JP2614143B2 - 水硬系物質と、水硬系物質の製造法、養生法、及び養生室 - Google Patents

水硬系物質と、水硬系物質の製造法、養生法、及び養生室

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JP2614143B2
JP2614143B2 JP2321121A JP32112190A JP2614143B2 JP 2614143 B2 JP2614143 B2 JP 2614143B2 JP 2321121 A JP2321121 A JP 2321121A JP 32112190 A JP32112190 A JP 32112190A JP 2614143 B2 JP2614143 B2 JP 2614143B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、水硬系物質のクラック防止、難吸水性
化、撥水性化、高強度化、あるいは白華抑制などに効果
的な、水硬系物質と、水硬系物質の製造法、養生法、お
よびは養生室に関する。
[従来の技術とその問題点] 先ず、この発明に使用される語句につき説明する。こ
の発明で、水硬系物質とは、水和反応や水熱反応で硬化
するコンクリート、モルタル、および珪酸カルシウムな
どの、カルシウム系未硬化物または硬化物のうち、石膏
系およびまたはマグネシア系、アルミナセメント系、石
膏・スラグ系、スラグ・石膏・消石灰系、およびスラグ
・消石灰系を除いた水硬系物質を総称する(以下単に水
硬系物質という。)。白華成分とは、セメントに水を加
えたとき生成する水酸化カルシウムを主体とする、水溶
性塩類のことをいう。不足水とは、水硬系物質が十分に
水和反応または水熱反応するために必要な不足する水の
ことをいう。反応剤とは、白華成分と反応する練り込み
型の薬剤や、合成樹脂系エマルジョンなどに加える添加
型薬剤のことをいい、反応液とは、白華成分と反応する
含浸型溶液のことをいう。硬化には、水や湯を加えても
崩れない程度に固まった半硬化も含まれる。湿空養生と
は、水硬系物質が水に濡れないように別個に水を入れた
密閉室での養生など、高湿空間における養生のことをい
う。石灰系水溶液とは、セメント、水硬系物質、消石
灰、生石灰、などに水を加えてできる水酸化カルシウム
またはこれを主体とする水溶液のことをいう。水の蒸発
を抑えた養生とは、不足水を補給しながらの蒸気養生や
湿空養生、あるいはオートクレーブ養生、水中養生、石
灰系水溶液中養生、表面に水または石灰系水溶液を溜め
た表面水養生、密閉養生など、水硬系物質自体の水の蒸
発を抑えた養生のことをいう。水の蒸発を抑えた気中養
生とは、上記水の蒸発を抑えた養生から、水中養生と石
灰系水溶液中養生を除いた養生のことをいう。なお、水
の蒸発を抑えた気中養生が非オートクレーブ蒸気養生の
場合は、略50℃以下での蒸気養生をいう。水の蒸気を抑
えて、または水の蒸発抑制下で養生するという言葉に
は、養生室の密閉度が不完全で、内部の水硬系物質の水
が緩慢に蒸発するものも含まれる。
以下、従来技術とその問題点について説明する。標準
養生は、成型後1日半の養生に規定がないため、殆ど気
乾養生され、このあいだに水が蒸発し、その後の水中養
生で白華成分が溶出して、高強度を得ることができず、
白華も発生する。気乾養生は、多量の水が蒸発し、低強
度高吸水性である。断熱密閉室における水和反応熱利用
高温養生は、型枠の回転を早くするため、高温状態で取
り出されるので、急激な水の蒸発により白華が発生す
る。湿空養生は、水の蒸発を抑えることはできるが、水
和反応で消費される水を補給することができずさしたる
強度増加が認められない。ボイラーの発生蒸気を導いた
養生室での蒸気養生は、一般的に60℃〜80℃ぐらいで養
生され、脱型強度は早くでるが、高温蒸気が養生室に運
ぶ管内で結露したり、養生室に隙間があるからか、低湿
になり、水硬系物質との温度差も関係して、多量の水が
蒸発し、粗で大きな固まりの炭酸カルシウムが生成し、
ゲルの結晶化などで、長期強度の伸びがみられず、高吸
水性である。オートクレーブ養生は、珪灰系の場合は前
養生のあいだに水が蒸発し、セメント系の場合は前養生
の蒸気養生で水が蒸発して吸水性になり、白華も発生し
やすく、出るはずの強度を活かすことができない。スト
ックヤードでの散水養生は、散水養生の前に、従来の養
生法で養生されているので、すでに高吸水性低強度であ
り、散水されないところもできて、アンバランスな養生
しかできない。また養生室内での散水養生は、全体の水
硬系物質にくまなく水を噴霧し難い。
公知技術として、特開昭60−8994号公報には、湿熱養
生(高温蒸気養生)過程で水硬系の端部に水をかけ、更
に湿熱養生を続行する技術が開示されているが、水の蒸
発(1頁左欄に、養生室内の温度を高温に上げるために
室内の相対湿度を90〜100%という高湿度に保つことは
困難であり、従ってこのような湿熱養生下でも板温が上
がるにつれて乾燥が並行して起こることになる。と記載
されている。)で起こる中央部と端部の含水率の差によ
るクラックの発生を防止する技術であり、最初の湿熱養
生と、続行される湿熱養生で、多量の水が蒸発し、水の
蒸発を抑えた気中養生を施した後、不足水を補給して、
更に水の蒸発を抑えた気中養生を施したり、蒸気養生と
不足水補給養生との併用養生を続行する高強度化技術と
は、目的、構成および作用効果を異とする。特公昭60−
