JP2608997B2 - 油圧建設機械の駆動制御装置 - Google Patents

油圧建設機械の駆動制御装置

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JP2608997B2
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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Fluid-Pressure Circuits (AREA)
  • Control Of Positive-Displacement Pumps (AREA)
  • Operation Control Of Excavators (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホイール式油圧ショベ
ルなどの油圧建設機械に用いられる駆動制御装置に関
し、負荷に応じて原動機の回転数を制御して燃料消費率
を改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、原動機により駆動される可
変容量油圧ポンプからの吐出油により油圧アクチュエー
タを駆動する油圧建設機械の駆動制御装置として、以下
の,に示すものを先に提案している。
【0003】上記油圧アクチュエータの負荷を検出
し、その負荷が所定値以上になると、ポンプ流量が不足
していると判断して原動機の回転数を上昇させ、ポンプ
流量を増加する(特開昭63−167042号公報)。
これによれば、軽負荷時も重負荷時も所望の作業速度を
維持しつつ燃料消費量が最も有利な状態で運転が可能と
なる。
【0004】ロードセンシングシステムを採用するも
のにおいて、可変容量油圧ポンプの吐出圧力とアクチュ
エータの最大負荷圧力との差圧(LS差圧)が所定値以
下になると流量不足と判断して原動機の回転数を上昇さ
せ、ポンプ流量を増加する。あるいは油圧ポンプの押除
け容積と、油圧ポンプの吐出圧力に基づいて演算される
最大可能押除け容積との偏差が所定値以下になると、流
量不足と判断して原動機の回転数を上昇させ、上述と同
様にポンプ流量を増加する(特願平1−318486号
明細書中)。これによれば、と同様に軽負荷時も重負
荷時も燃料消費量が最も有利な状態で運転することがで
きる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た,の装置には、以下に示すような問題点がそれぞ
れある。すなわちの装置では、例えば可変容量油圧ポ
ンプの吐出圧力を検出してアクチュエータの負荷圧の高
低を判断するようにすると、油圧ポンプの吐出圧力が低
いときに複数のアクチュエータを駆動する場合(例えば
走行中にブームやアームを低速で駆動するような場合)
のように低圧にも拘らず要求流量が多いときには流量不
足を判定できず、原動機回転数をアップさせてポンプ流
量を増加させることができない。
【0006】一方、の装置では、LS差圧あるいは油
圧ポンプの押除け容積と最大可能押除け容積との偏差に
より流量不足か否かを判定しているので、上述したよう
に低圧時に要求流量が大きいために流量不足となった場
合でもその判定が行え、上記の問題は解消できるが、
LS差圧による制御では、LS差圧の検出値の変動が大
きいため、ハンチングを防止するためにフィルタをかけ
て所定時間のLS差圧の平均値をとり、その値に基づい
てポンプ流量を制御する必要があるので、上述したの
制御と比べて応答性が悪い。また傾転角偏差による制御
でも、油圧ポンプの吐出圧力により最大可能押除け容積
を求める工程と、傾転角偏差を求める工程とが必要であ
るので応答性が悪い。
【0007】本発明の目的は、いかなる場合でも流量不
足か否かの判定を正確に行って回転数制御が的確に行え
るとともに、制御時の応答性を改善した油圧建設機械の
駆動制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】一実施例を示す図1〜図
4に対応付けて説明すると、請求項1の発明は、原動機
27によって駆動される可変容量油圧ポンプ1と、この
油圧ポンプ1からの吐出油により駆動される少なくとも
1つの油圧アクチュエータ4,21と、油圧アクチュエ
