JP2601004B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は、低温時の除湿性能を向上させる運転モード
を有する車両用空調装置に関する。
B.従来の技術 例えば特開平1−254418号公報に開示されているよう
に、外気温度が所定値未満の低温時に除湿性能を向上さ
せる制御を行う車両用空調装置が知られている。
この制御は定温デミスト制御と呼ばれ、第10図(c)
に示すように、目標冷媒温度T′refを所定時間t1だけ
第1の温度T′ref1とするとともに、その後、時間t2だ
けそれより低い第2の温度T′ref2とし、これを繰返し
行う。その際、実際の冷媒温度Trefがそれぞれ上記目標
冷媒温度T′erf1,T′erf2となるようにコンプレッサが
制御される。これによれば、第2の温度T′ref2のとき
に除湿が行われ、また第1の温度T′ref1のときにエバ
ポレータの解氷が行われる。すなわち定期的にエバポレ
ータの解氷を行ってその凍結によるオイル潤滑性の低下
を防止し、コンプレッサの焼き付きを防止している。
C.発明が解決しようとする課題 ところで、上記第2の時間t2は、最も厳しい外気条
件,湿度条件を前提として決定されるものであり、緩や
かな条件時には時間t2以上の間、温度T′ref2に保持し
て除湿を行ってもエバポレータが凍結することはない。
しかしながら、従来は時間t2を一律に決めて制御を行っ
ているため、緩やかな条件時に除湿効果が最大限に発揮
されないという問題がある。
本発明の目的は、エバポレータを凍結させることなく
除湿性能が最大限に発揮されるようにした車両用空調装
置を提供することにある。
D.課題を解決するための手段 クレーム対応図である第1図により説明すると、本発
明は、冷媒を吐出する可変容量形コンプレッサ101と、
外気温度が所定値未満の場合に、目標冷媒温度を所定時
間だけ冷媒解氷温度に関連して決定された第1の温度と
するとともに、所定時間経過後に冷媒凍結限界温度に関
連して決定された第2の温度に低下させる目標冷媒温度
制御手段102と、実際の冷媒温度が目標冷媒温度となる
ようにコンプレッサ101の吐出容量を制御するコンプレ
ッサ制御手段103とを備えた車両用空調装置に適用され
る。そして、実際の冷媒温度に関する物理量を検出する
検出手段104を備えるとともに、目標冷媒温度制御手段1
02を以下のように構成することにより上記問題点を解決
する。
すなわち目標冷媒温度制御手段102は、目標冷媒温度
が第2の温度のときに、検出手段104で検出された物理
量が所定値未満になると目標冷媒温度を第1の温度に変
更する。
E.作用 目標冷媒温度が第2の温度のときに、検出手段104で
検出された物理量(実際の冷媒温度に関する物理量)が
所定値未満になると、目標冷媒温度が第1の温度に変更
される。すなわち、従来のように第2の温度を所定時間
保持するのではなく、実際の冷媒温度がある温度(例え
ば、凍結限界温度)まで低下したときに目標冷媒温度を
第1の温度に戻す。これにより外気条件,湿度条件が緩
やかなときには、除湿時間が従来と比較して長くなり、
除湿性能を最大限に向上させることが可能となる。
F.実施例 第2図〜第10図により本発明の一実施例を説明する。
本発明に係る車両用空調装置は、第2図に示すよう
に、エンジン1により駆動される可変容量形コンプレッ
サ2,コンデンサ3,エバポレータ4,リキッドタンク5,膨張
弁6から成る圧縮冷凍サイクルのクーラーユニット100
を備えている。可変容量形コンプレッサ2は、吸入圧力
が設定圧力を越えると傾き角を大きくして吐出容量を大
きくするもので、その設定圧力は、第3図に示す制御回
路30から供給されるソレノイド電流Isolによって制御さ
れる。そして車両熱負荷が大きいほど吐出容量が大きく
なるように設定圧力が制御される。またエバポレータ4
は、外気導入口7aおよび内気導入口7bを有する空調ダク
ト7内に配設されている。
各導入口7a,7bには、空調ダクト7内へ導入される空
