JP2605373B2 - 機能性流体の製造法 - Google Patents

機能性流体の製造法

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JP2605373B2 JP63207268A JP20726888A JP2605373B2 JP 2605373 B2 JP2605373 B2 JP 2605373B2 JP 63207268 A JP63207268 A JP 63207268A JP 20726888 A JP20726888 A JP 20726888A JP 2605373 B2 JP2605373 B2 JP 2605373B2
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博紀 佐藤
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、機能性流体の製造法に関する。更に詳しく
は、電界をかけることにより見掛上の粘度を増加させる
ことのできる機能性流体の製造法に関する。
〔従来の技術〕
電界を印加すると著しくレオロジカルな性状が変化す
る流体は、ウィンズロ効果として1947年に米国において
発見され、その後改良が加えられ、ER流体として知られ
るに至った。かかるER流体は、例えば次のような組合せ
の分散微粒子と分散媒とからなり、これに約2〜4KV/mm
の電圧を印加すると固化し、電界を解除すると直ちに元
の流体に戻るという性質を示している。
特開昭51−33783号公報: 酸性基および顕著な量の水を吸着する開構造を有する
固体微粒子状多価アルコール(グルコース単量体の重合
体)および非導電性油性ビヒクル 特開昭58−501178号公報: 親水性有機質固体およびジアリール誘導体疎水性液体 特開昭58−179259号公報: フェノール−ホルムアルデヒドポリマー含水粒子およ
び非導電性疎水性油性媒質 〔発明が解決しようとする課題〕 上記従来技術に係るER流体は、次のような問題点を有
している。
(1)分散微粒子が有機質重合体であるために耐熱性の
点で劣っている (2)電界下での粘度増加は、電気浸透現象により微粒
子の細孔から表面に滲出した水分による粒子同志の橋架
けによるものであるが、実用上からはそれ以上の粘度増
加が望まれている 本発明は、電界をかけた際の見掛け粘度の増加率の向
上ならびに耐熱性の向上を図った機能性流体の製造法を
提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
かかる目的を達成させる機能性流体の製造は、偏平な
フレーク状無機層状物質を炭素数6〜18の1級アルキル
アミンの水溶液と室温条件下で撹拌処理し、無機層状物
質の層間陽イオンの20〜80%を1級アルキルアミンで置
換した後、絶縁油中に分散せしめることによって行われ
る。
分散微粒子として用いられる偏平なフレーク状無機層
状物質としては、一般に次のような膨潤性粘土鉱物であ
って、好ましくはフレークの平均直径:厚さ比が100以
上のものが用いられる。
モンモリロナイト Na1/3Al5/3Mg1/3(Si4O10)(OH) ナトリウムテニオライト NaMg2Li(Si4O10)F2 リチウムテニオライト LiMg2Li(Si4O10)F2 ナトリウムヘクトライト Na1/3Mg8/3Li1/3(Si4O10)F2 Na1/3Mg8/3Li1/3(Si4O10)(OH) Na2/3Mg7/3Li2/3(Si4O10)F2 Na2/3Mg7/3Li2/3(Si4O10)(OH) リチウムヘクトライト Li1/3Mg8/3Li1/3(Si4O10)F2 Li1/3Mg8/3Li1/3(Si4O10)(OH) Li2/3Mg8/3Li2/3(Si4O10)F2 Li2/3Mg8/3Li2/3(Si4O10)(OH) サポナイト (Si8-nAln)(Mg6-mAlm)O2(OH)・Na (Si8-nAln)(Mg6-mAlm)O2F4・Na これらの内、代表的なモンモリロナイトについて説明
すると、これは天然に産出する鉱物を精製して得られ、
その基本構造は、SiO4四面体が2次元的に連なった層の
間にAl、Mgを中心としてO、OHが配位した八面体が挟ま
れたものであって、これを一層と呼んでおり、各層の間
にはNaイオンが存在しており、モンモリロナイト塊を水
中に投入するとNaイオンの周囲に水分子が水和し、層間
に劈開(層状物質が層間で剥れること)が起り、厚さ約
10Å程度のフレーク状粒子が水中に分散したゾルとな
る。このような陽イオンを利用して界面活性剤であるア
ルキルアミンを吸着させ、それを乾燥させた後絶縁油中
に分散せしめる。
1級アルキルアミンとしては、例えば C2H2n+1NH2 C2H2n+1NH2・HCl で示されるもの(n:6〜18)、具体的にはドデシルアミ
