JP2611602B2 - 洋風便器用タンクアッセンブリ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂製のタンクカ
バー内に便器洗浄用ロータンクと、臀部温水洗浄用温水
タンクとを設置した洋風便器用タンクアッセンブリに関
する。詳しくは、本発明は、中水（廃水を浄化処理した
水）を利用可能とした洋風便器用タンクアッセンブリに
関する。

【０００２】

【従来の技術】合成樹脂製のタンクカバー内に便器洗浄
用ロータンクと、臀部温水洗浄用温水タンクとを設置し
た洋風便器が普及しつつある。このようにロータンクを
合成樹脂製のカバーで覆うと、洋風便器の外面とタンク
カバーの外面とが連続した曲面となり、高級感が著しく
高まる。

【０００３】このようなタンクカバー付きの洋風便器に
おいて、該タンクカバーの内部に人体臀部の温水洗浄用
の温水タンクも併せて設置することが行なわれている。
この場合、洋風便器の後部上面に、制御機器や温水洗浄
ノズル、上記温水タンク等を載設したベースプレートを
取り付け、さらにこのベースプレートの上側にロータン
クを配置し、タンクカバーで覆った構成とするものもあ
る。

【０００４】合成樹脂製のタンクカバー内に便器洗浄用
ロータンクと、臀部温水洗浄用温水タンクとを設置した
従来の洋風便器用タンクアッセンブリにおいては、１本
の給水配管をタンクカバーの内外にわたるように設け、
タンクカバー内において該給水配管を分岐させ、温水タ
ンクとロータンクとにそれぞれ分岐した給水配管を接続
するようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】一定規模以上の都市ビ
ルに対して中水の使用を条例によって義務付けられてい
る場合がある。この中水は、洋風便器の便鉢への洗浄水
として利用することはできるが、人体洗浄用には利用不
可である。

【０００６】そのため、上記のようにロータンクと温水
タンクとをタンクカバーで覆った洋風便器用タンクアッ
センブリに対し上水配管と中水配管とを接続するには、
現場においてタンクカバーに孔をあけて中水用配管を該
孔に通してロータンクにつなぐ必要があり、配管施工に
著しく手間がかかっていた。また、孔あけに際してタン
クカバーにヒビが入ったりして見栄えが悪くなることも
しばしば生じていた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１の洋風便器用タ
ンクアッセンブリは、合成樹脂製のタンクカバー内に便
器洗浄用ロータンクと、臀部温水洗浄用温水タンクとを
設置した洋風便器用タンクアッセンブリにおいて、各タ
ンクから個別に給水受入管を前記タンクカバー外に延出
させ、各給水受入管の先端に個別に給水配管を接続可能
としたことを特徴とするものである。

【０００８】請求項２の洋風便器用タンクアッセンブリ
は、請求項１において、前記タンクカバーの上面部は手
洗鉢となっており、この手洗鉢に向って吐水する吐水管
が該タンクカバーの上部に取り付けられており、該タン
クカバー内において、前記温水タンク用給水受入管から
接続配管を分岐させ、この接続配管を該タンクカバー内
のみを引き通して前記吐水管に接続し、該接続配管に手
洗吐水制御用の弁を設けたことを特徴とするものであ
る。

【０００９】請求項３の洋風便器用タンクアッセンブリ
は、請求項１において、前記タンクカバー内において前
記ロータンク用給水受入管と温水タンク用給水受入管と
を中継配管で連通すると共に、この中継配管に全閉可能
な栓を設けたことを特徴とするものである。

【００１０】

【作用】本発明の洋風便器用タンクアッセンブリにおい
ては、中水の使用が義務付けられている現場において
も、タンクカバーに孔をあけることなく中水配管をロー
タンク用給水受入管につなぐだけで中水配管施工を行な
える。

【００１１】請求項２の洋風便器用タンクアッセンブリ
においては、タンクカバー上部に設けられている手洗吐
水管に対し上水用の給水受入管から上水を分取して供給
できる。

【００１２】請求項３の洋風便器用タンクアッセンブリ
においては、中水の使用が義務付けられている現場に施
工するときには、ロータンク用給水受入管を中水配管に
つなぎ、温水タンク用給水受入管を上水配管につなぐ。
そして、中継配管の栓を全閉にする。

【００１３】中水配管のない現場にこの洋風便器用タン
クアッセンブリを設置するときには、一方の給水受入管
を上水配管につなぎ、他方の給水受入管の先端を盲プラ
グ等で塞ぐ。そして、中継配管の栓を開ける。

