JP2609675B2 - 割れ感受性の高い金属材料の製造方法 - Google Patents

割れ感受性の高い金属材料の製造方法

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JP2609675B2 JP10054688A JP10054688A JP2609675B2 JP 2609675 B2 JP2609675 B2 JP 2609675B2 JP 10054688 A JP10054688 A JP 10054688A JP 10054688 A JP10054688 A JP 10054688A JP 2609675 B2 JP2609675 B2 JP 2609675B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、鋳造時に凝固割れが生じ易い金属材料や、
熱間加工時に加工割れが生じ易い金属材料を連続鋳造法
によって鋳片とし、熱間圧延や熱間押出によって展伸材
とする製造方法に関する。
〔従来の技術〕 鋳造時に凝固割れが生じ易い金属材料の鋳片は、連続
鋳造法で製造することができず、造塊法により製造され
ていた。また、熱間加工割れを起こし易い材料は、造塊
法により得られたインゴットを鋳造或いは分塊圧延して
再結晶させた後で、圧延や熱間押出等の熱間加工を行う
ことによって、展伸材を製造していた。このため、製造
歩留りが低く、コスト高となっていた。なお、本願明細
書においては、このような鋳造時における凝固割れや熱
間加工時における加工割れ等を起す性質を総称して、割
れ感受性という。
ところで、熱間加工割れを生じ易い金属材料を熱間加
工するとき、加工性の良い材料で表面を被覆した状態で
熱間加工を行うことが従来から知られている。
他方、複合鋳片を連続鋳造法によって製造する方法と
して、特公昭44−27361号公報では、長さの異なる2本
の浸漬ノズルを鋳型内にある溶融金属のプールに挿入
し、それぞれのノズルの吐出孔位置を鋳造方向の異なる
位置に設け異種の溶融金属を注入する方法が提案されて
いる。また、特公昭49−44859号公報では、このとき鋳
型に注入された異種金属が互いに混合することを防止す
るため、鋳型内に耐火物製の隔壁を設けることが提案さ
れている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、加工性の良い材料で熱間加工割れを生じ易い
金属材料を被覆して熱間加工を行う方法では、被覆工程
が別途必要となり、その分だけプロセスが複雑になる。
また、前掲の各公報で提案されている方法は、一般の
複合金属材料と同様に、内層を低コストの材料とし外層
を高コストの材料とした複合鋳片を得ることを目的とし
ている。したがって、外層に目的とする材料が形成され
る限り、外層と内層との間に厚い混合層が形成されて
も、また内層に外層の成分が混入しても、得られた材料
は一応の効果を発揮するものであった。この点、内層が
所定の成分・組成をもつ製品として使用する場合、依然
として改良の余地がある。
そこで、本発明は、加工性に優れた金属材料で割れ感
受性の高い金属材料を覆った複合鋳片を、後者金属材料
の成分・組成に変動を生じさせることなく連続鋳造で製
造することにより、別途の被覆工程を必要とせずに、割
れ感受性の高い金属材料でできた鋳片の熱間圧延や熱間
押出しを可能にすることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の割れ感受性の高い金属材料の製造方法は、そ
の目的を達成するために、鋳型内に易加工性金属の溶湯
を注入し、該金属の凝固シェルの形成が開始する位置よ
りも下方の前記凝固シェルによって形成される外層部内
に鋳造方向に直交する方向の静電磁帯を形成し、該静磁
場帯の下方に割れ感受性の高い金属の溶湯を注入して連
