以下、図面を参照しながら、超音波プローブおよび超音波診断装置の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示されるように、超音波診断装置1は、装置本体10、及び超音波プローブ20を備える。装置本体10は、ネットワーク100を介して外部装置30と接続される。また、装置本体10は、表示機器40及び入力装置50と接続される。
超音波プローブ20は、例えば、装置本体10からの制御に従い、生体P内のスキャン領域について超音波スキャンを実行する。超音波プローブ20は、例えば、音響レンズ、複数の圧電振動子、圧電振動子に設けられる整合層、及び圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。本実施形態における超音波プローブ20は、例えば、穿刺ガイドアダプタを装着する切り欠き部分が設けられた穿刺用超音波プローブである。尚、以降では、「圧電振動子」を単に「素子」と称する。
また、本実施形態における超音波プローブ20は、第1の方向(スライス方向)に一つの中央素子および二つの端部素子を少なくとも有する第1の素子を、第1の方向に直交する第2の方向(スキャン方向)に複数配列する第1の素子群と、中央素子の長さの50%以上、第1の素子の長さ未満の長さである第2の素子を、第2の方向に複数配列する第2の素子群とを含む。または、上記第2の素子群は、二つの端部素子の各々の長さ以上、第1の素子の長さ未満の長さであってもよい。即ち、第1の素子群は、所謂1.5次元(Dimension:D)アレイ構造となっており、超音波プローブ20は、第2の方向の開口だけでなく第1の方向に関する開口も制御することができる。この1.5Dアレイ構造により、超音波プローブ20は、第1の方向の画像分解能を向上させることができる。
また、超音波プローブ20は、装置本体10と着脱自在に接続される。超音波プローブ20には、オフセット処理、及び超音波画像のフリーズ等の際に押下されるボタンが配置されてもよい。尚、超音波プローブ20の具体的な構成などについては後述される。
複数の素子は、装置本体10が有する超音波送信回路11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。これにより、超音波プローブ20から生体Pへ超音波が送信される。超音波プローブ20から生体Pへ超音波が送信されると、送信された超音波は、生体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として複数の素子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流又は心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。超音波プローブ20は、生体Pからの反射波信号を受信して電気信号に変換する。
なお、図1においては、撮影に用いられる超音波プローブ20と装置本体10との接続関係のみを例示している。しかしながら、装置本体10には、複数の超音波プローブを接続することが可能である。接続された複数の超音波プローブのうちいずれを撮影に使用するかは、切り替え操作によって任意に選択することができる。
図1に示される装置本体10は、超音波プローブ20により受信された反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、図1に示されるように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、内部記憶回路13、画像メモリ14(シネメモリ)、入力インタフェース15、通信インタフェース16、及び処理回路17を有する。
超音波送信回路11は、超音波プローブ20に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路11は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ20から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な素子毎の遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ20に設けられる複数の超音波振動子へ駆動信号(駆動パルス)を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、素子面からの送信方向が任意に調整可能となる。
超音波受信回路12は、超音波プローブ20が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成するプロセッサである。超音波受信回路12は、例えば、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、及び加算器等により実現される。アンプ回路は、超音波プローブ20が受信した反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算する。加算器の加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。
