JP2605655Y2 - 超音波診断装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は超音波診断装置に関し、
特に画像表示方法を改善した超音波診断装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】超音波を被検体に照射すると、生体組織
を媒体として超音波が伝達されるが、臓器等の組織や病
変部のような周囲の組織との音響インピーダンスの差の
ある所から反射されて、送波した超音波の一部が戻って
くる。この反射体が視線方向に運動又は移動する物体で
あった場合、その反射波の周波数はドプラ効果によって
送信周波数から偏移する。超音波ドプラ診断装置はこの
周波数偏位量を測定して移動物体の速度及び移動方向を
表示観察して診断の用に供する装置である。

【０００３】このドプラ診断装置において、移動物体の
移動方向を、例えば近付く場合に青、遠去かる場合に赤
のように色で表示し、その移動速度を輝度で表示するＣ
ＦＭ（Color Flow Mapping）モードを採用する装置があ
る。

【０００４】このＣＦＭモードを採用した超音波診断装
置では、Ｂモード画像上にＣＦＭ表示を行っていて、Ｃ
ＦＭのエリヤを移動する時、従来は装置がトラックボー
ル等の変化を検知すると同時にＣＦＭエリヤの移動のた
めの処理を行っていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ところで、ＣＦＭエリ
ヤの移動を行うための処理は時間がかかるため、特にエ
リヤを移動する画像上の距離が大きいような場合、最終
的に移動したい位置にエリヤを動かす間に数回ＣＦＭエ
リヤ移動のための計算処理を行い、その処理の間エリヤ
の移動ができず、従って、エリヤの移動に時間がかか
り、又エリヤ移動が滑らかに行われないといった問題点
があった。

【０００６】ズームに関してもズームエリヤの移動に付
随してそのための処理を行っており、ＣＦＭの場合と同
様の問題点があった。本考案は上記の点に鑑みてなされ
たもので、その目的は、ズームやＣＦＭで表示エリヤを
変える時の演算数の多いことによるズームやＣＦＭの位
置の移動の不円滑さを改善した超音波診断装置を実現す
ることである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記の課題を解決する本
考案は、超音波を送波するための送信信号を発生する送
信手段と、前記送信信号に基づいて被検体に超音波を送
波するとともに、前記被検体からの超音波を受波するプ
ローブと、前記プローブから出力される信号に基づいて
Ｂモード画像データを生成するＢモード画像データ生成
手段と、前記プローブから出力される信号に基づいて２
次元の血流画像データを生成する血流画像データ生成手
段と、移動させようとする血流画像領域又は画像拡大し
ようとする拡大画像領域を操作者が画像上の任意の方向
に移動指定する指定手段と、前記指定手段から出力され
る信号に基づいて、移動中の位置に逐次対応した前記血
流画像領域又は前記拡大画像領域を示すカーソル画像デ
ータを生成するカーソル画像データ生成手段と、前記Ｂ
モード画像データ生成手段からのＢモード画像データ、
前記血流画像データ生成手段からの血流画像データ及び
前記カーソル画像データ生成手段からのカーソル画像デ
ータを画像表示する表示手段と、前記カーソル画像デー
タが画像表示されたカーソルの移動量を常に検出し、該
移動量が０になったときに移動量０信号を出力するカー
ソル移動量検出手段と、前記カーソル移動量検出手段か
らの移動量０信号を受けたときに、そのときの前記カー
ソルの位置に対応した画像領域で、前記２次元の血流画
像データを生成するための又は前記画像拡大するための
送信指令を前記送信手段に供給する制御手段とを備えた
ことを特徴とする超音波診断装置である。

【０００８】

【作用】Ｂモード表示されたＣＲＴ上の画像上にカーソ
ルを表示させる。トラックボールを動かしてＣＰＵにカ
ーソル移動の情報を与えてカーソルを移動させる。カー
ソルが目標位置に近付き、その移動量が０になるとＣＰ
ＵはズームもしくはＣＦＭ移動の計算を行ってズーミン
グやＣＦＭ表示を行わせる。

