JPH0532577B2 - - Google Patents

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JPH0532577B2
JPH0532577B2 JP59221599A JP22159984A JPH0532577B2 JP H0532577 B2 JPH0532577 B2 JP H0532577B2 JP 59221599 A JP59221599 A JP 59221599A JP 22159984 A JP22159984 A JP 22159984A JP H0532577 B2 JPH0532577 B2 JP H0532577B2
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JP
Japan
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fuel
injection amount
control
fuel injection
actuator
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JP59221599A
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JPS61101648A (ja
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Hideaki Nanba
Eiichi Kamei
Katsuhiro Ooba
Hiroaki Kuraoka
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Denso Corp
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NipponDenso Co Ltd
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Publication of JPH0532577B2 publication Critical patent/JPH0532577B2/ja
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/30Controlling fuel injection
    • F02D41/38Controlling fuel injection of the high pressure type
    • F02D41/40Controlling fuel injection of the high pressure type with means for controlling injection timing or duration
    • F02D41/401Controlling injection timing
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D35/00Controlling engines, dependent on conditions exterior or interior to engines, not otherwise provided for
    • F02D35/0007Controlling engines, dependent on conditions exterior or interior to engines, not otherwise provided for using electrical feedback
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明は燃料噴射ポンプの噴射量制御装置に関
し、詳しくは燃料噴射ポンプの溢流時期調整部材
の位置を制御するアクチユエータを、系のダイナ
ミツクモデルに基づいて制御する燃料噴射ポンプ
の噴射量制御装置に関する。
[従来の技術] 内燃機関、特にデイーゼルエンジンの燃料噴射
を行なう燃料噴射ポンプの噴射量制御装置とし
て、従来より分配(VE)型等の燃料噴射ポンプ
が知られているが、燃料噴射量を内燃機関の運転
条件に応じて緻密に制御する為に、その溢流時期
調整部材、例えばスピルリングを電気的なアクチ
ユエータによつて制御するものが提案されている
(例えば特開昭58−67932号公報の燃料噴射ポンプ
の吐出量調整装置)。第9図はこうした燃料噴射
ポンプの制御系を示したものである。これは、内
燃機関の運転条件を検出する各種センサ群1の信
号出力をアクチユエータ制御手段としての電子制
御回路2に入力すると共に、燃料噴射ポンプの溢
流時期調整部材3、例えば分配型燃料噴射ポンプ
において回転運動及び往復運動を同時に行なうポ
ンププランジヤに外嵌されたスピルリング3の実
位置を電気的な位置検出手段4によつて検出し、
実位置を示すこの検出信号を電子制御回路2に入
力し、両信号より電子制御回路2において、内燃
機関の運転条件より定まる最適な燃料噴射量とな
るよう溢流時期調整部材3の目標位置、即ち燃料
噴射終了タイミングを求め、アクチユエータ5を
介して溢流時期調整部材(スピルリング)3を目
標位置まで駆動・制御するような制御系である。
こうした制御系では、従来アクチユエータ5に
よつて制御された溢流時期調整部材3の実位置を
フイードバツクして、即ち実位置と目標位置との
偏差が小さくなる様にアクチユエータ5を制御し
ていた。フイードバツクによる帰還の大きさを決
めるのが所謂ゲイン(P、増幅度)であり、この
他偏差の積分量Iや微分量D等を適宜帰還して所
謂PID制御を行なうものも知られている。