内部記憶回路13は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。内部記憶回路13は、超音波送受信を実現するためのプログラム、及び穿刺を支援するためのプログラム等を記憶している。また、内部記憶回路13は、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送信条件、受信条件、信号処理条件、画像生成条件、画像処理条件、ボディマーク生成プログラム、表示条件、及び映像化に用いるカラーデータの範囲を診断部位毎に予め設定する変換テーブル等の各種データを記憶している。なお、上記プログラム、及び各種データは、例えば、内部記憶回路13に予め記憶されていてもよい。また、例えば、非一過性の記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性の記憶媒体から読み出されて内部記憶回路13にインストールされてもよい。
また、内部記憶回路13は、入力インタフェース15を介して入力される記憶操作に従い、処理回路17で発生される2次元Bモード画像データ、及び2次元ドプラ画像データ等を記憶する。内部記憶回路13は、記憶しているデータを、通信インタフェース16を介して外部装置30へ転送することも可能である。
なお、内部記憶回路13は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。内部記憶回路13は、記憶しているデータを可搬性記憶媒体へ書き込み、可搬性記憶媒体を介してデータを外部装置30に記憶させることも可能である。
画像メモリ14は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。画像メモリ14は、入力インタフェース15を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを保存する。画像メモリ14に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)される。
内部記憶回路13及び画像メモリ14は、必ずしもそれぞれが独立した記憶装置により実現される訳ではない。内部記憶回路13及び画像メモリ14は単一の記憶装置により実現されても構わない。また、内部記憶回路13及び画像メモリ14は、それぞれが複数の記憶装置により実現されても構わない。
入力インタフェース15は、入力装置50を介し、操作者からの各種指示を受け付ける。入力装置50は、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、トラックボール、ロータリーエンコーダ、操作パネル、及びタッチコマンドスクリーン(Touch Command Screen:TCS)である。入力インタフェース15は、例えばバスを介して処理回路17に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を処理回路17へ出力する。なお、本実施形態において入力インタフェース15は、マウス及びキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路17へ出力する回路も入力インタフェース15の例に含まれる。
通信インタフェース16は、ネットワーク100等を介して外部装置30と接続され、外部装置30との間でデータ通信を行う。外部装置30は、例えば、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステム等のデータベースである。なお、外部装置30との通信の規格は、如何なる規格であってもよいが、例えば、DICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)が挙げられる。
処理回路17は、例えば、超音波診断装置1の中枢として機能するプロセッサである。処理回路17は、内部記憶回路13に記憶されているプログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。処理回路17は、例えば、Bモード処理機能171、ドプラ処理機能172、画像生成機能173、画像処理機能174、開口制御機能175、遅延制御機能176、表示制御機能177、及びシステム制御機能178を有する。
Bモード処理機能171は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、Bモードデータを生成する機能である。具体的には、Bモード処理機能171において処理回路17は、例えば、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、及び対数増幅処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元的な超音波走査線(ラスタ)上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
ドプラ処理機能172は、超音波受信回路12から受け取った受信信号を周波数解析することで、スキャン領域に設定される関心領域(Region Of Interest:ROI)内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する機能である。具体的には、ドプラ処理機能172において処理回路17は、例えば、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値、平均パワー値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流、心壁等の組織、及び造影剤等である。本実施形態では、処理回路17は、血流の運動情報(血流情報)として、血流の平均速度、血流の平均分散値、血流の平均パワー値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。生成されたドプラデータは、2次元的な超音波走査線上のドプラRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
