JP2611649B2 - 耐熱性硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜及びその形成方法 - Google Patents

耐熱性硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜及びその形成方法

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JP2611649B2
JP2611649B2 JP5353010A JP35301093A JP2611649B2 JP 2611649 B2 JP2611649 B2 JP 2611649B2 JP 5353010 A JP5353010 A JP 5353010A JP 35301093 A JP35301093 A JP 35301093A JP 2611649 B2 JP2611649 B2 JP 2611649B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性硬質合金めっき皮
膜及びその形成法に関し、特に高温領域における耐熱性
硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜及びその形
成法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日の環境問題の高まりの中で、有害な
クロム酸を多量使用する工業用クロムめっきの代替えが
求められており、ニッケル−タングステン合金めっきが
その代替えとして、最近有望視されている。さらに、耐
摩耗性の向上を図るためニッケル−タングステン合金め
っき皮膜中に炭化ケイ素微細粒子を分散させためっき皮
膜が常温において優れた耐食性を有するとともに、ある
程度の高温領域例えば200〜600℃において耐摩耗
性等が良好であるとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のごとく、炭化ケ
イ素微細粒子を分散したニッケル−タングステン合金め
っき皮膜は図3に示すように、常温においては従来の工
業用クロムめっき皮膜と比べるとやや硬度の低いめっき
皮膜であるが、加熱温度が600℃で1時間の熱処理を
施した試料ではマイクロビッカース硬度が1500の高
硬度なめっき皮膜である。しかしながら、加熱温度が8
00℃になるとマイクロビッカース硬度が900に低下
している。
【0004】
【図3】
【0005】また、表4に示すように本発明者が行った
研究でも、加熱温度1000℃で9分間の熱処理を施し
た試料は、マイクロビッカース硬度が540に低下し
た。これは耐摩耗性等の機械的性質の低下につながる。
【0006】
【表4】
【0007】なお、前記図3は電気鍍金研究会会誌「め
っき技術」の1993年の1月号の15ページに高田研
究所の高田幸路氏が発表した「米国航空宇宙工業におけ
る“THE CHROMIUM ELIMINATIO
N PROGRAM“について」の中で明らかにしたも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような問
題点を解決するためになされたもので、めっき皮膜が高
温領域(1000℃)にさらされても、高い硬度を保持
する耐熱性硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜
及びその形成方法を提供するものである。すなわち、本
発明は以下に記載する耐熱性硬質ニッケル−タングステ
ン合金めっき皮膜及びその形成方法である。
【0009】(1) ニッケル−タングステン合金めっ
き皮膜において、同めっき皮膜中にチタン金属微細粒子
及び炭化ケイ素微細粒子が均一に分散されてなることを
特徴とする耐熱性硬質ニッケル−タングステン合金めっ
き皮膜。 (2) ニッケル−タングステン合金めっき皮膜におい
て、同めっき皮膜中にチタン金属微細粒子及び炭化ケイ
素微細粒子が均一に分散されてなり、かつ、めっき皮膜
中の上記各組成成分の含有量が、それぞれ重量%におい
てタングステンが18〜40%、チタン金属微細粒子が
8〜30%、炭化ケイ素微細粒子が8〜30%、残部が
ニッケルであることを特徴とする耐熱性硬質ニッケル−
タングステン合金めっき皮膜。 (3) ニッケル−タングステン合金めっき皮膜におい
て、同めっき皮膜中にチタン金属微細粒子及び炭化ケイ
素微細粒子が均一に分散されてなり、かつ、めっき皮膜
中の上記各組成成分の含有量が、それぞれ重量%におい
てタングステンが20〜30%、チタン金属微細粒子が
10〜25%、炭化ケイ素微細粒子が10〜18%、残
部がニッケルであることを特徴とする耐熱性硬質ニッケ
