JP2603350Y2 - 浄水器 - Google Patents

浄水器

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JP2603350Y2 JP1992025866U JP2586692U JP2603350Y2 JP 2603350 Y2 JP2603350 Y2 JP 2603350Y2 JP 1992025866 U JP1992025866 U JP 1992025866U JP 2586692 U JP2586692 U JP 2586692U JP 2603350 Y2 JP2603350 Y2 JP 2603350Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、例えば家庭用水道水
の浄化や飲食店などでの各種の業務用水の浄化に使用さ
れるもので、活性炭を備えた浄水器に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、浄水器には、発ガン性のあるトリ
ハロメタンを除去する能力が要求されている。しかし、
トリハロメタンを長期間に亘り、有効に除去できる活性
炭式浄水器はない。従来の浄水器は粒状活性炭・顆粒状
活性炭・粉末活性炭・繊維状活性炭の何れか一種類を使
用するものが主流である。一般的には、粒状活性炭使
用した浄水器は、使用初期からトリハロメタンの除去性
能が悪いと言われており、繊維状活性炭を使用した浄水
器は、メーカーの表示寿命に達する前にトリハロメタン
の除去能力が全くなくなったり、あるいは、トリハロメ
タンの濃度が高くなってトリハロメタンが流出すると言
われている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】この考案は、長期間に
亘り、安定かつ充分にトリハロメタンを除去できる浄水
器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この考案に係る浄水器は、原水を浄化する活性炭
備え、活性炭が熱水洗浄により再生されるものであっ
て、上記活性炭は、粒状活性炭からなり、10〜18Å
の半径をもつ細孔の細孔容積が全細孔容積の35%以上
占めている
【0005】なお、活性炭の孔径は、水蒸気吸着法によ
り求める。水蒸気吸着法によると、細孔半径7Å以下は
細孔分布は求められないが、7Å以下の細孔全体の累積
細孔容積としては求められる。7Å以上は細孔半径と細
孔容積の分布曲線及び累積細孔容積曲線として求めるこ
とができる。この考案では、累積細孔容積曲線から10
Å〜18Åの細孔半径を有する細孔の容積(A)と、1
00Å以下の細孔半径を有する細孔の容積(B)とを求
め、100A/B%を10Å〜18Åの細孔半径を有す
る細孔の容積比とする。100Å以上の細孔半径を有す
る細孔はトリハロメタンの吸着除去能力に影響を及ぼさ
ないため、100Å以上の細孔半径を有する細孔がある
場合にはこれを計算上無視する。
【0006】
【作用】本考案者は、水中のトリハロメタンの活性炭へ
の吸着能力を検討した結果、細孔半径が18Åより大き
い細孔を有する活性炭はトリハロメタンを吸着する能力
が極めて低く、細孔半径が7以上10Å未満の細孔を有
する活性炭はトリハロメタンを吸着する能力が極めて高
いことが判明した。細孔半径が7以上10Å未満の細孔
を有する活性炭は、吸着能力が極めて高い利点を有する
が、熱水で洗浄した場合に、トリハロメタンの脱着量が
少なく、従って比較的短い使用期間で飽和吸着に到達し
てしまい、以後の吸着能力がなくなってしまう欠点を有
する。細孔半径が10〜18Åの細孔はトリハロメタン
の吸着能力及び熱水で洗浄した場合にトリハロメタンの
脱着が多いものと思われ、再通水した時に高いトリハロ
メタンの除去性能を示すことを見出した。
【0007】この考案によれば、10〜18Åの半径を
もつ細孔の細孔容積が全容積の35%以上を占めている
粒状活性炭を使用することにより、通水初期において、
トリハロメタンを十分に吸着除去して、有害なトリハロ
メタンの排出濃度を原水入口濃度の20%程度以下の浄
水とすることができるとともに、通水量の増大に対して
トリハロメタン除去率が低下しにくく処理量を大きくす
ることができる。また、所定量通水し、トリハロメタン
の排出濃度が増加する時点において、家庭等でも手軽に
得られる65〜90℃位の熱水を通水させて洗浄するこ
とで、粒状活性炭に吸着されたトリハロメタンの大部分