処理回路17は、ドプラ処理機能172を用い、カラーフローマッピング(Color Flow Mapping:CFM)法と称されるカラードプラ法を実行可能である。CFM法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行なわれる。ドプラ処理機能172において処理回路17は、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、静止している組織、又は動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制し、血流に由来する信号を抽出する。そして、処理回路17は、抽出した血流信号から血流の速度、血流の分散、血流のパワー等の血流情報を推定する。
画像生成機能173は、Bモード処理機能171、及びドプラ処理機能172により生成されたデータに基づき、画像データを生成する機能である。例えば、画像生成機能173において処理回路17は、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の画像データを生成する。具体的には、処理回路17は、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに対してRAW-ピクセル変換、例えば、超音波プローブ20による超音波の走査形態に応じた座標変換を実行することで、ピクセルから構成される2次元Bモード画像データを生成する。
また、処理回路17は、RAWデータメモリに記憶されたドプラRAWデータに対してRAW-ピクセル変換を実行することで、血流情報が映像化された2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又はこれらを組み合わせた画像データを含む。
また、処理回路17は、生成した2次元Bモード画像データ、及び2次元ドプラ画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、及びボディマーク等を合成しても構わない。
画像処理機能174は、2次元Bモード画像データ、及び2次元ドプラ画像データに対し、所定の画像処理を施す機能である。具体的には、画像処理機能174において処理回路17は、例えば、画像生成機能173により生成された2次元Bモード画像データ、又は2次元ドプラ画像データにおける複数の画像フレームを用いて輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を実施する。
開口制御機能175は、超音波送受信に関する素子の開口を制御する開口制御を実行する機能である。具体的には、開口制御機能175において処理回路17は、例えば、送信超音波を発生させる際に用いる複数の素子の数(同時駆動素子数)および実際に駆動させる複数の素子を設定することにより、超音波送信回路11の駆動信号を制御する。また、処理回路17は、例えば、送信超音波を発生させる際に用いた複数の素子に対応する複数の素子で反射波信号を受信するように、超音波受信回路12を制御する。
開口制御は、例えば、開口位置の制御および開口幅の制御などを含む。開口位置の制御では、例えば、X軸方向において、開口中心の位置が制御される。開口面積の制御では、例えば、X軸方向およびY軸方向において、同時駆動素子数が制御される。換言すれば、遅延制御では、例えば、ある素子群と、他の素子群とを同期させて開口面積を制御する。
遅延制御機能176は、超音波送受信に関する素子の遅延時間を制御する遅延制御を実行する機能である。具体的には、遅延制御機能176において処理回路17は、例えば、送信超音波を発生させる際に用いる複数の素子に基づいて、複数の素子毎の遅延時間を設定し、超音波送信回路11の駆動信号を制御する。また、処理回路17は、例えば、送信超音波を発生させる際に設定された複数の素子毎の遅延時間と同じ遅延時間を上記受信信号に適用するように、超音波受信回路12を制御する。
遅延制御では、例えば、ある素子群と他の素子群とを同期させて遅延時間が制御される。また、遅延制御では、例えば、ある素子群と他の素子群とのそれぞれにおいて、それぞれの素子群の素子の中心位置を基準として遅延時間が制御されてもよい。また、遅延制御では、例えば、ある素子群の素子の中心位置を基準として、ある素子群と他の素子群との両方の遅延時間が制御されてもよい。尚、素子の中心位置とは、Y軸方向の素子の中心を示す。
概説すると、処理回路17は、開口制御機能175および遅延制御機能176により、複数の素子群を制御し、送信ビームおよび受信ビームを形成する。尚、開口制御機能175および遅延制御機能176を実現する処理回路17は、制御部と呼ばれてもよい。
表示制御機能177は、画像処理機能174で生成・処理された2次元Bモード画像データ、及び2次元ドプラ画像データの表示機器40における表示を制御する機能である。具体的には、表示制御機能177において処理回路17は、例えば、2次元Bモード画像データに、ドプラデータを収集するためのROIを表す表示を合成する。処理回路17は、入力装置50から入力される操作者からの指示に従い、2次元Bモード画像データにおける対応する部位に、2次元ドプラ画像データを合成する。このとき、処理回路17は、操作者からの指示に従い、合成する2次元ドプラ画像データの不透明度を調整するようにしてもよい。