ル−タングステン合金めっき皮膜。
【0010】(4) ニッケル−タングステン合金めっ
き皮膜において、同めっき皮膜中にチタン金属微細粒子
及び炭化ケイ素微細粒子が均一に分散されてなり、か
つ、めっき皮膜中の上記各組成成分の含有量が、それぞ
れ重量%において、タングステンが18〜40%、チタ
ン金属微細粒子が8〜30%、炭化ケイ素微細粒子が8
〜30%、残部がニッケルであって、600℃以上の高
温領域で使用するための耐熱性硬質ニッケル−タングス
ン合金めっき皮膜。 (5) ニッケル−タングステン合金めっき皮膜におい
て、同めっき皮膜中にチタン金属微細粒子及び炭化ケイ
素微細粒子が均一に分散されてなり、かつ、めっき皮膜
中にある上記合金組成の含有量が、それぞれ重量%にお
いて、タングステンが20〜30%、チタン金属微細粒
子が10〜25%、炭化ケイ素微細粒子が10〜18
%、残部がニッケルであって、600℃以上の高温領域
で使用するための耐熱性硬質ニッケル−タングステン合
金めっき皮膜。
【0011】(6) ニッケルイオン及びタングステン
イオンを主成分として含み、かつチタン金属微細粒子及
び炭化ケイ素微細粒子を懸濁・混有しためっき浴を使用
して電気めっきを行うことにより、被めっき体上に耐熱
性硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜を形成す
ることを特徴とする耐熱性硬質ニッケル−タングステ
金めっき皮膜の形成方法。 (7) めっき浴組成として、めっき浴の容量1000
ml当たり、ニッケルイオンを2.2〜66gと、タン
グステンイオンを5.6〜56gとをそれぞれ含み、か
つ、チタン金属微細粒子を1〜200gと、炭化ケイ素
微細粒子を1〜50gとを懸濁・混有せしめためっき浴
を使用することを特徴とする前記第6項記載の耐熱性硬
質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜の形成方法。
【0012】(8) めっき用の電源として、間欠的に
電流を流すパルス電源を使用することを特徴とする前記
第6項又は第7項に記載の耐熱性硬質ニッケル−タング
ステン合金めっき皮膜の形成方法。 (9)パルス電源が、電流密度として1〜100A/d
であり、パルスオン時間が1〜100ミリ秒であ
り、パルスオフ時間が1〜100ミリ秒であることを特
徴とする前記第8項記載の耐熱性硬質ニッケル−タング
ステン合金めっき皮膜の形成方法。
【0013】上記本発明のめっき皮膜の形成する際にお
いては、めっき浴中にできるだけ粒径の小さいチタン金
属微細粒子を懸濁・混有せしめることが好ましく、平均
粒径が120μm以下のチタン金属微細粒子、好ましく
は平均粒径が20〜5μmのチタン金属微細粒子を懸濁
・混有させる。また、炭化ケイ素微細粒子は平均粒径が
120μm以下の炭化ケイ素微細粒子、好ましくは平均
粒径が5〜0.1μmの炭化ケイ素微細粒子を懸濁・混
有させる。めっき皮膜中のチタン金属微細粒子の分散量
は8〜30重量%が好ましく、また、10〜25重量%
が特に好ましく、めっき皮膜中のチタン金属微細粒子の
分散量が30重量%を超えた場合には、めっき皮膜中に
チタン金属微細粒子を共析させることが困難である。
【0014】また、めっき皮膜中のチタン金属微細粒子
の分散量が8重量%未満では600℃以上の高温度に曝
された場合に、600℃未満の低温に曝された場合と同
様な硬度の耐熱性硬質ニッケル−タングステン合金めっ
き皮膜を形成することが困難になる。
【0015】一方、めっき皮膜中の炭化ケイ素微細粒子
の分散量は重量%にして、8〜30%が好ましく、ま
た、10〜18%が特に好ましく、めっき皮膜中の炭化
ケイ素微細粒子の分散量が重量%にして、30%を超え
る場合にはめっき皮膜中に炭化ケイ素微細粒子を共析さ
せることが困難であり、さらに、めっき皮膜中の炭化ケ
イ素微細粒子の分散量が重量%にして8%未満では、6
00℃以上の高温度に曝された場合に、600℃未満の
低温に曝された場合と同様な硬度の硬質ニッケル−タン
グステン合金めっき皮膜を形成することが困難になる。
ニッケル−タングステン合金めっき皮膜中のタングステ
ン含有量は18〜40重量%が好ましく、また、20〜
30重量%が特に好ましい。
【0016】さらに、めっきを行う際の電源は常法によ
る直流電源を使用することができるが、パルス電源を用
いることがより好ましい。パルス電源としては、例えば
パルス電流密度(電流がオンの時に流れる電流密度)を
2〜50A/dmに、パルスオン時間(電流が流れる
時間)を0.1〜100ミリ秒に、パルスオフ時間(電
流が遮断されている時間)を0.1〜100ミリ秒に定
めたパルス条件のものを使用することができ、上記の条
