JP2618835B2 - 転倒堰の巻上げ装置 - Google Patents

転倒堰の巻上げ装置

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JP2618835B2
JP2618835B2 JP6186326A JP18632694A JP2618835B2 JP 2618835 B2 JP2618835 B2 JP 2618835B2 JP 6186326 A JP6186326 A JP 6186326A JP 18632694 A JP18632694 A JP 18632694A JP 2618835 B2 JP2618835 B2 JP 2618835B2
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修二郎 井関
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井関鉄工株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、水路に設けた堰板を
必要に応じて転倒させ、水路内に貯められている水を放
流することができるようにした転倒堰に使用される巻上
げ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】堰板の基部を水路の底部に枢着し、かつ
堰板の上端部に、堤防上に設けた巻上げ装置から繰り出
したワイヤを繋着し、このワイヤで堰板を吊って、起立
状態で支持するとともに、台風等で水路が一時的に増水
した場合には水路を倒伏させて水路内に貯められている
水を放流することができるように構成した転倒堰が実用
されている。従来、この種の転倒堰に使用される堰板の
巻上げ装置は、転倒した堰板を起立させる時に、手回し
式、巻上げ軸の逆転を防止するためのロック装置を再度
セットし直す構造となっていた。このロック装置のリセ
ットを怠ると、堰板の巻上げ時に、堰板の重量によって
巻上げ軸のハンドルが取られて堰板が転倒するので、巻
上げができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、巻上げ
装置は、保護・防水用の頑丈なケース内に収納されてい
るのが一般的であり、ロック装置のリセットのたびにケ
ースの蓋を開閉しなければならないので、上記ロック装
置のリセット作業は煩わしいという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するため、次のような構成とした。すなわち、本発
明にかかる転倒堰の巻上げ装置は、基部が水路の底部に
枢着された起立・転倒自在な堰板に取付けられた巻上げ
用ワイヤを巻き取る巻取り装置と、ワイヤを巻き取った
堰板起立状態で巻取り装置をロックするロック装置と、
水路の水位が所定量以上に増加した時は前記ロック装置
のロック機能を解除する解除装置とを備えた転倒堰の巻
上げ装置において、堰板転倒時には前記解除装置の動作
により前記ロック装置のロック機能を解除し、転倒した
堰板の巻上げ時にはその巻上げ動作に連動する前記解除
装置の動作により前記ロック装置を再度機能させるよう
にしたことを特徴としている。
【0005】
【作用】ロックを解除する解除装置の働きにより、転倒
した堰板の巻上げ動作に連動してロック装置のロック機
能が自動的に復帰する。したがって、作業者がロック装
置をわざわざセットし直す必要がない。
【0006】
【実施例】図1および図2は本発明にかかる巻上げ装置
をそなえた転倒堰の1例の貯水状態をあらわす。この転
倒堰1は、水路2の底部に基部3aが枢着された堰板3
と、堤防上に設置された巻上げ装置4をそなえてなる。
堰板3は、巻上げ装置が設置されている側の上端部に設
けた平板上の取付片6に、巻上げ装置4から繰り出され
た堰板支持ワイヤ7の端部が取り付けられており、この
堰板支持ワイヤ7によって起立した状態に支持されてい
る。
【0007】堰板3は、枠材10の頂上部に丸パイプ1
1を水平方向に横設し、さらにこれら枠材10と丸パイ
プ11の上流側に鋼板製のスキンプレート12が張り付
けてある。スキンプレート12の底部と水路2の底面と
の間にできる間隔部、およびスキンプレート12の側部