【００１４】

【実施例】以下図面を参照して実施例について説明す
る。第１図は本発明の請求項１の実施例に係る洋風便器
用タンクアッセンブリを備えた洋風便器の縦断面図、第
２図は給水系統図である。

【００１５】第１図において、洋風便器１０は、便鉢１
２の上縁にリム通水路１４が周回されており、該便鉢１
２の底部にはトラップ部１６が設けられている。１８は
便座、２０は便蓋である。

【００１６】この洋風便器１０の上面の後部にロータン
ク２２が設置され、該ロータンク２２の下側に温水タン
ク２４が設置されている。図示はしないが、洋風便器１
０の後部上面にはベースプレートが設置され、このベー
スプレート上に該温水タンク２４が設置されると共に、
各種の制御機器及び洗浄ノズル２６が該ベースプレート
に取り付けられている。ロータンク２２は、その底面の
一部がえぐれた形状となっており、このえぐれた部分に
温水タンク２４が入り込む配置となっている。

【００１７】温水タンク２４と洗浄ノズル２６とは温水
配管２８で接続され、この温水配管２８の途中に洗浄ノ
ズル用バルブ３０が設けられている。温水タンク２４に
は、温水ヒータ３２、温水サーミスタ３４、バキューム
ブレーカ３６が設けられている。この温水タンク２４と
洗浄ノズル２６と前記バルブ３０等によって温水洗浄装
置が構成されている。

【００１８】前記ロータンク２２内にはボールタップ３
８が設けられている。

【００１９】これらのロータンク２２及び温水タンク２
４をすっぽりと覆うように合成樹脂製のタンクカバー４
０が洋風便器１０の後部上面に装着されている。前記ボ
ールタップ３８の基端側に連なる給水受入管４２がこの
タンクカバー４０を貫通して該タンクカバー４０の後部
外面に突出している。この給水受入管４２に対しては中
水配管４４が止水栓４６を介して接続されている。

【００２０】前記温水タンク２４には給水受入管４８が
接続されており、この給水受入管４８は洋風便器１０の
後部側からタンクカバー４０外に突出しており、この給
水受入管４８に対し上水配管５０が止水栓５２を介して
接続されている。５４は電磁弁である。

【００２１】このように構成された洋風便器用タンクア
ッセンブリを備えた洋風便器１０においては、図示しな
い洗浄ハンドルを操作してロータンク２２内の水をリム
通水路１４から便鉢１２に供給し、便鉢１２の洗浄を行
なう。ロータンク２２内の水位低下に伴ってボールタッ
プ３８が回転し、中水配管４４から中水がロータンク２
２内に供給される。

【００２２】第２図にも示される通り、洗浄ノズル用バ
ルブ３０が開弁されると、温水タンク２４内の温水が洗
浄ノズル２６に供給され、該洗浄ノズル２６の先端から
温水が人体臀部に向って噴出される。なお、温水の噴出
に伴って、温水タンク２４内には、上水配管５０から上
水が流入される。

【００２３】このように構成された洋風便器用タンクア
ッセンブリにあっては、現場においてタンクカバー４０
に孔をあけることなく、給水受入管４２に中水配管４４
をつないで中水配管施工を行なうことができる。従っ
て、現場の配管作業効率が著しく向上すると共に、タン
クカバー４０にヒビが入ったりする等の弊害も解消され
る。

【００２４】上記実施例では、給水受入管４２をボール
タップ３８につないでいるが、この給水受入管４２とし
ては、ボールタップ３８の基端側に対し一体的に連設さ
れたものであっても良い。

【００２５】第３図は本発明の請求項２の実施例に係る
洋風便器用タンクアッセンブリを備えた洋風便器の断面
図である。本実施例にあっては、タンクカバー４０Ａの
上部に手洗鉢６０が設けられており、この手洗鉢６０に
向って吐水するように手洗吐水管６２がタンクカバー４
０Ａの上部に取り付けられている。

【００２６】このタンクカバー４０Ａ内において前記給
水受入管４８から接続配管６４が分岐されており、この
タンクカバー４０Ａ内のみを引き通されて接続配管６４
が手洗吐水管６２に接続されている。この接続配管６４
の途中に手洗吐水用電磁弁６６が設けられており、セン
サ又はスイッチによって該電磁弁６６の開閉制御が行な
われ、手洗吐水管６２からの吐水が行なわれる。なお、
手洗鉢６０内に落下した水は、排水口６８を通ってロー
タンク２２内に落下される。