続鋳造方により複合鋳片を鋳造し、該複合鋳片を熱間加
工することを特徴とする。
〔作用〕
以下、第1図を参照しながら、本発明法をその作用と
共に具体的に説明する。
鋳造時に凝固割れが生じなく、かつ熱間加工時に加工
割れが生じない易加工性金属の溶湯1を、短い浸漬ノズ
ル2によって鋳型3内に注入する。注入された易加工性
金属の溶湯1は、鋳型3の壁面を介した抜熱によって冷
却・凝固し、鋳型3の内面に凝固シェル1aを形成する。
この凝固シェル1aから形成される鋳片の外層部4に、磁
石5によって鋳造方向に直交する静磁場帯を形成する。
そして、この静磁場帯の下方の外層部4内に、割れ感受
性の高い金属の溶湯6を、長尺の浸漬ノズル7によって
注入する。この溶湯6は、冷却・凝固されて内層部8と
なる。このようにして、外層部4及び内層部8からなる
複合鋳片が製造される。
ここで、割れ感受性の高い金属材料とは、鋳造時に凝
固割れが生じ易い材料である。たとえば、B含有ステン
レス鋼,17Cr−25Ni−5Al等の高合金耐熱鋼,22Cr−42Ni
−3Mo(インコロイ825)等の高Cr高Ni合金,二相ステン
レス鋼,快削ステンレス鋼等がある。これに対し、易加
工性金属としては、炭素鋼,18Cr−8Niステンレス鋼等が
ある。
第1図の場合には、磁石5が鋳型3の下方に配置され
ているので、内層部8は鋳片の外側からの二次冷却によ
って形成される。磁石5を鋳型3の外側に配置し、鋳型
3内に静磁場帯を形成する場合、鋳型3内で内層部8が
形成される。なお、磁石5に代えて、ソレノイドコイル
を鋳型3或いは鋳片の外層部4の周囲に捲回し、これに
直流電流を通電することによって、鋳造方向と平行な磁
力線をもつ静磁場帯を形成してもよい。
このようにして得られた複合鋳片を熱間加工して展伸
材とする。熱間加工としては、板材,帯材,棒材,線
材,形材等の熱間圧延、管材,形材等の熱間押出等を行
うことができる。また、鋳造時に凝固割れを生じない材
料で外層部4が形成されるので、得られた鋳片に表面割
れは生じない。更に、内層部8の金属が凝固割れを起こ
し易い材料であっても、外層部4を介して緩冷却される
ため、境界面における割れも生じない。
浸漬ノズル2から注入された易加工性金属の溶湯1
と、浸漬ノズル3から注入された割れ感受性の高い金属
の溶湯6とは、静磁場帯において流動が制動されている
ために、互いの混合が抑制される。その結果、外層部4
と内層部8との境界が明瞭な複合鋳片が得られる。した
がって、内層部8の金属材料は、溶湯1の成分が拡散す
ることなく、目的とする成分のものが容易に得られる。
この複合鋳片を熱間加工するとき、外層部4の加工性
がよいので、加工割れが生じることなく、表面性状のよ
い展伸材が得られる。必要に応じ、熱間加工後に外層部
4の金属を機械加工,酸洗,スケールオフ等の適宜の手
段で除去し、内層部8のみを使用することもできる。こ
の場合は、外層部4と内層部8との境界が明瞭であるた
め、境界層を厚く除去する必要がなく、歩留りが高い。
また、第1図のような連続鋳造に際して、鋳型内の溶
湯表面にパウダーを供給し、湯面を保温すると共に、鋳
型と鋳片の間に供給される該パウダーの溶融体によって
潤滑作用をもたせる場合がある。しかし、鋳造する鋼種
によっては、パウダーの成分と反応してパウダーの潤滑
性を劣化させるものもある。このような点から従来の方
法では連続鋳造することができなかった金属材料であっ
ても、外層部4を構成する溶湯1として、パウダーとの
反応性の低いものを選択することによって連続鋳造可能
なものとなる。
第2図は、鋳型3の上に鋳型3と断熱された容器9を
接続し、易加工性金属の溶湯1を容器9内に供給して鋳
造している状態を示す。
この状態では、外層部4を形成する溶湯1の容器9か
ら鋳型3内への供給は、ヘッド圧に基づいた静圧によっ
て行われ。そのため、鋳型3内の溶湯は静かな状態に維