を脱着させて、吸着能力を回復させ、粒状活性炭の吸着
能力を高く保った状態で、長期間安定に浄化水を得るこ
とができる。なお、回復効果は熱水温度が高い方が効果
が高く、100℃の熱水が得られる場合には、100℃
の熱水を使用してもよい。
【0008】
【実施例】以下、この考案の実施例を図面にもとづいて
説明する。 第1実施例 図1に示すように、下部に原水流入口1Aを有し、か
つ、上部に浄化水流出口1Bを有する円筒状ケース1内
に、粒状活性炭2を封入して、その両端面に仕切り網9
を当てがっている。この粒状活性炭2は、10〜18Å
の半径をもつ細孔が全細孔の35%以上を占めている。
上記原水流入口1Aに接続された給水管3に家庭用の混
合水栓4を介して、水道水などの原水供給管5および6
5〜90℃の熱水(温水)供給管6を接続している。
【0009】上記構成の浄水器においては、まず、原水
供給管5、混合水栓4および給水管3を経てケース1内
に水道水などのように、トリハロメタンを含む原水を供
給することにより、その原水が活性炭2を通過し、上記
トリハロメタンが活性炭2に吸着されて、トリハロメタ
ン濃度の低い浄化水が流出口1Bから排出される。この
ような浄化を適当時間にわたり行なった時点で、つぎに
熱水供給管6、混合水栓4および給水管3を経てケース
1内に65〜90℃の熱水を供給し、これを上記活性炭
2に通水することにより、この活性炭2に吸着保持され
ているトリハロメタンの分子運動を活発化し、その大部
分を脱着させて活性炭2の吸着能力を回復させる。
【0010】つぎに、参考例1,上記第1実施例に対応
する実験例および比較例について説明する。参考例 1 12Åにピークを有し、10〜18Åの細孔半径の細孔
容積が全細孔容積の60%を占める繊維状活性炭の6g
を、43mm径の円筒状ケースに厚さ5cmに詰め、5
0ppbのトリハロメタン(クロロホルム25ppb、
ブロモホルム12.5ppb、ジクロロブロモメタン1
2.5ppb)と2ppmの遊離塩素を含む水を2L
(リットル)/min.で通水したところ、初期200
Lまではトリハロメタンの80%以上を吸着除去して、
トリハロメタンが10ppb以下の優れた浄化水が得ら
れた。また、400L通水した時点では、トリハロメタ
ンの20%が吸着されただけで、トリハロメタンが40
ppbの水が排出された。つぎに、80℃の熱水を2L
/min.の流速で5分間通水して脱着させたところ、
80%のトリハロメタン吸着能力に回復した。この状態
で30L通水後には75%、60L通水後には70%、
100L通水後には65%の吸着能力を示し、熱水によ
る脱着・再生効果があることが認められた。再度同様の
脱着操作を行ったところ77%のトリハロメタン吸着能
力を示し、再現性があることが認められた。なお、遊離
塩素は常に90%以上除去されていた。上記参考例1の
条件において、そのSV(空間速度)は、通水量(流体
供給容積速度)/ケース容積であるので、通水量=20
00×60,ケース容積=π×(4.3÷2) 2 ×5=
72.57から、通水量/ケース容積=2000×60
/72.57≒1650により、1650(単位:1/
h)である。
【0011】実験例 10.5Åにピークを有し、10〜18Åの細孔半径の
細孔容積が全細孔容積の50%を占める粒状活性炭の2
9gを、35mm径の円筒状ケースに厚さ5cmに詰
め、50ppbのトリハロメタン(クロロホルム25p
pb、ブロモホルム12.5ppb、ジクロロブロモメ
タン12.5ppb)と2ppmの遊離塩素を含む水を
2L/min.で通水したところ、初期にトリハロメタ
ンの75%以上を吸着除去して、トリハロメタンが1
2.5ppb以下の優れた浄化水が得られた。また、4
00L通水した時点では、トリハロメタンの50%が吸
着除去され800L通水した時点では、トリハロメタ
ンの35%が吸着除去された。参考例1の繊維状活性炭
では、80%以上という初期のトリハロメタン除去率が
400L通水時点で20%まで急激に低下しているのに
対し、本実験例1で用いた粒状活性炭によれば、800
L通水時点でも35%のトリハロメタン除去率が維持さ
れている。すなわち、本実験例1で用いた粒状活性炭
は、参考例1の繊維状活性炭と比べて、飽和しにくい、
つまり、通水量の増大に対してトリハロメタン除去率が
低下しにくいという利点を有する。つぎに、80℃の熱
水を2L/min.の流速で5分間通水して脱着させた