[発明が解決しようとする問題点] かかる従来技術としてのフイードバツク制御に
おいては次のような問題が存在した。即ち、 (1) 従来のフイードバツク制御では基本的には、
目標値と実位置との偏差に応じて制御量を求め
ている。そこで、応答性を良好にしようとする
には帰還量の大きさであるゲインPを上げるこ
とになるが、ゲインを大きくすると過制御とな
つてしまい、大きなオーバーシユート、ダウン
シユートを生じ、時には発振現象を引きおこす
ことさえあり、燃料噴射量が最適な燃料噴射量
からはずれてしまうことがあるという問題があ
つた。
(2) 一方、制御の安定性を充分なものとする為に
ゲインを下げれば応答性が悪くなつてしまい、
内燃機関の運転条件の変化に燃料噴射量が追従
せず、空燃比が適正値から大きくはずれて失火
や黒煙発生を招いたり、出力が要求に追従せず
ドライバビリテイが悪化するなど種々の問題を
生じることがあつた。
(3) そこで、応答性を満足する為に微分量を加え
たり安定性を良好とする為に積分量を加えるな
どして系の過渡特性を改善しようとするPID制
御も提案されているが、実際の制御系において
過渡特性を充分なものとする為の一般的な評価
の方法がなく、ゲインP、積分量I、微分量D
を適当に変化させて実際の制御を実行するいわ
ば試行錯誤に頼らざるを得ず、しかも必ずしも
要求する燃料噴射量の過渡特性が実現できると
は限らないので取扱いが困難であるという問題
があつた。
(4) 更に、燃料噴射ポンプの溢流時期調整部材の
位置の制御を行なう系においては、圧送される
燃料の物性、主に粘度によつて、系の制御特性
が変化するが、従来のフイードバツク制御では
これに対応することはできなかつた。即ち、粘
度が低くなれば、燃料中を移動する溢流時期調
整部材にとつての粘性抵抗は小さくなつて早い
応答性が期待できるにもかかわらず、粘性が高
い場合と同じゲインP等によつてフイードバツ
ク制御を行なえば過制御となつてしまい易いと
いう問題、あるいはその逆の問題等である。
この問題に対処する為に、燃料の粘度を例えば
燃料の温度等によつて検出し、これに応じてフイ
ードバツク制御のゲインPや積分量I、微分量D
等を変更するような手法も考えられなくはない
が、前述の如く試行錯誤に頼つて決定せざるを得
ない上記諸元をさらに粘度に応じて変更してゆく
ことは極めて煩雑なものであり、個々の燃料噴射
ポンプでの適合を考えるならば到底実現しえるも
のではなかつた。
本発明の目的はこれらの問題を解決して、設計
が容易で過渡特性の優れた燃料噴射ポンプの噴射
量制御装置を提供することにある。
発明の構成 [問題点を解決するための手段] 上記の問題を解決して発明の目的を達成する為
に、第1図に示すように、 燃料噴射ポンプM1の圧送される燃料の溢流時
期を調整する溢流時期調整部材M2、例えばスピ
ルリングと、 該溢流時期調整部材を駆動して燃料噴射量の調
整を行なうリニアソレノイド等のアクチユエータ
M3と、 該溢流時期調整部材M2の実位置を検出する位
置検出手段M4、例えば差動トランスと、 内燃機関の運転条件、例えば空燃比や負荷の大
きさ等に基づいて定まる燃料噴射量に対応した前
記溢流時期調整部材M2の目標位置と前記検出さ
れた溢流時期調整部材M2の実位置とに基づき、
前記目標位置に前記溢流時期調整部材M2を制御
する為の前記アクチユエータM3の制御量を求
め、これをアクチユエータM3に出力するアクチ
ユエータ制御手段M5と、 を備えた燃料噴射ポンプの噴射量制御装置におい
て、 前記燃料噴射ポンプM1の溢流時期調整部材M
2の位置を制御する系の動的な振舞を変化させ
る、前記燃料の物性、例えば主として燃料の粘
性、あるいはこれを容易に検出する為の燃料の温
度(油温あるいは内燃機関冷却水温)等を検出す
る物性検出手段M6を備えると共に、 前記アクチユエータ制御手段M5として、従来
のフイードバツク制御の構成に替えて、次のよう
な構成がとられた。即ち、 前記燃料噴射ポンプM1の溢流時期調整部材M
2の位置を制御する系の物性を含むダイナミツク
モデルに基づいて設定された一または複数のパラ
メータを予め記憶し、該パラメータを用いて前記
溢流時期調整部材M2の実位置とアクチユエータ
M3に出力される前記制御量とから、該系の動的
な内部状態を表わす適当な次数の状態変数量を推
定する状態観測部M7と、 前記溢流時期調整部材M2の目標位置と実位置
との偏差の積分値または累積値を求める累積部M
8と、 前記ダイナミツクモデルに基づいて設定された
一または複数のフイードバツクゲインと予め記憶
し、該フイードバツクゲインと前記推定された状
態変数量と前記求められた累積値とから、前記溢
流時期調整部材M2を目標位置に制御する為のア
クチユエータM3の制御量を決定するフイードバ
ツクゲイン設定部M9と、 を備え、しかも、前記物性検出手段M6によつて
検出された燃料の物性に応じて、前記状態観測部
M7のパラメータおよび/または前記フイードバ
ツクゲイン設定部M9のフイードバツクゲインを
切換えるよう構成されて、所謂線形制御理論に基
づく制御を行なうアクチユエータ制御手段の構成
がそれである。
ここで燃料噴射ポンプM1としては分配型
(VE型)の燃料噴射ポンプの他、列型燃料噴射ポ
ンプであつても差支えない。分配型の燃料噴射ポ
ンプでは溢流時期調整部材M2がスピルリングで
あり、一方列型燃料噴射ポンプではコントロール
ラツクが溢流時期調整部材M2にあたる。緻密な
制御を実現するためには質量が小さく慣性の小さ
なスピルリングを制御する方が良いが、アクチユ
エータの駆動力を大きくするなどすれば列型燃料
噴射ポンプのコントロールラツクの制御を正確に
行なえることは言うまでもない。
アクチユエータM3しては、リニアソレノイド
(プランジヤ)型の他、ロータリソレノイド型の
もの、あるいは各種のサーボモータや、負圧を制