件でめっき処理することにより直流電源に比べて柔軟性
のあるめっき皮膜を得ることが可能となる。パルス電流
密度、パルスオン時間及びパルスオフ時間が上記の条件
を満たさない場合にはそれぞれ下記のような不都合が生
じる。
【0017】(1)パルス電流密度が2A/dm未満
では、めつき皮膜の生成が緩慢となる。 (2)パルス電流密度が50A/dmを超えると、め
っき皮膜中の組成分散均一度が低下する。 (3)パルスオン時間が0.1ミリ秒未満では、めつき
皮膜の生産性が低くなる。 (4)パルスオン時間が100ミリ秒を超えると、めっ
き皮膜中の組成分散均一度が低下する。 (5)パルスオフ時間が0.1ミリ秒未満では、めっき
皮膜中の組成分散均一度が低下する。 (6)パルスオフ時間が100ミリ秒を超えると、めつ
き皮膜の生産性が低くなる。
【0018】 [手段の詳細な説明] 本発明者は、既に、ニッケル−タングステン合金めっき
皮膜において、高温領域における加熱操作により惹起さ
れるタングステンの偏析を防止し、低温領域における加
熱操作を受けた場合と同様な組織状態の耐熱性硬質ニッ
ケル−タングステン合金めっき皮膜を得んとして、各種
の実験を行った。その実験結果の中で、めっき浴中に、
耐熱材料として使用されているチタン金属微細粒子を懸
濁・混有させて実施した電気めっきは、高温においてめ
っき皮膜を加熱した場合に、めっき膜中のタングステン
が偏析しない効果を示すことを見出し、特許を出願(特
願平5−187402号)している。
【0019】本発明ではニッケル−タングステン合金め
っき皮膜において、これが高温領域に曝された場合に皮
膜硬度の低下を防止し、高温領域の加熱を受けても、高
い硬度を保持することを可能にしためっき皮膜の形成を
目的として、めっき浴中にチタン金属微細粒子と共に炭
化ケイ素微細粒子を各種の割合で懸濁・混有させて電気
めっきを行うことにより、めっき皮膜中に上記の微細粒
子を分散させた皮膜を検討した。その結果、上記の微細
粒子を分散させた皮膜は、高温におけるニッケル−タン
グステン合金めっき皮膜の硬度低下を防止する効果があ
ることを見い出した。そこで、本発明ではニッケルイオ
ンとタングステンイオンとを主成分とするめっき浴中に
チタン金属微細粒子、及び炭化ケイ素微細粒子を懸濁・
混有せしめためっき浴を使用して電気めっきを行うこと
により、めっき皮膜中にチタンを金属微細粒子として混
有せしめるとともに、炭化ケイ素もまた微細粒子として
同時にめっき皮膜中に分散させる手法を研究し開発し
た。
【0020】なお、チタンを金属微細粒子として懸濁・
混有させる理由は、電気めっきにより、被めっき体上
に、ニッケル、タングステン及びチタンを含んだニッケ
ル−タングステン−チタン合金を一時に析出させること
が容易でないためである。
【0021】
【実施例】本発明を実施例によって具体的に説明する。
本実施例において使用した被めっき体は鉄製のものであ
り、めっき浴としては、チタン金属微細粒子及び炭化ケ
イ素微細粒子を含むニッケル−タングステン合金めっき
浴を用意した。このめっき浴は、1000mlのめっき
溶中に、硫酸ニッケルを10〜300gと、タングステ
ン酸ナトリウムを10〜100gと、クエン酸を20〜
300gとを含み、アンモニア水を用いて浴液のpHを
5〜9に調整したものを基本浴とし、この基本浴100
0mlの中に粒径が約10μmのチタン金属微細粒子を
1〜200gと、粒径が約1μmの炭化ケイ素微細粒子
を1〜50g懸濁・混有したものである。
【0022】また、このめっき浴の浴温は60〜80℃
に調整してあり、使用した電流密度は1〜10A/dm
であった。また、パルス電源はパルス電流密度が1〜
100A/dm、パルスオン時間が1〜100ミリ
秒、パルスオフ時間が1〜100ミリ秒の条件であっ
た。これらの条件下でめっき作業を行った結果、得られ
ためっき皮膜は600℃以上の高温領域に曝された後に
おいてもニッケル−タングステン合金めっき皮膜の硬度
が低下せず、高温領域においても高い硬度を示す耐熱性
硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜を形成させ
ることが可能となった。なお、この場合、膜厚が20〜
100μmを示すめっき皮膜を得るのに要しためっき時
間は、30〜500分であった。
【0023】[実施例1] [めっき浴] 硫酸ニッケル 70g/1000ml タングステン酸ナトリウム 70g/1000ml クエン酸 100g/1000ml チタン金属微細粒子 5g/1000ml (粒径約10μm) 炭化ケイ素微細粒子 1g/1000ml (粒径約1μm) pH 6 上記の各成分よりなるめっき浴を使用して、めっき浴を
撹拌しながら浴温を約70℃に保持し、電流密度を2.