ところ、75%のトリハロメタン吸着能力に回復した。
この状態で、100L通水後には70%、200L通水
後には50%の吸着能力を示し、熱水による脱着・再生
効果があることが認められた。したがって、熱水を通水
させて再生を行った後においても、本実験例1の粒状活
性炭は参考例1の繊維状活性炭と比べて、同様に通水量
の増大に対してトリハロメタン除去率が低下しにくいと
いう利点を有する。再度同様の脱着操作を行ったとこ
ろ、75%のトリハロメタンを吸着除去した。なお、遊
離塩素は常に90%以上除去されていた。上記実験例1
の条件において、そのSV(空間速度)は、同様に、通
水量/ケース容積=2000×60/48.08≒24
90により、2490(1/h)である。したがって、
本実験例1で用いた粒状活性炭は、参考例1の繊維状活
性炭と比べて、SVが非常に高く、処理量が大きい。こ
れは粒状のものの方が繊維状のものよりケース容積当た
りの充填量を大きく確保できることから処理量も大きく
できることによるものである。
【0012】参考例1に対する比較例1 6gのクラレケミカル社製の繊維状活性炭FT−10
(8Åにピークを有し、10〜18Åの細孔半径の細孔
容積が全細孔容積の30%を占める)を、43mm径の
円筒状ケースに厚さ5cmに詰め、50ppbのトリハ
ロメタン(クロロホルム25ppb、ブロモホルム1
2.5ppb、ジクロロブロモメタン12.5ppb)
と2ppmの遊離塩素を含む水を2L/min.で通水
したところ、初期200Lまではトリハロメタンの80
%以上を吸着除去して、トリハロメタンが10ppb以
下の優れた浄化水が得られた。しかし、400L通水し
た時点では、トリハロメタンの30%が吸着除去された
だけで、トリハロメタンが35ppbの水が通過した。
つぎに、80℃の熱水を2L/min.の流速で5分間
通水して脱着させたところ、80%のトリハロメタン吸
着能力に回復したが、この状態で、30L通水後には6
0%、60L通水後には30%の吸着能力を示すに過ぎ
なかった。つまり、熱水による再生効果が少なかった。
【0013】実験例1に対する比較例2 通常の活性炭浄水器に使用されている29gのクラレケ
ミカル社製の粒状活性炭GW32/60(10Åにピー
クを有し、10〜18Åの細孔半径の細孔容積が全細孔
容積の29%を占める)を43mm径の円筒状ケースに
厚さ5cmに詰め、50ppbのトリハロメタン(クロ
ロホルム25ppb、ブロモホルム12.5ppb、ジ
クロロブロモメタン12.5ppb)と2ppmの遊離
塩素を含む水を2L/min.で通水したところ、初期
にトリハロメタンの80%を吸着除去して、トリハロメ
タンが10ppbの優れた浄化水が得られた。しかし、
400L通水した時点では、トリハロメタンの45%が
吸着除去されただけであり、800L通水した時点で
は、トリハロメタンの30%が吸着除去されただけであ
った。つぎに、80℃の熱水を2L/min.の流速で
5分間通水して脱着させたところ、60%のトリハロメ
タン吸着能力に回復したが、この状態で、100L通水
後には30%の吸着能力に戻り、熱水による脱着・再生
効果が少なかった。
【0014】第2実施例 図2は、繊維状活性炭と粒状活性炭を組み合わせた第2
実施例を示す。同図において、部に原水流入口1A
有する円筒状ケース1内に、10〜18Åの半径をもつ
細孔の細孔容積が全細孔容積の35%以上を占めている
粒状活性炭2を充填するとともに、部に浄化水流出口
7Bを有し、上記円筒状ケース1の端開口部に嵌合連
結された別の円筒状ケース7内に、繊維状活性炭8を
する。粒状活性炭の上面には仕切り網9を設ける。
そして、上記原水流入口Aに接続された給水管3に家
庭用の混合水栓4を介して、水道水などの原水供給管5
および65〜90℃の熱水(温水)供給管6を接続して
いる。
【0015】上記構成の浄水器においては、まず、原水
供給管5、混合水栓4および給水管3を経てケース
に水道水などのように、トリハロメタンおよび遊離塩素
を含む原水を供給することにより、その原水が前段の粒
状活性炭を通過して、悪臭物質、有機物、遊離塩素な
どのような人体に対して悪影響を与える物質の大部分と
ともに、トリハロメタンの大部分も吸着除去される。つ
づいて、原水が後段の繊維状活性炭を通過して、残っ
たトリハロメタンが繊維状活性炭に吸着され、トリハ
ロメタン濃度の低い浄化水が流出口Bから排出され
る。
【0016】このように、トリハロメタンの大部分が粒