195047号公報には、白華防止法として、水酸化カルシウ
ムと反応する物質を添加する技術が開示されているが、
混練時添加する技術であり、硬化したものに含浸させる
技術ではない。特開昭51−46311号公報には、蒸気養生
装置の技術が開示されているが、不足水補給装置と、加
熱型蒸気発生水槽を兼備したものではない。特開昭57−
71883号公報には、高温密閉養生の技術が開示されてい
るが、不足水を補給して養生するものではない。
また、特公昭33−4346号公報には、アルミナセメント
モルタル表面に水酸化カルシウムの水溶液または粉末を
塗布または散布する技術と、アルミナセメントに水酸化
カルシウム系を混合してモルタルをつくる技術が開示さ
れているが、この技術は、アルミナセメントと水酸化カ
ルシウムの急速な反応により、モルタルの初期の不安定
な硬化作用を安定させようとするものであり、本発明と
目的・構成・および作用効果を異とする。特開昭50−10
3517号公報には、高炉セメント系2次製品に脱型後か性
アルカリ水溶液を接触させる技術が開示されている。こ
の技術は、ポルトランドセメントにか性アルカリを混合
すると、異常凝結を起こし強度低下をまねくので、脱型
後か性アルカリ水溶液に接触させてスラグの潜在水硬性
を刺激するもので、本発明は、か性アルカリを使用する
ものではない。特公昭58−46478号公報には、スラグ・
石膏・消石灰系硬化体を石灰水で養生する技術が、特開
昭58−42153号公報には、石膏・スラグ系硬化物を炭酸
処理後アルカリ溶液中養生を施す技術が、それぞれ開示
されているが、本発明はスラグ・石膏・消石灰系や石膏
・スラグ系ではなく、目的・構成・作用効果を異とす
る。特開昭50−126020号公報には、未硬化ブロックにセ
メント塗料を塗り、更に透明樹脂を塗って、養生硬化を
同時に行う技術が開示されているが、セメント塗料内の
白華成分が表面に移行して1次白華が発生する。特開昭
51−114422号公報には、未硬化PC板に無機質系塗料を塗
り高湿養生する技術が開示されているが、高湿養生だけ
では水和反応に消費された水を補給することができず、
高強度を得ることができない。特開平2−176303号公報
には、ボイラーからの蒸気と水を超音波ノズルで調整混
合し、更に遠赤外線放射して水蒸気を処理する技術が開
示されているが、ボイラーからの高温低湿蒸気と水をノ
ズルに供給し、更に遠赤外線放射するから、水は気化す
る。即ち、水蒸気の湿度と温度の変換装置であり、微水
滴を供給するものではない。特開昭58−99186号公報に
は、湿空養生の技術が開示されているが、水和反応に消
費された水を補給することができず、さしたる強度増加
が認められない。特開平2−137782号公報には、本養生
に先立ち、炭酸化媒体を供給し温度と湿度を低くして養
生する技術が開示されているが、低湿養生では水が蒸発
して、大きな蒸発孔ができ、緻密な炭酸カルシウムが生
成されず、高吸水性になる。特開平2−111675号公報に
は、断熱性養生室内で、セメント系の内部と外部の温度
と湿度を同一にするため、加熱あるいは更に加湿する技
術が開示されているが、不足水を補給できないので、さ
したる強度増加が認められない。また加熱機構は、セメ
ント系を加熱する目的で、結露防止を目的としたもので
もない。実開平1−89360号公報には、電極をモルタル
に埋設して行うコンクリート含水量センサの技術が開示
されているが、本発明は電極を埋設するものでもなく、
含水量を測定するものでもない。実公昭58−29133号公
報には、温水と温風を供給して養生する技術が開示され
ているが、2頁右欄10〜13行に、「温水Fをコンクリー
ト養生室10内に噴霧することによりコンクリート養生室
10内の温度を低下させることなくコンクリート養生に必
要な湿度を供給することができる。」と記載されている
ように、温水は不足水の補給を目的としたものではな
く、温水は温風で気化して高温蒸気となり、養生を高温
高湿下で養生することを目的としたもので、不足水の補
給と蒸気の供給を別個に供給するものでもない。特公昭
29−7738号公報には、石綿セメント管の温水中養生の技
術が、また特開昭57−27988号公報には、温水で養生す
る技術が開示されているが、複数の水漬槽を管で連結し
て、効率よく養生するものではない。
従来技術の問題点を総合すると、水硬系物質の養生に
水が必要であることを知りながら、ボイラーの低湿高温
蒸気で養生していること。隙間があれば低湿になるのに
かかわらず、隙間のある養生室で蒸気養生しているこ
と。蒸気は気体であり、湿度100%であれば水の蒸発を
抑えることができるが、液体の水でないと不足水が補給
できないにもかかわらず、早く脱型強度を出すために低
湿高温蒸気で養生していること。水の蒸発速度が早いほ
ど大きな蒸発発孔ができ粗で大きな塊の炭酸カルシウム
が生成することが知られていなかったこと。水酸化カル
シウムの溶出速度を考慮せずに養生していたこと。一回
蒸発孔ができると、水中養生しても、取り出すと急速に
水が蒸発することが理解されていなかったこと。成型直
後からの水を蒸発させない初期養生が極めて重要である
ににもかかわらず、低湿高温蒸気養生ぐらいしか行われ
なかったこと。水和反応で消費される水跡に空間ができ
ることがよく理解されなかったことなどがある。
[発明が解決しようとする課題] この発明は、前記従来技術の問題点を解消する水硬系
物質と、水硬系物質の製造法、養生法、および養生室を