御してダイアフラムの変位により溢流時期調整部
材を駆動するようなアクチユエータ等も使用する
ことができる。あるいは特開昭58−217755号の如
く、スピルリングを直接ロータリソレノイドの可
動部とするようなアクチユエーター溢流時期調整
部材の構成をとることも何ら差支えない。この場
合、スピルリングとアクチユエータが一体化され
ているので燃料噴射ポンプが小型化できるという
利点が存在する。
又、このアクチユエータM3よつて駆動される
溢流時期調整部材M2の実位置を検出する位置検
出手段M4としては、差動トランスの他、ポテン
シヨメータやその他各種の位置測定センサを使用
することができる。更に燃料噴射量を流量センサ
やノズルの閉弁時間を知ることによつて検出し、
これを溢流時期調整部材M2の位置として扱うこ
とも、制御の精度を向上させる上で有効である。
溢流時期調整部材M2の目標位置、即ち燃料噴
射量を定める内燃機関の運転条件としては、内燃
機関の空燃比や負荷、吸入空気量、暖機状態、吸
気温度あるいは加減速状態等のうちすくなくとも
ひとつあるいはその内の幾つかの組合わせを考え
ることができ、本発明の燃料噴射ポンプの噴射量
制御装置が用いられる内燃機関の態様に合わせて
選択し、例えば空燃比制御装置等として構成し、
機関の各種センサの出力信号に基づいて溢流時期
調整部材M2の目標位置を本発明におけるアクチ
ユエータ制御手段M5に入力する構成とすればよ
い。
物性検出手段M6としては、燃料噴射ポンプM
1において溢流時期調整部材M2の動作に対して
抵抗となる燃料の物性を検出するものであつて、
例えば粘性であるとか、粘性に直接関与する燃料
の温度(油温)等を検出するもの、あるいは内燃
機関冷却水温から燃料の粘度を推定するものであ
る。後者の構成をとれば、既に内燃機関に装備さ
れた冷却水温の検出手段を共用することができ、
構成を簡易にすることができる。
次にアクチユエータ制御手段M5であるが、後
で作用・実施例の各項で詳述するように、溢流時
期調整部材M2の実位置を検出しつつ、燃料噴射
ポンプM1の溢流時期調整部材M2の位置を制御
する系の上述の物性を含むダイナミツクモデルに
基づいて、状態観測部M7によつて推定された状
態変数と累積部にて求められた累積値及びフイー
ドバツクゲイン設定部によつて予め定められたフ
イードバツクゲインとからアクチユエータM3へ
出力する制御量を求め、溢流時期調整部材M2を
目標位置へ制御するものである。アクチユエータ
制御手段M5は、通常マイクロプロセツサを用い
ROM、RAM等の周辺素子と共に構成される。
状態変数量としてはアクチユエータの挙動を最も
適確に制御するものとして、その実位置の他にア
クチユエータに流れる電流や駆動速度を用いるこ
とができるが、必ずしも具体的な物理量に対応さ
せる必要はなく、系の構築されたダイナミツクモ
デルを記述する適当な変数を措定して用いればよ
い。
[作用] 上記構成を有する本発明の燃料噴射ポンプの噴
射量制御装置は、燃料噴射量を定める燃料噴射ポ
ンプの溢流時期調整部材M2を駆動・制御するに
際して、その実位置と燃料の物性、例えば稀性と
を検出すると共に、溢流時期調整部材M2を制御
する系のダイナミツクモデルに基づいて予め記憶
された一または複数のパラメータを用いて溢流時
期調整部材M2の実位置とアクチユエータの制御
量とから状態観測部M7によつて推定された適当
な次数の状態変数量と、累積部M8によつて求め
られた溢流時期調整部材の目標位置と実位置との
偏差の累積値とから、予め記憶された一または複
数のフイードバツクゲインを用い、アクチユエー
タM3の制御量をフイードバツクゲイン設定部M
9によつて決定する構成をとり、しかも検出され
た燃料の物性によつて、上述の状態観測部のパラ
メータおよび/またはフイードバツクゲイン設定
部のフイードバツクゲインを切換えて、上記の溢
流時期調整部材M2を駆動するアクチユエータM
3の制御量を決定して、溢流時期調整部材M2の
位置を制御している。
この制御系を第2図に示す。図においては10
はアクチユエータ−溢流時期調整部材−位置検出
手段を有する制御対象としての燃料噴射ポンプ、
11は燃料の物性を検出する物性検出手段、12
はアクチユエータ制御手段として以下の構成を有
するレギユレータ、14は状態観測部、16は累
積部、18はフイードバツクゲイン設定部であ
る。ここでは各部をブロツクで示したが、これは
制御系のモデルであつてハード的な構成を示すも
のではない。
尚、第2図において状態観測部14とフイード
バツクゲイン設定部18とが複数組描かれている
のは、各部14,18に一組または複数組のパラ
メータおよび/またはフイードバツクゲインが記
憶されていることを示している。
以下に、本発明において取扱う燃料噴射ポンプ
のアクチユエータ−溢流時期調整部材−位置検出
手段からなる制御対象のダイナミツクモデルと上
記制御系とについて詳述するが、以下の説明にお
いて〓、〓、〓、〓、〓、〓、〓、〓、〓、〓、
〓、〓、〓はベクトル量(行列)を示し、〓T
如き添字Tは行列の転置を、〓−1の如き添字-1
は逆行列を、更に〓の如き添字 ^はそれが推定
値であることを、〓の如き記号は制御対象とは
別の系、ここでは状態観測部14(以下、オブザ
ーバと呼ぶ)で扱われている量であることを、
y*の如き記号*は目標値であることを、各々示し
ている。
第2図においてyk*は内燃機関の運転条件より
定められる燃料噴射量に対応する溢流時期調整部
材の目標位置を、ykは溢流時期調整部材の実位
置を、ekは目標位置yk*と実位置ykの差分(yk*
−yk)を、Zkは累積部16で求められた上記の
差分ekの累積値(Zk=Zk−1+T・ek−1)
を、Tはサンプリング周期を、ukは溢流時期調
整部材を駆動・制御するアクチユエータへ出力さ