また、処理回路17は、2次元ドプラ画像データが合成された2次元Bモード画像データに、計測ライン、及び計測値を合成する。計測ラインは、スキャン領域の中央部分に位置する走査線において、超音波プローブ20の表面から血管中心までの線を表す。計測値は、計測ラインにおける、超音波プローブ20の表面から血管中心までの距離を表す。なお、処理回路17は、2次元Bモード画像データに、計測ライン、及び計測値を合成してもよい。
また、処理回路17は、2次元Bモード画像データ、又は2次元ドプラ画像データが合成された2次元Bモード画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、及びRGB変換等の各種処理を実行することで、画像データをビデオ信号に変換する。処理回路17は、ビデオ信号を表示機器40に表示させる。なお、処理回路17は、操作者が入力装置50により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(Graphical User Interface:GUI)を生成し、GUIを表示機器40に表示させてもよい。表示機器40としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
システム制御機能178は、超音波診断装置1の処理全体を制御する機能である。具体的には、システム制御機能178において処理回路17は、入力装置50を介して操作者から入力された各種設定要求、並びに、内部記憶回路13から読み出した各種制御プログラム、及び各種データに基づき、超音波送信回路11、超音波受信回路12、及び処理回路17の機能を制御する。
例えば、処理回路17は、超音波送信回路11、及び超音波受信回路12を制御することで、超音波プローブ20に超音波スキャンを実行させる。具体的には、処理回路17は、例えば、CFM法を実行するため、操作者からの指示に基づき、ドプラデータを収集するためのROIを設定する。処理回路17は、超音波送信回路11、及び超音波受信回路12を制御することで、ROIにおけるドプラデータを収集するための超音波スキャンを超音波プローブ20に実行させる。また、処理回路17は、超音波送信回路11、及び超音波受信回路12を制御することで、ROI以外の領域におけるBモードデータを収集するための超音波スキャンを超音波プローブ20に実行させる。
次に、以上のように構成された超音波診断装置1によって用いられる超音波プローブ20について具体的に説明する。
図2は、第1の実施形態に係る超音波プローブの外観を例示する図である。図2に示されるように、超音波プローブ20は、コンベックス型の穿刺用超音波プローブに相当する。超音波プローブ20のヘッドには、接触面201が設けられている。接触面201は、生体Pの体表面に接触する面である。超音波プローブ20のヘッドの端部には、切り欠き部分が設けられている。同様に、接触面201の端部にも、切り欠き部分が設けられている。
超音波プローブ20には、当該切り欠き部分に対して穿刺針の刺入をガイドするための穿刺ガイドアダプタ21が装着される。穿刺ガイドアダプタ21が装着された超音波プローブ20を用いることによって、医師は、超音波画像を確認しながら、被検体Pの体内における適切な部位に穿刺針を刺入することができる。
なお、以降では、スキャン方向であるアジマス方向にX軸を設定し、スライス方向であるエレベーション方向にY軸を設定し、超音波を放射する音響放射方向にZ軸を設定するものとする。また、切り欠き部分に対して穿刺ガイドアダプタが装着されることから、切り欠き部分は穿刺溝と呼ばれてもよい。
図3は、図2の超音波プローブの接触面を音響放射方向から見た模式図である。図3に示される接触面201は、本来であれば、Z軸方向に凸形状を有するが、説明の便宜上、X軸方向に平坦な面であるものとして説明する。このことは以降でも同様である。
接触面201は、超音波が放射される面である。接触面201には、X軸方向の端部に穿刺溝202が設けられている。接触面201のX軸方向において、穿刺溝202が設けられていない範囲を第1の範囲201aと定義し、穿刺溝202が設けられている範囲を第2の範囲201bと定義する。
接触面201に対して平行な面には、複数の素子が配列されている。具体的には、複数の素子は、当該素子のY軸方向を長軸として、X軸方向に沿って配置される。ここで、複数の素子が配列されている面は、接触面201の面積と略同様の面積を有するものとする。よって、穿刺溝202の有無により、第1の範囲201aに配列されている複数の素子と、第2の範囲201bに配列されている複数の素子とは、Y軸方向の長さが互いに異なっている。具体的には、第2の範囲201bに配列される複数の素子の長さは、第1の範囲201aに配列される複数の素子の長さよりも短くなっている。
次に、素子の具体的な配列について、接触面201の穿刺溝202が設けられている部分を含む領域である部分領域210について説明する。
図4は、図3の接触面の穿刺溝を含む部分領域に配置される複数の素子を例示する模式図である。図4に示すように、X軸方向について、第1の範囲201aには、複数の第1の素子211が配列され、第2の範囲201bには、複数の第2の素子212が配列される。第1の素子211は、Y軸方向において、端部素子211a、中央素子211bおよび端部素子211cの三つに分割されている。尚、図4において、X軸方向に配列される素子の数は、図示されている数に限らない。