ータ4,21に供給される圧油の流量を制御する制御弁
2,20と、油圧ポンプ1の吐出圧力と油圧アクチュエ
ータ4,21の負荷圧力との差圧を検出する差圧検出手
段54と、検出された差圧に基づいて、油圧ポンプ1の
吐出圧力を油圧アクチュエータ4,21の負荷圧力より
も一定の差圧だけ高く保持するよう油圧ポンプ1の押除
け容積を制御するロードセンシング制御手段61と、操
作手段57aの操作に応じて原動機27の目標回転数を
設定する目標回転数設定手段81と、油圧ポンプ1の吐
出圧力を検出する吐出圧検出手段52と、検出された吐
出圧力に基づいて、不足流量を補うべく上記設定された
目標回転数に補正を加える回転数補正手段100と、補
正された目標回転数となるように原動機27を制御する
原動機制御手段28,88とを備えた油圧建設機械の駆
動制御装置に適用される。そして、回転数補正手段10
0を次のように構成することにより上記問題点を解決す
る。すなわち回転数補正手段100は、上記検出された
油圧ポンプ1の吐出圧力が所定値以上のとき、およびこ
の吐出圧力が所定値未満であっても検出された差圧が所
定値以下のときには、目標回転数設定手段81にて設定
された目標回転数よりも高い目標回転数となるよう補正
を加える。また請求項2の発明は、上述した可変容量油
圧ポンプ1と、油圧アクチュエータ4,21と、制御弁
2,20と、目標回転数設定手段81と、吐出圧検出手
段52と、回転数補正手段100’(図6)と、原動機
制御手段28,88とを備えた油圧建設機械の駆動制御
装置に適用される。そして、油圧ポンプ1の吐出圧力に
応じた最大押除け容積の制限値を演算する演算手段91
とを備え、前記回転数補正手段100’を次のように構
成することにより上記問題点を解決する。すなわち回転
数補正手段100’は、検出された油圧ポンプ1の吐出
圧力が所定値以上のとき、およびこの吐出圧力が所定値
未満であっても油圧ポンプ1の押除け容積と上記演算さ
れた最大押除け容積の制限値との偏差が所定値以下のと
きには、目標回転数設定手段81にて設定された目標回
転数よりも高い目標回転数となるよう補正を加える。
【0009】
【作用】(1)請求項1の発明 回転数補正手段100は、検出された油圧ポンプ1の吐
出圧力が所定値以上のときには、目標回転数設定手段8
1にて設定された目標回転数よりも高い目標回転数とな
るよう補正を加える。すなわち油圧ポンプ1の吐出圧力
による回転数制御(上述したの制御)が優先され、こ
れにより応答性を改善できる。また回転数補正手段10
0は、上記吐出圧力が所定値未満であっても、上記検出
された差圧が所定値以下のときには、同様に目標回転数
設定手段81にて設定された目標回転数よりも高い回転
数を目標回転数指令値として出力する。したがって、こ
の場合はの制御が行われることになり、油圧ポンプの
吐出圧力が低いときに複数のアクチュエータを駆動する
場合でも流量不足を判定でき、原動機回転数をアップさ
せてポンプ流量を増加させることが可能となる。 (2)請求項2の発明 回転数補正手段100’は、検出された油圧ポンプ1の
吐出圧力が所定値以上のとき、およびこの吐出圧力が所
定値未満であっても油圧ポンプ1の押除け容積と演算さ
れた最大押除け容積の制限値との差が所定値以下のとき
には、目標回転数設定手段81にて設定された目標回転
数よりも高い回転数を目標回転数指令値として出力す
る。これにより上述と同様の効果が得られる。
【0010】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。
【0011】
【実施例】−第1の実施例− 図1〜図5により本発明の一実施例を説明する。図2は
油圧ショベルの駆動制御装置の全体構成を示す図、図3
はその一部分を拡大して示す図であり、1はエンジン
(原動機)27により駆動される可変容量油圧ポンプで
ある。エンジン27の回転数は、ガバナ27aのガバナ
レバー27bをパルスモータ28により回動することに
より制御される。そして、そのエンジン回転数に応じた
可変容量油圧ポンプ1の吐出油が走行用制御弁2を介し
て油圧モータ4に導かれるとともに、作業用制御弁20
を介して作業用油圧シリンダ21に導かれる。
【0012】今、例えば前後進切換弁8を前進(F位
置)に切換えパイロット弁6のペダル6aを操作する