れる制御量(ここでは印加電圧)を、〓kは実位
置ykと制御量ukとからオブザーバ14によつて
推定された状態変数量を、〓はフイードバツクゲ
イン設定部18で設定された最適フイードバツク
ゲインを、各々表わしている。尚、添字kは初期
状態からのサンプリング回数を示しており、kは
現在制御が行なわれている時点を、k−1は前回
サンプリングが行なわれた時点を、意味してい
る。
次に上記構成を有するレギユレータ12の設計
と制御について説明する。制御対象の動的な挙動
を表わす状態変数モデルは、状態方程式と出力方
程式とを用いて 〓k=〓・〓k−1+〓・〓k−1 ……(1) 〓k−1=〓・〓k−1 ……(2) と導かれる。尚、ここではとりあえず系の動的な
振舞を変化させる燃料の物性は一定であると仮定
している。上記式(1)、(2)において、〓k−1は制
御対象、ここではアクチユエータ−溢流時期調整
部材−位置検出手段の被制御系にとつての制御入
力ベクトルであつて、ある時点から線形近似が成
立する範囲内で制御対象に加える制御量を、この
系では印加電圧を示している。又、〓k−1は制
御対象の出力を意味する制御出力ベクトルであつ
て、通常の多変数制御系ではひとつ以上の出力値
を示す。ここでは溢流時期調整部材の実位置を示
す量(例えば電圧値)である。第2図に示した系
では制御対象にとつて制御入力ベクトル〓k、制
御出力ベクトル〓kは各々ひとつの変数しかもた
ないので、スカラ量uk(印加電圧)、yk(実位置信
号)とすることができる。更に、式(1)、(2)におい
て〓kは状態変数ベクトルであつて、一般には制
御対象の内部状態を示す要素から成るベクトルで
ある。ここでは状態変数ベクトル〓kの要素とし
て、制御対象(アクチユエータ)に流れる電流値
IDkと制御対象(溢流時期調整部材)の動く速度
VSkとを各状態変数としてとらえている。又、
実位置信号ykは推定する必要はなく、位置検出
手段の出力ykをそのまま用いて状態変数VPkと
することができる。
上述の式(1)、(2)における行列〓、〓、〓は制御
系の物理モデルに従つてその諸元の形が定まり、
更に実験によつて具体的な値を求めることがで
き、結果的に定数行列として算出される。
第2図に示すようにレギユレータ12はオブザ
ーバ14によつて制御対象の状態変数〓kを推定
する。これがオブザーバ14の出力〓kであつ
て、推定された状態変数量〓kは離散的にサンプ
リングが行なわれるような場合には〓(kT)と
も表わせる。
ここで、オブザーバ14が推定する状態変数ベ
クトル〓kを制御において実際の状態変数ベクト
ルとして扱うことができるという根拠は次の点に
ある。今、オブザーバの出力〓kを次式(3)のよう
に構成したとする。
〓k=(〓−〓・〓)〓k−1+〓・〓k−1 +〓・〓k−1 ……(3) 式(3)において〓は任意に与えられる行列であ
る。式(1)、(2)、(3)より変形すると、 [〓k−〓k]=(〓−〓・〓)[〓k−1 −〓^k−1] ……(4) を得る。従つて(〓−〓・〓)なる行列の固有値
が単位円内にある様に行列〓を選択すればk→∝
で〓k→〓kとなり、制御対象の内部の状態変数
量〓kを入力制御ベクトル〓kと出力制御ベクト
ル〓kとの過去からの系列〓(*)、〓(*)を
用いて正しく推定することができる。こうしたオ
ブザーバの設計にはゴピナスの設計法などが、知
られている。そこで〓kを以後、状態推定量と呼
ぶことにし、〓k=[IDk VSk VPk]とする。
これらオブザーバ14の設計においては、制御
対象の系の物理モデルの構築が基本となるが、燃
料噴射ポンプ10の場合には、燃料の物性によつ
て系の動的な振舞(以下、これを系のダイナミツ
クスと呼ぶ)は変化する。即ち、燃料の物性、そ
の主たる要因としての粘性によつて構築される物
性モデルの一部の因子の値は変化する。従つて、
燃料の物性をある値として設計されたオブザーバ
14によつては、燃料の物性が変化した後の状態
変数量〓kの推定は正しく行なえず状態推定量〓
kの正しさは保証されない。
状態推定量〓kは、オブザーバ14の設計にお
いて、制御入力量ukと制御出力量ykを用い、オ
ブザーバ内の状態変数量〓kを措定することによ
つて記述される、 〓k=〓・〓k−1+〓・(yk−1 uk−1)
……(5) 〓k−1=〓・〓k−1+〓・yk−1 ……(6) の2つの式の各パラメータ行列〓、〓、〓、〓を
求めておくことができるから、予めこれをアクチ
ユエータ制御手段内に記憶しておき、計算するこ
とによつて本来容易に求めることができるのであ
るが、上述した如く燃料の物性が変化した場合に
は、これらパラメータ行列〓、〓、〓、〓の値を
燃料の物性に応じて変更する必要がある。従つ
て、実使用に供しようとする燃料噴射ポンプの使
用範囲内において要求される制御特性を満足する
よう何種類かのパラメータ行列〓、〓、〓、〓の
組を予め物理モデルと実験とによつて求め、用意
し、物性検出手段M6によつて検出される燃料の
物性に応じてこれらのパラメータ行列を切換えて
状態変数〓kを推定すれば、オブザーバ14の出
力である状態推定量〓kの正しさを確保すること
ができるようになる。
状態変数量〓kが推定できれば基本的には制御
可能となるが、ここで取上げている制御対象は溢
流時期調整部材の目標位置が内燃機関の運転条件
によつて変更される為、サーボ系の制御となる。
一般にサーボ系の制御においては目標値と実際の
制御値との定常偏差を消去するような制御が必要
となり、これは伝達関数において1/Sl(l次の
積分)を含む必要があるとされる。本発明におい
てはl=1、即ち一次型の積分を考慮すればよ
く、これが累積部16による累積値Zkに反映さ
れている。つまり目標値に対してそれまでの実位
置との偏差を加えて制御することにより、サーボ
系の定常偏差の問題は解決される。そこでZkを