における水路2の側壁との間隔部には、水密ゴム14が
ボルト15によって取り付けられている。また、堰板3
の胴部は、枠材10、丸パイプ11、スキンプレート1
2、底板16および後板17で中空容器状に形成された
水タンク18になっている。丸パイプ11の中空内部1
1aと水タンク18とは、丸パイプ11の底面に設けた
複数個の通孔20によって、互いに連通している。そし
て、丸パイプ11の上面中央部に吸水口21が設けられ
ている。この吸水口21の上流側には、開口部22aに
丸棒23を格子状に配置した水切板22が立設されてい
る。吸入口21の上流側に設ける水切板22は、開口部
22の穿設されていない板体で形成してもよい。また、
水タンク18の底部下流側には、前記吸水口21よりも
断面積が小さい排水口24が設けられている。
【0008】巻上げ装置4は、ケースとしての外箱30
の内部に複数の回転軸およびギヤその他の部品を収納し
てなる。中央部に設けられているプーリ軸31は、外箱
30の外部に突き出た突出部に、堰板用プーリ34が取
り付けられている。堰板用プーリ34には、前記堰板支
持ワイヤ7の端部が繋着され、所定の方向に巻き付けて
ある。また、プーリ軸31の外箱30内の部分には爪状
の作動レバー35が一体に取り付けられている。プーリ
軸31のギア31aは、プーリ軸31の両側に位置する
二次軸37と引起し軸38のそれぞれのギア37a,3
8aと噛合している。
【0009】二次軸37には、ブッシュ40を介して回
動枠41が回動自在に取り付けられている。回動枠41
は左右一対の板体からなり、下端部が二次軸37に嵌着
され、中間部には板ばね43によって下向きに付勢され
たラチェット44が設けられ、また上端部には軸46に
支承されたベアリング47が設けられている。この回動
枠41はスプリング48によってプーリ軸31の方向に
引っ張られている。
【0010】二次軸37に隣接する巻上げ軸50は、そ
のギア50aが二次軸のギア37aと噛合している。巻
き上げ軸50には、前記ラチェット44の先端部44a
が噛合するラチェットホイール51が嵌着されている。
また、巻上げ軸50は、水路と反対側の端部が外箱30
から突出しており、その先端部が巻上げハンドル嵌着用
の角棒部52となっている。この角棒部52に角穴をそ
なえたハンドルを嵌着して、巻上げ軸52を巻上げ方向
に回すと、転倒した堰板3が起立する方向にプーリ軸3
1が回転する。なお、ラチェットホイール51にラチェ
ット44が噛合した状態では、巻上げ軸50が巻上げ方
向にしか回転しないようになっている。上記プーリ軸3
1、二次軸37、巻上げ軸52および堰板用プーリ34
等は巻取り装置(I)を構成し、ラチェット44および
ラチェットホイール51はロック装置(II)を構成す
る。
【0011】プーリ軸31と前記ベアリング軸46の中
間部に設けられているカム軸60には、前記ベアリング
軸47が嵌入する概略扇形の凹部61aを外周部にそな
えた円板状のカム61が取り付けられている。カム61
の凹部61aの上側部分には、カムレバー62とウエイ
トアーム63とが突設されている。両者はともに中間部
から先が屈曲し、ウエイトアーム63の先端部にはバラ
ンスウエイト64が取り付けられている。また、カム6
1の側面には、前期操作レバー35と係合する作動爪6
5がピン66によって取り付けられている。作動爪65
は、その平面上の後端面65aをカム軸60に設けた円
板67の外周部と近接させて設けられており、ピン66
を中心として若干の範囲だけ揺動可能である。そして、
常時は板ばね68によって下向きに押しつけられてい
る。なお、図7に示すように、板ばねの代わりに錘69
をピン66に取り付けて、作動爪65を下向きに付勢し
ておいてもよい。これらベアリング47、カム61、カ
ムレバー62等は、後記するフロートとともに、ロック
を解除する解除装置(III)を構成している。また、
作動レバー35および作動爪65等は、解除されたロッ
クをリセットするロックリセット装置(IV)となって
いる。
【0012】引起こし軸38には、ばね圧縮ワイヤ70
を巻き付けたばね用プーリ71と錘支持ワイヤ72を、
巻き付けた錘用プーリ73が嵌着されている。ばね圧縮