提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段と作用] 本発明の手段と作用を以下に述べる。
(1)水に代えて石灰系水溶液を使用し、あるいは更に
反応剤を加えて混練した未硬化水硬系物質を、硬化させ
てなることを特徴とする、水硬系物質の製造法(以下石
灰系水利用法と略称する。)。
上記方法では、PH10以上の水溶液か飽和水溶液が望ま
しい。練り混ぜ水が石灰系水溶液のため気乾養生でも蒸
発速度が遅く、水練りのものに比し僅かではあるが低吸
水高強度化する。しかもこの効果は低温養生において顕
著である。湿空養生、略50℃以下の低温蒸気養生、微水
滴養生、オートクレーブ養生など、水の蒸発を抑えた養
生を施すと、蒸発孔が小さくなり、露出面に緻密な炭酸
カルシウムが生成して難吸水性化し、反応も順調に進ん
で高強度化する。白華成分が表面に移行しないように養
生すれば白華も発生しない。
石灰系水溶液に反応剤を加えて水硬系物質をつくる
と、反応剤と石灰系水溶液が遅効的に反応して反応物が
微細骨材化し、組織が緻密化して低吸水性高強度化す
る。反応剤がシリカ系であれば水熱反応で珪酸カルシウ
ムが生成し、ステアリン酸カリウムのように白華成分と
反応してステアリン酸カルシウムのような撥水性物質を
生成する物質(以下撥水性付与物質と略称する。)また
はその水溶液であれば、水硬系物質は撥水性化し、水の
蒸発抑制養生などを乾燥させてから脱型すると、型枠接
面(脱型面)が難吸水性および撥水性化する。なお石灰
系水溶液のPHが低くても、従来酸を加え中和して放流し
ていたセメント系の廃水を、酸を加えることなく練り混
ぜ水に使用することができ、公害防止にも有効である。
(2)水硬系物質に、超音波加湿器による撥水滴養生を
施すか、または、上記微水滴養生と、蒸気養生または湿
空養生との併用養生を施し、あるいは更にその硬化後、
引き続き水の蒸気を抑えた養生を施すことを特徴とす
る、水硬系物質の養生法(以下超音波法と略称す
る。)。
従来の成型直後の養生法は、低湿高温蒸気養生ぐらい
しかなく、不足水を補給できないばかりか、水が蒸発し
てクラック発生の原因になり、低強度高吸水性になり、
水を散水すると表面が損壊する問題点があったが、超音
波加湿器による微水滴養生は、微水滴がふわっと降り注
ぐので、水硬系物質の表面を損壊することなく、しかも
不足水を補給することができる。なお、微水滴の一部が
蒸発すると湿度が高くなり、微水滴の蒸発を防止するこ
とができる。微水滴養生と蒸気養生の併用養生は、蒸気
が水の蒸発を抑えると同時に熱エネルギーを供給し、微
水滴は水硬系物質に不足水を補給する。湿空養生との併
用養生を施すと、微水滴は蒸発し難く不足水の補給量が
大になる。水硬系物質の硬化後引き続き上記養生を施し
たり、水の蒸発を抑えた養生を施すと、水硬系物質は更
に高強度低吸水性化し、水の蒸発を極めて緩慢に行わせ
ると、露出面が難吸水性化し、上記養生後水硬系物質が
乾燥してから脱型すると、型枠接面が難吸水性化する。
(3)未硬化水硬系物質に、水の蒸発を抑えた気中養生
を施し、次に、不足水を補給して、更に水の蒸発を抑え
た気中養生を施すか、または、不足水を補給しながら蒸
気養生を施すことを特徴とする、水硬系物質の養生法
(以下不足水補給法と略称する。)。
初期の水の蒸発を抑えた気中養生が蒸発孔が少なく、
白華成分も溶出せず、次に水和反応で消費された水を補
給して、更に水の蒸発を抑えた気中養生を施すか、不足
水を補給しながら蒸気養生するので、蒸発孔が極めて少
なく、多量のゲルが生成して高強度低吸水性化する。不
足水を補給して緩慢な水の蒸発が行われるような湿空養
生を施すときは、露出面に緻密な炭酸カルシウムの層が
形成されて難吸水性化し、型枠に入れたまま養生したも
のは、乾燥させてから脱型すると、型枠接面が難吸水面
化する。また、不足水を補給しながら蒸気養生するとき
は、養生室に隙間があっても、温風と温水を供給する養
生に比し、噴霧する水や湯の蒸発量が少なく、不足水を
より確実に補給しながら、水の蒸発を抑えて養生するこ
とができる。
(4)未硬化水硬系物質に、水の蒸発を抑えた気中養生
を施し、脱型後、不足水を補給するか補給することな
く、水の蒸発を抑えた気中養生を施くことを特徴とす
る、水硬系物質の養生法(以下脱型後養生法と略称す
る。)。
従来の蒸気養生では、ゲルが結晶したり粗で大きな炭
酸カルシウムが生成し、長期強度が伸びない問題点があ
り、脱型後再び蒸気養生を施すことは考えられなかった
が、未硬化水硬系物質に水の蒸発を抑えた気中養生を施
すと、炭酸化やゲルの結晶化が少なく、脱型後不足水を
補給するか補給することなく、水の蒸発を抑えた気中養
生を施すと、ゲル生成が進行し、高強度低吸水性化す
る。しかも、脱型後の養生は型枠を錆びさせることがな
い。
(5)未硬化水硬系物質が水や湯で崩れなくなったら速
やかに、その表面に水または石灰系水溶液による表面水
層を形成して養生することを特徴とする、水硬系物質の
養生法(以下表面水養生法と略称する。)。
上記養生法は、表面水層で水硬系物質自体の水の蒸発
を抑制するから、ゲルが多量に生成し、石灰系水利用法
の場合は更に型枠接面が難吸水性化しやすい。水などを
溜めるには型枠を利用するなどして溜めることができ、
構造物が傾斜して水などが溜められないときは、間欠的
または連続的に水などを補給して絶えず表面水層を形成
するようにすればよい。また、打設後1時間半程度経過