加味して系を拡大し、式(1)を次のように記述す
る。尚、式(1)における〓kは前述したようにスカ
ラ量なのでukとする。
〓k Zk=〓 T〓 0 1〓k−1 Zk−1+〓 0uk−1+0 −Tyk−1* ……(7) ここで、[〓k Zk]Tを拡大された新たな系の
状態変数ベクトルと考え、式(7)と次式(8)で表わさ
れる評価関数を基にして、評価関数J(uk)を最
小にする出力値(印加電圧)uk=〓・[〓k
Zk]Tを求めることが、本発明の制御系に関する
付加積分型最適レギユレータとしての制御問題を
解くことになる。
J(uk)=K=1 (〓kT・〓T・〓1・〓・〓k +ZkT・Q2・Zk+ukT・R・uk) ……(8) 尚、式(8)において〓1は重みパラメータ行列、
Q2、Rはスカラ量の重みパラメータ、kは制御
開始時点を零とするサンプル回数を意味してい
る。
この問題の解は伊藤正美、木村英紀、細江繁幸
「線形制御系の設計理論」(昭和53年)財団法人計
測自動制御学会等に詳しいのでここでは詳述しな
いが、これを解いて最適フイードバツクゲイン〓
=[F1 F2 F3 F4]を、 〓=R−1[〓T0]〓 ……(9) として得る。但し、ここで〓はリカツチ方程式、 〓〓 0 〓 0+〓T 0 〓T 0〓−〓〓 0R-1[〓T 0]〓 +〓T・〓1・〓 00 Q2=0 ……(10) の解を、R-1は重みパラメータRの逆数を意味し
ている。
従つて最終的な出力値(印加電圧)ukは uk=[F1 F2 F3 F4] [IDk VSk VPk Zk]T (11) より求められる。
この積分型最適レギユレータを求めるのに用い
た評価関数J(uk)は、制御対象にとつての制御
入力値(アクチユエータへの印加電圧)ukの動
きを制約しつつ、その制御出力(溢流時期調整部
材)y(*)を目標位置y*に如何に近づけるかを
評価する意図を持つものであつて、その制約の重
みづけは重みパラメータ行列〓1、重みパラメー
タQ2、Rの値によつて変更することができる。
最適フイードバツクゲインの設定に関する以上
の説明においても、オブザーバ14における状態
変数量〓kの推定の場合と同様、燃料の物性はあ
る特定の値として考えてきたが、実際にはフイー
ドバツクゲインも、系のダイナミツクスによつて
最適の値は異なる。そこで制御対象、ここではア
クチユエータ−溢流時期調整部材−位置検出手段
からなる燃料噴射ポンプのダイナミツクモデルを
物理モデルに従つて構築し、重みパラメータ〓
1、Q2、R等を適当に選んでシミユレーシヨン
を繰返し、評価関数J(uk)を最小にするように
リカツチ方程式(10)を解いて、最適フイードバツク
ゲイン〓を求める操作を行なう際に、燃料の物性
に応じてダイナミツクモデルを変更してシミユレ
ーシヨンを行なうことにより、最適フイードバツ
クゲイン〓を一組または複数組求め、これを予め
記憶しておく。そして、物性検出手段によつて検
出された燃料の物性に応じて、これらの最適フイ
ードバツクゲイン〓を切換えて、前述の累積値
Zk及びオブザーバ14による状態推定量〓^k
とから、式(11)によつて最適制御入力値としてのア
クチユエータへの印加電圧ukを求めれば、燃料
の物性の如何によらず、最適の制御が行なえるこ
とになる。
尚、以上の説明では、オブザーバ14のパラメ
ータ行列もフイードバツクゲイン設定部18にお
ける最適フイードバツクゲインも燃料の物性に応
じて切換えるように説明したが、燃料の物性の実
際の使用においてさほど大きく変化しないなら
ば、いずれか一方を複数組用意しこれを燃料の物
性に応じて切換えるだけでも十分な制御を行なう
ことができる。
[実施例] 以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。
第3図は、本発明一実施例としての燃料噴射ポ
ンプの噴射量制御装置の概略構成を、電気制御回
路の内部ブロツク図と供に示す概略構成図であ
る。図において、50は燃料噴射ポンプ、52は
溢流時期調整部材としてのスピルリング、54は
アクチユエータとしてのリニアソレノイド、56
は位置検出手段としての差動トランス、58はア
クチユエータ制御手段としての電子制御回路、を
各々示している。また、60は燃料圧送ポンプの
プランジヤ62を往復動させるカムを、64はデ
リバリバルブを、66はプランジヤ62により加
圧された燃料を図示しないシリンダ内に噴射する
ノズルを、67は燃料噴射ポンプ50内の燃料の
温度を検出する物性検出手段としての油温センサ
を、表わしている。燃料噴射ポンプ50のスピル
リング52は、クランク68を介してリニアソレ
ノイド54の可動鉄心70により駆動される構成
となつており、リニアソレノイド54のコイル7
2に供給される電力とスプリング74とによつて
バランスする位置に可動鉄心70は制御され、そ
の位置は差動トランス56により検出される。一
方、電子制御回路58は周知のCPU81、ROM
82、RAM83、及びリニアソレノイドのコイ
ル72に供給する電力信号を出力する出力ポート
85、差動トランス56の検出信号及び油温セン
サ67の検出信号を入力する入力ポート87、
CPU81他の素子・ポートを相互に接続するバ
ス89等より構成され、後述のフローチヤートに
従つてスピルリング52の位置の制御を行ない、
燃料噴射量を制御している。
次に第3図に示す制御対象としての燃料噴射ポ
ンプにおいて、状態方程式をその物理モデルより
構築する。第4図はこの制御系の物理モデルを示
している。図において、P1は第3図の可動鉄心
70に相当する質量Mの鉄心、S1は同じくスピ
ルリング74に相当する弾性係数Kのバネ、L1
はリニアソレノイド54のコイルに相当しリアク
タンスLのコイル、R1は抵抗値Rの限流抵抗
器、TrはコイルL1、限流抵抗器R1に流れる