と、油圧ポンプ5からの吐出油がパイロット式制御弁2
のパイロットポート2aに導かれ、この制御弁2がパイ
ロット油圧に応じたストローク量で切換わる。これによ
り、可変容量油圧ポンプ1からの吐出油が管路91,圧
力補償弁23,制御弁2を経て油圧モータ4に供給され
車両が走行する。車両の速度は走行ペダル6aの踏込量
に依存する。
【0013】走行中にペダル6aを離すとパイロット弁
6が圧油を遮断しその出口ポートがタンク10と連通さ
れる。この結果、パイロットポート2aに作用していた
圧油が前後進切換弁8、スローリターン弁7、パイロッ
ト弁6を介してタンク10に戻る。このとき、スローリ
ターン弁7の絞り7aにより戻り油が絞られるからパイ
ロット式制御弁2は徐々に中立位置に切換わりながら車
両が徐々に減速されていく。
【0014】また作業レバー58を操作すると、その操
作量に応じて減圧弁59で減圧された圧力により油圧パ
イロット式の作業用制御弁20が切換わり、油圧ポンプ
1からの吐出油が管路92,圧力補償弁24および制御
弁20を介して作業用油圧シリンダ21に導かれ、油圧
シリンダ21の伸縮によりブームなどの作業用アタッチ
メントが昇降する。ここで、圧力補償弁23,24は、
油圧モータ4と油圧シリンダ21の作動を独立に補償さ
せ、これらにそれぞれの負荷圧よりも所定圧だけ高い圧
力を油圧ポンプ1から供給させるようにするものであ
る。
【0015】可変容量油圧ポンプ1の傾転角、すなわち
押除け容積は、傾転角制御装置40により制御される。
傾転角制御装置40は、エンジン27により駆動される
油圧ポンプ41と、一対の電磁弁42,43と、電磁弁
42,43の切換に応じて油圧ポンプ41からの圧油に
よりピストン位置が制御されるサーボシリンダ44とか
ら成り、サーボシリンダ44のピストン位置に応じて油
圧ポンプ1の傾転角が制御される。ここで、一対の電磁
弁42,43はコントローラ50により切換制御され
る。
【0016】51は、油圧ポンプ1の傾転角θsを検出
する傾転角センサ、52は油圧ポンプ1の吐出圧力Pp
を検出する圧力センサ、53はエンジン27の回転数N
rを検出する回転数センサ、54は、油圧ポンプ1の吐
出圧力とアクチュエータの最大負荷圧力(油圧モータ4
の負荷圧力と油圧シリンダ21の負荷圧力のうち大きい
方の値であり、シャトル弁29にて選択されたものであ
る)との差圧、つまりLS差圧ΔPLSを検出する差圧
センサである。また、55はガバナレバー27bの回動
量Nθを検出するポテンショメ−タであり、これらの各
センサの検出結果はコントローラ50に入力される。5
7は、燃料レバー57aの手動操作に応じた目標回転数
Xを指令する回転数設定装置であり、その指令信号もコ
ントローラ50に入力される。
【0017】コントローラ50は、図4に示すような第
1の制御回路部60を有し、この制御回路部60は、ロ
ードセンシング制御部(以下、LS制御部)61と、ト
ルク制御部62と、選択部63と、サーボ制御部64と
から成る。LS制御部61は、目標差圧ΔPLSRと、
差圧センサ54で検出されたLS差圧ΔPLSとの偏差
Δ(PLS)を演算し、この偏差Δ(PLS)から目標
値の変化量ΔθLを演算し、これを積分してロードセン
シング制御のための目標ポンプ傾転角θLを求めて出力
する。
【0018】トルク制御部62は、回転数センサ53で
検出されたエンジン回転数Nrと、ポテンショメ−タ5
5で検出されたガバナレバー位置Nθとの偏差ΔTを演
算してスピードセンシングを行い、この偏差ΔTからエ
ンジンストールを防止するための目標トルクTpoを演
算し、この目標トルクTpoに圧力センサ52で検出さ
れたポンプ吐出圧力Ppの逆数を乗じて傾転角演算を行
い、その値θpsに一時遅れ要素のフィルタをかけて入
力トルク制限制御のための目標ポンプ傾転角θTを求め
る。
【0019】選択部63は、上記2つの目標傾転角θ
L,θTのうち小さい方の値を選択してサーボ制御部6
4に出力する。サ−ボ制御部64は、選択された傾転角
指令値θrと、傾転角センサ51により検出した傾転角
フィ−ドバック値θsとを比較し、ポンプ傾転角θsが
傾転角指令値θrに一致するよう傾転角制御装置40を
制御する。
【0020】ここで、上記ロードセンシング制御によれ
ば、LS差圧が一定値になるように可変容量油圧ポンプ
