JP2620268B2 - 中空糸膜濾過モジュール - Google Patents

中空糸膜濾過モジュール

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JP2620268B2 JP32733087A JP32733087A JP2620268B2 JP 2620268 B2 JP2620268 B2 JP 2620268B2 JP 32733087 A JP32733087 A JP 32733087A JP 32733087 A JP32733087 A JP 32733087A JP 2620268 B2 JP2620268 B2 JP 2620268B2
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三菱レイヨン・エンジニアリング株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、流体濾過用中空糸膜濾過モジュール及びそ
れを用いた濾過システムに関し、より詳しくは大量の水
中の懸濁物質の除去や空気中の浮遊物質の除去等に適し
た中空糸膜濾過モジュールに関する。
[従来の技術] 中空糸濾過膜は、優れた濾過機能を有しているため
に、従来より高純度の工業用水の製造や気体の濾過等を
始めとして種々の用途に広く用いられてきている。
中空糸膜濾過モジュールとしては、中空糸の中空部か
ら外部へ向けて濾過するものと中空糸の外部から中空部
へ向けて濾過するものとの2通りのタイプがある。しか
し、前者のタイプのモジュールでは中空糸の内部の通過
抵抗が大きく、又、懸濁物質が中空糸中空部に残存して
目詰まりを起した場合にその濾過機能の回復処理が困難
なために、被処理流体中に懸濁物質が多い場合には後者
のタイプが多く用いられてきた。
[発明が解決しようとする問題点] これらのモジュールは、その殆どが直管の中に中空糸
が収納され、被処理流体の出入口が直管の側面に設けら
れており、濾過液の出口が直管の端部に設けられてい
た。したがって、複数のモジュールを直列に連結して使
用する場合には、被処理流体の流れが複雑に曲折する連
結方式をとらざるをえず、被処理流体の圧力損失が大き
く過大なポンプ能力を必要としたり、連結数の制限を受
けたり、エネルギー損失が大きい等の不利があった。
又、工業用として比較的大量の流体を処理する場合に
は、中空糸膜濾過モジュールの寸法も大きくならざるを
得ない。特に、上記問題を解決するために、中空糸膜濾
過モジュールとして、両端が開口した直管を用いてその
両端を被処理流体の出入口とし、その一端が該直管の内
部の径方向中央部において該直管と同軸上にあるように
配置され他端が該直管の外部に位置する曲管が設けられ
て、該直管内の曲管端部にU字型中空糸膜束を設けたよ
うな構造のモジュールとして構成した場合には、その寸
法が大きくなると該中空糸膜束の外周部は有効に利用さ
れるが、中空糸束中央部の利用効率が低下するという問
題があった。
更に、生活廃水のような、有機成分を多量に含有する
廃水の処理に、このようなモジュールを用いると、これ
らの有機物を資化する微生物が該廃水の中に含まれるよ
うになり、これらは粘着性が高く、中空糸膜同士がこれ
らの介して粘着し、更に中空糸束内部への水の侵入が困
難となって処理効率が経時的に大きく低下し易いという
問題があった。
本発明の目的は上述した問題点を解決した、工業的流
体処理、廃水処理に特に適した中空糸膜濾過モジュール
を提供することにある。
[問題点を解決するための手段] 即ち、本発明の要旨は、直管(1)と、その一端が該
直管の内部の径方向中央部において該直管と同軸上に配
置され、他端が該直管の外部に位置する曲管(2)と、
U字状に束ねた中空糸膜(3)束とからなり、中空糸膜
束の開口端が直管内の曲管の端部あるいは曲管の端部に
つながり該曲管を固定する固定部材(4)の開口部に固
定されてなる中空糸膜濾過モジュールにおいて、中空糸
膜束が3〜16の各々独立した小束に分割されてポッティ
ング材(9)に固定されて、更に各小束が、これらのU
字に湾曲した部分においてそのまま、あるいは更に複数
に分割されてその各々がゆるやかに結束されてなり、各
小束がポッティング材につながる部分あるいはその近傍