電流を制御する出力ポート85内のトランジス
タ、を各々示している。今、スピルリング52が
燃料油中にあることから燃料の粘性を燃料の温度
Toilの関数とみてf(Toil)とすると、鉄心P1
の位置をxとして次の運動方程式を得る。
F2(t)=M・d2x/dt2+f(Toil)・ dx/dt+K・x ……(12) 尚、油温Toilは油温センサ67によつて検出さ
れる。
又、コイルL1に流れる電流I(t)と電圧の関係
は、 V=L・dI(t)/dt+R・I(t) ……(13) で与えられる。そこで鉄心P1に働く力F1(t)を
線形に近似して、 F1(t)=k1・I(t) ……(14) とする。ここでk1は定数である。式(12)で求めら
れる力F2(t)と式(14)で表わした力F1(t)とがバラン
スした所で鉄心P1は停止すると考えれば、鉄心
P1の移動速度vを位置xの一回微分量、 v=x〓 ……(15) と置いて次の状態方程式(16)を得る。
I〓〓(t) v〓 x〓=−R/L k1/M 00 −f(Toil)/M 10 −K/M 0I(t) v x+1/L 0 0[V] ……(16) 又、その出力方程式は I(t) x v=100 001 010I(t) v x ……(17) と表わすことができる。
以上、式(12)、(14)、(15)で構築した物理モデルか
ら、[作用]の項で説明したように、例えばゴピ
ナスの設計法に従つてオブザーバを設計し、とり
あえず燃料の粘性f(Toil)を油温20℃のものと
し、重みパラメータ行列〓1、重みパラメータ
Q2、Rを与えてリカツチ方程式(10)を解き、評価
関数J(uk)(式(8))を得てその結果をシユミレ
ーシヨンし、望ましい過渡特性が得られるよう
に、オブザーバの各行列〓、〓、〓、〓(式(5)、
式(6))を求める。本実施例では、オーバシユート
を低く押さえて最も応答性の良い制御を行なうオ
ブーザーバの諸元として、Toil=20℃で、 〓=P11 P12 P21 P22= −52 0.13 −2000 −78 …(18) 〓=M11 M12 M21 M22=78 −3200 1 1960 …(19) 〓〜=10 01 00 ……(20) 〓=D1 D2 D3=−0.14 3.6 1 ……(21) を得た。又、最適フイードバツクゲイン〓とし
て、 〓=[F1 F2 F3 F4] =[37.182 0.00395 0.42 316] ……(22) を得た。
これらは燃料の温度Toilが20℃の時の最適解
であつて、同様の操作によつてToil=0℃の時、
Toil=40℃の時、Toil=60℃の時、の如く油温
Toliの区分に応じて複数組のパラメータ行列〓、
〓、〓、〓及び最適フイードバツクゲイン〓を求
めることができる。
そこでこれらの結果をアクチユエータ制御手段
としての電子制御回路58内のROM82に予め
格納しておき、測定されたスピルリング52の実
位置ykを用いて逐次、リニアソレノイド54の
駆動電圧ukを計算すれば、スピルリング52の
最適な制御を行なうことができることになる。
次に、上記の複数組の解を予め記憶した電子制
御回路58の行なう燃料噴射量制御ルーチンにつ
いて、第5図のフローチヤートに拠つて説明す
る。電子制御回路58ではこの燃料噴射量制御ル
ーチンが繰返し実行されているが、まずステツプ
100では前回、本制御ルーチンが実行された結果
求められた制御量、即ちリニアソレノイド54に
印加する電圧uk−1を出力する。
続くステツプ110では、入力ポート87を介し
て油温センサ67の出力を読み込み、燃料の温度
Toilの検出を行なう。続くステツプ120ではステ
ツプ110で読み込んだ油温Toilに応じて、以下の
演算に用いるパラメータ行列〓、〓、〓、〓及び
最適フイードバツクゲイン〓の組の選択を行な
う。例えば−10℃≦Toil<10℃ではToil=0℃
の時のパラメータ行列、最適フイードバツクゲイ
ンが、10℃≦Toil<30℃ではToil=20℃の時の
それが、といつたように燃料の温度の区分に対し
て最適のパラメータ行列〓、〓、〓、〓及び最適
フイードバツクゲイン〓が選ばれる。これらの値
はROM82に予め記憶されている。
ステツプ130では、差動トランス56の出力信
号値を入力ポート87を介して入力し、リニアソ
レノイド54の鉄心70の位置(スピルリング5
2の位置)、即ち燃料噴射量を検出する。これが
実位置yk−1である。ステツプ140では内燃機関
の運転条件より定まるスピルリング52の目標位
置yk−1*を、入力ポート87を介して読み込ん
だ内燃機関の運転条件、例えば内燃機関の吸入空
気量や回転数等から知って、マツプ等を用いて読
み出す処理が行なわれる。続くステツプ150では、
ステツプ130で読み込んだスピルリング52の実
位置yk−1とステツプ140で読み出した目標位置
yk−1*との偏差をek=yk−1*−yk−1として求
め、次のステツプ160では、この偏差ekの過去か
らの累積値Zkを求める処理が行なわれる。即ち
第5図処理の繰返し時間をTとして、 Zk=Zk−1+T・ek ……(23) により求める。
続くステツプ170、180は状態推定量〓kを算出
する処理であつて、前述のオブザーバの設計によ
つて予め求められROM82内に記憶されたパラ
メータ行列(その一例を式(18)、(19)、(20)、(21)で
示した)のうち、ステツプ120で選択されたパラ
メータ行列〓、〓、〓、〓を用いて式(5)、(6)によ
り状態推定量〓k=[IDk VSk VPk]Tが求めら
れる。即ち、ステツプ170において、 x1k=P11・x1k−1+P12・x2k−1 +M11・uk−1+M12・yk−1 x2k=P21・x1k−1+P22・x2k−1 +M21・uk−1+M22・yk−1 としてオブザーバの内部の変数x1k、x2kを算出