してから水などを溜めるときは、水硬系物質上面に形成
された薄膜(レイタンス)が剥離して水などの上に浮上
し、炭酸カルシウムも生成して層をなし、水の蒸発を抑
制できるばかりか、レイタンスの除去が容易である。極
緩慢に水を蒸発させると、露出面が難吸水性化し、乾燥
してから脱型すると型枠接面が難吸水性化する。
(6)型枠中の硬化した水硬系物質の露出面に、石灰系
水溶液を供給し、該石灰系水溶液で水の蒸発を抑えて養
生することを特徴とする、水硬系物質の養生法(以下石
灰系水養生法と略称する。)。
上記養生法では、水の蒸発を抑え、かつ不足水を補給
出来るばかりか、白華成分の溶出を抑制することができ
る。
(7)未硬化水硬系物質を、養生室で水和反応熱利用高
温養生し、温度を常温または常温近くに降下させてか
ら、養生室から取り出すことを特徴とする、水硬系物質
の養生法(以下1次白華抑制法と略称する。)。
非通気断熱材でつくられた密閉養生室で養生すると、
水和反応熱で高温高湿養生されるが、型枠の回転を早く
するため、高温状態で養生室から取り出されており、水
の急激な蒸発で脱型面に白華が発生する。しかし、温度
が常温程度になってから養生室から取り出すと、水の蒸
発が遅くなり白華が発生せず、しかもゲル生成が更に進
行していて高強度化する。
(8)硬化した水硬系物質に、反応液か、または反応剤
を加えた合成樹脂系エマルジョンを、液が表面に溜まら
ず、内部の白華成分が表面に移行しない程度に含浸さ
せ、内部の白華成分と反応させることを特徴とする、水
硬系物質の養生法(以下2次白華抑制法と略称す
る。)。
上記養生法は、固化した白華成分の溶出速度を利用し
たものであり、白華成分が軟化または湿る程度に反応液
などを含浸させるから、白華成分の表面への移行が防止
され、反応液または反応剤が水硬系物質内部の白華成分
と遅効的に反応して反応物が生成し、2次白華の発生を
抑制することができる。なお、反応剤を加えたエマルジ
ョンを使用するときは、合成樹脂が造膜して更に効果が
大になる。
(9)未硬化水硬系物質に、合成樹脂系エマルジョン、
または、合成樹脂系エマルジョンを加えたセメントスラ
リーを塗布し、結露水滴下防止蒸気養生を施すことを特
徴とする、水硬系物質の養生法(以下1、2次白華抑制
法と略称する。)。
上記養生法は、養生室の天井から結露水が滴下しない
ので、水硬系物質が汚損されず、しかも高湿養生される
ので水の蒸発速度が遅く、1次白華の発生がないか、発
生しても均一な層が僅かに形成される程度で美観を失わ
ず、樹脂皮膜の形成で2次白華を抑制することができ
る。
(10)水硬系物質に、湿度95%以上の結露水滴下防止蒸
気養生を施すことを特徴とする、水硬系物質の養成法
(以下結露水滴下防止養生法と略称する。)。
上記養生法は、結露水の滴下で水硬系物質が汚損され
ず、水が蒸発しないか極めて遅いので、1次白華が抑制
され、かつゲル生成が進行して高強度化する。なお、結
露水滴下防止蒸気養生法は、天井に加熱器を設け、室内
の蒸気の温度より高くすることなどで行うことができ
る。
(11)石灰系水溶液およびまたは反応液を表面に付着さ
せた水硬系物質か、または水を含浸させて白華成分を溶
出させた硬化した水硬系物質の表層部に、カルシウム系
化合物による緻密な層を形成するように、湿空養生など
を利用して水の蒸発を極緩慢に行わせる養生を施し、表
層部にカルシウム系化合物による緻密な層を形成させる
ことを特徴とする、水硬系物質の養生法(以下表面層形
成法と略称する。)。
一般的な大気中での蒸発速度は想像以上に早く、この
ため蒸発孔が大になり、かつ粗でおおきな塊の炭酸カル
シウムが生成して高吸水性になるが、極めて緩慢に水を
蒸発させると、蒸発孔が小さくなり、かつ小さくて緻密
な炭酸カルシウムが生成して低吸水性または難吸水性に
なる。この方法は湿空養生や高圧養生あるいは低温蒸気
養生などで達成することができる。また、反応液に撥水
性付与物質を使用するときは撥水性化する。
(12)請求項2〜11記載の水硬系物質の養生を、型枠に
打設したまま行い、その後、湿空養生などにより水硬系
物質をゆっくり乾燥させ、型枠接面にカルシウム系化合
物による緻密な層を形成させることを特徴とする、水硬
系物質の養生法(以下型枠接面層形成法と略称す
る。)。
上記養生法は、多量のゲルが生成した水硬系物質を、
型枠に打設した状態で乾燥させてから脱型するから、自
然放置しても型枠接面は緻密な水硬系物質を介してゆっ
くり乾燥することになり、型枠接面(脱型面)に小さく
て緻密な炭酸カルシウムの層を得る。なお、水和反応に
より水が消費されることも、本養生法における乾燥や、
表面層形成法における、水の蒸発を極緩慢に行わせるこ
とに含まれる。
(13)緻密なカルシウム系化合物による難吸水性および
または撥水性層が、開放面およびまたは脱型面の表層部
に一体的に形成されていることを特徴とする、硬化した
水硬系物質(以下難吸水性硬化物と略称する。)。
上記硬化物は、カルシウム系化合物を主体とする、蒸
発孔が塞がれているか極めて少ないか小さい難吸水また
は撥水性層が、外層に一体的に形成されているから、生
成ゲルと相まって難吸水性およびまたき撥水性を呈し、
難吸水性のものは塗料を施すこともできて、水硬系物質
を二重に保護することができ、酸性雨や海水が浸透し難
く、内部のアルカリ分の溶出も防止され、鉄筋の腐食防
止にも有効で、耐久性に優れている。
(14)加熱型蒸気発生水槽と、微水滴を供給する超音波
加湿器およびまたは水噴霧器を備えたことを特徴とす