1の押除け容積(以下、傾転角ともいう)が制御され、
上記ポンプ圧がロードセンシング圧よりも所定の目標値
だけ高く保持されるので、ポンプ吐出流量が制御弁2ま
たは20の要求流量になるようにポンプ傾転角が制御さ
れ、余分な流量を吐出することがなく絞り損失による無
駄がなくなり燃費および操作性の向上が図れる。また入
力トルク制限制御によれば、油圧ポンプ1のトルクがエ
ンジン27の出力トルクの範囲内に保持され、エンジン
27に過負荷が作用するのが防止される。
【0021】一方、コントローラ50は、図1に示す第
2の制御回路部80を有している。第2の制御回路部8
0において、81は目標回転数演算部であり、回転数設
定装置57の燃料レバー57aの変位量Xに相当する信
号から変位量Xに応じた目標回転数Nxを決定する。変
位量Xと目標回転数Nxとは、変位量Xが増加するに従
って目標回転数Nxがアイドル回転数Niから直線的に
増加する関係に設定されている。
【0022】82は第1の補正回転数演算部であり、圧
力センサ52の出力である油圧ポンプ1の吐出圧力Pp
に応じて図示の特性から補正回転数αの増分値Δαを求
める。この特性によれば、吐出圧力Ppが第1の所定値
Pp1以下の範囲では上記増分値Δαが負となり、吐出
圧力Ppが、第1の所定値Pp1より大きい第2の所定
値Pp2以上の範囲では増分値Δαが正となり、それ以
外の範囲、すなわちPp1<Pp<Pp2では増分値Δ
αは零となる。この第1の補正回転数演算部82で求め
られた補正回転数αの増分値Δαは、前回の制御サイク
ルで求められた補正回転数αに加算部85で加算され、
新たな補正回転数αとされる。
【0023】83は第2の補正回転数演算部であり、こ
の第2の補正回転数演算部83には、上記差圧センサ5
4により検出されたLS差圧ΔPLSがフィルタ89を
介して入力され、このLS差圧ΔPLSに応じて図示の
特性から補正回転数αの増分Δαを求める。ここで、上
述したように差圧センサ54により検出されるLS差圧
ΔPLSは、短時間のうちに大きく変動するので、ハン
チングを防止するために上記フィルタ89により所定時
間の平均値を求めてその値を用いるようにしている。な
お、上記吐出圧力Ppの検出値は比較的安定しているの
で、このようなフィルタを用いる必要はない。この第2
の補正回転数演算部83の特性によれば、LS差圧ΔP
LSが目標差圧ΔPLSR以上の範囲では補正回転数α
の増分値Δαは負となり、LS差圧ΔPLSが目標差圧
ΔPLSRΔ以下の範囲では、上記増分値Δαは正とな
り、かつLS差圧ΔPLSの減少に従って増分値Δαが
増加する。
【0024】第2の補正回転数演算部83で求められた
補正回転数αの増分値Δαは、スイッチ84を介して加
算部86に入力可能とされる。スイッチ84は、上記第
1の補正回転数演算部82で求められた増分値Δαが零
のときにのみオンし、このスイッチ84がオンのときに
のみ第2の補正回転数演算部83の出力Δαが加算部8
6で補正回転数αに加算される。加算部86の出力は上
記加算部85で加算され、加算部85の出力は加算部8
7で上記目標回転数Nxに加算され、目標回転数指令値
Nyとされる。ここで、各制御特性にヒステリシスを設
けたり、補正回転数αの増分値Δαを求めてそれを前回
の補正回転数αに加算するようにしたのは、ハンチング
を防止するためである。
【0025】上記目標回転数指令値Nyはサ−ボ制御部
88でポテンショメ−タ55により検出したガバナレバ
ー27bの変位量Nθの信号と比較され、図5に示す手
順にしたがって両者が一致するようパルスモータ28が
制御される。
【0026】図5において、まずステップS21で目標
回転数指令値Nyとガバナレバー変位量Nθとをそれぞ
れ読み込み、ステップS22に進む。ステップS22で
は、Nθ−Nyの結果を回転数差Aとしてメモリに格納
し、ステップS23において、予め定めた基準回転数差
Kを用いて、|A|≧Kか否かを判定する。肯定される
とステップS24に進み、回転数差A>0か否かを判定
し、A>0ならばガバナレバ−変位量Nθが目標回転数
指令値Nyよりも大きい、つまり制御回転数が目標回転
数よりも高いから、エンジン回転数を下げるためステッ
プS25でモータ逆転を指令する信号をパルスモータ2
8に出力する。これによりパルスモータ28が逆転しエ
