する式である。
(10)式と(11)式の各行列、 オブザーバの設計時に求めて、予めこれらをアクチュ
エータ制御手段内に記憶しておいて、状態変数の推定に
用いる。
[実施例] 以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第3図は、本発明−実施例としての燃料噴射ポンプの
噴射量制御装置の概略構成を、電子制御回路の内部ブロ
ック図と共に示す概略構成図である。図において、50は
燃料噴射ポンプ、52は噴射量調整部材としてのスピルリ
ング、54はアクチュエータとしてのリニアソレノイド、
56は位置検出手段としての差動トランス、58はアクチュ
エータ制御手段としての電子制御回路、を各々示してい
る。また、60は燃料圧送ポンプのプランジャ62を往復動
させるカムを、64はデリバリバルブを、66はプランジャ
62により加圧された燃料を図示しないシリンダ内に噴射
するノズルを、表わしている。燃料噴射ポンプ50のスピ
ルリング52は、クランク68を介してリニアソレノイド54
の可動鉄心70により駆動される構成となっており、リニ
アソレノイド54のコイル72に供給される電力とスプリン
グ74とによってバランスする位置に可動鉄心70は制御さ
れ、その位置は差動トランス56により検出される。一
方、電子制御回路58は周知のCPU81,ROM82,RAM83,及びリ
ニアソレノイドのコイル72に供給する電力信号を出力す
る出力ポート85,差動トランス56の検出信号を入力する
入力ポート87,CPU81他の素子・ポートを相互に接続する
バス89等より構成され、後述のフローチャートに従って
スピルリング52の位置の制御を行ない、燃料噴射量を制
御している。
次に第3図に示す制御対象としての燃料噴射ポンプに
おいて、状態方程式をその物理モデルより構築する。第
4図はこの制御系の物理モデルを示している。図におい
て、P1は第3図の可動鉄心70に相当する質量Mの鉄心、
S1は同じくスピルリング74に相当する弾性係数Kのバ
ネ、L1はリニアソレノイド54のコイルに相当しリアクタ
ンスLのコイル、R1は抵抗値Rの限流抵抗器、Trはコイ
ルL1,限流抵抗器R1に流れる電流を制御する出力ポート8
5内のトランジスタ、を各々示している。今、スピルリ
ング52が燃料油中にあることから燃料の粘性をfとする
と、鉄心P1の位置をxとして次の運動方程式を得る。
F2(t)=M・d2x/dt2+f・dx×dt +K・x …(12) 又、コイルL1に流れる電流I(t)と電圧の関係は、 V=L・dI(t)/dt+R・I(t) …(13) で与えられる。ここで鉄心P1に働く力F1(t)を線形に
近似して、 F1(t)=k1・I(t) …(14) とする。ここでk1は定数である。式(12)で求められる
力F2(t)と式(14)で表わした力F1(t)とがバラン
スした所で鉄心P1は停止すると考えれば、鉄心P1の移動
速度vを位置xの一回微分量、 v= …(15) と置いて次の状態方程式を得る。
又、その出力方程式は と表わすことができる。
以上、式(16)、(17)で構築した物理モデルから、
[作用]の項で説明したように、例えばゴピナスの設計
法に従ってオブザーバを設計し、オブザーバの各行列、 (式)(10)、式(11)を求める。また、重みパラメ
ータ行列 重みパラメータQ2,Rを与えてリカッチ方程式(8)を解
き、評価関数J(uk)(式(6))を得てその結果を
シュミレーションし、望ましい過渡特性が得られるよう
に、最適フィードバックゲイン を求める。本実施例では、オーバシュートを低く押さえ
て最も応答性の良い制御を行なうオブザーバの諸元とし
て、 を得た。又、最適フィードバックゲイン として、 を得た。
そこでこれらの結果をアクチュエータ制御手段として
の電子制御回路58内のROM82に予め格納しておき、測定
されたスピルリング52の実位置ykを用いて逐次、リニ
アソレノイド54の駆動電圧ukを計算すれば、スピルリ
ング52の最適な制御を行なうことができることになる。
そこで、次に第5図のフローチャートに拠って、電子
制御回路58の行なう燃料噴射量制御ルーチンについて説
明する。CPU81は予めROM82内に格納された前記 の値を用い、既述の方程式(10),(11)に従って計算
を繰返しており、まずステップ100ではリニアソレノイ
ド54へ電圧u k−1を出力する。ここで電圧u k−1と
は、前回、以下に説明する一連の演算が行なわれた結果
を意味している。続くステップ110では差動トランス56
の出力信号値を入力ポート87を介して入力し、リニアソ
レノイド54の鉄心70の位置(スピルリング52の位置)、
即ち燃料噴射量を検出する。これが実位置y k−1であ