る、水硬系物質の養生室(以下多能養生室と略称す
る。)。
上記養生室は、微水滴養生、水や湯の噴霧養生、高湿
蒸気養生、あるいはこれらの併用養生など、水硬系物質
の種類と目的に応じた種々の養生を行うことができる。
(15)複数の水漬養生室を、ポンプを設けた管で連結
し、水硬系物質を入れた水漬養生室に他の水漬養生室か
ら水や湯を入れて水漬養生し、次に、水や湯を他の水漬
養生室に移して湿空養生できるようにしたことを特徴と
する、水硬系物質の養生湿(以下水漬養生室と略称す
る。)。
上記養生室は、ポンプを作動させて他の水漬養生室か
ら水や湯などを入れると水硬系物質は水中養生され、水
などを他の水漬養生室にポンプで移送し密閉状態にする
と、水硬系物質は引き続き湿空養生されることになり、
同じ水を何回も使用でき、使用回数が増えるほど水は石
灰系水溶液加し、練り混ぜ水に利用することもできる。
[実施例] 実施例1〜4(請求項1、2、3) 表1は、セメント276Kg/m3、砂616Kg/m3、砂利1277Kg
/m3、W/C=55%のコンクリートのデータを示し、No1〜
3は空気量5.4%スランプ12.2cm、No4は空気量4.7%、
スランプ10.9cm、練り上がり温度は共に14℃であった。
なお試験体は、No2およびNo3は表面をシートで覆い密閉
して、No1とNo4はそのままで、超音波加湿器による微水
滴の供給で湿度を95%またはそれ以上に保持した温度21
℃の恒温室で1日間養生した後脱型し、その後養生法を
変えて実験した。
即ちNo1は21℃の恒温水槽で養生した。No2は上記恒温
室内で6時間毎に1時間水に漬ける養生を略3日程度行
い、その後気乾養生した。No3は略50℃の温水中におけ
る30分間の養生と、略50℃の蒸気中における1時間の養
生を交互に略1日半程度行い、あとは気乾養生した。No
4は気乾養生した。
なお、No1〜3はコンクリートの練り混ぜ水に水を使
用し、No4は石灰水を使用した。強度は1cm2当たりの圧
縮強度を示し、No1は恒温水槽から取り出して、No2〜4
はテスト前に試験体を4時間水に漬けた後取り出して、
それぞれテストした。表における吸水率は水漬け前の重
量と取り出した後の重量を測定した計算したものであ
る。
No1とNo4は微水滴の補給で打ち込み時と脱型後の重量
に殆ど変化がなく、No2とNo3には0.15%前後の重量減が
みられた。これは、シートで覆い微水滴が供給されなか
ったからである。表1におけるNo3および4の後期吸水
率増加は、水和反応に使用された水跡の空隙による。ま
たNo2〜4の2週強度がNo1の強度より高いのは、緻密な
炭酸カルシウムの生成と、白華成分の溶出がないか少な
いからと思われる。No2〜4の4週強度の伸びが少ない
のは、気乾養生中不足水が補給されず、ゲル生成が緩慢
になったからである。
実施例5〜14(請求項1、3) 表2はC:S=1:3(C=セメント、S=秒)のモルタル
のデータを示す。W/Cは水(石灰水)セメント比であ
り、湿空・水中養生は、1日3回1時間水に漬け後は湿
空中で養生する養生を、テストの4日前まで行い後は気
乾養生した。蒸気・温水養生は、湯を間欠的に噴霧しつ
つの養生を、テストの4日前まで行い後は気乾養生し
た。表2で練り混ぜ水に石灰水を使用したものは、気乾
養生でも低吸水性化し、湿空・水中養生と、蒸気・温水
養生したものは低吸水性化または難吸水性化した。
以上の実施例で難吸水性化と高強度化の概要が理解で
きるので、不足水補給に石灰系水溶液を使用する実施例
は省略する。
実施例15(請求項2、3、4、13) C:S=1:3、W/C=50%(減水剤使用)の生モルタル
に、成型後直ちに、超音波加湿器に30℃の湯を供給した
微水滴養生と、30℃の蒸気養生の併用養生を施し、12時
間後養生室内で脱型し、次にモルタルの表面水がなくな
らないように噴霧器で35℃の湯を間欠的に供給しなが
ら、35℃の蒸気で48時間養生し、その後噴霧器による湯
の供給を停止して24時間で20℃の温度まで降温し、その
後養生室から取り出して気乾養生したものの1週圧縮強
度は369Kg/cmであり、かつ難吸水性であった。
実施例16(請求項2、13) セメントと消石灰および珪砂微粉の適量に水とアルミ
粉を加えて発泡させ、超音波加湿器による微水滴養生ま
たは蒸気養生との併用養生を8時間行い、次にオートク
レーブ養生したものは、従来のALCに比し難吸水性であ
った。起泡剤を使用して含泡させたものも難吸水性であ
った。
実施例17(請求項11、13) 石灰系水利用法でつくられた未硬化成型モルタル、石
灰水およびまたはステアリン酸カリウム水溶液を、それ
ぞれ塗設あるいは超音波スプレーして付着させた硬化ま
たは未硬化モルタル、および脱型後水を含浸させて白華
成分を溶出させたモルタルに、水の蒸気が極めて緩慢な
湿空養生を施し、24時間後養生室から取り出す養生を3
回繰り返したものは、表面に緻密な難吸水性または撥水
性層が形成された。
実施例18(請求項8) C:S=1:3、顔料5%、W/C=65%の生モルタルを成型
後1日間気乾養生して脱型し、3日後反応液に10分間漬
けて取り出し、1日間気乾養生した後1日間水に漬けて
取り出したものは、2次白華が発生しなかった。
上記方法は、水または液が表面に溜まらない程度に反
応液などを含浸させて内部の白華成分と反応させるもの
で、表面に液などが溜まる場合は拭き取って養生すれば
よい。反応液などを圧入すると、常圧で水が浸透しない
