JP2606928B2 - 高強度、高靭性、高精度部品用合金鋼粉、及びこれを用いた焼結合金鋼の製造方法 - Google Patents

高強度、高靭性、高精度部品用合金鋼粉、及びこれを用いた焼結合金鋼の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、鉄系粉末冶金技術の分野に属し、高強度、
高靭性、高精度部品用の合金鋼粉、およびこの合金鋼粉
を用いて熱処理時の寸法変化のばらつきの少ない焼結部
品を製造するための方法に関する。
〔従来の技術〕
近年、粉末冶金技術は大幅に進歩し、輸送機器、産業
機器への焼結部品の適用が進んできた。自動車用ギア等
は、それらの中でも高強度、高靭性、高精度が要求され
る部品である。これらの部品を粉末冶金によって製造す
る場合、高強度化を図るために合金元素を添加し、さら
に熱処理を施す必要がある。
特開昭62−146203に述べられているように、合金焼結
体に熱処理を施すことが試みられているが引張強さはた
かだか120kgf/mm2であり、それ以上の高強度の要求には
対処できない。
また、特開昭61−231102においてはNi、Moを増加さ
せ、また結合剤によってFe粉に合金元素及びCを結合さ
せ、高圧縮性を保ち高強度を狙うことが試みられている
が、この場合も引張り強さは最大でも120kgf/mm2であ
る。また、Ni、Moなどの合金成分の添加はマルテンサイ
ト変態(Ms)点を低下させる作用があり、焼入れ、焼戻
し等の熱処理を施した際にオーステナイトを生成させ、
寸法変化のばらつきを引き起こす可能性がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明者らは焼結体の高強度、高靭性を達成するため
の複合合金粉末及びその製造方法をさきに提示した(特
願昭63−137400)。
この方法においては、Ni量の低減に伴い、焼結体中の
オーステナイトの生成を抑制し、高強度、高靭性を達成
している。一方、高強度化のために、浸炭焼入れを施し
た場合、過浸炭によって寸法精度がばらつく問題があ
る。
本発明はこれにさらに熱処理時の寸法精度を向上させ
る改善を加え、高強度、高靭性かつ熱処理時の寸法精度
がすぐれた 焼結体用合金鋼粉、及び 焼結合金鋼の製造方法 を与えるものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは焼結体の高強度化、高靭性化、高精度化
について研究した結果、以下のことを見出し本発明を完
成した。つまり、 (1)Ni:0.5〜3.5重量%、 Mo:0.7〜3.5重量%、 C:0.3〜0.8重量%、 残部Feに合金鋼粉の化学組成を限定し、 (2)鋼粉に潤滑剤とバインダーとの共溶融物により黒
鉛粉を付着させ、焼結体中のC偏析を抑制し、 (3)焼入れ、焼戻し処理を施すこと で高強度、高靭性、かつ熱処理時の寸法変化のばらつき
の少ない焼結合金鋼が得られることがわかった。
化学組成を上記(1)のように限定することによっ
て、強度低下および熱処理時の寸法変化のばらつきの原
因となるオーステナイトが焼結体中に多量に発生するの
を防ぐ。
また、焼結体中のCの偏析は、焼入れ時における焼結
体中の不均一な変態を生じせしめ、寸法変化のばらつき
を増大させるので、黒鉛粉を鋼粉に付着することによっ
て、焼結体中のC偏析を抑制する。
さらに焼入れ、焼戻し処理は、焼結体の強靭化に必要
である。
〔作用〕
本発明の成分、及び熱処理条件等の限定理由は以下の
通りである。合金成分の含有量は機械的特性上の要求か
ら決定される。
Ni量は0.5〜3.5重量%とする。強度及び靭性の向上の
効果を得るためには0.5重量%以上の添加が必要であ
る。一方、3.5重量%を越えると焼結体中にオーステナ
イトが過剰に生成する。オーステナイトの過剰生成は熱
処理時の寸法変化のばらつきを増大し、また強度低下を
招く。