【０００９】

【実施例】以下、図面を参照して本考案の実施例を詳細
に説明する。図１は本考案の一実施例の装置のブロック
図である。図において、１は高周波を発振し、ビームフ
ォーミングしてプローブ２から超音波を送波させるため
の送波回路、３はプローブ２が受波して電気信号に変換
した超音波反射波を増幅しビームフォーミングする受波
回路である。

【００１０】４は受波回路３の出力信号の不要な高周波
を除去するフィルタ，増幅器及び検波器等を含む受信信
号処理回路である。この出力信号はＤＳＣ５でフレーム
毎に格納され、テレビジョンモードの信号に変換されて
ＣＲＴ６に表示される。

【００１１】７は受信回路３の出力を受けてドプラ周波
数偏移信号を得るためのドプラ検波回路、８はドプラ検
波回路７からの信号を受けてＣＦＭ演算を行い、ＣＦＭ
データをＤＳＣ５に出力するＣＦＭデータ演算器であ
る。

【００１２】９はＣＲＴ６のイメージ表示、エリヤカー
ソル（以下、単にカーソルという）の表示及び移動の制
御を行い、送波回路１のズーム，ＣＦＭの送波部位の変
更制御、ＤＳＣ５に対するズーム，ＣＦＭ表示部位の変
更制御等を行うＣＰＵである。

【００１３】１０はズームエリヤやＣＦＭエリヤの移動
量の指令をＣＰＵ９に与えるトラックボールである。

【００１４】次に上記のように構成された実施例の動作
を説明するが、ここで、本実施例が行おうとする動作の
原理を説明しておく。トラックボール１０によりカーソ
ルを動かす度にズームエリヤやＣＦＭエリヤを動かす演
算を行うのは演算に時間がかかる。従って、トラックボ
ール１０によりカーソルを先ず移動させ、ＣＦＭ表示や
ズーミングをする位置に到達すると次の移動量が０にな
るので、ＣＰＵ９はカーソルの移動量を常に把握してお
き、移動量が０になったことを認識した時点で、ズーム
やＣＦＭの画表表示変更のための演算を行って、表示エ
リヤを変えるようにすることにより、演算回数を１回に
して演算時間の節減と表示エリヤの移動を滑らかにする
ものである。

【００１５】次に実施例の装置の動作を説明する。送波
回路１でビームフォーミングされた高周波パルスはプロ
ーブ２から送波され、反射波はプローブ２で受波されて
電気信号に変換され受波回路３に入力される。

【００１６】受波回路３で増幅されビームフォーミング
された受波信号は受信信号処理回路４で不要な高周波信
号や雑音が瀘波され、増幅され検波されてＤＳＣ５に入
力される。ＤＳＣ５では、入力されたデータをフレーム
毎に格納し、テレビジョンモードの信号に変換して、Ｃ
ＲＴ６に表示する。

【００１７】ドプラ検波回路７は受信回路３からの信号
から指定されたエリヤにおける血管中の血流等の移動物
質からの反射信号のドプラ偏移周波数を検出し、ＣＦＭ
データ演算器でＣＦＭデータを抽出する。

【００１８】ＣＰＵ９はカーソルを作りエリヤカーソル
表示信号を送ってＣＲＴ６に画像上に表示させるが、こ
のカーソル位置はトラックボール１０を動かして位置デ
ータを逐次ＣＰＵ９に入力することにより移動させる。

【００１９】このようにトラックボール１０を動かして
ＣＰＵ９にカーソルを移動させるが、ズーム又はＣＦＭ
位置の移動の計算は行わない。カーソルが目標位置に到
達すると、トラックボール１０を動かすことがなくな
り、カーソルの移動量は０になる。この時点でＣＰＵ９
はカーソルがズーム又はＣＦＭ位置に到達したことを知
り、ズーム又はＣＦＭ位置移動の計算を行って移動させ
る。

【００２０】図２は実施例の装置の動作のフローチャー
トである。 ステップ１ トラックボール１０を動かす。ＣＰＵ９はトラックボー
ル１０の移動量に応じて画面上のエリヤカーソルを移動
させる。

【００２１】ステップ２ ＣＰＵ９はトラックボール１０からの入力信号によるカ
ーソルの移動量を計算し、移動量が０になったかを調べ
る。０でなければ、ステップ１に戻る。０であればステ
ップ２に進む。

