JP2601765B2 - 電気信号を出力する三味線 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、和楽器の三味線に関
し、特に、アコースチックな楽器である三味線の演奏音
を電気信号に変換して出力する獣皮を張らないで撥で弾
けば三味線のような音に成り、手で弾けばギターの音に
成り三味線のテクニックでギターが弾ける三味線に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】前記したように、元来三味線はアコース
チックな楽器であって、公知のように本製の胴の表面に
は獣皮等の膜を張り、胴から棹を延設して棹の先端に糸
巻を設け、糸巻と、胴の端部との間に糸を張って、糸を
はじくことで演奏音を発生させている。

【０００３】このような構成では出力される演奏音の大
きさには、必然的に制限があり、一定音量を求めること
は無理があった。又、使用中獣皮が破れ、短期間内に獣
皮を張り替えなければならなかった。従って、大きなホ
ールや野外等における演奏、あるいは、オーケストラと
の協演、さらには電気楽器との協演等における場合のよ
うな大きな音量を求められる場合には、マイクロフォン
を使用し、その出力を増幅してスピーカから再生するこ
とが行われている。又三味線の弾ける人がギターを習う
のはテクニックを覚えることが困難であった。本発明は
三味線を演奏するものが極めて容易にギターを弾くこと
ができるようにしたものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記のマイクロフォン
は、スタンド型あるいはタイピン型等のものが使用され
るが、スタンド型のものであれば、その設定場所には制
約があるので、必ずしも音響的に所望の音質、あるいは
音量が得られないケースもあり、また、マイクの位置が
固定であるので演奏者の動きにも制約が生じる。又、撥
で三味線を弾き、爪弾きでギターを鳴すことは三味線で
は不可能であった。

【０００５】前記のマイクロフォンを、タイピン型等の
小型のマイクとして、これを楽器の適当な部分に仮に固
定する形式のものとすれば、演奏者の動きは自由となる
が、楽器に対する固定個所の選択が難しく、特定の糸の
音のみを拾うようなこともあり得るので、三味線による
大きな演奏音は、得ることが難しいものであった。

【０００６】本発明は前記のような、演奏音を大きくす
ることが困難な三味線において、又、三味線をギターに
置き替えることが困難な三味線において、三味線のテク
ニックでギターの音を発生させ、アコースチックな三味
線の音質を損なわずに、所望の音量が得られる技術を提
供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】胴１０や駒１２の振動を
ピックアップし、駒１２の位置において前記胴１０の胴
上面１０ｂの下面に設けた凹部に収納配置したセンサ１
と、 胴１０の端部の糸固定部１１と糸巻との間に張ら
れた弦１３と、前記センサ１の出力を導出するリード線
１４と、リード線１４により導出されたセンサの出力信
号を増幅し、且つ、後段とのインピーダンス整合を行う
ためのプリアンプ回路とその出力を外部へ導くアウトプ
ットジャックとが一体化された円筒状のプリアンプとジ
ャックとの整合体１５と、前記アウトプットジャックに
挿入され、三味線本体とは別体の、外部のトーンコント
ロールアンプその他へ接続するためのプラグ１６と、接
続導線１７と、プリアンプ２に電源を供給するための電
源部３と、プリアンプ２の出力信号はアウトプットジャ
ック４に接続され、該アウトプットジャック４にはプラ
グ５が挿人されることにより、出力が三味線本体から外
部へ導出され、トーンコントロール６と、パワーアンプ
７と、コントロールアンプ６より音質を調整された信号
を電力増幅し、スピーカ８より出力するように構成され
た電気信号を出力する三味線。

【０００８】

【作用】駒の下面の胴皮を張らない三味線胴の凹部に配
置された、機械的な振動を電気信号に変換するトランス
デューサは、三味線の胴や駒の振動を確実にピックアッ
プして、高忠実度の音質で電気信号に変換する。駒ある
いは胴に対する当たりを調整することで、三味線の各糸
に対するピックアップの程度を調整することが出来る。
また、胴内部に配置されたプリアンプは前記信号を増幅
するとともに、外部へ出力するのに適した出力インピー
ダンスに変換して三味線本体から外部へ出力するので、
ノイズを拾うことの少ない、Ｓ／Ｎ比良好な信号を得る
ことができる。又、撥で弾けば三味線の音階となり、爪
で弾けばギターの音階とすることができる。

【０００９】

【実施例】図はいずれも本発明の実施例のものであり、
図１には要部の側面断面図、図２には蓋体を外した状態
の下面図、そして図３には、ブロック図を示してある。

【００１０】１０は胴皮のない三味線の胴であって、公
知の枠からなる胴側面１０ａ、胴上面１０ｂ及び胴下面
１０ｃで形成され、本実施例では前記三者とも本製であ
る。胴１０の下面１０ｃには、胴１０内に構成部品を取
り付けるための開口部１０ｄが開口している。１８は前
記胴１０から延設される棹である。開口部１０ｄには蓋
体が取り付けられるが、図示は省略してある。

【００１１】１は胴や駒の振動をピックアップするセン
サであり、本実施例では、公知の同軸型のトランスデュ
ーサを使用する。該センサ１は駒１２の位置において前
記胴１０の胴上面１０ｂの下面に設けた凹部に収納する
ように配置する。１１は胴１０の端部の糸固定部、１３
は前記糸固定部と、図示しない糸巻との間に張られた三
本の糸の一つである。