部分まで2次白華抑制される。
実施例19(請求項7) 実施例18の生モルタルを、非通気断熱性密閉養生室で
水和反応熱利用高温養生したものは、その翌日室内上部
の温度が50℃程度になっており、高温状態で養生室から
取り出して脱型したら、型枠接面から急激に湯気が出て
1次白華が発生した。しかし、2日目に内部の温度が略
常温に降下してから取り出し脱型したものは白華が発生
しなかった。
実施例20(請求項10) 実施例18の生モルタルを、成型後直ちに、天井に加熱
器を設けた蒸気養生室に搬入し、温度33℃、湿度100%
で蒸気養生を6時間施し、その後18時間21℃の温度で気
乾養生し脱型したものは、1次白華が発生しなかった。
実施例21(請求項1、2、9) 厚型スレートの成型機でプレス脱水した顔料入り生瓦
(A)と、成型後顔料入りセメントスラリーを表面に塗
布した生瓦(B)と、成型後顔料入り合成樹脂系エマル
ジョンを表面に塗布した生瓦(C)と、成型後顔料と合
成樹脂系エマルジョンを加えたセメントスラリーを表面
に塗布した生瓦(D)の4種に、温度21℃湿度70%の気
乾養生を施すか、温度21℃の超音波加湿器による微水滴
養生と、温度35℃の結露水滴下防止蒸気養生(天井に加
熱装置を設けて結露水滴下防止を行うことができる。)
を、それぞれ8時間施し、その後、微水滴と蒸気の供給
を停止して自然に降温させ、それぞれ水の蒸発抑制養生
を21℃の温度で行い、養生開始後18時間後に脱型した
が、気乾養生したものは表面に白華が発生し、他は白華
の発生が極めて少ないか見られなかった。
また練り混ぜ水やスラリーの水に石灰水を使用した生
瓦(A)(B)(D)、および合成樹脂エマルジョンを
石灰水およびまたは反応液で希釈して塗布した生瓦
(C)にも同様の養生を施したが、気乾養生したものは
練り混ぜ水に水を使用したものに比し白華の発生量少な
く、他は白華の発生が極めて少ないか全く見られなかっ
た。なお気乾養生以外の養生を施した上記瓦に、脱型後
顔料を加えるか加えない合成樹脂系エマルジョンを塗布
して樹脂皮膜を形成してもよい。
実施例22(請求項1、5、6、13) コンクリートの打設面に吸水材を貼付した両側の型枠
内に、C=276Kg/m3、S=616Kg/m3、G=1277Kg/m3、
石灰水/C=55%、空気量4.7%、スランプ10.9cmの生コ
ンクリートを打設し、1週間後脱型したものは型枠接面
が難吸水性化した。なお露出面を吸水材で覆って養生し
たものは全体的に難吸水性化した。露出面を覆った吸水
材を介して石灰水や水を補給したり、石灰水や水を露出
面に溜めて養生してもよい。なお、吸水材を使用せず、
型枠上端部に水を溜める空間を残して生コンクリートを
打設し、生コンクリートが水で崩れなくなってから上面
に水を溜めて表面水層を形成し、水の蒸気を抑えて養生
して1週間後脱型したものは、型枠接面が難吸水性であ
った。練り混ぜ水に水を使用したものは型枠接面が低吸
水性化した。
実施例23(請求項3、4) C:S=1:3、W/C=80%の生モルタルを、5×5×5cmの
型枠に打設し、5時間半45℃の温度で蒸気養生した後脱
型し、45℃の湯に30分間漬け45℃で1時間蒸気養生する
養生を24時間施し、引き続き28℃で40時間湿空養生した
ものの18日圧縮強度は219.2Kg/cm2、6日後の乾燥率は
9.5%であった。
これに比し気乾養生したものの18日圧縮強度は105.2K
g/cm2、6日後の乾燥率は11.5%であり、45℃で5時間
半蒸気養生し、脱型して気乾養生したものの18日圧縮強
度は86.7Kg/cm2、6日後の乾燥率は12.3%であった。
実施例24(請求項2、3) C:S=1:2、W/C=45%(減水剤使用)の生モルタルを
5×5×5cmの型枠に打設し、超音波加湿器の微水滴で
2時間養生した後32℃で3時間蒸気養生して脱型し、45
℃の湯に30分間漬け45℃で1時間蒸気養生する養生を18
時間半行い、更に26℃で48時間湿空養生したものの10日
圧縮強度は670Kg/cm210日後の乾燥率は1.7%であった。
これに比し、気乾養生したものの10日圧縮強度は325K
g/cm2、乾燥率は4.5%であった。乾燥率が少ないほど高
強度低吸水性のようである。
実施例25(請求項1、5、6、12、13) C:S=1:2、W/C=43.6%減水剤使用の生モルタルと、
水に代えて石灰水を使用した生モルタルをつくり、それ
ぞれ製造直後直径5cmの型枠に1cm高さ打設した。90分後
表面に薄い膜が形成されていたが、静かに水または石灰
水を3mm程度注ぐと、薄膜はモルタルから剥離して浮上
し、やがて水面上を覆って密閉膜を形成した。水練りし
たモルタルの上に3cm程度水を溜めたものは、密閉膜を
形成するまでには至らなかった。水または石灰水が不足
するとできるだけ膜を壊さないように補給し、4日間表
面水養生を施して脱型したものは、何れも0.7%程度重
量が増え、表面はやや低吸水性化し、脱型面は低吸水性
化した。なお、表面の水または石灰水を除去し、更に3
日間経って脱型したものは、脱型面が難吸水性化し、水
または石灰水を除去した後ラップで表面を覆い水の蒸気
を抑えて養生したものは、表面も難吸水性化した。これ
は、水和反応で内部の水が消費され、極緩慢に乾燥し
て、緻密な炭酸カルシウムが形成されるからと考えられ
る。
超音波法、不足水補給法、白華抑制法で養生したもの
も、乾燥して脱型したものは何れも脱型面が難吸水性化
した。
以下、上記方法に好適な養生室につき説明する。第1