において互いに接触しないための空間が各小束間に設け
られてなる中空糸膜濾過モジュールにある。
[発明を実施するための好適な態様] 以下、本発明の中空糸膜濾過モジュールにつき図面を
参照しつつ詳細に説明する。第1図は本発明の中空糸膜
濾過モジュールの1態様例を示す断面模式図であり、第
2図はフランジ付き直管のフランジ部分を示す図であ
り、第3図及び第4図は各々本発明の好ましい態様のモ
ジュールに用いる間隔保持部材の1例を示す図である。
直管1は、全体にわたって同一口径でもよく、また図
示されるように途中で異なった口径のものと接続された
ものでもよい。曲管2はその一端が直管1の中央部にあ
って直管1と同軸上に配置されており曲管2の他端は直
管1の外に出ていて、該端が中空糸濾過膜を通って出て
くる浄化流体の出口となる。第1図では曲管2が90゜に
曲げられた例が示されているが、必ずしも90゜である必
要はなく、曲管2の他端は直管1の外に出ていればどの
ような角度でもよい。又、曲管2の直径は曲管全体が同
一の直径であってもよく、第1図に示すように部分によ
って直径が異なっていてもよい。
又、曲管2は直管1にしっかりと固定されていること
が好ましい。第1図では直管1の一部分が第2図に示す
ような断面形状のフランジ付き直管であって、フランジ
部分で接合された複数の直管からなり、曲管2の端部が
そのフランジの直管内部にある部分で固定されている例
が示されているが、曲管2の固定方法はこれに限定され
るものではない。
この第2図に示したフランジ(固定部材)4は、中心
部に曲管の内径に一致する空間を有し、曲管の外側であ
って直管の内部にあたる部分にも直管内を流体が自由に
流動できるだけの流路7が設けられている。又、直管内
において中空糸の保持や局所的に流速を高める等のため
に、圧損をそれほど大きくしない範囲であれば部分的に
直管の内径を他よりも細くしてもよい。なお、曲管がそ
の内部にある部分からそれにつながるポッティング部
分、さらにその先約3cm程度迄の部分の直管の内径はそ
の先の中空糸束が収納された部分の直管の内径より太い
ことが好ましい。このようにすると被処理水の流れに乱
流が生じ易くなるとともに被処理水が中空糸束の中によ
り入り易くなる。
中空糸濾過膜3は、3〜16個の小束に分割され、各々
U字状に束ねられた中空糸膜束として、その開口端部が
直管内において、該直管と同軸上に位置する曲管端部あ
るいは該曲管端部につながり該曲管を固定する固定部材
の開口部に固定されている。従って、中空糸濾過膜3の
有効膜部分は直管内にある。中空糸濾過膜3としては柔
軟性を有しているものが好ましく、このような中空糸の
例としてポリオレフィン、弗素化ポリオレフィン、ポリ
スルフォン等の素材からなる限外濾過または精密濾過中
空糸膜を挙げることができる。
この中空糸膜は3〜16個に分割された複数のU字形小
束として各々中空糸の開口部を開口状態に保ったまま、
曲管端部あるいは該曲管端部につながり該曲管を固定す
る固定部材の開口部に、ポリウレタン、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等の液状樹脂を
硬化させてなるポッティング材9により液密に固定保持
される。
各々の中空糸膜小束はそれらのU字に湾曲した部分に
おいて、そのまま、あるいは更に複数に分割されて各々
ゆるやかに結束されている。中空糸小束を結束する結束
材6は中空糸膜と同等かあるいはこれよりより柔らかく
て、中空糸膜面を傷めないものが用いられ、この例とし
ては綿糸、上記中空糸と同様の中空糸等を示すことがで
きる。中空糸膜小束の結束は、中空糸を潰したりしない
よう、ゆるやかに結束する必要がある。又、ゆるやかに
結束しても、被処理流体は中空糸固定部からU字型湾曲
部の方向に向けて流れるため、何の支障もなく、中空糸
小束の分割状態を維持し、後述の中空糸小束固定部で中
空糸小束間に空間を設けたことと相まって中空糸束内へ
の被処理流体の侵入が容易となりよって、このような工
夫をしていない同種モジュールに比べて大幅な処理能力
の向上を達成することができる。中空糸のU字湾曲部は
そこでゆるやかに結束されているためもあって中空糸束
のその他の部分より径が太くなるため、ここを収納する