る。ステップ120では内燃機関の運転条件より定まるス
ピルリング52の目標位置y k−1を、入力ポート87を
介して読み込んだ内燃機関の運転条件、例えば内燃機関
の吸入空気量や回転数等から知って、マップ等を用いて
読み出す処理が行なわれる。続くステップ130では、ス
テップ110で読み込んだスピルリング52の実位置y k−1
とステップ120で読み出した目標位置y k−1との偏差
をek=y k−1−y k−1として求め、次のステップ1
40では、この偏差ekの過去からの累積値Zkを求める処
理が行なわれる。即ち、第5図処理の繰返し時間をTと
して、 Zk=Zk−1+T・ek …(23) により求める。
続くステップ150,160は状態推定量 を算出する処理であって、前述のオブザーバの設計によ
って求めたベクトル、ここでは、式(18),(19),
(20),(21)を用いて式(10),(11)により状態推
定量 が求められる。即ち、ステップ150において、 x 1k=P11・x 1k−1+P12・x 2k−1 +M11・u k−1+M12・y k−1 x 2k=P21・x 1k−1+P22・x 2k−1 +M21・u k−1+M22・y k−1 としてオブザーバの内部の変数x 1k,x 2kを算出し、続
くステップ160において、 IDk=x 1k+D1・yk VSk=x 2k+D2・yk VPk=yk として状態推定量 を求める。尚、ここでスピルリング52の位置は推定せず
に、差動トランス56の出力ykより直接求めている。
ステップ160に続くステップ170では、上記の計算によ
り求めた状態推定量 及び累積値Zkと既に求められROM82内に格納しておかれ
た最適フィードバックゲイン、ここでは式(2)の値と
を用いて、出力電圧ukが、 uk=F1・IDk+F2・VSk +F3・VPk+F4・Zk として算出される。続くステップ180では、サンプリン
グ・演算・制御の回数を示している添字kを1だけイン
クリメント(更新)し、ステップ100へ戻って、上述の
ステップ100ないしステップ180の処理を再び繰返す。
本実施例によるスピルリング52の制御の実際を第6図
(A),(B)に、従来のフィードバック制御と比較し
て示す。今、スピルリング52の目標位置が値2.06だけ変
更された場合について説明する。目標位置の変更が行な
われた時を時間0として、第6図(A)はリニアソレノ
イド54に与えられる操作量(電圧に対応する値であっ
て、ここでは第6図(B)との対応を示す為、位置と同
じスケールで示した)を示しており、第6図(B)は差
動トランス56の出力、即ちスピルリング52の実位置であ
る。
第6図(A)において一点鎖線Rは与えられた目標位
置を、実線Gは本実施例による操作量(uk)を、破線
Kは従来のフィードバック制御による操作量を、各々示
しており、一方第6図(B)の一点鎖線rは与えられた
目標位置を、実線gは本実施例によって制御されたスピ
ルリング52の実位置を、破線kは従来のフィードバック
制御によって制御されたスピルリングの実位置を、各々
示している。
両図から明白なように、本実施例によれば、従来のフ
ィードバック制御より速い応答性(立ち上がり)を実現
した上で、オーバーシュート,ダウンシュートもほとん
どなく、スピルリング52を目標位置へ駆動することがで
きている。系が安定する時間で比較すれば、本実施例で
は、立ち上がりが速いにもかかわらず1桁以上の改善を
実現していることがわかる。従って、燃料噴射ポンプ50
において、燃料噴射量のきわめて迅速かつ正確な制御が
可能となっており、空燃比の精密なコントロール等、広
い範囲に応用することができる。応答性と安定性を共に
従来と較べて1桁程度改善しているので、内燃機関の運
転条件の急変やその繰返しにも充分追従することがで
き、あらゆる条件下での燃料噴射量を緻密に制御するこ
とができる。この結果、燃料噴射量の制御の追従遅れ、
オーバシュート,ダウンシュート等に起因する空燃比の
変動や黒煙の発生,失火,もたつきや息つぎ等のドライ
バビリティの低下の問題は、ことごとく解決される。
これは、本発明の実施例の制御では、制御対象系の物
理モデルを解析して、制御対象の状態、即ち未来への影
響を予測するために必要十分な系の過去の履歴に関する
情報を推定し、これを用いて制御を行なっていることに
よっている。従って、過制御による偏差が生じてからこ
れを修正するといった従来のフィードバック制御に対し
て、あたかも過制御を予測しこれに先立って操作量を変
更してゆくように制御が行なわれている。
ここではステップ入力に対する過渡応答の結果のみを
示したが、目標位置と実位置との偏差の累積値Zkを制御
に取込んでいるので、サーボ機能においても充分な特性