図は天井加熱器1を養生室Aの天井内側面に取り付けた
結露防止養生室を示し、蒸気養生しても結露水が滴下せ
ず、水硬系物質が汚損されない。第2図は養生室Bの下
部に車2などを設けた走行伸縮型養生室1例を示し、多
能養生室を兼用してもよい。
実施例26(請求項14) 第3図は多能養生室1例を示し、Cは非通気断熱性材
料3で覆われた養生室、4はその底部に設けられた加熱
型蒸気発生水槽であり、水槽4にはヒーターが設けられ
ている。5は養生室C内に設けられた多数の孔を有する
棚、6は養生室7の上部に設けられたフアン、7は排気
管8に弁9を設けて構成された除湿器であり、10は養生
室Cに隣接して設けられた計器室、11は超音波加湿器、
12は噴霧器である。該養生室には、温度管理装置と湿度
管理装置、および超音波加湿器およびまたは噴霧器の作
動時間を制御する不足水管理装置が設けられており、ヒ
ーター、噴霧器、超音波加湿器、および除湿器の作動を
自動的に制御して各種条件の養生が可能である。
実施例27(請求項15) 養生室は、複数の水漬養生室を、ポンプを設けた管で
連結し、水硬系物質を入れた水漬養生室に他の水漬養生
室から水や湯を入れて水漬養生し、次に水や湯を他の水
漬養生室に移して湿空養生できるような、水漬養生室で
あってもよい。水中養生と湿空養生を同一養生室で行う
ことができ、水の使用量を節約できるばかりか、繰り返
し同一の水を使用しているうちに、水は次第に石灰系水
溶液になり、石灰系水溶液での養生が可能である。以下
水漬養生室と略称する。
この発明は次の実施態様をとることができる。
(1)反応剤および反応液には各種の酸類やアルカリ類
および市販のコンクリート混和剤などを使用することが
でき、具体的には例えば次のものなどを使用することが
できる。
硫酸や塩酸あるいは硝酸などの強酸類は、1/100万〜1
/1000万程度の希釈液を使用できる。
タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グロ
ン酸、クエン酸、アスコルビン酸などのカルボン酸類
は、1/200〜1/50万程度の希釈液または溶解液を使用す
ることができる。
重曹、アンモニア水、水ガラスなどのアルカリ類は1/
100〜1/20万程度の希釈液または溶解液を使用すること
ができる。
シリカゾル、シリコン、マイクロシリカ、シリカフユ
ームなどのシリカ類、各種増粘剤、商品名マイティー15
0などの減水剤、撥水剤、AE剤や流動化剤あるいは界面
活性剤などは、3〜1/100程度の希釈液や粉体などを使
用できる。
上記薬剤の2種以上を混合したものを使用してもよ
い。実施例では特記しないかぎり、反応剤または反応液
に、減水剤、酸およびアルカリ、これらに減水剤を加え
たもののそれぞれ適量を使用した。なお使用量はセメン
ト量の0.3〜100%程度の添加が望ましい。
(2)表面水養生法で表面水層を形成する場合、好まし
くは5時間以内に形成することが好ましい。なお、打設
直後表面をラップで覆い、水や湯で崩れなくなつてから
ラップを除去し、引き続き表面水養生法を施してもよ
い。
[発明の効果] 石灰系水利用法は、水硬系物質の難吸水性化、撥水性
化、低吸水性化などに効果があり、セメント廃水を有効
利用することができる。超音波法は、成型直後の未硬化
水硬系物質を損壊することなく、不足水の補給と水の蒸
発を抑えた養生が可能である。不足水補給法は、難吸水
性化や高強度化に効果がある。表面水養生法は、簡単な
方法で高強度化や難吸水性を行うことができる。石灰系
水養生法は、白華成分の溶出を防止して高強度化させる
ことができる。1次白華抑制法は、1次白華抑制と高強
度化に効果がある。2次白華抑制法は、今まで不可能だ
った2次白華の抑制を簡単に行うことができる。1、2
次白華抑制法は、1次白華のみならず2次白華の抑制も
同時に行うことができる。結露滴下防止養生法は、結露
水による汚損を防止し、1次白華抑制と高強度化に効果
がある。表面層形成法は、表面に難吸水性層を設けるこ
とができる。型枠接面形成法は、型枠接面(脱型面)を
難吸水性化させることができる。難吸水性硬化物は、酸
性雨や海水に侵され難く、耐久性に優れている。多能養
生室は、多々の養生法を目的に応じて行うことができ
る。水漬養生室は、水硬系物質を移動させることなく水
中養生と湿空養生が可能であり、繰り返し同一の水を利
用できて経済的であり、練り混ぜ水として利用すること
もできる。
【図面の簡単な説明】
第1図と第2図は養生室2例の概略断面図、第3図は養
生室1例の説明図である。 1……天井加熱器、4……水槽、11……超音波加湿器、
12……噴霧器、A、B、C……養生室
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 28/04 B28B 11/00 (72)発明者 満尾 浩志 東京都世田谷区宮坂1丁目28番7号 メ ゾン和田402 審査官 板橋 一隆 (56)参考文献 特開 平3−265555(JP,A) 特開 昭50−126020(JP,A) 特開 昭51−114422(JP,A) 特開 昭50−103517(JP,A) 特開 平2−176303(JP,A) 特開 平3−265580(JP,A) 特開 昭58−99186(JP,A) 特開 平4−21555(JP,A) 特開 平4−26534(JP,A) 特開 平2−137782(JP,A) 特開 平2−111675(JP,A) 特開 昭57−27988(JP,A) 実開 昭49−22152(JP,U) 実開 昭53−155558(JP,U) 実開 平1−89360(JP,U) 特公 昭33−4346(JP,B1) 特公 昭29−7738(JP,B1) 特公 昭58−46478(JP,B2) 特公 昭58−42153(JP,B2) 実公 昭58−29133(JP,Y2)