持され、またその温度分布も均一なものとなる。また、
鋳型3と容器9の境界に断熱リング10が配置されてい
る。そのため、凝固シェルの形成は、常に断熱リング10
直下の一定位置で開始される。したがって、外層部4の
厚さが均一なものとなる。また、鋳型3内に挿入する浸
漬ノズルも1本で済むため、位置の取合いに起因する制
約が緩和され、ブルーム等の小断面の複合鋳片が得られ
る。
〔実施例〕
実施例1. 第1図で説明した方法により、浸漬ノズル2から中炭
素鋼を、浸漬ノズル7からB2重量%を含む含B−オース
テノイト系ステンレス鋼を注入し、厚さ30mmの中炭素鋼
を外層とする合計厚さ143mm,幅1040mmの複合スラブを得
た。これを通常の方法で熱間圧延し、厚さ10mmの厚板を
製造した。得られた厚板は、表面性状の優れたものであ
り、中性子遮蔽材として使用し得るものであった。ま
た、内層が所期の成分・組成をもつものであるため、中
性子遮蔽能力も優れたものであった。
実施例2. 第2図で説明した方法により、浸漬ノズル2から中炭
素鋼を、浸漬ノズル7から17Cr−25Ni−5Al耐熱鋼を注
入し、厚さ30mmの中炭素鋼を外層とする一辺の長さが15
0mmの複合ブルームを得た。これを通常の方法で熱間圧
延し、直径12mmの線材を製造した。得られた線材の表面
には炭素鋼が被覆されていたが、熱間圧延工程における
スケールオフにより薄く且つ均一な厚さであり、酸洗に
よって容易に除去でき、表面性状の優れた耐熱鋼線材が
得られた。
実施例3. 本実施例で使用した装置を第3図に示す。この装置が
第2図の装置と異なるところは、浸漬ノズル7の中心に
中子を挿入している点である。中子11としては、外径が
34mmで肉厚が3.4mmの炭素鋼製の管体を使用した。
そして、浸漬ノズル2から中炭素鋼を注入し、浸漬ノ
ズル7と中子11の間に17Cr−25Ni−5Al耐熱鋼を注入
し、外面に厚さ30mmの中炭素鋼を、内面に厚さ3.4mmの
炭素鋼をもち、内部が厚さ31.1mmの耐熱鋼からなる三層
構造で、外径が156mmで内径が27mmの中空丸ブルームを
得た。これを通常の方法により熱間で押し出し、外径が
89.8mmで肉厚が10mmの管体を製造した。押出後の管体表
面に残留している潤滑ガラスを酸化除去した際に、外面
及び内面の炭素鋼が同時に除去され、表面性状の優れた
耐熱鋼管が得られた。
〔発明の効果〕
以上に説明したように、本発明においては、易加工性
金属の溶融から生成する凝固シェルを外層とすることに
より、鋳造時に凝固割れが生じ易い金属材料や熱間加工
時に加工割れが生じ易い金属材料を連続鋳造法によって
鋳片とすることができる。また、得られた鋳片は、易加
工性金属の外層があるため、熱間圧延や熱間押出によっ
て展伸材を製造することができる。しかも、その製造保
留りも良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は鋳造の下方で異種の溶融金属間に静電磁帯を作
用させた連続鋳造方法を説明するための図であり、第2
図は鋳型を容器に接続させて連続鋳造を行っている状態
を示す図であり、第3図は中空の鋳片を製造している状
態を示す図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳型内に易加工性金属の溶湯を注入し、該
    金属の凝固シェルの形成が開始する位置よりも下方の前
    記凝固シェルによって形成される外層部内に鋳造方向に
    直交する方向の静磁場帯を形成し、該静磁場帯の下方に
    割れ感受性の高い金属の溶湯を注入して連続鋳造法によ
    り複合鋳片を鋳造し、該複合鋳片を熱間加工することを
    特徴とする割れ感受性の高い金属材料の製造方法。
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