図5は、図4の複数の素子のそれぞれの長さを説明するための模式図である。以降では、素子の長さは、Y軸方向の長さであるものとする。図5に示すように、第1の素子211の長さはL1であり、第2の素子212の長さは、L1よりも短いL2である。端部素子211aの長さはL1aであり、中央素子211bの長さはL1bであり、端部素子211cの長さはL1cである。
端部素子211aと中央素子211bとの間には、例えば、素子を分割した際にできた間隙として、d1の隔たりがある。同様に、中央素子211bと端部素子211cとの間には、d2の隔たりがある。よって、第1の素子211の長さ(L1)は、L1aと、d1と、L1bと、d2と、L1cとの合計である。
本実施形態では、第2の素子212の長さ(L2)は、中央素子211bの長さ(L1b)の50%以上であり、第2の素子212の長さ(L2)は、第1の素子211の長さ(L1)未満の長さである。この場合、第2の素子212の長さ(L2)は、端部素子211aの長さ(L1a)および端部素子211cの長さ(L1c)以上でもよく、第2の素子212の長さ(L2)は、中央素子211bの長さ(L1b)以下でもよい。
または、本実施形態では、第2の素子212の長さ(L2)は、端部素子211aの長さ(L1a)および端部素子211cの長さ(L1c)以上であり、第2の素子212の長さ(L2)は、第1の素子211の長さ(L1)未満の長さである。この場合、第2の素子212の長さ(L2)は、中央素子211bの長さ(L1b)以下でもよい。
なお、本実施形態では、端部素子211aの長さ(L1a)および端部素子211cの長さ(L1c)は、略同じであるものとする。
図6は、図4の複数の素子の制御を説明するための模式図である。複数の素子の制御には、上述したように、開口制御および遅延制御などがある。以降では、このような制御について、同じ長さの素子をグルーピングした素子群単位で説明する。素子群とは、例えば、図6に示すように、複数の端部素子211aをグルーピングした端部素子群221、複数の中央素子211bをグルーピングした中央素子群222、複数の端部素子211cをグルーピングした端部素子群223、および、複数の第2の素子212をグルーピングした第2の素子群224である。
処理回路17は、開口制御機能175により、中央素子群222と、第2の素子群224とを同期させて開口面積を制御してもよい。
処理回路17は、遅延制御機能176により、端部素子群223と第2の素子群224とを同期させて遅延時間を制御してもよい。処理回路17は、遅延制御機能176により、端部素子群223においては端部素子211cの中心位置を基準として遅延時間を制御し、第2の素子群224においては第2の素子212の中心位置を基準として遅延時間を制御してもよい。処理回路17は、遅延制御機能176により、端部素子群223および第2の素子群224において、端部素子211cの中心位置を基準としてそれぞれの遅延時間を制御してもよい。処理回路17は、遅延制御機能176により、中央素子群222と第2の素子群224とを同期させて遅延時間を制御してもよい。
よって、処理回路17は、複数の素子群を様々に制御することによって、送信ビームおよび受信ビームを形成することができる。
以上説明したように、第1の実施形態に係る超音波プローブは、第1の方向に一つの中央素子および二つの端部素子を少なくとも有する第1の素子を、第1の方向に直交する第2の方向に複数配列する第1の素子群と、中央素子の長さの50%以上、第1の素子の長さ未満の長さである第2の素子を、第2の方向に複数配列する第2の素子群とを含む。
または、第1の実施形態に係る超音波プローブは、第1の方向に一つの中央素子および二つの端部素子を少なくとも有する第1の素子を、第1の方向に直交する第2の方向に複数配列する第1の素子群と、二つの端部素子の各々の長さ以上、第1の素子の長さ未満の長さである第2の素子を、第2の方向に複数配列する第2の素子群とを含む。
従来の超音波プローブは、切り欠き素子および通常部素子における送受信感度の差が大きかった。送受信感度の差は、輝度値の差に相関し、特に、穿刺針が挿入される領域が相対的に暗くなることから、当該領域における死角領域が大きかった。しかし、上記のように、1.5Dアレイ構造を有する穿刺用超音波プローブを用い、さらに、第2の素子、中央素子および端部素子のそれぞれの長が設定されることにより、中央素子および第2の素子における送受信感度の差が小さくできる。よって、本超音波プローブを用いて取得された超音波画像は、表示画像中の輝度差を小さくすることができるため、上記死角領域も小さくすることができる。また、本超音波プローブは、浅部から深部まで均一な音場が形成でき、画質分解能の向上および穿刺針の視認性向上を実現することができる。
また、上記超音波プローブを有する超音波診断装置は、複数の素子群を様々に制御することによって、送信ビームおよび受信ビームを形成することができ、従来の穿刺用超音波プローブで取得された超音波画像に比べて、輝度差の少ない超音波画像を生成することができる。
第1の実施形態に係る超音波プローブでは、エレベーション方向の送受信音場の広がりを抑えられるため、第1の実施形態に係る超音波プローブにより取得される超音波画像は、従来の穿刺用超音波プローブにより取得される超音波画像に比べて、例えばコントラスト分解能などの画質が向上する。
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係る超音波プローブは、プローブのヘッドの端部に穿刺溝が設けられていた。他方、第2の実施形態に係る超音波プローブは、プローブのヘッドの端部と中央との間に穿刺溝が設けられる。