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水に代えて石灰系水溶液を使用し、あるい
    は更に反応剤を加えて混練した、石膏系およびまたはマ
    グネシア系、アルミナセメント系、石膏・スラグ系、ス
    ラグ・石膏・消石灰系、およびスラグ・消石灰系を除い
    た、水和反応や水熱反応で硬化するコンクリート、モル
    タル、および珪酸カルシウムなどの、カルシウム系未硬
    化水硬系物質を、硬化させてなることを特徴とする、水
    硬系物質の製造法。
  2. 【請求項2】石膏系およびまたはマグネシア系、アルミ
    ナセメント系、石膏・スラグ系、スラグ・石膏・消石灰
    系、およびスラグ・消石灰系を除いた、水和反応や水熱
    反応で硬化するコンクリート、モルタル、および珪酸カ
    ルシウムなどの、カルシウム系水硬系物質に、超音波加
    湿器による微水滴養生を施すか、または、上記微水滴養
    生と、蒸気養生または湿空養生との併用養生を施し、あ
    るいは更にその硬化後、引き続き水の蒸発を抑えた養生
    を施すことを特徴とする、水硬系物質の養生法。
  3. 【請求項3】請求項2記載の未硬化水硬系物質に、水の
    蒸発を抑えた気中養生を施し、次に、不足水を補給し
    て、更に水の蒸発を抑えた気中養生を施すか、または、
    不足水を補給しながら蒸気養生を施すことを特徴とす
    る、水硬系物質の養生法。
  4. 【請求項4】請求項2記載の未硬化水硬系物質に、水の
    蒸発を抑えた気中養生を施し、脱型後、不足水を補給す
    るか補給することなく、水の蒸発を抑えた気中養生を施
    すことを特徴とする、水硬系物質の養生法。
  5. 【請求項5】請求項2記載の未硬化水硬系物質が水や湯
    で崩れなくなったら速やかに、その表面に水または石灰
    系水溶液による表面水層を形成して養生することを特徴
    とする、水硬系物質の養生法。
  6. 【請求項6】型枠中の硬化した請求項2記載の水硬系物
    質の露出面に、石灰系水溶液を供給し、該石灰系水溶液
    で水の蒸発を抑えて養生することを特徴とする、水硬系
    物質の養生法。
  7. 【請求項7】請求項2記載の未硬化水硬系物質を、養生
    室で水和反応熱利用高温養生し、温度を常温または常温
    近くに降下させてから、養生室から取り出すことを特徴
    とする、水硬系物質の養生法。
  8. 【請求項8】請求項2記載の硬化した水硬系物質に、反
    応液か、または反応剤を加えた合成樹脂系エマルジョン
    を、水または液が表面に溜まらず、内部の白華成分が表
    面に移行しない程度に含浸させ、内部の白華成分と反応
    させることを特徴とする、水硬系物質の養生法。
  9. 【請求項9】請求項2記載の未硬化水硬系物質に、合成
    樹脂系エマルジョン、または、合成樹脂系エマルジョン
    を加えたセメントスラリーを塗布し、結露水滴下防止蒸
    気養生を施すことを特徴とする、水硬系物質の養生法。
  10. 【請求項10】請求項2記載の水硬系物質に、湿度95%
    以上の結露水滴下防止蒸気養生を施すことを特徴とす
    る、水硬系物質の養生法。
  11. 【請求項11】石灰系水溶液およびまたは反応液を表面
    に付着させた請求項2記載の水硬系物質か、または水を
    含浸させて白華成分を溶出させた硬化した請求項2記載
    の水硬系物質の表層部に、カルシウム系化合物による緻
    密な層を形成するように、湿空養生などを利用して水の
    蒸発を極緩慢に行わせる養生を施し、表層部にカルシウ
    ム系化合物による緻密な層を形成させることを特徴とす
    る、水硬系物質の養生法。
  12. 【請求項12】請求項2〜11記載の水硬系物質の養生
    を、型枠に打設したまま行い、その後、湿空養生などに
    より水硬系物質をゆっくり乾燥させ、型枠接面にカルシ
    ウム系化合物による緻密な層を形成させることを特徴と
    する、水硬系物質の養生法。
  13. 【請求項13】緻密なカルシウム系化合物による難吸水
    性およびまたは撥水性層が、開放面およびまたは脱型面
    の表層部に一体的に形成されていることを特徴とする、
    硬化した請求項2記載の水硬系物質。
  14. 【請求項14】加熱型蒸気発生水槽と、微水滴を供給す
    る超音波加湿器およびまたは水噴霧器を備えたことを特
    徴とする、請求項2記載の水硬系物質の養生室。
  15. 【請求項15】複数の水漬養生室を、ポンプを設けた管
    で連結し、請求項2記載の水硬系物質を入れた水漬養生
    室に他の水漬養生室から水や湯を入れて水漬養生し、次
    に、水や湯を他の水漬養生室に移して湿空養生できるよ
    うにしたことを特徴とする、水硬系物質の養生室。
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