ン、ドデシルアンモニウムクロライド、オクタデシルア
ンモニウムクロライドなどが用いられる。
これらのアルキルアミンの水溶液を用いての処理は、
層状物質の水溶液中にアルキルアミン水溶液を、層間陽
イオンに対するアルキルアミンのモル比が1.2以上にな
る迄添加し、室温条件下で約10〜180分間程度攪拌する
ことにより行われる。この後、一旦ガラスフィルターで
ロ過、水洗した後、再び水中で飽和する迄膨潤処理し、
ガラスフィルターでロ過して、それを約30〜40℃の温度
で乾燥させる。
このようにしてアルキルアミン水溶液で処理した偏平
なフレーク状無機層状物質は、石油系、リン酸エステル
系、脂肪酸エステル系などの絶縁油中に、約10〜80重量
%の濃度で分散せしめる。
〔作用〕
モンモリロナイトの層間Naイオンの一部(約80〜20
%)をアルキルアミンで置換して親油性化すると同時
に、残りのNaイオン(約20〜80%)に水和した水も残し
ておく。このアルキルアミンによる置換割合が約20%以
下では、活性剤の吸着量が少なすぎて油中での分散安定
性が悪くなり、一方約80%以上の割合で置換すると、層
間Naイオンの量が少なすぎて層間に取り込まれる水和水
の量が不足するようになる。
これを絶縁油中に分散させ、形成されたゾルに一定の
せん断力がかかった状態で、約約2〜4KV/mm程度の電界
電圧を印加すると、吸着水の橋架けによる粘度増加と、
それによる低せん断速度でのチキソトロピー特性とが加
わり、ゾルは高い粘度を示すようになる。なお、印加電
圧を高くする程粘性は大きくなるものの、あまり高くし
すぎると絶縁破壊を起すようになる。
電界を解除すると、橋架けは失われてせん断速度が上
り、チキソトロピーにより見掛け粘度も減少する。この
ようにして、電界のON−OFFにより粘性の大きな増減を
可逆的に行なうことができ、粘性クラッチなどへの応用
が図られる。
〔発明の効果〕
本発明に係る機能性流体は、せん断速度の増加に伴な
い、見掛け粘度が著しく減少する性質(チキソトロピ
ー)を有するゲルであり、これを電界下での見掛け粘度
増加と組合せることにより、高性能の流体とすることが
できる。
例えば、それを粘性クラッチに用いた場合、伝達可能
なトルクは最大40N・mであったものが60N・mと、約1.
5倍程度の粘度上昇をもたらしている。また、それの耐
熱性も、従来技術によるものが約80℃程度であり、分散
微粒子が有機質物質であったことの制限があったのに対
し、本発明のものは約150℃と大幅な上昇がみられる。
更に、分散微粒子の分散濃度を低くすることもできるの
で、空転トルクも少なくすることができるという効果を
も奏する。
こうした効果以外にも、分散微粒子として化学的に合
成された膨潤性粘土鉱物を用いた場合には、それの組成
を厳密に管理できるので、活性剤吸収量を制御し易くな
り、流体の性能を引き出す上で有効であるという利点も
みられる。
〔実施例〕
次に、実施例について本発明を説明する。
実施例1 モンモリロナイト(クニミネ工業製品クニピアG)
に、その層間Naイオンに対してモル比1.2のドデシルア
ミンを水溶液(濃度25mM/水40ml)として加え、室温で1
20分間スターラーで攪拌した後、#2ガラスフィルター
でロ過、水洗した。その後、再び、水中で飽和する迄で
膨潤処理し、#2ガラスフィルターでロ過して40℃で乾
燥させ、モンモリロナイトの層間Naイオンの約80%をド
デシルアミンと交換させた(原子吸光分析法により確
認)。
これを潤滑油(三井石油化学製品IPZ)中に10重量%
の濃度で分散させた分散液中に、2枚の平行銅板(寸法
10×10mm、間隔3mm)を挿入し、5000Vの直流電圧を印加
して引き上げると、2枚の銅板間でゾルが固化している
のが観察された。
実施例2 実施例1において、モンモリロナイトの代りにナトリ
ウム・四けい素雲母NaMg2.5(Si4O10)F2(トピー工業
製品ダイモナイト)を用いると、層間Naイオンの約60%
がドデシルアミンによって変換され、同様の銅板間ゾル
の固化が観察された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 10:02 10:04 10:06 20:06 30:02 30:08 40:14 60:00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】偏平なフレーク状無機層状物質を炭素数6
    〜18の1級アルキルアミンの水溶液と室温条件下で撹拌
    処理し、無機層状物質の層間陽イオンの20〜80%を1級
    アルキルアミンで置換した後、絶縁油中に分散せしめる
    ことを特徴とする機能性流体の製造法。
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