JP2604479Y2 - 削孔装置用スイベルジョイント - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、削孔装置用スイベルジ
ョイントに関し、特に、回転、推進および打撃などを与
えて掘削ロッドを地盤中に貫入させると共に、流体（空
気や水）を供給（圧送）して掘削土を排出しつつ削孔す
る削孔装置用スイベルジョイントに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の回転、推進、打撃などを与えて掘
削ロッドを地盤中に貫入させると共に、流体（空気や
水）を供給（圧送）して掘削土を排出しつつ削孔する削
孔装置用スイベルジョイントは、図２に示すようにスイ
ベル本体３１とシールケース３２とで構成され、

【０００３】スイベル本体３１には、一端側に回転、推
進、打撃が与えられるドリルヘッドが連結されるねじ孔
３３が、他端側に内管３６と外管３７の掘削ロッドを螺
着するねじ孔３４，３５が設けられ、また、前記掘削ロ
ッド３６が装着される側のねじ孔３４と一端側が連通し
他端側が側面に開口する掘削土の供給孔３８および流体
の排出孔３９が設けられ、

【０００４】シールケース３２は、前記スイベル本体３
１の外周にシール材４５を介して装着され、前記供給孔
３８の開口に連通する環状溝４０と、流体の供給口４１
と、前記排出孔３９に連通する流体の排出口４２とが設
けられているもので、

【０００５】内管３６と外管３７の間が流体の排出通路
４３となり、内管３６内が流体の供給通路４４となり、
供給口４１から供給通路４４を経て圧送された流体の圧
力により排水は排出通路４３、排出孔３９を経て排出口
４２より排出されるものである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のような削孔装置用スイベルジョイントにおいては、
スイベル本体３１と、シールケース３２との間に介在す
るシール材４５，４６のシール性に問題がある。すなわ
ち、スイベル本体３１には、回転、推進および打撃が与
えられるので、シール材４５，４６，特に排水側のシー
ル材４６が、排水（回収されるスライム）によって土砂
摩耗を起こし、比較的短期間で水漏れが発生する。

【０００７】また、従来のスイベルジョイントにおいて
は、シール材４５，４６を全部シールケース３２に組み
込んだ状態で、組立・分解しなければならないため、パ
ッキン交換等に大きな労力と時間を必要とする。更に、
排水口４２の方向が固定されているため、現場の状況に
よっては排水ホースの排管が不便である、等の不都合が
ある。

【０００８】本考案は、このような点に鑑み前記従来の
欠点を解決し、シール材装着部分の隙間への土砂の流入
を防ぎ、シール材の土砂摩耗を防止すると共に、シール
ケースをシール材装着部分とケース部分とに分割するこ
とによって、部品を各個に分割可能とし、組立・分割作
業が容易で、排水側のシール材のみの交換も容易な削孔
装置用スイベルジョイントを提供せんとするものであ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本考案は、一端側に地盤貫入用の掘削ロッドが装着さ
れ、他端側に回転、推進、打撃などが与えられるドリル
ヘッドが装着され、かつ、一端側が前記掘削ロッドの装
着側に開口し、他端側が側面に開口する流体供給孔およ
び流体排出孔を有するスイベル本体と、該スイベル本体
の外周にシール材を介して装着され、前記スイベル本体
の供給孔および排出孔の開口に連通する供給口および排
出口を有するシールケースと、前記スイベル本体の外周
にシール材を介して装着され前記シールケースの両端に
当接してこれを保持する一対のフランジと、前記シール
材装着部分の少なくとも排水流体が侵入する側と掘削に
供給する高圧流体の経路との間に連通するシール用高圧
流体供給の小径通路とから成ることを特徴とする。

【００１０】また、前記シールケース内側のシール材
は、シール材取付部材に装着されて設けられていること
を特徴とする。更に、排水流出側のシール材は、パッキ
ンおよびワイパーからなり、そのうちワイパーを排出流
体の侵入する側に位置させ、前記小径通路は、パッキン
とワイパーの間に位置させ連通されていることを特徴と
する。また更に、前記シールケースは、アッパーケース
とロアケースとに分割されて形成され、一方のケースに
流体供給口が、他方のケースに流体排出口が設けられ、
スイベル本体の外周にシール材を介して装着された一対
のフランジが両端に当接されて保持され、該一対のフラ
ンジ間には複数のボルトナットが取付けられ緊締されて
いることを特徴とする。