図7は、第2の実施形態に係る超音波プローブの外観を例示する図である。図7に示されるように、超音波プローブ20Aは、リニア型の穿刺用超音波プローブに相当する。超音波プローブ20Aのヘッドには、接触面301が設けられている。接触面301は、生体Pの体表面に接触する面である。超音波プローブ20Aのヘッドの端部と中央との間には、穿刺溝が設けられている。同様に、接触面301の端部と中央との間にも、穿刺溝が設けられている。
超音波プローブ20Aには、当該穿刺溝に対して穿刺針の刺入をガイドするための穿刺ガイドアダプタ21Aが装着される。穿刺ガイドアダプタ21Aが装着された超音波プローブ20Aを用いることによって、医師は、超音波画像を確認しながら、被検体Pの体内における適切な部位に穿刺針を刺入することができる。
図8は、図7の超音波プローブの接触面を音響放射方向から見た模式図である。図8に示される接触面301は、超音波が放射される面である。接触面301には、X軸方向の端部と中央との間に穿刺溝302が設けられている。接触面301のX軸方向において、穿刺溝302が設けられていない範囲を第1の範囲301aおよび第3の範囲301cと定義し、穿刺溝302が設けられている範囲を第2の範囲301bと定義する。
接触面301に対して並行な面には、複数の素子が配列されている。具体的には、複数の素子は、当該素子のY軸方向を長軸として、X軸方向に沿って短冊状に配置される。ここで、複数の素子が配列されている面は、接触面301の面積と略同様の面積を有するものとする。よって、穿刺溝302の有無により、第1の範囲301aおよび第3の範囲301cに配列されている複数の素子と、第2の範囲301bに配列されている複数の素子とは、Y軸方向の長さが互いに異なっている。具体的には、第2の範囲301bに配列されている複数の素子の長さは、第1の範囲301aおよび第3の範囲301cに配列されている複数の素子の長さよりも短くなっている。
次に、素子の具体的な配列について、接触面301の穿刺溝302が設けられている部分を含む領域である部分領域310について説明する。
図9は、図8の接触面の穿刺溝を含む部分領域に配置される複数の素子を例示する模式図である。図9に示すように、X軸方向について、第1の範囲301aには、複数の第1の素子311が配列され、第2の範囲301bには、複数の第2の素子312が配列され、第3の範囲301cには、複数の第3の素子313が配列される。第1の素子311は、Y軸方向において、端部素子311a、中央素子311bおよび端部素子311cの三つに分割されている。第3の素子313は、Y軸方向において、端部素子313a、中央素子313bおよび端部素子313cの三つに分割されている。尚、図9において、X軸方向に配列される素子の数は、図示されている数に限らない。また、第1の素子311および第3の素子313は、同様の素子であるため、以降では、第1の素子311について述べる。
第1の素子311は、図4の第1の素子211および図5の素子の長さの条件と略同様である。第2の素子312は、図4の第2の素子212および図5の素子の長さの条件と略同様である。即ち、本実施形態では、第2の素子312の長さは、中央素子311bの長さの50%以上である。また、第2の素子312の長さは、端部素子311aの長さおよび端部素子311cの長さより長くてもよい。典型的には、端部素子311aの長さおよび端部素子311cの長さは、略同じである。また、中央素子311bの長さは、端部素子311aの長さおよび端部素子311cの長さより長い。
図10は、図9の複数の素子の制御を説明するための模式図である。図10において、端部素子群321、中央素子群322、端部素子群323、第2の素子群324、端部素子群325、中央素子群326および端部素子群327が示される。尚、端部素子群321および端部素子群325は、それぞれ同じX軸方向に位置しているため、処理回路17は、同様の制御を行う。また、中央素子群322および中央素子群326は、それぞれ同じX軸方向に位置しているため、処理回路17は、それぞれ同様の制御を行う。また、端部素子群325および端部素子群327は、それぞれ同じX軸方向に位置しているため、処理回路17は、それぞれ同様の制御を行う。
本実施形態において、処理回路17での具体的な制御は、第1の実施形態において説明した制御と同様である。即ち、本実施形態では、端部素子群321を端部素子群221に読み替え、中央素子群322を中央素子群222に読み替え、端部素子群323を端部素子群223に読み替え、第2の素子群324を第2の素子群224に読み替えることで、前述と同様の制御を行うことができる。
以上説明したように、第2の実施形態に係る超音波プローブは、第1の実施形態に係る超音波プローブと同様に、本超音波プローブを用いて取得された超音波画像における輝度差を改善することができる。
また、上記超音波プローブを有する超音波診断装置は、輝度差の少ない超音波画像を生成することができる。
(第1の応用例)
第1の実施形態に係る超音波プローブは、第2の素子として、Y軸方向に分割していない単一の素子を有していた。他方、本実施形態の第1の応用例に係る超音波プローブは、Y軸方向において、二つに分割されている第2の素子を有する。