【００２２】ステップ３ ＣＰＵ９はカーソルの位置データに基づいてズーム又は
ＣＦＭエリヤを移動させる。

【００２３】図３はカーソルの移動とズームエリヤの移
動との関係を示す図である。図において、（Ａ）列はＢ
モード画像におけるカーソル２１とズーム表示における
目標点２２との関係を示す図、（Ｂ）列は（Ａ）列のＢ
モード画像をズームアップした図である。

【００２４】（イ）行は最初における画像の状態で、目
標点２２とカーソル２１が示されている。（ロ）行はト
ラックボール１０によってカーソル２１を動かして目標
点２２に合致させた状態を示している。カーソル２１が
目標点２２に到達しているが、（Ｂ）列（ロ）行のズー
ム画像は変化していない。

【００２５】（ハ）行は目標点２２に到達したカーソル
２１即ち、カーソル２１の移動量が０になったことから
目標点２２に到達したことを検知して、ズーム位置移動
の計算を行い、（Ｂ）列（ハ）行に示すズーム画像を得
る。

【００２６】尚、本考案は上記実施例に限るものではな
い。例えば、移動量が０になった途端にズーム又はＣＦ
Ｍエリヤ移動処理を行うのではなく、移動量０が複数回
検出された時点でエリヤ移動をさせるようにすることも
できる。これは、位置の確認をする余裕を設けるためで
ある。

【００２７】又、ＣＰＵ９がカーソルの移動量＝０を検
出した時にエリヤの移動処理を行うのではなく、画像を
目視で観察しながらカーソルが目標位置に来た時にキー
を押すことによりＣＰＵ９にズーム又はＣＦＭ位置の計
算を行わせるようにしてもよい。更に、入力装置１０を
トラックボールとしたが、マウスを用いることにしても
よい。

【００２８】

【考案の効果】以上詳細に説明したように本考案によれ
ば、ズームやＣＦＭで表示エリヤを変える時に演算回数
の多いことによる移動の不円滑さを改善することができ
て、実用上の効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の装置のブロック図である。

【図２】実施例の装置の動作のフローチャートである。

【図３】 カーソルの移動とズームエリヤの移動との関
係を示す図である。

【符号の説明】

３ 受波回路 ４ 受信信号処理回路 ５ ＤＳＣ ６ ＣＲＴ ７ ドプラ検波回路 ８ ＣＦＭデータ演算器 ９ ＣＰＵ １０ トラックボール

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−109550（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−142545（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−238237（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−185251（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−103248（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−105089（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】超音波を送波するための送信信号を発生す
   る送信手段と、 前記送信信号に基づいて被検体に超音波を送波するとと
   もに、前記被検体からの超音波を受波するプローブと、 前記プローブから出力される信号に基づいてＢモード画
   像データを生成するＢモード画像データ生成手段と、 前記プローブから出力される信号に基づいて２次元の血
   流画像データを生成する血流画像データ生成手段と、 移動させようとする血流画像領域又は画像拡大しようと
   する拡大画像領域を操作者が画像上の任意の方向に移動
   指定する指定手段と、前記指定手段から出力される信号に基づいて、移動中の
   位置に逐次対応した前記血流画像領域又は前記拡大画像
   領域を示すカーソル画像データを生成するカーソル画像
   データ生成手段と、 前記Ｂモード画像データ生成手段からのＢモード画像デ
   ータ、前記血流画像データ生成手段からの血流画像デー
   タ及び前記カーソル画像データ生成手段からのカーソル
   画像データを画像表示する表示手段と、 前記カーソル画像データが画像表示されたカーソルの移
   動量を常に検出し、該移動量が０になったときに移動量
   ０信号を出力するカーソル移動量検出手段と、 前記カーソル移動量検出手段からの移動量０信号を受け
   たときに、そのときの前記カーソルの 位置に対応した画
   像領域で、前記２次元の血流画像データを生成するため
   の又は前記画像拡大するための送信指令を前記送信手段
   に供給する制御手段とを備えたことを特徴とする超音波
   診断装置。