【００１１】

【作用】シール材装着部分の少なくとも排水流体が侵入
する側と掘削に供給する高圧流体の経路との間に、シー
ル用高圧流体の小径通路が連通されているので、シール
材装着部分の少なくとも排水流体が侵入する側には、高
圧流体の流体圧が供給されるため、シール材装着部分へ
の排水および排水が含有する土砂の流入を防止するよう
作用する。従って、シール材の土砂摩耗が防止される。

【００１２】また、シールケース内側のシール材は、シ
ール材取付部材に装着して設けられているので、シール
ケース部分とシール装着部分とに分割できる。そのため
部品を各個に組立・分解することが容易に可能となり、
組立・分解作業に要する労力が大幅に減少されるし、最
も消耗の激しい排水流体側のシール材のみの交換も容易
となる。

【００１３】更に、シール材をパッキンおよびワイパー
とし、小径通路をそのパッキンとワイパーの間に位置さ
せて連通すると、パッキンとワイパーの間の空間と排水
流体に差圧が生じ、該空間への土砂の流入が阻止され
る。

【００１４】また更に、シールケースがアッパーケース
とロアケースとに分割され、該シールケースは、スイベ
ル本体の外周にシール材を介して装着された一対のフラ
ンジが両端に当接されて保持され、該一対のフランジ間
にはボルトナットが取付けられ緊締され、かつ、一方の
ケースに流体供給口が、他方のケースに流体排出口が
（例えば、アッパーケースに流体供給口が、ロアケース
に流体排出口が）設けられているので、ボルトナットの
ピッチ間で互のケースの位置関係を円周方向に任意に変
えることによって供給口と排出口の位置を円周方向の任
意の位置に設定できる。従って、作業環境に合わせた最
適のホース取付方向が得られる。

【００１５】

【実施例】以下、図示の実施例について本考案を詳細に
説明する。図１は本考案の実施例を示す断面図であっ
て、スイベルジョイント２０は、スイベル本体１と、シ
ールケース２と、一対のフランジ３，３とで構成されて
いる。スイベル本体１は、一端側に回転、推進、打撃が
与えられるドリルヘッドが螺着されるねじ孔４が設けら
れ、他端側に内管と外管の二重管掘削ロッドが螺着され
るねじ孔５，６が設けられている。図１においてはねじ
孔５には内管接続用のエクステンショロッド７が接続さ
れている場合を示している。

【００１６】また、スイベル本体１には、一端側が前記
内管のねじ孔５に連通し他端が側面に開口８ａする流体
圧の供給孔８と、側面より外管のねじ孔６に連通する流
体の排出孔９とが設けられている。

【００１７】前記シールケース２は、前記スイベル本体
１の外周にシール材１０，１１を介して装着され、スイ
ベル本体１の供給孔８の開口８ａに連通する供給口１２
と、スイベル本体１の排出孔９に連通する流体の排出口
１３とを有する。

【００１８】前記シールケース２は、アッパーケース２
ａとロアケース２ｂとに分割されて形成され、前記流体
の供給口１２はアッパーケース２ａに、排出口１３はロ
アケース２ｂに設けられている。また、シールケース２
の内側に位置するシール材１０，１１は、シール材取付
部材１４に装着されて設けられている。

【００１９】前記シールケース２は、スイベル本体１の
外周にシール材１０，１１を介して装着された前記一対
のフランジ３，３により当接保持されており、フランジ
３，３間には複数のボルトナット１５が取付けられて互
に緊締されている。尚、本例において、シール材１０は
パッキンを、シール材１１はワイパーを例示している。

【００２０】また、前記排出流体が侵入する側のシール
材１０，１１装着部分、本例においてはシール材１０と
１１の間には、流体供給口１２と連通する小径通路１６
が連結されていて、供給流体の流体圧が供給されるよう
になっている。

【００２１】以上のような構成に係るスイベルジョイン
ト２０によれば、スイベル本体１のねじ孔５には内管
が、ねじ孔６には外管が連結されるので、供給口１２よ
り供給（圧送）された流体は、スイベル本体１の供給孔
８から内管内を通って先端のビット部分から噴出し、こ
の噴出した流体は、掘削土と共に内管と外管の間の排出
通路を通ってスイベル本体１の排出孔９に達し、排出口
１３より排出する。

【００２２】この時の排出流体は、供給する流体の圧力
で排出されるので、供給流体は高圧であり、排出流体は
低圧となる。従って、シール材１０と１１の間に、流体
供給口１２と連通する小径通路１６が連結されている
と、この部分には高圧である供給流体の流体圧が供給さ
れるから、シール材１０と１１の間が高圧で、シール材
１１を介した排出流体側が低圧となり圧力差を生ずる。
このため排出流体のシール材１０，１１部分への侵入が
阻止され、合せ排出流体に含有する土砂の流入も防止さ
れる。