Mo量は0.7〜3.5重量%とする。Niと同様に高強度と高
靭性を達成させるために0.7重量%以上は必要であり、
3.5重量%を越えると、逆に焼結体の靭性を阻害する。
C量は、0.3〜0.8重量%とする。0.3重量%未満では
焼結体の強度向上に寄与しない。また0.8重量%を越え
ると著しく靭性を阻害する。
Ni、Moの添加方法については溶湯段階で合金化する予
合金法、または鉄粉にNi、Mo粒子を拡散接合する複合合
金法のどちらでも製造可能である。
次に、上記の鋼粉に黒鉛鉛を付着させる方法について
述べる。潤滑剤はステアリン酸亜鉛などの金属石鹸等通
常の粉末冶金に用いられるものでよく、バインダは、例
えば酢酸ビニル、エチルセルロース、メチルセルロー
ス、フェノール樹脂など熱可塑性のものでもよく、セル
ロース誘導体系、熱硬化型などいずれでもよい。この潤
滑剤とバインダーを上記鋼粉と黒鉛粉と同時又は段階的
に均一になるまで十分に混合する。均一に混合した状態
で90℃〜150℃に加熱して潤滑剤とバインダーの共溶融
物を生成し、黒鉛粉を鋼粉に固着する。加熱温度は90℃
以下では付着力が不足する。しかし、加熱温度を150℃
以上にしても付着力の向上はない。
粉末の成形は通常の粉末冶金と同様に成形圧力4〜10
t/cm2で行う。成形、焼結の回数は1回以上何回でもよ
いが高密度とすることにより一層の高強度、高靭性が得
られる。
本発明では、また上記焼結体に焼入れ、焼戻し処理を
施すことが必須である。焼入れ処理とは、鋼を所定温度
に加熱し、急冷する処理を示し、焼戻し処理とは、鋼を
所定温度に加熱し空冷あるいは徐冷する処理を示す。焼
入れ温度は加熱時に均一なオーステナイト組織とするた
め800℃以上が望ましく、また950℃を越えるとオーステ
ナイトが粗大化し靭性が低下するため950℃を上限温度
とする。
焼戻し温度は100℃未満では靭性が低く、250℃より高
いと、強度が低下するため、100〜250℃が好ましい。
〔実施例〕
実施例1 −80メッシュの水アトマイズFe粉に−325メッシュの
カーボニルNi粉と三酸化Mo(MoO3)とを所定の割合で混
合し、水素ガス雰囲気中にて、875℃で60分焼鈍し、解
砕して、Ni:1.76重量%、Mo:1.00重量%の複合合金鋼粉
を得た。
上記鋼粉に黒鉛粉0.6重量%、ステアリン酸亜鉛1.0重
量%、オレイン酸0.2重量%を混合し、温度120℃で10分
攪拌して、黒鉛粉を鋼粉表面に固着した。
次に上記鋼粉を超硬金型を用い、7t/cm2の圧力で成型
し、75%H2−25%N2ガス(乾)雰囲気中で850℃、30分
焼結した後、7t/cm2の圧力で再圧縮した。
さらに75%H2−25%N2ガス(乾)雰囲気中で1250℃、
60分再焼結を行い、得られた焼結体に850℃で60分加熱
後60℃の油中へ焼入れ、次に180℃の油中で60分保持し
て焼戻しを施し、引張試験、シャルピー衝撃試験を行っ
た。
また、外径60mm、内径25mm、高さ5.5mmのリングを10
枚成形し、各工程毎に、各リングについて互いに直角的
な2方向で外径(X、Y)を測定し、その各工程での変
化の差(ΔX−ΔY)の絶対値の標準偏差を求め、寸法
精度を評価した。第1表に、引張試験、シャルピー衝撃
値、焼結体密度、熱処理前後での寸法精度を示す。
また同表中には本実施例と同じ複合鋼粉を用い、黒鉛
粉0.6重量%、ステアリン酸亜鉛1.0重量%を混粉し、本
実施例と同じ条件で実験した結果を比較例として示す。
双方とも引張強度、シャルピー衝撃値、焼結体密度に
は明らかな差は認められないが、寸法精度がCを偏析防
止したものは0.012%であるが、 単純混粉すると、0.025%となり、Cを偏析防止処理す
ることによって寸法変化のばらつきがほぼ2分の1にな
る。
実施例2 −80メッシュの水アトマイズFe粉に−325メッシュの
カーボニルNi粉の添加量を変え、MoO3粉を一定量混合
し、実施例1と同じ方法でNi:0.31〜5.10重量%の複合