気流量を制御する内外気切換ドア8が設けられる。更に
空調ダクト7内には、周知のとおりブロアファン9、ヒ
ーターユニット10、エアミックスドア11が設けられると
ともに、空調ダクト7に設けられたベント吹出口7cおよ
び足下吹出口7dからの吹き出し量をそれぞれ調整するベ
ントドア12、フットドア13が設けられる。更に、空調ダ
クト7に設けられたデフロスタ吹出口7eにはデフロスタ
ドア14が設けられる。
第3図に本発明に係る車両用空調装置の制御部30の一
例を示す。CPU,ROM,RAMなどから成る制御回路31(以
下、単にCPU31と呼ぶ)には入力回路32を介して、外気
温度Tambを検出する外気温センサ41,車室内温度Tincを
検出する室内温度センサ42,日射量Qsunを検出する日射
センサ43,冷媒温度Trefを検出する冷媒温度センサ44が
それぞれ接続され、これらのセンサ41〜44から各種温度
情報や熱量情報がCPU31に入力される。また、入力回路3
2には、運転席のコントロールパネルに設けられたエコ
ノミースイッチ21,オートスイッチ22も接続される。
更にCPU31には、出力回路33を介してブロアファン制
御回路51が接続され、ブロアファン制御回路51にはブロ
アファンモータ9aが接続されている。出力回路33にはさ
らに、リレー52を介して、コンプレッサ2が接続されて
いる。
CPU31は、各センサ41〜44,各スイッチ21,22から入力
された各種情報に基づいて空気の吸込口や吹出口および
吹出し温度、あるいはコンプレッサ2の吐出容量を適切
に制御する。また風量制御信号によりブロアファン制御
回路51を介してモータ9aを駆動制御してブロアファン9
の風量を適切に制御する。
次に、実施例の動作を説明する。
<基本フローチャート> 第4図はCPU31で実行される空調制御装置の基本制御
を示すフローチャートであり、上記オートスイッチ22ま
たはエコノミースイッチ21がオンされるとこのプログラ
ムが起動される。
ステップS10では初期設定を行い、通常のオートエア
コンモードにおいては、例えば設定温度Tptcを25℃に初
期設定する。ステップS20では各センサからの各種情報
を入力する。
これらの各センサのデータ情報を具体的に説明する
と、設定温度Tptcは図示しないコントロールパネルか
ら、車室内温度Tincは室内温度センサ42から、外気温度
Tambは外気温センサ41から、冷媒温度Trefは冷媒温度セ
ンサ44から、日射量Qsunは日射センサ43からそれぞれ与
えられる。
次にステップS30では、外気温センサ41から得られる
外気温度Tambに対して他の熱源からの影響を除き、現実
の外気温度に相当した値Tamに処理する。次にステップS
40では日射センサ43からの光量としての日射量情報を以
降の換算に適した熱量としての値Q′sunに処理する。
ステップS50ではコントロールパネルで設定された設定
温度Tptcを外気温度に応じて補正した値T′ptcに処理
する。ステップS60では、T′ptc,Tinc,Tam,Q′sunから To=(A+D)T′ptc+B・Tam +C・Q′sun−D・Tinc+E (ただし、A〜Eは定数) により目標吹出温度Toを算出すると共に、この目標吹出
温度Toに応じてエアミックスドア11の開度を算出する。
ステップS70ではコンプレッサ2を制御する。ステッ
プS80では各吹出口を制御する。ステップS90では吸込
口、即ち、外気導入口7aおよび内気導入口7bの選択切換
を制御する。ステップS100ではブロアファン9を制御す
ることにより、吹出口からの風量を制御する。
<コンプレッサ制御> 第5図は第4図のコンプレッサ制御(ステップS70)
を詳細に説明するフローチャートである。
第5図において、ステップS701ではオートスイッチ22
およびエコノミースイッチ21のいずれがオンしているか
を判定し、オートスイッチ22であればステップS702で上
記目標吹出温度Toが所定値To1以上か否かを判定する。
所定値To1以上であればステップS704に進み、所定値未