ンジン27の回転数が低下する。
【0027】一方、A≦0ならばガバナレバ−変位量N
θが目標回転数指令値Nyよりも小さい、つまり制御回
転数が目標回転数よりも低いから、エンジン回転数を上
げるためステップS26でモータ正転を指令する信号を
出力する。これにより、パルスモータ28が正転し、エ
ンジン27の回転数が上昇する。ステップS23が否定
されるとステップS27に進んでモータ停止信号を出力
し、これによりエンジン27の回転数が一定値に保持さ
れる。ステップS25〜S27を実行すると始めに戻
る。
【0028】以上の構成において、圧力センサ52にて
検出された油圧ポンプ1の吐出圧力Ppが所定値Pp2
(図1)以上(Pp≧Pp2)のときには、第1の補正
回転数演算部82で得られる補正回転数αの増分値Δα
が+側となり、このΔαが加算された補正回転数αが目
標回転数演算部81にて設定された目標回転数Nxに加
算される。したがって、補正回転数αの分だけ目標回転
数指令値Nyが目標回転数Nxよりも高くなり、エンジ
ン27の実際の回転数もそれに応じて上昇し、油圧ポン
プ1の吐出流量が増加する。またPp1<Pp<Pp2
のときには補正回転数αの増分値Δαは零となり、Pp
≦Pp1のときには、Δαは−側となるので、Pp<P
p2のときには、目標回転数指令値Nyは目標回転数N
x以下となる。すなわちこの制御によれば、油圧ポンプ
1の要求流量に応じて実際のポンプ流量が制御され、軽
負荷時も重負荷時も所望の作業速度を維持しつつ燃料消
費量が最も有利な状態で運転が可能となる。ここで、油
圧ポンプ1の吐出圧力Ppに基づくこの制御では、ハン
チングを防止するためのフィルタが不要なので、応答性
がよいという効果がある。
【0029】一方、第1の補正回転数演算部82で得ら
れる補正回転数αの増分値Δαが零のときにはスイッチ
84がオンするので、第2の補正回転数演算部83で得
られる増分値Δαが加算部86で補正回転数αに加算さ
れる。そしてこの増分値Δαは、LS差圧ΔPLSが目
標差圧ΔPLSR以下の範囲では正となるので、この場
合は目標回転数指令値Nyが目標回転数Nxよりも高く
なり、エンジン27の実際の回転数もそれに応じて上昇
し、油圧ポンプ1の吐出流量が増加する。
【0030】すなわち以上によれば、吐出圧力Ppによ
る制御が優先されるので、通常は応答性がよく速やかに
エンジン回転数を上昇させることができる。また例えば
油圧ポンプ1の吐出圧力が低いときに複数のアクチュエ
ータを駆動する場合のように、低圧にも拘らず要求流量
が多いときには、吐出圧力Ppを用いる上記第1の目標
回転数演算部81による制御では流量不足を判定できな
いが、LS差圧ΔPLSを用いる第2の補正回転数演算
部83で流量不足を判定でき、応答性は悪いながらも油
圧ポンプ1の吐出流量を要求量まで増加することが可能
となる。
【0031】以上の実施例の構成において、油圧モータ
4および作業用油圧シリンダ21が油圧アクチュエータ
を、LS制御部61がロードセンシング制御手段を、燃
料レバー57aが操作手段を、目標回転数演算部81が
目標回転数設定手段を、第1,第2の補正回転数演算部
82,83,スイッチ84および加算部85〜87が回
転数補正手段100を、パルスモータ28およびサーボ
制御部88が原動機制御手段を、圧力センサ52が吐出
圧検出手段を、差圧センサ54が差圧検出手段をそれぞ
れ構成する。
【0032】−第2の実施例− 図6により本発明の第2の実施例を説明する。図6は上
記図1に相当する図であり、図1と同様な箇所には同一
の符号を付してある。本実施例における第2の制御回路
部90には、上記第2の補正回転数演算部83に代え
て、傾転角演算部91と、加算部92と、第2の補正回
転数演算部93が設けられている。傾転角演算部91
は、油圧ポンプの吐出圧力Ppを入力し、この吐出圧力
Ppに応じた油圧ポンプ1の最大傾転角(最大押除け容
積)の制限値θpを求める。この特性によれば、吐出圧
力Ppが小さいほど最大傾転角の制限値θpが大きくな
るようになっている。
【0033】加算部92では、この制限値θpと、上記
傾転角センサ51により検出されたポンプ傾転角θsと
の偏差Δθ(=θp−θs)が求められ、第2の補正回
転数演算部93では、この偏差Δθに応じて図示の特性
