JP2610586B2 - 排水誘引パイプ及びその埋設構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は人工芝や畑の畝など排水
を必要とする個所に埋設し、排水作用を誘引する排水用
パイプならびに該パイプの埋設構造に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、排水パイプあるいは排水誘引パイ
プとして合成樹脂製パイプに多数の誘引孔を設けたもの
が知られており、随所に用いられている。

【０００３】また、一部に排水パイプ両側に水を誘引送
給する羽根部材を取り付けたものも知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の排
水誘引パイプは単に水を誘引するための孔を有している
というだけで、排水効果は十分とは云えず、殊に羽根部
材に沿って流れる水については極めて排水効率が低かっ
た。

【０００５】本発明は、上述の如き欠点に対処し、特に
排水パイプの誘引孔の配置ならびに孔の穿設方向を特定
することにより排水誘引作用を良好ならしめ、排水効果
の向上を図ることを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合す
るため、本発明排水誘引パイプは所定の長さを有する合
成樹脂パイプの両側下部に長さ方向にわたり、下部より
両側斜上方に向かい羽根部材を設置すると共に、前記パ
イプの両側面に長さ方向にわたり適宜間隔をおいて、か
つ上下位置をずらして水が誘引される斜下方向に向かう
複数の横長孔を複数段穿設し、更に前記羽根部材の内面
で、パイプ下部両側に長さ方向にわたり、適宜間隔をお
いて複数の小孔を穿設せしめている。

【０００７】そして、上記排水誘引パイプを、地中に埋
設するにあたっては、羽根部材上方側のパイプ周辺に豆
砂利を充填配置する構造が採り入れられる。

【０００８】

【作用】上記本発明排水誘引パイプは、畑の畝、あるい
は人工芝構造体等の地表面より下部の地中に埋設する。
そして、排水に際し、通常は上下位相をずらした斜め下
向きの横長孔より水がパイプ内部へ万遍なく円滑に誘引
され、該パイプ内を通して排水されるが、このとき、同
時に両側の羽根部材により周辺の水がその内側斜面に沿
って下方へ流入し、下部の羽根部材付け根近傍に穿設さ
れている小孔より誘引されてより排水効果を高める。従
って、単に外周に誘引孔を設けた排水パイプより排水誘
引性能は良好となる。

【０００９】なお、地中に埋設するとき、パイプ周辺に
は豆砂利が配置されることによりパイプの目詰まりが防
止され、排水誘引機能を良好とする。

【００１０】

【実施例】以下、更に添付図面にもとづき本発明排水誘
引パイプ及び埋設構造の実施例を説明する。

【００１１】図１は本発明パイプの斜視図、図２は同パ
イプの断面図である。

【００１２】これら図において、１は所要の長さを有す
る合成樹脂パイプで、埋設個所によって必ずしも直径は
一定しないが通常、直径１０ｃｍ位のパイプが一般的で
あり、その両側面にはパイプの長さ方向にわたり適宜間
隔をおいて上下２段に所要長さの横長孔２が、上下位置
をずらした状態で水が誘引される方向に、即ち、パイプ
中心に求心的に向くのではなく、水が誘引される斜下方
向に向かって穿設されている。

【００１３】勿論、上下の段数は２段に限らず、３段又
はそれ以上設けることも可能である。

【００１４】なお、前記横長孔の長さ及び間隔は上下の
位置ずれに合わせて決められるが、このとき一部、重合
し合う程度が最も好ましい。しかし余り横長孔間の間隔
が長すぎては折角の誘引作用が低下する。

【００１５】しかして上記排水誘引パイプは更にそのパ
イプ１の下部においてパイプ長さ方向にわたり両側斜上
方に向かって延びる羽根部材３が設けられており、その
内面側付け根付近のパイプ壁面にパイプ長さ方向にわた
り適宜間隔をおいて誘引用の小孔４が穿設されている。
この小孔４も誘引作用を良好ならしめる点より誘引方向
に向かって穿設することが効果的である。

【００１６】羽根部材３は左右に延びる部材をパイプ１
と一体的に設けてもよいが図３に示すように別個の羽根
部材をパイプ１下部で固着して両側斜上方へ延設せしめ
るようにしてもよく、その上向き傾斜角度は設置水平面
に対し通常、１５〜４５°、好ましくは１５〜３０°で
ある。余り傾斜が大きすぎては水の誘引効率が悪くまた
余り小さすぎても同様である。