部分の直管の内径は、中空糸束のその他の部分を収納す
る直管部分の内径に比べて10〜50%大きくなっているこ
とが好ましく、このようにすることによってその部分に
被処理水中のSS成分がたまって圧損が大きくなることを
防止できる。
中空糸小束がポッティング材につながる部分またはそ
の近傍における小束が互いに接触しないための空間は、
直管内の曲管の周囲から中空糸束の方へ流れてくる被処
理液体が中空糸束内に容易に侵入可能な程度に設けられ
ればよく、小束間が2〜6mm程度の間隔を保っているの
が好ましい。この小束接触防止空間を設ける方法として
は、小束を集めてその端部をポッティングする時にポッ
ティング部における小束間に所定の間隔をあける方法、
間隔保持部材5を用いて、小束間に強制的に間隔をもた
せこれを保持する方法、あるいはその両者を併用する方
法がある。この小束接触防止空間は、ポッティング部分
またはその近傍において、中空糸の長手方向に3cm程度
の長さにわたって設けられていれば、それ以上の長さに
わたって小束接触防止空間を保持するための工夫を更に
行う必要はなく、この小束接触防止空間に水が侵入して
きて下流に流れる水の力によって、中空糸小束同士が粘
着することはなく、長期にわたって、高い濾過能力を維
持できる。
上記間隔保持部材5の一例を第3図に示す。これはフ
ランジ付き直管のフランジ部ではさみ込まれるもので、
中央部に分割される小束の数だけ放射状の開口した空間
8が互いに2〜6mmの間隔をおいて設けられたものであ
り、放射状開口空間群の直径は中空糸収納部の直管の内
径とほぼ同じかそれより若干大きい程度であればよい。
又、第4図は間隔保持部材5の他の例を示すものであ
り、径2〜6mmの棒が放射状に出ており、その先端が折
り曲って直管壁と平行に進んで、その先端が円形枠で固
定された形状をしており、円形枠部分を中空糸束を固定
するポッティング材で固定されるか、曲管端部の外には
めこんで固定するかができるようになっている。なお、
間隔保持部材は、これらのような形状のみに限定される
ものではなく、中空糸束ポッティング部分から3cm程度
離れた所で中空糸小束間に挿入されて中空糸小束同士が
接触しないような効果を示す構造であって、かつ、中空
糸を傷めないような構造であればどのようなものも用い
ることができる。
本発明の中空糸膜濾過モジュールを使用する場合は、
直管端部aの部分から被処理流体を導入し、膜で濾過さ
れた濾過流体は中空糸内部を通って側管端cから取出さ
れる。一方、濾過されなかった流体は直管の他の端bか
ら取出される。これにより被濾過流体の流れは直管内を
直線的に流れるため圧力損失が小さく、しかも中空糸束
内を被処理水が容易に通過するため、活性汚染が含まれ
ている場合等の粘着性成分を含有する水の処理において
も中空糸束同士が固く密着して処理効率を低下させるよ
うなことが少なく、よって中空糸膜の処理寿命が長くな
るという特徴を有している。
本発明の中空糸膜濾過モジュールは、飲料水、工業用
水、医療用水、超純水、パイロジェンフリー水等の各種
用水の濾過、研磨廃水、含油排水、凝集処理水、キレー
ト反応処理水、生物処理水、濁水、含金属粉廃水、脱脂
液、含SS溶剤等の濾過、金、銀等の有価金属粉末、フロ
ック等の濾過回収、食品や製薬工業における有価液の回
収等に好適に用いることができる。
[実施例] 以下、に実施例を用いて本発明をさらに説明する。
なお、以下の実施例、比較例では、いずれも内径68m
m、長さ700mmのフランジ付き直管の一方の端に直管の内
部の中央部において該直管と同軸上に配置され、他端が
該直管の壁を通って外部に位置する曲管(直管内にある
曲管端部の内径25cm)を備えた内径126mm長さ283mmのフ
ランジ付き直管とが接続され、直管内の該曲管先端に実
施例、比較例に記載した仕様でポッティングされた多孔
質ポリエチレン中空糸(三菱レイヨン(株)製、EHF−3
90C)10688本(有効膜面積9m2)を有し、中空糸U字湾
曲部分にあたる直管部分の内径を前後100mmにわたって1
00mmとしたものを用いた。また、水処理としては模擬廃
水として砂糖水のメタン醗酵処理液(MLSS:1500mg/L)
を用い被処理水入口圧力1.6kg/cm2G、浄化水出口圧力0.