【００２７】第３図のその他の構成は第１図と同様であ
り、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。

【００２８】この第３図の実施例にあっては、第４図に
も示す通り、手洗吐水管６２に上水が供給される。従っ
て、清潔な上水にて手を洗うことができる。

【００２９】第５図は本発明の請求項３の実施例に係る
洋風便器用ロータンクアッセンブリを備えた洋風便器の
縦断面図である。

【００３０】本実施例では、ロータンク用の給水受入管
４２と温水タンク２４用の給水受入管４８とが中継配管
７０で連通され、この中継配管７０の途中に栓７２が設
けられている。なお、給水受入管４２は、タンクカバー
４０内を下方に引き回され、タンクカバー４０の下端を
通ってタンクカバー４０外に引き出されている。その他
の構成は第１図と同様であり、同一部分に同一符号を付
してその説明を省略する。

【００３１】本実施例においても、中水の使用が義務付
けられている場合には、中水配管４４を給水受入管４２
につなぎ、上水配管５０を給水受入管４８につなぐ。そ
して、栓７２を全閉状態としておく。これにより、第１
図と同様に便鉢１２を中水で洗浄し、人体臀部の温水洗
浄を上水で行なうことができる。

【００３２】中水の使用が義務付けられていない現場に
この洋風便器を設置する場合には、給水受入管４２の先
端を盲プラグで塞ぐか、或いは該給水受入管４２に止水
栓４６を取り付け、この止水栓４６を閉めておく。ま
た、前記栓７２を全開状態とする。そうすると、上水配
管５０から供給された水が、温水タンク２４のみなら
ず、中継配管７０を経てロータンク２２に供給される。
従って、このロータンクアッセンブリは、上水配管のみ
が設けられている現場に設置する場合にも適用できる。

【００３３】

【発明の効果】以上の通り、本発明の洋風便器用タンク
アッセンブリによると、中水の使用が義務付けられてい
る現場においても中水配管施工をきわめて容易に行なう
ことができる。

【００３４】請求項２の洋風便器用タンクアッセンブリ
においては、タンクカバー上部に設けられている手洗吐
水管に対し上水を供給することができる。

【００３５】請求項３の洋風便器用タンクアッセンブリ
にあっては、中水の使用が義務付けられていない現場に
おいても、きわめて簡単な上水配管施工を行なうだけで
ロータンクへの給水を行なうことが可能とされる。従っ
て、洋風便器用タンクアッセンブリとして、上水専用の
もの或いは中水専用のものを製造することが不要であ
り、品番を減らし少品種大量生産方式にて安価に洋風便
器用タンクアッセンブリを提供することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の請求項１の実施例を示す断面図であ
る。

【図２】第１図のアッセンブリにおける通水系統図であ
る。

【図３】請求項２の実施例を示す断面図である。

【図４】図３の実施例における通水系統図である。

【図５】請求項３の実施例を示す断面図である。

【図６】図５の実施例における通水系統図である。

【符号の説明】

１０ 洋風便器 １２ 便鉢 ２２ ロータンク ２４ 温水タンク ４０，４０Ａ タンクカバー ４４ 中水配管 ５０ 上水配管 ４２，４８ 給水受入管 ６０ 手洗鉢 ６２ 手洗吐水管 ６４ 接続配管 ７２ 中継配管 ７４ 栓

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂製のタンクカバー内に便器洗浄
   用ロータンクと、臀部温水洗浄用温水タンクとを設置し
   た洋風便器用タンクアッセンブリにおいて、各タンクか
   ら個別に給水受入管を前記タンクカバー外に延出させ、
   各給水受入管の先端に個別に給水配管を接続可能とした
   ことを特徴とする洋風便器用タンクアッセンブリ。
2. 【請求項２】 請求項１において、 前記タンクカバーの上面部は手洗鉢となっており、この
   手洗鉢に向って吐水する吐水管が該タンクカバーの上部
   に取り付けられており、 該タンクカバー内において、前記温水タンク用給水受入
   管から接続配管を分岐させ、この接続配管を該タンクカ
   バー内のみを引き通して前記吐水管に接続し、該接続配
   管に手洗吐水制御用の弁を設けたことを特徴とする洋風
   便器用タンクアッセンブリ。
3. 【請求項３】 請求項１において、 前記タンクカバー内において前記ロータンク用給水受入
   管と温水タンク用給水受入管とを中継配管で連通すると
   共に、この中継配管に全閉可能な栓を設けたことを特徴
   とする洋風便器用タンクアッセンブリ。