図11は、第1の応用例に係る、図3の接触面の穿刺溝を含む部分領域に配置される複数の素子を例示する模式図である。図11に示すように、X軸方向について、第1の範囲201aには、複数の第1の素子411が配列され、第2の範囲201bには、複数の第2の素子412が配列される。第1の素子411は、Y軸方向において、端部素子411a、中央素子411bおよび端部素子411cの三つに分割されている。第2の素子412は、Y軸方向において、穿刺溝側素子412aおよび端部素子412bの二つに分割されている。尚、図11において、X軸方向に配列される素子の数は、図示されている数に限らない。
図12は、図11の複数の素子のそれぞれの長さを説明するための模式図である。図12に示すように、第1の素子411の長さはL1であり、第2の素子412の長さは、L1よりも短いL2である。端部素子411aの長さはL1aであり、中央素子411bの長さはL1bであり、端部素子411cの長さはL1cである。穿刺溝側素子412aの長さはL2aであり、端部素子412bの長さはL2bである。尚、第1の素子411は、図5の第1の素子211と略同様であるため、説明を省略する。
穿刺溝側素子412aと端部素子412bとの間には、例えば、素子を分割した際にできた間隙として、d2の隔たりがある。よって、第2の素子412の長さ(L2)は、L2aと、d2と、L2bとの合計である。
第1の応用例では、第2の素子412の長さ(L2)は、中央素子411bの長さ(L1b)の50%以上であり、第2の素子412の長さ(L2)は、第1の素子411の長さ(L1)未満の長さである。この場合、第2の素子412の長さ(L2)は、端部素子411aの長さ(L1a)および端部素子411cの長さ(L1c)以上でもよく、第2の素子412の長さ(L2)は、中央素子411bの長さ(L1b)以下でもよい。また、第2の素子412は、二つの部分素子にそれぞれ相当する穿刺溝側素子412aおよび端部素子412bを含み、端部素子412bの長さ(L2b)は、隣接した端部素子411cの長さ(L1c)と略同じである。
または、第1の応用例では、第2の素子412の長さ(L2)は、端部素子411aの長さ(L1a)および端部素子411cの長さ(L1c)以上であり、第2の素子412の長さ(L2)は、第1の素子411の長さ(L1)未満の長さである。この場合、第2の素子412の長さ(L2)は、中央素子411bの長さ(L1b)以下でもよい。また、第2の素子412は、二つの部分素子にそれぞれ相当する穿刺溝側素子412aおよび端部素子412bを含み、端部素子412bの長さ(L2b)は、隣接した端部素子411cの長さ(L1c)と略同じである。
なお、第1の応用例では、端部素子411aの長さ(L1a)および端部素子411cの長さ(L1c)は、略同じであるものとする。
図13は、図11の複数の素子の制御を説明するための模式図である。図13において、端部素子群421、中央素子群422、端部素子群423、穿刺溝側素子群424および端部素子群425が示される。第1の応用例において、穿刺溝側素子群424および端部素子群425は、それぞれ同時に制御される。即ち、第1の応用例では、穿刺溝側素子群424および端部素子群425を第2の素子群224に読み替えることで、前述と同様の制御を行うことができる。このことから、穿刺溝側素子群424および端部素子群425は、機械的に分割されているが、電気的には分割されていないと解してもよい。さらに、第1の応用例では、端部素子群421を端部素子群221に読み替え、中央素子群422を中央素子群222に読み替え、端部素子群423を端部素子群223に読み替えることで、前述と同様の制御を行うことができる。
以上説明したように、第1の応用例に係る超音波プローブは、第1の実施形態に係る超音波プローブの構成において、第2の素子が第1の方向に少なくとも二つの部分素子を有する。そして、二つの部分素子の内の一方の部分素子と、部分素子に隣接した端部素子とは、それぞれ等しい長さである。
よって、第1の応用例に係る超音波プローブは、第1の実施形態に係る超音波プローブと同様に、本超音波プローブを用いて取得された超音波画像における輝度差を改善することができる。
また、上記超音波プローブを有する超音波診断装置は、輝度差の少ない超音波画像を生成することができる。
第2の応用例に係る超音波プローブは、第2の素子を穿刺溝側素子と端部素子との二つに分けている。そして第2の素子に属する端部素子は、第1の素子に属する端部素子と長さが略等しくなっている。例えば図13において、X軸に沿った直線上に、穿刺溝側素子群424および端部素子群425の境界と、中央素子群422および端部素子群423との境界とが位置する。これにより、素子の製造プロセスを容易にすることができる。
(第2の応用例)
第1の実施形態に係る超音波プローブは、三つに分割された第1の素子を有していた。他方、第1の実施形態の第2の応用例に係る超音波プローブは、Y軸方向において、五つに分割されている第1の素子を有する。
図14は、第2の応用例に係る、図3の接触面の穿刺溝を含む部分領域に配置される複数に素子を例示する模式図である。図14に示すように、X軸方向について、第1の範囲201aには、複数の第1の素子511が配列され、第2の範囲201bには、複数の第2の素子512が配列される。第1の素子511は、Y軸方向において、端部素子511a、中間素子511b、中央素子511c、中間素子511dおよび端部素子511eの五つに分割されている。尚、図14において、X軸方向に配列される素子の数は、図示されている数に限らない。