し、続くステツプ180において、 IDk=x1k+D1・yk VSk=x2k+D2・yk VPk=yk として状態推定量〓kを求める。尚、ここでスピ
ルリング52の位置は推定せずに、差動トランス
56の出力ykより直接求めている。
ステツプ180に続くステツプ190では、上記の計
算により求めた状態推定量〓k及び累積値Zkと
既に求められROM82内に格納しておかれステ
ツプ120で選択された最適フイードバツクゲイン
(例えば式(22)に示す値等)とを用いて、出力
電圧ukが、 uk=F1・IDk+F2・VSk +F3・VPk+F4・Zk として算出される。続くステツプ200では、サン
プリング・演算・制御の回数を示している添字k
を1だけインクリメント(更新)し、ステツプ
100へ戻つて、上述のステツプ100ないしステツプ
200の処理を再び繰返す。
本実施例による油温Toli=20℃の場合のスピ
ルリング52の制御の実際を第6図A,Bに、従
来のフイードバツク制御と比較して示す。今、ス
ピルリング52の目標位置が値2.06だけ変更され
た場合について説明する。目標位置の変更が行な
われた時を時間0として、第6図Aはリニアソレ
ノイド54に与えられる操作量(電圧に対応する
値であつて、ここでは第6図Bとの対応を示す
為、位置と同じスケール示した)を示しており、
第6図Bは差動トランス56の出力、即ちスピル
リング52の実位置である。
第6図Aにおいて一点鎖線Rは与えられた目標
位置を、実線Gは本実施例による操作量(uk)
を、破線Kは従来のフイードバツク制御による操
作量を、各々示しており、一方第6図Bの一点鎖
線rは与えられた目標位置を、実線gは本実施例
によつて制御されたスピルリング52の実位置
を、破線kは従来のフイードバツク制御によつて
制御されたスピルリングの実位置を、各々示して
いる。
両図から明白なように、本実施例によれば、従
来のフイードバツク制御より速い応答性(立ち上
がり)を実現した上で、オーバーシユート、ダウ
ンシユートもほとんどなく、スピルリング52を
目標位置へ駆動することができている。系が安定
する時間で比較すれば、本実施例では、立ち上が
りが速いにもかかわらず1桁以上の改善を実現し
ていることがわかる。
次に燃料の温度、油温Toilが変化した場合の
制御特性を第7図A,B,C及び第8図A,B,
Cによつて示す。第7図A,B,Cは従来のPID
フイードバツク制御を用い、Toil=20℃にて最
適なレスポンスが得られるように調整された制御
系におけるToil=20℃(図A)、Toil=40℃(図
B)、Toil=0℃(図C)、の制御特性を示して
いる。各図において破線はスピルリング52の目
標位置を、実線はスピルリング52の実位置(差
動トランス56の出力)を示している。
これに対して、本実施例の燃料噴射ポンプの噴
射量制御装置による制御特性は、第8図A,B,
Cに示す如く、Toil=20℃、40℃、0℃におい
て、ハンチングや制御位置のなまし、あるいはオ
ーバーシユート、ダウンシユートなどをほとんど
生じていない。
従つて、燃料噴射ポンプ50において、燃料の
温度Toilにかかわらず、燃料噴射量のきわめて
迅速かつ正確な制御が可能となつており、空燃比
の精密なコントロール等、広い範囲に応用するこ
とができる。第6図に示したように、応答性と安
定性を共に従来と較べて1桁程度改善しているの
で、内燃機関の運転条件の急変やその繰返しにも
充分追従することができ、あらゆる条件下での燃
料噴射量を緻密に制御することができる。この結
果、燃料噴射量の制御の追従遅れ、オーバーシユ
ート、ダウンシユート等に起因する空燃比の変動
や黒煙の発生、失火、もたつきや息つぎ等のドラ
イバビリテイの低下の問題は、ことごとく解決さ
れる。
これは、本発明の実施例の制御では、制御対象
系の物理モデルを解析して、制御対象の状態、即
ち未来への影響を予測するために必要十分な系の
過去の履歴に関する情報を推定し、これを用いて
制御を行なつていることによつている。従つて、
過制御による偏差が生じてからこれを修正すると
いつた従来のフイードバツク制御に対して、あた
かも過制御を予測しこれに先立つて操作量を変更
してゆくように制御が行なわれている。
しかも、本実施例では、系のダイナミツクスを
変更する燃料の物性を、油温Toilを検出するこ
とによつて粘性の変化としてとらえ、予め構築さ
れた物理モデルに従つて、予め求められ記憶され
たオブザーバ内の各油温Toilに対するパラメー
タ行列とフイードバツクゲイン設定部内の最適フ
イードバツクゲインとのうちから、燃料の温度
(Toil)に応じて、最適な組を選択して制御を行
なつている。従つて、燃料噴射ポンプ内の燃料の
粘性が温度によつて変化しても、過制御等の問題
を生じることはなく、上述した本制御の優れた制
御特性を充分に引き出すことができる。
尚、ここではステツプ入力に対する過渡応答の
結果のみを示したが、目標位置と実位置との偏差
の累積値Zkを制御に取込んでいるので、サーボ
機能においても充分な特性が得られている。
以上本発明の実施例について説明したが、本発
明はこの実施例に何等限定されるものではなく、
本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々な
る態様で実施し得ることは勿論である。
発明の効果 以上詳述したように、本発明の燃料噴射ポンプ
の噴射量制御装置によれば、予め噴射量調整部材
の位置の制御系のダイナミツクモデルを構築し、
燃料噴射ポンプの燃料の物性に応じた一または複
数の状態観測部におけるパラメーターとフイード
バツクゲイン設定部におけるフイードバツクゲイ
ンとを記憶しておき、物性検出手段によつて燃料
の物性を検出し、これに応じた上記パラメータ等
を選択することによつて、系の制御に必要十分な
