JP2611918B2 - 透水性舗装材用樹脂組成物 - Google Patents

透水性舗装材用樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透水性舗装材用樹脂組成
物に関する。更に詳しくは樹脂の初期強度が高くまた耐
候劣化が少ないため外部応力による無機粒状骨材の欠け
落ちが少なく、かつ樹脂の伸びが大きく下地に対する追
随性にすぐれるためクラックの発生が少ない透水性舗装
材用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、透水性舗装材用樹脂としては、エ
ポキシ樹脂にタールを混合して可撓性を付与するもの
(特開昭55−36223号公報)、エポキシ樹脂をウ
レタン変性して可撓性を付与するもの(特開昭61−1
57521号公報)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの透水
性舗装材用樹脂では、樹脂の初期強度が不十分である、
あるいは耐候劣化が大きい等の理由で、外部応力による
無機粒状骨材の欠け落ちを生じる場合が多く、また逆に
強度は充分であっても、樹脂の伸びが不足し、下地に対
する追随性に劣るために舗装面にクラックが生じる場合
が多かった。
【0004】本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、通
常のエポキシ樹脂と特定のアミン系硬化剤を用い、加え
て非反応成分としてキシレンホルムアルデヒド樹脂を加
えることによって樹脂強度すなわち無機粒状骨材の接着
力を落とすことなく、樹脂の伸びを飛躍的に増大せしめ
ること、さらには本発明の組成物が通常の可塑剤を可撓
性付与剤として添加したものにくらべ耐候劣化が小さい
点で優れることを見いだし本発明に到達した。即ち本発
明は、液状エポキシ樹脂(A)、ジアミンのアクリロニ
トリル変性物からなる1種以上のアミン系硬化剤
(B)、キシレンホルムアルデヒド樹脂(C)からなる
透水性舗装材用樹脂組成物である。
【0005】本発明において使用する液状エポキシ樹脂
(A)としては、ビスフェノ−ルA型液状エポキシ樹
脂、ビスフェノ−ルF型液状エポキシ樹脂、ビスフェノ
−ルAD型液状エポキシ樹脂等のビスフェノ−ル型液状
エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート等のグリシジル
エステル型液状エポキシ樹脂、アニリンのグリシジルエ
−テル、o−トルイジンのグリシジルエ−テル、テトラ
グリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルア
ミン型液状エポキシ樹脂、1,6ヘキサメチレングリコ
−ルジグリシジルエ−テル、ネオペンチルグリコ−ルジ
グリシジルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルジグリシ
ジルエ−テル、ポリプロピレングリコ−ルジグリシジル
エ−テル、グリセリンポリグリシジルエ−テル、トリメ
チロ−ルプロパンポリグリシジルエ−テルなどのポリグ
リシジルエ−テル型液状エポキシ樹脂が挙げられ、これ
らは1種あるいは2種以上混合して使用できる。
【0006】本発明において、ジアミンのアクリロニト
リル変性物におけるジアミンとしては、キシリレンジア
ミン等の芳香脂肪族ジアミン類、エチレンジアミン、テ
トラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のア
ルキレンジアミン等が挙げられる。これらジアミンのア
クリロニトリルによる変性物のうち、好ましいものは、
芳香脂肪族ジアミン1モルに対してアクリロニトリル
0.3〜1.6モルの変性物である。 (B)はこのジアミンのアクリロニトリル変性物からな
る1種以上のアミン系硬化剤であり、ジアミンのアクリ
ロニトリル変性物と共に他のアミン系硬化剤を併用した
ものでもよい。他のアミン系硬化剤としては、例えば :上記に例示したジアミン; :のジアミンのエポキサイドの付加物又はのジア
ミンのメチロール化合物との反応物; :ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミ
ン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン等のポリアルキ
レン(アルキレンの炭素数2〜6)ポリアミン;並び
に、 :のポリアルキレンポリアミンのエポキサイドの付
加物、のポリアルキレンポリアミンの不飽和化合物
(アクリロニトリル等)の付加物又はのポリアルキレ
ンポリアミンのメチロール化合物との反応物が挙げられ
る。
【0007】芳香脂肪族ジアミンのアクリロニトリルに
よる変性物は、例えば窒素雰囲気下で芳香族ジアミンを
攪拌しながら、所定量のアクリロニトリルを液温が60
℃以下になるようにコントロールしながら滴下したの
ち、さらに60℃で90分間反応し得ることが出来る。
【0008】本発明において使用するキシレンホルムア
ルデヒド樹脂(C)は、キシレンのホルムアルデヒドに
よる縮合物であり、例としてニカノールDS、ニカノー
ルDL−15、ニカノールLLL、ニカノールLL、ニ
カノールL、ニカノールH、ニカノールHH、ニカノー
ルG、ニカノールM、ニカノールH−80[以上商品名
三菱瓦斯化学(株)製]等が挙げられ、好ましいもの
は数平均分子量200〜750のものである。
【0009】(A)と(B)の比率は、(A)のエポキ
シ基1等量に対して(B)の活性水素基が(0.8〜
1.5)になる比率である。(C)の量は、(A)と
(B)の合計100重量部に対して、通常3〜50重量
部である。この範囲外では欠け落ちまたはクラックが発
生し易い。
【0010】本発明の組成物中には通常硬化速度の調整
のために硬化促進剤が加えられる。これらの例として
は、ビスフェノールA、フェノール、アルキルフェノー