【００１７】一方、上記誘引用の小孔４は余りパイプ両
側中央部に近付けては羽根部材３で誘導される水の誘引
効果が弱くなるので可及的、パイプ１下端に近い付け根
位置が良好である。

【００１８】また、この小孔４は１段に限らず羽根部材
３の付け根に沿って２段又はそれ以上設けても勿論有効
である。

【００１９】図３及び図４は上記本発明排水誘引パイプ
１を畝５等の内部に埋設した状態図であり、図中、図１
及び図２と同一符号は同一部分である。

【００２０】図３においては前記図１，図２に示す排水
誘引パイプがパイプ１に対し左右に延びる羽根部材３を
一体として固着しているのに対し、左右各別に固着した
パイプが取り付けられており、羽根部材１上方側のパイ
プ１の周辺には豆砂利６が充填配置されて地中Ｇに埋設
されている。

【００２１】豆砂利６をパイプ１周辺に配置するのは地
中Ｇの水分の誘引に際しパイプ１の目詰まりを防ぎ、誘
引作用を有効ならしめるためである。

【００２２】図４は上記排水誘引パイプ１を地表面に畝
５が形成された耕作畑地の地中に埋設した状態を示して
おり、矢示の方向に誘引される水分はパイプ１の横長孔
２、下部の小孔４を通じてパイプ１内部へ誘引され、該
パイプ内部を通って予め設置された既設の排水個所へ送
られる。

【００２３】このとき、横長孔２及び小孔４は水の誘引
される方向に穿設されているため、誘引作用は頗る良好
である。

【００２４】なお、誘引効果は埋設の深さに影響される
が、大体、地表面より３０ｃｍ位、下部に埋設されてい
るときは５ｍ位の範囲にわたり、また３５ｃｍ位、下部
に埋設されているときは６ｍ位の範囲にわたり誘引効果
が認められる。

【００２５】勿論、羽根部材３より水平以下においては
誘引は行なわれない。

【００２６】かくして上記本発明誘引パイプに誘引され
て地中の水はパイプ内部を通過して随時、排水作用が行
なわれる。

【００２７】

【発明の効果】本発明は以上のように合成樹脂パイプ両
側下部に斜下方に延びる羽根部材を設けたものであり、
豆砂利を周辺に配置して埋設するようにしたから、該羽
根部材を伝わって水が誘導され、排水パイプにより誘引
作用を助長すると共にパイプは両側面の横長孔が上下位
置をずらして水を誘引し易い斜下方向に向かって配設さ
れているため、前記羽根部材による水誘引作用と相乗し
て長さ方向にわたり均一かつ円滑に誘引吸水が行われる
利点を有している。しかも更に羽根部材の付け根付近に
も小孔が設けられているので、羽根部材で誘導された水
は同付近で確実に小孔を通じて誘引排水される。

【００２８】また、上記パイプは豆砂利が周辺に配置さ
れるのでパイプ孔の目詰まりを起こすことなく、誘引作
用は極めて確実である。

【００２９】従って、単なる誘引孔を全面に有するパイ
プに比し、遙かに確実に排水作用が可能となり、排水機
能を向上させる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るパイプの斜視外観図である。

【図２】同断面図である。

【図３】本発明に係るパイプの他の例を示す埋設状態断
面図である。

【図４】本発明パイプの使用状態を示す断面説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 合成樹脂パイプ ２ 横長孔 ３ 羽根部材 ４ 小孔 ５ 畝 ６ 豆砂利

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定長さを有する合成樹脂パイプの両側
   下部に長さ方向にわたり、下部より両側斜上方に向かい
   羽根部材を設置してなると共に、前記パイプの両側面に
   長さ方向にわたり適宜間隔をおいて、かつ上下位置をず
   らして水が誘引される斜下方向に向かう複数の横長孔を
   複数段穿設し、更に前記羽根部材の内面で、パイプ下部
   両側に長さ方向にわたり、適宜間隔をおいて複数の小孔
   を穿設してなることを特徴とする排水誘引パイプ。
2. 【請求項２】 請求項１記載の排水誘引パイプを地中に
   埋設するにあたり、羽根部材上方側の前記パイプ周辺に
   豆砂利を充填配置せしめたことを特徴とする排水誘引パ
   イプ埋設構造。