満であればステップS703の急速クールダウン制御を行っ
てステップS704に進む。ここで急速クールダウン制御
は、エバポレータ下流の空気温度(吸込温度Tint)が所
定時間だけエバポレータ凍結開始温度よりも低くなるよ
うコンプレッサ2の吐出容量を調節する制御であり、こ
の制御により車室内が急速に冷房される。
ステップS704では、外気温度の補正値Tamを判定し、
これが極低温,低温,中・高温かによって次の処理を行
う。すなわち極低温であればコンプレッサ2をオフす
る。また低温であれば低温デミスト制御を行う。さらに
中・高温であれば定温制御を行う。ここで定温制御と
は、設定温度Tptcに基づいて上記吸込温度Tintがエバポ
レータ4の凍結開始温度よりも高い所定温度に保持され
るようにコンプレッサ2の吐出容量を調節する制御であ
る。また定温デミスト制御の詳細は第6図の手順に示さ
れる。
<低温デミスト制御> 第6図のステップS7061において、目標冷媒温度T′r
ef1として{外気温度Tam+T1}(第1の温度)を、目標
冷媒温度T′ref2として{外気温度Tam−T2}(第2の
温度)をそれぞれ設定する。次いでステップS7062でフ
ラグ2が0か否かを判定し、肯定されると、ステップS7
063でフラグ1が0か否かを判定する。肯定判定される
とステップS7064において、目標冷媒温度T′refとして
上記T′ref2を選択し、ステップS7065において、ソレ
ノイド通電電流Isolを演算する。
この演算は第7図のフローチャートに示されるよう
に、まず冷媒温度Tref(冷媒温度センサ44により検出さ
れる)と目標冷媒温度T′refとの差(Tref−T′ref)
を演算し(ステップS65A)、この差から比例項電流Ipお
よび積分項電流Iiをそれぞれ第8図および第9図に従っ
てステップS65Bで求める。ここで、比例項電流Ipはステ
ップS65Aで演算された差に基づいて第9図から求めら
れ、積分項電流Iiは、同様の差に基づいて第8図からΔ
Iiを求め、このΔIiに前回までのIiを加えた値Ii(=Ii
+ΔIi)として求められる。そしてステップS65Cにおい
て、比例項電流Ipと積分項電流Iiとの差に相当する電流
Ip−Iiをソレノイド通電電流Isolとして求める。ただ
し、Ipはアンペア、Iiはミリアンペアである。
このソレノイド通電電流Isolに応じてコンプレッサ2
の吐出容量が制御される。すなわち、Isolが大きいほど
コンプレッサ2の吐出容量が大きくなり、冷房能力を増
加する。
次に、第6図のステップS7066において、実際の冷媒
温度Trefがエバポレータ4の凍結限界温度Tcが未満か否
かを判定する。ステップS7066が否定されるとステップS
7067に進み、フラグ2に1を設定してリターンする。一
方、ステップS7066が肯定されると、ステップS7068にお
いてフラグ2を0とし、ステップS7069で時間tの計時
を開始する。次いでステップS7070において、目標冷媒
温度T′refとして上記T′ref1を選択してステップS70
71に進み、上述と同様にしてソレノイド電流Isolを制御
する。更にステップS7072において、上記計時が完了し
たか否かを判定し、計時完了前ならばステップS7073に
進んでフラグ1に1を設定してリターンする。計時が完
了すると、ステップS7074においてフラグ1に0を設定
してリターンする。
以上の第6図の手順によれば、目標冷媒温度T′ref1
とT′ref2とが第10図(a)のように選択されてIsolが
調節される。すなわち時間t1だけT′ref1でIsolが調節
され、このときには第10図(b)に示すように冷媒温度
Trefが高くなりエバポレータ4の解氷が行われる。これ
によりエバポレータ凍結によるオイル潤滑性の低下が防
止されコンプレッサ2の焼き付きが防止される。また時
間t1経過後は、T′ref2でIsolが調節される。このとき
には冷媒温度を外気温度よりもT2(例えば4度)低くし
て除湿が行われる。そして、このT′ref2での制御時に
