JP2613867B2 - 遠心成形機の防音装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、コンクリートパイル
やポール，ヒューム管等を成形する遠心成形機の防音装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】コンクリート二次製品を遠心成形する遠
心成形機は、二本の平行する回転体間上に型枠を水平に
支持し、この型枠内に鉄筋篭を組込むと共に、所定量の
コンクリートを投入した状態で型枠を高速回転させ、発
生する遠心力でコンクリートを所定の形状に仕上げるも
のである。

【０００３】このような遠心成形機は、回転体上で型枠
を高速回転させるため、極めて大きな騒音が発生し、作
業環境が過酷な条件になるため、防音装置の設置が必要
になる。

【０００４】従来の防音装置は、遠心成形機の周囲を単
に防音壁で囲むようにしていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、遠心成形機
を防音壁で囲んだ場合、型枠の出し入れのために、防音
壁を開閉できるようにしなければならず、従来は防音壁
の開閉部分を単に突き合わせただけであるため、遠心成
形機を密閉状に囲むことができず、隙間部分から騒音が
漏れ、防音効果が極めて低いという問題がある。

【０００６】そこで、この発明の課題は、遠心成形機を
囲む防音壁の開閉部分をパッキンでシールし、遠心成形
機を確実に密閉することができる防音性に優れた遠心成
形機の防音装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決
するため、この発明は、遠心成形機の周囲を囲むように
設置され、上端部にパッキンを取付けた側壁と、前記側
壁の上部に配置され、この側壁の上部開口を閉鎖する平
面的な大きさを有し、側壁の長さ方向に沿って両側に二
分され、衝合縁をパッキンでシールするようにした一対
の蓋壁と、前記側壁の両側に沿って配置した複数の支柱
に各々上下動と回動が自在となるよう取付けられ、上昇
位置で蓋壁を持上げて側壁上から浮かし、横方向への移
動が自在となるよう支持し、下降位置で蓋壁の持上げを
解いて側壁に沿うよう回動する蓋壁持上げ機構とからな
り、前記両蓋壁を機械的に同調して開閉動させるように
した構成を採用したものである。

【０００８】この発明において、側壁の長さ方向に沿う
一方の端部が両側に開閉動自在となる一対の扉によって
形成され、閉鎖位置で側壁端部に密着するようにするこ
とができる

【０００９】また、一対の蓋壁を各々の蓋壁に連結した
シリンダで開閉自在とし、蓋壁の開閉方向に沿って配置
した横梁の両端にスプロケットを取付け、各々の蓋壁に
一端を結合したチエンをスプロケットに巻回した後、他
端を相手蓋壁と結合し、シリンダによる両蓋壁の開閉動
を同調させるようにすることもできる。

【００１０】

【作用】遠心成形機上に型枠を供給載置した状態で蓋壁
持上機構は下降して側壁に沿い、一対の蓋壁は下降して
側壁上に重り、その重量でパッキンを圧縮していると共
に、両蓋壁は衝合縁でパッキンを圧縮して閉じ、これに
より側壁の開口部分を密閉し、成形機を密閉状に覆うこ
とにより防音を確実に行なう。

【００１１】型枠の出し入れ時は、蓋壁持上げ機構を９
０°回動させた後、上昇動させ、蓋壁を持上げた状態で
蓋壁を両側に開ければよく、側壁の上部開口から型枠の
出し入れを行なえばよく、蓋壁の開閉動時は持上げられ
ているので、側壁上に設けたパッキンを損傷させること
がない。

【００１２】

【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。

【００１３】図示のように、遠心成形機１は、床面上に
二本の長い回転体２と２を平行状態で配置し、両回転体
２，２を同方向へ回転させることにより、回転体２，２
上に載置した型枠３を高速で回転させるようになってい
る。

【００１４】上記遠心成形機１を設置した床面上で、該
成形機１を挟む両側の位置に支柱４が成形機１の長さ方
向に適当な間隔で立設され、隣接する支柱４間にＰＣコ
ンクリート板等の防音性のある側壁５，５が立設され、
成形機１の一方端部における支柱４間にも同様の端壁６
が立設されている。

【００１５】側壁５及び端壁６は、支柱４と等しい高さ
を有し、床面及び支柱４に対して気密状となり、この側
壁５，５と端壁６で成形機１の三方を囲む防音壁を形成
している。

【００１６】上記側壁５，５及び端壁６の上端には、上
方に向けて突出するパッキン７が長手方向に沿うよう連
続して装着され、成形機１の他方端部における両側支柱
４，４間の上端部にＨ型鋼を用いた横梁８が架設され、
この横梁８の外面に固定したレール９に左右一対の扉１
０，１０が揺動可能な吊金具１１を介して吊下げられ、
両扉１０，１０は中央で互いに衝合する状態で両側壁
５，５間の他方端部間を閉鎖できる大きさに形成されて
いる。