情報、所謂状態を知つて制御を行なうことができ
る。従つて、噴射量調整部材の位置と目標位置と
の偏差に基づく従来のフイードバツク制御に較べ
て、過制御による噴射量調整部材の位置のオーバ
ーシユートやダウンシユートを生じることなく、
且つ優れた応答性・追従性を実現し、しかも系の
物理モデルに従つて最適の解を得て、噴射量調整
部材の位置を制御することができるので、燃料噴
射量の制御を精密かつ速い応答性・追従性のもと
に行なうことができるという優れた効果を奏す
る。この結果、空燃比制御に適用すれば、燃料噴
射ポンプの環境(粘性、油温の変化)等に左右さ
れることなく、空燃比の精緻な制御が可能とな
る。即ち、燃料噴射ポンプの使用範囲において、
空燃比の不慮の変動を生じることはなく、他方、
黒煙の発生やドライバビリテイの望まざる変動等
を生じることもないといつた如く、内燃機関の燃
料噴射量制御全般に亘つて、その制御特性の格段
の向上に資することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本的構成図、第2図は本発
明の作用を説明する制御ブロツク図、第3図は本
発明実施例の構成を示す概略構成図、第4図は実
施例の制御対象の物理モデルを説明する模式図、
第5図は実施例における制御例を示すフローチヤ
ート、第6図A,Bは各々実施例による制御と従
来技術による制御との比較を示すグラフ、第7図
A,B,Cは各々従来技術の制御における制御特
性を燃料の温度(Toil)別に示すグラフ、第8
図A,B,Cは各々実施例による制御特性を燃料
の温度(Tail)別に示すグラフ、第9図は従来
の燃料噴射量の制御のモデルを示すブロツク図、
である。 10,50……燃料噴射ポンプ、14……オブ
ザーバ、16……累積部、18……フイードバツ
クゲイン設定部、52……スピルリング、54…
…リニアソレノイド、56……差動トランス、5
8……電子制御回路、67……油温センサ、81
……CPU、82……ROM。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 燃料噴射ポンプより圧送される燃料の噴射量
    を調整する噴射量調整部材と 該噴射量調整部材を駆動して燃料噴射量の調整
    を行うアクチユエータと、 該噴射量調整部材の実位置を検出する位置検出
    手段と、 内燃機関の運転条件に基づいて定まる燃料噴射
    量に対応した前記噴射量調整部材の目標位置と前
    記検出された噴射量調整部材の実位置とに基づ
    き、前記目標位置に前記噴射量調整部材を制御す
    る為の前記アクチユエータの制御量を求め、これ
    をアクチユエータに出力するアクチユエータ制御
    手段と、 を備えた燃料噴射ポンプの噴射量制御装置におい
    て、 前記燃料噴射ポンプの噴射量調整部材の位置を
    制御する系の動的な振舞を変化させる前記燃料の
    物性を検出する物性検出手段を備えると共に、 前記アクチユエータ制御手段が、 前記燃料噴射ポンプの噴射量調整部材の位置を
    制御する系の前記物性を含むダイナミツクモデル
    に基づいて設定された一または複数のパラメータ
    を予め記憶し、該パラメータを用いて前記噴射量
    調整部材の実位置とアクチユエータに出力させる
    前記制御量とから、該系の動的な内部状態を表わ
    す適当な次数の状態変数量を推定する状態観測部
    と、 前記噴射量調整部材の目標位置と実位置との偏
    差の積分値または累積値を求める累積部と、 前記ダイナミツクモデルに基づいて設定された
    一または複数のフイードバツクゲインを予め記憶
    し、該フイードバツクゲインと前記推定された状
    態変数量と前記求められた累積値とから、前記噴
    射量調整部材を目標位置に制御する為のアクチユ
    エータの制御量を決定するフイードバツクゲイン
    設定部と、 を備え、しかも、前記物性検出手段によつて検出
    された燃料の物性に応じて、前記状態観測部のパ
    ラメータおよび/または前記フイードバツクゲイ
    ン設定部のフイードバツクゲインを切換えるよう
    構成されたことを特徴とする燃料噴射ポンプの噴
    射量制御装置。 2 前記燃料噴射量を定める内燃機関の運転条件
    が、内燃機関の吸入空気量、負荷、空燃比、暖機
    状態、吸気温度、加減速状態のすくなくともひと
    つを含む特許請求の範囲第1項記載の燃料噴射ポ
    ンプ噴射量制御装置。 3 前記系のダイナミツクモデルが、噴射量調整
    部材を制御する系の物理的なモデルから状態方程
    式を導くことによつて構築される特許請求の範囲
    第1項または第2項記載の燃料噴射ポンプ噴射量
    制御装置。 4 前記状態観測部が、状態変数量として電気的
    に制御されるアクチユエータに流れる電流とアク
    チユエータの駆動速度とを推定する特許請求の範
    囲第1項ないし第3項のいずれかの項に記載の燃
    料噴射ポンプの噴射量制御装置。 5 前記物性検出手段によつて検出される燃料の
    物性がその粘度である特許請求の範囲第1項ない
    し第4項のいずれかの項に記載の燃料噴射ポンプ
    の噴射量制御装置。 6 前記物性検出手段が、燃料の温度によつて燃
    料の粘度を検出するよう構成された特許請求の範
    囲第5項記載の燃料噴射ポンプの噴射量制御装
    置。 7 前記物性検出手段が、内燃機関の冷却水温に
    よつて燃料の粘度を推測定するよう構成された特
    許請求の範囲第5項記載の燃料噴射ポンプの噴射
    量制御装置。
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