図15は、図14の複数の素子のそれぞれの長さを説明するための模式図である。図15に示すように、第1の素子511の長さはL1であり、第2の素子512の長さは、L1よりも短いL2である。端部素子511aの長さはL11aであり、中間素子511bの長さはL11bであり、中央素子511cの長さはL11cであり、中間素子511dの長さはL11dであり、端部素子511eの長さはL11eである。尚、第2の素子512は、図5の第2の素子212と略同様であるため、説明を省略する。
端部素子511aと中間素子511bとの間には、例えば、素子を分割した際にできた間隙として、d11の隔たりがある。同様に、中間素子511bと中央素子511cとの間には、d12の隔たりがあり、中央素子511cと中間素子511dとの間には、d13の隔たりがあり、中間素子511dと端部素子511eとの間には、d14の隔たりがある。よって、第1の素子511の長さ(L1)は、L11aと、d11と、L11bと、d12と、L11cと、d13と、L11dと、d14と、L11eとの合計である。
第2の応用例では、第2の素子512の長さ(L2)は、中央素子511cの長さ(L11c)の50%以上であり、第2の素子512の長さ(L2)は、第1の素子511の長さ(L1)未満の長さである。この場合、第2の素子512の長さ(L2)は、二つの部分素子にそれぞれ相当する中間素子511dおよび端部素子511eを含んだ長さ(L11dと、d14と、L11eとの合計)または二つの部分素子にそれぞれ相当する端部素子511aおよび中間素子511bを含んだ長さ(L11aと、d11と、L11bとの合計)以上でもよく、第2の素子512の長さ(L2)は、中央素子511cの長さ(L11c)以下でもよい。
または、第2の応用例では、第2の素子512の長さ(L2)は、二つの部分素子にそれぞれ相当する中間素子511dおよび端部素子511eを含んだ長さ(L11dと、d14と、L11eとの合計)または二つの部分素子にそれぞれ相当する端部素子511aおよび中間素子511bを含んだ長さ(L11aと、d11と、L11bとの合計)以上であり、第2の素子512の長さ(L2)は、第1の素子511の長さ(L1)未満の長さである。この場合、第2の素子512の長さ(L2)は、中央素子511cの長さ(L11c)以下でもよい。
なお、端部素子511aの長さ(L11a)および端部素子511eの長さ(L11e)は、略同じであり、中間素子511bの長さ(L11b)および中間素子511dの長さ(L11d)は、略同じであるものとする。また、中間素子511dおよび端部素子511eを合わせて「端部素子」と呼ばれてもよく、端部素子511aおよび中間素子511bを合わせて「端部素子」と呼ばれてもよい。
図16は、図14の複数の素子の制御を説明するための模式図である。図16において、端部素子群521、中間素子群522、中央素子群523、中間素子群524、端部素子群525および第2の素子群526が示される。
処理回路17は、開口制御機能175により、中央素子群523と、第2の素子群526とを同期させて開口面積を制御してもよい。処理回路17は、開口制御機能175により、中間素子群522、中央素子群523および中間素子群524と、第2の素子群526とを同期させて開口面積を制御してもよい。
処理回路17は、遅延制御機能176により、中間素子群524と第2の素子群526とを同期させて遅延時間を制御してもよい。処理回路17は、遅延制御機能176により、端部素子群525と第2の素子群526とを同期させて遅延時間を制御してもよい。処理回路17は、遅延制御機能176により、中間素子群524においては中間素子511dの中心位置を基準として遅延時間を制御し、第2の素子群526においては第2の素子512の中心位置を基準として遅延時間を制御してもよい。処理回路17は、遅延制御機能176により、端部素子群525においては端部素子511eの中心位置を基準として遅延時間を制御し、第2の素子群526においては第2の素子512の中心位置を基準として遅延時間を制御してもよい。処理回路17は、遅延制御機能176により、中間素子群524および第2の素子群526において、中間素子511dの中心位置を基準としてそれぞれの遅延時間を制御してもよい。処理回路17は、遅延制御機能176により、端部素子群525および第2の素子群526において、端部素子511eの中心位置を基準としてそれぞれの遅延時間を制御してもよい。処理回路17は、遅延制御機能176により、中央素子群523と第2の素子群526とを同期させて遅延時間を制御してもよい。
よって、処理回路17は、複数の素子群を様々に制御することによって、送信ビームおよび受信ビームを形成することができる。
以上説明したように、第2の応用例に係る超音波プローブは、第1の実施形態に係る超音波プローブと同様に、本超音波プローブを用いて取得された超音波画像における輝度差を改善することができる。
また、上記超音波プローブを有する超音波診断装置は、輝度差の少ない超音波画像を生成することができる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、超音波画像における輝度差を改善することができる。
実施形態の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(CentralPprocessing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、上記各実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、上記各実施形態における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。