5A/dmとして150分間にわたるめっき処理を行
った。
【0024】この場合、めっき皮膜は、ニッケルが55
重量%、タングステンが23重量%、チタン金属が10
重量%、炭化ケイ素が12重量%の組成であって、この
めっき皮膜を750℃で9分間加熱した後に常温まで冷
却した試料について測定した場合、その硬度はマイクロ
ビッカース硬度で698を示し、1000℃で同じく9
分の間加熱した後に常温まで冷却して得た試料について
その硬度を測定した場合、その硬度はマイクロビッカー
ス硬度で980を示し、被めっき体の表面に耐熱性硬質
ニッケル−タングステン合金めっき皮膜が形成されたこ
とが明らかになった。実施例1において得られためっき
皮膜を加熱処理した後、常温にまで冷却した状態で測定
した皮膜のマイクロビッカース硬度を加熱処理温度と対
比して表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】なお、図1は得られためっき皮膜の断面の
2000倍の電子顕微鏡写真であり、ニッケル−タング
ステン合金めっき皮膜中に平均粒径が約10μmのチタ
ン金属微細粒子(大きくて黒い粒子)及び平均粒径が約
1μmの炭化ケイ素微細粒子(小さくて黒い粒子)が同
時に均一に分散していることを示している。
【0027】
【図1】
【0028】また、図2は本実施例で得られためっき皮
膜を1000℃で9分の高温に加熱した場合の断面を2
000倍にて観察した電子顕微鏡写真である。
【0029】
【図2】
【0030】この写真の中で粒径が約1μmの白い粒子
は電子線マイクロアナライザーによる分析の結果、加熱
前に固溶体を形成していたニッケルとタングステンとが
加熱処理により金属間化合物を形成したことを示してお
り、本実施例において得られた耐熱性硬質ニッケル−タ
ングステン合金めっき皮膜は加熱処理により析出硬化を
起こし、高温領域においても高い硬度を示すめっき皮膜
となったことがわかる。さらに、この写真の中で粒径が
約3〜5μmの灰黒色の粒子は電子線マイクロアナライ
ザーによる分析の結果、チタン金属微細粒子が炭化ケイ
素微細粒子の分解により生じたと思われる炭素と結合し
て高い硬度のチタンカーバイトを形成したことを示して
おり、このチタンカーバイトも本実施例における硬質ニ
ッケル−タングステン合金めっき皮膜が高温領域に加熱
した後において高い硬度のめっき皮膜を形成したことの
要因であると考えられる。めっき皮膜を構成する各組成
の分散性は良好であった。
【0031】[実施例2] [めっき浴] 硫酸ニッケル 70g/1000ml タングステン酸ナトリウム 70g/1000ml クエン酸 100g/1000ml チタン金属微細粒子 200g/1000ml (粒径約10μm) 炭化ケイ素微細粒子 40g/1000ml (粒径約1μm) pH 6 上記の各成分含有のめっき浴を使用して、撹拌しながら
浴温約70℃で以下のパルス条件によりめっき作業を行
った。 [パルス条件]
【0032】上記のめっき浴及びパルス条件で150分
間めっき作業を行った。得られためっき皮膜はチタン金
属微細粒子及び炭化ケイ素微細粒子が均一に分散したも
のであった。この場合、めっき皮膜は、ニッケルが53
重量%、タングステンが24重量%、チタン金属が12
重量%、炭化ケイ素が11重量%の組成であつて、75
0℃で9分の高温に加熱された後、常温にまで冷却され
た試料においては、表2に示す如く、その硬度がマイク
ロビッカース硬度で705を示し、1000℃で同じく
9分の高温に加熱され常温にまで冷却された後のものに
おいては、表2に示す如く、その硬度がマイクロビッカ
ース硬度で987を示し、高い硬度のめっき皮膜が得ら
れることが確認された。めっき皮膜を構成する各組成の
分散性は優良であった。実施例2において得られためっ
き皮膜を加熱処理した後、常温にまで冷却した状態で測
定した皮膜のマイクロビッカース硬度を加熱処理温度と
対比して表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】[比較例1] めっき浴組成として、炭化ケイ素微細粒子を用いなかっ
た他は実施例2と同様にしてめっき皮膜を構成した。こ
の場合、めっき皮膜は、ニッケルが54重量%、タング
ステンが24重量%、チタン金属が22重量%の組成で