【００１２】１４は前記センサの出力を導出するリード
線で、胴上面１０ｂの面に小孔を形成して貫通させてい
る。１５は前記リード線１４により導出されたセンサの
出力信号を増幅し、且つ、後段とのインピーダンス整合
を行うためのプリアンプ回路とその出力を外部へ導くア
ウトプットジャックとが一体化された、円筒状の、プリ
アンプとジャックとの複合体であり、１６は前記アウト
プットジャックに挿入され、三味線本体とは別体の、外
部のトーンコントロールアンプその他へ接続するための
プラグ、１７はその接続導線である。

【００１３】回路のブロック図を図３に示す。１は前記
のトランスデューサとしてのセンサ、２は前記センサの
出力信号を増幅するプリアンプ、３は前記プリアンプに
電源を供給する乾電池等からなる電源部である。

【００１４】前記プリアンプ２の出力信号はアウトプッ
トジャック４に接続され、該アウトプットジャック４に
はプラグ５が挿入されることにより、出力が三味線本体
から外部へ導出される。プラグ５に連なる６はトーンコ
ントロールアンプで、入力信号を所望の周波数特性とな
るように、図示しない調整手段により調整する。７はパ
ワーアンプであり、前記トーンコントロールアンプ６に
より音質を調整された信号を電力増幅し、８のスピーカ
によって出力する。

【００１５】以上のように構成した三味線を撥弾きし又
はギターとして爪弾き演奏することで、センサ１がピッ
クアップした胴１０や駒１２の振動がリード線１４を経
てプリアンプ３により増幅、アウトプットジャック４か
らプラグ５を経て外部は導出され、トーンコントロール
アンプ６により周波数特性をコントロールされて所望の
音質とされ、パワーアンプ７により電力増幅されてスピ
一力８を駆動し音響出力となる。

【００１６】なお、センサ１の取り付けに際しては、駒
１２の凹部に対する取り付け状態、いわゆる「当たり」
を調整することにより３本の糸の音量的なバランスを調
整することができる。

【００１７】また、本実施例ではセンサとして前記のよ
うに同軸型のトランスデューサを使用したが、これに限
定するものではなく、例えば、コンデンサマイク、ある
いはダイナミックマイク等の公知のトランスデューサを
使用しても、所期の効果が得られる。

【００１８】また、前記のトランスデューサは、本実施
例では駒の下方の胴上面凹部に取り付けるようにした
が、同裏面の、駒の裏側に当たる個所等の、胴内の音響
的に適当な振動が得られる個所に配置してもよい。

【００１９】さらに、三味線は、蛇皮線（三線）であっ
てもよく、また、胴の表面は木製の板体であっても、目
的に応じた効果が得られるものである。

【００２０】また、胴内部に配置したプリアンプ回路
は、本実施例ではジャックと複合体として構成されたも
のを使用したが、目的によっては、個々の部品を組み立
てて、ディスクリートに構成しても何ら差し支えはな
い。

【００２１】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来大き
な音量が得られなかった三味線を、センサ或いはマイク
ロフォン等のトランスデューサを駒或いは胴の内面に配
置してその振動をピックアップするようにしたので、大
きな音量が、高忠実度で得られ、電気楽器との協演も可
能となり、その活動範囲を拡大することができる。ま
た、胴の内部にプリアンプを設けたので、Ｓ／Ｎ比のよ
い信号を得ることができ、又、撥弾き用として使用すれ
ば三味線の音を出すことができると共に、手で弾けばギ
ターの音を出すことができ、胴に獣皮を張らないために
製作と組立が容易で獣皮の張り替えに要する手間と獣皮
収集のための費用を削減するごとができる。又三味線を
弾ける人がギターを習うのは困難であるが、本発明の三
味線を使用すれば三味線とギターを振り分け使用でき、
特にギターを用意する必要がなく容易にギターを習得す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の要部の断面図である。

【図２】本発明の一実施例の要部の蓋体を取り外した状
態の下面図である。

【図３】本発明の回路のブロック図である。

【符号の説明】

１ センサ（トランスデューサ） ２ プリアンプ ３ 電源部 ４ アウトプットジャック ５ プラグ ６ トーンコントロールアンプ ７ パワーアンプ ８ スピーカ １０ 胴 １０ａ 胴側面部 １０ｂ 胴上面部 １０ｃ 胴下面部 １０ｄ 開口部 １２ 駒 １３ 糸 １５ プリアンプとアウトプットジャックとの複合体

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 胴１０や駒１２の振動をピックアップ
   し、駒１２の位置において前記胴１０の胴上面１０ｂの
   下面に設けた凹部に収納配置したセンサ１と、 胴１０の端部の糸固定部１１と糸巻との間に張られた弦
   １３と、 前記センサ１の出力を導出するリード線１４と、 リード線１４により導出されたセンサの出力信号を増幅
   し、且つ、後段とのインピーダンス整合を行うためのプ
   リアンプ回路とその出力を外部へ導くアウトプットジャ
   ックとが一体化された円筒状のプリアンプとジャックと
   の整合体１５と、 前記アウトプットジャックに挿入され、三味線本体とは
   別体の、外部のトーンコントロールアンプその他へ接続
   するためのプラグ１６と、 接続導線１７と、プリアンプ２に電源を供給するための
   電源部３と、プリアンプ２の出力信号はアウトプットジ
   ャック４に接続され、該アウトプットジャック４にはプ
   ラグ５が挿入されることにより、出力が三味線本体から
   外部へ導出され、トーンコントロール６と、パワーアン
   プ７と、コントロールアンプ６より音質を調整された信
   号を電力増幅し、スピーカ８より出力するように構成さ
   れた電気信号を出力する三味線。