実際の冷媒温度Trefがエバポレータ凍結開始温度Tc未満
になると、T′ref1による制御に戻り、以下、この繰返
しとなる。これによれば、T′ref2による制御を予め決
められた所定時間だけ行う従来と比べて、外気条件,湿
度条件が緩やかな場合の除湿時間が長くなり、除湿性能
を最大限に向上させることができる。
なお、第5図のステップS701でエコノミースイッチ21
のオンが判定された場合には、ステップS708,S709で上
記ステップS702,S703と同様の処理を行う。その後、ス
テップS710で外気温度の補正値Tamを判定し、これが低
温の場合にはコンプレッサ2をオフし(ステップS71
1)、中温の場合には省燃費制御を行い(ステップS71
2)、高温の場合には上記定温制御を行う(ステップS71
3)。ここで、省燃費制御は、上記吸込温度Tintが定温
制御時よりも高い所定温度に保持されるようコンプレッ
サ2の吐出容量を調節する制御である。
以上の実施例の構成において、目標冷媒温度制御手段
102およびコンプレッサ制御手段103を、冷媒温度センサ
44が検出手段104をそれぞれ構成する。
なお以上では、実際の冷媒温度Trefが凍結開始温度Tc
未満となったときにT′ref1による制御に変更するよう
にしたが、上記吸込温度Tintは冷媒温度Trefに依存して
いるので、例えば第11図に示すように、上記ステップS7
066に代えてS7066′とし、吸込温度Tintが所定温度Tc′
未満となったときにT′ref1による制御に変更するよう
にしてもよい。
G.発明の効果 本発明によれば、目標冷媒温度が冷媒凍結限界を示す
温度に関連して決定される第2の温度に設定されコンプ
レッサの吐出容量が制御されているとき、冷媒温度に関
する物理量が冷媒凍結限界を示す所定量となった場合に
目標冷媒温度を第1の温度に変更するようにしたので、
緩やかな外気条件,湿度条件時にはエバポレータを凍結
させることなく除湿時間が従来と比べて長くなり、除湿
効果を最大限に発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図はクレーム対応図である。 第2図〜第10図は本発明の一実施例を示し、第2図は本
発明に係る空調装置の全体構成図、第3図は制御系のブ
ロック図、第4図はメインのフローチャート、第5図は
コンプレッサ制御のフローチャート、第6図は低温デミ
スト制御のフローチャート、第7図はソレノイド電流制
御のフローチャート、第8図,第9図はソレノイド電流
を決定するための特性図、第10図は低温デミスト制御の
内容を説明する線図であり、(a),(b)が本実施例
によるもの、(c)が従来装置によるものである。第11
図は第6図の変形例を示すフローチャートである。 2:コンプレッサ、4:エバポレータ 31:CPU、44:冷媒温度センサ 101:コンプレッサ 102:目標冷媒温度制御手段 103:コンプレッサ制御手段 104:検出手段

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷媒を吐出する可変容量形コンプレッサ
    と、 外気温度が所定値未満の場合に、目標冷媒温度を所定時
    間だけ冷媒解氷温度に関連して決定された第1の温度と
    するとともに、所定時間経過後に冷媒凍結限界温度に関
    連して決定された第2の温度に低下させる目標冷媒温度
    制御手段と、 実際の冷媒温度が前記目標冷媒温度となるように前記コ
    ンプレッサの吐出容量を制御するコンプレッサ制御手段
    とを備えた車両用空調装置において、 実際の冷媒温度に関する物理量を検出する検出手段を備
    え、 前記目標冷媒温度制御手段は、前記目標冷媒温度が前記
    第2の温度のときに、前記検出手段で検出された物理量
    が所定値未満になると前記目標冷媒温度を前記第1の温
    度に変更することを特徴とする車両用空調装置。
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