から補正回転数αの増分値Δαが求められる。この特性
によれば、上記偏差Δθが所定値Δθ0以上の範囲では
補正回転数αの増分値Δαは負となり、偏差Δθが所定
値Δθ0以下の範囲では、上記増分値Δαは正となり、
かつ偏差Δθの減少に従って増分値Δαが増加する。そ
して、求められた増分値Δαは、上述と同様にスイッチ
84がオンのときにのみ加算部86で補正回転数αに加
算される。
【0034】ここで、上記最大傾転角の制限値θpとポ
ンプ傾転角θsとの偏差Δθを用いる本制御では、吐出
圧力Ppから制限値θpを求める工程および偏差Δθを
求める工程が必要であるので、吐出圧力Ppによる制御
(第1の補正回転数演算部82)と比べて応答性が悪い
が、低圧時に要求流量が大きいために流量不足となった
場合でもその流量不足を判定することができる。
【0035】以上の構成において、検出された油圧ポン
プ1の吐出圧力Ppが所定値Pp2(図1)以上(Pp
≧Pp2)のときには、上述と同様に第1の補正回転数
演算部82で得られる値補正回転数αの増分値Δαが+
側となり、目標回転数指令値Nyが目標回転数Nxより
も高くなる。したがってエンジン27の実際の回転数も
それに応じて高くなり油圧ポンプ1の吐出流量を速やか
に増加させことができる。
【0036】また第1の補正回転数演算部82で得られ
る補正回転数αの増分値Δαが零のときにはスイッチ8
4がオンするので、第2の補正回転数演算部93で得ら
れる増分値Δαが加算部86で補正回転数αに加算され
る。そしてこの増分値Δαは、傾転角演算部91で得ら
れた最大傾転角の制限値θpと、上記傾転角センサ51
により検出されたポンプ傾転角θsとの偏差Δθが所定
値Δθ0以下の範囲では正となるので、目標回転数指令
値Nyが目標回転数演算部81にて設定された目標回転
数Nxよりも高くなり、油圧ポンプ1の吐出流量が増加
する。
【0037】すなわち本実施例によれば、第1の実施例
と同様に吐出圧力Ppによる制御が優先されるので、通
常は応答性がよく速やかにエンジン回転数を上昇させる
ことができる。また例えば油圧ポンプ1の吐出圧力が低
いときに複数のアクチュエータを駆動する場合のよう
に、低圧にも拘らず要求流量が多いときには、上記傾転
角偏差Δθを用いる第2の補正回転数演算部93で流量
不足を判定でき、応答性は悪いながらも油圧ポンプ1の
吐出流量を要求量まで増加することが可能となる。
【0038】以上の実施例の構成において、傾転角演算
部91が演算手段を、第1および第2の補正回転数演算
部82,93,スイッチ84および加算部85〜87が
回転数補正手段100’をそれぞれ構成する。
【0039】なお以上では、燃料レバーの操作量に応じ
てエンジン回転数を制御する例を示したが、操作手段は
燃料レバーに限定されず、例えば走行ペダル操作量に応
じてエンジン回転数を制御するものにも本発明を適用で
きる。また油圧ショベル以外の油圧建設機械にも本発明
を同様に適用できる。さらに第2の実施例では、傾転角
センサ51にて検出された傾転θsから偏差Δθを演算
したが、このθsの代りに第3図のθL(LS目標傾転)
を用いてもよい。
【0040】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、ロードセンシ
ング制御を行うものにおいて、油圧ポンプの吐出圧力が
所定値以上のとき、およびこの吐出圧力が所定値未満で
あってもLS差圧が所定値以下のときには、操作手段の
操作に応じて設定された目標回転数よりも高い回転数を
目標回転数指令値とするようにしたので、制御時の応答
性を改善されるとともに、いかなる場合でも流量不足か
否かの判定を正確に行って回転数制御が的確に行うこと
ができる。請求項2の発明によれば、油圧ポンプの吐出
圧力が所定値以上のとき、およびこの吐出圧力が所定値
未満であっても油圧ポンプの押除け容積と最大可能押除
け容積との差が所定値以下のときには、上記目標回転数
よりも高い回転数を目標回転数指令値とするようにした
ので、上述と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係るエンジン制御回路部のブロ
ック図である。
【図2】油圧建設機械の駆動制御装置の全体構成を示す
図である。
【図3】図2の一部分を拡大して示す図である。