【００１７】両扉１０，１０は、レール９の上部両端に
設置したシリンダ１２，１２と連結され、該シリンダ１
２，１２の作動で両側に開閉動すると共に、横梁８の外
面に取付けた引寄せ機構１３により、閉鎖位置で両側の
支柱４，４に密着するようになっている。

【００１８】なお、両扉１０，１０の衝合縁及び支柱
４，４の扉１０，１０が重なる面にはパッキンが設けら
れ、扉１０，１０を閉じた状態で側壁５，５間の他方端
部間を密閉できるようになっている。

【００１９】前記遠心成形機１の長さ方向に沿う両端部
に位置する支柱を除く他の各支柱４には、側壁５，５の
内面側の位置に内側の蓋壁持上げ機構１４と、側壁５の
外面側の位置に外側の蓋壁支持機構１５とが装着され、
両側壁５，５間の上部には、左右一対となり、衝合状態
で側壁５，５間の上部開口を閉鎖する平面的な大きさを
有する蓋壁１６，１７が配置されている。

【００２０】前記内側の蓋壁持上げ機構１４は、図４に
示すように、支柱４の上部と途中に設けた軸受１８で縦
軸１９を回転と上下動が自在となるよう支持し、縦軸１
９の上端に固定した水平の支持アーム２０に蓋壁１６又
は１７を移動自在に支持する複数の転子２１を枢止し、
縦軸１９の下部外周面に上下に長いピニオン歯車２２を
設け、この縦軸１９の下端を支柱４の下部に固定したシ
リンダ２３と連結した構造になっており、シリンダ２３
の収縮により支持アーム２０の転子２１は側壁５の上端
と略等しい高さ位置となり、シリンダ２３の伸長で該支
持アーム２０は例えば２０ｍｍ程度上昇し、蓋壁１６又
は１７を持上げて側壁５の上端よりも上方に浮かすよう
になっている。

【００２１】前記側壁５の内面側に、縦軸１９と直角の
配置となる水平の進退軸２４が成形機１の長さ方向に沿
うよう配置され、この進退軸２４の各縦軸１９に臨む部
分にピニオン歯車２２と噛合うラック２５が形成され、
縦軸１９の一方端部は支柱４のブラケット２６上に固定
したシリンダ２７と連結されている。

【００２２】このシリンダ２７を伸縮させると、各縦軸
１９は同調して９０°を正逆回転することになる。な
お、縦軸１９の回転は、支持アーム２０が側壁５に平行
する状態から側壁５の内方に向けて突出する９０°の範
囲を回転するようになっている。

【００２３】従って、内側の蓋壁持上げ機構１４は、上
下動と、下降位置で９０°の回転とを行なうことにな
る。また、外側の蓋壁支持機構１５は、上記内側の蓋壁
持上げ機構１４と略同様の構造であるので、同一部分に
同一符号を付して説明に代え、相違点のみを説明する。

【００２４】この外側の蓋壁支持機構１５は、支柱４の
外側に、縦軸１９が回動だけして上下動しないように軸
受１８で支持され、支持アーム２０に枢止した転子２１
の上面高さが、内側の蓋壁持上げ機構１４で持上げられ
た蓋壁１６及び１７の下面に一致するようになってい
る。

【００２５】また、支持アーム２０は、側壁５の外面に
沿う状態から側壁５の外方に突出する９０°の範囲を回
転することになる。

【００２６】前記蓋壁１６，１７は衝合縁の一方に、長
さ方向の全長に沿うパッキン２８が取付けられていると
共に、両蓋壁１６と１７は長さ方向の両端部の位置に設
けた開閉機構２９，２９により、左右に同調して開閉動
するようになっている。

【００２７】この開閉機構２９，２９は、横梁８上に二
本のシリンダ３０，３１を上下に揺動可能に取付けると
共に、横梁８の両端部にスプロケット３２，３３を枢止
し、各シリンダ３０，３１におけるロッド３４，３５の
先端を同じ側の位置にある蓋壁１６，１７と連結金具３
６，３７を介して連結し、一方連結金具３６に一端を連
結したチエン３８は一端側のスプロケット３２に巻回し
た後、他端を他方蓋壁１７と結合し、また他方連結金具
３７に一端を連結したチエン３９は他端側のスプロケッ
ト３３に巻回した後、他端を一方蓋板１６と結合してい
る。

【００２８】従って、両シリンダ３０，３１を伸縮させ
て蓋壁１６，１７を左右に開閉動させるとき、相手蓋壁
の開閉動に制限を受け、両蓋壁１６と１７は同調して開
閉動することになる。

【００２９】このように、二本のシリンダ３０，３１に
同一圧力流体を給排するだけで蓋壁１６，１７の開閉を
同調させるようにすると、圧力流体の供給源が一台です
み、経済的に有利となる。