あつた。また、その高温度における加熱処理温度を変化
させた後の試料についてその硬度を測定した結果は表3
に示す如き結果であって、750℃に加熱した後のめっ
き皮膜の硬度はマイクロビッカース硬度として1104
であるものの、1000℃に加熱した後のめっき皮膜の
硬度はマイクロビッカース硬度として、僅かに648を
示すのみでしかなく、本発明のめっき皮膜と対比しては
るかに劣る皮膜硬度を示すものでしかなかった。なお、
めっき皮膜を構成する各組成の分散性は優良であった。
比較例1において得られためっき皮膜を加熱処理した
後、常温にまで冷却した状態で測定した皮膜のマイクロ
ビッカース硬度を加熱処理温度と対比して表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】[比較例2] めっき浴組成として、チタン金属微細粒子を用いなかっ
た他は実施例1と同様にしてめっき皮膜を構成した。こ
の場合、めっき皮膜は、ニッケルが54重量%、タング
ステンが23重量%、炭化ケイ素が13重量%の組成で
あつた。また、その高温度における加熱処理温度を変化
させた後の試料についてその硬度を測定した結果は表4
に示す如き結果であって、750℃に加熱した後のめっ
き皮膜の硬度は、マイクロビッカース硬度として650
であるとともに、1000℃に加熱した後のめっき皮膜
の硬度は、マイクロビッカース硬度として僅かに540
を示すのみでしかなく、この場合に得られた皮膜は本発
明のめっき皮膜と対応した場合に、その耐熱性という面
においてはるかに劣るめっき皮膜でしかなかった。な
お、めっき皮膜を構成する各組成の分散性は良好であっ
た。比較例2において得られためっき皮膜を加熱処理し
た後、常温にまで冷却した状態で測定した皮膜のマイク
ロビッカース硬度を加熱処理温度と対比して表4に示
す。
【0037】
【表4】
【0038】さらに、以上に述べた硬度の測定結果を、
めっき条件と対比して、まとめて表5として示す。
【0039】
【表5】
【0040】以上、本発明の実施例における如く、チタ
ン金属微細粒子及び炭化ケイ素微細粒子を混有したニッ
ケル−タングステン合金めっき皮膜に1000℃で9分
の熱処理を行ってもめっき皮膜の硬度が低下せず、表1
及び表2に示す如く、高温領域においても高い硬度の耐
熱性硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜を形成
することができる。
【0041】
【発明の効果】以上に説明したとおり、本発明によれ
ば、高温に加熱された場合においても高い硬度を持続で
きる耐熱性硬質めっき皮膜を形成させ得て、めっき皮膜
が高温加熱処理を受けた後においても、めっき皮膜が有
する耐熱性硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜
の本来の特性を維持できる。さらに、本発明によるめっ
き皮膜の形成方法はニッケル−タングステンめっき浴中
にチタン金属微細粒子及び炭化ケイ素微細粒子を懸濁・
混有させた状態で電気めっきを行うだけでよく、それに
より耐熱性硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜
を形成することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例で得られためっき皮膜の金属組織
断面を2000倍にした電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明実施例で得られためっき皮膜を1000
℃で9分間加熱しためっき皮膜の金属組織断面を200
0倍にした電子顕微鏡写真である。
【図3】硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜中
に炭化ケイ素微細粒子を均一に分散した試料について加
熱温度とマイクロビッカース硬度との関係を示したグラ
フ図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−259097(JP,A) 特開 平3−260091(JP,A) 特開 平7−18497(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケル−タングステン合金めっき皮膜