ワイヤ70の自由端部は、外箱30の外側に設けられた
圧縮ばね75を収納する収納筒76の内部へ引き入れら
れ、圧縮ばね75の先端部に設けられた規制板77に繋
着されている。また、錘支持ワイヤ72の自由端部は、
堤防に垂直に設けた錘用の縦穴79のなかに垂下されて
おり、その下端部に堰板引き上げ用の錘80が取り付け
られている。これら圧縮ばね75、錘80は堰板3に起
立方向の力を付与する引起し力付加手段39を構成す
る。
【0013】さらに、巻上げ装置4の中央直下部にフロ
ート室83が設けられている。このフロート室83は通
孔84によって水路2とつながっており、水路2と同水
位の水で満たされている。フロ−ト室83には水位の変
化に応じて上下動するフロート85が配置されている。
フロート85に取り付けたロッド86の上端部には受皿
87が設けられており、この受皿87の上に前記カムレ
バー62の先端部が載っている。
【0014】つぎに、この巻上げ装置4の動作について
説明する。通常の貯水時においては、堰板3は図3のよ
うに起立状態に支持され、上流側の水は少量ずつ堰板3
を越えて下流側に流出している。このとき、巻上げ装置
4は、図5および図8において実線で示されているよう
に、回動枠41のベアリング47がカム61の外周面と
当接し、ラチェット44がラチェットホイール51と噛
合して、ロック装置(II)が機能した状態となってお
り、巻上げ軸51および該巻上げ軸と直接間接に噛合し
ている各軸は一方向(堰板が転倒する方向)への回転が
拘束されている。流水の一部分は堰板3の上部に突出し
ている吸水口21から丸パイプ11および水タンク18
内に流入する。同時に、排水口24からもタンク内の水
が下流側に流出するが、流入する水量の方が流出する水
量よりも多いので、丸パイプ11および水タンク18の
内部は水で満たされている。したがって、起立時の堰板
3には、堰板自体の重量と上流側の水圧と丸パイプ11
および水タンク18内の水の重量とが堰板3を転倒させ
ようとする力Fとなって加わっている。
【0015】夕立等によって水路が増水すると、それに
ともなってフロート85が上動し、カムレバー62が押
し上げられ、カム61がA方向に回転する。そして、水
位が転倒水位を超えると、図5および図8において一点
鎖線で示されている如くカム61の凹部61aにベアリ
ング47が嵌まり込み、回動枠41はスプリング48の
働きでB方向に回動する。この解除装置(III)の働
きで、ラチェット44とラチェットホイール51の噛合
関係が解かれて各回動軸が回転可能となり、堰板用プー
リ34から堰板支持ワイヤ7が繰り出され、堰板3は前
述の力Fによって転倒する。完全に倒伏した堰板3は、
図4に示すように、その先端部が水路底に設けられたク
ッションゴム90上に載置され、水路底とほぼ平行にな
っている。
【0016】堰板が倒伏した状態では、水路の水位が低
下し、吸水口21から丸パイプ11内に水がほとんど入
らないので、排出口24からの流出によって、水タンク
18内の水は徐々に減少する。それにともなって、堰板
3を倒伏状態に保とうとする力F’も徐々に減少する。
一方、堰板支持ワイヤ7には、引起こし力付加手段39
によって堰板3を引き上げようとする力Xが作用してい
る。この力Xは、圧縮された圧縮ばね75が元の伸長状
態に戻ろうとする力XS と、巻き上げられた錘80に働
く重量XP の総和であって、力XS は堰板3が完全に倒
伏した状態において最大となっている。前記倒伏状態を
保とうとする力F’が、引き上げようとする力Xよりも
小さくなると、堰板3は自動的に起立する。
【0017】堰板起立動作時のプーリ軸31の回転によ
って、ロックリセット装置(IV)が働く。すなわち、
プーリ軸31の作動レバー35がカム軸60の作動爪6
5を押し下げるので、カム61は反A方向に回転する。
カム61が一定量以上回動すると、バランスウエイト6
4による回転力が付加され、ベアリング47が凹部61
aから押し出される。これによって、回動枠41が反矢
印B方向に回動し、ラチェット44がラチェットホイー
ル51と再度噛合する。このため、各回転軸が再び固定
状態となり、堰板が起立状態で支持されて、貯水が開始
される。
【0018】この転倒堰1の堰板3は、貯水時に水タン