【図4】ポンプ制御回路部のブロック図である。
【図5】エンジン回転数制御の手順を示すフローチャー
トである。
【図6】第2の実施例に係るエンジン制御回路部のブロ
ック図である。
【符号の説明】
1 可変容量油圧ポンプ 2 走行用制御弁 4 走行用油圧モータ 6 パイロット弁 6a 走行ペダル 8 前後進切換弁 20 作業用制御弁 21 作業用シリンダ 27 エンジン(原動機) 28 パルスモータ 40 傾転制御装置 50 コントローラ 51 傾転角センサ 52 圧力センサ 53 回転数センサ 54 差圧センサ 55 ポテンショメ−タ 57 回転数設定装置 57a 燃料レバー 60 第1の制御回路部 61 LS制御部 62 トルク制御部 63 選択部 64 サ−ボ制御部 80,90 第2の制御回路部 81 目標回転数演算部 82 第1の補正回転数演算部 83,93 第2の補正回転数演算部 84 スイッチ 85〜87 加算部 88 サーボ制御部 91 傾転角演算部 92 加算部 100,100’ 回転数補正手段

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原動機によって駆動される可変容量油圧
    ポンプと、この油圧ポンプからの吐出油により駆動され
    る少なくとも1つの油圧アクチュエータと、前記油圧ア
    クチュエータに供給される圧油の流量を制御する制御弁
    と、前記油圧ポンプの吐出圧力と前記油圧アクチュエー
    タの負荷圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、前記
    検出された差圧に基づいて、前記油圧ポンプの吐出圧力
    を前記油圧アクチュエータの負荷圧力よりも一定の差圧
    だけ高く保持するよう前記油圧ポンプの押除け容積を制
    御するロードセンシング制御手段と、操作手段の操作に
    応じて前記原動機の目標回転数を設定する目標回転数設
    定手段と、前記油圧ポンプの吐出圧力を検出する吐出圧
    検出手段と、前記検出された吐出圧力に基づいて、不足
    流量を補うべく前記設定された目標回転数に補正を加え
    る回転数補正手段と、前記補正された目標回転数となる
    ように前記原動機を制御する原動機制御手段とを備えた
    油圧建設機械の駆動制御装置において、前記回転数補正
    手段は、前記検出された油圧ポンプの吐出圧力が所定値
    以上のとき、およびこの吐出圧力が所定値未満であって
    も前記検出された差圧が所定値以下のときには、前記目
    標回転数設定手段にて設定された目標回転数よりも高い
    目標回転数となるよう補正を加えることを特徴とする油
    圧建設機械の駆動制御装置。
  2. 【請求項2】 原動機によって駆動される可変容量油圧
    ポンプと、この油圧ポンプからの吐出油により駆動され
    る少なくとも1つの油圧アクチュエータと、前記油圧ア
    クチュエータに供給される圧油の流量を制御する制御弁
    と、操作手段の操作に応じて前記原動機の目標回転数を
    設定する目標回転数設定手段と、前記油圧ポンプの吐出
    圧力を検出する吐出圧検出手段と、前記検出された吐出
    圧力に基づいて、不足流量を補うべく前記設定された目
    標回転数に補正を加える回転数補正手段と、前記補正さ
    れた目標回転数となるように前記原動機を制御する原動
    機制御手段とを備えた油圧建設機械の駆動制御装置にお
    いて、前記油圧ポンプの吐出圧力に応じた最大押除け容
    積の制限値を演算する演算手段とを備え、前記回転数補
    正手段は、前記検出された油圧ポンプの吐出圧力が所定
    値以上のとき、およびこの吐出圧力が所定値未満であっ
    ても前記油圧ポンプの押除け容積と前記演算された最大
    押除け容積の制限値との偏差が所定値以下のときには、
    前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数より
    も高い目標回転数となるよう補正を加えることを特徴と
    する油圧建設機械の駆動制御装置。
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