【００３０】この発明の防音装置は上記のような構成で
あり、遠心成形機１上に型枠３を載置供給した状態で防
音を行なうには、内側の蓋壁持上げ機構１４が下降して
支持アーム２０が側壁５の内方に突出し、両蓋壁１６，
１７はシリンダ３０，３１の収縮により互いに接近し、
パッキン２８を圧縮して衝合し、上記支持アーム２０上
に支持され、自重により側壁５，５及び端壁６上のパッ
キン９を圧縮していると共に、両扉１０，１０はシリン
ダ１２，１２の伸長で互いに衝合し、側壁５，５の端部
に圧接し、これによって遠心成形機１の周囲を気密状に
囲み、型枠３の回転によって発生する騒音を外部に洩れ
ないようにする。

【００３１】遠心成形機１上の型枠３を取り出すには、
内側の蓋板持上げ機構１４のシリンダ２３が伸長して上
昇し、支持アーム２０の転子２１で蓋壁１６及び１７を
持上げ、側壁５の上端から浮き上がらせると共に、外側
の蓋壁支持機構１５を回動させて支持アーム２０を外方
に突出させる。

【００３２】次に、シリンダ３０，３１を伸長作動させ
ると、両蓋壁１６，１７は支持アーム２０の転子２１に
よって支持されているので、外方に向けて円滑に離反動
し、外側の蓋壁支持機構１５上に支持された状態で開離
し、側壁５，５間の上部を開放する。

【００３３】更に、内側の蓋壁持上げ機構１４を回転さ
せて支持アーム２０を側壁５に沿わせると、型枠３の上
部に障害物がなくなり、型枠３を上方に吊上げ除去する
ことができる。

【００３４】また、防音状態に復帰させるには、内側の
蓋壁持上げ機構１４を回動させ、側壁５の内側に支持ア
ーム２０を突出させて上昇位置に待機させ、シリンダ３
０，３１を収縮させて両蓋壁１６，１７を閉じ、この
後、蓋壁持上げ機構１４を下降動させ、蓋壁１６，１７
を側壁５，５及び端壁６上に載置すればよい。

【００３５】

【発明の効果】以上のように、この発明によると、遠心
成形機を囲む側壁上にパッキンを設け、蓋壁を側壁上に
パッキンを圧縮するよう載置し、両蓋壁の衝合縁にパッ
キンを設けたので、遠心成形機の周囲を気密状に囲むこ
とができ、遠心成形機による型枠の回転によって発生す
る騒音の洩れを防ぎ、作業環境の大幅な改善が図れる。

【００３６】また、蓋壁は、持上げた状態で開閉動させ
るようにしたので、側壁上に設けたパッキンを損傷させ
ることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る防音装置の平面図である。

【図２】同上の防音状態を示す側面図である。

【図３】同上の扉を開いた状態を示す側面図である。

【図４】左半分が蓋壁を閉じ、右半分が蓋壁を開いた状
態を示す側面図である。

【図５】扉部分の構造を示す縦断正面図である。

【図６】扉部分の構造を示す横断平面図である。

【符号の説明】

１ 遠心成形機 ３ 型枠 ４ 支柱 ５ 側壁 ６ 端壁 ７ パッキン ８ 横梁 １０ 扉 １２ シリンダ １３ 引寄せ機構 １４ 蓋壁持上げ機構 １５ 蓋壁支持機構 １６，１７ 蓋壁 ２８ パッキン ２９ 開閉機構 ３０，３１ シリンダ ３２，３３ スプロケット ３８，３９ チエン

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 遠心成形機の周囲を囲むように設置さ
   れ、上端部にパッキンを取付けた側壁と、前記側壁の上
   部に配置され、この側壁の上部開口を閉鎖する平面的な
   大きさを有し、側壁の長さ方向に沿って両側に二分さ
   れ、衝合縁をパッキンでシールするようにした一対の蓋
   壁と、前記側壁の両側に沿って配置した複数の支柱に各
   々上下動と回動が自在となるよう取付けられ、上昇位置
   で蓋壁を持上げて側壁上から浮かし、横方向への移動が
   自在となるよう支持し、下降位置で蓋壁の持上げを解い
   て側壁に沿うよう回動する蓋壁持上げ機構とからなり、
   前記両蓋壁を機械的に同調して開閉動させるようにした
   遠心成形機の防音装置。
2. 【請求項２】 側壁の長さ方向に沿う一方の端部が両側
   に開閉動自在となる一対の扉によって形成され、閉鎖位
   置で側壁端部に密着するようになっている請求項１記載
   の遠心成形機の防音装置。
3. 【請求項３】 一対の蓋壁を各々の蓋壁に連結したシリ
   ンダで開閉自在とし、蓋壁の開閉方向に沿って配置した
   横梁の両端にスプロケットを取付け、各々の蓋壁に一端
   を結合したチエンをスプロケットに巻回した後、他端を
   相手蓋壁と結合し、シリンダによる両蓋壁の開閉動を同
   調させるようにした請求項１記載の遠心成形機の防音装
   置。