ク18内に水が充満しているので、転倒しようとする力
Fが大きく、水路の水位が所定値を越えると確実に転倒
する。堰板3の倒伏状態においては、水切板22の働き
によって吸入口21への水の流入が阻止される。倒伏し
た堰板3が再び起立するには、流水の水位が十分に低下
して、吸水口21への水の流入が停止するとともに、水
タンク18内の水が抜けなければならないので、水路2
の増水した水を完全に放流することができる。また、堰
板を転倒させようとする力Fと、転倒した堰板を引き起
すに必要な力の差が大きいので、堰板を起立させる力X
の設定に余裕があり、かつ、起立動作が確実なものにな
っている。
【0019】堰板3にゴミ等が絡まって自動的に起立し
なくなった場合や、何らかの事情で強制的に起立させな
くてはならない場合は、巻上げ軸50の角棒部52に角
穴をそなえたハンドルを嵌着して、手動で堰板3を巻上
げればよい。この場合も、ハンドルをある程度回すとロ
ックリセット装置(IV)が働きロック装置(II)が
自動的にリセットされるので、作業者はロック装置をセ
ットする必要がない。堰板3の水タンクが空になってい
るので、巻上げは比較的容易である。
【0020】上述の実施例では、水路の水位が所定水位
を超えると自動的に転倒し、貯えられていた水が放流さ
れると自動的に起立する自動転倒自動起立堰に使用され
ているが、本発明にかかる巻上げ装置は、転倒した堰板
を手動で巻上げる構造の転倒堰にも適したものであるこ
とは言うまでもない。
【0021】
【発明の効果】以上の説明からなるように、本発明にか
かる転倒堰の巻上げ装置は、巻取り装置をロックするロ
ック装置が水位の上昇により作動する解除装置の動作に
よりロック解除状態となり、転倒した堰板の巻上げ時に
はその巻上げ動作に連動する前記解除装置の動作により
再度ロック状態に切り替えられるので、堰板を起立させ
ようとするたびに作業者がロック装置をセットしなおす
煩わしさがなく、ロック装置のセットのし忘れによる事
故が防止されるので安全である。しかも、上記ロック装
置のリセットは、放水が十分に行われた後、または管理
者の意志により巻上を行う場合にのみリセットされるの
で、不十分な放水状態でロック装置が作動して、堰板の
転倒が阻害されるようなことがない。さらに、堰板に起
立方向の力を付与する引起し力付加手段を付設した転倒
堰でも、この付加手段を取り外しておけば専用の巻上ハ
ンドルがないかぎり巻き上げられないので、悪戯による
巻上を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巻上げ装置を備えた転倒堰の上流側か
ら見た正面図である。
【図2】その側面図である。
【図3】堰板の断面図である。
【図4】転倒時における堰板の側面図である。
【図5】巻上げ装置の側面図である。
【図6】その平面図である。
【図7】異なる実施例の説明図である。
【図8】要部の拡大図である。
【符号の説明】
1 転倒堰 2 水路 3 堰板 4 巻上げ装置 7 堰板支持ワイヤ (I) 巻取り装置 (II) ロック装置 (III) 解除装置 (IV) ロックリセット装置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基部が水路の底部に枢着された起立・転
    倒自在な堰板に取付けられた巻上げ用ワイヤを巻き取る
    巻取り装置と、ワイヤを巻き取った堰板起立状態で巻取
    り装置をロックするロック装置と、水路の水位が所定量
    以上に増加した時は前記ロック装置のロック機能を解除
    する解除装置とを備えた転倒堰の巻上げ装置において、
    堰板転倒時には前記解除装置の動作により前記ロック装
    置のロック機能を解除し、転倒した堰板の巻上げ時には
    その巻上げ動作に連動する前記解除装置の動作により前
    記ロック装置を再度機能させるようにしたことを特徴と
    する転倒堰の巻上げ装置。
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JPH07317047A JPH07317047A (ja) 1995-12-05
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