ル、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、キシレ
ノールなどである。これらの組成物中の含有率は通常5
〜40重量%である。また、本発明の組成物中には他に
も各種の添加剤が加えられても良く、例えば酸化防止
剤、紫外線吸収剤、チクソ化剤、を添加してもよい。こ
れらの組成物中の含有率は通常0〜3重量%である。
【0011】酸化防止剤としては、オクタデシル−3−
(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネ−ト、トリエチレングリコール−ビス[3−
(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、1、6−ヘキサンジオール−ビ
ス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]、2、4−ビス−(n−オク
チルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−t−
ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、ペンタエ
リスチリル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2、
2−チオ−ジエチレンビス[3−(3、5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
2、2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、
3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフ
ォスフェート−ジエチルエステル、1、3、5−トリメ
チル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3、5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌ
レイト等が挙げられ、好ましいものはオクタデシル−3
−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネ−トである。
【0012】紫外線吸収剤としては、2−(3、5−ジ
−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ
ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキ
シフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキ
シ−3、5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニ
ル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジ−
t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロ
キシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(3、5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−エトキシ−2’−エチルオキ
ザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t
−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニ
リド等が挙げられ、好ましいものは2−(3、5−ジ−
t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベ
ンゾトリアゾールである。
【0013】また酸化防止剤と紫外線吸収剤は併用して
用いられても良く、最も好ましい組み合わせは、オクタ
デシル−3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネ−トと2−(3、5−ジ−t−
ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾールである。
【0014】コンクリート系舗装あるいはアスファルト
系舗装等の人工地盤表面に本発明の組成物と無機粒状骨
材の混合物を硬化させた層を形成することにより、樹脂
の初期強度が高くまた耐候劣化が少ないため外部応力に
よる無機粒状骨材の欠け落ちが少なく、かつ硬化収縮が
小さく下地に対する追随性にすぐれるためクラックの発
生が少ない透水性舗装を施すことが出来る。この施工方
法を以下に述べる。
【0015】モルタルミキサ−中に無機粒状骨材を投
入、1分間空練りした後、あらかじめよく混練した本発
明の樹脂組成物を投入しさらに2分間混練後取り出す。
この混練物を、付着物を除去し、充分に乾燥した下地上
に左官ゴテを用い所定厚みに均一に引き伸ばした後、所
定時間養生し透水性舗装表面を得る。
【0016】本発明の組成物は上記方法により無機粒状
骨材と混ぜて硬化させることによって透水性舗装として
使用されるが、無機粒状骨材としては特に制限はなく、
自然石、砕石、焼成セラミック粒、硅砂およびこれらの
混合物などがあげられる。
【0017】無機粒状骨材と樹脂組成物の配合割合は、
通常無機粒状骨材100重量部に対し、樹脂組成物2〜
15重量部である。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお本文中の部は重量部を表す。
【0019】製造例1 ビスフェノールA型エポキシ樹脂[商品名エピコート8
28、油化シェルエポキシ(株)製]620部、1.6
−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル[商品名SR