状活性炭によって除去されるので、繊維状活性炭
負担が減って、飽和しにくくなる。他方、粒状活性炭
は元来、繊維状活性炭よりも飽和しにくい。したがっ
て、多量の原水の通水によっても遊離塩素およびトリハ
ロメタンの吸着除去能力が高く維持される。その結果、
熱水による再生作業の頻度を下げることが可能となる。
【0017】つぎに、上記第2実施例に対応する実験例
および比較例について説明する。 実験例 実験例で用いた粒状活性炭16gを43mm径の円筒
状ケースの前段に厚さ2.5cmに詰める一方、参考
1で用いたのと同一の繊維状活性炭の3gを上記円筒状
ケースの後段に詰め、50ppbのトリハロメタン(ク
ロロホルム25ppb、ブロモホルム12.5ppb、
ジクロロブロモメタン12.5ppb)と2ppmの遊
離塩素を含む水を2L/min.で通水したところ、初
期は遊離塩素およびトリハロメタンともに100%吸着
除去して、優れた浄化水が得られた。また、400L通
水した時点でも、遊離塩素は0.1ppm、トリハロメ
タンも15ppbで、優れた浄化性能が得られた。つま
り、多量の原水を通水しても、吸着除去能力の低下が少
ない。なお、粒状活性炭及び繊維状活性炭に対する脱着
・再生効果は、上述の第1実施例に対応する実験例1
び参考例1と同様な結果が認められた。
【0018】なお、公知技術として、特開昭60−64
686に前段の粒状活性炭で処理した水を後段の繊維状
活性炭で処理する技術が記載されているが、この場合は
SV(空間速度)を5〜50(単位:1/h)と非常に
遅くすることが必要であった。この考案の場合には、活
性炭の孔径を適切に設定することにより、SVを500
〜2000(1/h)と非常に高くしても遊離塩素やト
リハロメタンの吸着除去能力を高く保つことが可能であ
る。上記実験例2の条件において、そのSVは1650
(1/h)である。
【0019】この考案における粒状活性炭は、上述のと
おり、繊維状活性炭と比較して、通水量の増大に対して
トリハロメタン除去率が低下しにくく処理量も大きいと
いう利点を有する。繊維状活性炭の場合は、細孔径分布
のコントロールが比較的容易であり、10〜18Åの細
孔半径の細孔容積が全細孔容積の50%以上を占める活
性炭を作りやすい。これに対して、粒状活性炭の場合
は、シャープな細孔径分布の活性炭を作りにくいが、製
造条件のコントロールにより、10〜18Åの細孔径が
35〜60%のものを製造することが容易である。
【0020】
【考案の効果】以上のように、この考案の浄水器によれ
ば、10〜18Åの半径をもつ細孔の細孔容積が全細孔
容積の35%以上を占めている粒状活性炭を使用するこ
とで、通水初期において、トリハロメタンを十分に吸着
除去して、有害なトリハロメタンの排出濃度が排出許容
基準以下の優れた浄化水を得ることができるばかりでな
く、通水量の増大に対してトリハロメタン除去率が低下
しにくく処理量も大きくすることができる。また、家庭
等においても手軽に得られる65〜90℃位の熱水を通
水させて洗浄することで、粒状活性炭に吸着されたトリ
ハロメタンの大部分を脱着させて、その吸着能力を回復
させ、粒状活性炭の再利用を図ることができる。したが
って、活性炭の取り替えという不経済で面倒な手間を要
することなく、トリハロメタンの高い除去能力を長期間
にわたり発揮させることができる。なおこの考案は、活
性炭中の菌等を除去する中空糸膜を活性炭の後段に設け
た中空糸型浄水器にも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の第1実施例に係る浄水器を示す縦断
面図である。
【図2】この考案の第2実施例に係る浄水器を示す縦断
面図である。
【符号の説明】
1…ケース、2…粒状活性炭、5…原水供給管、6…熱
水供給管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−152534(JP,A) 特開 昭57−132546(JP,A)

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原水を浄化する活性炭を備え、活性炭が
    熱水洗浄により再生される浄水器であって、上記活性炭
    は、粒状活性炭からなり、10〜18Åの半径をもつ細
    孔の細孔容積が全細孔容積の35%以上を占めている
    水器。
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