合金鋼粉を得た。
これらの鋼粉に黒鉛粉0.6重量%を実施例1と同じ方
法で固着し、その後に実施例1と同じ方法で熱処理焼結
体を製造し、引張強さ、シャルピー衝撃値、焼結体密
度、寸法精度を測定した。結果を第2表に示す。
Ni:0.31重量%のものは寸法変化のばらつきは少ない
が、強度、靭性が低い。
また、Niが3.82重量%以上のものは強度も多少低くな
り、寸法精度は顕著に低下することがわかる。
実施例3 ここでは添加するC量の影響を示す。
実施例1と同じ複合合金鋼粉に黒鉛粉0.3重量%、0.6
重量%、0.9重量%をそれぞれ実施例1と同じ方法で固
着した鋼粉と、黒鉛粉0.2重量%、0.4重量%、0.6重量
%、0.9重量%にステアリン酸亜鉛1.0重量%を単純混粉
した鋼粉を製造した。
これらの鋼粉を用い、実施例1と同じ方法で焼結体を
製造し、熱処理を施し、引張強度、シャルピー衝撃値、
焼結体密度、寸法精度を測定した。結果を第3表に示
す。
黒鉛添加量が0.3重量%、0.6重量%の場合、寸法変化
のばらつきは単純混粉に比べて偏析防止の処理したもの
のほうが顕著に小さい。
黒鉛添加量が0.9重量%の場合でも同様なことがわか
るが、強度、靭性ともに急激に低下している。また、0.
2重量%では強度が低い。
実施例4 ここでは添加するMo量の影響を示す。
−80メッシュの水アトマイズFe粉に−325メッシュの
カーボニルNi粉を一定量とMoO3粉を添加量を変えて混合
し、実施例1と同じ方法でNi:1.76重量%、Mo:0.50重量
%〜4.50重量%の複合合金鋼粉を得た。
これらの鋼粉に対して実施例2と同じ方法で黒鉛を添
加し、引張強度、シャルピー衝撃値、焼結体密度、寸法
変化のばらつきを測定した。結果を第4表に示す。Moが
0.5重量%のものは引張強さが142.2kgf/mm2と本請求範
囲内のものに比べて著しく低い。またMoが3.5重量%を
越えるものについては、シャルピー衝撃値が著しく低
く、靭性の急激な低下が見られる。また寸法精度も急激
に低下している。
実施例5 水アトマイズによって、Ni:1.94重量%、Mo:1.05重量
%の予合金鋼粉を製造し、水素ガス雰囲気中で還元処理
を行った後、−80メッシュで分級して上記組成の予合金
鋼粉を得た。
上記鋼粉について、実施例1と同様の実験を行い、単
純混合粉と黒鉛固着粉の諸特性を測定した。第5表に結
果を示す。
予合金鋼粉においても寸法精度のばらつきが単純混粉
では0.022%だが、黒鉛固着粉では0.010%となり、複合
合金鋼粉と同様の効果が得られた。
〔発明の効果〕 以上の結果により、本発明は極めて高い強度と靭性を
達成し、かつ熱処理時の寸法変化のばらつきが少ない焼
結合金鋼を与えるものであり、高強度、高靭性、高精度
が要求される自動車用機械部品などに有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高城 重彰 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合金成分として、 Ni:0.5重量%以上3.5重量%以下 Mo:0.7重量%以上3.5重量%以下 C:0.3重量%以上0.8重量%以下 を含み、残部は実質的にFeである合金鋼粉であって、前
    記Cが黒鉛粉の形で鋼粉粒子表面に潤滑剤とバインダー
    との共溶融物により固着されていることを特徴とする高
    強度、高靭性、高精度部品用合金鋼粉。
  2. 【請求項2】第1項記載の合金鋼粉を用い、1回以上の
    成形及び1回以上の焼結を施すことにより焼結合金鋼を
    製造し、さらにこの焼結合金鋼に焼入れ、焼き戻し処理
    を施すことを特徴とする高強度、高靭性、高精度部品用
    焼結合金鋼の製造方法。
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