15kg/cm2G、中空糸収納部分の直管内の被処理水の流速
1.0m/secとなるように曲管を有する直管の中空糸側と反
対側の端から模擬廃水を導入して、中空糸のU字湾曲部
側の直管端から出るようにし、曲管の直管の外にある端
から浄化水を得る実験を行った。
実施例1 中空糸を8つの小束にほぼ均等に分割してその各々を
U字型に束ね、円形ポッティング部分を8つの扇形に分
割して隣接する小束間の間隔がほぼ2mmとなるようにし
て中空糸をポッティングし、第4図に示したような間隔
保持部材(足数8本、横棒の太さ2mm、横棒のポッティ
ング部分からの高さ30mm)を同時にポッティング部材に
埋め込んだものとし、各中空糸小束のU字湾曲部分を綿
糸を用いて中空糸をつぶさないように各々ゆるやかに結
束したモジュールを用い、上記模擬廃水を上記処理条件
で処理した処理開始後の1分後、30分後、60分後のフラ
ックスを第1表に示した。
第1表から明らかなように、本発明のモジュールの処
理効率は経時的に安定して高い。
実施例2 8つの小束間に間隔を設けずに、均一に分布するよう
にポッティングし、各小束間に相当する位置に実施例1
で用いたと同様の間隔保持部材を用いたモジュールを用
いた。
実施例3 間隔保持部材を用いない以外は実施例1と同様のモジ
ュールを用いた。
実施例4 中空糸を16の小束に分け、中空糸小束間の間隔を2mm
とした以外は実施例3と同様のモジュールを用いた。
実施例5 中空糸を4つの小束に分け、中空糸小束間の間隔を2m
mとした以外は実施例3と同様のモジュールを用いた。
比較例1 中空糸を小束に分けずに1つのU字形束としてポッテ
ィングした以外は実施例3と同様のモジュールを用い
た。
比較例2 中空糸を3つの小束に分け、中空糸小束間の間隔を2m
mとした以外は実施例3と同様のモジュールを用いた。
比較例3 綿糸による中空糸各小束のU字湾曲部分の結束を行な
わなかった以外は実施例5と同様なモジュールを用い
た。
上記の実施例2〜5、比較例1〜3のモジュールを用
いて、実施例1と同様にして模擬廃水を処理した結果を
第1表に示した。
[発明の効果] 上述したように本発明の中空糸膜濾過モジュールは構
造が簡単であり、組立加工が容易であり、モジュール同
士を連結して被処理流体につき直列多段に組むことも簡
単に行なえ、被処理流体の通過抵抗が小さいという特徴
を有しており、大型モジュールにしても中空糸膜の利用
効率の低下がないとうい優れた効果を有するものであ
る。又、多段に組むにあたって、中空糸膜濾過モジュー
ルの結合の際に必要に応じ、接合曲管部材を用いれば狭
い場所にもコンパクトに設置できるという優れたもので
ある。この被処理流体の通過抵抗が小さいということは
圧力損失が小さいことを意味し、これはポンプエネルギ
ーを節約できるという効果を発揮する。さらに、中空糸
を小束に分けているので中空糸束内に被処理水が侵入し
易く、しかも中空糸小束をそれらのU字湾曲部分でゆる
やかに結束しているので中空糸が乱れることなく、よっ
て中空糸の傷みも少なく中空糸処理効率の低下も少ない
という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の中空糸濾過モジュールの1態様例を示
す断面模式図であり、第2図はフランジ付き直管のフラ
ンジ部分を示す図であり、第3図及び第4図は各々間隔
保持部材の例を示す図である。図において1は直管から
なるハウジング、2は曲管、3は中空糸濾過膜、4はフ
ランジ付き直管のフランジ部分、5は間隔保持部材を示
す。被処理流体はaより入り、bより出る濾過流体はc
より出る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直管(1)と、その一端が該直管の内部の
    径方向中央部において該直管と同軸上に配置され、他端
    が該直管の外部に位置する曲管(2)と、U字状に束ね
    た中空糸膜(3)束とからなり、中空糸膜束の開口端が
    直管内の曲管の端部あるいは曲管の端部につながり該曲
    管を固定する固定部材(4)の開口部に固定されてなる
    中空糸膜濾過モジュールにおいて、中空糸膜束が3〜16
    の各々独立した小束に分割されてポッティング材(9)
    に固定されて、更に各小束が、これらのU字に湾曲した
    部分においてそのまま、あるいは更に複数に分割されて
    その各々がゆるやかに結束されてなり、各小束がポッテ
    ィング材につながる部分あるいはその近傍において互い
    に接触しないための空間が各小束間に設けられてなる中
    空糸膜濾過モジュール。
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