【００２３】本例において、小径通路１６が、流体排出
口１３側のフランジ３内面に設けたシール材１０，１１
部分だけにしか連結してないのは、シール材取付部材１
４のシール材１０，１１は、シール材取付部材１４を境
に、供給流体側が高圧で、排出流体側が低圧となる圧力
差を生じているからである。

【００２４】また、シールケース２の内側のシール材１
０，１１は、シール材取付部材１４に装着して設けられ
ているので、シールケース２とシール材取付部材１４と
に分割でき、そのためシールケース２、フランジ３，３
およびシール材取付部材１４を各個に組立・分解するこ
とが可能となり、組立・分解作業が容易となるし、最も
消耗の激しい排出流体側のシール材１０，１１のみの交
換も容易となる。

【００２５】更に、シールケース２が、アッパーケース
２ａとロアケース２ｂとに分割され、アッパーケース２
ａに流体供給口１２が、ロアケース２ｂに流体排出口１
３が設けられているので、一対のフランジ３，３間を緊
締しているボルトナット１５を緩め、アッパーケース２
ａとロアケース２ｂとの位置関係を円周方向に変えるこ
とによって、流体供給口１２および流体排出口１３の位
置を円周方向の任意の位置に設定できる。従って、作業
環境に合わせて最適のホース取付方向が確保できる。

【００２６】尚、本考案は、グリスニップルにホースを
介してグリス加圧装置（例えばグリスポンプ）を連結
し、該グリス加圧装置でグリスを加圧し、このグリス圧
で排水および排水が含有する土砂の流入を防止する装置
を併用することも可能である。そうすると、相乗効果が
期待できる。

【００２７】

【考案の効果】以上詳細に説明した通り、本考案によれ
ば次のような効果を奏する。 (1) シール材装着部分への排水および排水が含有する土
砂の流入が阻止され、シール材の土砂摩耗が防止され、
シール材が長持ちする。 (2) 組立・分解が容易となり、組立・分解作業に要する
労力が大幅に減少する。 (3) 最も消耗の激しい排出流体側のシール材のみの交換
も容易である。 (4) 作業環境に合せた最適のホース取付方向が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す断面図である。

【図２】従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ スイベル本体 ２ シールケース ２ａ アッパーケース ２ｂ ロアケース ３ フランジ ８ 供給孔 ９ 排出孔 １０，１１ シール材 １２ 流体供給口 １３ 流体排出口 １４ シール材取付部材 １５ ボルトナット １６ 小径通路 ２０ スイベルジョイント

Claims (4)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端側に地盤貫入用の掘削ロッドが装着
   され、他端側に回転、推進、打撃などが与えられるドリ
   ルヘッドが装着され、かつ、一端側が前記掘削ロッドの
   装着側に開口し、他端側が側面に開口する流体供給孔お
   よび流体排出孔を有するスイベル本体と、 該スイベル本体の外周にシール材を介して装着され、前
   記スイベル本体の供給孔および排出孔の開口に連通する
   供給口および排出口を有するシールケースと、 前記スイベル本体の外周にシール材を介して装着され、
   前記シールケースの両端に当接して該シールケースを保
   持する一対のフランジと、 前記シール材装着部分の少なくとも排水流体が浸入する
   側と掘削に供給する高圧流体の経路との間に連通するシ
   ール用高圧流体供給の小径通路とから成ることを特徴と
   する削孔装置用スイベルジョイント。
2. 【請求項２】 前記シールケース内側のシール材は、シ
   ール材取付部材に装着されて設けられていることを特徴
   とする請求項１記載の削孔装置用スイベルジョイント。
3. 【請求項３】 排水流出側のシール材は、パッキンおよ
   びワイパーからなり、そのうちワイパーを排出流体の浸
   入する側に位置させ、前記小径通路は、パッキンとワイ
   パーの間に位置させ連通されていることを特徴とする請
   求項１または２記載の削孔装置用スイベルジョイント。
4. 【請求項４】 前記シールケースは、アッパーケースと
   ロアケースとに分割されて形成され、一方のケースに流
   体供給口が、他方のケースに流体排出口が設けられ、ス
   イベル本体の外周にシール材を介して装着された一対の
   フランジが両端に当接されて保持され、該一対のフラン
   ジ間には複数のボルトナットが取付けられ緊締されてい
   ることを特徴とする請求項１，２または３記載の削孔装
   置用スイベルジョイント。