が得られている。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこ
の実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨
を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る
ことは勿論である。
発明の効果 以上詳述したように、本発明の燃料噴射ポンプの噴射
量制御装置によれば、噴射量調整部材の位置の制御系の
ダイナミックモデルを構築し、系の制御に必要十分な情
報、所謂状態を知って制御を行なっているので、噴射量
調整部材の位置と目標位置との偏差に基づく従来のフィ
ードバック制御と較べて、過制御による噴射量調整部材
の位置のオーバーシュートやダウンシュートを生じるこ
となく、且つ優れた応答性・追従性を実現し、しかも系
の物理モデルに従って最適の解を得て、噴射量調整部材
の位置を制御することができるので、燃料噴射量の制御
を精密かつ速い応答性・追従性のもとに行なうことがで
きるという優れた効果を奏する。
特に、本発明では、系の動的な内部状態としてアクチ
ュエータに流れる電流とアクチュエータの駆動速度とを
表す適当な次数の状態変数量を推定するので、電気的ア
クチュエータ自体の挙動を改善でき、よって、より精密
な制御を実現できるという利点がある。この結果、空燃
比制御に適用すれば空燃比の不慮の変動を生じることは
なく、他方、黒煙の発生やドライバビリティの望まざる
変動等を生じることもないといった如く、内燃機関の燃
料噴射量制御全般に亘って、その制御特性の格段の向上
に資することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本的構成図、第2図は本発明の作用
を説明する制御ブロック図、第3図は本発明実施例の構
成を示す概略構成図、第4図は実施例の制御対象の物理
モデルを説明する模式図、第5図は実施例における制御
例を示すフローチャート、第6図(A),(B)は各々
実施例による制御と従来技術による制御との比較を示す
グラフ、第7図は従来の燃料噴射量の制御のモデルを示
すブロック図、である。 10,50……燃料噴射ポンプ 14……オブザーバ 16……累積部 18……フィードバックゲイン設定部 52……スピルリング 54……リニアソレノイド 56……差動トランス 58……電子制御回路 81……CPU 82……ROM
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉岡 宏明 刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電装株 式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−20525(JP,A) 特開 昭59−120751(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料噴射ポンプより圧送される燃料の噴射
    量を調整する噴射量調整部材と、該噴射量調整部材を駆
    動して燃料噴射量の調整を行なうアクチュエータと、該
    噴射量調整部材の実位置を検出する位置検出手段と、 内燃機関の運転条件に基づいて定まる燃料噴射量に対応
    した前記噴射量調整部材の目標位置と前記検出された噴
    射量調整部材の実位置とに基づき、前記目標位置に前記
    噴射量調整部材を制御する為の前記アクチュエータの制
    御量を求め、これをアクチュエータに出力するアクチュ
    エータ制御手段と、 を備えた燃料噴射ポンプの噴射量制御装置において、 前記アクチュエータ制御手段が、 予め記憶された前記燃料噴射ポンプの噴射量調整部材の
    位置を制御する系のダイナミックモデルに基づき、前記
    噴射量調整部材の実位置とアクチュエータに出力される
    前記制御量とから、該系の動的な内部状態として前記ア
    クチュエータに流れる電流とアクチュエータの駆動速度
    とを表す適当な次数の状態変数量を推定する状態観測部
    と、 前記噴射量調整部材の目標位置と実位置との偏差の積分
    値または累積値を求める累積部と、 前記推定された状態変数量と前記求められた累積値とか
    ら、前記噴射量調整部材を目標位置に制御する為のアク
    チュエータの制御量を決定するフィードバックゲイン設
    定部と、 を備えることを特徴とする燃料噴射ポンプの噴射量制御
    装置。
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