−16H、阪本薬品工業(株)製]200部、キシレン
ホルムアルデヒド樹脂[商品名ニカノールDS、三菱瓦
斯化学(株)製]170部、オクタデシル−3−(3、
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネ−ト[商品名イルガノックス1076、チバガイギ
ー(株)製]5部、2−(3、5−ジ−t−ブチル−2
−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル[商品名チヌビン327、チバガイギー(株)製]5
部を均一溶解し、粘稠液体を得た。これを主剤(1)と
する。
【0020】製造例2 エピコート828を500部、ビスフェノールAプロピ
レンオキサイド3モル付加物のジグリシジルエーテル
[商品名グリシエールBPP−350、三洋化成工業
(株)製]330部、ニカノールDS[商品名 三菱瓦
斯化学(株)製]170部を均一溶解し、粘稠液体を得
た。これを主剤(2)とする。
【0021】製造例3 エピコート828を500部、グリシエールBPP−3
50を330部、を均一溶解し、粘稠液体を得た。これ
を主剤(3)とする。
【0022】製造例4 エピコート828を500部、グリシエールBPP−3
50を330部、ジブチルフタレートを170部、を均
一溶解し、粘稠液体を得た。これを主剤(4)とする。
【0023】製造例5 m−キシリレンジアミンのアクリロニトリル1モル変性
物(以下XDA−ANと記す)を603部とエピコート
828を67部との反応物に、ノニルフェノール[三洋
化成工業(株)製]を165部とビスフェノールAを1
65部、とを均一溶解し、粘稠液体を得た。これを硬化
剤(1)とする。
【0024】製造例6 m−キシリレンジアミン[商品名MXDA、三菱瓦斯化
学(株)製]60部、XDA−AN 600部、ノニル
フェノール100部、ビスフェノールA 240部を均
一溶解し、粘稠液体を得た。これを硬化剤(2)とす
る。
【0025】製造例7 MXDA100部、XDA−AN 590部、ビスフェ
ノールA 242部、フェノール48部を均一溶解し、
粘稠液体を得た。これを硬化剤(3)とする。
【0026】製造例8 MXDAとエチレンオキサイドの等モル反応物を603
部とエピコート828を67部との反応物に、ノニルフ
ェノールを165部、ビスフェノールAを165部を均
一溶解し、粘稠液体を得た。これを硬化剤(4)とす
る。
【0027】実施例1 無機粒状骨材[花崗岩(平均径5mm)、仲須砕石工業
(株)製]100部に対し、主剤(1)と硬化剤(1)
の2:1(重量比)混合物6部を加え充分混練し、透水
性舗装材モルタルを調整した後、JIS R 5201
に従い曲げ試験サンプルを作製した。また別途上記樹脂
混合物を用いてJIS K 6911に従い引張試験用
サンプルを作製した。養生は25℃、1週間とした。
【0028】実施例2 主剤(2)と硬化剤(2)の3:1(重量比)混合物を
用いて実施例1と同様に曲げ試験及び引張試験用サンプ
ルを作製した。
【0029】実施例3 主剤(2)と硬化剤(3)の3:1(重量比)混合物を
用いて実施例1と同様に曲げ試験及び引張試験用サンプ
ルを作製した。
【0030】比較例1 主剤(3)と硬化剤(2)の5:2(重量比)混合物を
用いて実施例1と同様に曲げ試験及び引張試験用サンプ
ルを作製した。
【0031】比較例2 主剤(4)と硬化剤(2)の3:1(重量比)混合物を
用いて実施例1と同様に曲げ試験及び引張試験用サンプ
ルを作製した。
【0032】比較例3 主剤(1)と硬化剤(4)の3:1(重量比)混合物を
用いて実施例1と同様に曲げ試験及び引張試験用サンプ
ルを作製した。
【0033】実施例1〜3、比較例1〜3の樹脂硬化片
を用いて、透水性舗装材用樹脂として無機粒状骨材の欠
け落ちの指標となる曲げ強度および耐候劣化促進試験後
の曲げ強度、また下地に対する追随性の指標である引張
破断伸びおよび耐候劣化試験後の引張破断伸びを測定し
た結果を表1に示した。
【0034】耐候劣化促進試験片は25℃、1週間養生
後の硬化片をサンシャインウェザーメーター[型式 W
EL−SUN−HCH型 スガ試験機(株)製]で20
0時間照射し作成した。
【0035】
【表1】
【0036】表2に初期物性と耐候劣化促進後物性の変
化率(*)を示す。
【表2】 *変化率=[(耐候劣化促進後物性)−(初期物性)]
×100/(初期物性)
【0037】表1、表2から明らかなように、本実施例
による透水性舗装材用樹脂は、曲げ強度および引張破断
伸びがバランス良く高い値を示し、かつまた耐候劣化に
よる物性変化が少いことがわかる。
【0038】
【発明の効果】本発明の透水性舗装材用樹脂は、樹脂の
初期強度および引張破断伸びが高く、かつ耐候劣化が小
さいために、長期にわたって外部応力による無機粒状骨
材の欠け落ちやクラックの生じることのない透水性舗装
を施すことができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液状エポキシ樹脂(A)、ジアミンのア
    クリロニトリル変性物からなる1種以上のアミン系硬化
    剤(B)、キシレンホルムアルデヒド樹脂(C)からな
    る透水性舗装材用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ジアミンのアクリロニトリル変性物が、
    芳香脂肪族ジアミン1モルに対してアクリロニトリル
    0.3〜1.6モルの変性物である請求項記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】 (A)および(B)の合計100重量
    部に対して、(C)が3〜50重量部である請求項1ま
    たは2記載の組成物。
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