    において、同めっき皮膜中にチタン金属微細粒子及び炭
    化ケイ素微細粒子が均一に分散されてなることを特徴と
    する耐熱性硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮
    膜。
  2. 【請求項2】 ニッケル−タングステン合金めっき皮膜
    において、同めっき皮膜中にチタン金属微細粒子及び炭
    化ケイ素微細粒子が均一に分散されてなり、かつ、めっ
    き皮膜中の上記各組成成分の含有量が、それぞれ重量%
    においてタングステンが18〜40%、チタン金属微細
    粒子が8〜30%、炭化ケイ素微細粒子が8〜30%、
    残部がニッケルであることを特徴とする耐熱性硬質ニッ
    ケル−タングステン合金めっき皮膜。
  3. 【請求項3】 ニッケル−タングステン合金めっき皮膜
    において、同めっき皮膜中にチタン金属微細粒子及び炭
    化ケイ素微細粒子が均一に分散されてなり、かつ、めっ
    き皮膜中の上記各組成成分の含有量が、それぞれ重量%
    においてタングステンが20〜30%、チタン金属微細
    粒子が10〜25%、炭化ケイ素微細粒子が10〜18
    %、残部がニッケルであることを特徴とする耐熱性硬質
    ニッケル−タングステン合金めっき皮膜。
  4. 【請求項4】 ニッケル−タングステン合金めっき皮膜
    において、同めっき皮膜中にチタン金属微細粒子及び炭
    化ケイ素微細粒子が均一に分散されてなり、かつ、めっ
    き皮膜中の上記各組成成分の含有量が、それぞれ重量%
    において、タングステンが18〜40%、チタン金属微
    細粒子が8〜30%、炭化ケイ素微細粒子が8〜30
    %、残部がニッケルであって、600℃以上の高温領域
    で使用するための耐熱性硬質ニッケル−タングステン合
    金めっき皮膜。
  5. 【請求項5】 ニッケル−タングステン合金めっき皮膜
    において、同めっき皮膜中にチタン金属微細粒子及び炭
    化ケイ素微細粒子が均一に分散されてなり、かつ、めっ
    き皮膜中にある上記合金組成の含有量が、それぞれ重量
    %において、タングステンが20〜30%、チタン金属
    微細粒子が10〜25%、炭化ケイ素微細粒子が10〜
    18%、残部がニッケルであって、600℃以上の高温
    領域で使用するための耐熱性硬質ニッケル−タングステ
    ン合金めっき皮膜。
  6. 【請求項6】 ニッケルイオン及びタングステンイオン
    を主成分として含み、かつチタン金属微細粒子及び炭化
    ケイ素微細粒子を懸濁・混有しためっき浴を使用して電
    気めっきを行うことにより、被めっき体上に耐熱性硬質
    ニッケル−タングステン合金めっき皮膜を形成すること
    を特徴とする耐熱性硬質ニッケル−タングステン合金め
    っき皮膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 めっき浴組成として、めっき浴の容量1
    000ml当たり、ニッケルイオンを2.2〜66g
    と、タングステンイオンを5.6〜56gとをそれぞれ
    含み、かつ、チタン金属微細粒子を1〜200gと、炭
    化ケイ素微細粒子を1〜50gとを懸濁・混有せしめた
    めっき浴を使用することを特徴とする請求項6記載の耐
    熱性硬質ニッケル−タングステン合金めっき皮膜の形成
    方法。
  8. 【請求項8】 めっき用の電源として、間欠的に電流を
    流すパルス電源を使用することを特徴とする請求項6又
    は7に記載の耐熱性硬質ニッケル−タングステン合金め
    っき皮膜の形成方法。
  9. 【請求項9】 パルス電源が、電流密度として1〜10
    0A/dmであり、パルスオン時間が1〜100ミリ
    秒であり、パルスオフ時間が1〜100ミリ秒であるこ
    とを特徴とする請求項8記載の耐熱性硬質ニッケル−タ
    ングステン合金めっき皮膜の形成方法。
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